のむラボ日記

自転車工房「のむラボ」のブログです

のむラボホイール5号の前輪を組みましたがバックオーダーには関係ありません  

私はこれまで 左右異径組みでスポークテンションの左右差が是正される、
という表現をしてきましたが それについてコメントをいただきました。
「異径組をした時にテンションが変わるというのは完全に間違っているとおもいます。
テンション両側で釣り合っているので片側だけ変わりようがないのです。」
とのことです。
はい、実は これそのものは正しいです。

それとは別に
「第なんとかテンションという勝手な定義もやめてほしいです。」
とありましたが これはそういうわけにはいきません。

今日は そのあたりのことについて書きます。
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今日もホイー(以下略)。に関してノーカウントな
のむラボホイール5号の前輪を組みました。

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リムに はじめから傷があるので売り物にはなりません。
きれいに削って売り物ではないホイールに 後日 組み換える予定はあります。

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ブラッックハブ20H 全チャンピ反ヌポークラジアル組みで、
わざわざ書くことでもないですが 縦横振れをキッチリ追い込み
センタードンピシャです。
で、全チャンピではありますが

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片側を14番プレーン、もう片側を15番プレーンで組んでいます。

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私はテンションメーターに出る数値を 第1スポークテンション、
それを換算表に落とし込んだ一般的な意味でのスポークテンションを
第2スポークテンションと呼んでいますが、
これは他人に押しつけているわけではないので
嫌だというなら 私のいうところの第2STだけを「スポークテンション」と呼んで
それで把握できる範囲でのみ ホイールを組んだり 評価したりすればいいのです。
誰かに やめろと言われる筋合いはありません。

第1STもスポークテンションの多寡で変わる数値には違いないので
私は スポークテンションの一種として扱っていて、
それを基に第2STが分かるので(第2STのほうが後)
一般的な意味のスポークテンションを2番目にしています。

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先ほどのホイール、第2STが1000N付近になるように組みました。
14番プレーンと15番プレーンにしたのは
ホーザンのテンションメーターの換算表を そのまま使えるようにするためです。
1000Nのときの ホーザンでの第1ST(H1ST)は
14番で130、15番で116となっています。

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同様に、DTのテンションメーターでの第1ST(D1ST)も調べます。
横に3行あるうちの左が15番、真ん中が14番ですが

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第2ST 1000N近辺の数値は このようになっています。

ホーザンの換算表は1000Nの次が1300Nとなっていて
実用上 問題がある程度には開いているので、
D1STで 1100Nや1200Nに相当するときのH1STを別に調べてあります。
私にとってはDTのテンションメーターが いわゆる「原器」で、
ホーザンは日常使い用です。
DTのほうが(なにせスポークメーカーなので)
いろんなバテッドスポークに対して換算表が個別にありますが、
工具としての使用感はホーザンのほうが簡便です。

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スポークテンション(←これは第1も第2も)に多少のバラつきがあるものの
14番側で H1STが ほぼ130のスポークを見つけました。
これのD1STは2.19になるはずですが、

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2.16でした。誤差の範囲です。
ホーザンの換算表では第1STから第2STへの変換は
13・14・15番プレーンの3種類だけに限られますので、
コンペティションやCX-RAY(エアロライトと同じと見做す)などの場合は
それらのD1STから調べ上げたH1STでの換算表を作る必要があります。

14番側がH1STとD1STで1000Nと判定されるということは、
15番側はH1STで116近辺、D1STで1.77近辺になるはずですが
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だいたいそれぐらいになるスポークを
バラつきの中から恣意的に探しました。

これから分かることは、左右異径組みをしたときに
第2STは変わらない ということです。
が、スポークの断面積が違うので 変形しにくさは異なります。
スポークの変形しにくさは第2STだけで決まるものではなく、
断面積(番手・スポーク比重)も関係しているからです。
それを なるべく数値化して把握したいと思って考えたのが
第3STであり、これはメシノタネコードなので詳しく書くことはありません。
私の、ホイールに組み付けられたスポークの評価基準は 実は第3STであり、
第3STの数値と 私または他人が組んだ手組みホイールや
完組みホイールの世間的な評価は だいたい合致するので
それを基に オチョコがあるホイールのスポークの番手や
組み方を決めるようにしています。
なので、オチョコのあるハブでの左右異径組みで
スポークテンションの左右差が是正されるという
表現をしたのは、第2STではなく 第3STです。その点は申し訳ありません。
実は過去にも 第3STの意味でスポークテンションという
単語を使っている箇所はあります。

リムが規定している限界指定テンションは 第2STですが、
第2STだけでホイールを考えると
「チャンピオンとレボリューションでそれぞれ組まれた
スポークテンション1000Nのラジアル組みの前輪の硬さは、
スポークテンションが同じなので どちらも一緒」という
勘違いをすることにも なりかねません。もちろん、そんなことはありません。


つづいて「第なんとかテンションという勝手な定義もやめてほしいです」について。
知るかボケ。お前が使わんかったら ええだけやろ。
と言うだけでは あれなので 第1STの考え方なくして組めないホイールの例を挙げます。
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カンパニョーロのアルミスポークのホイールですが、
当初は上にあるような資料が手に入らなかったので
「吊るしの後輪のフリー側でH1STが240に達しているものは ほとんど無く、
張っている個体の張っている位相で 235近辺」ということだけしか
分かっていなかったので リムの交換や増し締めの際には
それを基準にしていました。
現在では、リヤ右で D1STを1.75上限で組めばよい
ということが分かっています(でも H1STで235、のほうを採用していますが)。
ちなみに、アルミスポークは 第3STでは非常に高い評価となります。

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↑これはローヴァルのホイールのインスペクションシートですが、
画像の一番下の0.41などとあるのが 後輪のスポークテンションです。
で、これは第2STではなく D1STです。
確かに、同じスペックのホイールを大量に組むのであれば
換算表と見比べる必要が無い第1STのほうを基準にしたほうが簡便です
(これは のむラボホイールにも言えることですが)。

あと、ホイール組みをする素人さんで
パークツールのテンションメーターを使っている人が多いと思いますが、
何本か組んで慣れてくると 換算表を見ずに
P1ST(パークツールのテンションメーターの第1ST)が
基準になってしまうという人も多いのではないでしょうか。


冒頭のようなコメントをいただく際に
「あんたは物理の基本すら分かってない」とか
「物理が分かる人には笑われるだけ」
ということを言われたりすることもあるのですが、
では その物理の基本とやらに則って
世に問えるだけのホイールを実際に組み上げた例があるかというと、
私の知る限り ありません(本当に無いんだわ これが)。
実践が伴っていなければ「学者バカのタワゴト」に過ぎないのです。
もし出来るっていうなら、どーぞ ホイールを組んだうえで
これは アホののむラボが組むより優れたホイールだと おっしゃってくださいませ。

私は ZIPPやレイノルズやシマノの後輪を のむラボメソッドで組み直して
「前より悪くなった」と言われたことは無いですし、
組み直しの結果 シュータッチなどが起きなくなったということも多々ありますが、
例えばその 私が組み直したレイノルズの後輪を
さらに組み直して 体感レベルで違いが分かるだけの差を得られるような、
そういうホイール組みが出来るのかどうかという話です。

あと、ZIPP・レイノルズ・シマノあたりの後輪は
物理の基本すらわかっていない私の考えにすら劣った設計なわけですね。
このことは実践によって証明されています。

私なりに 現状の のむラボホイールを超えるようなアイデアが
無いわけでは無いのですが、それで おもにやりたいことは
「ハブの寸法を自在に決める」という メーカーでないと手出しできない部分になります。
が、カンパニョーロとフルクラム・ライトウェイトなどで
すでに それらを(それぞれ形は違いますが)実践していて、
手組みホイールでは出来ない領分に 突っ込んだホイールを出しています。
(次点でマヴィック・コリマなど。それ以外のメーカーは だいたい
ストレートスポークで組んである以外は 手組みホイールとほぼ同じです。
これはホイールの理屈の話であって、
ENVE・ZIPP・レイノルズなどはリム屋さんなので リムは非常に優秀です。)
ボーラワンが5万円くらいで入手できるなら
のむラボホイールを組む必要は無いかもしれません。


あと 具体的な話を ここには書かないものの、お客さんに
「のむラボホイール○号と すでに持っていた××の完組みホイールでは
どっちが走りますか、平地では?登りでは?かかりがいいのは?」
と よく訊くのですが、これは第3STのためのデータ集めです。フヒヒ。

category: スポークテンションの話

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スポークテンションを利用しているハブキャップの話  

お客さんから のむラボホイール2.5号の前輪をお預かりしました。
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ZIPPの18Hフロントハブで組んであります。

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何かに巻き込んだのか、スポークが激しく曲がっています。
これの交換だけなら大したことではないのですが、
このハブのキャップは スポークテンションでフランジが開くことで
キャップを固定するようにできているので、
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片側のスポーク全てを それなりにゆるめないと外れません。
正直 面倒です。
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直しました。

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根元がグキッと曲がっているスポークの
隣のスポークも曲がっていたので 交換しています。

category: スポークテンションの話

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エロイムエッサイム(コメントのお返事)  

先日、DTのレボリューションスポークを使って ホイールを組みましたが、
うにょーんは出ませんでしたか?というようなコメントをいただきました。
前輪は全レボですが、うにょーんが確率的に発生しうる閾値ギリギリで組んでいます。
後輪はコンペ/レボですが、もしフリー側がレボだったなら
間違いなく うにょーんが発生する(コンペだから発生しない)張り具合で組みました。
左右異径組みをスポークの形状(丸とか扁平とか)に依らず
単にスポーク比重差で見るならコンペ/レボは
コンペ/CX-RAY(←半コンペ)と同等です。

コメントのお返事はここまでで、
次に うにょーんの発生について経験的に確かなことを書きます。
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仮に24Hの前輪で考えてみます。
後輪でもいいのですが、後輪だとスポークテンションが
リム穴順で交互に上下します。
単純に考えたいので 前輪ということにします。
24Hにするのはオチのために六芒星を描きたいからで、
それ以上の意味はありません。
20Hだと五芒星になるので。

それはともかくリム穴の24Hに番号をふりました。

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ホイール組みの最終仕上げのずっと前の段階で、
振れ取りではなく スポークの張りのためだけに
順番(上の図の番号順)に同じ量ずつ増し締めをしますが、

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うにょーんは この増し締めの締め終わり付近で
最も発生しやすくなります。
これは経験上間違いありません。
例えば1000Nを超えると うにょーんが出始めるスポークであったとして、
定量的な増し締め前が950N、増し締め後が1020Nになるとすると
最後のほうは全てのスポークが1000Nを超えるわけですが
「ニップルを回されながら1000Nを超える」場合でないと
まず うにょーんは起きません。
ある1つのニップルを増し締めしたときの伸びのストレスと
そのときに起こっている他の23のニップルのテンション増のストレスは
同じではないということです。

前輪だと仮組みの段階で ほぼ組み終わりのテンションをいきなり狙えますが、
その手順を少なくしようとして例えば「一気にニップルを5周ずつ回す」などすると
うにょーんが出やすくなります。とくにリム1周の終わり付近で。
なのでそういう場合は「3周ずつ増し締めしたあと 2周ずつ増し締め」などとすると
うにょーんが出にくくなります。
さらに言うなら、5周なら「1周ずつ増し締め×5」や「半周ずつ増し締め×10」のほうが
スポークにやさしいのかも知れませんが
「ホイールが組めるまでの予定増し締め数」が見えているような場合は
なるべく少ない手順で組んでしまいます。

といっても私のホイール組みの範囲で
うにょーんが普通に起きうるのはDTのレボリューションと
サピムのレーザーくらいしかありませんから、
これらのスポークでない限りは そこまで気は遣いません。

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うにょーんが起きにくくなるかもしれない
増し締め順というのを考えてみました。
まずは上の図のように三角形を描き
時計回りに番号をふっていきます。

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次に、このように番号をふります。
六芒星で時計回りに1・4・2・5・3・6となりました。

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つづいて位相をずらして同じことをします。
7~9の位置を決めました。

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つづいて10~12の位置。

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ここからは6つごとにいきます。13~18の位置を決めました。

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最後に19~24。
この数字の順番でニップルを同量ずつ増し締めしていけば
うにょーんが起きにくくなるのでは?ということです。
しかし こんな面倒な組み方をしている最中に番号や位置を見失った場合、
縦振れがメチャクチャな状態になってしまいます。
やめたほうがいいですね。

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しかも この順番は
邪神 黒ヤギさん(→こちら)の召還プロセスに酷似していますので
何かの間違いで異界との扉を開いてしまうかもしれません。
黒ヤギさんは紙、とくに手紙や証書の類が好物で
ひとしきり食べ尽くすまでは帰ってくれません。

たとえ事実であっても 税務署には
「領収証は黒ヤギさんが食べてしまいました」という
言い訳は通じませんので 気をつけないといけません。

category: スポークテンションの話

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コメントのお返事など  

スポークテンションとメーターの話でコメントをいただきました。
記事のあとに追記してもいいのですが 記事自体が長いので
(メーターの話と第3のスポークテンションの話をいっぺんにしたからですが)
別記事にします。

えーと まずは
「ややこしいことせずに両ネジのスポーク用意して錘吊って
自分で較正したらいいじゃないですか… というのはだめですか?」
というコメントをいただきました。
なるほど!信頼に足るスポークから 工具のアタリを逆転写で取るということですね。
その信頼に足る装置を自作する自信がありません・・・。

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↑こういうのはどうでしょう。「1000N原器」です。
白金とイリジウムの分厚い合金の枠の中に
ハープの弦のように1000Nでスポークが張ってあるという原器です。
コメントのご提案より はるかに大掛かりで実質製造不可能じゃないか
というツッコミもありますが、
それ以前に経年変化でスポークの部分がすぐに狂いそうです。
すぐに、というのは枠の部分の不変具合と比べて、という意味ですよ。


つづいて
「DTのメーターは触ったこともありませんが、
こいつを基準器にして頑張って校正したTM-1を2つ以上用意すれば」
おっとこれ以上は引用できないぜ。危ないところだった。
第4のスポークテンションとは何なのか?ですが、
詳しくは書けませんが「精度的に同じ」メーターを2つ以上用意するのは
手段であって 目的ではありません。
2つ用意して初めて出来る・分かることがあるのです。
「同じ」TM-1を2つ用意するのは非常に難しいと思われます。
DTとホーザンは測定子のばねの縮み「だけ」が調整ポイントですが
パークツールはカシメのガタ具合や 握ったときの摺動部など
調整ポイントが複数あるので同じコンディションのものを
調整で得られるかどうかというと厳しそうです。
「カシメが固いけれど 針の部分が摺れていない」ものと
「カシメがゆるいけれど 針の部分が摺れている」ものとを
同じ状態に持っていくのは無理っぽいです。
測定子の調整だけでいいならホーザン2つでもいいのですが、
DTの換算表とからめる必要があるのでDT2つのほうが都合がいいのです。
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↑DTのカシメ部分はベアリング入りです。
ばねの返りが非常にスムーズなので 個体差は生じにくいと思われます。



ここからは おまけの記事です。
コメントのお返事ではありません。
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700Cの80mm高リムの内径と
24インチのローハイトリムの内径は ほぼ同じです。
私はよく のむラボホイール3号を組んだときに
「スポークにぎにぎ時の変形量がほぼゼロだぜフヒヒ」などと言いますが
同じスポーク長さのホイールである24インチのホイールでは
そういった現象はあまり見られません。
きっとリムの内周部(上の図の青い円)がスポークテンションによって
内側にひずむ量がリムの剛性によって変わるのでしょう。
しかしスポークが短くなれば スポークテンションなりの変形量が
少なくなることは確かです。
16インチの小径ホイールくらいになると そういうことも意識しないといけません。

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何が言いたいかというと、スポークが短くなると
第2テンションの割りに第1テンションが高くなるということです。
しかし第1→第2の変換の際の
「2.0mmチャンピオンは2.2mmで1000N」という情報の中には
スポーク長さが含まれていません。
極端に長いスポークと短いスポークでは
厳密には変換表の弓なり曲線の形と位置が変わってくるはずなのです。
ディープリムとテンションメーターでは テンションメーターのほうが先に
存在していましたから、仮に基準の長さを300mmとしましょう。
昔からあるローハイトパイプリム32H6本組みで大体これくらいです。
80mm高のリムを組むときのスポーク長さは250mmとします。

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DTコンペティションの場合、非バテッド部分の長さは
スポークの全長にかかわらず同じです。
ということはスポークが短くなると 細いバテッド部分が相対的に減り、
スポークの比重が重くなるということになります。
重くなるということは変形しにくくなりますから、
短いスポークの弓なり曲線は 長いスポークのそれより
上に位置することになります。

スポークの長さが短くなるだけでも変形量は減りますから、
別にバテッドスポークでなくとも長さが違えば
弓なり曲線の位置は変わります。
実際は線がほぼ重なるくらいの微々たる差でしょうが、
上の図では離して描いています。

ではなぜバテッドスポークで描いたのかというと・・・

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DTのコンペティションと同じバテッド寸法ながら
非バテッド部分が より短いサピムのレースを
この表に放り込みたかったからです。
300mmレースは300mmコンペよりも比重が軽いので
弓なり曲線は下に位置することになります。
これも微々たる差で、実際には線が重なるくらいの差でしかないでしょう。

以上、「弓なり曲線に長さの情報が含まれていないという大まかさが許されるなら
DTコンペとサピムレースを同一視するくらい許されるんじゃないの?」
という詭弁でした。



もうひとつ。レボリューションについて。
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2.0-1.5-2.0mmのレボリューションの換算表のコピーです。
これは2mmくらいの針金の引っ張り試験の結果でしかないわけですが、
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↑1800Nまで描いていますね。
ここが破断点かどうかは分かりません。
それは置いておいて・・・いやいや そんなわけはないやろ。
レボリューションは1000N以上くらいから確率的に、
1300N以上くらいから確定的に「うにょーん」がでます。
ニップルの増し締めが スポークの張りではなく
スポーク自体の伸びに変換されるという現象です。

DSC09745amx2.jpg
↑なので本当は降伏点がこの辺にあるはずです。
この手のグラフで降伏点を伏せて描く奴は卑怯だ!
後ろめたいことでもあるのか!と糾弾する資格は私にはありません。
私も基本的には あえて描かないので。

レボリューションが1800Nまで気持ちよく張れるということはありえません。
これはレボリューション(完全剛体)という
別のスポークの曲線なんです。きっと。
(完全剛体なら曲線の形自体が変わるだろ!というツッコミはNG)

DSC09746amx2.jpg
それはともかくレボリューションのスポーク張りの「天井」は
多少ひいき目に見てやってこの辺でしょう。

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そのときの第1テンションこと メーターの読みは1.3mmといったところです。

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つづいて2.0mmプレーンのチャンピオンの換算表です。

DSC09749amx2.jpg
1.3mmのところから横線を引いてみます。

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こうなりました。

DSC09751amx2.jpg
で、レボリューションの換算表と1.3mmの線が合うように
並べてみるのですが、これを見る限りレボリューションの天井と
チャンピオンの曲線のほぼ下限が同じ高さということになります。
なんだこのやわらかスポークは。

さっき「完全剛体のレボリューション」と書きましたが、
それに近い存在はあります。
サピムのCX-RAYです。
レボリューションもCX-RAYも2.0mmプレーンスポーク比 約65%の
重さのスポークですが、CX-RAYは エアロ加工による加工硬化により
うにょーんが ほぼ起きません。
降伏点はレボリューションより ずっと上です。
その代わり降伏点と破断点が非常に近いと思いますが、
首折れスポークでは そこまでテンションを張ることはまずないので大丈夫です。

レボリューションのネガキャン及びCX-RAYのステマのように思われるかも
しれませんが、その通りです 何か問題でも?(開き直り)
比重が同じスポークでここまで 耐うにょーん性能が違うのであれば
「CX-RAYに取って代わられた」「レボリューションを選ぶ理由は無い」
としか言えません。残念ながら。

category: スポークテンションの話

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スポークテンションメーターと第3のスポークテンション  

スポークテンションとテンションメーターの話を書きます。
これを書かないことには「手組みでフリー側ラジアル組み」
「片側フランジで左右異径組み」「0本組みだけどラジアル組みではない」
などの話が書けません。
去年の12月くらいには書いているはずだったのですが
色々あって長引きました。

まずはテンションメーターの原理と使い方から。
DSC09701amx2.jpg
スポークの変形量を見るために てこのように3ヶ所でスポークを押さえます。
うち2ヶ所は不動、1ヶ所は可動になっていて 圧縮の抵抗から
スポークの変形量を測るようになっています。

DSC09703amx2.jpg
↑そのときの変形量を、メーターに付属の換算表に落としこんで
スポークテンションを調べます。
このときの変形量とスポークテンションの関係は
上の図のような弓なりの曲線になっていますが、

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もしこれが直線になるとしましょう。
そのうえで「スポークは2.0mmプレーン以外 使わない」と
スポークの種類をただひとつに定めたならば
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メーターの読みそのものがスポークテンションの表示になるような
テンションメーターが作れるはずです。
(上の図の破線は ずらして描いてますが同じ線上です)

実際は 弓なり曲線なのとスポークの種類が豊富なことから
換算表無しでテンションメーターを使うことは出来ません

DSC09731amx2.jpg
ここが非常に重要な点ですが、
このブログで単に「スポークテンション」と書いてあった場合、
少なくとも3つの意味があるうちのどれかを指しているのですが
それについて詳細に書かないという方針でずっと書いてきました。

これからも基本的にはそのつもりです。

私個人の勝手な呼び方では、
「テンションメーターで測ったときのスポークの変形量」は
「第1のスポークテンション」です。
「見かけ上のスポークテンション」と呼んでいる場合は
たいていこれですが、読み返してみると そうでもなかったりします。
スポークの変形量をスポークテンションと呼ぶことについてですが、
変形量の少なさとスポークテンションの高さには因果関係があるので
「スポークテンション的なもの」ということで
これを第1のスポークテンションと勝手に呼んでいます。

次に、換算表で換算した後のスポークテンションの概算値を
「第2のスポークテンション」と呼んでいます。
これも過去を見ると「真のスポークテンション」と呼んでいる場合が多いですが
例外も多いので「第2=真の」とは限りません。
こちらは一般的な意味での、普通スポークテンションと言えば
これを指す「スポークテンション」ですね。

次に、第3のスポークテンションについて。
これはスポークテンションそのものではありません。
第1と第2のスポークテンションと
スポークの太さ(厳密には比重)と
スポークとハブのラジアン感覚的な角度を
ある定数に当てはめて得られる数値です。
定数については書けません。私の勝手な定義です。
ただ、経験的に第3のスポークテンションの多寡が
ホイールのかかりの良さを 第2のスポークテンション以上に
正確に表現しているという確信はあります。
第3のスポークテンションは 概ね「スポークの変形量」のことですが
第1と違うのはスポークの比重と 張っている角度も
盛り込んで算出されているということです。
同じスポークテンション(←さてこれは何番目のスポークテンションかな?)でも
ラジアル組みとタンジェント組みでは駆動伝達効率が違いますから、
スポークの張ってある角度は かかりの良さにとって重要です。
第3のスポークテンションは「かかりの良さの数値化」だと思ってください。
ちょっと違いますが だいたいそうです。

「第4のスポークテンション」というのもありますが、
ホイールを組むという作業の上では まず必要の無い考え方なので
このブログで触れたことはありません。
後述しますが現状 第4の研究は出来ないのです。返せ。

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丸スポークと扁平スポークで少し例外はありますが、
太いスポークと細いスポークを同じ換算表に表すと上の図のようになります。
どちらも曲線なので メーターの読みと概算後のスポークテンションの関係、
つまり第1と第2の関係は 太いスポークと細いスポークで同じ割合にはなりません。
後輪を組むとして 全コンペと全CX-RAY、どちらも左右同径組みではありますが
全CX-RAYのほうがスポークテンションの左右差が
全コンペよりも少なくなるのです。
双方とも フリー側を第2テンション1000Nで張ったとしましょう。
当然 組み方もリムもハブも同じです。
そのときに体感的な反フリー側のスポークにぎにぎ変形量は
全CX-RAYのほうが張っている感じになります。
これを第3のスポークテンションで計算しても やはりCX-RAYのほうが
より高い数値になります。第3の計算式にスポークの比重が入っているからです。


まずはテンションメーターの原理と使い方から。とか書いておきながら
かなり脱線してしまいました。
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スポークテンションメーターの話に戻ります。
まずはホーザンのテンションメーターから。
私が普段使うのはこれです。
税別定価は44000円です。ご参考までに。

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真ん中の測定子をスポークに押し付けて変形量を測ります。

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↑校正はここのダブルナットのかけ具合でしているのですが、
ここは絶対に触ってはいけません。校正が狂うからです。
トルクレンチもそうですが、経年使用でへたってくると
測定値も徐々に変わってきます。
ホーザンのテンションメーターの場合は
メーカーに送れば校正し直してくれます。
計器系の工具でこれが出来るか出来ないかは非常に重要です。

説明書から抜粋すると
「換算値は一品ごとに異なるので、個別に公的検査を受けて換算表を作成しております。
換算表は大切に保管してください。
万一換算表を紛失された場合は本器の再検定が必要となります。」
とあります。

この「個別に」という点が他のメーカーと違うところです。

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続いてDTのテンションメーターです。
これがないとホーザンのテンションメーターが使えません(なぜかは後述)。
税別定価は72380円です。ご参考までに。

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↑ここにスポークを挟みます。

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スポークを挟むと 握力を鍛えるグリップを握るような形となり、
測定子が押されて変形量が測れるわけですが、

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↑測定子は握力グリップに いもねじ止めされているだけです。
ここをいじると校正が出来ます。
先ほどのホーザンでは絶対にいじるなと言っている校正が、
DTでは出来ます。

なぜかというとDTの換算表はメーターごとではなく唯一決まったものだからです。
換算表通りの数値が出るようにメーターのほうを調整しろというわけです。

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↑これが その換算表です。

DSC09721amx2.jpg
参考までに2.0mmチャンピオン。
DSC09722amx2.jpg
つづいて2.0-1.5mmレボリューション。

先ほど 太いスポークの弓なり曲線の下に細いスポークの弓なり曲線があるという
図を描きましたが、この2つを見る限り同じように見えますね。
だまされてはいけません。グラフの最大値と範囲が全然違います。
例を挙げるとチャンピオンは2.2mmの変形で1000Nですが、
レボリューションは1.3mm弱で1000Nになっています。

DSC09737amx2.jpg
ホーザンはメーターごとに個別の換算表が付属しており、
別の同じメーター(←おかしなニホンゴ)の換算表とは互換性がありません。
また、校正のたびに付属の換算表も刷新されます。

この換算表ですが、一般車用に作られているためなのか
13番と14番と15番のプレーンスポークの
スポークテンションしか求めることは出来ません。
これ以外のサイズやエアロスポークなどの特殊スポークは
無理と はっきり書いています。

DSC09738amx2.jpg
DTの場合は、唯一の換算表に対して忠実なメーターであることを
「正しい」としています。
DTのテンションメーターを複数持っていて、
同じ2.0mmチャンピオンに当てると
どれもきっかり2.2mmの変形を指す、など 同じ値を指すとしましょう。
そのうちひとつだけを常用し続けると狂ってきます。
そのときに基準となる別のDTのメーター(正確さが確からしい)があれば
ユーザー側で校正が出来ますね。
なので出来ればDTのメーターは2つ以上あったほうがいいのです。
2つ以上のDTのメーターでホイール組みをする「ゼロイン組み」と
私が勝手に呼んでいる組み方があるのですが、
今は1つしか持っていないので出来ません。
今の私のホイールの組み方では、ゼロイン組みが より良いホイール組みに
直接つながるかと言えば そうでもないので別にいいのですが。

DTの換算表は DTの全てのスポークのモデルの弓なり曲線が載っています。
厳密にはバテッド長さが違うので同一品ではないですが
サピムのCX-RAYはDTのエアロライト、
レースはコンペティション、レーザーはレボリューションと同じものとすれば
サピムスポークもDTのメーターで測れます。
誤差は少ないと思われるので私はそうしています。
リーダーとチャンピオンはプレーンスポーク同士なので 違いはほぼ無いでしょう。

で、DTのメーターが1つしか無ければどうするのか?ですね。
「チャンピオン2.0mmプレーンの1000Nは変形2.2mm」
と決まっていても メーターを当てて2.2mmの変形を指したところが
本当に1000Nなのか?という疑問が出てきます。
「間違いなくこいつ1000N」というメトロノーム的な基準があれば
チューニング出来ますが・・・。
「先ほどのDTのメーターを2つ用意する」というのは
楽器同士でチューニングするようなものです。

でも新品である限りはDTのメーターは狂いや個体差が非常に少ないので
1つだけ買ったとしても 校正しないのであれば問題はありません。
校正を要するのは毎日ホイールを組んでいるような場合ですが、
この完組み全盛のご時勢に そんな奴はいないでしょう。

DSC09740amx2.jpg
で、ホーザンのメーターで どうやってバテッドとエアロのスポークを
測っているのかですが、100Nごとの変形量を
DTとホーザンで測り比べた 自作の換算表を使っています。
これで「CX-RAY(実はエアロライト)の
ホーザンでの○.○mm変形は ○○○○N」などと換算できます。
これは「DTとホーザンでのゼロイン組み」に相当しますが
現状のホーザンを校正まで使い続ける限り ずっと使えます。

DSC09732amx2.jpg
↑換算表などが3部。

DSC09733amx2.jpg
DSC09734amx2.jpg
測定子のいもねじ調整用PB製2.5mmアーレンキーが
DSC09735amx2.jpg
3つ。

えーと、管理を他人に任せると扱いが荒くて散逸してしまうという
痛い目にあったため いま私はDTのメーターを1つしか持っていません。
換算表無しでは(DTは入手できそうですが)無用の長物なのと
君には過ぎた道具だから 無くしてなければ返したまえ。

ゼロイン組みが出来ないのは別にいいとしても、
第4のスポークテンションを検証するのには
DTのメーターが 最低2つは要るんだよおおぉぉぉ!




DTのメーターと換算表のおかげで、ホーザンのメーターを
コンペティションやCX-RAYで使うことが出来るようになりました。
そのときにいちいち換算表と にらめっこして使っているかというと、
「CX-RAYで1100Nなら針は この辺」とか
だいたい そらで覚えてしまっているので
よく使うDTコンペとCX-RAYの場合は換算表を見ません。
メーターの読みこと第1のスポークテンションで組んでしまいます。
実は完組みホイールメーカーでも
この数値を規定スポークテンションにしているところがありまして、
「このホイールのフリー側はDTのメーターで変形量が何mm」という
指定の仕方をしているのです。
このやり方は賢いかもしれません。
必ずしもスポークがDT製である必要もありません。
「うちのホイールはDTのメーターを使って組んでるだけ」でいいのです。
そういうこともありDTのメーターはショップ必携です。
海外メーカーのホイールの修理に不可欠な場合があるので。
という理由で換算表無しで使っているとしても返したまえ。

DSC09728amx2.jpg
最後に。
「パークツールのTM-1はどうですか?」と訊かれそうなので先に書いておきます。
税別12300円と安価なのでホームメカニックの方にはオススメですね。
ただ、精度というか再現性が やや怪しいのでその点には注意が必要です。
カシメの硬さゆるさの個体差が非常に大きく、摺動部の抵抗感が物ごとに違います。
また、カシメを調整したり注油することで ある一個体でも針の上がりやすさが
大きく変わってしまいます。
そんなことがないようにするための堅牢さが ホーザンやDTにはありますが
それが価格にも出ています(それにしてもDTは高いと思いますが)。
構造的には超簡易式DTですね。
ショッププロの道具ではないと思っていますが
一般の方が使う分には十分だと思います。
ただ、さっきも書いたように 同じコンディションを維持することが
重要なので その点には気をつかってください。
「扱い次第で目盛りの幅が可変するモノサシ」的な危うさがあります。

DSC09730amx2.jpg
パークツールの工具の名前は「アクロニム+サイズ品番」か
「アクロニム+バージョン品番」です。

ハブスパナ(パークツールでの呼称はショップコーンレンチ)の場合は
ShopCornWrenchのアクロニムのSCWに
13mmならSCW-13、17mmならSCW-17と
名付けているので これはサイズ品番です。

フロアポンプの場合はProfessionalFloorPumpの
アクロニムのPFPのあとに品番が続きますが、
現存しているのは PFP-5とPFP-7とPFP-8です。
これはバージョン品番なので かつては1から始まって2・3・4・6が
あったということです。

何が言いたいかというと TM-1は1番目のTensionMeterだということです。
カタログでいうところの「スポークテンションの管理の必要性」に
パークツールが気づいたのは ごく最近ということですね。
あるいは他社で信頼できるメーターが定番の地位を確立していたから
参入しにくかったのかもしれません。
そう考えると「よそが出している物より ずっと安いものを」というところを
あえて狙って 簡便ながらチャチくなく想定売価も抑えるという
ギリギリのラインから出た 傑作のようにも思えてきます。

もし この世にTM-1しかスポークテンションメーターが無いのであれば
もちろんそれを利用します。指の感覚だけを頼りにはしません。
ただ、価格さえ厭わないなら私には他の選択肢があるというだけのことです。

いつかTM-2とかが出て それがカッチリして信用できそうなものなら
5万円でも高いとは思いません。いやむしろ期待しています。
ネタ工具で有名なピザカッターですら いまPZT-2ですからね。

category: スポークテンションの話

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