ひとつ前の記事のお引っ越し中ホイールですが 
2022/05/30 Mon. 23:08 [edit]
役に立つので ここにメモしておきます。
こういうのは 普段は ここには上げないのですが
ここに上げておくと 私も便利です。

ひとつ前の記事のホイールですが、
リムのお引っ越しを ハブのフランジの左右で分けました。

↑こんな感じ
ここから、手前のリムを時計回りに回すと

こうなります。
ペアスポーク寄りの位相になります。
さらに回して

完全ペアスポークにしてみました。
スポークは0本組みのままですが、
軌道がラジアル線上に無いので
厳密な意味での ラジアル組みではありません。

自分から見て遠い側のフランジは
位相ねじれが観測できるくらいになっていますが

近い側のフランジが そうでもないのは


↑AL22リム側
ニップルを充分にゆるめてるものの
12mm長さニップルから ねじ山が2山ほど見える程度


↑AL22Wリム側
2~3山ほど 軽く ねじを回しただけと
左右でスポークの実効長さが異なるためです。

これ以上ねじれないところまで
いっぱいに リムを回しました。


左右フランジでの 位相ねじれが観測できます。
ここまででは無いですが、
36Hハブと18Hリムでホイールを組むと
これと同じ位相ねじれが起きます。
ペアスポーク位相のリム穴があいたリムと
均等間隔リム穴用の普通のハブの組み合わせでも同様です。
こういうのは 普段は ここには上げないのですが
ここに上げておくと 私も便利です。

ひとつ前の記事のホイールですが、
リムのお引っ越しを ハブのフランジの左右で分けました。

↑こんな感じ
ここから、手前のリムを時計回りに回すと

こうなります。
ペアスポーク寄りの位相になります。
さらに回して

完全ペアスポークにしてみました。
スポークは0本組みのままですが、
軌道がラジアル線上に無いので
厳密な意味での ラジアル組みではありません。

自分から見て遠い側のフランジは
位相ねじれが観測できるくらいになっていますが

近い側のフランジが そうでもないのは


↑AL22リム側
ニップルを充分にゆるめてるものの
12mm長さニップルから ねじ山が2山ほど見える程度


↑AL22Wリム側
2~3山ほど 軽く ねじを回しただけと
左右でスポークの実効長さが異なるためです。

これ以上ねじれないところまで
いっぱいに リムを回しました。


左右フランジでの 位相ねじれが観測できます。
ここまででは無いですが、
36Hハブと18Hリムでホイールを組むと
これと同じ位相ねじれが起きます。
ペアスポーク位相のリム穴があいたリムと
均等間隔リム穴用の普通のハブの組み合わせでも同様です。
category: 位相の話
ハブとリムの穴数違い組みの位相ずれについて 
2019/10/05 Sat. 23:54 [edit]
36Hハブと24Hリムでホイールを組んだ場合、に限らず
ハブとリムの穴数違い組みをした際に起こる 位相ずれについて書きます。
黒のマーカーがかすれて色が出なかったので
普段 黒で描いているところを 緑で描いています。
見にくかったら スミマセン。

まずは、36Hハブと18Hリムで
ラジアル組みの前輪を組むと どうなるか、という話から。
実際 その組み合わせで組まれたホイールを見たこともあります。
ハブの穴数はリムの穴数の2倍(1分の2倍)です。
その関係にあれば 穴数を減らしたほうが図にしやすいので
12Hハブと6Hリムで描くことにしますが、
まずは 6Hハブと6Hリムで描いたのが 上の図です。
ホイールを片側から見て自分に近いほうのフランジのスポークを青、
遠いほうを赤で描いています。
これらの0本組みのスポークは
ハブから放射状に延びる直線(以下 ラジアル線と呼ぶ)と
軌道が重なっています。
普通はそうなるので、スポークの計算式の関係上
私が「0本組み」と呼んでいる組み方は「ラジアル組み」と呼ばれます。

青スポーク側の3Hのみの表示にしました。
隣に リム~ハブ~リム型のホイールの展開図を描いておきます。
ラジアル組みのスポークは、ホイールの展開図では
横線に対して垂直な線になります。

ここから、実はこのハブは6H(片側3H)ではなく
12H(片側6H)でした、というフランジ穴を描き足しました。
この時点ではスポークの軌道は まだラジアル線上にあります。

均等間隔にずれた位相で 赤スポーク側の片側6Hの穴を描き足しました。

ここから、ハブの赤穴とリムの赤穴を 赤スポークで結びたいのですが、
上に赤の破線で描いたように ラジアル線上に重なる0本組みを取れません。
なので 位相ずれを起こしてでも
直近のどちらかの ハブの赤穴とリムの赤穴を結ぶしかありません。
このときにどちらを取るかで ねじれの向きが決まるのですが、

向かって 時計回りのリム穴を選びました。
ホイールの展開図でも 赤スポークは横線に対して垂直ではないので
ラジアル組みではない0本組みとなっています。
これは まだ仮組み、スポークテンションをかけていない状態ですが
ここからテンションを張っていくと

青スポークが赤スポークと逆の向きに ねじれます。
ねじれ具合は左右同じとなり、ホイールの展開図でも
垂直から反れた角度が左右同じになります。
このホイールは 理論上 気持ちのいいものではないですが、
使えるかどうかでいうと スポークテンションと
ニップルのゆるみ止め剤に気を遣えば 実用は十分可能です。
どうしてもホイール組みの費用を抑えたいとか
手持ちの材料で済ませたいなどの希望を叶えるうえでの
姑息的処置としては 一応ありだと思います。
売り物として 進んで組むことはしませんが。

つづいて、24Hハブ24Hリムのタンジェント組みを描きました。

スポークの最終交差を通るラジアル線を
青の線で描きました(最終交差の2本のスポークの合成)。
これを、先ほどの青スポークと同じようなものだと思ってください。
通常は この線は最終交差の二等分線になります。

上の図では まだ24Hと書いてありますが、
36Hハブと24Hリムでホイールを組むと
ハブの穴数はリムの穴数の1.5倍(2分の3倍)となり、
同じく 位相ずれが発生します。
このとき、タンジェント組みのスポークが
ラジアル組みのスポークと違うのは

ヤマアラシさん方向と反ヤマアラシさん方向のスポークで
同じ長さのスポークの リムへの到達度が違うということです。

それに加えて 冒頭のホイールと同じく
スポークの合成の線が 左右で違う向きに ねじれを起こしています。
上の図、合成の線でなくスポークそのものを描くと
非常に煩雑な見た目になるので こう表現しました。
片側の最終交差のスポークは、長さも違えば
縦横振れを取った際のスポークテンションも違います。
ホイールの仮組みをするときに、
スポークのねじ山の数を基準に 締め具合をそろえると
より効率的なホイール組みとなりますが

このホイールで 普通のホイールのように それをやると
左右の最終交差を ひとまとめにした4本のスポークでいうところの
内側の2本で 外周側に縦振れが出ます。
36Hハブ24Hリムで組むときの注意点です。
最終交差している2本のスポークは 必要とされる実効長さが異なりますが、
ニップルの端面にツライチを基準として
長い側のスポークが かすかに飛び出し、
短い側のスポークが かすかに引っ込むという感じで
同じスポーク長さで兼用できるように計算することは可能です。
それと合わせて、24Hリムに対して
たとえば「24Hハブの6本組み」と「36Hハブの読みの上では8本組み」では
後者のほうがスポークを長くする必要があるので
この2つを勘案して スポーク長さを出さないといけません。

ここで、例の 現行105ディスクハブ36Hと
DTのRR411dbリム24Hで組んだホイールになりますが

↑穴飛ばしで組んでます

読みの上で6本組みですが、
最終交差のスポークが通っているフランジ穴6つの間を
ちょうど二分するラジアル線を引くと(上の画像のスポーク)
見ての通り 最終交差が その上にありません。
位相ねじれを起こしています。
位相ねじれが起きないなどと書いて申し訳ありませんでした。
元記事(→こちら)は訂正はしませんが 冒頭に注釈を入れておきます。
「最終交差がラジアル線から反れているタンジェント組みのホイール」は
実用上 問題は無いのか?と訊かれそうなので答えておきますが、
これも先ほど書いたように テンションとゆるみ止め剤に
気を遣えば 実用上の問題はありません。
そもそもなぜ こういうホイールを組んだのかですが、
前後12mmスルーアクスルのディスクロード/シクロクロス用の
24Hホイールを組むにあたって 比較的安価なハブというのが
無かったためです(クリスキングは該当しませんよね)。
シマノのRS770ハブは 穴数が36H・32H・28Hまで、
それの ほぼ仕上げ違いのハブである
現行の105ディスクハブに至っては 32Hと36Hしかありません。
36Hのリムなんて探すほうが難しいわ!というのは
以前にも 書きました。
32Hハブ24Hリムだと2:1組みは出来るものの
ディスクハブの手組みの後輪でやるのは あまりにもリスキー、
36Hハブ24Hリムだと左右タンジェント組みで組めるので
現行105ディスクハブを使ってお手頃価格な
12mmスルーアクスルハブの24Hリムのホイールセットを組めるかも、
と思い 試験的に組んでみたのが このホイールです。
もちろん、105のディスクハブに24H仕様があれば
このような姑息的手段に拠ったホイールを組む必要はありません。
しかし現在では、Tniのレボディスクハブが 比較的安価な
12mmスルーアクスル仕様の24Hハブとして入手可能となったので、
「今後 多用することになるかもしれない」と書いた36Hハブ24Hリムのホイールを
あえて組む必要は無くなりました。ありがとうTni。
ちなみに、先日 レボディスクハブと AL22Wディスクリムで組んだ
24Hのホイールも 当初は105の36Hハブで組む予定でした。
昨日、デオーレLXの36Hハブと
RR411dbの24Hリムで後輪を組んでいますが、
これはハブを使い回したいというお客さんの希望を優先した結果です。
この時点では 位相ずれの件には気付いていたので
お客さんには 了解を得ています。
この位相ずれの件について、
私が「神奈川のアホ」と呼んでいる
いつも揚げ足取りのコメントをしてくる奴から
鬼の首をとったようなコメントが来ていますが、
邪道なホイールと知ったうえで それでもメリットを勘案したうえで断行したり
お客さんの希望を叶えるためにやっています。
お前は一生 反フリー側にガッツリずらした後輪組んでろアホが(→こちら)。
つづいて、手組みホイール以外で
且つ リムとハブの穴数も合っているのに
最終交差の位置が ずれているという 実例について。

このボントレガーのホイールですが、

最終交差のスポーク2本が「ハブ片側で ハイローフランジ」となっており、
フリー側でいうと ヤマアラシさん方向がスモールフランジ、
反ヤマアラシさん方向がラージフランジの穴から出ているため

最終交差の位置が ずれています。
当然 スポークテンションも 厳密には異なるのですが、
これが成立する(実際に売っている)くらいなら
36Hハブ24Hリム組みも
最終交差2本のテンション差については問題ないのでは?という話です。

これはWH-7701の前輪ですが、

これも「ハブ片側で ハイローフランジ」で こんな感じです。
この手のホイールは、もっと違う切り口で書きたい話があるのですが、
もう5年くらい放置しています。書く気はあります。

冒頭のラジアル組みの前輪と同じようで ちょっと違う
位相ずれの例について。
これは今年の6月19日に撮った画像ですが、
少なくとも その時点では
「位相ずれの話用に あえて片側だけ仮組みした
画像を撮っておかなきゃ」と思っていたということです。
上の画像、18Hのラジアル組みの前輪の
片側9Hだけを仮組みしています。
見ての通り 位相ねじれはありません。

もう片側のリム穴を 矢印で指し示しました。

片側のリム穴の ちょうど中間、ではありません。
これはペアスポーク仕様のリムだからです。
当然 ハブ側の穴の位相も ペアスポーク用に設定されています。

こういうリム穴になっていますが

もし 普通の18Hハブで赤スポーク側を通すと
こういう位相ねじれが発生します。
赤の破線は 普通のハブの等間隔の穴を通るラジアル線です。
ここからテンションを上げると 冒頭の前輪と同じく
左右でねじれの向きが違う 0本組みのホイールになります。
仮に これくらいの位相ねじれ(普通のハブとペアスポーク用リムの組み合わせ)が
あって 20Hだったとして 左右タンジェント組みをしたとすると、
最終交差の2本のスポークの 長さやテンションの差は
ホイール組みが出来る範囲には治まらないと思います。
なので そういうホイールを組んでほしいと言われたら断ると思いますが、
36Hハブ24Hリムの場合は 事情によっては・・・という感じです。

実際の このコリマのハブでは、
赤リム穴とのラジアル線上に 赤ハブ穴を設けてますので

ペアスポークで0本組みが ラジアル組みとなります。
36Hハブ24Hリム組みですが、
24Hのリムがあっても 24Hのハブの選択肢がなかなか無い
ダイナモフロントハブや内装変速リヤハブで
ホイールを組む場合などにも「やむなく」されることがある組み方です。
なんか そういうホイールを組んだ覚えがあるので
調べてみたところ 見つかりました。
その記事中には
「で、位相ずれを起こすので 36Hハブ24Hリム組みは
ちゃんとしたものにならない!と言いながら
今回組んだ理由ですが、
お客さんが リムをすでに買ってしまったからです。
で、何とかしてくれと言われたからです。」
などと書いてあり、しかも位相ずれに関する板書も
ほとんど同じことが描いてありました(→こちら)。
最終交差の2本のテンション差についても言及しており、
それをスポーク比重の差で取るのは
現実的には無理だということまで書いてあります。
でもこれRR411dbリムのホイールより 前なんですよね・・・。
なのになぜRR411dbのときに
「位相ずれは起きない」とカンチガイしたのか・・・。
とにかく、申し訳ありませんでした。
追記:
ペアスポーク穴リムを 均等間隔穴リム用ハブ(要は普通のハブ)で
組んでいる 横着なホイールというのが
メリダやビアンキの完成車付属品でありますが、
28Hや32Hなどスポーク数が多いと
一見して 位相ねじれが分からない感じになります。
これについても 私が組み直した例がありました(→こちら)。
位相ねじれのホイールのスポークは
低テンション側を十分に張るようにしないと
ゆるみが出やすいことに言及しており、
最終交差の2本のスポークの長さを同じにした場合
ニップルの端面から見た ねじ山のかかり具合が違うことも
画像付きで書いてあります。
この記事中では 2つのスポークの端を
ニップルの端面から それぞれちょっとプラスマイナスと書きましたが
リンク先の記事では それよりやや短く
短いほうがすり割りの底、長いほうがニップルの端面とツライチで
組んであります。
ホイールの調べごとをしようとした結果 このブログに行き着いて
「なんで 自分の書いたもん読まなあかんねん」となることが多いのですが
たまには役に立つこともあるものです。
ハブとリムの穴数違い組みをした際に起こる 位相ずれについて書きます。
黒のマーカーがかすれて色が出なかったので
普段 黒で描いているところを 緑で描いています。
見にくかったら スミマセン。

まずは、36Hハブと18Hリムで
ラジアル組みの前輪を組むと どうなるか、という話から。
実際 その組み合わせで組まれたホイールを見たこともあります。
ハブの穴数はリムの穴数の2倍(1分の2倍)です。
その関係にあれば 穴数を減らしたほうが図にしやすいので
12Hハブと6Hリムで描くことにしますが、
まずは 6Hハブと6Hリムで描いたのが 上の図です。
ホイールを片側から見て自分に近いほうのフランジのスポークを青、
遠いほうを赤で描いています。
これらの0本組みのスポークは
ハブから放射状に延びる直線(以下 ラジアル線と呼ぶ)と
軌道が重なっています。
普通はそうなるので、スポークの計算式の関係上
私が「0本組み」と呼んでいる組み方は「ラジアル組み」と呼ばれます。

青スポーク側の3Hのみの表示にしました。
隣に リム~ハブ~リム型のホイールの展開図を描いておきます。
ラジアル組みのスポークは、ホイールの展開図では
横線に対して垂直な線になります。

ここから、実はこのハブは6H(片側3H)ではなく
12H(片側6H)でした、というフランジ穴を描き足しました。
この時点ではスポークの軌道は まだラジアル線上にあります。

均等間隔にずれた位相で 赤スポーク側の片側6Hの穴を描き足しました。

ここから、ハブの赤穴とリムの赤穴を 赤スポークで結びたいのですが、
上に赤の破線で描いたように ラジアル線上に重なる0本組みを取れません。
なので 位相ずれを起こしてでも
直近のどちらかの ハブの赤穴とリムの赤穴を結ぶしかありません。
このときにどちらを取るかで ねじれの向きが決まるのですが、

向かって 時計回りのリム穴を選びました。
ホイールの展開図でも 赤スポークは横線に対して垂直ではないので
ラジアル組みではない0本組みとなっています。
これは まだ仮組み、スポークテンションをかけていない状態ですが
ここからテンションを張っていくと

青スポークが赤スポークと逆の向きに ねじれます。
ねじれ具合は左右同じとなり、ホイールの展開図でも
垂直から反れた角度が左右同じになります。
このホイールは 理論上 気持ちのいいものではないですが、
使えるかどうかでいうと スポークテンションと
ニップルのゆるみ止め剤に気を遣えば 実用は十分可能です。
どうしてもホイール組みの費用を抑えたいとか
手持ちの材料で済ませたいなどの希望を叶えるうえでの
姑息的処置としては 一応ありだと思います。
売り物として 進んで組むことはしませんが。

つづいて、24Hハブ24Hリムのタンジェント組みを描きました。

スポークの最終交差を通るラジアル線を
青の線で描きました(最終交差の2本のスポークの合成)。
これを、先ほどの青スポークと同じようなものだと思ってください。
通常は この線は最終交差の二等分線になります。

上の図では まだ24Hと書いてありますが、
36Hハブと24Hリムでホイールを組むと
ハブの穴数はリムの穴数の1.5倍(2分の3倍)となり、
同じく 位相ずれが発生します。
このとき、タンジェント組みのスポークが
ラジアル組みのスポークと違うのは

ヤマアラシさん方向と反ヤマアラシさん方向のスポークで
同じ長さのスポークの リムへの到達度が違うということです。

それに加えて 冒頭のホイールと同じく
スポークの合成の線が 左右で違う向きに ねじれを起こしています。
上の図、合成の線でなくスポークそのものを描くと
非常に煩雑な見た目になるので こう表現しました。
片側の最終交差のスポークは、長さも違えば
縦横振れを取った際のスポークテンションも違います。
ホイールの仮組みをするときに、
スポークのねじ山の数を基準に 締め具合をそろえると
より効率的なホイール組みとなりますが

このホイールで 普通のホイールのように それをやると
左右の最終交差を ひとまとめにした4本のスポークでいうところの
内側の2本で 外周側に縦振れが出ます。
36Hハブ24Hリムで組むときの注意点です。
最終交差している2本のスポークは 必要とされる実効長さが異なりますが、
ニップルの端面にツライチを基準として
長い側のスポークが かすかに飛び出し、
短い側のスポークが かすかに引っ込むという感じで
同じスポーク長さで兼用できるように計算することは可能です。
それと合わせて、24Hリムに対して
たとえば「24Hハブの6本組み」と「36Hハブの読みの上では8本組み」では
後者のほうがスポークを長くする必要があるので
この2つを勘案して スポーク長さを出さないといけません。

ここで、例の 現行105ディスクハブ36Hと
DTのRR411dbリム24Hで組んだホイールになりますが

↑穴飛ばしで組んでます

読みの上で6本組みですが、
最終交差のスポークが通っているフランジ穴6つの間を
ちょうど二分するラジアル線を引くと(上の画像のスポーク)
見ての通り 最終交差が その上にありません。
位相ねじれを起こしています。
位相ねじれが起きないなどと書いて申し訳ありませんでした。
元記事(→こちら)は訂正はしませんが 冒頭に注釈を入れておきます。
「最終交差がラジアル線から反れているタンジェント組みのホイール」は
実用上 問題は無いのか?と訊かれそうなので答えておきますが、
これも先ほど書いたように テンションとゆるみ止め剤に
気を遣えば 実用上の問題はありません。
そもそもなぜ こういうホイールを組んだのかですが、
前後12mmスルーアクスルのディスクロード/シクロクロス用の
24Hホイールを組むにあたって 比較的安価なハブというのが
無かったためです(クリスキングは該当しませんよね)。
シマノのRS770ハブは 穴数が36H・32H・28Hまで、
それの ほぼ仕上げ違いのハブである
現行の105ディスクハブに至っては 32Hと36Hしかありません。
36Hのリムなんて探すほうが難しいわ!というのは
以前にも 書きました。
32Hハブ24Hリムだと2:1組みは出来るものの
ディスクハブの手組みの後輪でやるのは あまりにもリスキー、
36Hハブ24Hリムだと左右タンジェント組みで組めるので
現行105ディスクハブを使ってお手頃価格な
12mmスルーアクスルハブの24Hリムのホイールセットを組めるかも、
と思い 試験的に組んでみたのが このホイールです。
もちろん、105のディスクハブに24H仕様があれば
このような姑息的手段に拠ったホイールを組む必要はありません。
しかし現在では、Tniのレボディスクハブが 比較的安価な
12mmスルーアクスル仕様の24Hハブとして入手可能となったので、
「今後 多用することになるかもしれない」と書いた36Hハブ24Hリムのホイールを
あえて組む必要は無くなりました。ありがとうTni。
ちなみに、先日 レボディスクハブと AL22Wディスクリムで組んだ
24Hのホイールも 当初は105の36Hハブで組む予定でした。
昨日、デオーレLXの36Hハブと
RR411dbの24Hリムで後輪を組んでいますが、
これはハブを使い回したいというお客さんの希望を優先した結果です。
この時点では 位相ずれの件には気付いていたので
お客さんには 了解を得ています。
この位相ずれの件について、
私が「神奈川のアホ」と呼んでいる
いつも揚げ足取りのコメントをしてくる奴から
鬼の首をとったようなコメントが来ていますが、
邪道なホイールと知ったうえで それでもメリットを勘案したうえで断行したり
お客さんの希望を叶えるためにやっています。
お前は一生 反フリー側にガッツリずらした後輪組んでろアホが(→こちら)。
つづいて、手組みホイール以外で
且つ リムとハブの穴数も合っているのに
最終交差の位置が ずれているという 実例について。

このボントレガーのホイールですが、

最終交差のスポーク2本が「ハブ片側で ハイローフランジ」となっており、
フリー側でいうと ヤマアラシさん方向がスモールフランジ、
反ヤマアラシさん方向がラージフランジの穴から出ているため

最終交差の位置が ずれています。
当然 スポークテンションも 厳密には異なるのですが、
これが成立する(実際に売っている)くらいなら
36Hハブ24Hリム組みも
最終交差2本のテンション差については問題ないのでは?という話です。

これはWH-7701の前輪ですが、

これも「ハブ片側で ハイローフランジ」で こんな感じです。
この手のホイールは、もっと違う切り口で書きたい話があるのですが、
もう5年くらい放置しています。書く気はあります。

冒頭のラジアル組みの前輪と同じようで ちょっと違う
位相ずれの例について。
これは今年の6月19日に撮った画像ですが、
少なくとも その時点では
「位相ずれの話用に あえて片側だけ仮組みした
画像を撮っておかなきゃ」と思っていたということです。
上の画像、18Hのラジアル組みの前輪の
片側9Hだけを仮組みしています。
見ての通り 位相ねじれはありません。

もう片側のリム穴を 矢印で指し示しました。

片側のリム穴の ちょうど中間、ではありません。
これはペアスポーク仕様のリムだからです。
当然 ハブ側の穴の位相も ペアスポーク用に設定されています。

こういうリム穴になっていますが

もし 普通の18Hハブで赤スポーク側を通すと
こういう位相ねじれが発生します。
赤の破線は 普通のハブの等間隔の穴を通るラジアル線です。
ここからテンションを上げると 冒頭の前輪と同じく
左右でねじれの向きが違う 0本組みのホイールになります。
仮に これくらいの位相ねじれ(普通のハブとペアスポーク用リムの組み合わせ)が
あって 20Hだったとして 左右タンジェント組みをしたとすると、
最終交差の2本のスポークの 長さやテンションの差は
ホイール組みが出来る範囲には治まらないと思います。
なので そういうホイールを組んでほしいと言われたら断ると思いますが、
36Hハブ24Hリムの場合は 事情によっては・・・という感じです。

実際の このコリマのハブでは、
赤リム穴とのラジアル線上に 赤ハブ穴を設けてますので

ペアスポークで0本組みが ラジアル組みとなります。
36Hハブ24Hリム組みですが、
24Hのリムがあっても 24Hのハブの選択肢がなかなか無い
ダイナモフロントハブや内装変速リヤハブで
ホイールを組む場合などにも「やむなく」されることがある組み方です。
なんか そういうホイールを組んだ覚えがあるので
調べてみたところ 見つかりました。
その記事中には
「で、位相ずれを起こすので 36Hハブ24Hリム組みは
ちゃんとしたものにならない!と言いながら
今回組んだ理由ですが、
お客さんが リムをすでに買ってしまったからです。
で、何とかしてくれと言われたからです。」
などと書いてあり、しかも位相ずれに関する板書も
ほとんど同じことが描いてありました(→こちら)。
最終交差の2本のテンション差についても言及しており、
それをスポーク比重の差で取るのは
現実的には無理だということまで書いてあります。
でもこれRR411dbリムのホイールより 前なんですよね・・・。
なのになぜRR411dbのときに
「位相ずれは起きない」とカンチガイしたのか・・・。
とにかく、申し訳ありませんでした。
追記:
ペアスポーク穴リムを 均等間隔穴リム用ハブ(要は普通のハブ)で
組んでいる 横着なホイールというのが
メリダやビアンキの完成車付属品でありますが、
28Hや32Hなどスポーク数が多いと
一見して 位相ねじれが分からない感じになります。
これについても 私が組み直した例がありました(→こちら)。
位相ねじれのホイールのスポークは
低テンション側を十分に張るようにしないと
ゆるみが出やすいことに言及しており、
最終交差の2本のスポークの長さを同じにした場合
ニップルの端面から見た ねじ山のかかり具合が違うことも
画像付きで書いてあります。
この記事中では 2つのスポークの端を
ニップルの端面から それぞれちょっとプラスマイナスと書きましたが
リンク先の記事では それよりやや短く
短いほうがすり割りの底、長いほうがニップルの端面とツライチで
組んであります。
ホイールの調べごとをしようとした結果 このブログに行き着いて
「なんで 自分の書いたもん読まなあかんねん」となることが多いのですが
たまには役に立つこともあるものです。
category: 位相の話
お休み位相の秘密 
2017/11/03 Fri. 01:39 [edit]
2:1組みで後輪を組む場合、
穴振りが右左右(×n)に振っていても 穴振り無しでも、
均等間隔リム穴である場合がほとんどです。

ホイールを真横から見たときに反フリー側ラジアル組みのスポークが
フリー側最終交差と重なる軌道になるのがЖ組み、
ならないのがXI組みですが、
左右異数組みの是正度のカウンターをする意味でも
最終交差の挟角が大きくなるЖ組みで2:1組みをしたいところです。

↑ヴィットリア
XI組みです。2クロス実効6本組みなので これでいけると思ったのでしょうか。
最終交差の2本のスポークの合力を1本の仮想スポークと見なせば
XI組みの場合は等間隔リム穴の左右ラジアル組み、
Ж組みの場合は完全ペアスポークの左右ラジアル組みとなりますが
XI組みのほうがバランスが良いと判断したのかもしれません。
私はそれよりも最終交差の挟角のほうが大要素だと思うので
Ж組みを推しますが。

↑ローヴァル
XI組みです。
ヴィットリアよりも最終交差が「尖っている」のは、
ヴィットリアが(2+1)×7の21Hなのに対し
こちらは×8の24Hだからです。

↑フルクラム
こちらも21Hですが、フランジ径が大きいことを勘案しても
最終交差が「鈍い」のには理由があります。
フルクラムもXI組みではありますが、

フルクラムの21Hは、28Hの反フリー側ラジアル組みの
左右同数スポークの(つまりは普通の)後輪から
反フリー側のスポークを半分 間引いただけの形になり、
間引いた後は リム穴を詰めずに そのまま(お休み位相)にしてあるので

反フリー側のスポークのうち、どちらを間引こうが
フリー側の最終交差の角度は変わらないという性質を持っています。
手組みホイールの24Hリムで2:1組みする場合
(専用穴振りでなければ)穴振りの無いリムである必要がありますが、
28Hリムを使っての21Hのお休み位相あり2:1組みだと
穴振りがあっても 合うので組めます。
お休み位相の穴を塞ぐ方法を考えないといけませんが。
ちなみに作例もあります(→こちら)。
こちらの場合はストレートスポーク用ハブの都合上
XI組みをЖ組みに変えることが出来ませんでした。
追記:リンク先のホイール、
反フリー側がCX-RAY7本で組んでますけど 大丈夫なんですかね?
というコメントをいただきました。
ヴィットリアに訊いてください、というのが答えですが、
ちゃんと答えますと 元の状態でDTのエアロライトストレートなので
そもそもがCX-RAY相当です。
組み換えの前後とも ストレートスポークなので
首折れスポークよりは首とびリスクが少ないかとは思います。
もし組み直しの理由が「ヌルいから何とかしてくれ」であったなら
旧ボーラやシマノC50の補修用スポークで 長さが合うものを探して
流用したかもしれません。
完組みホイールメーカーで、
スポーク比重65%前後の首折れスポークで
左右異数組みをしている例は、ちょっと思いつきません。
昔のレーシング5や7は リヤハブの片側または両側が
首折れスポーク仕様でしたが、細いスポークを使っていませんでした。
左右異数組みは、それなり以上のホイールを組もうと思えば
汎用の材料では ちょっと難しいのではと思います。
コメントありがとうございました。
穴振りが右左右(×n)に振っていても 穴振り無しでも、
均等間隔リム穴である場合がほとんどです。

ホイールを真横から見たときに反フリー側ラジアル組みのスポークが
フリー側最終交差と重なる軌道になるのがЖ組み、
ならないのがXI組みですが、
左右異数組みの是正度のカウンターをする意味でも
最終交差の挟角が大きくなるЖ組みで2:1組みをしたいところです。

↑ヴィットリア
XI組みです。2クロス実効6本組みなので これでいけると思ったのでしょうか。
最終交差の2本のスポークの合力を1本の仮想スポークと見なせば
XI組みの場合は等間隔リム穴の左右ラジアル組み、
Ж組みの場合は完全ペアスポークの左右ラジアル組みとなりますが
XI組みのほうがバランスが良いと判断したのかもしれません。
私はそれよりも最終交差の挟角のほうが大要素だと思うので
Ж組みを推しますが。

↑ローヴァル
XI組みです。
ヴィットリアよりも最終交差が「尖っている」のは、
ヴィットリアが(2+1)×7の21Hなのに対し
こちらは×8の24Hだからです。

↑フルクラム
こちらも21Hですが、フランジ径が大きいことを勘案しても
最終交差が「鈍い」のには理由があります。
フルクラムもXI組みではありますが、

フルクラムの21Hは、28Hの反フリー側ラジアル組みの
左右同数スポークの(つまりは普通の)後輪から
反フリー側のスポークを半分 間引いただけの形になり、
間引いた後は リム穴を詰めずに そのまま(お休み位相)にしてあるので

反フリー側のスポークのうち、どちらを間引こうが
フリー側の最終交差の角度は変わらないという性質を持っています。
手組みホイールの24Hリムで2:1組みする場合
(専用穴振りでなければ)穴振りの無いリムである必要がありますが、
28Hリムを使っての21Hのお休み位相あり2:1組みだと
穴振りがあっても 合うので組めます。
お休み位相の穴を塞ぐ方法を考えないといけませんが。
ちなみに作例もあります(→こちら)。
こちらの場合はストレートスポーク用ハブの都合上
XI組みをЖ組みに変えることが出来ませんでした。
追記:リンク先のホイール、
反フリー側がCX-RAY7本で組んでますけど 大丈夫なんですかね?
というコメントをいただきました。
ヴィットリアに訊いてください、というのが答えですが、
ちゃんと答えますと 元の状態でDTのエアロライトストレートなので
そもそもがCX-RAY相当です。
組み換えの前後とも ストレートスポークなので
首折れスポークよりは首とびリスクが少ないかとは思います。
もし組み直しの理由が「ヌルいから何とかしてくれ」であったなら
旧ボーラやシマノC50の補修用スポークで 長さが合うものを探して
流用したかもしれません。
完組みホイールメーカーで、
スポーク比重65%前後の首折れスポークで
左右異数組みをしている例は、ちょっと思いつきません。
昔のレーシング5や7は リヤハブの片側または両側が
首折れスポーク仕様でしたが、細いスポークを使っていませんでした。
左右異数組みは、それなり以上のホイールを組もうと思えば
汎用の材料では ちょっと難しいのではと思います。
コメントありがとうございました。
category: 位相の話
24Hリムを36Hハブで組みました 
2016/08/07 Sun. 23:56 [edit]
お客さんから 内装変速リヤハブの小径ホイールをお預かりしました。

これのリムを交換してほしいということです。
組み換え後のリムはALEXRIMSのDA16ですが、
シングルウォールリムからダブルウォールリムになるので
強度の面でも ニップルが原因のパンクが無くなるという面でも
メリットがあります。

ハブはスターメー・アーチャーのスプリントというモデルで
36HロクロクJIS組みになっています。
ここで問題がありまして、組み換え希望で持って来られたリムが24Hなのです。
36Hハブで24Hリムが組めるか?という話なのですが
「ちゃんとしたもの」には なりません。
どういうことなのかは これから書いていきますが、

まずは ホイールの展開図から。
今回はハブ~リム~ハブ型にしました。

このようになります。
90°の部分で切ると中途半端なので180°にしました。
これの2回反復分で360°です。
36Hから24Hは 穴数が3分の2になるので、
ハブの3穴から2穴を使う形になります。
なので上の図では「3本組み1クロス」になっています。
組めるかどうかの確認と、位相ずれを調べるだけなら
タンジェント組みは1クロスで表現して問題ありません。
2クロス以上になると さっと描くのが面倒だからです。
いま「位相ずれ」と書きましたが、今回は これが起きています。

交差しているスポークをそれぞれA・Bとします。
計算すると、
Aのスポークは 展開図上では ハブの5°とリムの37.5°を結んだ線分になります。
同様にBのスポークは ハブの45°とリムの7.5°を結んだ線分です。
ハブから、展開図の平行線と直交する破線を書き足しました。
これは、ラジアル組みのスポークの軌道になります。
リムの線を直角三角形の底辺とすると、Aの底辺は差し引き32.5°の長さ、
Bの底辺は差し引き37.5°の長さになります。
底辺の長さが異なるということは、斜辺の長さ(=スポークの長さ)も異なるわけで
スポークAよりも スポークBのほうが長いということになります。
また、斜辺の角度が ラジアル線に より近いスポークAのほうが
ラジアル組みに近いということになるので
スポークテンションはAのほうが低くなります。
これについては 別件でいずれ書くかと思いますが、
こういう場合にAのほうのスポーク比重を小さくすることで
スポークテンションのバランスを取ることは理論上は可能です。
ただ、現実的には 安定供給されるスポークは
スポーク比重100%と85%と65%の3種類程度なので
狙って ちょうどのバランスにするのは無理です。

左右同本組みするとして、反対側の交差でも同じことが起きているので、
タンジェント組みの最終交差左右セット4本のうち 真ん中の2本(A)は
縦横振れを取り切った状態で 相方のスポーク(B)より
スポークテンションが低くなる、ということになります。
さらに、今回のハブはオチョコがあるので
都合4種類のスポーク長さが必要になります。
これが位相ずれ問題です。
ここまでの図では、ハブのお休み位相を中心にして
3本組み1クロスとしているわけですが、
現実には2クロスで組みたいところです。
24Hハブ24Hリムであれば4本組みになりますが、
36Hハブ24Hでは5本組みになります。
それを図で描くと

↑これはまだ 3本組み1クロスで・・・

5本組み2クロスは こうなります。

お隣さんを追加

さらに追加
スポークがハブからリムまで届く間に 2回の交差があります(2クロス)。

ここで重要なのが、この展開図は始めから
奥の(図でいうと上側の)お休み位相のハブ穴から覗いて
手前(図でいうと下側)のお休み位相のハブ穴が
右にずれた位置関係になっている、ということです。
仮に これを「右休み」と呼ぶことにします。

右休みで 反対側も5本組み2クロスにしました。

右休みの場合、左右タンジェント組み4本1セットのスポークが
バルブ穴をまたぐことはありません。

↑左休みの場合、バルブ穴が かっこ悪い位相に来ます。

片側のみ仮組みしました。

実は、この時点ではまだ 位相ずれは起きていません。
お休み穴のラジアル線上に最終交差があります。
あと、反ヌポークのスポークヘッドを見ると分かりやすいのですが
同じ反ヌポークのスポークヘッドは 3つ隣になります。
これを覚えておいてください。
なぜ まだ位相ずれが起きていないのかというと、

それは「36Hハブで18Hリムを組む場合」で簡単に説明できます。
(この図は冒頭と違いリム~ハブ~リム型です。ご注意ください)
上の図ではまだ 18Hハブと18Hリムなので、

このように

過不足なく(←当たり前ですが)
ハブ穴とリム穴がスポークでつながります。

ハブを36Hにしました。
穴数が倍になりますが、ハブの線上でいうと
18Hのときに右左右左右左・・・の位相にあった穴は全て右穴となり、
その中間に左穴が発生します。
左穴は赤で描きました。

右側のラジアル組み「だけ」を通すと こうなりますが、

左側は位相ずれが起きます。

そこからスポークテンションを上げていくと、
先ほどの図の右0本ラジアル組みと 左0本位相ずれ組みで
左右のずれが平均化して このようになります。
ここから、ハブの線より下側(右リム)を 上に向かって折り畳むと

こうなります。

それをホイールの図に戻すと こんな感じです。
左右とも0本組みなのに、スポークの軌道が
それぞれ逆の向きに絞ったように少しそれているため
厳密な意味でのラジアル組みではありません。
この状態のホイールが「ちゃんとしたもの」と言っていいのなら
今回の36Hハブ24Hリム組みも ちゃんとしたものと言えるわけですが、
私は そうは思いません。
で、片側のみの仮組みでは
36Hハブ18Hリムの0本組みが ラジアル組みであったように、
36Hハブ24Hリムの片側のみの仮組みも
位相ずれを まだ起こしていないということです。

反フリー側の長さになる予定のスポークを、5本組みで通してみました。
両方ともヌポーク通しなのは、仮に通すだけなら こっちのほうが楽だからです。
先ほど「反ヌポークのスポークヘッドが次に来るのは3つ隣」と書きましたが、
これは5本組み位相が3つ存在していて、4つめからは1つめと同じ位相となり
ループしているということです。
3つの位相のうち スポークを突き合わせた先端が
フリー側のリム穴に最も近くなる位相が、
最も位相ずれが少ないということになります。

位相その1

位相その2

位相その3
位相その1か その3、どっちでも良さそうですね。
しかしこれは 先ほど書いた右休み左休みの違いです。

反フリー側のスポークを通しました。

左休みになっているので

バルブ穴は ここです。
見せようと思ってやったのではなく 不覚にもナチュラルにやらかしました。
なお、穴振りを正リムではなく 逆リム扱いして組めば
バルブ穴の位置を変えられますが
このリムの内周側の穴は 明確に正リム穴振りがあるので それはできません。

組めました。

左右とも5本組み2クロスなので ヨンヨン組み相当です。
左右異本組みをしよう、とは思いませんでした。
このハブ、オチョコがありますが その左右差は
現行の平均的な11Sフリーハブの ちょうど半分くらいです。
なので左右同本組みでも極端なテンション差はありません。
それよりも「左右4本セットのうちの真ん中2本がヌルい問題」のほうが深刻です。
これは、真ん中2本がゆるみを起こしにくいほど張ったうえで
(ということは端の2本はもっとキンキンに張ることになりますが)、
さらに ちょっと強めのねじ止め剤を使うことで、
ゆるみを防ぐことができると思います。

↑奥のフランジの休み穴から見て右休みです。
休み穴からのラジアル線上に最終交差が来ていないということは、
位相ずれを起こしているということです。

↑正リム扱いで バルブ穴ずれを起こしていません。

ところで、冒頭から当たり前のように
3本組み1クロス・5本組み2クロスと「奇数本組み」をしていますが、
フランジ穴3つのうち2つを選ぶわけなので
2本組み1クロス・6本組み2クロスなどの「偶数本組み」も可能です。
最終交差の根元のフランジ穴から出たスポークが
お休み穴に向かうのが
3本組み1クロスと 6本組み2クロス(上の図 青)、
お休み穴に背を向けるのが
2本組み1クロスと 5本組み2クロス(上の図 赤)です。

↑一応 思いついてたという証拠
で、位相ずれを起こすので 36Hハブ24Hリム組みは
ちゃんとしたものにならない!と言いながら
今回組んだ理由ですが、
お客さんが リムをすでに買ってしまったからです。
で、何とかしてくれと言われたからです。
ところで、ちょっと調べたら 同じようなことを前に書いてました(→こちら)。

これのリムを交換してほしいということです。
組み換え後のリムはALEXRIMSのDA16ですが、
シングルウォールリムからダブルウォールリムになるので
強度の面でも ニップルが原因のパンクが無くなるという面でも
メリットがあります。

ハブはスターメー・アーチャーのスプリントというモデルで
36HロクロクJIS組みになっています。
ここで問題がありまして、組み換え希望で持って来られたリムが24Hなのです。
36Hハブで24Hリムが組めるか?という話なのですが
「ちゃんとしたもの」には なりません。
どういうことなのかは これから書いていきますが、

まずは ホイールの展開図から。
今回はハブ~リム~ハブ型にしました。

このようになります。
90°の部分で切ると中途半端なので180°にしました。
これの2回反復分で360°です。
36Hから24Hは 穴数が3分の2になるので、
ハブの3穴から2穴を使う形になります。
なので上の図では「3本組み1クロス」になっています。
組めるかどうかの確認と、位相ずれを調べるだけなら
タンジェント組みは1クロスで表現して問題ありません。
2クロス以上になると さっと描くのが面倒だからです。
いま「位相ずれ」と書きましたが、今回は これが起きています。

交差しているスポークをそれぞれA・Bとします。
計算すると、
Aのスポークは 展開図上では ハブの5°とリムの37.5°を結んだ線分になります。
同様にBのスポークは ハブの45°とリムの7.5°を結んだ線分です。
ハブから、展開図の平行線と直交する破線を書き足しました。
これは、ラジアル組みのスポークの軌道になります。
リムの線を直角三角形の底辺とすると、Aの底辺は差し引き32.5°の長さ、
Bの底辺は差し引き37.5°の長さになります。
底辺の長さが異なるということは、斜辺の長さ(=スポークの長さ)も異なるわけで
スポークAよりも スポークBのほうが長いということになります。
また、斜辺の角度が ラジアル線に より近いスポークAのほうが
ラジアル組みに近いということになるので
スポークテンションはAのほうが低くなります。
これについては 別件でいずれ書くかと思いますが、
こういう場合にAのほうのスポーク比重を小さくすることで
スポークテンションのバランスを取ることは理論上は可能です。
ただ、現実的には 安定供給されるスポークは
スポーク比重100%と85%と65%の3種類程度なので
狙って ちょうどのバランスにするのは無理です。

左右同本組みするとして、反対側の交差でも同じことが起きているので、
タンジェント組みの最終交差左右セット4本のうち 真ん中の2本(A)は
縦横振れを取り切った状態で 相方のスポーク(B)より
スポークテンションが低くなる、ということになります。
さらに、今回のハブはオチョコがあるので
都合4種類のスポーク長さが必要になります。
これが位相ずれ問題です。
ここまでの図では、ハブのお休み位相を中心にして
3本組み1クロスとしているわけですが、
現実には2クロスで組みたいところです。
24Hハブ24Hリムであれば4本組みになりますが、
36Hハブ24Hでは5本組みになります。
それを図で描くと

↑これはまだ 3本組み1クロスで・・・

5本組み2クロスは こうなります。

お隣さんを追加

さらに追加
スポークがハブからリムまで届く間に 2回の交差があります(2クロス)。

ここで重要なのが、この展開図は始めから
奥の(図でいうと上側の)お休み位相のハブ穴から覗いて
手前(図でいうと下側)のお休み位相のハブ穴が
右にずれた位置関係になっている、ということです。
仮に これを「右休み」と呼ぶことにします。

右休みで 反対側も5本組み2クロスにしました。

右休みの場合、左右タンジェント組み4本1セットのスポークが
バルブ穴をまたぐことはありません。

↑左休みの場合、バルブ穴が かっこ悪い位相に来ます。

片側のみ仮組みしました。

実は、この時点ではまだ 位相ずれは起きていません。
お休み穴のラジアル線上に最終交差があります。
あと、反ヌポークのスポークヘッドを見ると分かりやすいのですが
同じ反ヌポークのスポークヘッドは 3つ隣になります。
これを覚えておいてください。
なぜ まだ位相ずれが起きていないのかというと、

それは「36Hハブで18Hリムを組む場合」で簡単に説明できます。
(この図は冒頭と違いリム~ハブ~リム型です。ご注意ください)
上の図ではまだ 18Hハブと18Hリムなので、

このように

過不足なく(←当たり前ですが)
ハブ穴とリム穴がスポークでつながります。

ハブを36Hにしました。
穴数が倍になりますが、ハブの線上でいうと
18Hのときに右左右左右左・・・の位相にあった穴は全て右穴となり、
その中間に左穴が発生します。
左穴は赤で描きました。

右側のラジアル組み「だけ」を通すと こうなりますが、

左側は位相ずれが起きます。

そこからスポークテンションを上げていくと、
先ほどの図の右0本ラジアル組みと 左0本位相ずれ組みで
左右のずれが平均化して このようになります。
ここから、ハブの線より下側(右リム)を 上に向かって折り畳むと

こうなります。

それをホイールの図に戻すと こんな感じです。
左右とも0本組みなのに、スポークの軌道が
それぞれ逆の向きに絞ったように少しそれているため
厳密な意味でのラジアル組みではありません。
この状態のホイールが「ちゃんとしたもの」と言っていいのなら
今回の36Hハブ24Hリム組みも ちゃんとしたものと言えるわけですが、
私は そうは思いません。
で、片側のみの仮組みでは
36Hハブ18Hリムの0本組みが ラジアル組みであったように、
36Hハブ24Hリムの片側のみの仮組みも
位相ずれを まだ起こしていないということです。

反フリー側の長さになる予定のスポークを、5本組みで通してみました。
両方ともヌポーク通しなのは、仮に通すだけなら こっちのほうが楽だからです。
先ほど「反ヌポークのスポークヘッドが次に来るのは3つ隣」と書きましたが、
これは5本組み位相が3つ存在していて、4つめからは1つめと同じ位相となり
ループしているということです。
3つの位相のうち スポークを突き合わせた先端が
フリー側のリム穴に最も近くなる位相が、
最も位相ずれが少ないということになります。

位相その1

位相その2

位相その3
位相その1か その3、どっちでも良さそうですね。
しかしこれは 先ほど書いた右休み左休みの違いです。

反フリー側のスポークを通しました。

左休みになっているので

バルブ穴は ここです。
見せようと思ってやったのではなく 不覚にもナチュラルにやらかしました。
なお、穴振りを正リムではなく 逆リム扱いして組めば
バルブ穴の位置を変えられますが
このリムの内周側の穴は 明確に正リム穴振りがあるので それはできません。

組めました。

左右とも5本組み2クロスなので ヨンヨン組み相当です。
左右異本組みをしよう、とは思いませんでした。
このハブ、オチョコがありますが その左右差は
現行の平均的な11Sフリーハブの ちょうど半分くらいです。
なので左右同本組みでも極端なテンション差はありません。
それよりも「左右4本セットのうちの真ん中2本がヌルい問題」のほうが深刻です。
これは、真ん中2本がゆるみを起こしにくいほど張ったうえで
(ということは端の2本はもっとキンキンに張ることになりますが)、
さらに ちょっと強めのねじ止め剤を使うことで、
ゆるみを防ぐことができると思います。

↑奥のフランジの休み穴から見て右休みです。
休み穴からのラジアル線上に最終交差が来ていないということは、
位相ずれを起こしているということです。

↑正リム扱いで バルブ穴ずれを起こしていません。

ところで、冒頭から当たり前のように
3本組み1クロス・5本組み2クロスと「奇数本組み」をしていますが、
フランジ穴3つのうち2つを選ぶわけなので
2本組み1クロス・6本組み2クロスなどの「偶数本組み」も可能です。
最終交差の根元のフランジ穴から出たスポークが
お休み穴に向かうのが
3本組み1クロスと 6本組み2クロス(上の図 青)、
お休み穴に背を向けるのが
2本組み1クロスと 5本組み2クロス(上の図 赤)です。

↑一応 思いついてたという証拠
で、位相ずれを起こすので 36Hハブ24Hリム組みは
ちゃんとしたものにならない!と言いながら
今回組んだ理由ですが、
お客さんが リムをすでに買ってしまったからです。
で、何とかしてくれと言われたからです。
ところで、ちょっと調べたら 同じようなことを前に書いてました(→こちら)。
category: 位相の話
VIVA Sさん(12:8Hホイールの 展開図の話) 
2015/05/04 Mon. 22:53 [edit]
お客さんからコリマのVIVA Sをお預かりしました。

今日お預かりしたわけではありません。1週間くらい前です。
「こんなん直しました」という話のあとに、書きたいことがあったので
記事にしていなかったのです。
お預かりした要件は、3本ローラーに乗ると縦振れが よく分かるので
直してほしいとのことでした。
3本ローラーは ホイールやタイヤの縦振れが非常に感知しやすいので
安物の練習用タイヤなど履くと 走行感がグワングワンしますが、
お客さんは このホイールをほぼレース専用にしており
3本ローラーに乗るのは レース前に決戦用タイヤでアップするためなので、
タイヤの縦振れというのは考えられません。
ということで縦振れを見てみたところ、
リム穴(ニップル)の位置で 4つ分くらいに渡ってリムが内側にひずんでいました。
それ以外にも外側に出ている箇所もあったので
可能なかぎり 縦振れを追い込んでから センター出しと横振れ取りをしました。

↑ハブの仕上げは、アルマイトではなく おそらくメッキだと思うのですが
あまり強くて厚い膜では無いみたいです。
経年使用した このハブはほぼ例外なく メッキが浮いてきています。


ここからが展開図の話です。
このホイールは12:8スポークの20Hですが、
上の画像のように リム穴の間隔が詰まっているところもあれば、
まばらなところもあります。
2:1スポークの場合は「RLR」をひとつの単位として
リムに穴を設ければいいのですが、
これは3:2スポークになるので ちょっと複雑そうです。
というわけで バルブ穴が真上の状態でホイールを置き、
それをフリーボディ側から見て バルブ穴から時計回りに
リム穴が右か左か書きとめることにしました。

↑それがこれです。
リム穴の間隔が 比較的近い場合は詰めて、
ちょっと離れている場合は離して右(R)と左(L)を書くと
LR RL R /LR RL R /LR RL R /LR RL R /LR RL Rとなり
LR RL Rの4回反復になっています。
(分かりやすいように90°位相ごとに「/」を入れました)
ただ、LR RL Rを ひとつの単位とすると、
Rが3つ(奇数)なので

↑タンジェント組みのスポークの交差が 完成しません。

なのでLR RL R LR RL Rの180°位相分の2回反復で描きました。

毎度おなじみホイール展開図です。
今回は「リム穴の重なりを避ける」のを重視しているので
ハブ~リム~ハブ型の図にします。
フリー側は12Hなのでリム穴の間隔は30°ごと、
反フリー側は8Hなのでリム穴の間隔は45°ごとと なります。

0°の位相から それぞれその角度ごとに リム穴を設けました。
はい、これは間違いです。ホイールが組めません。

スタートラインを同じくして30°ごとと45°ごとで 穴を設けているので、
90°位相ごとに穴が重なります。
さらに、さっきホイールの現物を読んだ結果の
LR RL Rのパターンでもありません。

さらに、バルブ穴(0°/360°)の位置では
バルブ穴、右スポークの穴、左スポークの穴の3つが重なりました。

これを避けるために、リム穴の位相を それぞれずらすことにします。

ところで、ホイールの現物を見ると
ステッカーの赤い部分がちょうどバルブ穴になっているのですが、
バルブ穴の時計回りの隣の穴は左スポークで、
反時計回りの隣の穴は右スポークです。
目視したかぎりですが、この2つのリム穴は
バルブからの距離が同じに見えます。

↑こういうことですね。
仮にですが「同じだとして」リム穴の位相を考えてみます。

↑エクセルで こういう表を作ってみました。
枠の数がスポーク本数、
枠内の数字がバルブ穴からのリム穴の位相になります。
反フリー側は 左端の枠の数字45から45ずつ増えてゆき、
フリー側は 左端の枠の数字30から30ずつ増えてゆきます。
これがホイールとして成立するには、
・同じ数字(同じ位相のリム穴)があってはならない
・バルブ穴(0°/360°)に リム穴が重なってはならない
という条件を満たす必要があります。
上の図は、先ほどの間違っていると書いた展開図と同じ状態です。

1°だけ ずらしました。
図にある「ずらす角度」に数値を入れると
反フリー側はプラス方向(時計回り)に、
フリー側はマイナス方向(反時計回り)に
位相がずれるようになっています。
この状態では、
・同じ数字がない
・バルブ穴(0°/360°)に重なっていない
という条件を満たしているのでホイールとして成立しますが、
それは概念上の話であって
実際は1°程度のずれだと リム穴やバルブ穴の径からすれば
穴がつながってしまうほど近くになるはずです。
なので、実際は5°くらいは離れていないと
ホイールにならないのではと思われます。

私の「のむラボホイール1号3・3・7」は
32Hの倍である64Hから
バルブ穴の位相を除いた63Hのホイールですが、
スポークの仮想本数は64Hなので
リム穴の位相は360÷64で5.625°ごととなります。
リム高によってリム穴間の内周側の弧の距離は変わりますが、
このくらいのリム高で64Hだと ニップル回し工具は 何とか使えます。
(もしダメなら レンチタイプの工具にすればいいのですが)

15°ずらしてみました。
だめですね。バルブ穴にこそ かぶっていませんが、
リム穴の位相がそろう箇所が出てしまいました。
(上の図で同じ形で囲った数字同士)

7.5°ずらしてみました。
リム穴が 先ほどと違う位相でかぶっています。
あと、この数字だと作図しにくいので却下です(笑)。

10°ずらしました。
これはいけそうですね。
一番近い部分も 5°離れています。

展開図に数字と位相を描きこみました。

この状態でリムの上を読んでいくと、
「LR RL R」の反復になっているので
実際のホイールとも矛盾しません。

反フリー側はラジアル組みなので
スポークはこのようになります。

フリー側ですが、
実際はタンジェント組み2クロスのところ
1クロスで描いていますが「最終交差がバルブ穴をまたがない」
ということを表現できればいいので これで問題はありません。
バルブ穴の両隣のリム穴を見ると、
それぞれ 時計回りでは370°(10°)で反フリー側、
反時計回りでは350°でフリー側のスポーク穴になっています。
実際に位相のずれが10°かどうかは知りませんが、
7.5°や15°の場合 問題があるところからして
このあたりではないかと思われます。
前からコリマの12:8の20Hの展開図を描きたいと思ってましたが、
ついにできました。
今回は「バルブ穴から両隣のリム穴までの距離が同じ」という
仮定の上で描いたので ずらす角度は
プラスマイナス10°ずつで 同じにしましたが、
スポーク配列によってはフリー側と反フリー側で違う角度ずつ
位相をずらす必要のある場合もありえます。
トッポリーノというメーカーのホイールで
18:12スポークの30H(※)の後輪がありますが、
これはスポーク数の左右比が3:2なので
コリマの12:8スポークが 1.5倍に増えただけであり、
「LR RL R」の4回反復が 6回反復になるだけで
同じような構成になるはずです。
違いといえば反フリー側がタンジェント組みになることくらいでしょうか。
なので 上の展開図を1.5倍に延長して(角度は書き直す)
反フリー側のスポークを 最終交差がバルブ穴をまたがないように
描けばいいだけ、のはずです。

※余談ですが、トッポリーノのカーボンケブラースポークは
ハブフランジで挟まれた リムの対岸同士を結ぶ構造になっています。
マヴィックが コスミックカーボン系の一部のホイールで採用している
R2R(リム トゥ リム)と同じですが、こっちがずっと先です。
これを1本のスポークと見なすと
15本(9:6)スポークの後輪ということになりますが、
ややこしいので30Hとしています。

今日お預かりしたわけではありません。1週間くらい前です。
「こんなん直しました」という話のあとに、書きたいことがあったので
記事にしていなかったのです。
お預かりした要件は、3本ローラーに乗ると縦振れが よく分かるので
直してほしいとのことでした。
3本ローラーは ホイールやタイヤの縦振れが非常に感知しやすいので
安物の練習用タイヤなど履くと 走行感がグワングワンしますが、
お客さんは このホイールをほぼレース専用にしており
3本ローラーに乗るのは レース前に決戦用タイヤでアップするためなので、
タイヤの縦振れというのは考えられません。
ということで縦振れを見てみたところ、
リム穴(ニップル)の位置で 4つ分くらいに渡ってリムが内側にひずんでいました。
それ以外にも外側に出ている箇所もあったので
可能なかぎり 縦振れを追い込んでから センター出しと横振れ取りをしました。

↑ハブの仕上げは、アルマイトではなく おそらくメッキだと思うのですが
あまり強くて厚い膜では無いみたいです。
経年使用した このハブはほぼ例外なく メッキが浮いてきています。


ここからが展開図の話です。
このホイールは12:8スポークの20Hですが、
上の画像のように リム穴の間隔が詰まっているところもあれば、
まばらなところもあります。
2:1スポークの場合は「RLR」をひとつの単位として
リムに穴を設ければいいのですが、
これは3:2スポークになるので ちょっと複雑そうです。
というわけで バルブ穴が真上の状態でホイールを置き、
それをフリーボディ側から見て バルブ穴から時計回りに
リム穴が右か左か書きとめることにしました。

↑それがこれです。
リム穴の間隔が 比較的近い場合は詰めて、
ちょっと離れている場合は離して右(R)と左(L)を書くと
LR RL R /LR RL R /LR RL R /LR RL R /LR RL Rとなり
LR RL Rの4回反復になっています。
(分かりやすいように90°位相ごとに「/」を入れました)
ただ、LR RL Rを ひとつの単位とすると、
Rが3つ(奇数)なので

↑タンジェント組みのスポークの交差が 完成しません。

なのでLR RL R LR RL Rの180°位相分の2回反復で描きました。

毎度おなじみホイール展開図です。
今回は「リム穴の重なりを避ける」のを重視しているので
ハブ~リム~ハブ型の図にします。
フリー側は12Hなのでリム穴の間隔は30°ごと、
反フリー側は8Hなのでリム穴の間隔は45°ごとと なります。

0°の位相から それぞれその角度ごとに リム穴を設けました。
はい、これは間違いです。ホイールが組めません。

スタートラインを同じくして30°ごとと45°ごとで 穴を設けているので、
90°位相ごとに穴が重なります。
さらに、さっきホイールの現物を読んだ結果の
LR RL Rのパターンでもありません。

さらに、バルブ穴(0°/360°)の位置では
バルブ穴、右スポークの穴、左スポークの穴の3つが重なりました。

これを避けるために、リム穴の位相を それぞれずらすことにします。

ところで、ホイールの現物を見ると
ステッカーの赤い部分がちょうどバルブ穴になっているのですが、
バルブ穴の時計回りの隣の穴は左スポークで、
反時計回りの隣の穴は右スポークです。
目視したかぎりですが、この2つのリム穴は
バルブからの距離が同じに見えます。

↑こういうことですね。
仮にですが「同じだとして」リム穴の位相を考えてみます。

↑エクセルで こういう表を作ってみました。
枠の数がスポーク本数、
枠内の数字がバルブ穴からのリム穴の位相になります。
反フリー側は 左端の枠の数字45から45ずつ増えてゆき、
フリー側は 左端の枠の数字30から30ずつ増えてゆきます。
これがホイールとして成立するには、
・同じ数字(同じ位相のリム穴)があってはならない
・バルブ穴(0°/360°)に リム穴が重なってはならない
という条件を満たす必要があります。
上の図は、先ほどの間違っていると書いた展開図と同じ状態です。

1°だけ ずらしました。
図にある「ずらす角度」に数値を入れると
反フリー側はプラス方向(時計回り)に、
フリー側はマイナス方向(反時計回り)に
位相がずれるようになっています。
この状態では、
・同じ数字がない
・バルブ穴(0°/360°)に重なっていない
という条件を満たしているのでホイールとして成立しますが、
それは概念上の話であって
実際は1°程度のずれだと リム穴やバルブ穴の径からすれば
穴がつながってしまうほど近くになるはずです。
なので、実際は5°くらいは離れていないと
ホイールにならないのではと思われます。

私の「のむラボホイール1号3・3・7」は
32Hの倍である64Hから
バルブ穴の位相を除いた63Hのホイールですが、
スポークの仮想本数は64Hなので
リム穴の位相は360÷64で5.625°ごととなります。
リム高によってリム穴間の内周側の弧の距離は変わりますが、
このくらいのリム高で64Hだと ニップル回し工具は 何とか使えます。
(もしダメなら レンチタイプの工具にすればいいのですが)

15°ずらしてみました。
だめですね。バルブ穴にこそ かぶっていませんが、
リム穴の位相がそろう箇所が出てしまいました。
(上の図で同じ形で囲った数字同士)

7.5°ずらしてみました。
リム穴が 先ほどと違う位相でかぶっています。
あと、この数字だと作図しにくいので却下です(笑)。

10°ずらしました。
これはいけそうですね。
一番近い部分も 5°離れています。

展開図に数字と位相を描きこみました。

この状態でリムの上を読んでいくと、
「LR RL R」の反復になっているので
実際のホイールとも矛盾しません。

反フリー側はラジアル組みなので
スポークはこのようになります。

フリー側ですが、
実際はタンジェント組み2クロスのところ
1クロスで描いていますが「最終交差がバルブ穴をまたがない」
ということを表現できればいいので これで問題はありません。
バルブ穴の両隣のリム穴を見ると、
それぞれ 時計回りでは370°(10°)で反フリー側、
反時計回りでは350°でフリー側のスポーク穴になっています。
実際に位相のずれが10°かどうかは知りませんが、
7.5°や15°の場合 問題があるところからして
このあたりではないかと思われます。
前からコリマの12:8の20Hの展開図を描きたいと思ってましたが、
ついにできました。
今回は「バルブ穴から両隣のリム穴までの距離が同じ」という
仮定の上で描いたので ずらす角度は
プラスマイナス10°ずつで 同じにしましたが、
スポーク配列によってはフリー側と反フリー側で違う角度ずつ
位相をずらす必要のある場合もありえます。
トッポリーノというメーカーのホイールで
18:12スポークの30H(※)の後輪がありますが、
これはスポーク数の左右比が3:2なので
コリマの12:8スポークが 1.5倍に増えただけであり、
「LR RL R」の4回反復が 6回反復になるだけで
同じような構成になるはずです。
違いといえば反フリー側がタンジェント組みになることくらいでしょうか。
なので 上の展開図を1.5倍に延長して(角度は書き直す)
反フリー側のスポークを 最終交差がバルブ穴をまたがないように
描けばいいだけ、のはずです。

※余談ですが、トッポリーノのカーボンケブラースポークは
ハブフランジで挟まれた リムの対岸同士を結ぶ構造になっています。
マヴィックが コスミックカーボン系の一部のホイールで採用している
R2R(リム トゥ リム)と同じですが、こっちがずっと先です。
これを1本のスポークと見なすと
15本(9:6)スポークの後輪ということになりますが、
ややこしいので30Hとしています。
category: 位相の話