のむラボ日記

自転車工房「のむラボ」のブログです

アルミスポークについて  

アルミスポークについて書いてください、というコメントを多数いただいたり
または 実際に来店された方から言われたりしています。
少なくとも、どこかの目端の利かない奴(すっとぼけ)が ほざいている
「スチールスポークと比べて ほぼ意味が無い」という主張は明らかに誤りです。

それの根拠として「レーシングゼロを ちょっと使ったら
スチールスポークで出せない硬さのホイールであることは明白やろ」という
体感的な話をすれば終わりのような気もしますが、
そういうのではなくて のむラボ的ホイール観に当てはめれば
どうなるかという話を書いていきます。

「第1のスポークテンション(以下 第1ST)」
「第2のスポークテンション(以下 第2ST)」
「スポーク比重」
「ビーカー論」
これらをアルミスポークで当てはめればいいのですが、
ビーカー論の話(今まで一切触れたことは無い)は長くなるうえ
アルミスポークに直接関係が無い話なので それは後日にします。

まず、第1STについて。
第1STとは、スポークテンションメーターに出ている
「メーターの読み」の数値そのもののことです。
もちろんのむラボ用語です念のため。

第2STとは、第1STを換算表に落とし込んだときの
スポークテンションの概算値で、一般にスポークテンションと言えば
これを指します。

そんなヤヤコシイ言い方をしないで 第1STは「メーターの読み」、
第2STは「スポークテンション」で ええやんけ、
というのは もっともなご意見ですが
第1STもニップルの締めゆるめで増減する、
スポークテンションを数値化したものの一種であり
スポークテンション(←第2STのこと)だけで
ホイールの硬さや駆動剛性を論じることはできません。
なぜかについては これから書きます。

アルミスポークは、レーシングゼロの
きしめんエアロ(バテッド部分がどこも同形状のスクエアエアロ)を使います。
これは、決して恣意的な結果に導くために都合がいいからとか
そういうのではありません。
純然たる観測的事実に対して 私の考えを述べるために、
観測的事実のほうのぶれが 最も少ないアルミスポークだと考えられるからです。
その点、ネクタイスポークはダメです。
それについては もっと後で書きますが、
まずは マヴィックのアルミスポークを選ばない理由について先に書いておきます。

DSC05894amx6.jpg
マヴィックのアルミスポークは、少なくとも 4種類はあります。
私が不勉強なだけで もっとあるかもしれません。
上の図の「H1ST」は、今は無視してください。

まず1のスポークですが、初代キシリウムSSCからある形状で
バテッド部分の端に 魚の尾ひれのような筋があり
前後幅が最も大きなタイプになります。
2のスポークは、1より前後幅が小さくバテッドの境目に筋がないタイプです。
3のスポークは、丸断面のスポークです。
4のスポークは、2によく似ていますが扁平率が違います。

初代からESまでのキシリウムは 工具をかけるスプラインの部分が
小さいニップルを採用していますが、
R-SYSのニップルは それよりも大径のスプラインとなり 工具も違います。
R-SYS以降のキシリウムはR-SYSと同サイズのニップルとなっていて、
いずれの場合もスポークの製造時に封入された形になっているので
スポーク単体での重量を測ることができません。
なので正確なスポーク比重が求めにくくなっています。
これが、アルミスポークの話をするのに
マヴィックのスポークを採用しない理由です。

DSC05891amx6.jpg
↑1のスポーク
DSC05893amx6.jpg
↑2のスポーク
DSC05892amx6.jpg
↑3のスポーク

DSC05896amx6.jpg
つづいて、第1STと第2STの関係について。
以前に書いたこと(→こちら)(→こちら)と重複しますが、軽く触れておきます。
第3のスポークテンションについては、
核心には触れませんが ビーカー論の話のときに書きます。

もし「第1STが2倍になると 第2STも2倍になり、
第1STがn倍になると 第2STもn倍になる・・・」というのであれば、
第1STと第2STの関係をグラフにすれば比例直線になります。
が、実際には そうはなりません。なので 換算表が必要なのです。
リンク先の記事で書いていますが、
DTやパークツールのテンションメーターは
換算表に対してキャリブレーションしたものであり
個体の誤差は無いことになっています(パークツールは やや怪しい)。
ホーザンでは、テンションメーターごとの誤差を認めたうえで
メーターごとに換算表を付属させています。
例えば私のホーザンでは、14番プレーンの丸スポークで
第1STが130を示したときに 第2STは1000Nということになっています。
第2STは各々の計器が正確なら同じ値になりますが、
第1STはテンションメーターのメーカーが違えば全く違う数値になりますし、
同じ(ということになっている)製品ごとでも かすかな誤差があります。

これ以降、上の図にもあるように
ホーザンのテンションメーターの第1STを H1STと呼ぶことにします。
DTならD1ST、パークツールならP1STでいいでしょう。
同じスポークを測ったとき、H1STとD1STとP1STの数値はバラバラですが
各々の換算表に落とし込んだときの第2STは同じになる、ということです。

DSC05874amx6.jpg
私のホーザンのテンションメーターの換算表です。
先ほども書きましたが、ホーザンにとってのH1STは
メーターの数だけあるということになっています。

DSC05876amx6.jpg
第1STと第2STのグラフです。
私が書いた図と横軸・縦軸が逆なので 曲線の反りも逆になっていますが、

DSC05878amx6.jpg
裏から光に透かした こっちの図だと同じになります。
DTの換算表がこっち(横軸 第2ST・縦軸 第1ST)なので
そう描くのが癖になっています。
今回の話とは関係が無いですが、応力-ひずみ曲線の反りと似た
形になるほうで見たほうが色々イメージしやすいというのも理由です。

DSC05877amx6.jpg
具体的な第1STの数値は こんな感じです。
ホーザンのテンションメーターは 13番・14番・15番のプレーンスポークの
第1STについて表記があるだけで、
バテッドスポークの数値は分かりません。
なので、これでコンペティションやCX-RAYを測ることはできません。

DSC05879amx6.jpg
こちらは、DTのグラフ(チャンピオン14番プレーン)になります。
DSC05880amx6.jpg
数値だけの表もあります。
私がまず やったことは、D1STとH1STの対比表を作ったことです。
具体的に書くと、例えば あるコンペティション(14番のほう)の
D1STが2.00を示したとします。
DTの換算表によれば D1STが1.96のときに第2STが1200N、
2.04のときに1300Nということなので
このコンペの第2STは1250Nくらいだということになりますが、
それをH1STで見ると134を示します。
ホーザンの換算表によれば 第2STが1300Nの14番プレーンが138、
15番プレーンが126なので だいたい実状とも合います。
というのを普段使うスポークで細かく調べた
「バテッドスポーク用のH1STの表」というのを作ってあるので、
ホーザンのテンションメーターで
バテッドスポークを計測することができるようにしてあります。
サピムのスポークについては、同じ断面寸法のDTのスポークと
全く同じものだと仮定して、DTの換算表からH1STを求めています。
プレーンスポークのリーダーとチャンピオンは
ほぼ同じということでいいのですが、
CX-RAYとエアロライト、レースとコンペティションも同じと見做しています。
実は、レースは1.8mmの丸バテッド部分がコンペより明らかに長く
スポーク比重の端数に現れるくらいにはスポーク比重も違うのですが
レースのD1STないしH1STをコンペと同じだとしても
ホイールを組むうえで問題は無いと判断しています。
レーザーとレボリューションについては、
普段あまり使わないので これらのスポークでホイールを組む際は
DTのテンションメーターを使っています。
H1STを求めるのは非常に面倒なので。
その用途を除いて、DTのテンションメーターは
H1STを調べるとき以外には使いません。

DSC05881amx6.jpg
ひとつ重要なことを。
DTの換算表のD1STは、スポークの左右方向から測定子を当てた数値です。

DSC05882amx6.jpg
(疑似エアロライトの)CX-RAYで、0.38弱と出ました。
エアロライトは0.37で1000N、0.41で1050Nなので
第2STは 1000Nちょっとだということになります。

DSC05883amx6.jpg
DSC05884amx6.jpg
前後方向から当てたところ、数値が2.19と跳ねあがりました。
こちらは換算表で使う数値ではありませんが、
「エアロライトのD1STが左右方向で0.38のとき、前後方向だと2.19」
というような数値も 実は細かく採っています。

理由は後で書きますが、H1STは 基本的に前後方向の数値を使っています。
ちなみに このスポークの「前後方向の」H1STは130です。
以下、とくに断りが無い限り H1STの数値は前後方向で測ったものになります。

あとで触れますが「扁平スポークの半径が大きい側で測ると
小さい側で測るより 大きな数値が出る」というのを覚えておいてください。

DSC05897amx6.jpg
13番・14番・15番プレーンスポークの第2STが
1000Nのときの H1STとD1STをまとめました。
丸スポークは左右方向・前後方向など どう測っても第1STは変わりません。

この第1STの多寡ですが、ホイールの体感上の硬さや
駆動時のかかりの良さを数値化していると考えられます。


前後方向・左右方向それぞれの変形しにくさを数値化したものなので、
例えば14番プレーンの1000NをD1STで表現すると
左右方向の変形しにくさ2.19 前後方向の変形しにくさ2.19で、
1000Nちょっとのエアロライトは
左右方向の変形しにくさ0.38 前後方向の変形しにくさ2.19と
表現できるのでは、ということです。

最も単純なホイールとして、ラジアル組みの前輪で考えると
13番プレーンで H1STが155の前輪と
15番プレーンで H1STが116の前輪では
スポークテンション(←第2STのことです)は同じであるものの
乗った感触や モガいたときのたわみは
前者のほうが硬く、たわみにくいことは間違いありません。

これがもし「第1STに関係なく 第2STが同じでさえあれば
ホイール剛性は同じ」であるとするなら、
スポークは うにょーん(伸張方向の塑性変形)を起こさない範囲で
ひたすら軽いものにすれば良いということになります。

もっと極端な話をすれば、H1STが50くらいで
第2STが1000Nになるような極細プレーンスポークがあったとして、
それでも第2STを1000Nに張れば
13番のH1ST 155と同じ剛性が出るということになります。
もちろん、そんなことはありません。

スポークテンション(←しつこいですが第2ST)が同じでも
第1STが違えば ホイールの硬さに違いが出ます。
もちろん、第2STに対して 第1STが大きくなるスポークは
スポーク比重が大きいということになるので
軽量化に反するというデメリットはあります。


DSC05898amx6.jpg
ところで、H1STとD1STの比率は同じではありません。近くもないです。
これは私にとって 非常に頭が痛い問題なのですが、
ビーカー論のときに書きます。



サピムのCXとCX-RAYは
ともに楕円断面の扁平(エリプティックエアロ)スポークで、
スポーク比重は100%と65%です。
メーカーの公称値からの概算では98.9%と63.6%ですが、
実測では もう1%ほど大きいです。
まあ ざっくりでいいので100%と65%にしました。

これらのスポークを目一杯張った場合の
(これ以上ニップルを増し締めできない)状態で、
H1STはCXで190、CX-RAYで150くらいになります。
先ほどの黒CX-RAYで130というのは
のむラボホイール5号の前輪ですが、
150までは とてもじゃないですが張りません(張れません)。
CX-RAYのH1STで150が見られるのは、
24Hのヨンゼロ組みのフリー側をとにかく張りまくった
(そうしないと反フリー側が たゆんたゆんになる)場合などです。
それが出来るリムも多少は限られます。
具体的に言うと、メカニコの完組みの後輪がそんな感じです。

DSC05899amx6.jpg
CXとCX-RAYの、第1STとスポーク比重の関係をグラフにしました。
恣意的な見た目にならないよう、ホワイトボードのマス目に沿って
右の正方形と同じ数値の比になるよう
そこそこ気を付けて描いています。
ここで、CXからCX-RAYに至るまで
スポーク比重を1%刻みに変更した エリプティックエアロスポークを
並べた場合 どういう点の集まりになるのかを考えます。

DSC05900amx6.jpg
CXとCX-RAYでは、扁平率が異なります。
CXのほうが ややずんぐりしています。
扁平率は丸スポークで 1なので、そこから遠ざかるほど平べったいということです。

DSC05901amx6.jpg
CXの扁平率を保ったままスポーク比重を65%まで絞った場合の
点の集まりを考えてみました。
実際は もう少しばらつくと思いますが
「まあこのへんで シュッと直線引けるんじゃないの」
というのが見えてくると思うので、その引いた線が 青の破線です。
実際のCX-RAYの扁平率は2.15ではなく2.44なので

DSC05902amx6.jpg
扁平率2.15でスポーク比重65%のスポークよりも
第1STは上方修正を受けるはずです
(D1STの左右方向と前後方向の差が根拠です)。

CXからCX-RAYに至るまで、扁平率もじんわりと変わっていくとするならば
青の破線から起き上がった青の実線が残って

DSC05903amx6.jpg
こんな感じになるはずです。
まあ別に、ちょっと曲線だろうと もう少し直線だろうと
今後の話には関係が無いのですが。


そろそろアルミスポークの話を始めろや、と言われそうですが
ここまでの前置きが必要でした。
DSC05570amx6.jpg
で、お待ちかね。
フルクラムのきしめんアルミスポークです。

DSC05571amx6.jpg
DSC05573amx6.jpg
H1STは268でした。
これは少し例外的な数値です。
しんちゅうニップル時代のレーシング1を、さらに増し締めしているので。

現行のアルミニップルのレーシングゼロの フロントまたはリヤ右で、
H1STは235といったところです。
220を切ると明らかに乗り味がヌルくなります。

ちょっと前に、どこかのショップでリム交換をした
レーシングゼロ2WAY-FITが 明らかにヌルいので
張り直しした件(→こちら)では、
H1STの最低値が205 最高値が220でした。
そこから、下限が230で平均が235になるくらいまで張っています。
この数値は お客さんには伝えました。
今後もどこか別のホーザンのH1STで235を保ってね!という意図ではなく
当店にある他のレーシングゼロと同じくらいです、というのを示すためです。

DSC05904amx6.jpg
次に、スポーク比重を測ってみます。
その前に。
このアルミスポークのスポーク長さを
どう定義していいものかという問題があります。
スポークの全長(上の図A)ということにするのか、
首下長さ(同B)を測るのか。

このスポークの公称長さは279.2mmですが、
それがどこからどこまでに当たるのか調べたところ
全長Aとピッタリ同じだったので、それを採用します。
スポーク比重的には かすかに不利にはなりますが。

DSC05905amx6.jpg
少ない本数でも計算できるように、0.1gから量れる秤にしました。
アルマイトの色で重量に差異が無いとは思いますが、
一応別々に測ってみます。

DSC05906amx6.jpg
↑黒24本
DSC05907amx6.jpg
↑銀5本
DSC05908amx6.jpg
↑赤7本
DSC05909amx6.jpg
↑36本まとめて
1本あたり 5gをごくわずか上回るくらいのようです。
で、こいつのスポーク比重は69.8%という結果になりました。
サピムのスポークも概算値にしたので これは70%ということにしましょう。

DSC05910amx6.jpg
というのを先ほどの図に描き加えました。
ぶっ飛んでいるのが お分かりでしょうか。
どこが「スチールスポークと同程度」なんですかね。
もしかして これを見ても「第1STは駆動剛性に関係が無い!」
とか言い出すんでしょうか。

DSC05911amx6.jpg
↑恣意バージョン

つづいて、なぜ 同じフルクラムでも ネクタイスポークを測らなかったかについて。
DSC05739amx6.jpg
レーシング1の後輪のフリー側、
ネクタイスポークの このあたりを測ると
DSC05740amx6.jpg
H1STは 421ちょっとと出ます。

DSC05741amx6.jpg
が、もうちょっとハブ寄りで測ると
DSC05742amx6.jpg
281と激減します。扁平率が変わっているからです。
念のため書いておきますが当然 同じ箇所のスポークです。
きしめんスポークだと どこで測っても ほとんど変わらないので
安定した数値を採るためにネクタイスポークを避けました。

あと、ずいぶん さかのぼることになりますが
マヴィックのアルミスポークのH1STも分かる範囲で書いておきました。
丸スポークについては前後方向と左右方向、どう測っても数値は同じです。

なぜ丸アルミスポークのH1STが最も高いのかというと、
それはH1STを スポークの前後方向から測っていることと関係があります。

DSC05912amx6.jpg
ホーザンのテンションメーターの測定子ですが、
コの字型の凹みの底に スポークを当てるようになっています。
13番プレーンスポーク(2.34mm径)が測れる以上
最大幅がそれよりかすかに小さいCX-RAYやエアロライトは
D1STの左右方向を H1STの左右方向に変換する表を作れます。

DSC05913amx6.jpg
私物の のむラボホイール2号です。

DSC05914amx6.jpg
DSC05915amx6.jpg
星のエアロスターブライトII型で
可能な限りキンキンに張って組みました。
フヒヒ。

こいつのスポーク比重は約93%です。

DSC05916amx6.jpg
で、H1STは 187です。
先ほど書いたように CXで190が限界といったところなので、
それよりスポーク比重が うっすら小さい
エアロSBIIで同程度に張っているということは相当に張っているというわけです。

ここで、CX-RAYでの具体的な数値を書きますが
前後方向のH1STが130のとき 左右方向だと78くらいになります。
120だと 63くらいです。

なので このエアロSBIIも、CX-RAYと 扁平率は違うものの
左右方向のH1STは187未満になるはずなのですが・・・

DSC05917amx6.jpg
実際は295弱という とんでもない数値になりました。

DSC05918amx6.jpg
これは、測定子の底にスポークが入らないためです。
フルクラムのきしめんアルミスポークの薄い側の幅は
実測で1.4mmほどだったので 前後方向からは測れますが、

DSC05743amx6.jpg
左右方向からは測れません。

先ほどのネクタイスポークも、
前後方向で281なのに 左右方向で364になっています。
マヴィックの丸スポークの数値が跳ねあがるのも これが原因で、
私がH1STを前後方向から採るようにしているのも これが理由です。

なのでアルミ丸スポークの360というのは誤りで、実際はもっと低いはずです。
ただ、リムの組み換え作業でバラす前に
「底についていないけど360」というのを知っておけば
再組み立てする際の参考にはなります。
なので測る意味はあります。



というわけで アルミスポークの何がすごいのかというと、
上のほうで青文字で書いてますが コピペしてくると
第2STに対して 第1STが大きくなるスポークは
スポーク比重が大きいということになるので
軽量化に反するというデメリットはあります。

と書きました。
これは「スポークはスチールだけ」という大前提の上での話です。
比重100%のスチールスポークでも到底出せない第1STでありながら
且つ スポーク比重はCX-RAYより少し重いくらい・・・というのが実現できているのは、
本当の意味での「比重」がアルミとスチールで違うからです。

これを、アルミとスチールのインゴットか何かなのか
素材の物性だけで比較して意味が無いとか
ほざいている奴がいるらしいですが(すっとぼけ)、
とんでもないことです。スポークとして評価してあげないと意味がありません。

ついでに書いておくと、あれはアカン これはアカンと
他社のホイールを否定しておきながら
値打ちこいて 自分でパーツや組み方を選定した完組みホイール、
現物を見ましたが大したものではありませんでした。
24H 左右同径スポークヨンゼロ組みの後輪で
フリー側のH1STが150、反フリー側が120です。
ヨンゼロ組みにしては150に対する120というのは追随度が高いのですが、
これの主因はオフセットリムだからです。
で、150をCX-RAYで出していれば なかなか大したものですが
ピラー製の、CX-RAYよりもスポーク比重が大きい
エアロスポークでの150なので、それほど張っているわけでもありません。
さらにツラいことに、反フリー側ラジアル組みの常として
スポークにぎにぎで そこそこたわむんですが・・・。

リムが硬いのは置いといて、ペダリング時にリヤリムの内側が
(ロスの発生を体感できるほどに)絞られている、
言い方を変えれば かかりが悪い後輪だというのは
色んなホイールを触ってきた経験から ものだけを見ての感想ですが、
実際のオーナーの使用したうえでの感想も それと大差なかったので
ああやっぱりそうかと思いました。

DSC05919amx6.jpg
フリー側ピラーのスポークで H1ST150とは、
つまり このへんです。
やはり レーゼロは遠いですな。

アルミとスチールで「スポークとしての」差が無い、
または ほぼ無いというのであれば
スポーク比重70%のスチールスポークでH1STを230くらいに張ってみせろ。
不可能だよ バーカ。
スポーク比重100%でも難しいのに。

あるいは、見方を変えれば フルクラムのアルミスポークと同じ
スポーク比重70%のスチールスポークで
レーシングゼロと同じ本数である16Hの前輪を組んで、
あの硬さを超えられるイメージが まったく湧きません。

DSC05920amx6.jpg
予想される反論について。
H1STが ネクタイアルミスポークで390、
きしめんアルミスポークで235、CX-RAYで140だとして、
これらの第2ST(つまり一般的な意味でのスポークテンション)は
同じくらいじゃないの?ということについて。

その通りです。
例えば、レーシングゼロと レーシング3ではリムの重量は同じくらいか
ゼロのほうが少し軽いくらいだと思いますが、
レーシング3のスポークは ごっついスクエアエアロで
H1STは180~185くらいです。
第1STの差がスポークによって2倍以上違うからといって
第2STにそこまでの差があるとは思えません。

第1STの差ほどには、リム穴にかかっている負担は
違わないはずだというのは確かです。

ただ、これらが同じ駆動剛性やモガキ耐性だとするのは やはり無理があります。
冒頭のほうで書きましたが、第2ST(1000N)が同じ
13番の前輪と15番の前輪が同じ硬さ(モガキ耐性)になるわけがありません。
完全に正確に連動しているわけではないものの、
1000N時のたわみにくさは 13番で155、15番で116という
第1STの数値の差で表現されている部分はあるはずです。

なので、上のグラフを見て読み取るべきは
「見かけ上の第1STは違っても第2STが同じくらいなので
アルミスポークに意味は無い」ということではなく
「同じ第2STで、スポーク1本ごとのたわみにくさ(第1ST)が違う」
という点であり、しかもスポーク比重なりの第1STという見方をすれば
ぶっ飛んでいるということです。

DSC05924amx6.jpg
第2ST「だけ」で静的に評価すれば、そうですね、
組んだホイールを椅子の脚として使うなら
スポークの材質が違っても
「同じようなもの」と言えるかもしれません。

レーシングゼロと手組みホイールを履きかえて
ホイールを見ることなく 乗ってどちらか当てろと言われれば
可能かもしれませんが、
脚の部分がホイールになっている椅子(第2STは同じにしてある)に座って
座り心地で スポークの材質を当てる自信はありません。

DSC05922amx6.jpg
DSC05923amx6.jpg
もうちょっと続くよ。
仮に、スチールスポークでH1STを230くらいまで張れたとしましょう。
それを首折れスチールスポークでやるのと
ストレートスチールスポークでやるのは
駆動時のひずみで考えると少し違ってきます。

スポークテンションがまったくかかっていない状態での
スポークの可動域を考えると、ストレートスポークのほうが
ねじれやひずみに強いと考えられるからです。
さらにアルミスポークの場合、素材の特性上
断面積を大きく取らないといけませんが
そのせいで(そのおかげで?)スポークヘッドの形状の自由度が
非常に高いという利点があります。
フルクラムのアルミスポークのスライスエリンギヘッドは、
フロントとリヤ左ではパズルのようにガッチリとはまり、
リヤ右ではやや揺らぎはあるものの可動域は ほぼありません。

DSC05921amx6.jpg
なので、同じスポークテンション(←しつこすぎですが第2ST)であっても
駆動時のスポークヘッドの揺らぎが ほぼ無いので
かかりの良し悪しに関するロスも少ないと思うのです。
これを言い出すと まずアルミスポークであるということ自体が
大要素過ぎて ここだけの違いを抽出して体感するのは無理なのですが。

以上、書けば書くだけ私が損するアルミスポークについての話でした。
ビーカー論は もうちょっと時間をください。

追記:
明らかな観測的事実について
私見を述べるのは(たとえ誤りであっても)別にいいのです。

ただ、どこの誰とは書きませんが
「だからウチのホイールはすごいんだ」
という結論ありきのための枕詞として
理論もどきを振りかざす

のは おかしいと思うのです。
ライトウェイトもレーシングゼロも、私よりずっと賢い頭脳者集団が
脳に汗をダラダラ流して考えた産物なので、
手組みホイールが勝てるわけがないのです。
唯一 つけ込みどころがあるとすれば、
完組みより軽いリムを使うということくらいです。

ライトウェイトやレーシングゼロのすごさを素直に理解できていないとなると、
あまりの見識の低さに こいつヤバいんじゃないのと思ってしまいます。

今日の話でいうなら、私独自の工夫によって
CX-RAYでH1ST 235を出せれば それを以って
「私のホイールはレーゼロを超えた!」とか
「アルミスポークに意味は無いぜ フヒヒ」とか
言えると思うのですが不可能です。
CX-RAYも、破断に関して青天井というわけではありませんので。

しかし、スポーク比重も 具体例(レーゼロのスポークで、とか)も出さずに
スチールスポークとアルミスポークが だいたい同じ重量とか言われても・・・。

昔、シマノのテクニカルセミナーで
C75のホイールを開発したという人の話を聞いたことがあります。
50過ぎでしょうか いい年のおっちゃんだったんですが、
ロングのトライアスロンに参戦していて、バイクパートを走っているときに
「私は 風のヨー角(Yaw Angle)が分かる」というんです。
しかも、最も空力的に有利なヨー角を保持し続けるために
風を読んでバイクの軌道をジグザクにして走るとまで言い切りました。
じゃあ逆から風吹いたら回れ右して帰るのかと ツッコミたかったのですが、
この話、エンドユーザーではない プロショップのスタッフだけを集めた場で
堂々と話しているのを聞いて、あまりに馬鹿らしいので
セミナーの資料の背表紙に おっちゃんの似顔絵を描いて
時間を潰していたのを覚えています。
(寝てるやつもたくさんいたので 聞いてるだけエライということにしてください)

この話を聞いて思ったのは、C75というホイールは
「走りながら風のヨー角が読めると 本気で思っている人間が
考えたもの」だということです。
そういう、自覚があるのかないのかオカルトめいた
思想というか哲学の元で作られたという来歴が、
ものの良し悪しは別として なんとも気持ち悪いのです。
(良いのかどうかは訊かないでください、
このブログの読者なら答えは分かってるでしょうから)


という話を なぜか思い出しました。

category: スポークの話

tb: 0   cm: 7

WH-7850-C24-TLのスポークを交換しました  

今日もホイー(以下略)。
DSC04973msn.jpg
びふぉー
DSC04975msn.jpg
あふたー
7850チューブレスホイールの前輪のスポークを、
番手違いのものに総交換しました。

なぜこんなことをしたのかについて。
「スポーク量」という考えがあるのですが、
ここに書いたことは無かったと思っていたら
そんなことは無かったぜ(→こちら)。
ハブとリムの間に存在するスポークの総量の、
組み換え前後の比や 後輪の場合の左右比を
スポークの量で見るという考えです。

まずは、後輪の場合の左右比について。
長さを無視した スポーク比重(100%なら100とする)と
本数をかけた数字の左右比を元に
スポークテンションの左右差を考えます。
24Hの後輪だとして、
左右同径スポーク左右同数組みであれば
全チャンピで100×12:100×12で1:1、
全コンペで85×12:85×12で1:1となりますが、
半チャンピだと100×12:65×12で 100:65、
約3:2になります。

これが左右同径スポークの左右異数組み(2:1組み)で
もし全CX-RAYであれば 65×16:65×8なので2:1となり、
左右比が大きいので スポークテンションの左右差は相当に小さい、
ということが分かるわけです。
カンパニョーロの最新の少し前のゾンダであれば
左右異数組みに左右異径組みをしているので
もう少し左右比が大きくなります。
また、厳密にはハブの寸法や リムのオフセットの有無などでも
スポークテンションの左右差は大きく変わるので、
スポークの長さや ホイールの組み方を無視した
簡易版のスポーク量の計算は 本当に概算でしかありません。

経験的に、現状のオチョコ量のロード用ハブでは
反フリー側ラジアル組みの左右同径2:1組みで
左右のスポークテンションがほぼ同じ(うっすら反フリー側が低い)
ということが分かっています。
左右異数スポークを手組みでやるのには
リスクが大きいというのが私の考えなので、
左右同数スポークで 左右それぞれのスポーク量を調整する
(フリー側の数値を大にする)には、
スポークの番手(スポーク比重)を変えるしかない、というのが
左右異径組みの理由です。
先ほども書いたように スポーク比重×本数だけのスポーク量は
スポークの長さや組み方を無視しているので、
仮に全チャンピの後輪であってもフリー側ラジアル組み、左右同本タンジェント組み、
左右異本タンジェント組み、反フリー側ラジアル組みで それぞれ
左右のスポークテンションの差が変わることは無視しています。
これはこれで 左右異本組みとして私のホイールに盛り込んでいますが。

次に、組み換え前後の前輪の左右比について。
オチョコの無い前輪だと、
左右のスポークのスポーク比重や スポーク長さは同じです。
なので、スポーク比重と本数の差だけで スポーク量の比較が出来ます。
同じハブとリムで前輪を組むとき、全てラジアル組みするとして
スポーク比重100%のスポークで24H(スポーク量2400)と
スポーク比重85%のスポークで28H(スポーク量2380)と
スポーク比重65%のスポークで36H(スポーク量2340)は
ほとんど同じ重量になります。
スポーク量が ほぼ同じなので。
スポーク量が同じというのは、リムとハブの間に存在する
スポークの総体積も同じということです。
これら3つのホイールは 重量が同じなわけですが
性能も同じかと言えば、違います。
「同じスポーク量であれば スポークの本数は多いほうがいい」
というのが 私の考えです。
そして現実的な範囲では、CX-RAY(スポーク比重65%)の
手組みの前輪のベストな本数は20Hです。
24Hにする必要は無いし(乗り手の体重次第では別ですが)、
16Hは少なすぎます。

CX-RAYの20Hのスポーク量は1300ですが、
これはチャンピオン14番プレーンの13Hに相当します。
経験的に、どう考えてもチャンピオン(またはCXでも同じ)で組んだ
13Hの前輪が まともに使えるとは思えません。
これが、スポーク量が同じなら
本数を多く分割したほうがいいという根拠です。

スポーク本数が少ないホイールの方が空力的に有利、というのは確かです。
CX-RAY20HとCX13Hの前輪は同重量ですが、
CX13Hのほうが空力的には優れているでしょう。
が、剛性的な安定感ではCX-RAY20Hのほうが上、というより
CX13Hは どう考えても危険なので、
空力を軽視するわけではないですが スポーク量の考えから
ある程度以上のスポーク本数を確保するという点では
要素の大小でいうと 小要素です。

じゃあスポーク量1300で、スポーク比重50%の26Hホイールや
スポーク比重10%の130Hホイールがあれば
それがCX-RAYの20Hよりいいのかというと、それはまた違います。
多くの乗り手にとってヌルいと思われないホイールにするために
ある程度は スポークを張りたいわけですが、
スポーク比重があまりに小さいと そこに達するまでに うにょーんを起こします。
冒頭のリンク先の記事でも、スポーク比重50%のスポークがあったとしても
「そんなスポークが実際にあれば うにょーんの発生は避けられませんが」
と書いています。

しっかり張りつつも 降伏点の手前で組み上げられる
スポーク比重であること、という条件を加えれば
65%の丸バテッドはNG、65%の扁平バテッドはOKということが
経験的に分かっています。
サピムの15番版CX-RAYと言える
1.8-(2.1-0.75)-1.8のCX-Superのスポーク比重は
カタログ重量から計算すると約54%(54.01%)ですが、
これが私の張りたいところまで張れるスポークなのかどうかは知りません。
もし カッチリ張れるなら24Hでスポーク量が1296となり
CX-RAYの20Hに対して「同スポーク量で本数が多いのでより良い」
となるわけですが。
たぶんならないという予想があるのと 15番スポークに抵抗があるので
私の常用する範囲での最小スポーク比重のスポークは
CX-RAYを落としどころとしています。


で、シマノの完組みホイールは最廉価モデルを除いて
前輪はリム高に関係なく16Hを採用するという暴挙に出ているわけですが、
ある程度以上のリム高であるならともかく C24とC35については
もし20Hに仕様変更すれば 要素の大小でいえば
メリットのほうが勝ると思われるので より良いホイールになります。
スポーク4本の重量増と空力のデメリットより、
剛性のメリットのほうがどう考えても 上だからです。
フロント16H・リヤ20Hというクソ仕様のおかげで、
C24より のむラボホイール5号のほうが硬いとか走ると言われることが
ほとんどですが、これは比較対象がしょぼいというだけのことです。
ローハイトリムのシマノホイールはフロント20H・リヤ24Hにするだけで
かなり化けると思われますが 意固地に現状を貫いてもらったほうが
私は助かりますので そのままでお願いします。

7850以降のデュラエースの前輪は、
実質の最小スポーク比重である 65%のスポークを採用しているので、
20H仕様にしつつ スポーク量を同じにするということは出来ません。

今回のお客さんの目的は、
ヌルいのでずっと放置していたこの前輪のスポーク量を、
あえて増やして軽量化ならぬ重量化のデメリット以上の
剛性面でのメリットを見込めないかということです。
ハブとリムが16Hなので、スポーク本数を増やして
スポーク量を調整することは もちろん不可能です。
ということは、スポーク比重のほうを いじるしかありません。

DSC04976msn.jpg
というわけで、あえてスポークを太くしました。
こちらのほうが走ると体感できるなら、
スポークの重量増は わりとどーでもいいというわけです。
私見ですが、登りに限定しても たわみが減るので
こっちのほうがいいのではないでしょうか。

組み換え前の状態も、私が点検がてら お客さんの希望もあり
多少増し締めをしたのですが、これと比べると
組み換え前は異常にヌルかった気さえします。
当店に現在、吊るしの範囲の上限程度に張ってある
WH-9000-C24-CLの前輪がありますが、
これの張りを確かめたあとだと 異常にヌルく感じられます。

実は、ここには載せなかったのですが
これの相方の後輪も 去年の12月にスポーク比重をいじっており
お客さんいわく 断然良くなったとのことです。
これのリヤハブは「通し」なので あまり扁平度が大きいスポークは使えませんが、
フロントハブは「引っかけ」なので 上の画像のようなエアロスポークが使えます。

DSC04977msn.jpg
7850のチューブレスホイールの前輪のスポークですが、
ニップルをスポークに通してから加工するという処理をしているので
両端ともがストレートスポークヘッドとなっており、
ニップル単体を回収できない構造になっています。
砂時計みたいなものです。

組み換え後のスポークは お客さんのお持ち込み品ですが、
リム側の端をチューブレス用ニップルに対応するように
加工というか ちょっと工夫する必要があります。
それの準備が去年の時点では足りなかったので
前輪のスポーク交換が出来ませんでした。

リヤハブ用のスポークは、ハブ側の端の処理が違うので
ニップルの回収が可能です。
これ以降のモデルの、グレーや銀の同形状のニップルを
それなりの数 持っているので それらのニップルで特殊スポークを作り、
赤ニップルが閉じ込められた元のスポークは
純正の状態に復帰させる可能性を残すために
そのままにしておきましょうと提案したのですが、
どうしても赤ニップルにしたいということなので
スポークを切ってニップルを回収しました。
赤ニップルの単体入手は 現状では無理です。
とっくの昔にスペアパーツの供給を やめております。

お持ち込みで 余ったスポークがあったので、
グレーニップルでチューブレス用スペアスポークを作り
お渡ししておきました。
リム側の端の処理ですが、

DSC04978msn.jpg
↑このようにすることでチューブレスに対応します。
ストレートスポーク仕様の黒CX-RAYに 同様の加工をすることで、
7850-TLの前輪のスポークの補修スポークが作れるので
このことは 覚えていて損は無いです。
非純正パーツで補修をするなや、とメーカーに言われそうですが
じゃあ純正パーツの供給を切るなやというのが 私の答えです。

category: スポークの話

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DTエアロライト エアロコンプ エアロスピード(コメントのお返事)  

先日組み換えたレイノルズの後輪について、
元のスポークがDTの「エアロスピード」だと書きましたが、それについて
「レイノルズアタックのスポークなのですが。
手元の2015年モデルを見る限り、DTエアロライトではなくて
エアロコンペを使っているように見えます。
少なくともBike24で何度か購入したエアロライトの方が明らかにペラいです。」
というコメントをいただきました。

さっそく調べてみます!
DSC04886amx6.jpg
お客さんに返すために洗浄しておいたハブとスポークです。
ニップルは外周部から回せるタイプなので 使い回しました。

DSC04887amx6.jpg
↑元のスポークです。
断面形状が 四角ならスクエアエアロ、楕円ならエリプティックエアロと大別できますが、
汎用ハブの丸穴に通るスポークであるならエリプティックのほうが
スポーク比重が軽いです。

DSC04888amx6.jpg
はい、スクエアエアロでした。いただいたコメントの通り、
これはエアロスピードではありません。

エアロスピードと サピムのCX-RAYは バテッド部分の公称寸法が
2.3-0.9mmと同じで、形状はどちらもエリプティックです。

ではこのスポークが何なのかについて。
DSC04890amx6.jpg
DT先生に訊いてみましょう。

あっ間違えた、これはサピム先生でした。

DSC04891amx6.jpg
旧DT先生と
DSC04892amx6.jpg
新DT先生です。

DSC04893amx6.jpg
新DT先生の中身です。

DSC04894amx6.jpg
エアロライトを見てみます。

DSC04895amx6.jpg
かなり薄いエリプティックエアロで、
レイノルズのスポークとは明らかに違います。

DSC04896amx6.jpg
寸法は先ほど書いた通りで、首元とねじ山の径は14番、2.0mmです。

DSC04897amx6.jpg
つづいて、エアロスピードというスポークを見てみます。

DSC04898amx6.jpg
スクエアエアロです。

DSC04899amx6.jpg
ちょっと斜めから。角材っぽい感じですね。
このスポークとレイノルズのスポーク、ノギスで測った寸法や
バテッド部分を弾性変形域でたわませた感触が全く同じなので
これがレイノルズのスポーク・・・と言いたいところですが 違います。

DSC04900amx6.jpg
エアロスピードはバテッド部分が2.3-1.2mmですが、
首元とねじ山が15番、1.8mmなのです。
ホイールの組み換えに際してニップルを使い回していますが、
もし あれが15番ニップルであれば
半コンペ(左右とも14番スポーク)は通せません。
また、完組みホイールは一般に 15番スポークを採用しません。


調べたところ、エアロコンプというスポークが
エアロスピードと同じ2.3-1.2mmで ねじ山が14番なので、
先日のレイノルズのスポークはエアロコンプのストレート仕様で
間違いありません。

新DT先生の中にはAERO COMPが無いので、
DSC04901amx6.jpg
旧DT先生も見てみましたが、

DSC04902amx6.jpg
こちらも エアロスピードしかありませんでした。

DTのメーカーサイトを見たところ、
264mm64本のカタログ重量がありましたので、
ついでにスポーク比重(1mm0.0257gで100%)を調べてみました。
エアロライト   278g→64.02%
エアロスピード 355g→81.75%
エアロコンプ  380g→87.51%
となります。
14番バテッドスポークは、丸バテッド・扁平バテッドにかかわらず
だいたいどこのメーカーも 約65%と約85%の2種類になります。
もしスポーク比重85%の首折れエアロスポークが安定供給されたら
半コンペではなく 例えば半エアロコンプを のむラボホイールに採用するのか、
という疑問が湧くかもしれませんが、これについての答えはあります。
採用しません。理由はメシノタネコードでござる。

コメントありがとうございました。
先日のアタックの記事のスポークも
エアロライトからエアロコンプに訂正しております。

category: スポークの話

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スポークの磁性について(コメントのお返事)・後編  

ひとつ前の記事の続きです。
DSC08714amx5.jpg
星スポークの スターブライトとステンレスを買ってきました。
さっそく試してみます。

DSC08702amx5.jpg
磁石にくっつきます!
往時のスターブライトほどではないですが、
DTよりは くっつきます。
というわけで、いただいたコメントの
「星のスポークは磁石につきます」という点は
正しいということになりました。
お詫び申し上げます。

DSC08705amx5.jpg
つづいてステンレスですが、これもかすかに磁石にくっつきます。
そっと注意深く釣れば画像の状態にもなります。
これは おかしい。
なぜかというと、かつてのステンレスは磁石に対して
全くといっていいほど反応しなかったからです。

今回買った2つのスポークの、磁石への付きやすさをまとめると
・スターブライト 激強→強
・ステンレス   ゼロ→弱
と変化しています。

さらにややこしいことに、
DSC08709amx5.jpg
DSC08708amx5.jpg
どちらもスポークヘッドの印字がHマークになっているのです。
新品の束同士であれば、スターブライトとステンレスは
色が若干異なるので判別は可能ですが、スポーク単品の状態や
ホイールに組んでから汚れてしまったりすると判別が出来なくなります。

じゃあ今まで私がクソスターブライトと呼んでいたのは
今回仕入れたステンレスと同じものかというと、それもまた違います。
Hマークで磁石に無反応なスポークが存在したのは間違いないからです。
何度も現認しています。
では、それは「☆マークの旧ステンレスの性質で Hマークのもの」だということにすれば
解決するかというと、解決しません。

なぜなら、以前に Hマークのスポークで
磁石に無反応なものがあるという記事を書いたときに
「あるショップでスターブライトとして買ったスポークが磁石に全く反応しないのですが、
これはスターブライトでは無いのでしょうか?」という
コメントをいただいたことがあるからです。
ここから考えられる可能性は
・磁石に無反応なHマークのスターブライトが実在する
・そのショップがHマークのステンレスを
スターブライトと間違って(あるいは偽って)売った
の2つです。ああ ややこしい。

これについて私ではなく ある同業者が 星スポークに問い合わせした内容ですが、
Hマークはスターブライト、☆マークはステンレスであることが
圧倒的に多いものの100%ではないらしく
Hマークのステンレスは実在し(←今日買ってきました)、
☆マークのスターブライトも実在するそうです。
(私は☆マークのスターブライトというのは現認したことがありませんが
昔は間違いなく確実に☆マーク=磁石に無反応なステンレスでした)

この話は1年ほど前のことなので
ここでいうステンレスは、磁石に無反応な旧ステンレスではないはずなので
スポーク単品での磁石による確実な判別は困難です(一応つくので)。

スターブライトの性質の良さを認める(実際 昔は使ってました)としても、
スポークヘッドの印字の管理が確実になされていないことと
スターブライト・ステンレスともに 明らかに昔とものが違うということで
ちょっと不信感がぬぐえません。
今日買ったスポークのどちらもがHマークなのには本当に面食らいました。

ステンレスを一切仕入れないようにすれば
混在は避けられるじゃないか、と思われるかも知れませんが
「スターブライトとして買ったスポークが磁石に対して無反応」
という例があることと、
「☆マークのスターブライトも存在します」というのが
(人づてに訊いたので100%確実なソースとは言えないかも知れませんが)
公式の回答だというのであれば、
やはり お客さんに対して出すのには不安があります。

ひとつ前の記事で書いていませんでしたが、
ご指摘のコメントありがとうございました。
今回のこれがきっかけで 知ったこともあります。

DSC08710amx5.jpg
↑これはCNスポークの ION ゴールドというカラーのものですが、
このスポーク、磁石にほぼ無反応です。

DSC08712amx5.jpg
銀のスポークと並べないと金色っぷりが分かりません。
これはハブ・スポーク・ニップル・リム全てゴールドのホイールを組むのに
使ったときの余りですが、余ったのが補修用となったので ちょうど良かったです。
なぜなら、このスポーク、非常によく首とびを起こすのです。
私の友人のホイールですが 何度交換したか知れません。
もし のむラボホイールが この頻度でとんでいたらエライことになります。
DTのコンペティションは、お客さんにも私にも そういう手間をほとんどかけないことが
経験上分かっているので、入手性のみで選んでいるわけではありません。

この金スポークは色だけで選んでいますが。
とびやすいのは元々分かってたけど こんなにとぶとは思わなんだ。

DSC08713amx5.jpg
磁石に ほぼ無反応です。
ほぼ、というのはもっと強い磁石であれば
スポークの首折れ加工付近のみ かすかに磁性を示すからです。

category: スポークの話

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スポークの磁性について(コメントのお返事)・前編  

先日、星のスターブライトについて書きましたが、
それについてコメントをいただきました。

「星スポークの事を、手元になく、調べもしないのに
いつも悪く言う野村さんに腹を立てていましたが、
今回の記事で少し気が晴れました。ありがとうございます。
星スポークは磁石につきます。糞呼ばわりは、不当評価です。
半○○に多用されるDTのスポークは磁石につきませんので、
野村さんの定義では糞スポークです。
入手性を優先して糞スポークに目を瞑るのは、
短いスポークを使う組み手と同類ですよ。」

ということですが、まずスターブライトの磁性について
もう一度ちゃんと書きます。
星のスポークで スポークヘッドが
☆マークなのがステンレス、
Hマークなのがスターブライトですが、
ステンレスは磁石に対して全く反応しません。
それに対してスターブライトは、私の知る限り
最高に磁石に強くくっつくスポークであったのです。
で、15年以上前には この2つをとくに区別せず使っていたのですが
そのうちステンレスのほうが 明らかに
スポークとびが激しいということに気が付きました。
そして星に限らず、サピムやDTのスポークも
磁石にくっつく性質を持っていて スポークとびが少ないことから、
経験的に「スポークの磁性と首のとびやすさには関係がある」ということを知りました。

ところがある時期から、Hマークのヘッドでスターブライト名目なのに
磁石に全くくっつかないスポークを星が出したものですから
「それをスターブライトの名でやるなよ まぎらわしい」となったわけです。
ソースは(→こちら
もちろん、何らかの原因で脱磁したということはありえないでしょう。
10年以上前に私が組んだホイールのスターブライトは磁石にくっつくので
磁性は 日常的な使用範囲では「失われる性質」ではないはずです。

星スポークのことを、手元にないのにということですが
旧スターブライトのことであれば 使い切ってしまったものの
磁性だけでなく 組んだ感触も含めて当時からよく知っています。
知りもしないのに非難しているわけではありません。
非難されるべきはスターブライトという同じ名前で
ある時点から別のものを作っている 星スポークのほうではないでしょうか。

次に、DTのスポークは磁石に付かないということですが
これは明確に誤りです。
旧スターブライトほどではないですが 磁石につく性質を持っています。
よって私の定義においてもクソスポークではありません。
DSC08681amx5.jpg
CX-RAY(スポークであれば何でもいいのですが)に
キャットアイのホイールマグネットを付けたものを用意しました。

DSC08683amx5.jpg
このマグネットは 振れ取り台にいつも貼り付けているもので、
先ほどのリンク先の記事で使ったものと同じものです。

DSC08684amx5.jpg
コンペティションを磁力で釣りました。
磁石がくっつきます。
調べもせずに くっつかないとかいうのはやめましょう。

DSC08686amx5.jpg
こういう風にすると、4本くらいはくっつきます。
画像は3本ですが。

DSC08687amx5.jpg
しかし、マグネットをちょっと振ると
耐えきれずにバラバラと落ちます。

DSC08688amx5.jpg
横から当てても、3~4本が限界です。

DSC08689amx5.jpg
DSC08690amx5.jpg
DSC08692amx5.jpg
つづいて、サピムのレースです。
3枚目の画像はスポークヘッドではなくねじ山側で釣っているので
有利に思えるかもしれませんが、実際は あまり変わりません。
コンペティションよりも磁石がくっつきます。
ただ、これも旧スターブライトほどではありません。
このことから、磁性からの経験則でいえば
コンペティションはレースよりも首がとびやすいということになるのですが、
実際はDTとサピムで顕著な差を感じないので
コメントにもあるように入手性を優先して
私は普段 コンペティションを主に使っています。
クソスポークだということに目を瞑っているわけではありません。
サピムにしろDTにしろ、決してとばないわけではありませんが、
私が組んだホイールで しょっちゅうスポークがとべば
過去に組んだホイールの修理だけで面倒なことになります。
お客さんが嫌な思いをするのが嫌なのは もちろんですが、
私自身もとびやすいスポークを使いたいと思う理由がありません。
そう考えたときに除外されるのは 残念ながらDTではなく星のスポークです。

DSC08657amx5.jpg
コンペティションとレースですが、この2つとも
上の画像のように フルクラムのニップルを呼ぶためのマグネットが、
柄の部分は磁石ではない単なるおもりなのに
横向きに貼りつくほどの磁性はありません。
丸断面スポークとしては 旧スターブライトが私の知る限り最強です。

DSC08696amx5.jpg
つづいてCX-RAYです。
CX-RAYは、スポーク比重的にはサピムのレーザーのバテッド部分を
平たくつぶしたものに相当します。
その加工のせいなのか、レーザーやレースと比べて
明らかに磁石の付きが強くなっています。
丸スポークだとマグネットに対して「線」で接触するところ
扁平スポークだと「面」で接触するから磁石が付きやすい、
と思うかもしれませんが

DSC08697amx5.jpg
それだと この方法でも たくさん釣れる説明にはなりません。
「扁平加工されたスポークは
同比重の丸断面スポークより磁石がくっつきやすい」というのも
どうやら間違いないようです。

DSC08699amx5.jpg
つづいて、星のエアロスターブライトIII型です。

DSC08700amx5.jpg
DSC08701amx5.jpg
旧スターブライトのくっつきやすさに 扁平加工がプラスされて
すごいことになっています。

この記事には続きがありますが
それを書くのに必要な 確実なソースが いま手元に無いので
しばらくお待ちください。

コンペティションとレースでは コンペティション(DT)を選び
エアロライトとCX-RAYでは CX-RAY(サピム)を選ぶ理由ですが、
DTの問屋さんが チャリ通の途中にあって寄れるから、だけではありません。

銀コンペティション2.0の取り扱い長さは258~306mmで1mm刻み、
銀レース2.0の取り扱い長さは254~306mmで2mm刻み
(ただし258~266mmまでは1mm刻み)となっており
700Cのたいていのホイールに必要な長さでは
レースが2mm刻みの取り扱いになっているからです。
また、レースはコンペティションよりもカット可能な長さが短いので
ある程度 細かく在庫を持つ必要があります。
これは、レースのほうが スポーク比重がかすかに軽いということでもありますが
フリー側に12本使う程度では有意な重量差にはなりません。

これが軽量エアロスポークの場合、
銀エアロライトは270・280・290・300mmの4種類だけで
マイナス10mmまでは確実にカットできるので
260~300mmに対応しているという展開です。
銀CX-RAYだと206~306mmの2mm刻みという展開で
マイナス6mmまでは確実にカットできるようになっています。

国内代理店の在庫の仕方の違いにより
2.0-1.8-2.0丸バテッドスポークは DTのほうが、
2.0-(0.9-2.3)ー2.0扁平スポークは サピムのほうが
使いたい長さが無いというリスクが少ないので
「半○○」にはコンペを選んでいます。


追記:
冒頭のコメントをいただいた方とは別ですが、
過去に何度も 複数の方から
ステンレスと磁性の関係について
たいへん有用な知識をいただいております。
この記事にもいただきました。
この場を借りてお礼を申し上げます。

category: スポークの話

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