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のむラボ日記

自転車工房「のむラボ」のブログです

初代レーシング3のスポークについて  

私信です。
DSC06905amx14.jpg
↑初代レーシング3のスポークのうち、
シルバーです(ブラックも あります)。

DSC06904amx14.jpg
↑画像左から2本ずつ
リヤ左284mm
リヤ右282mm
フロント281mm

DSC06906amx14.jpg
281mmが14本で96.7gなので スポーク比重は
96.7÷14÷281÷0.0257=
0.9564427・・・なので 95.6%です。

もし スポークが入手できない場合の姑息的処置として
代替するなら、14番プレーン(100%)が適当です。
サピムのリーダーも DTのチャンピオンも
14番プレーンストレートは入手できます。
CX-RAY(約65%)や CXスプリント(約78%)は
スポーク比重が かけ離れていて
周りのスポークと変形量が合わないので不適です。

category: スポークの話

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CXスプリントの首折れスポークが入荷しました  

今年の2月くらいから欠品していた
サピムのCXスプリントの首折れスポークが、ついに入荷しました!
長かった・・・。
CXスプリントの取り扱いが
1回こっきりのスポット入荷だったのではと疑うレベルの欠品期間でした。
そこそこの数が世に出ているはずの ZIPPのホイールでの
採用例があるので「もう作っていない」は無いはずだと信じていましたが。
日本の問屋さんでの取り扱い品の仕様は
310mmと270mmの2種類で、どちらもプレーン部分が長く
310mmは270mmまで、270mmは240mmまでカット可能で
結果として310~240mmまで対応しています。

今回の入荷で、のむラボホイール8号の前輪を半コンペではなく
半CXスプリントで設定することが可能になりました。
過去に私が組んだ ディスクブレーキ用の前輪で
半CXスプリントにしたかったのに 納期が見えないので
半コンペで組んだものについては、
後付けで「姑息的処置であった」ということにして
コンペをCXスプリントに組み直す作業を
スポーク代(+送料)だけで 工賃無料で承りますので、
ご希望の方は ご連絡をください。
あと、CXスプリントの入荷待ちだったホイールも組んでいきます。
DSC06613amx14.jpg
DSC06614amx14.jpg
↑くろ
DSC06616amx14.jpg
DSC06617amx14.jpg
↑ぎん

DSC06618amx14.jpg
銀CXスプリントの310mmを、秤量300g・目量0.1gの秤で
計測できる限界の本数まで乗せました。
297.2gです。
黒にしなかったのは 塗膜の重量を気にしたからではなく
(それが無いとも言えませんが)、
表面に 油が回っていて やたらとベタベタしているのを
拭くのが面倒だったからです。

DSC06620amx14.jpg
あと1本足すと 300gを超え、計測も きっちり拒否されます。

私はCXスプリントのスポーク比重を78%だと言ってきましたが
これを用いて秤の上にあるスポークの本数を計算してみます。
スポーク比重は 14番プレーンスポーク1mmの重量を
100%と定義していて、その重量は0.0257gです。
なので 297.2÷310÷0.78÷0.0257で

DSC06622amx14.jpg
47.825・・・と出ました。
そして、実際の本数を数えると 47本でした。
なぜ48本寄りの数値が出るのかというと これには理由があります。

本数が47本と分かったので、
今度は それを基にしてスポーク比重を計算すると
297.2÷47÷310÷0.0257が
0.793699533・・・なので 約79.3%となります。

DSC06623amx14.jpg
が、このスポークは リム側の端の
2.0mmプレーンの部分が長いので
スポーク比重が高めに出ることになります。
これが 実際は47本なのに 計算上48本寄りになる理由で、
ノーカットだと78%より スポーク比重が大きく出る理由です。
310(~270)mmのスポークで量ったのは、
270(~240)mmのスポークだと 全体の長さに占める
プレーン部分の重さが より強いノイズとして出ると思ったからです。

ここで、310mmスポーク1本の重量を計算すると
0.0257×310×0.793699533で
6.323404179gとなります。
ここから、40mmいっぱいまでカットして作った
270mmの加工後スポークの重量を計算します。
2.0mmプレーンスポーク40mmぶんは
0.0257×40で1.028gなので、
先ほどの6.323404179-1.028で
5.295404179gとなり、
270mmのときに5.295404179gになる
スポークの スポーク比重は
5.295404179÷270÷0.0257が
0.763136498・・・なので 76.3%となります。

ラージフランジの36Hピストハブの8本組みで
超ローハイト700Cリムで組んだ場合で
スポーク長さは304~305mmくらいです
(実際に、ホシの競輪用15番エアロスターブライトの
NJS認定スポークが305mmです)。
ねじり組みだと 計算上315mmあたりとなる組み方がありますが
CXスプリントは丸断面スポークなので
そういう使い方をすることはありません。

なので310mmで使うことは まずありませんが、
310~270mmで スポーク比重が79.3~76.3%、
実際の平均的な使用範囲では
77.5%を下回ることも多いかと思いますが
私は概算値として78%を採用しています。
これを77%にしたところで、
ホイールに使う 12本だの20本だのという範囲では
1gも変わりません。

あと いい機会なので書いておきますが、
「スポーク比重」は 私の造語です。
私以前にスポークの長さあたりの重量比に着目した
用語を見かけなかったので そう呼ぶことにしました。
本来の物理学的な意味での「比重」の定義からすると誤用です。
全く同じ断面形状と長さのスチールスポークとチタンスポークの重量について
比較した場合などにのみ、誤用ではない感じでしょうか。

カンパニョーロ(フルクラム含む)や コリマは、確実に
私が言うところのスポーク比重の概念を
(何と呼んでいるのかは知りませんが)把握したうえで
ホイールを設計しています。
しかし どちらのメーカーも自社の左右異数組み
(14+7の21Hや 12+8の20Hなど)のホイールで
リム高によっては左右逆異径組みをしていることに
カタログなどで詳しくは触れておらず、
そうする理由についても書いていません。

category: スポークの話

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初代R-SYSさん  

お客さんから 初代R-SYSの後輪をお預かりしました。
DSC05972msn4.jpg
後輪が回転している状態で 簡易スタンドを巻き込み、
スポークが1本折れたということです。

DSC05973msn4.jpg
↑こやつ

DSC05976msn4.jpg
直りました。

DSC05977msn4.jpg
両端のアルマイトの色が違いますが、
長さが合うので補修には使えます。
これが 当店での「なぜか持っているR-SYSの補修用スポーク」の
最後の1本なので、今後は当店でR-SYSのスポーク交換は出来ません。
これはマヴィック全般に関しても ほぼ同様です。

マヴィックの修理は お近くの信頼ある
マヴィックホイール取扱店にて やってもらってください。
先日も「レース2週間前に コスミックカーボンのスポークが折れた、
ほうぼうのショップに訊いたけど スポークの在庫が無くて
1ヵ月以上かかるといわれたけど 何とかならんか」という
電話がかかってきましたが、
あとで純正のスポークに戻すというのであれば
姑息的処置で使うには十分な状態には出来ると返事をしました。

昔、ENVEの取り扱いがマヴィックに変わったときに
呼び出しをくらったので展示会に行きましたが、
そのときに 天下のマヴィックを取り扱いたければ
アパレル(ウェアだけでなくシューズやヘルメットも!)も
買えと言われたので 断りました。
「もし当店がマヴィックを取り扱うなら 出回っている主要なホイールの
すべてのスペアスポークを潤沢に常備在庫しますよ」と言ったところ
「そーゆーのは我々が求めてる商売じゃないから」と言われたのを
はっきり覚えています。あっそ。

よく出回っている完組みホイールの
補修スポークを常備在庫するというのは
私の知る限り 相当大きなショップでもやっていないと思うのですが
(ということはスポーク折れを即日で修理できないということ)、
当店ではカンパニョーロ/フルクラムについては それを実現しています。
シマノホイール?
「よく出回っている完組みホイール」って書いてるだろうが。


マヴィックの問屋さんもですね、年間のノルマとか設定するなら
その中にスペアスポークの購入義務とか
盛り込んだらいいんじゃないでしょうか。
↑なぜかヤフ○クやメル○リで スペアスポークが大量に出回りそう

ライトウェイトやディスクホイールなど、
性能とトレードオフにしたのが「振れ取りができないこと」という例を除いて
私は「直せないホイール」というのが大嫌いでして、
汎用の材料以外で組まれているのに
スペアパーツの供給が まともではないホイールを買うのは
ちょっと考えたほうがいいのではないかと思います。
これは ものの良し悪しとは また別の話です。
完成車に付いている場合などは避けられないかも知れませんが。

DSC06345msn4.jpg
↑交換したスポーク

DSC06346msn4.jpg
初代R-SYSのスポークは 一方向(縦方向)だけのカーボンで
スポークを作っており、前輪に関してはリコールで回収されましたが
後輪は片側がアルミスポークで直ちに死なないからか
リコールの対象ではありません。

DSC06348msn4.jpg
縦繊維だけなので シャクシャクと ほぐれます。
これについては(→こちら)も ご参照ください。

category: スポークの話

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HUNTのカーボンスポークについて  

お客さんから HUNTのカーボンスポークのホイールをお預かりしました。
DSC03300amx14.jpg
先日 カーボンスポークを交換して修理したホイールとは別件で、
今年の6月17日ごろに点検したものですが
記事には していませんでした。画像も前輪しか撮っていません。

DSC05433amx14.jpg
↑これは先日の前輪ですが、実は リム高が違います。

DSC03299amx14.jpg
これは6月に点検したホイールの
スポークと一体になっているニップル型パーツの部分ですが、
つかみしろが しっかり リムから出ています。
これはハブとリムの寸法と、あと小さな要素として
どの程度テンションを張ったかによって リムからの出しろが決まりますが
先日のリム高が高いほうは つかみしろの平面が
これの半分ちょっとくらいしか出ておらず 作業に苦労しました。

しかも このスポークと内蔵ニップルの役目をするナットの間には
ねじ山の径にしては強めの ゆるみ止め剤が塗布されており、
初動の回転を得ようとすると それが解除されるときに
「パキン!」と鳴るうえ、それに至るまではカーボンスポークがねじれるか
ニップル型の四角部分がナメそうになる力がかかるので
かなり ビビリながら触りました。

DSC03303amx14.jpg
ハブ胴には日本のEZOのベアリングが使ってあると
レーザーエッチングがあります。
EZOとは エゾ=北海道にある北日本精機のベアリングのことです。

DSC03294amx14.jpg
作業の都合上 リムテープは剥がす必要がありますが、
それは別として このHUNTのネーム入りのリムテープ、
リムの形状に追従するような 柔軟性に欠けており
上の画像の位相では たまたま きれいに貼れていますが
リムとの幅が合っておらず 画像でも 向かって左側の端まで
テープが届いていません。

DSC03295amx14.jpg
DSC03296amx14.jpg
それに加えて ゴワゴワしている位相も多く、

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テープの最後も こんな感じで めくれていて、

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すき間から 輸送時のダンボールの繊維だかを噛んでいました。

DSC03301amx14.jpg
↑こちらは6月に点検したほうの前輪ですが、
リム高に関わらず どちらも後輪は左右同数組みで12×2の24H、
前輪は なんと2:1組みで12+6で
18Hという かなり攻めた仕様になっています。

これは このカーボンスポークであれば
(全てのカーボンスポークが そうとは限らない)
多くの人が不満を述べないくらいの
剛性を確保できているとは思います。
スチールスポークなら スポーク比重100%でも
18Hは おそらく無理です。
それをスポーク比重65%でやらかしているクソアホホイールが
ロヴァールのラピーデCLXです。

DSC05325msn4.jpg
↑見たことないのに批判してるわけではないぞ。
上の画像はラピーデCLXとアルピニストで、
点検で持ち込まれたものを 前輪だけ画像を撮りました。
アルピニストは別件で記事用の画像を今年の4月に撮っており、
そちらは記事としてのバリューがあるので また別に記事を上げます。

もし私にも 風洞実験をするだけの資金力や設備があったなら
同じリム高のあるホイールで(とくに前輪で)
スポーク本数を変えたときに どう空気抵抗が減るのか
さまざま やってみるでしょうが、なまじ そういう手段を持っていると
ホイールの性能全体の要素の大小には目が曇るようで
12+6の18Hのスチールスポークの前輪が いかにヤバいか
考えられなくなってしまうようです。
右側に6本しか(スチールの)スポークが無いってことを軽く考えるなよ。
これが左右異径組みでも同径組みでもいいのですが
6本側をエアロライトではなくエアロコンプにしていれば
(私の見立てでは それでも足りませんが)
幾分か マシなホイールにはなります。
別件で CLX64のホイールをスポーク比重を変更して
結線したことがありますが(→こちら)、私の予想に反して
そのお客さんが問題視していたのは 後輪ではなく前輪でした。
そのCLX64の前輪ですら 3×7で21Hです。
そこからスポーク比重を変えずに さらに3本1ペアを抜くというのは
ホイールのことを まじめに考えているとは思えません。


私は 一般的なスポークテンション(以下ST)のことを
第2STと呼んでいます。
それに対してスポークテンションメーターに出る
単なる数値(単位も付かない)のことを第1STと呼んでいます。
第1STを調べないと一般的なスポークテンションが求められないことから
そちらを第2STと 後の番号にしました。
第1STはテンションメーターが変われば数値も違うので
メーターがDTだとD1ST、ホーザンだとH1ST、
パークツールだとP1STと呼んでいます。
これらの基準が完全に一様であれば、
各々の第1STから算出される第2STは 当然 同じになります。
パークツールのテンションメーターに関しては
同じということになっているメーター間の個体差が やや大きめですが
ホームユースで使う分には十分な精度はあります。
「リムブレーキ用の オチョコが無い左右同数組みでラジアル組みの
スポーク本数が同じ前輪」という最も単純なホイールで、
しかも スチールスポークだけに限ったとしても、
第2STが同じなら ホイールの剛性は同じ・・・にはなりません。
同じ第2STなら、スポーク比重が大きいほうが
スポークの変形量が少なくなるからです。
つまりむしろスポークの変形しにくさを より正確に表現しているのは
第1STのほうではないかということです。
スポークの前後方向でホーザンのメーターを当てた場合、
ある同じ第2ST(130kgf強)のときのH1STが
チャンピなど14番プレーン(100%)で140、
14番ベースのコンペ(85%強)で130、
CX(ほぼ100%)で190、CX-RAY(65%弱)で130くらいです。
コンペでH1STを140にするのは ほぼ無理です。
絶対に不可能ではないでしょうが、リムとニップルを選びます。
あと、さすがにコンペでも うにょーんが出始めるはずです。
コンペの上限にあわせて チャンピでH1STが130になるように甘く組めば、
スポークの変形量に関しては ほぼ同じ感触のホイールになりますが、
その場合 チャンピのほうが スポーク部分が無駄に重いホイールになるだけです。
このH1STだけを見れば 85%のコンペと65%のCX-RAYが同じ130!
CX-RAYはスポーク比重を超越して優秀!という感じに見えますが
これはスポークの前後方向から測定子を当てているので
扁平スポークだと有利に出るだけです。
CX-RAYは丸穴に通るので 横方向からでもホーザンのメーターを当てられますが、
CXのような一般的な丸穴に通らないスポークは
ホーザンの測定子の先端の凹字型の部分に
はまらないので 計測できません。
この方法で 数値上 最強なスチールスポークは
現行のマヴィックの 指を切りそうなくらい薄くて広い
エアロスポークで、H1STで205くらいです。
第2STの数値だけでは ホイールの剛性を ざっと表現することすら出来ず、
むしろ第1STのほうがスポーク比重まで含めた
スポーク単体の変形しにくさを表現している、
また、スポーク本数が変われば ホイールの剛性も変わりますが
これはスポーク比重×スポーク本数の「スポーク量」で
ある程度 追えるので スポーク量と第1STを基準にした
第3STというホイールの剛性の評価基準が私の中にあり、
これは個々のホイールにおける世間的な評価と
だいたい合致するので非常に便利なのですが
メシノタネコードなので ここで詳しく書くことはありません。
これは のむラボホイールの自己評価に
下駄を履かせるために考えたわけではなく、
第3ST最強のホイールは レーシングゼロやシャマルウルトラになります。
まあ、レーシングゼロが第3STにおいて最強だとしても
それはスポークのテンション関係(変形しにくさ)の評価基準で
優秀というだけのことに過ぎず、
たとえば 空力が要素の大小において大きくなるような限定的状況
(ピストとかタイムトライアルとか)でも
レーシングゼロが最強ということではありません。
また、これはスポークドホイールだけで通じる話であって
バトンホイールやディスクホイールの変形しにくさは
スポークドホイールを はるかに凌駕しています。

私が普段 ZIPPやENVEやレイノルズや
ロヴァールなどのクソホイールを組み直して
前より硬くなったとか かかりが良くなったとか言われるのは
第3ST的な評価が高くなったと言い換えることも出来ます
(実際に そうなっています)。

私は フランジ幅が狭いリヤハブは
横剛性に関して厳しいホイールしか組めないとか
左右同数組みの反フリー側ラジアル組みの後輪は
例外なくクソだとか書いてきましたが、
これらはスポークの材質がスチール系の場合での話です。
スポークの材質が変わればスチールスポークの理屈や
ホイールに関して 経験的に判明していることが通用しなくなります。
アルミスポークやカーボンスポークであれば
ナローフランジのリヤハブで組んだとしても
多くの人が不満を述べない横剛性が得られるかもしれませんし、
12+6で18Hという ふざけた本数の前輪でも
問題ないかもしれません。

吊るしのレーシングゼロのH1STは
前輪と 後輪のフリー側で235くらいです。
これはスチールスポークでは到達不可能な数値ですが
(13番プレーンか 旧ロルフの120%スポークで
リムが死ぬほど張れば いけるかも知れませんが)、
レーシングゼロのアルミスポークのスポーク比重は約70%です。
つまり、CX-RAYより ほんのり重いスポーク比重のスポークで
CXより変形しにくいスポークが アルミだと得られるということです。
今まで売ったホイールのワランティについて説明することなく夜逃げした
名前を呼んではいけない某ブランドの中の人は
かつて「アルミスポークには物性的な意味は無い」などと ほざいていましたが
あれはスポーク比重の概念すら理解していないアホの妄言で、
どう考えても スポーク比重70%のスチールスポーク16Hの前輪と
レーシングゼロの前輪(これも16H)が同じ剛性になることはありません。
よって 物性的に意味はあります。

H1STで235が出るレーシングゼロのスポークですが、
第2STはどうなのかというと 同じスポークで組まれている
カンパニョーロのシャマルウルトラの資料がありますが
前輪の上限が130kgf、後輪のフリー側の上限が150kgfと
極端に飛びぬけた数値ではないので やはり第2STだけで
ホイールの剛性を判断するのは無理です。
レーシングゼロもシャマルウルトラも第2ST的には
「スポークテンションが130kgfで16Hの前輪」となるので。
↑私も この字面だけを見れば
「きっと下りでヨレるクソホイールだろう」とか判断しそうになります。

カンパニョーロ・フルクラムのアルミスポークの第2STについての資料は
一般向けには公開されていない資料だと思いますが、
これについては書くことが多いので別記事にします。
DSC04792amx6.jpg
↑これはクランクブラザーズのアイオダインという
MTBホイールのインスペクションシートです。
書かれているのは第2STで、画像がテカっているのは
ラミネートされたカードになっているからです。
第2STが書かれていることとラミネートされていることから
これは組み手側の検査票というよりは
ユーザーに知らせる意味のほうが強いのかもしれません。

DSC05192amx6.jpg
↑これはロヴァールのホイールのインスペクションシートです。
番号を振られたスポークに 0.4前後の数値が書いてありますが
これはDTのテンションメーターの第1ST、つまりD1STです。
組み手には スポークの番手も第2STも知らせる必要はありません。
第1STだけで管理させても同じものは組めますし、
第2STに換算する手間と そこで起こりうる間違いを排除できます。

今回のHUNTのUDカーボンスポーク、
第1STから判断される私の雑感では スチールスポークでは
スポーク比重85%のエアロスポーク程度に相当するのではという感じでした。
数値を採るサンプルが増えれば 今後 変動する可能性はありますが。
これは多少 乱暴に言えば、CXスプリントより やや太いか
コンペを扁平につぶしたスチールスポークに置き換えたとして
目をつぶってスポークを にぎにぎする限りでは
(これもファジィながら第1STでの評価法ではある)
元のカーボンスポークと判別が付かないということです。
なので 冒頭の12+6の18Hの前輪も
扁平につぶした全コンペ相当だということになり、
それでも スポーク本数は少ないと思いますが
全エアロライト(スポーク比重65%)で組まれた
ロヴァールのラピーデCLXよりは はるかにマシです。

HUNTのUDカーボンスポークの資料でも、スポークテンションについては
上限120kgfなどと 第2STが書いてあるだけです。
なので、振れ取りやスポーク交換程度ならともかく
リム交換となると 吊るしのホイールの第1STを知っておく必要があります。

このカーボンスポーク、スポーク比重が もし分かるなら
「スポーク比重85%のエアロスポークと同じ剛性感なのに
こっちのカーボンスポークのほうが
スポーク比重○○%で軽いから優秀」というような評価が可能になります。

また、先ほどと同じことを書きますが
もしスチールスポークの限界を大きく超越していれば
「同じ横剛性でいいなら ハブをナローフランジにしたり
反フリー側ラジアル組みでも よかったりするので
そうした場合空力的に より有利」という振り方ができる可能性もあります。
結線についても、剛性が確保できるならする必要もありません。
それをテンション構造のカーボンスポークでやっているのが
ライトウェイトのホイールなのですが。


HUNTのUDカーボンスポークですが、
スポーク比重的というか のむラボ的ホイール観では
ホイールの材料として非常に優秀です。
ただ、念のため書いておきますが
これはHUNTのUDカーボンスポークについての言及であって
HUNTのリムはハイト/ウェイトレシオでいうと
それほど軽いリムではないので
HUNTのカーボンスポークのホイール全般に対する評価ではありません。
また、他のブランドのカーボンスポークがどうとかは知らないので
カーボンスポークはスチールスポークの完全上位互換!
という主語の大きい結論に至ったわけでもありません。

DSC05422amx14.jpg
6月に点検したHUNTの画像を掘り起こしてまで
この記事を書いたのは、スポーク比重が判明したという
記事としてのバリューが発生したからです。
先日のスポーク交換の件で お客さんから
反フリー側のスポークを袋入りで10本、
フリー側のスポークを裸で4本 お預かりしましたが
同じスポークが10本と目量0.1gの秤があれば
スポーク比重は分かります。
カーボンスポークの両端に接着されているアルミの部分は
不可分なので、これもスポークとして含めます。
で、そのスポーク比重ですが・・・
そんなこと簡単に教えるわけが無いよね。
今日はここまでです。
↑うわこいつかんじわるい











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オ待タセシマシタ!
HUNTノ UDかーぼんすぽーくノ すぽーく比重デスガ、
過去ニ ホボ同時ニ ホボ同ジ表題で上ゲタ
やもりサンノ記事「月光 gecko」(→こちら)ト
かえるサンノ記事「ゲコ ゲコ」(→こちら)デ、
拍手ノ数ガ かえるサン優勢ニ ナレバ 公開シマス!
恐ラク 無理ダロウガナ!

DSC05558amx14.jpg
ム・・・無駄ナ抵抗ハ ヤメロ!

DSC05595amx14.jpg
何ィ!逆転シタダトォ?

・・・コチラノ画像ヲ ゴ覧クダサイ!
DSC05423amx14.jpg
公称278mm10本デ 30.2g、
1mmアタリノ重量ガ 0.010863309・・・gナノデ
すぽーく比重ハ 42.2%デス!
↑やーめーろー!

category: スポークの話

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フルクラムのアルミスポークの刻印について  

ひとつ前の記事で書いた
「この後輪のスポークは フリー側の刻印が「70」、
反フリー側の刻印が「68」です。
このホイールの中には無かったですが、例外はあります。
それについては次の記事で。」
について。

カンパニョーロ・フルクラムのアルミスポークは、
刻印が同じであれば メーカーに関係なくスポークの長さは同じです。
刻印が違っていても、スポークヘッドの端から
ねじ山始まりまでの長さ(実効長さ)が同じで
実質 使用に問題ない場合もあります。
私は これらについては、リムブレーキ仕様のロード用ホイールであれば
おそらく全てを把握しています。
「68」にも「70」にも 刻印違いで実効長さが同じというスポークがあります。
DSC04364msn4.jpg
↑これはリヤ左スポークで、
刻印が それぞれ「68」と「//」ですが
この2本は実効長さではなく 全体の長さまでもが
全く同じになっています。

DSC04365msn4.jpg
DSC04366msn4.jpg
↑同じ長さ

DSC04367msn4.jpg
刻印は「68」と「//」です。

DSC04368msn4.jpg
保存してあるタグによれば 品番は
「68」が R0-119B(レーシングゼロの119のブラック)、
「//」が WH-007SHM(ホイールのパーツ007のシャマルミレ)
となっています。
これだけから類推するなら フルクラムは「68」、
カンパニョーロは「//」で作り分けしてるんじゃないの?
と 思ってしまいますが・・・。

DSC04369msn4.jpg
↑これはフルクラムのレーシングゼロ コンペティツィオーネの
文字入り赤リヤ左スポークで、
品番はR0-119R(末尾のRは レッドを意味する)です。

DSC04370msn4.jpg
DSC04371msn4.jpg
長さは同じですが、

DSC04373msn4.jpg
刻印は「68」と「//」に なっています。
文字入り以前に 赤スポーク自体が
カンパニョーロのホイールには無いものなので、
「//」はカンパニョーロのみ、という仮説が成り立たないのが分かります。

しかし、必ずしもでは無いものの
傾向として確かなことがあります。
レーシングゼロのスペアスポークとニップルには
・スポーク1本とニップル1個のセット
・前輪用のスポークのみ16本
・後輪用のスポークのみ右14本と左7本
・ニップルのみ10個
という販売形態がありますが、
このうち「1箱にスポーク1本とニップル1個」で注文すると
リヤ左の場合「68」刻印のものが、
スポークのみのフルキットで注文すると
「//」刻印のものが届く可能性が高くなります。

ひとつ前の記事の場合は、12万円という金額から
スポーク1本とニップル1個の箱を
計37個 取り寄せた可能性が高いです。
なぜなら、スポークのみのフルキットで注文すれば
刻印の件もそうですが ニップルを使い回すことで
金額が もう少し安くなるはずだからです
(ホイールの組み立て工賃が1本2万円、
前後輪で4万円とかであれば その限りではないですが)。

DSC04336msn4.jpg
で、ひとつ前の記事の画像を また貼りますが
これ、新規のニップルを使ったにしては
角を ナメ過ぎなんですよね。
フルクラムの吊るしの新品で、ニップル全数が
こんな風になってるのを 見たことがありません。
というかニップルを使い回して バラすときと再度組むときの
2回分だとしても ナメ過ぎです。ヘタクソすぎる。

category: スポークの話

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