のむラボ日記

自転車工房「のむラボ」のブログです

24Hリムを36Hハブで組みました  

お客さんから 内装変速リヤハブの小径ホイールをお預かりしました。
DSC00797amx6.jpg
これのリムを交換してほしいということです。
組み換え後のリムはALEXRIMSのDA16ですが、
シングルウォールリムからダブルウォールリムになるので
強度の面でも ニップルが原因のパンクが無くなるという面でも
メリットがあります。

DSC00798amx6.jpg
ハブはスターメー・アーチャーのスプリントというモデルで
36HロクロクJIS組みになっています。
ここで問題がありまして、組み換え希望で持って来られたリムが24Hなのです。

36Hハブで24Hリムが組めるか?という話なのですが
「ちゃんとしたもの」には なりません。
どういうことなのかは これから書いていきますが、

DSC00795amx6.jpg
まずは ホイールの展開図から。
今回はハブ~リム~ハブ型にしました。

DSC00814amx6.jpg
このようになります。
90°の部分で切ると中途半端なので180°にしました。
これの2回反復分で360°です。

36Hから24Hは 穴数が3分の2になるので、
ハブの3穴から2穴を使う形になります。
なので上の図では「3本組み1クロス」になっています。
組めるかどうかの確認と、位相ずれを調べるだけなら
タンジェント組みは1クロスで表現して問題ありません。
2クロス以上になると さっと描くのが面倒だからです。

いま「位相ずれ」と書きましたが、今回は これが起きています。

DSC00816amx6.jpg
交差しているスポークをそれぞれA・Bとします。
計算すると、
Aのスポークは 展開図上では ハブの5°とリムの37.5°を結んだ線分になります。
同様にBのスポークは ハブの45°とリムの7.5°を結んだ線分です。
ハブから、展開図の平行線と直交する破線を書き足しました。
これは、ラジアル組みのスポークの軌道になります。
リムの線を直角三角形の底辺とすると、Aの底辺は差し引き32.5°の長さ、
Bの底辺は差し引き37.5°の長さになります。
底辺の長さが異なるということは、斜辺の長さ(=スポークの長さ)も異なるわけで
スポークAよりも スポークBのほうが長いということになります。
また、斜辺の角度が ラジアル線に より近いスポークAのほうが
ラジアル組みに近いということになるので
スポークテンションはAのほうが低くなります。

これについては 別件でいずれ書くかと思いますが、
こういう場合にAのほうのスポーク比重を小さくすることで
スポークテンションのバランスを取ることは理論上は可能です。
ただ、現実的には 安定供給されるスポークは
スポーク比重100%と85%と65%の3種類程度なので
狙って ちょうどのバランスにするのは無理です。

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左右同本組みするとして、反対側の交差でも同じことが起きているので、
タンジェント組みの最終交差左右セット4本のうち 真ん中の2本(A)は
縦横振れを取り切った状態で 相方のスポーク(B)より
スポークテンションが低くなる、ということになります。

さらに、今回のハブはオチョコがあるので
都合4種類のスポーク長さが必要になります。

これが位相ずれ問題です。


ここまでの図では、ハブのお休み位相を中心にして
3本組み1クロスとしているわけですが、
現実には2クロスで組みたいところです。
24Hハブ24Hリムであれば4本組みになりますが、
36Hハブ24Hでは5本組みになります。

それを図で描くと
DSC00820amx6.jpg
↑これはまだ 3本組み1クロスで・・・

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5本組み2クロスは こうなります。

DSC00822amx6.jpg
お隣さんを追加

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さらに追加
スポークがハブからリムまで届く間に 2回の交差があります(2クロス)。

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ここで重要なのが、この展開図は始めから
奥の(図でいうと上側の)お休み位相のハブ穴から覗いて
手前(図でいうと下側)のお休み位相のハブ穴が
右にずれた位置関係になっている、ということです。

仮に これを「右休み」と呼ぶことにします。

DSC00832amx6.jpg
右休みで 反対側も5本組み2クロスにしました。

DSC00833amx6.jpg
右休みの場合、左右タンジェント組み4本1セットのスポークが
バルブ穴をまたぐことはありません。

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↑左休みの場合、バルブ穴が かっこ悪い位相に来ます。

DSC00799amx6.jpg
片側のみ仮組みしました。

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実は、この時点ではまだ 位相ずれは起きていません。
お休み穴のラジアル線上に最終交差があります。

あと、反ヌポークのスポークヘッドを見ると分かりやすいのですが
同じ反ヌポークのスポークヘッドは 3つ隣になります。
これを覚えておいてください。

なぜ まだ位相ずれが起きていないのかというと、
DSC00839amx6.jpg
それは「36Hハブで18Hリムを組む場合」で簡単に説明できます。
(この図は冒頭と違いリム~ハブ~リム型です。ご注意ください)

上の図ではまだ 18Hハブと18Hリムなので、
DSC00840amx6.jpg
このように
DSC00841amx6.jpg
過不足なく(←当たり前ですが)
ハブ穴とリム穴がスポークでつながります。

DSC00843amx6.jpg
ハブを36Hにしました。
穴数が倍になりますが、ハブの線上でいうと
18Hのときに右左右左右左・・・の位相にあった穴は全て右穴となり、
その中間に左穴が発生します。
左穴は赤で描きました。

DSC00844amx6.jpg
右側のラジアル組み「だけ」を通すと こうなりますが、

DSC00846amx6.jpg
左側は位相ずれが起きます。

DSC00847amx6.jpg
そこからスポークテンションを上げていくと、
先ほどの図の右0本ラジアル組みと 左0本位相ずれ組みで
左右のずれが平均化して このようになります。

ここから、ハブの線より下側(右リム)を 上に向かって折り畳むと

DSC00848amx6.jpg
こうなります。

DSC00850amx6.jpg
それをホイールの図に戻すと こんな感じです。
左右とも0本組みなのに、スポークの軌道が
それぞれ逆の向きに絞ったように少しそれているため
厳密な意味でのラジアル組みではありません。
この状態のホイールが「ちゃんとしたもの」と言っていいのなら
今回の36Hハブ24Hリム組みも ちゃんとしたものと言えるわけですが、
私は そうは思いません。

で、片側のみの仮組みでは
36Hハブ18Hリムの0本組みが ラジアル組みであったように、
36Hハブ24Hリムの片側のみの仮組みも
位相ずれを まだ起こしていないということです。

DSC00824amx6.jpg
反フリー側の長さになる予定のスポークを、5本組みで通してみました。
両方ともヌポーク通しなのは、仮に通すだけなら こっちのほうが楽だからです。
先ほど「反ヌポークのスポークヘッドが次に来るのは3つ隣」と書きましたが、
これは5本組み位相が3つ存在していて、4つめからは1つめと同じ位相となり
ループしているということです。
3つの位相のうち スポークを突き合わせた先端が
フリー側のリム穴に最も近くなる位相が、
最も位相ずれが少ないということになります。

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位相その1

DSC00826amx6.jpg
位相その2

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位相その3

位相その1か その3、どっちでも良さそうですね。
しかしこれは 先ほど書いた右休み左休みの違いです。

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反フリー側のスポークを通しました。

DSC00810amx6.jpg
左休みになっているので

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バルブ穴は ここです。
見せようと思ってやったのではなく 不覚にもナチュラルにやらかしました。

なお、穴振りを正リムではなく 逆リム扱いして組めば
バルブ穴の位置を変えられますが
このリムの内周側の穴は 明確に正リム穴振りがあるので それはできません。

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組めました。

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左右とも5本組み2クロスなので ヨンヨン組み相当です。
左右異本組みをしよう、とは思いませんでした。
このハブ、オチョコがありますが その左右差は
現行の平均的な11Sフリーハブの ちょうど半分くらいです。
なので左右同本組みでも極端なテンション差はありません。
それよりも「左右4本セットのうちの真ん中2本がヌルい問題」のほうが深刻です。
これは、真ん中2本がゆるみを起こしにくいほど張ったうえで
(ということは端の2本はもっとキンキンに張ることになりますが)、
さらに ちょっと強めのねじ止め剤を使うことで、
ゆるみを防ぐことができると思います。

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↑奥のフランジの休み穴から見て右休みです。
休み穴からのラジアル線上に最終交差が来ていないということは、
位相ずれを起こしているということです。

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↑正リム扱いで バルブ穴ずれを起こしていません。

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ところで、冒頭から当たり前のように
3本組み1クロス・5本組み2クロスと「奇数本組み」をしていますが、
フランジ穴3つのうち2つを選ぶわけなので
2本組み1クロス・6本組み2クロスなどの「偶数本組み」も可能です。
最終交差の根元のフランジ穴から出たスポークが
お休み穴に向かうのが
3本組み1クロスと 6本組み2クロス(上の図 )、
お休み穴に背を向けるのが
2本組み1クロスと 5本組み2クロス(上の図 )です。

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↑一応 思いついてたという証拠

で、位相ずれを起こすので 36Hハブ24Hリム組みは
ちゃんとしたものにならない!と言いながら
今回組んだ理由ですが、
お客さんが リムをすでに買ってしまったからです。
で、何とかしてくれと言われたからです。

ところで、ちょっと調べたら 同じようなことを前に書いてました(→こちら)。

category: 位相の話

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VIVA Sさん(12:8Hホイールの 展開図の話)  

お客さんからコリマのVIVA Sをお預かりしました。
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今日お預かりしたわけではありません。1週間くらい前です。
「こんなん直しました」という話のあとに、書きたいことがあったので
記事にしていなかったのです。

お預かりした要件は、3本ローラーに乗ると縦振れが よく分かるので
直してほしいとのことでした。
3本ローラーは ホイールやタイヤの縦振れが非常に感知しやすいので
安物の練習用タイヤなど履くと 走行感がグワングワンしますが、
お客さんは このホイールをほぼレース専用にしており
3本ローラーに乗るのは レース前に決戦用タイヤでアップするためなので、
タイヤの縦振れというのは考えられません。

ということで縦振れを見てみたところ、
リム穴(ニップル)の位置で 4つ分くらいに渡ってリムが内側にひずんでいました。
それ以外にも外側に出ている箇所もあったので
可能なかぎり 縦振れを追い込んでから センター出しと横振れ取りをしました。

DSC01090amx4.jpg
↑ハブの仕上げは、アルマイトではなく おそらくメッキだと思うのですが
あまり強くて厚い膜では無いみたいです。
経年使用した このハブはほぼ例外なく メッキが浮いてきています。

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ここからが展開図の話です。
このホイールは12:8スポークの20Hですが、
上の画像のように リム穴の間隔が詰まっているところもあれば、
まばらなところもあります。
2:1スポークの場合は「RLR」をひとつの単位として
リムに穴を設ければいいのですが、
これは3:2スポークになるので ちょっと複雑そうです。

というわけで バルブ穴が真上の状態でホイールを置き、
それをフリーボディ側から見て バルブ穴から時計回りに
リム穴が右か左か書きとめることにしました。
DSC01365amx4.jpg
↑それがこれです。
リム穴の間隔が 比較的近い場合は詰めて、
ちょっと離れている場合は離して右(R)と左(L)を書くと
LR RL R /LR RL R /LR RL R /LR RL R /LR RL Rとなり
LR RL Rの4回反復になっています。
(分かりやすいように90°位相ごとに「/」を入れました)


ただ、LR RL Rを ひとつの単位とすると、
Rが3つ(奇数)なので
DSC01366amx4.jpg
↑タンジェント組みのスポークの交差が 完成しません。

DSC01367amx4.jpg
なのでLR RL R LR RL Rの180°位相分の2回反復で描きました。

DSC01368amx4.jpg
毎度おなじみホイール展開図です。
今回は「リム穴の重なりを避ける」のを重視しているので
ハブ~リム~ハブ型の図にします。
フリー側は12Hなのでリム穴の間隔は30°ごと、
反フリー側は8Hなのでリム穴の間隔は45°ごとと なります。

DSC01370amx4.jpg
0°の位相から それぞれその角度ごとに リム穴を設けました。
はい、これは間違いです。ホイールが組めません。

DSC01371amx4.jpg
スタートラインを同じくして30°ごとと45°ごとで 穴を設けているので、
90°位相ごとに穴が重なります。
さらに、さっきホイールの現物を読んだ結果の
LR RL Rのパターンでもありません。

DSC01372amx4.jpg
さらに、バルブ穴(0°/360°)の位置では
バルブ穴、右スポークの穴、左スポークの穴の3つが重なりました。

DSC01373amx4.jpg
これを避けるために、リム穴の位相を それぞれずらすことにします。

DSC01091amx4.jpg
ところで、ホイールの現物を見ると
ステッカーの赤い部分がちょうどバルブ穴になっているのですが、
バルブ穴の時計回りの隣の穴は左スポークで、
反時計回りの隣の穴は右スポークです。
目視したかぎりですが、この2つのリム穴は
バルブからの距離が同じに見えます。

DSC01388amx4.jpg
↑こういうことですね。
仮にですが「同じだとして」リム穴の位相を考えてみます。

DSC01380amx4.jpg
↑エクセルで こういう表を作ってみました。
枠の数がスポーク本数、
枠内の数字がバルブ穴からのリム穴の位相になります。
反フリー側は 左端の枠の数字45から45ずつ増えてゆき、
フリー側は 左端の枠の数字30から30ずつ増えてゆきます。
これがホイールとして成立するには、
・同じ数字(同じ位相のリム穴)があってはならない
・バルブ穴(0°/360°)に リム穴が重なってはならない
という条件を満たす必要があります。

上の図は、先ほどの間違っていると書いた展開図と同じ状態です。

DSC01382amx4.jpg
1°だけ ずらしました。
図にある「ずらす角度」に数値を入れると
反フリー側はプラス方向(時計回り)に、
フリー側はマイナス方向(反時計回り)に
位相がずれるようになっています。
この状態では、
・同じ数字がない
・バルブ穴(0°/360°)に重なっていない
という条件を満たしているのでホイールとして成立しますが、
それは概念上の話であって
実際は1°程度のずれだと リム穴やバルブ穴の径からすれば
穴がつながってしまうほど近くになるはずです。
なので、実際は5°くらいは離れていないと
ホイールにならないのではと思われます。

DSC01396amx4.jpg
私の「のむラボホイール1号3・3・7」は
32Hの倍である64Hから
バルブ穴の位相を除いた63Hのホイールですが、
スポークの仮想本数は64Hなので
リム穴の位相は360÷64で5.625°ごととなります。
リム高によってリム穴間の内周側の弧の距離は変わりますが、
このくらいのリム高で64Hだと ニップル回し工具は 何とか使えます。
(もしダメなら レンチタイプの工具にすればいいのですが)

DSC01384amx4.jpg
15°ずらしてみました。
だめですね。バルブ穴にこそ かぶっていませんが、
リム穴の位相がそろう箇所が出てしまいました。
(上の図で同じ形で囲った数字同士)

DSC01386amx4.jpg
7.5°ずらしてみました。
リム穴が 先ほどと違う位相でかぶっています。
あと、この数字だと作図しにくいので却下です(笑)。

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10°ずらしました。
これはいけそうですね。
一番近い部分も 5°離れています。

DSC01390amx4.jpg
展開図に数字と位相を描きこみました。

DSC01391amx4.jpg
この状態でリムの上を読んでいくと、
「LR RL R」の反復になっているので
実際のホイールとも矛盾しません。

DSC01392amx4.jpg
反フリー側はラジアル組みなので
スポークはこのようになります。

DSC01393amx4.jpg
フリー側ですが、
実際はタンジェント組み2クロスのところ
1クロスで描いていますが「最終交差がバルブ穴をまたがない」
ということを表現できればいいので これで問題はありません。

バルブ穴の両隣のリム穴を見ると、
それぞれ 時計回りでは370°(10°)で反フリー側、
反時計回りでは350°でフリー側のスポーク穴になっています。
実際に位相のずれが10°かどうかは知りませんが、
7.5°や15°の場合 問題があるところからして
このあたりではないかと思われます。

前からコリマの12:8の20Hの展開図を描きたいと思ってましたが、
ついにできました。

今回は「バルブ穴から両隣のリム穴までの距離が同じ」という
仮定の上で描いたので ずらす角度は
プラスマイナス10°ずつで 同じにしましたが、
スポーク配列によってはフリー側と反フリー側で違う角度ずつ
位相をずらす必要のある場合もありえます。



トッポリーノというメーカーのホイールで
18:12スポークの30H(※)の後輪がありますが、
これはスポーク数の左右比が3:2なので
コリマの12:8スポークが 1.5倍に増えただけであり、
「LR RL R」の4回反復が 6回反復になるだけで
同じような構成になるはずです。
違いといえば反フリー側がタンジェント組みになることくらいでしょうか。
なので 上の展開図を1.5倍に延長して(角度は書き直す)
反フリー側のスポークを 最終交差がバルブ穴をまたがないように
描けばいいだけ、のはずです。

DSC01397amx4.jpg
※余談ですが、トッポリーノのカーボンケブラースポークは
ハブフランジで挟まれた リムの対岸同士を結ぶ構造になっています。
マヴィックが コスミックカーボン系の一部のホイールで採用している
R2R(リム トゥ リム)と同じですが、こっちがずっと先です。
これを1本のスポークと見なすと
15本(9:6)スポークの後輪ということになりますが、
ややこしいので30Hとしています。

category: 位相の話

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位相の話 その3  

コメントのお返事をする前に、
触れておかなければならない話があるので 先に書きます。
ある種の完組みホイールのハブ側の位相についてです。
DSC03652amx.jpg
スポークの交差について、「x本組み」という呼びは
「x/2本クロス」という呼びと同義である

というのは上の図の通りですが、
実は これは通常のハブについてのみ
成り立つのであって、例外がありますよという話です。

DSC03655amx.jpg
32H(ホール)のハブは32本スポーク、とは限りません。
ここでいうホールとは「スポークの出はじめの位置の数」と思ってください。

通常の32Hのハブについては「スポークの出はじめの位置」が32ヵ所あります。

DSC03656amx.jpg
↑普通の20Hのハブを描きました。
見えない位置の穴については赤で示しています。
20H(ホール)ですから、スポークの出はじめの位置も20ヵ所あります。

DSC03657amx.jpg
「x本組み」という呼びの定義について再度 確認します。
最終的に交差するスポーク同士の出はじめの位置を見ます。
最初の位置を1と数えてx本目のスポークと最終的に交差する場合を
x本組みと呼びます。上の図では4本組みですね。

このルールではラジアル組みは1本組みということになりますが、
ラジアル組みはスポーク計算時の係数に「0」を入力しますので
ラジアル組みのみ例外として「0本組み」と呼びます。
(ということに私はしています)

例として、
フリー側が4本組み、反フリー側がラジアル組みであった場合
このブログ内での呼称は「ヨンゼロ組み」となります。

DSC03658amx.jpg
つづいて、上の図のような場合について。
完組みホイールでよくありますね。
1ヵ所から2本のスポークが出ている場合です。
図では20本スポークですが、10ヵ所からスポークが出ています。
これは、スポーク長さの計算上では
10Hということになります。


重ねて書きますが、H(ホール)の定義は「スポークの出はじめの位置の数」です。

DSC03659amx.jpg
実際に組んでみます。
上の図の赤いスポークですが、編む編まないは別として
横から見たスポークの交差回数は2回です。
ということは2クロスです。

DSC03661amx.jpg
ところがこれ、「x本組み」の呼びのルールに当てはめると3本組みになります。
この場合は「x本組み=x/2クロス」という法則が成り立ちません。

DSC03663amx.jpg
H(ホール)の定義からすると、
これのスポーク長さは「10Hの3本組み」ということになりますが、
実は それで正解です。
2クロスだからといって4本組みの係数で計算すると長さが出ません。

DSC03664amx.jpg
↑このZIPPのハブのフリー側ですが、
ここまでの定義でいうと「片側6H」です。
反フリー側は1H1スポークですが、フリー側は1H2スポークなので
フリー側のスポーク長さの計算は「12Hの3本組み」で出します。

このようなハブの場合は「~本組み」ではなく「~クロス」のほうが
誤解を生みにくい表現になることがあります。
上の画像では3本組みになりますが、「(奇数)本組み」というのが
聞きなれないと思いますので、
「2クロス」と呼んだ方がいいのではないかということです。

category: 位相の話

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位相の話 その2  

この話を書ききらないといけない理由があるので、
今日も位相の話を書きます。
今日はペアスポークのホイールの位相について。
DSC02564amx.jpg
↑引き続き この図でいきます。

DSC02565amx.jpg
ペアスポークというのは、リムのニップルから隣のニップルまでの間隔が
均等ではないホイールをいいます。
多くの場合スポークが寄り添うような位相にしているので、
見かけからペアスポークと言うことが多いです。

上の図では、リムの穴のうち片側はそのまま、
もう片側にぺアスポーク的な位相の穴(赤い丸)を追加しました。

DSC02566amx.jpg
ハブ側にもそれに対応した穴を設けます。

DSC02567amx.jpg
まずはラジアル組みをしてみました。
「ペアスポークのホイールの開き」をイメージしてもらえると思います。

DSC02568amx.jpg
で、次は「普通のハブでペアスポークのリムを組む」とどうなるか見てみます。
まずは片側をタンジェント組みしてみました。

DSC02569amx.jpg
もう片側は「ハブの黒い丸(普通のハブ)とリムの赤い丸(ペアスポークのリム)を結ぶ」
ことになるわけですが、見てのとおり 何やら歪んでいます。

DSC02570amx.jpg
タンジェント組みの交差しているスポークの
引っ張り方向の合成(上の図のF3)を描き足しました。
実際にこのままスポークテンションを上げると
いま歪んでいない側も歪みます。
先日書いた「反ヤマアラシさん方向の歪み」が出ます。

DSC02571amx.jpg
で、これは私の試作品的ホイールのひとつ、
ジピエンメのメテオラというリムのホイールです。

DSC02583amx.jpg
見てのとおりペアスポークです。

DSC02573amx.jpg
2002年頃のモデルでしょうか、
カーボンクリンチャーのはしりみたいなモデルですが、
鬆(す)が多くて ちょっと怖いですね。
↑この字、「す」の変換で出ませんでした。骨粗鬆症から出しました。
タイヤの空気圧を8気圧ほど入れるとミシミシいいます(コワイヨー)。

それはいいのですが、これを普通のハブで 同じ側のフランジのスポークを
違う長さでタンジェント組みする「F3ねじれ容認組み」で
組んで使ってみたところ、異常なペースでニップルがゆるむんです。
高野山の帰りに鍋谷の和歌山側でスポークがだるんだるんになったときには
本当に面食らいました。
(大阪界隈の方しか分からない地名ですみません)

DSC02575amx.jpg
そこで、同じくらいのペアスポーク具合である
A-CLASSのALX400というホイールのハブを使って
組み直したのが今の状態です。
私にしては珍しく反フリー側がラジアル組みですが、これには理由があります。

DSC02577amx.jpg
↑フリー側のスポークは星のエアロスターブライトIIIですが、
スポークの交差をよく見ると位相狂いによるねじれを起こしています
DSC02585amx.jpg
↑こういう見方をしてみてください。
かすかにずれています。

DSC02578amx.jpg
反フリー側のラジアル組みのスポークは
DSC02581amx.jpg
うっすら(進行方向から見れば)ヤマアラシさん方向にねじれています
スポークを内側に延長した場合 スポークがハブ軸を通らない、
という見方をするとよく分かると思います。
メテオラとALX-400は、近しいものの
全く同じペアスポーク具合ではなかったということです。

DSC02582amx.jpg
↑図にするとこういう感じです。
図にはちゃんと反映されていませんが、
タンジェント組み側もかすかにねじれています。
片側をラジアル組みにしないとスポークのゆるみが
ひどくなりそうと思ったので そうしました。

コリマのペアスポークのリム単品売りを組もうとしていた人を
止めたことがありますが、それもこういう理由です。
あれは位相が合うハブあっての実質 補修品ですね。

ロルフのハイローならぬローハイフランジのハブで
ホイールを組みたいなと思っているのですが、
ハブが入手できたところで
そのハブが想定しているペアスポーク具合の
リムでないと組めない
ので、断念しています。

category: 位相の話

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位相の話 その1  

当ブログでは、これまで「位相」という単語を定義なしで使ってきました。
本当はもっと早くこれを書くはずだったのですが、遅れに遅れて今に至った次第です。
当ブログでいう位相というのは「ハブフランジのスポーク穴の位置」と
「リムのニップル穴の位置」の角度的な位置関係のこと
だとします。
位相がピッタリ合うかどうかは非常に重要な問題です。
むしろ「位相が合わないホイールなんてあるの?」と思われるかもしれませんが、
ハブとリムの取り合わせ、あるいは組み方によってはありうるので
いろいろと書いていきます。
DSC02485amx.jpg
その前に。
ハブフランジ径がリム内径と同じというホイールを想像してみてください。
そのホイールをバルブ穴の位置で進行方向と垂直な方向にカットし、
平たくのしたとします。

DSC02486amx.jpg
↑そうするとこういう状態になりますね。
これが位相を考えるときの基本形です。
まず、たまに聞かれることですが「36Hのハブで18Hのリムを組む」という
場合の位相狂いについて書いていきたいと思います。
36Hハブ/18Hリムの場合に限らず
「リムの穴数がハブの穴数の半分」の場合でも同じです。

DSC02487amx.jpg
まず、36Hハブと36Hリムでラジアル組みをしてみます。
自分から見て向かって手前側のスポークを赤、奥側のスポークを青で描きました。
ラジアル組みのスポークの線分が進行方向に対して垂直です。
位相狂いは起きていません。

DSC02490amx.jpg
次に、ハブがそのままでリムの穴数が半分になったとします。
とりあえずリム側の穴を半分消しました。

DSC02491amx.jpg
リムの穴振りも、半分の数に合わせて修正します。

DSC02492amx.jpg
こうなりますね。

DSC02494amx.jpg
自分から見て奥側のフランジだけをまずラジアル組みしてみます。
これだけ見れば位相狂いは起きていません。

DSC02495amx.jpg
ところが、もう片側のフランジ穴では まっすぐの位相に対応する位置に
リムのスポーク穴がありません。
位相がずれているのを承知でスポークを配するしかありません。

DSC02496amx.jpg
それを通すとこうなります。
実際にこれで組んだとします。左右のスポークの長さは当然同じものを使います。
リムがセンターに来るようにスポークテンションを張ってやると・・・

DSC02498amx.jpg
こういう状態で安定します。

DSC02500amx.jpg
↑実際の18Hリムと36Hハブでは これほど顕著ではありませんが、
ラジアル組み(放射状にのびていないので語弊がありますが)のスポークが
手前側ではヤマアラシさん方向に、奥側では反ヤマアラシさん方向に向かって
かすかにねじれます。気持ち悪いですね。
JIS組みのヌポークだけ残した状態と言ってもいいでしょう。
実際にはかすかなので、乗って乗れないことはありませんが、いい気はしません。

DSC02501amx.jpg
これでタンジェント組みをすると、けっこうな問題が起きます。
通常の位相が合っているタンジェント組みのヌポークをF1、
反ヌポークをF2とすると、F1とF2の引っ張り方向の合成は
上の図のF3となります。
F3はラジアル組みの場合のスポークの通り道でもあります。

DSC02502amx.jpg
そのF3がねじれているのが位相の狂った状態です。
ねじれたF3をハブ側に延長しても、ハブ軸を通りません。
このねじれたF3に対するF1とF2を描き足すと
DSC02503amx.jpg
↑こうなります。F1スポークとF2スポークが同じ長さであった場合、
F1スポークは組むには短く、F2スポークは組むには長くなります。
片側のフランジで2種類のスポーク長さが必要になります。
これが後輪なら、ひとつのホイールで4種類の長さが必要になるということです。
18Hのリムの場合は片側9Hで奇数なのでタンジェント組みは出来ませんが、
32Hハブで16Hリムを組む場合はこういうこともありえます。

DSC02504amx.jpg
次に、18Hハブで36Hリムを組む場合を考えます。
まずは基本形から。

DSC02505amx.jpg
片側のフランジの穴をすべて消しました。

DSC02507amx.jpg
普通のハブのフランジの穴の位相は左→右→左→右・・・で等間隔に空いているので
ひとつ飛ばしのスポーク穴を反対側のフランジに移します。

DSC02508amx.jpg
これが「ハブの倍の数の穴のリム」で組む場合の図です。
さっそくラジアル組みをしてみます。

DSC02509amx.jpg
↑位相の狂いは起きていません。が、リムの穴振りの片側しか使っていません。
穴振りの無いリムであれば問題ないのですが、
「ハブの倍の数の穴のリム」で組む場合
12Hハブ/24Hリム
16Hハブ/32Hリム
18Hハブ/36Hリム
というのが現実的な範囲です。
14Hハブ/28Hリムというのはハブの方が手組みでは まずありえません。
12Hハブというのも7700デュラエースなどでありえますが、
実際は「16Hハブ/32Hリム」と「18Hハブ/36Hリム」の
2つにほぼ限られると言っていいです。
32Hや36Hのリムのほとんどはスポーク穴の穴振りがあるので、
ハブの倍の数の穴のリムで組むことは位相狂いこそないですが
穴振りオフセットが起きるので やはりまともなホイールとは言えません。

category: 位相の話

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