のむラボ日記

自転車工房「のむラボ」のブログです

サピムのニップルについて  

サピムのCX-RAYには 14mm長さのアルミニップルが付属していますが、
私は いくつかの事情から それを使いません。
DTの12mmアルミニップルを使っています。
DSC07073amx6.jpg
で、最近CX-RAYのニップルの袋が白から黄色になったのですが
よく見るとこれ、12mm長さになっています。

DSC07074amx6.jpg
↑白い袋とは これ

DSC07075amx6.jpg
長さが違います。
まあ、どっちみち使いませんけど。

DSC07076amx6.jpg
DSC07077amx6.jpg
それでも 捨てはしないという性分。
12mmニップルは これと混ぜたくないので 別の容れ物を考えます。

category: スポークの話

tb: 0   cm: 0

カンパニョーロとフルクラムのアルミスポークの刻印について  

カンパニョーロとフルクラムのアルミスポークですが、
DSC06955msn.jpg
スポークヘッドの端に線で刻印が入れてあります。
長手方向を水平と見て 縦なら縦、横なら横として
その本数と合わせて 例えば「縦3本」などと呼ぶことにします。
上の図は縦3本の実例です。
この刻印ですが、カンパニョーロ・フルクラム問わず
同じ刻印であれば 同じ長さ
という法則があり、
いまのところ例外はありません。

また、フロントスポークは年代やモデルによっては
リヤ左と兼用になっている場合があります。

DSC06913msn.jpg
↑これは縦3本で リヤ左のスポークです。
赤はレーシングゼロの赤、銀はレーシング1の銀ですが
黒はレーシングゼロの黒か シャマルウルトラの黒か判別が出来ません。
縦3本なら同じ長さです。

なので シャマルウルトラのリヤ左の黒スポークが縦3本であったなら、
縦3本の赤または銀のスポークで おしゃれ泥棒が出来るということになります。

DSC06914msn.jpg
↑これは縦4本です。
画像では銀スポークの縦線の長さが違いますが、他の色と全く同じ長さです。

DSC06911msn.jpg
↑これはリヤハブがメガG3化する以前のシャマルウルトラのスポークで、
初代の金と その次のグレーです。
当店では これらは長さではなく 色で分けているので
縦3・4・5本が混在しています。
3種類あるということはフロントとリヤ左は 同じ長さではありません。

グレーの縦4本にドットが打ってありますが、少なくとも長さに関して違いはありません。
同じ長さでスポークのねじ山始まりが違う、という例もあり 後述しますが、
それに関しても全く同じでした。

DSC06906msn.jpg
こういうケースに入れていますが、
DSC06908msn.jpg
フロントスポークの長さが
DSC06909msn.jpg
リヤ右未満で
DSC06910msn.jpg
リヤ左以上なので、ケースのフタに貼ってある
フロントスポークと同じ長さを引いた紙に当てることで
同じ→フロント、スポークが長い→リヤ右、スポークが短い→リヤ左と
判別が出来るようにもしてあります。
ちなみに、縦5本はメガG3以前の 旧G3のフリー側なので、
現行のメガG3および2:1で合う長さはありません。
私が おしゃれ泥棒をするときに フロントとリヤ左でするのは
この刻印が合う可能性を高くしたいからというのもあります。

DSC06890msn.jpg
先日、レーシングゼロカーボンで おしゃれ泥棒をしましたが
レーシングゼロカーボンはフロントとリヤ左のスポークが
同じ長さ(縦4本で同じ刻印)だったので
従来のレーシングゼロの赤スポークが使えました。

で、ひとつ前の記事のレーシングゼロナイトですが、
DSC06926msn.jpg
横2本です。

DSC06915msn.jpg
これはシャマル ミレのフロント(上の画像)と同じ長さです。
ややこしい話になりますが、この横2本は「横並び横2本」と呼ぶことにします。
フロントベアリングを小径化した関係で ハブフランジも小径になり、
従来よりスポークが少し長くなっています。

ここで、レーシングゼロカーボンも小径フロントベアリングなのに
スポークが横並び横2本ではなく 縦4本なの?
という疑問が湧いてくると思いますが、これについて書いておきます。
フルクラムのアルミスポーク・ニップルの供給は
「フロントスポークのみ一式16本」
「リヤスポークのみ一式21本」
「スポーク1本とニップル1個」
「ニップルのみ10個」
という4つの形があります。

このうち「フロントスポークのみ一式」の品番は
レーシングゼロ(アルミリム)と レーシングゼロカーボンで同じですが、
「スポ-ク1本とニップル1個」になると違う品番になります。
なぜかというと、

DSC06935msn.jpg
DSC06937msn.jpg
ニップルが違うからです。
スポークは同じ縦4本なので スポークのみの品番は同じですが、
ニップルとセットになると品番が違ってきます。
上の画像、なべネジの頭のように丸くなっているほうが
レーシングゼロカーボンのニップルです。
この違いと リム内径がアルミリムと違うことによって
レーシングゼロカーボンのフロントスポークは 小径ハブながら
横並び横2本ではなく 縦4本となっているわけです。

話を戻しますが、レーシングゼロナイトでおしゃれ泥棒をする場合、
フロントスポークは 横並び横2本の赤スポークを
用意する必要があるわけですが、そんなものは存在しません。
もちろん、従来のレーシングゼロの赤スポークで長さが合うものもありません。
こりゃ困った。

というわけで 色々調べたのですが、
レーシングゼロ コンペティツィオーネのスポークの品番が
旧来から一新されていることに気が付きました。
ハブとリムの寸法が同じなのに、スポーク長さが違います。
これはどういうことかと思い 現物を取り寄せました。

DSC06919msn.jpg
コンペティツィオーネの フロントスポークのみ一式16本です。
刻印は 斜め3本です。1本だけ赤いコスメチックスポークですが、
当然 他の15本と同じ長さなので、法則通り「同じ刻印なら 同じ長さ」となります。

DSC06922msn.jpg
コンペティツィオーネの リヤスポークのみ一式21本です。
斜め2本の刻印が7本で 左スポーク(1本が赤スポーク)、
縦並び横2本が14本で 右スポークです。

DSC06925msn.jpg
↑こいつのせいで横2本という表現を さらに区別する必要が出てきました。
この縦並び横2本と レーシングゼロナイトのフロントの横並び横2本は
全く違う長さです。

DSC06938msn.jpg
DSC06927msn.jpg
小径フロントハブの新旧スポークを比べてみます。
いずれも画像上が横並び横2本、下が斜め3本です。

DSC06928msn.jpg
スポーク全体の長さは全く同じなのですが、

DSC06929msn.jpg
ねじ山部分の長さが異なります。

DSC06930msn.jpg
実は、新スポークは「スポーク1本とニップル1個」
または「ニップルのみ10個」の形で注文すると分かるのですが
ニップルも新しくなっていて ねじ山の長さも それに対応しています。

DSC06931msn.jpg
新ニップルは、ゆるみ止めのナイロンが埋め込まれています。
2つ前の記事で リムから異物が出るとあるのは、ちぎれたこれのことです。
これによって ニップルのねじ山始まりの深さも変わっていて、

DSC06932msn.jpg
新スポークをニップルのねじ山に突き当たるまで突っ込んだ場合、
DSC06933msn.jpg
↑旧ニップル
DSC06934msn.jpg
↑新ニップル
歯周ポケットの深さに違いがあります。
これらの事情から、斜め3本の新スポークと
旧ニップルとの組み合わせは可能だと判断し、
斜め3本の赤スポークを レーシングゼロ ナイトのフロントに使いました。

DSC06939msn.jpg
同様に、リヤ左スポークも比べました。
上の画像 赤いほうが新スポークです。

DSC06940msn.jpg
こちらの場合は「スポーク長さは違うものの
ねじ山始まりの位置は同じ」ということになっていました。

DSC06941msn.jpg
新スポークと旧ニップルで、ねじ山を使い切るところまで 回してみました。
実際は、この状態になるまで張ることは不可能です。

DSC06942msn.jpg
組み上がりの状態だと このくらいでしょうか
(これでも相当に張っていると思いますが)。
新ニップルは旧ニップルよりも 全長が長いので、
上の画像で はみ出しているところが ゆるみ止めにかかるはずです。

カンパニョーロ・フルクラムのアルミスポークは、
1本だけガクガクにゆるんでくるという症状を(私は)見たことが無いので
ゆるみ止めは はっきり言って不要です。
固着ニップルが余計に固まって回しにくくなるだけだと思うのですが。

それはともかく、こちらの場合はスポークの実効長さが同じなので
フロントと事情は違うものの 新スポークと旧ニップルの組み合わせが
可能だと判断しコンペティツィオーネのリヤ左スポークを ナイトに使いました。

DSC06944msn.jpg
↑実際にナイトから外したリヤ左スポークと、新リヤ左の赤スポークです。

「フロントまたはリヤスポークのみ一式」から
早速 コスメチックスポークを抜いて大丈夫なのか、と思われそうですが
問題ありません。この記事の趣旨には大いに問題がありますが。

DSC06916msn.jpg
DSC06917msn.jpg
↑斜め3本(新フロント)と 斜め2本(新リヤ左)の
「赤スポーク+ニップル1個ずつ」を 別に仕入れてあるからです。
これについては、問屋さんからも
「どうせロクな使い方をしないんだろう」と
看破されてしまいました。カンパだけに。

DSC06958msn.jpg
初代レーシングゼロのネクタイスポークでは
縦線とも横線ともつかない感じの刻印でした。
一応、縦1本と縦2本ということにしています。

DSC06997amx6.jpg
ネクタイスポークでなく、メガ右フランジになる前の
2:1のフリー側は横1本です。
このスポークのみ「スポーク4本とニップル4個」という販売単位になっています。
このモデルが最新だった往時は そういう販売単位だったという名残です。

DSC06956msn.jpg
どの品番のスポークがどの刻印なのかは 調べが付いております。
例えば 縦4本なら上の図の 上から
レーシングゼロ フロント スポークブラック01
レーシングゼロ フロント スポークレッド01
レーシング1 フロント スポークシルバー01
ホイール 105 シャマル ブラック
という意味になりますが、刻印は全て縦4本なので 長さは同じです。
そして、黒スポーク同士に関しては
レーシングゼロとシャマルウルトラを 見た目で判別することはできません。

category: スポークの話

tb: 0   cm: 0

マヴィックの第4のスポークについて  

お客さんから キシリウムプロエグザリットをお預かりしました。
DSC05940amx6.jpg
にもかかわらず この記事の表題は
「キシリウム プロ エグザリットさん」では ありません。
まずは そちらの趣旨の内容から。
後輪はリムが反フリー側にガッツリ寄っていました。
どこのスイスのベラチは忘れましたが、海外通販で買ったそうです。
前輪も 後輪ほどではないものセンターずれあり、
新品で未使用なので リムの反りやスポークの曲がりを疑う必要が無いので
作業そのものは それほど手間ではありませんでした。

ところで お客さんが なぜこのキシリウムを買ったのかというと、
「現状 キシリウムの高いモデルをよく分からんけど買った場合
後輪はキシリウムという名のR-SYSが付いてくる、けど
フルアルミスポークの後輪こそがイソパルス(フリー側ラジアル組み)であり
元祖キシリウムの流れを汲んだ正統派後継モデルだ!」
というようなことが書いてあるブログが どこかにあり(すっとぼけ)
それを読んだから らしいです。
まあR-SYSが悪いとまでは言いませんが、
R-SYSの後輪をキシリウムナントカっちゅう名前で売るのは
ちょっと違うじゃあないかということです。



つづいて、表題の趣旨の内容を。
前輪の画像を撮ってませんが、
前輪は 先日のアルミスポークの記事でいうとマヴィックの2のスポーク、
後輪はフリー側が4のスポークで 反フリー側が2のスポークです。
DSC05941amx6.jpg
2のスポークは フルクラムの供回り押さえ工具のスリットAが ちょうど合います。
この工具は押さえの幅が広いので スポークのねじれが起きにくく、
私は ホイールやスポークのメーカー問わず
これが合うなら これを使うことが多いです。

DSC05942amx6.jpg
ところが、4のスポークは スリットAに入りません。
なので他のスポーク押さえで 合うものを使いました。

スポークのバテッド部分のサイズですが、
ノギスの実測で 2のスポークが4.0/1.9mm、
4のスポークが4.2/2.2mmでした。
先日、4のスポークは 2のスポークに対して
断面形状が正方形に近いと書きましたが、
マヴィックは基本的に 左右異径組みをしないので
(「R-SYSの後輪」はスポークの材質そのものが違うので
異径組みの考えに含みません 一応)、
4のスポークは 2のスポークより左右に厚いぶん 前後は短いと
過去に触った先入観から そう書いてしまいました。
記事中に4のスポークだけ画像が無いのは
その時点で現物が当店に無かったからです。

実際はどちらの径も かすかに増しているので
4のスポークは 2のスポークよりスポーク比重が大きいことは間違いなく、
フリー側4のスポーク、反フリー側2のスポークの後輪は
かすかながら 左右異径組みということになります。

しかも、4のスポークと2のスポークの見分け方も見つけました!
DSC05944amx6.jpg
↑4のスポークは、バテッドの端が尾ひれっぽくなっています。

DSC05947amx6.jpg
H1STは、スポーク幅が2.35mm以内なので
測定子の底に当たるほうの数字で

DSC05945amx6.jpg
DSC05946amx6.jpg
250~260というところです。
画像は、反フリー側にずれていたリムをフリー側に寄せたところ
吊るしの平均より うっすらっ張った状態になったので264弱になっています。

260にしたければ センター出しをフリー側の締めだけでなく
かすかに反フリー側のゆるめを混ぜればいいのですが、
わざわざゆるめる必要もないと判断したので フリー側の締めだけにしました。

このブログで書いてある アルミスポークの第1STは、
私なりに調べた吊るしのホイールの平均値です。
だから書きたくねーんだよ
新品で それより明らかに低ければ
お客さんに了解を得たうえで張りますし、
リム交換で一旦バラす際には 第1STを採っておきます。

フルクラムやマヴィックの、アルミスポークの
第1STと第2STとの関係を示す山なり曲線は
明らかにされていませんので、
第1STを作業上のスポークテンションとするしかありません。

DSC05958amx6.jpg
↑マヴィックのアルミスポークについての表を 作り直しました。
スポークの寸法も調べ直しています。
先日の記事の表は こちらに差し替えておきます。

4のスポークは2のスポークより正方形に近いという
誤りがあったのを消すことになりますが、
間違ってたことは こっちに書き残したので お許しください。

4のスポークのH1STですが、260くらいというのは知っていたのですが
記事を書いた時点で店内に確実なソース(現物)が無かったので
「?」としていましたが、あれから数本で確認が取れたので260としておきます。
後輪のフリー側と前輪、ラジアル組みと4本組み相当(←キシリウムディスクの前輪)で
スポークの種類が同じであれば 同程度のH1STになります。

DSC05959amx6.jpg
↑例として、これは初代キシリウムSSCのリム穴間を切削した
初代キシリウムSLですが、
全てのスポークが 1のスポークで(当初はそれのみ)
フロントと リヤ右の平均がそれぞれ308と311でした。

category: スポークの話

tb: 0   cm: 0

アルミスポークについて  

アルミスポークについて書いてください、というコメントを多数いただいたり
または 実際に来店された方から言われたりしています。
少なくとも、どこかの目端の利かない奴(すっとぼけ)が ほざいている
「スチールスポークと比べて ほぼ意味が無い」という主張は明らかに誤りです。

それの根拠として「レーシングゼロを ちょっと使ったら
スチールスポークで出せない硬さのホイールであることは明白やろ」という
体感的な話をすれば終わりのような気もしますが、
そういうのではなくて のむラボ的ホイール観に当てはめれば
どうなるかという話を書いていきます。

「第1のスポークテンション(以下 第1ST)」
「第2のスポークテンション(以下 第2ST)」
「スポーク比重」
「ビーカー論」
これらをアルミスポークで当てはめればいいのですが、
ビーカー論の話(今まで一切触れたことは無い)は長くなるうえ
アルミスポークに直接関係が無い話なので それは後日にします。

まず、第1STについて。
第1STとは、スポークテンションメーターに出ている
「メーターの読み」の数値そのもののことです。
もちろんのむラボ用語です念のため。

第2STとは、第1STを換算表に落とし込んだときの
スポークテンションの概算値で、一般にスポークテンションと言えば
これを指します。

そんなヤヤコシイ言い方をしないで 第1STは「メーターの読み」、
第2STは「スポークテンション」で ええやんけ、
というのは もっともなご意見ですが
第1STもニップルの締めゆるめで増減する、
スポークテンションを数値化したものの一種であり
スポークテンション(←第2STのこと)だけで
ホイールの硬さや駆動剛性を論じることはできません。
なぜかについては これから書きます。

アルミスポークは、レーシングゼロの
きしめんエアロ(バテッド部分がどこも同形状のスクエアエアロ)を使います。
これは、決して恣意的な結果に導くために都合がいいからとか
そういうのではありません。
純然たる観測的事実に対して 私の考えを述べるために、
観測的事実のほうのぶれが 最も少ないアルミスポークだと考えられるからです。
その点、ネクタイスポークはダメです。
それについては もっと後で書きますが、
まずは マヴィックのアルミスポークを選ばない理由について先に書いておきます。

DSC05958amx6.jpg
マヴィックのアルミスポークは、少なくとも 4種類はあります。
私が不勉強なだけで もっとあるかもしれません。
上の図の「H1ST」は、今は無視してください。

まず1のスポークですが、初代キシリウムSSCからある形状で
バテッド部分の端に 魚の尾ひれのような筋があり
前後幅が最も大きなタイプになります。
2のスポークは、1より前後幅が小さくバテッドの境目に筋がないタイプです。
3のスポークは、丸断面のスポークです。
4のスポークは、2によく似ていますが扁平率が違います。

初代からESまでのキシリウムは 工具をかけるスプラインの部分が
小さいニップルを採用していますが、
R-SYSのニップルは それよりも大径のスプラインとなり 工具も違います。
R-SYS以降のキシリウムはR-SYSと同サイズのニップルとなっていて、
いずれの場合もスポークの製造時に封入された形になっているので
スポーク単体での重量を測ることができません。
なので正確なスポーク比重が求めにくくなっています。
これが、アルミスポークの話をするのに
マヴィックのスポークを採用しない理由です。

DSC05891amx6.jpg
↑1のスポーク
DSC05893amx6.jpg
↑2のスポーク
DSC05892amx6.jpg
↑3のスポーク

4のスポークについては(→こちら

DSC05896amx6.jpg
つづいて、第1STと第2STの関係について。
以前に書いたこと(→こちら)(→こちら)と重複しますが、軽く触れておきます。
第3のスポークテンションについては、
核心には触れませんが ビーカー論の話のときに書きます。

もし「第1STが2倍になると 第2STも2倍になり、
第1STがn倍になると 第2STもn倍になる・・・」というのであれば、
第1STと第2STの関係をグラフにすれば比例直線になります。
が、実際には そうはなりません。なので 換算表が必要なのです。
リンク先の記事で書いていますが、
DTやパークツールのテンションメーターは
換算表に対してキャリブレーションしたものであり
個体の誤差は無いことになっています(パークツールは やや怪しい)。
ホーザンでは、テンションメーターごとの誤差を認めたうえで
メーターごとに換算表を付属させています。
例えば私のホーザンでは、14番プレーンの丸スポークで
第1STが130を示したときに 第2STは1000Nということになっています。
第2STは各々の計器が正確なら同じ値になりますが、
第1STはテンションメーターのメーカーが違えば全く違う数値になりますし、
同じ(ということになっている)製品ごとでも かすかな誤差があります。

これ以降、上の図にもあるように
ホーザンのテンションメーターの第1STを H1STと呼ぶことにします。
DTならD1ST、パークツールならP1STでいいでしょう。
同じスポークを測ったとき、H1STとD1STとP1STの数値はバラバラですが
各々の換算表に落とし込んだときの第2STは同じになる、ということです。

DSC05874amx6.jpg
私のホーザンのテンションメーターの換算表です。
先ほども書きましたが、ホーザンにとってのH1STは
メーターの数だけあるということになっています。

DSC05876amx6.jpg
第1STと第2STのグラフです。
私が書いた図と横軸・縦軸が逆なので 曲線の反りも逆になっていますが、

DSC05878amx6.jpg
裏から光に透かした こっちの図だと同じになります。
DTの換算表がこっち(横軸 第2ST・縦軸 第1ST)なので
そう描くのが癖になっています。
今回の話とは関係が無いですが、応力-ひずみ曲線の反りと似た
形になるほうで見たほうが色々イメージしやすいというのも理由です。

DSC05877amx6.jpg
具体的な第1STの数値は こんな感じです。
ホーザンのテンションメーターは 13番・14番・15番のプレーンスポークの
第1STについて表記があるだけで、
バテッドスポークの数値は分かりません。
なので、これでコンペティションやCX-RAYを測ることはできません。

DSC05879amx6.jpg
こちらは、DTのグラフ(チャンピオン14番プレーン)になります。
DSC05880amx6.jpg
数値だけの表もあります。
私がまず やったことは、D1STとH1STの対比表を作ったことです。
具体的に書くと、例えば あるコンペティション(14番のほう)の
D1STが2.00を示したとします。
DTの換算表によれば D1STが1.96のときに第2STが1200N、
2.04のときに1300Nということなので
このコンペの第2STは1250Nくらいだということになりますが、
それをH1STで見ると134を示します。
ホーザンの換算表によれば 第2STが1300Nの14番プレーンが138、
15番プレーンが126なので だいたい実状とも合います。
というのを普段使うスポークで細かく調べた
「バテッドスポーク用のH1STの表」というのを作ってあるので、
ホーザンのテンションメーターで
バテッドスポークを計測することができるようにしてあります。
サピムのスポークについては、同じ断面寸法のDTのスポークと
全く同じものだと仮定して、DTの換算表からH1STを求めています。
プレーンスポークのリーダーとチャンピオンは
ほぼ同じということでいいのですが、
CX-RAYとエアロライト、レースとコンペティションも同じと見做しています。
実は、レースは1.8mmの丸バテッド部分がコンペより明らかに長く
スポーク比重の端数に現れるくらいにはスポーク比重も違うのですが
レースのD1STないしH1STをコンペと同じだとしても
ホイールを組むうえで問題は無いと判断しています。
レーザーとレボリューションについては、
普段あまり使わないので これらのスポークでホイールを組む際は
DTのテンションメーターを使っています。
H1STを求めるのは非常に面倒なので。
その用途を除いて、DTのテンションメーターは
H1STを調べるとき以外には使いません。

DSC05881amx6.jpg
ひとつ重要なことを。
DTの換算表のD1STは、スポークの左右方向から測定子を当てた数値です。

DSC05882amx6.jpg
(疑似エアロライトの)CX-RAYで、0.38弱と出ました。
エアロライトは0.37で1000N、0.41で1050Nなので
第2STは 1000Nちょっとだということになります。

DSC05883amx6.jpg
DSC05884amx6.jpg
前後方向から当てたところ、数値が2.19と跳ねあがりました。
こちらは換算表で使う数値ではありませんが、
「エアロライトのD1STが左右方向で0.38のとき、前後方向だと2.19」
というような数値も 実は細かく採っています。

理由は後で書きますが、H1STは 基本的に前後方向の数値を使っています。
ちなみに このスポークの「前後方向の」H1STは130です。
以下、とくに断りが無い限り H1STの数値は前後方向で測ったものになります。

あとで触れますが「扁平スポークの半径が大きい側で測ると
小さい側で測るより 大きな数値が出る」というのを覚えておいてください。

DSC05897amx6.jpg
13番・14番・15番プレーンスポークの第2STが
1000Nのときの H1STとD1STをまとめました。
丸スポークは左右方向・前後方向など どう測っても第1STは変わりません。

この第1STの多寡ですが、ホイールの体感上の硬さや
駆動時のかかりの良さを数値化していると考えられます。


前後方向・左右方向それぞれの変形しにくさを数値化したものなので、
例えば14番プレーンの1000NをD1STで表現すると
左右方向の変形しにくさ2.19 前後方向の変形しにくさ2.19で、
1000Nちょっとのエアロライトは
左右方向の変形しにくさ0.38 前後方向の変形しにくさ2.19と
表現できるのでは、ということです。

最も単純なホイールとして、ラジアル組みの前輪で考えると
13番プレーンで H1STが155の前輪と
15番プレーンで H1STが116の前輪では
スポークテンション(←第2STのことです)は同じであるものの
乗った感触や モガいたときのたわみは
前者のほうが硬く、たわみにくいことは間違いありません。

これがもし「第1STに関係なく 第2STが同じでさえあれば
ホイール剛性は同じ」であるとするなら、
スポークは うにょーん(伸張方向の塑性変形)を起こさない範囲で
ひたすら軽いものにすれば良いということになります。

もっと極端な話をすれば、H1STが50くらいで
第2STが1000Nになるような極細プレーンスポークがあったとして、
それでも第2STを1000Nに張れば
13番のH1ST 155と同じ剛性が出るということになります。
もちろん、そんなことはありません。

スポークテンション(←しつこいですが第2ST)が同じでも
第1STが違えば ホイールの硬さに違いが出ます。
もちろん、第2STに対して 第1STが大きくなるスポークは
スポーク比重が大きいということになるので
軽量化に反するというデメリットはあります。


DSC05898amx6.jpg
ところで、H1STとD1STの比率は同じではありません。近くもないです。
これは私にとって 非常に頭が痛い問題なのですが、
ビーカー論のときに書きます。



サピムのCXとCX-RAYは
ともに楕円断面の扁平(エリプティックエアロ)スポークで、
スポーク比重は100%と65%です。
メーカーの公称値からの概算では98.9%と63.6%ですが、
実測では もう1%ほど大きいです。
まあ ざっくりでいいので100%と65%にしました。

これらのスポークを目一杯張った場合の
(これ以上ニップルを増し締めできない)状態で、
H1STはCXで190、CX-RAYで150くらいになります。
先ほどの黒CX-RAYで130というのは
のむラボホイール5号の前輪ですが、
150までは とてもじゃないですが張りません(張れません)。
CX-RAYのH1STで150が見られるのは、
24Hのヨンゼロ組みのフリー側をとにかく張りまくった
(そうしないと反フリー側が たゆんたゆんになる)場合などです。
それが出来るリムも多少は限られます。
具体的に言うと、メカニコの完組みの後輪がそんな感じです。

DSC05899amx6.jpg
CXとCX-RAYの、第1STとスポーク比重の関係をグラフにしました。
恣意的な見た目にならないよう、ホワイトボードのマス目に沿って
右の正方形と同じ数値の比になるよう
そこそこ気を付けて描いています。
ここで、CXからCX-RAYに至るまで
スポーク比重を1%刻みに変更した エリプティックエアロスポークを
並べた場合 どういう点の集まりになるのかを考えます。

DSC05900amx6.jpg
CXとCX-RAYでは、扁平率が異なります。
CXのほうが ややずんぐりしています。
扁平率は丸スポークで 1なので、そこから遠ざかるほど平べったいということです。

DSC05901amx6.jpg
CXの扁平率を保ったままスポーク比重を65%まで絞った場合の
点の集まりを考えてみました。
実際は もう少しばらつくと思いますが
「まあこのへんで シュッと直線引けるんじゃないの」
というのが見えてくると思うので、その引いた線が 青の破線です。
実際のCX-RAYの扁平率は2.15ではなく2.44なので

DSC05902amx6.jpg
扁平率2.15でスポーク比重65%のスポークよりも
第1STは上方修正を受けるはずです
(D1STの左右方向と前後方向の差が根拠です)。

CXからCX-RAYに至るまで、扁平率もじんわりと変わっていくとするならば
青の破線から起き上がった青の実線が残って

DSC05903amx6.jpg
こんな感じになるはずです。
まあ別に、ちょっと曲線だろうと もう少し直線だろうと
今後の話には関係が無いのですが。


そろそろアルミスポークの話を始めろや、と言われそうですが
ここまでの前置きが必要でした。
DSC05570amx6.jpg
で、お待ちかね。
フルクラムのきしめんアルミスポークです。

DSC05571amx6.jpg
DSC05573amx6.jpg
H1STは268でした。
これは少し例外的な数値です。
しんちゅうニップル時代のレーシング1を、さらに増し締めしているので。

現行のアルミニップルのレーシングゼロの フロントまたはリヤ右で、
H1STは235といったところです。
220を切ると明らかに乗り味がヌルくなります。

ちょっと前に、どこかのショップでリム交換をした
レーシングゼロ2WAY-FITが 明らかにヌルいので
張り直しした件(→こちら)では、
H1STの最低値が205 最高値が220でした。
そこから、下限が230で平均が235になるくらいまで張っています。
この数値は お客さんには伝えました。
今後もどこか別のホーザンのH1STで235を保ってね!という意図ではなく
当店にある他のレーシングゼロと同じくらいです、というのを示すためです。

DSC05904amx6.jpg
次に、スポーク比重を測ってみます。
その前に。
このアルミスポークのスポーク長さを
どう定義していいものかという問題があります。
スポークの全長(上の図A)ということにするのか、
首下長さ(同B)を測るのか。

このスポークの公称長さは279.2mmですが、
それがどこからどこまでに当たるのか調べたところ
全長Aとピッタリ同じだったので、それを採用します。
スポーク比重的には かすかに不利にはなりますが。

DSC05905amx6.jpg
少ない本数でも計算できるように、0.1gから量れる秤にしました。
アルマイトの色で重量に差異が無いとは思いますが、
一応別々に測ってみます。

DSC05906amx6.jpg
↑黒24本
DSC05907amx6.jpg
↑銀5本
DSC05908amx6.jpg
↑赤7本
DSC05909amx6.jpg
↑36本まとめて
1本あたり 5gをごくわずか上回るくらいのようです。
で、こいつのスポーク比重は69.8%という結果になりました。
サピムのスポークも概算値にしたので これは70%ということにしましょう。

DSC05910amx6.jpg
というのを先ほどの図に描き加えました。
ぶっ飛んでいるのが お分かりでしょうか。
どこが「スチールスポークと同程度」なんですかね。
もしかして これを見ても「第1STは駆動剛性に関係が無い!」
とか言い出すんでしょうか。

DSC05911amx6.jpg
↑恣意バージョン

つづいて、なぜ 同じフルクラムでも ネクタイスポークを測らなかったかについて。
DSC05739amx6.jpg
レーシング1の後輪のフリー側、
ネクタイスポークの このあたりを測ると
DSC05740amx6.jpg
H1STは 421ちょっとと出ます。

DSC05741amx6.jpg
が、もうちょっとハブ寄りで測ると
DSC05742amx6.jpg
281と激減します。扁平率が変わっているからです。
念のため書いておきますが当然 同じ箇所のスポークです。
きしめんスポークだと どこで測っても ほとんど変わらないので
安定した数値を採るためにネクタイスポークを避けました。

あと、ずいぶん さかのぼることになりますが
マヴィックのアルミスポークのH1STも分かる範囲で書いておきました。
丸スポークについては前後方向と左右方向、どう測っても数値は同じです。

なぜ丸アルミスポークのH1STが最も高いのかというと、
それはH1STを スポークの前後方向から測っていることと関係があります。

DSC05912amx6.jpg
ホーザンのテンションメーターの測定子ですが、
コの字型の凹みの底に スポークを当てるようになっています。
13番プレーンスポーク(2.34mm径)が測れる以上
最大幅がそれよりかすかに小さいCX-RAYやエアロライトは
D1STの左右方向を H1STの左右方向に変換する表を作れます。

DSC05913amx6.jpg
私物の のむラボホイール2号です。

DSC05914amx6.jpg
DSC05915amx6.jpg
星のエアロスターブライトII型で
可能な限りキンキンに張って組みました。
フヒヒ。

こいつのスポーク比重は約93%です。

DSC05916amx6.jpg
で、H1STは 187です。
先ほど書いたように CXで190が限界といったところなので、
それよりスポーク比重が うっすら小さい
エアロSBIIで同程度に張っているということは相当に張っているというわけです。

ここで、CX-RAYでの具体的な数値を書きますが
前後方向のH1STが130のとき 左右方向だと78くらいになります。
120だと 63くらいです。

なので このエアロSBIIも、CX-RAYと 扁平率は違うものの
左右方向のH1STは187未満になるはずなのですが・・・

DSC05917amx6.jpg
実際は295弱という とんでもない数値になりました。

DSC05918amx6.jpg
これは、測定子の底にスポークが入らないためです。
フルクラムのきしめんアルミスポークの薄い側の幅は
実測で1.4mmほどだったので 前後方向からは測れますが、

DSC05743amx6.jpg
左右方向からは測れません。

先ほどのネクタイスポークも、
前後方向で281なのに 左右方向で364になっています。
マヴィックの丸スポークの数値が跳ねあがるのも これが原因で、
私がH1STを前後方向から採るようにしているのも これが理由です。

なのでアルミ丸スポークの360というのは誤りで、実際はもっと低いはずです。
ただ、リムの組み換え作業でバラす前に
「底についていないけど360」というのを知っておけば
再組み立てする際の参考にはなります。
なので測る意味はあります。



というわけで アルミスポークの何がすごいのかというと、
上のほうで青文字で書いてますが コピペしてくると
第2STに対して 第1STが大きくなるスポークは
スポーク比重が大きいということになるので
軽量化に反するというデメリットはあります。

と書きました。
これは「スポークはスチールだけ」という大前提の上での話です。
比重100%のスチールスポークでも到底出せない第1STでありながら
且つ スポーク比重はCX-RAYより少し重いくらい・・・というのが実現できているのは、
本当の意味での「比重」がアルミとスチールで違うからです。

これを、アルミとスチールのインゴットか何かなのか
素材の物性だけで比較して意味が無いとか
ほざいている奴がいるらしいですが(すっとぼけ)、
とんでもないことです。スポークとして評価してあげないと意味がありません。

ついでに書いておくと、あれはアカン これはアカンと
他社のホイールを否定しておきながら
値打ちこいて 自分でパーツや組み方を選定した完組みホイール、
現物を見ましたが大したものではありませんでした。
24H 左右同径スポークヨンゼロ組みの後輪で
フリー側のH1STが150、反フリー側が120です。
ヨンゼロ組みにしては150に対する120というのは追随度が高いのですが、
これの主因はオフセットリムだからです。
で、150をCX-RAYで出していれば なかなか大したものですが
ピラー製の、CX-RAYよりもスポーク比重が大きい
エアロスポークでの150なので、それほど張っているわけでもありません。
さらにツラいことに、反フリー側ラジアル組みの常として
スポークにぎにぎで そこそこたわむんですが・・・。

リムが硬いのは置いといて、ペダリング時にリヤリムの内側が
(ロスの発生を体感できるほどに)絞られている、
言い方を変えれば かかりが悪い後輪だというのは
色んなホイールを触ってきた経験から ものだけを見ての感想ですが、
実際のオーナーの使用したうえでの感想も それと大差なかったので
ああやっぱりそうかと思いました。

DSC05919amx6.jpg
フリー側ピラーのスポークで H1ST150とは、
つまり このへんです。
やはり レーゼロは遠いですな。

アルミとスチールで「スポークとしての」差が無い、
または ほぼ無いというのであれば
スポーク比重70%のスチールスポークでH1STを230くらいに張ってみせろ。
不可能だよ バーカ。
スポーク比重100%でも難しいのに。

あるいは、見方を変えれば フルクラムのアルミスポークと同じ
スポーク比重70%のスチールスポークで
レーシングゼロと同じ本数である16Hの前輪を組んで、
あの硬さを超えられるイメージが まったく湧きません。

DSC05920amx6.jpg
予想される反論について。
H1STが ネクタイアルミスポークで390、
きしめんアルミスポークで235、CX-RAYで140だとして、
これらの第2ST(つまり一般的な意味でのスポークテンション)は
同じくらいじゃないの?ということについて。

その通りです。
例えば、レーシングゼロと レーシング3ではリムの重量は同じくらいか
ゼロのほうが少し軽いくらいだと思いますが、
レーシング3のスポークは ごっついスクエアエアロで
H1STは180~185くらいです。
第1STの差がスポークによって2倍以上違うからといって
第2STにそこまでの差があるとは思えません。

第1STの差ほどには、リム穴にかかっている負担は
違わないはずだというのは確かです。

ただ、これらが同じ駆動剛性やモガキ耐性だとするのは やはり無理があります。
冒頭のほうで書きましたが、第2ST(1000N)が同じ
13番の前輪と15番の前輪が同じ硬さ(モガキ耐性)になるわけがありません。
完全に正確に連動しているわけではないものの、
1000N時のたわみにくさは 13番で155、15番で116という
第1STの数値の差で表現されている部分はあるはずです。

なので、上のグラフを見て読み取るべきは
「見かけ上の第1STは違っても第2STが同じくらいなので
アルミスポークに意味は無い」ということではなく
「同じ第2STで、スポーク1本ごとのたわみにくさ(第1ST)が違う」
という点であり、しかもスポーク比重なりの第1STという見方をすれば
ぶっ飛んでいるということです。

DSC05924amx6.jpg
第2ST「だけ」で静的に評価すれば、そうですね、
組んだホイールを椅子の脚として使うなら
スポークの材質が違っても
「同じようなもの」と言えるかもしれません。

レーシングゼロと手組みホイールを履きかえて
ホイールを見ることなく 乗ってどちらか当てろと言われれば
可能かもしれませんが、
脚の部分がホイールになっている椅子(第2STは同じにしてある)に座って
座り心地で スポークの材質を当てる自信はありません。

DSC05922amx6.jpg
DSC05923amx6.jpg
もうちょっと続くよ。
仮に、スチールスポークでH1STを230くらいまで張れたとしましょう。
それを首折れスチールスポークでやるのと
ストレートスチールスポークでやるのは
駆動時のひずみで考えると少し違ってきます。

スポークテンションがまったくかかっていない状態での
スポークの可動域を考えると、ストレートスポークのほうが
ねじれやひずみに強いと考えられるからです。
さらにアルミスポークの場合、素材の特性上
断面積を大きく取らないといけませんが
そのせいで(そのおかげで?)スポークヘッドの形状の自由度が
非常に高いという利点があります。
フルクラムのアルミスポークのスライスエリンギヘッドは、
フロントとリヤ左ではパズルのようにガッチリとはまり、
リヤ右ではやや揺らぎはあるものの可動域は ほぼありません。

DSC05921amx6.jpg
なので、同じスポークテンション(←しつこすぎですが第2ST)であっても
駆動時のスポークヘッドの揺らぎが ほぼ無いので
かかりの良し悪しに関するロスも少ないと思うのです。
これを言い出すと まずアルミスポークであるということ自体が
大要素過ぎて ここだけの違いを抽出して体感するのは無理なのですが。

以上、書けば書くだけ私が損するアルミスポークについての話でした。
ビーカー論は もうちょっと時間をください。

追記:
明らかな観測的事実について
私見を述べるのは(たとえ誤りであっても)別にいいのです。

ただ、どこの誰とは書きませんが
「だからウチのホイールはすごいんだ」
という結論ありきのための枕詞として
理論もどきを振りかざす

のは おかしいと思うのです。
ライトウェイトもレーシングゼロも、私よりずっと賢い頭脳者集団が
脳に汗をダラダラ流して考えた産物なので、
手組みホイールが勝てるわけがないのです。
唯一 つけ込みどころがあるとすれば、
完組みより軽いリムを使うということくらいです。

ライトウェイトやレーシングゼロのすごさを素直に理解できていないとなると、
あまりの見識の低さに こいつヤバいんじゃないのと思ってしまいます。

今日の話でいうなら、私独自の工夫によって
CX-RAYでH1ST 235を出せれば それを以って
「私のホイールはレーゼロを超えた!」とか
「アルミスポークに意味は無いぜ フヒヒ」とか
言えると思うのですが不可能です。
CX-RAYも、破断に関して青天井というわけではありませんので。

しかし、スポーク比重も 具体例(レーゼロのスポークで、とか)も出さずに
スチールスポークとアルミスポークが だいたい同じ重量とか言われても・・・。

昔、シマノのテクニカルセミナーで
C75のホイールを開発したという人の話を聞いたことがあります。
50過ぎでしょうか いい年のおっちゃんだったんですが、
ロングのトライアスロンに参戦していて、バイクパートを走っているときに
「私は 風のヨー角(Yaw Angle)が分かる」というんです。
しかも、最も空力的に有利なヨー角を保持し続けるために
風を読んでバイクの軌道をジグザクにして走るとまで言い切りました。
じゃあ逆から風吹いたら回れ右して帰るのかと ツッコミたかったのですが、
この話、エンドユーザーではない プロショップのスタッフだけを集めた場で
堂々と話しているのを聞いて、あまりに馬鹿らしいので
セミナーの資料の背表紙に おっちゃんの似顔絵を描いて
時間を潰していたのを覚えています。
(寝てるやつもたくさんいたので 聞いてるだけエライということにしてください)

この話を聞いて思ったのは、C75というホイールは
「走りながら風のヨー角が読めると 本気で思っている人間が
考えたもの」だということです。
そういう、自覚があるのかないのかオカルトめいた
思想というか哲学の元で作られたという来歴が、
ものの良し悪しは別として なんとも気持ち悪いのです。
(良いのかどうかは訊かないでください、
このブログの読者なら答えは分かってるでしょうから)


という話を なぜか思い出しました。

category: スポークの話

tb: 0   cm: 7

WH-7850-C24-TLのスポークを交換しました  

今日もホイー(以下略)。
DSC04973msn.jpg
びふぉー
DSC04975msn.jpg
あふたー
7850チューブレスホイールの前輪のスポークを、
番手違いのものに総交換しました。

なぜこんなことをしたのかについて。
「スポーク量」という考えがあるのですが、
ここに書いたことは無かったと思っていたら
そんなことは無かったぜ(→こちら)。
ハブとリムの間に存在するスポークの総量の、
組み換え前後の比や 後輪の場合の左右比を
スポークの量で見るという考えです。

まずは、後輪の場合の左右比について。
長さを無視した スポーク比重(100%なら100とする)と
本数をかけた数字の左右比を元に
スポークテンションの左右差を考えます。
24Hの後輪だとして、
左右同径スポーク左右同数組みであれば
全チャンピで100×12:100×12で1:1、
全コンペで85×12:85×12で1:1となりますが、
半チャンピだと100×12:65×12で 100:65、
約3:2になります。

これが左右同径スポークの左右異数組み(2:1組み)で
もし全CX-RAYであれば 65×16:65×8なので2:1となり、
左右比が大きいので スポークテンションの左右差は相当に小さい、
ということが分かるわけです。
カンパニョーロの最新の少し前のゾンダであれば
左右異数組みに左右異径組みをしているので
もう少し左右比が大きくなります。
また、厳密にはハブの寸法や リムのオフセットの有無などでも
スポークテンションの左右差は大きく変わるので、
スポークの長さや ホイールの組み方を無視した
簡易版のスポーク量の計算は 本当に概算でしかありません。

経験的に、現状のオチョコ量のロード用ハブでは
反フリー側ラジアル組みの左右同径2:1組みで
左右のスポークテンションがほぼ同じ(うっすら反フリー側が低い)
ということが分かっています。
左右異数スポークを手組みでやるのには
リスクが大きいというのが私の考えなので、
左右同数スポークで 左右それぞれのスポーク量を調整する
(フリー側の数値を大にする)には、
スポークの番手(スポーク比重)を変えるしかない、というのが
左右異径組みの理由です。
先ほども書いたように スポーク比重×本数だけのスポーク量は
スポークの長さや組み方を無視しているので、
仮に全チャンピの後輪であってもフリー側ラジアル組み、左右同本タンジェント組み、
左右異本タンジェント組み、反フリー側ラジアル組みで それぞれ
左右のスポークテンションの差が変わることは無視しています。
これはこれで 左右異本組みとして私のホイールに盛り込んでいますが。

次に、組み換え前後の前輪の左右比について。
オチョコの無い前輪だと、
左右のスポークのスポーク比重や スポーク長さは同じです。
なので、スポーク比重と本数の差だけで スポーク量の比較が出来ます。
同じハブとリムで前輪を組むとき、全てラジアル組みするとして
スポーク比重100%のスポークで24H(スポーク量2400)と
スポーク比重85%のスポークで28H(スポーク量2380)と
スポーク比重65%のスポークで36H(スポーク量2340)は
ほとんど同じ重量になります。
スポーク量が ほぼ同じなので。
スポーク量が同じというのは、リムとハブの間に存在する
スポークの総体積も同じということです。
これら3つのホイールは 重量が同じなわけですが
性能も同じかと言えば、違います。
「同じスポーク量であれば スポークの本数は多いほうがいい」
というのが 私の考えです。
そして現実的な範囲では、CX-RAY(スポーク比重65%)の
手組みの前輪のベストな本数は20Hです。
24Hにする必要は無いし(乗り手の体重次第では別ですが)、
16Hは少なすぎます。

CX-RAYの20Hのスポーク量は1300ですが、
これはチャンピオン14番プレーンの13Hに相当します。
経験的に、どう考えてもチャンピオン(またはCXでも同じ)で組んだ
13Hの前輪が まともに使えるとは思えません。
これが、スポーク量が同じなら
本数を多く分割したほうがいいという根拠です。

スポーク本数が少ないホイールの方が空力的に有利、というのは確かです。
CX-RAY20HとCX13Hの前輪は同重量ですが、
CX13Hのほうが空力的には優れているでしょう。
が、剛性的な安定感ではCX-RAY20Hのほうが上、というより
CX13Hは どう考えても危険なので、
空力を軽視するわけではないですが スポーク量の考えから
ある程度以上のスポーク本数を確保するという点では
要素の大小でいうと 小要素です。

じゃあスポーク量1300で、スポーク比重50%の26Hホイールや
スポーク比重10%の130Hホイールがあれば
それがCX-RAYの20Hよりいいのかというと、それはまた違います。
多くの乗り手にとってヌルいと思われないホイールにするために
ある程度は スポークを張りたいわけですが、
スポーク比重があまりに小さいと そこに達するまでに うにょーんを起こします。
冒頭のリンク先の記事でも、スポーク比重50%のスポークがあったとしても
「そんなスポークが実際にあれば うにょーんの発生は避けられませんが」
と書いています。

しっかり張りつつも 降伏点の手前で組み上げられる
スポーク比重であること、という条件を加えれば
65%の丸バテッドはNG、65%の扁平バテッドはOKということが
経験的に分かっています。
サピムの15番版CX-RAYと言える
1.8-(2.1-0.75)-1.8のCX-Superのスポーク比重は
カタログ重量から計算すると約54%(54.01%)ですが、
これが私の張りたいところまで張れるスポークなのかどうかは知りません。
もし カッチリ張れるなら24Hでスポーク量が1296となり
CX-RAYの20Hに対して「同スポーク量で本数が多いのでより良い」
となるわけですが。
たぶんならないという予想があるのと 15番スポークに抵抗があるので
私の常用する範囲での最小スポーク比重のスポークは
CX-RAYを落としどころとしています。


で、シマノの完組みホイールは最廉価モデルを除いて
前輪はリム高に関係なく16Hを採用するという暴挙に出ているわけですが、
ある程度以上のリム高であるならともかく C24とC35については
もし20Hに仕様変更すれば 要素の大小でいえば
メリットのほうが勝ると思われるので より良いホイールになります。
スポーク4本の重量増と空力のデメリットより、
剛性のメリットのほうがどう考えても 上だからです。
フロント16H・リヤ20Hというクソ仕様のおかげで、
C24より のむラボホイール5号のほうが硬いとか走ると言われることが
ほとんどですが、これは比較対象がしょぼいというだけのことです。
ローハイトリムのシマノホイールはフロント20H・リヤ24Hにするだけで
かなり化けると思われますが 意固地に現状を貫いてもらったほうが
私は助かりますので そのままでお願いします。

7850以降のデュラエースの前輪は、
実質の最小スポーク比重である 65%のスポークを採用しているので、
20H仕様にしつつ スポーク量を同じにするということは出来ません。

今回のお客さんの目的は、
ヌルいのでずっと放置していたこの前輪のスポーク量を、
あえて増やして軽量化ならぬ重量化のデメリット以上の
剛性面でのメリットを見込めないかということです。
ハブとリムが16Hなので、スポーク本数を増やして
スポーク量を調整することは もちろん不可能です。
ということは、スポーク比重のほうを いじるしかありません。

DSC04976msn.jpg
というわけで、あえてスポークを太くしました。
こちらのほうが走ると体感できるなら、
スポークの重量増は わりとどーでもいいというわけです。
私見ですが、登りに限定しても たわみが減るので
こっちのほうがいいのではないでしょうか。

組み換え前の状態も、私が点検がてら お客さんの希望もあり
多少増し締めをしたのですが、これと比べると
組み換え前は異常にヌルかった気さえします。
当店に現在、吊るしの範囲の上限程度に張ってある
WH-9000-C24-CLの前輪がありますが、
これの張りを確かめたあとだと 異常にヌルく感じられます。

実は、ここには載せなかったのですが
これの相方の後輪も 去年の12月にスポーク比重をいじっており
お客さんいわく 断然良くなったとのことです。
これのリヤハブは「通し」なので あまり扁平度が大きいスポークは使えませんが、
フロントハブは「引っかけ」なので 上の画像のようなエアロスポークが使えます。

DSC04977msn.jpg
7850のチューブレスホイールの前輪のスポークですが、
ニップルをスポークに通してから加工するという処理をしているので
両端ともがストレートスポークヘッドとなっており、
ニップル単体を回収できない構造になっています。
砂時計みたいなものです。

組み換え後のスポークは お客さんのお持ち込み品ですが、
リム側の端をチューブレス用ニップルに対応するように
加工というか ちょっと工夫する必要があります。
それの準備が去年の時点では足りなかったので
前輪のスポーク交換が出来ませんでした。

リヤハブ用のスポークは、ハブ側の端の処理が違うので
ニップルの回収が可能です。
これ以降のモデルの、グレーや銀の同形状のニップルを
それなりの数 持っているので それらのニップルで特殊スポークを作り、
赤ニップルが閉じ込められた元のスポークは
純正の状態に復帰させる可能性を残すために
そのままにしておきましょうと提案したのですが、
どうしても赤ニップルにしたいということなので
スポークを切ってニップルを回収しました。
赤ニップルの単体入手は 現状では無理です。
とっくの昔にスペアパーツの供給を やめております。

お持ち込みで 余ったスポークがあったので、
グレーニップルでチューブレス用スペアスポークを作り
お渡ししておきました。
リム側の端の処理ですが、

DSC04978msn.jpg
↑このようにすることでチューブレスに対応します。
ストレートスポーク仕様の黒CX-RAYに 同様の加工をすることで、
7850-TLの前輪のスポークの補修スポークが作れるので
このことは 覚えていて損は無いです。
非純正パーツで補修をするなや、とメーカーに言われそうですが
じゃあ純正パーツの供給を切るなやというのが 私の答えです。

category: スポークの話

tb: 0   cm: 0

プロフィール

検索フォーム

最新記事

最新コメント

カテゴリ

月別アーカイブ

リンク

カウンター