ゴキソの後輪を組み直しました 
2023/11/10 Fri. 23:49 [edit]
今日もホイー(以下略)。
昨日の続きです。
ゴキソの後輪を組み直します。
元のリムはエキノックス製ですが、
出来合いの吊るしのリムを買ってきたものに
ステッカーを貼っているわけではなく、
仕様をオーダーしている特注品です。
星の15番ベースの黒エアロSBで
ヨンゼロ組みでフリー側をキンキンに張ってありました。
リムは内蔵ニップル仕様ですが、
汎用ニップルだと おそらくは同じところまで張れません。
ゴキソがナローフランジにしている理由は
左右のスポークテンションを揃えるためらしいですが、
そのくせ 左右のスポークテンション差が最悪に開く
反フリー側ラジアル組みをしているのが
本当に不可解です。
私でも まずやらないような、特注リムありきの高テンションで
フリー側を張っているのに比して、
反フリー側は たゆんたゆんとまではいきませんが
まあまあ ヌルいです。
センターはドンピシャなので
このスポークの番手と組み方の範囲内では
最大努力の結果なのは事実です。
つまり これ以上は無いってことで、
これがゴキソの集合知の結晶(笑)です。
お預かりした時点では スプロケットが付いていたので
上の画像の時点では
右側の おわん型エンドを一旦 外しています。
それが付いているままだと
スプロケットのロックリング工具が
スプラインに かからないので。
フリーボディですが 幅が広いスプライン8つと
幅が狭いスプライン1つの 計9つのスプラインのうち、
だいたい対岸の位相になる2つが
スプロケットの噛み込み防止の
ステンレス(たぶん)プレートに なっていました。
ちょっと見えにくいですが 上の画像の両端です。
・・・にも関わらず 噛み込みを起こしており、
ロー側のスパイダーアームのカタマリは
スッと抜けたものの それより手前の
1枚スプロケットと1枚スペーサーを交互に繰り返す部分は
当初は 簡単には引き抜けませんでした。
で、この画像と ひとつ前の画像を よく見ると
むしろ 噛み込み防止プレートのほうに
大きな噛み込み痕があります。
なんでやねん。
いや、これが噛み込み防止プレートだというのが
私の考え違いであり、これは「あえて噛みこませて
スプロケットの揺らぎを殺すためのプレート」
だという可能性があります。
ゴキソの深謀遠慮を疑ってはいけません。
カートリッジベアリングのハブは 通常、
ベアリングの外輪とハブ体が圧入の関係にあり
ベアリングの内輪とハブシャフトは
スカスカに通せるような寸法公差となっていますが、
これが ゴキソのハブでは逆になっていて
ハブ体とベアリングの外輪は かなりの公差があり
ハブ体にベアリングの端を入れて 指で押すと
スーッと ベアリングが ハブ体に入っていきます。
茶筒か 卒業証書の筒のフタを差し込むときのような
スムーズなスライド感です。
反面 ハブシャフトとベアリングの内輪は圧入の関係にあり、
フロントハブでいうと ハブシャフトと両側ベアリングが
バーベル状のひとつの物体のようになっています。
これが ハブシャフトに応力がかかっても
ベアリングの回転を損ないにくいという
工夫の一つだとは思うのですが、
ベアリングの内輪とハブシャフトの圧入関係に対して
ベアリングの外輪とハブ体の関係は スカスカなので、
極端な経年使用では ハブ体のベアリングが
収まっている部分が摩耗します。
これはアルミのハブ体とステンレスの外輪での話です。
バーベル状のベアリング付きハブシャフトと
ハブ体の間に 明確な揺らぎが生じて
純粋な左右方向とはまた違うガタが取れなくなった
(クイックをちゃんと締めてるのに、ということでしたが
ちゃんと締めているからこそ そこから先で起きているガタが
顕著に分かるようになっている)、
メーカーがやっているベアリングの交換サービスに出したけど
その点は解消しなかったという例を
2例ほど 見たことがあります。
これは よほどの経年使用でないと起こりえないと思われます。
私が見た例では ベアリングが錆びて
その もらい錆びでハブ体側が削れた、というわけではなく
2件とも ハブ体の受け側は きれいな状態でした。
ちょっと話の大げさ度が違いますが、
シマノのホローテックIIのクランクのシャフトは
上位モデルがステンレス製で 下位モデルがアルミ製です。
どちらもシャフトの外径は24mmで、
ねじ切りBBに取り付けるBB小物のベアリングの内径は
25mmであるところ ナイロンのシムを噛ませて
金属同士の接触を避けたうえで 24mmで接触させています。
カンパニョーロのウルトラトルクの場合は
シャフト外径が25mmのスチール
(スーパーレコードではチタン)で、
内径25mmのベアリングと金属同士の接触をしています。
BB30という規格は クランクシャフトの外径が
30mmであることに由来しますが、
これは内径30mmのベアリングとアルミ製のクランクシャフトが
金属同士で 接触しています。
その組み合わせで アルミが負けたのが
(→こちら)の件です。
なのでアルミハブ体に対して
「圧入の関係にないベアリング」が ガシガシ暴れて
一切摩耗しないということはないと思います。
ゴキソは元々 重量が軽いハブを作る気が無いというか
気にしていないようですが、体積が同じハブ体を作った場合
アルミよりも重たくなるチタンのハブ体のモデルがあるのも、
公表やリコールはしないものの
ハブ体側の摩耗事例を把握しているが故の
後ろめたさが生んだ仕様ではないかと
私は 勝手に思っています。
組めました。
ゴキソ クライマーハブ 24H
黒半コンペヨンロク組み結線ありです。
これは 私が うまく言語化できないところですが、
感覚的には お行儀よく低強度でペダリングしている範囲では
フリー側のスポークの変形しにくさが
乗り味に関して問われている気がしますが、
ガシガシ高強度でモガいたり 立ちこぎするとなると
フリー側に比して 反フリー側のスポークの変形量が
どれだけ近いが問われるようになると思います。
それが左右同数組みでの反フリー側ラジアル組みが
ある程度以上のペダリング強度で
かかりが悪いというか 走らないといった感覚を
生むのではと思っています。
実使用には 全く問題はありませんが、
ブレーキゾーンの処理の縦幅が
位相によって やや異なるので
ホイールを組んでいるときに
縦振れのように見えたのが厄介でした。
昨日の続きです。
ゴキソの後輪を組み直します。
元のリムはエキノックス製ですが、
出来合いの吊るしのリムを買ってきたものに
ステッカーを貼っているわけではなく、
仕様をオーダーしている特注品です。
星の15番ベースの黒エアロSBで
ヨンゼロ組みでフリー側をキンキンに張ってありました。
リムは内蔵ニップル仕様ですが、
汎用ニップルだと おそらくは同じところまで張れません。
ゴキソがナローフランジにしている理由は
左右のスポークテンションを揃えるためらしいですが、
そのくせ 左右のスポークテンション差が最悪に開く
反フリー側ラジアル組みをしているのが
本当に不可解です。
私でも まずやらないような、特注リムありきの高テンションで
フリー側を張っているのに比して、
反フリー側は たゆんたゆんとまではいきませんが
まあまあ ヌルいです。
センターはドンピシャなので
このスポークの番手と組み方の範囲内では
最大努力の結果なのは事実です。
つまり これ以上は無いってことで、
これがゴキソの集合知の結晶(笑)です。
お預かりした時点では スプロケットが付いていたので
上の画像の時点では
右側の おわん型エンドを一旦 外しています。
それが付いているままだと
スプロケットのロックリング工具が
スプラインに かからないので。
フリーボディですが 幅が広いスプライン8つと
幅が狭いスプライン1つの 計9つのスプラインのうち、
だいたい対岸の位相になる2つが
スプロケットの噛み込み防止の
ステンレス(たぶん)プレートに なっていました。
ちょっと見えにくいですが 上の画像の両端です。
・・・にも関わらず 噛み込みを起こしており、
ロー側のスパイダーアームのカタマリは
スッと抜けたものの それより手前の
1枚スプロケットと1枚スペーサーを交互に繰り返す部分は
当初は 簡単には引き抜けませんでした。
で、この画像と ひとつ前の画像を よく見ると
むしろ 噛み込み防止プレートのほうに
大きな噛み込み痕があります。
なんでやねん。
いや、これが噛み込み防止プレートだというのが
私の考え違いであり、これは「あえて噛みこませて
スプロケットの揺らぎを殺すためのプレート」
だという可能性があります。
ゴキソの深謀遠慮を疑ってはいけません。
カートリッジベアリングのハブは 通常、
ベアリングの外輪とハブ体が圧入の関係にあり
ベアリングの内輪とハブシャフトは
スカスカに通せるような寸法公差となっていますが、
これが ゴキソのハブでは逆になっていて
ハブ体とベアリングの外輪は かなりの公差があり
ハブ体にベアリングの端を入れて 指で押すと
スーッと ベアリングが ハブ体に入っていきます。
茶筒か 卒業証書の筒のフタを差し込むときのような
スムーズなスライド感です。
反面 ハブシャフトとベアリングの内輪は圧入の関係にあり、
フロントハブでいうと ハブシャフトと両側ベアリングが
バーベル状のひとつの物体のようになっています。
これが ハブシャフトに応力がかかっても
ベアリングの回転を損ないにくいという
工夫の一つだとは思うのですが、
ベアリングの内輪とハブシャフトの圧入関係に対して
ベアリングの外輪とハブ体の関係は スカスカなので、
極端な経年使用では ハブ体のベアリングが
収まっている部分が摩耗します。
これはアルミのハブ体とステンレスの外輪での話です。
バーベル状のベアリング付きハブシャフトと
ハブ体の間に 明確な揺らぎが生じて
純粋な左右方向とはまた違うガタが取れなくなった
(クイックをちゃんと締めてるのに、ということでしたが
ちゃんと締めているからこそ そこから先で起きているガタが
顕著に分かるようになっている)、
メーカーがやっているベアリングの交換サービスに出したけど
その点は解消しなかったという例を
2例ほど 見たことがあります。
これは よほどの経年使用でないと起こりえないと思われます。
私が見た例では ベアリングが錆びて
その もらい錆びでハブ体側が削れた、というわけではなく
2件とも ハブ体の受け側は きれいな状態でした。
ちょっと話の大げさ度が違いますが、
シマノのホローテックIIのクランクのシャフトは
上位モデルがステンレス製で 下位モデルがアルミ製です。
どちらもシャフトの外径は24mmで、
ねじ切りBBに取り付けるBB小物のベアリングの内径は
25mmであるところ ナイロンのシムを噛ませて
金属同士の接触を避けたうえで 24mmで接触させています。
カンパニョーロのウルトラトルクの場合は
シャフト外径が25mmのスチール
(スーパーレコードではチタン)で、
内径25mmのベアリングと金属同士の接触をしています。
BB30という規格は クランクシャフトの外径が
30mmであることに由来しますが、
これは内径30mmのベアリングとアルミ製のクランクシャフトが
金属同士で 接触しています。
その組み合わせで アルミが負けたのが
(→こちら)の件です。
なのでアルミハブ体に対して
「圧入の関係にないベアリング」が ガシガシ暴れて
一切摩耗しないということはないと思います。
ゴキソは元々 重量が軽いハブを作る気が無いというか
気にしていないようですが、体積が同じハブ体を作った場合
アルミよりも重たくなるチタンのハブ体のモデルがあるのも、
公表やリコールはしないものの
ハブ体側の摩耗事例を把握しているが故の
後ろめたさが生んだ仕様ではないかと
私は 勝手に思っています。
組めました。
ゴキソ クライマーハブ 24H
黒半コンペヨンロク組み結線ありです。
これは 私が うまく言語化できないところですが、
感覚的には お行儀よく低強度でペダリングしている範囲では
フリー側のスポークの変形しにくさが
乗り味に関して問われている気がしますが、
ガシガシ高強度でモガいたり 立ちこぎするとなると
フリー側に比して 反フリー側のスポークの変形量が
どれだけ近いが問われるようになると思います。
それが左右同数組みでの反フリー側ラジアル組みが
ある程度以上のペダリング強度で
かかりが悪いというか 走らないといった感覚を
生むのではと思っています。
実使用には 全く問題はありませんが、
ブレーキゾーンの処理の縦幅が
位相によって やや異なるので
ホイールを組んでいるときに
縦振れのように見えたのが厄介でした。
category: ホイールの話
1.0mmロースペーサーの話 
2023/05/09 Tue. 22:34 [edit]
ひとつ前のレーシングゼロのフリーボディ破損の話が
長くなったので、別記事として分割しました。
なぜ フリーボディの端が切れたのかという話です。
切れている部分を 割れに合うように
指で押して はめ込むと
欠けている箇所があるのが分かります。
このフリーボディについては お客さんのほうで
交換なり何なりするので とりあえず放置でいいということになりました。
↑これは 時系列が戻って ハブの分解洗浄前ですが、
今回のハブにはシマノ10S用フリーボディが付いていました。
シマノの10Sスプロケットには
ローギヤの奥に 厚み1.0mmの「ロースペーサー」なる
スペーサーの取り付けが必要ですが、
それを取り付け忘れると フリーボディのスプラインに占める
スプロケットパーツの寸法が1mm足りないことになります。
すると当然 スプロケットに左右のガタが発生するわけですが
それを ロックリングの締め込みがゆるいことによるものだと
勘違いして ロックリングをバカ締めすると
スプラインの端の薄い部分が切れて割れることになります。
これは ノヴァテックのフリーボディでも
起きた事例が複数件あります。
11Sフリーボディに 10Sスプロケットを取り付ける場合
11Sと10Sの寸法差を埋める1.85mmスペーサーを
フリーボディの奥に入れるわけですが、
その1.85mmスペーサーを入れると
なぜか1.0mmロースペーサーを抜く人がおり、
その状態でロックリングをバカ締めして
フリーボディの端を切るという発生の手順です。
さすがに1.85mmスペーサーの入れ忘れは
スプロケットがガチャガチャと動きすぎるので 気付きますが、
それが1.0mmだと 気付かないこともあるようです。
11Sフリーボディの場合は 1.85mmはハブ側のパーツ、
1.0mmはスプロケット側のパーツで
どちらも必要なので 都合 2枚入れることになります。
↑これが1.0mmロースペーサーです。
当然ながら フリーボディのスプラインの奥まで入ります。
↑これはシマノの7800ハブのフリーボディですが、
10S「専用」となっていて これ以前の9Sコンポの
スプロケットが取り付けられないように
スプラインの高さを途中から高くしています。
このフリーボディの場合には ロースペーサーは要りません。
「新10Sのデュラエースホイール(またはハブ)には
以前の9Sスプロケットの取り付けは不可!
これを使いたければコンポを10S化しろ!」
という ほんの一時の しょーもない嫌がらせ、
露骨な計画的陳腐化を図ったために
それ以降 ロースペーサーが要るだの要らんだのという
ややこしい問題を後世に残しました。
ちなみにスペーサー関係の問題は起こしていませんが
現行のデュラエースグレードの後輪も
「新12Sのデュラエースホイールには
以前の11Sスプロケットの取り付けは不可!
これを使いたければコンポを12S化しろ!」
と 全く同じことをしています。
物の売り方が透けて見える話です。
あっ、表向きの理由は「軽量化などを追求したら
どうしても こういう形になってしまったんだよ」
ということになっています念のため。
10S専用フリーボディには
1.0mmロースペーサーが奥まで入りません
(ついでに書くと 9Sスプロケットも ここで引っかかります)。
なので、ロースペーサーを要するフリーボディに
入れ忘れることはあっても
ロースペーサーが不要なフリーボディに
過分に入れてしまうことは無いということになります。
図にすると こうなります。
10Sスプロケットの裏側には
ロースペーサー用のヌスミ寸法が設けてあります。
ここまでの話であれば、ロースペーサーが不要な場合
そもそも取り付けようが無いのだから
「ロースペーサーが奥まで通るフリーボディの場合 必ず入れる」
ってことで いいんじゃないの?と思うかもしれませんが
これには例外があります。
↑これは 6600系アルテグラの
14-25Tの10Sスプロケットです。
トップギヤが13T以上あるスプロケットは、
UCIのジュニアカテゴリーのレギュレーションで
アウター×トップのギヤ倍数に制限があったころに(現在では撤廃)
高体連で よく使われていたころから
通称 高体連ギヤとも呼ばれていました。
CS-6600では13-25T・14-25T・
15-25T・16-27Tの4種類がありますが、
16-27Tは どちらかというと 当時のロード用として
最も大きいローギヤである27Tに加えて
18・20・22Tが付いていて
ロー側の歯数を詰めて寄せているので
ヒルクライム用としての用途が大きかったり、
13-25Tは 時速50kmオーバーの下りで
ガンガン踏むことをしない限り困らない
クロスレシオの歯数なので 使いでがあるなど
必ずしも高校生専用のスプロケットというわけではありません。
13-25Tの10Sに 11Tと12Tを加えた
11-25Tの12Sスプロケットというのがあれば
非常に有用なのですが、現在のロードバイクでは
最小ローギヤのコンビネーションを選んでも
11-30Tというクソアホワイドレシオだったりします。
まあシングルテンションのリヤメカで
最小ローギヤの歯数を 25Tにも34Tにも適合させるのは
無理でしょうから仕方がないのでしょう。
おっと。話が それましたが
この高体連ギヤ、
ローギヤの内側の形状が
ロースペーサー1.0mmを内包した寸法になっています。
なので 10S専用でないフリーボディに対してであっても
高体連ギヤの場合のみ ロースペーサーは不要という
例外となっています。ややこしい!
図にすると こうなります。
10S新デュラエースへの買い替え圧を より強めたいという
メーカー側の 一時の しょーもない都合の押し付けで
ロースペーサーが要るだの要らんだのという問題に
さらに ややこしい例外を設けているわけです。
ひとつまえの記事のレーシングゼロですが、
高校の自転車部の部室にあると書きました。
ホイールの年代からしても ギヤ比規制があったころのものです。
練習などで 11Tまたは12Tトップの
普通のスプロケットを使うことは違反ではないので、
普通のスプロケットと高体連ギヤを
部室でとっかえひっかえして
ロースペーサーを入れ忘れることは 充分にあり得ます。
なので 結果フリーボディの端を
ロックリングの締め付け力で切ってしまうのも
起こること自体は仕方がないという話です。
おまけ
↑これは11-25Tの11Sスプロケットですが、
10Sフリーボディに取り付けるために
ローギヤのスパイダーアームの内側を削いでいるものです。
この記事の論旨に全く関係ないので
見たことを忘れてください。←じゃあ載せるな
長くなったので、別記事として分割しました。
なぜ フリーボディの端が切れたのかという話です。
切れている部分を 割れに合うように
指で押して はめ込むと
欠けている箇所があるのが分かります。
このフリーボディについては お客さんのほうで
交換なり何なりするので とりあえず放置でいいということになりました。
↑これは 時系列が戻って ハブの分解洗浄前ですが、
今回のハブにはシマノ10S用フリーボディが付いていました。
シマノの10Sスプロケットには
ローギヤの奥に 厚み1.0mmの「ロースペーサー」なる
スペーサーの取り付けが必要ですが、
それを取り付け忘れると フリーボディのスプラインに占める
スプロケットパーツの寸法が1mm足りないことになります。
すると当然 スプロケットに左右のガタが発生するわけですが
それを ロックリングの締め込みがゆるいことによるものだと
勘違いして ロックリングをバカ締めすると
スプラインの端の薄い部分が切れて割れることになります。
これは ノヴァテックのフリーボディでも
起きた事例が複数件あります。
11Sフリーボディに 10Sスプロケットを取り付ける場合
11Sと10Sの寸法差を埋める1.85mmスペーサーを
フリーボディの奥に入れるわけですが、
その1.85mmスペーサーを入れると
なぜか1.0mmロースペーサーを抜く人がおり、
その状態でロックリングをバカ締めして
フリーボディの端を切るという発生の手順です。
さすがに1.85mmスペーサーの入れ忘れは
スプロケットがガチャガチャと動きすぎるので 気付きますが、
それが1.0mmだと 気付かないこともあるようです。
11Sフリーボディの場合は 1.85mmはハブ側のパーツ、
1.0mmはスプロケット側のパーツで
どちらも必要なので 都合 2枚入れることになります。
↑これが1.0mmロースペーサーです。
当然ながら フリーボディのスプラインの奥まで入ります。
↑これはシマノの7800ハブのフリーボディですが、
10S「専用」となっていて これ以前の9Sコンポの
スプロケットが取り付けられないように
スプラインの高さを途中から高くしています。
このフリーボディの場合には ロースペーサーは要りません。
「新10Sのデュラエースホイール(またはハブ)には
以前の9Sスプロケットの取り付けは不可!
これを使いたければコンポを10S化しろ!」
という ほんの一時の しょーもない嫌がらせ、
露骨な計画的陳腐化を図ったために
それ以降 ロースペーサーが要るだの要らんだのという
ややこしい問題を後世に残しました。
ちなみにスペーサー関係の問題は起こしていませんが
現行のデュラエースグレードの後輪も
「新12Sのデュラエースホイールには
以前の11Sスプロケットの取り付けは不可!
これを使いたければコンポを12S化しろ!」
と 全く同じことをしています。
物の売り方が透けて見える話です。
あっ、表向きの理由は「軽量化などを追求したら
どうしても こういう形になってしまったんだよ」
ということになっています念のため。
10S専用フリーボディには
1.0mmロースペーサーが奥まで入りません
(ついでに書くと 9Sスプロケットも ここで引っかかります)。
なので、ロースペーサーを要するフリーボディに
入れ忘れることはあっても
ロースペーサーが不要なフリーボディに
過分に入れてしまうことは無いということになります。
図にすると こうなります。
10Sスプロケットの裏側には
ロースペーサー用のヌスミ寸法が設けてあります。
ここまでの話であれば、ロースペーサーが不要な場合
そもそも取り付けようが無いのだから
「ロースペーサーが奥まで通るフリーボディの場合 必ず入れる」
ってことで いいんじゃないの?と思うかもしれませんが
これには例外があります。
↑これは 6600系アルテグラの
14-25Tの10Sスプロケットです。
トップギヤが13T以上あるスプロケットは、
UCIのジュニアカテゴリーのレギュレーションで
アウター×トップのギヤ倍数に制限があったころに(現在では撤廃)
高体連で よく使われていたころから
通称 高体連ギヤとも呼ばれていました。
CS-6600では13-25T・14-25T・
15-25T・16-27Tの4種類がありますが、
16-27Tは どちらかというと 当時のロード用として
最も大きいローギヤである27Tに加えて
18・20・22Tが付いていて
ロー側の歯数を詰めて寄せているので
ヒルクライム用としての用途が大きかったり、
13-25Tは 時速50kmオーバーの下りで
ガンガン踏むことをしない限り困らない
クロスレシオの歯数なので 使いでがあるなど
必ずしも高校生専用のスプロケットというわけではありません。
13-25Tの10Sに 11Tと12Tを加えた
11-25Tの12Sスプロケットというのがあれば
非常に有用なのですが、現在のロードバイクでは
最小ローギヤのコンビネーションを選んでも
11-30Tというクソアホワイドレシオだったりします。
まあシングルテンションのリヤメカで
最小ローギヤの歯数を 25Tにも34Tにも適合させるのは
無理でしょうから仕方がないのでしょう。
おっと。話が それましたが
この高体連ギヤ、
ローギヤの内側の形状が
ロースペーサー1.0mmを内包した寸法になっています。
なので 10S専用でないフリーボディに対してであっても
高体連ギヤの場合のみ ロースペーサーは不要という
例外となっています。ややこしい!
図にすると こうなります。
10S新デュラエースへの買い替え圧を より強めたいという
メーカー側の 一時の しょーもない都合の押し付けで
ロースペーサーが要るだの要らんだのという問題に
さらに ややこしい例外を設けているわけです。
ひとつまえの記事のレーシングゼロですが、
高校の自転車部の部室にあると書きました。
ホイールの年代からしても ギヤ比規制があったころのものです。
練習などで 11Tまたは12Tトップの
普通のスプロケットを使うことは違反ではないので、
普通のスプロケットと高体連ギヤを
部室でとっかえひっかえして
ロースペーサーを入れ忘れることは 充分にあり得ます。
なので 結果フリーボディの端を
ロックリングの締め付け力で切ってしまうのも
起こること自体は仕方がないという話です。
おまけ
↑これは11-25Tの11Sスプロケットですが、
10Sフリーボディに取り付けるために
ローギヤのスパイダーアームの内側を削いでいるものです。
この記事の論旨に全く関係ないので
見たことを忘れてください。←じゃあ載せるな
category: ホイールの話
ディスクロードに乗っていますが 
2023/04/28 Fri. 21:46 [edit]
最近、夜(朝)練と通勤で ディスクロードに乗っていますが
乗り心地が悪くて たまりません。
ディスクロードの定義を間違えている気がしますが
気にしてはいけません。
乗り心地が悪いのは テンション構造や膜構造になっていない
ディスクホイールだからであって、カンパニョーロのギブリは
このマヴィック・コメットの乗り味とは 全く異なります。
横風に対しては それほど敏感ではなく、
前輪に50mm高リムのホイールを履くほうが
ステアリングを持っていかれるぶん
よほど気になるくらいです。
強風の日に履けば危ないとは思いますが。
前輪がディープリムではない理由は、
このコメットはWOリム仕様なのですが
ディスクホイールの場合 タイヤチューブのバルブが長いと
空気を入れられないので 前輪のリム高が低いほうが
スペアチューブのバルブ長さを統一できて 楽だからです。
乗り心地が悪いのは、公称23Cながら細めのタイヤを
最近の基準でいうならば 超ナロー幅になるリムに はめて
9気圧入れていることも関係しています。
タイヤの横幅の実寸は 22Cくらいです。
登りは、決して 軽快ではありませんが
思ったほど登らなくはありません。
平地では 後ろから押されているような感触がありますが
意外なのは2%未満くらいの緩傾斜で
異常に進む感じがすることです。
スポークドホイールに大きなペダリングパワーを加えると
まず ハブだけが回転方向に ひずみ、
つづいてスポークでも変形が起きて
その2つがひずみ切ったあとに
リムが回るわけですが、
ディスクホイールでは その構造上
ハブの回転が 瞬時にリムの回転になるという
剛体感があるので そう感じるのでしょう。
完全な平地よりは 緩傾斜のほうが
スポークドホイールとの感触の差が大きいので
そう感じるのかもしれません。
冒頭の画像は 昨日の朝で、
風吹峠のトンネルで 朝7時過ぎでした。
この日は 通勤を除外した距離で92km走っています。
トンネルの入り口で バイクを持って
方向転換しようとしたら
ディスクホイールのディスク面が
トンネルの入り口と平行になった
(バイクの向きが道を横切るような形になった)瞬間に
バイクが浮いたかと思うほどの風を受けたので
バイクの自重だけだと ディスクホイールの受ける横風が
よく分かります。
家の近くまで戻ると ちょうどいい時間だったので
用事がある問屋さんに2件 寄ったのですが、
その2件目のフルク〇ムとピナレ〇を
ジャパンでゆいいつ扱っている問屋さんで
中の人から用事のあとに声をかけられ、
なんでも今日 カ〇パニョーロの本社から2人
エライ人だか技術顧問みたいな人だかが来ていて
午前でミーティングが終わるから
午後からその2人を のむラボに連れて行っていいか
と言われました。
ホイールの話とかを聞きたいそうです。
断りました。
じゃあ 明日(つまり今日)ではどうかと言われましたが、
それも断りました。
シャ〇ルウルトラDB(アルミリムのほう)や
ボ〇ラウルトラWTOを見る限り
カ〇パニョーロの中の人は
そういう呼び方はしていなくとも
スポーク比重という概念を把握しています。
でなければ あんな構成のホイールは作れません。
スチールスポークのホイールに限れば
カ〇パニョーロに限らず たいていの完組みホイールより
走ると言わしめるホイールを組む自信はありますが、
それは あらゆるホイールで体重100kgちょっとまでの乗り手に
対応させなくてはいけないという条件があるわけでも無く、
結線ハンダ付けという 補修に関する属人性を考慮していない
いわば反則技あってのことなので、
それらを勘案すると ボーラやゾンダというのは
かなり 頭抜けた性能のホイールなのです。
事実 私は、これらのホイールでスポーク比重を変えて組み直したり
結線したことは ありません。
逆に言うと 私に組み直されて
乗り手に「前より良くなった!」とか言われてるホイールは
全然ダメってことです。
問屋さんの中の人には
「クソ忙しいから来るな」とは言いましたが、
実際は もし来られたらメシノタネコード ダダ洩れで
ホイール談義を始めるのが目に見えているからです。
カ〇パニョーロの中の人というのが
イタリア人かどうかは知りませんが、
日本のショップに連れて行くくらいなら
サイゼリヤに連れて行って
全メニューを一口ずつ食べてもらって(※)
その感想を まとめてもらったほうが
ニュースとしてのバリューが高いレポートとかを
書けるんじゃないでしょうか。
味はともかく ナポリタンという料理自体にガチ切れしてたとか
一口でいいと言ったのに ミラノ風ドリアは完食してたとか
そういう話を知りたいです。
※お料理は全て(同行していた問屋さんの)スタッフが
おいしくいただきました。
乗り心地が悪くて たまりません。
ディスクロードの定義を間違えている気がしますが
気にしてはいけません。
乗り心地が悪いのは テンション構造や膜構造になっていない
ディスクホイールだからであって、カンパニョーロのギブリは
このマヴィック・コメットの乗り味とは 全く異なります。
横風に対しては それほど敏感ではなく、
前輪に50mm高リムのホイールを履くほうが
ステアリングを持っていかれるぶん
よほど気になるくらいです。
強風の日に履けば危ないとは思いますが。
前輪がディープリムではない理由は、
このコメットはWOリム仕様なのですが
ディスクホイールの場合 タイヤチューブのバルブが長いと
空気を入れられないので 前輪のリム高が低いほうが
スペアチューブのバルブ長さを統一できて 楽だからです。
乗り心地が悪いのは、公称23Cながら細めのタイヤを
最近の基準でいうならば 超ナロー幅になるリムに はめて
9気圧入れていることも関係しています。
タイヤの横幅の実寸は 22Cくらいです。
登りは、決して 軽快ではありませんが
思ったほど登らなくはありません。
平地では 後ろから押されているような感触がありますが
意外なのは2%未満くらいの緩傾斜で
異常に進む感じがすることです。
スポークドホイールに大きなペダリングパワーを加えると
まず ハブだけが回転方向に ひずみ、
つづいてスポークでも変形が起きて
その2つがひずみ切ったあとに
リムが回るわけですが、
ディスクホイールでは その構造上
ハブの回転が 瞬時にリムの回転になるという
剛体感があるので そう感じるのでしょう。
完全な平地よりは 緩傾斜のほうが
スポークドホイールとの感触の差が大きいので
そう感じるのかもしれません。
冒頭の画像は 昨日の朝で、
風吹峠のトンネルで 朝7時過ぎでした。
この日は 通勤を除外した距離で92km走っています。
トンネルの入り口で バイクを持って
方向転換しようとしたら
ディスクホイールのディスク面が
トンネルの入り口と平行になった
(バイクの向きが道を横切るような形になった)瞬間に
バイクが浮いたかと思うほどの風を受けたので
バイクの自重だけだと ディスクホイールの受ける横風が
よく分かります。
家の近くまで戻ると ちょうどいい時間だったので
用事がある問屋さんに2件 寄ったのですが、
その2件目のフルク〇ムとピナレ〇を
ジャパンでゆいいつ扱っている問屋さんで
中の人から用事のあとに声をかけられ、
なんでも今日 カ〇パニョーロの本社から2人
エライ人だか技術顧問みたいな人だかが来ていて
午前でミーティングが終わるから
午後からその2人を のむラボに連れて行っていいか
と言われました。
ホイールの話とかを聞きたいそうです。
断りました。
じゃあ 明日(つまり今日)ではどうかと言われましたが、
それも断りました。
シャ〇ルウルトラDB(アルミリムのほう)や
ボ〇ラウルトラWTOを見る限り
カ〇パニョーロの中の人は
そういう呼び方はしていなくとも
スポーク比重という概念を把握しています。
でなければ あんな構成のホイールは作れません。
スチールスポークのホイールに限れば
カ〇パニョーロに限らず たいていの完組みホイールより
走ると言わしめるホイールを組む自信はありますが、
それは あらゆるホイールで体重100kgちょっとまでの乗り手に
対応させなくてはいけないという条件があるわけでも無く、
結線ハンダ付けという 補修に関する属人性を考慮していない
いわば反則技あってのことなので、
それらを勘案すると ボーラやゾンダというのは
かなり 頭抜けた性能のホイールなのです。
事実 私は、これらのホイールでスポーク比重を変えて組み直したり
結線したことは ありません。
乗り手に「前より良くなった!」とか言われてるホイールは
全然ダメってことです。
問屋さんの中の人には
「クソ忙しいから来るな」とは言いましたが、
実際は もし来られたらメシノタネコード ダダ洩れで
ホイール談義を始めるのが目に見えているからです。
カ〇パニョーロの中の人というのが
イタリア人かどうかは知りませんが、
日本のショップに連れて行くくらいなら
サイゼリヤに連れて行って
全メニューを一口ずつ食べてもらって(※)
その感想を まとめてもらったほうが
ニュースとしてのバリューが高いレポートとかを
書けるんじゃないでしょうか。
味はともかく ナポリタンという料理自体にガチ切れしてたとか
一口でいいと言ったのに ミラノ風ドリアは完食してたとか
そういう話を知りたいです。
※お料理は全て(同行していた問屋さんの)スタッフが
おいしくいただきました。
category: ホイールの話
カンパニョーロとDTのラチェットリングについて 
2023/02/09 Thu. 23:27 [edit]
ひとつ前の記事の レーシングゼロの後輪の
ラチェットの山について書いていたら
長くなったので 別記事にしました。
このラチェットの山ですが、実は交換可能です。
今は載っていませんが、
かつてカンパニョーロのスペアパーツカタログには
このパーツの品番と 3個1セットでの価格が載っていました。
が、「サービスセンター オンリー」という注釈があり、
脱着する工具を一般販売していないので
交換は サービスセンターこと
カンパニョーロにジャパンいちくわしい問屋さん送り
という対応となります。
このラチェットの山が あまりに減ると
爪かかりが たまに前に滑る症状が出ます。
爪起こしバネが新品でも滑る場合は ここを交換したほうがいいです。
このパーツは3個1セットでの価格設定ですが、
1個を その3分の1の価格で売ってくれました
(取り付けはサービスセンターでですが)。
過去に交換してもらったラチェットリングです。
山の摩耗度がひどいものほど
下に置くようにすると こんな感じ
一番ひどいものです。
DTでは、同社のハブのラチェットリングの交換工具を販売しています。
なぜかというと、ハブ体右側ベアリングの交換に
このラチェットリングの脱着を要する仕様だからです。
↑画像左が3つ爪ポールスプリング用、
右がスターラチェット用の工具です。
どちらのラチェットリングも ハブ体に対する
ねじ山の寸法は同じなので、費用的に考えて
やる人は まずいないと思いますが
3つ爪ポールスプリングのリヤハブをスターラチェット化することも可能です。
さらに やる意味が不明ですが、その逆も可能です。
ちなみに この3つ爪ポールスプリング用の工具を
カンパニョーロのラチェットリングにかけようとすると
工具の径のほうが小さくて 全くかかりません。
私物として DTのX1900というホイールの後輪だけを買いました。
142mm幅のスルーアクスルですが、
私は この後輪に適合するフレームを所有しておりません。
3つ爪ポールスプリング仕様ですが、
全く同じ形状では無いものの 爪の納まる位置が
鏡対象に近くて 爪の向きを反転させても
機能しそうだったので反転させました。
↑こんな感じ
ラチェットリングを一度外し、逆さにして入れました。
フリーボディでレフトドライブのリヤハブが
作れないかと思ったのです。
フリーボディが右側にあるものだとして
ペダリング時の方向に回すと、空転します。
通常の逆です。
次に、フリーボディが左側にあるものだとして
ペダリング時の方向に回すと・・・
ラチェットリングが ゆるんで出てきました。
手の力で こうなるくらいなので、
脚の力で ゆるんでこないようにするのは無理です。
固定ギヤのレフトドライブの場合は
逆ねじのロックリングを締め込めば可能ですが。
また、ラチェットリングが ゆるみ出てくると
フリーボディ自体も外側に移動します。
上の画像では取り付けていませんが
右側ポン当てエンドも外れます。
もし フレームにスルーアクスルで取り付けていたら
それが押さえになる可能性はありますが、
危険なので使えません。
寸法が それほど悪くない
28Hのストレートスポークハブとして使うことにします。
レフトドライブが可能そうな フリーボディハブとしては、
一世代前のONYXのハブがあります。
スプラグの爪の取り付けを逆さにすることができますし、
スプラグを受ける部分は 単なる真円の円筒で、
ラチェットのように山があるわけではありません。
一世代前の、と書いたのは 現行のONYXのハブを
そこまでバラしたことが無いからです。
ラチェットの山について書いていたら
長くなったので 別記事にしました。
このラチェットの山ですが、実は交換可能です。
今は載っていませんが、
かつてカンパニョーロのスペアパーツカタログには
このパーツの品番と 3個1セットでの価格が載っていました。
が、「サービスセンター オンリー」という注釈があり、
脱着する工具を一般販売していないので
交換は サービスセンターこと
カンパニョーロにジャパンいちくわしい問屋さん送り
という対応となります。
このラチェットの山が あまりに減ると
爪かかりが たまに前に滑る症状が出ます。
爪起こしバネが新品でも滑る場合は ここを交換したほうがいいです。
このパーツは3個1セットでの価格設定ですが、
1個を その3分の1の価格で売ってくれました
(取り付けはサービスセンターでですが)。
過去に交換してもらったラチェットリングです。
山の摩耗度がひどいものほど
下に置くようにすると こんな感じ
一番ひどいものです。
DTでは、同社のハブのラチェットリングの交換工具を販売しています。
なぜかというと、ハブ体右側ベアリングの交換に
このラチェットリングの脱着を要する仕様だからです。
↑画像左が3つ爪ポールスプリング用、
右がスターラチェット用の工具です。
どちらのラチェットリングも ハブ体に対する
ねじ山の寸法は同じなので、費用的に考えて
やる人は まずいないと思いますが
3つ爪ポールスプリングのリヤハブをスターラチェット化することも可能です。
さらに やる意味が不明ですが、その逆も可能です。
ちなみに この3つ爪ポールスプリング用の工具を
カンパニョーロのラチェットリングにかけようとすると
工具の径のほうが小さくて 全くかかりません。
私物として DTのX1900というホイールの後輪だけを買いました。
142mm幅のスルーアクスルですが、
私は この後輪に適合するフレームを所有しておりません。
3つ爪ポールスプリング仕様ですが、
全く同じ形状では無いものの 爪の納まる位置が
鏡対象に近くて 爪の向きを反転させても
機能しそうだったので反転させました。
↑こんな感じ
ラチェットリングを一度外し、逆さにして入れました。
フリーボディでレフトドライブのリヤハブが
作れないかと思ったのです。
フリーボディが右側にあるものだとして
ペダリング時の方向に回すと、空転します。
通常の逆です。
次に、フリーボディが左側にあるものだとして
ペダリング時の方向に回すと・・・
ラチェットリングが ゆるんで出てきました。
手の力で こうなるくらいなので、
脚の力で ゆるんでこないようにするのは無理です。
固定ギヤのレフトドライブの場合は
逆ねじのロックリングを締め込めば可能ですが。
また、ラチェットリングが ゆるみ出てくると
フリーボディ自体も外側に移動します。
上の画像では取り付けていませんが
右側ポン当てエンドも外れます。
もし フレームにスルーアクスルで取り付けていたら
それが押さえになる可能性はありますが、
危険なので使えません。
寸法が それほど悪くない
28Hのストレートスポークハブとして使うことにします。
レフトドライブが可能そうな フリーボディハブとしては、
一世代前のONYXのハブがあります。
スプラグの爪の取り付けを逆さにすることができますし、
スプラグを受ける部分は 単なる真円の円筒で、
ラチェットのように山があるわけではありません。
一世代前の、と書いたのは 現行のONYXのハブを
そこまでバラしたことが無いからです。
category: ホイールの話
左右異数組みのカウンターとしての左右逆異径組みについて 
2022/07/16 Sat. 10:42 [edit]
先日、レーシングゼロ コンペティツィオーネ DBの
日本限定カラーを点検しました。
↑こやつ
後輪の暫定センターを見ると、紙1枚ほどのずれがあったのですが
撮影用に再び当ててみると 上の画像(作業前です)のように
センタードンピシャでした。
どうやら かすかな振れがあるだけのようで、
最初に見た暫定センターが たまたま最も振れていた位相付近だったようです。
それはいいとして このホイール、
前後輪とも2:1組みの少スポーク側のほうが
分厚いスポークに なっています。
初代レーシング1やレーシングゼロに採用されていた
ネクタイアルミスポークをやめて以降の
スクエアアルミスポークについては
どのホイールでも 同じ寸法のものが使われていて、
シャマルウルトラとユーラスまで含めても
違うのは色と長さだけという状態でした。
が、その法則を初めて破ったのが
このホイールのスポークです。
多スポーク側は 純正工具のC溝で
供回りを ちょうど押さえられる厚みになっていますが、
少スポーク側は 真横から見たスポークの幅は同じで
厚みだけが少し大きいスポークが使われているので
C溝に入りません。
A溝で押さえられるので 作業上の問題は ありませんが。
スチールスポークと違い、スポーク比重が違うアルミスポークを
わざわざ用意するというのは面倒です。
かつてのマヴィックでは、左右同数20Hの
全アルミスポークのキシリウムの後輪で
左右異径(フリー側のほうがスポーク比重が大きい)を
やっていたことがありますが。
これは別件で、当店で販売したレーシング3 DBです。
これも 前後輪とも左右逆異径組みで、
多スポーク タンジェント組み側のスポークが
純正工具のC溝に入るところ、
少スポーク ラジアル組み側だと
スポークが太いので入りません。
この場合は いずれにしても丸断面スポークなので、
供回り押さえとしての意味はなく
単にスポークの径を比較するためのモノサシでしかありませんが。
コリマのリムブレーキ用の完組みホイールに、
スポークの数の上での比でいうと 3:2となる
12+8Hで20Hの後輪がありましたが、
リム高が32mm・47mm・58mmとあるうちの
32mm高のモデルだけが逆異径組みを採用していました。
ロヴァ―ルのリムブレーキ用の後輪でも、
CLX32だけは 左右逆異径組みを採用していました。
この記事にある レーシングゼロ DBのリム高は30mm、
レーシング3 DBのリム高は28.5mmです。
フルクラムでも スピード40 DBでは左右逆異径組みを採用しておらず、
理由は憶測ながら分かっているつもりですが
完組みホイールメーカーでは リム高が高くなると
左右異数組みに左右逆異径組みを盛り込まない傾向があります。
フルクラムでは、30mm高だと
「わざわざ特製のアルミスポークを新規に作ってでも
逆異径組みを盛り込みたい」と判断するリム高というわけです。
これが カンパニョーロのボーラWTOでは
33mm高を含む すべてのリム高で 左右同径組みとなっています。
WTO(風洞実験で最適化された)というスポークの形状が
空力重視の専用品なので 変えたくは無かったのでしょう。
スポークの供回り止め工具も、
この記事中にある今までのものとは別に
ボーラWTOの専用品が用意されています。
私は ロヴァ―ルの組み直しで
リム高が32mm以上でも 左右逆異径組みを盛り込んでいますが、
ロヴァ―ルはタンジェント組みの角度が悪いのと
不用意に前輪のスポークの数を減らす傾向があるので
(ラピーデの18Hも論外ですが それ以外のモデルの21Hでも少ない)
リム高が50mmあっても 左右逆異径組みをしたほうがいいと思っています。
完組みホイールメーカーが リム高が高くなると
左右異数組みで逆異径組みをしなくなる理由について
私なりの考えは ここには書きませんが、
私が 逆異径組みが不要だと思うリム高が
どれくらいなのかというと、80mm高くらいからです。
つまり「だいたいのリム高で やったほうがいい」ということになります。
あるいは、24+12Hの36Hのホイールというものが
もし存在すれば、リム高が低くても
左右同径組みのほうが無難だろうとは思われますが。
日本限定カラーを点検しました。
↑こやつ
後輪の暫定センターを見ると、紙1枚ほどのずれがあったのですが
撮影用に再び当ててみると 上の画像(作業前です)のように
センタードンピシャでした。
どうやら かすかな振れがあるだけのようで、
最初に見た暫定センターが たまたま最も振れていた位相付近だったようです。
それはいいとして このホイール、
前後輪とも2:1組みの少スポーク側のほうが
分厚いスポークに なっています。
初代レーシング1やレーシングゼロに採用されていた
ネクタイアルミスポークをやめて以降の
スクエアアルミスポークについては
どのホイールでも 同じ寸法のものが使われていて、
シャマルウルトラとユーラスまで含めても
違うのは色と長さだけという状態でした。
が、その法則を初めて破ったのが
このホイールのスポークです。
多スポーク側は 純正工具のC溝で
供回りを ちょうど押さえられる厚みになっていますが、
少スポーク側は 真横から見たスポークの幅は同じで
厚みだけが少し大きいスポークが使われているので
C溝に入りません。
A溝で押さえられるので 作業上の問題は ありませんが。
スチールスポークと違い、スポーク比重が違うアルミスポークを
わざわざ用意するというのは面倒です。
かつてのマヴィックでは、左右同数20Hの
全アルミスポークのキシリウムの後輪で
左右異径(フリー側のほうがスポーク比重が大きい)を
やっていたことがありますが。
これは別件で、当店で販売したレーシング3 DBです。
これも 前後輪とも左右逆異径組みで、
多スポーク タンジェント組み側のスポークが
純正工具のC溝に入るところ、
少スポーク ラジアル組み側だと
スポークが太いので入りません。
この場合は いずれにしても丸断面スポークなので、
供回り押さえとしての意味はなく
単にスポークの径を比較するためのモノサシでしかありませんが。
コリマのリムブレーキ用の完組みホイールに、
スポークの数の上での比でいうと 3:2となる
12+8Hで20Hの後輪がありましたが、
リム高が32mm・47mm・58mmとあるうちの
32mm高のモデルだけが逆異径組みを採用していました。
ロヴァ―ルのリムブレーキ用の後輪でも、
CLX32だけは 左右逆異径組みを採用していました。
この記事にある レーシングゼロ DBのリム高は30mm、
レーシング3 DBのリム高は28.5mmです。
フルクラムでも スピード40 DBでは左右逆異径組みを採用しておらず、
理由は憶測ながら分かっているつもりですが
完組みホイールメーカーでは リム高が高くなると
左右異数組みに左右逆異径組みを盛り込まない傾向があります。
フルクラムでは、30mm高だと
「わざわざ特製のアルミスポークを新規に作ってでも
逆異径組みを盛り込みたい」と判断するリム高というわけです。
これが カンパニョーロのボーラWTOでは
33mm高を含む すべてのリム高で 左右同径組みとなっています。
WTO(風洞実験で最適化された)というスポークの形状が
空力重視の専用品なので 変えたくは無かったのでしょう。
スポークの供回り止め工具も、
この記事中にある今までのものとは別に
ボーラWTOの専用品が用意されています。
私は ロヴァ―ルの組み直しで
リム高が32mm以上でも 左右逆異径組みを盛り込んでいますが、
ロヴァ―ルはタンジェント組みの角度が悪いのと
不用意に前輪のスポークの数を減らす傾向があるので
(ラピーデの18Hも論外ですが それ以外のモデルの21Hでも少ない)
リム高が50mmあっても 左右逆異径組みをしたほうがいいと思っています。
完組みホイールメーカーが リム高が高くなると
左右異数組みで逆異径組みをしなくなる理由について
私なりの考えは ここには書きませんが、
私が 逆異径組みが不要だと思うリム高が
どれくらいなのかというと、80mm高くらいからです。
つまり「だいたいのリム高で やったほうがいい」ということになります。
あるいは、24+12Hの36Hのホイールというものが
もし存在すれば、リム高が低くても
左右同径組みのほうが無難だろうとは思われますが。
category: ホイールの話