のむラボ日記

自転車工房「のむラボ」のブログです

経年使用によるセンターずれと ニップル1回転当たりのリムの横移動量について  

組んだときに間違いなく センタードンピシャであったはずの後輪が、
1年間とか数千kmくらい使ったあとで点検すると
ほんのうっすら リムがフリー側に寄っている、という現象が起きることは
経験的に分かっていました。
スポークのねじ山からニップルがゆるんだ、
というのは もちろん除外しての話です。

経年使用でずれるのは、厳密には「後輪」ではなく
「オチョコがあるホイール」です。
なので、両切りのピストの後輪は ずれず、
ディスクブレーキ仕様の前輪は ずれるということになります。

といってもディスクの前輪では、オチョコ量が少ないためか
実際に 明らかなずれを観測したことはありません。

もし両切りピストの後輪で 片側のギヤのみを使い続けたときに
センターずれが出るようであれば、
ドライブトレインの動作によるストレスも原因だということになりますが、
これも経験上 有意な観測結果はありません。

DSC007495amx8.jpg
↑これは、私が組んだR450リムの後輪を
オープンプロに組み直した件のときに、
後輪をバラすついでに ある実験をしたものです。
画像のデータによれば撮影日は2016年2月13日で、
約2年前ですが そのときからこの記事を書こうと思っていたのです。
ちなみに この件です(→こちら)。
のむラボホイール5号の32Hリムが当時 欠品していたので、
オープンプロの32Hで組み換えています。

実験というのは、
センタードンピシャ横振れ無しの状態で
フリー側のセンターゲージの位置を採り、
それから左右のニップルを きっかり1周ゆるめて
再びフリー側にセンターゲージを当てると
どうなるのか?というものです。

DSC007496amx8.jpg
こうなりました。
フリー側で当てたのは、実験の結果を知っていたからです
(ハブ側のすき間を撮りたいので)。
ニップルをきっかり1周ゆるめた、といっても
厳密に狂いなく360°ずつでは無いでしょう。
358.2°のところもあれば360.9°のところもあるかもしれません。
が、ほぼ360°になるよう かなり気を遣って回しました。
実は、横振れさえなければ 少々センターがずれていてもいいですし
リムがオフセットリムでも構わないのですが(R450は違う)、
一応 非オフセットリムのセンタードンピシャ状態で始めました。

DSC03051amx8.jpg
↑こういうことです。
ここで確かなことは、オチョコがあるホイールの場合
ニップル1周あたりのリムの横移動量が左右で違う
ということです。
条件により異なりますが、経験上
フリー側1周と 反フリー側3/4周が同じくらいになります。
「条件」については あとで書きます。
このことは ホイール組みをするうえでも知っておくと便利です。

で、思ったのですが、
経年使用(あるいは年単位で放置)したホイールは
スポークテンションが低下しますが
(先ほども書きましたが ニップルのねじ山ゆるみは除外します)、
これはスポークに伸びが発生しているためです。
伸びが発生しているということは、かすかながら
スポークの長さが長くなっているということになります。

DSC03053amx8.jpg
なので、多少乱暴に言えば
経年使用のスポークの伸びと 意図的にゆるめたスポーク長さの伸びは
リムの横移動量に及ぼす影響が同じということになります。
これが「経年使用でフリー側にリムがずれる理由」です。

DSC03054amx8.jpg
リムがセンターですら ありませんが、
かなり極端な状態として上の図のようなホイールを描いてみました。
ここから、同じ量だけ(例えば1mm)スポークが伸びるか
ニップルをゆるめるかすると
DSC03055amx8.jpg
リムはフリー側に寄るはずです。
同じ1mmが横に向かって使われる割合が
左右で異なるためです。

DSC03056amx8.jpg
「同じ1mm」という前提ですが、
これはスポークの伸びの場合では正確ではありません。
ニップルをきっかり1周ゆるめた場合は「同じ長さ」だけ
スポークが伸びることになりますが、
オチョコがある後輪は 左右でスポークの長さが異なるので、
スポークの伸びは「長さに対する割合」で伸びると思うのです。
例えば シマノハブとオープンプロリムで32Hの反フリー側が
6本組みだとするとスポーク長さは295mmとなり、
ラジアル組みだと281mmになります。
ここからスポークが0.1%伸びるとすると 6本組みが0.295mm、
ラジアル組みが0.281mm伸びることになりますが、
経験上間違いないこととして
「ラジアル組みのほうが リムのずれが起きるスピードが早い」というのがあります。
ラジアル組みのスポークのほうが リムの伸びに対する角度の損失が無いので、
要素の大小で言うと スポーク長さに対する割合よりは
角度のほうが大要素ということになります。
これは 先ほどのニップル1周ぶんの横移動量の条件のひとつでもあって、
センターが出ている後輪のテンションをさらに上げるとすると
反フリー側ラジアル組みは フリー側のニップルの回転量に比べて
非常に少ない量で横移動量が釣り合います。
フリー側1周に対して 反フリー側2/3周か、半分ちょっとくらいでしょうか。
ハブの寸法的条件でも変わりますが。

DSC03057amx8.jpg
私の想像では こうです。
ここでは左右に厚みのあるホイールではなく平面的な図として見てください。
ラジアル組みのスポークはスポークの軌道そのもの、
タンジェント組みのスポークは最終交差を通るラジアル線(上の図青い線)で
1mmぶんだけリムを押し出すのに必要な長さは、
タンジェント組みのほうが大きくなります。

「ハブとリムの関係はスポークの「引っぱり」だから押し出すという表現はおかしい」
というツッコミをいただきそうですが、すでにテンションによって
内周側に引っぱられたリムが、テンションが和らいで外周側に移動するのを
見かけ上「押し出す」と書いたまでです。

あとこれは 私の気のせいかも知れませんが、
2:1組みの反フリー側のスポークが伸びるのは
左右同数スポークよりも早い気がします。

ただ、左右異数組みは左右同数組みと比べて
反フリー側のテンションが高いので より伸びやすい、ということであれば、
左右同数組みの後輪の場合は フリー側のほうが高テンションなので
フリー側のスポークが伸びやすい、
よって経年使用ではリムは反フリー側にずれる、ということになります。
が、実際は そうはならないので
経年使用におけるリムのずれについて スポークテンションは
オチョコによるスポーク角度の差より 小要素ということになります。
反フリー側ラジアル組みは ずれるのが早い、というのは経験上間違いないので
左右異数組みの反フリー側は基本的にラジアル組みになる以上
そういう感覚に陥るだけの事かも知れません。

で、ひとつ前の記事にあるように
4年間ノーメンテの のむラボホイール1号の後輪の点検をしたときに
リムがフリー側にずれていたと書きましたが、
お客さんには事前に
「おそらくは、フリー側で採った寸法を反フリー側で当てると リム側で空きます」
と言って フリー側にずれていることを言い当てました。

あるトライアスリートのお客さんのレーシングゼロの後輪で、
センタードンピシャにした1年後に点検すると
思っていた以上にずれていたということがありました。
ほぼ振れ無し、当店以外で触った履歴は 確実にありません。

私物の常用している後輪を 紙1枚ほど反フリー側に寄せて組み、
チューブラータイヤを交換するたびに
センターゲージを当てて調べていましたが、
1年半ほどでセンタードンピシャになったことがあります。

経年使用でセンターずれが起きることは間違いないのですが、
こういうことを書くと 微細なフリー側へのセンターずれ全てについて
「ああ、これ よく乗ったからですよ」などと言い出す
同業者が出てきそうなのが嫌です。ここを読むまで知らんかっただろ絶対。
実際は、短期間に大きなずれが発生するわけではありません。
私が フリー側への微細なセンターずれには寛容で(あくまで微細な場合)、
反フリー側へのセンターずれには「これは元からずれてるわ」と
断言するのは こういうわけです。

それなりの数の カンパニョーロ/フルクラムの後輪を
点検していれば分かることですが、
リムがずれている場合は ほとんどがフリー側に寄っています。
新品に限ってもそうです。
これは、組んでから売れるまでの 数ヵ月~2年くらいの間に
スポークが伸びてずれた、という現象が起きているような気がします。
とくに アルミスポークのモデルでは。
後輪で散見されるセンターずれの量を
前輪ではほとんど見かけない、というのも そう思う理由です。
前後輪ともメーカーの検品の段階では
センタードンピシャだったのではないかと。


例外的に、ほとんどの場合反フリー側に(しかも思いっきり)
ずれている後輪があります。R-SYSです。
DSC03058amx8.jpg
R-SYS系の後輪ですが、
反フリー側のスポークのみカーボンで、カーボンは伸びません。
スポークの伸びでリムがずれる要素が フリー側のみなのです。

DSC03059amx8.jpg
マヴィックのアルミスポークもカーボンスポークも、
ねじ山の径が大きく ねじ止め剤が強いことから
経年使用でニップルがゆるんでくることは ほぼありません。
しかもカーボンスポークの場合
スポークヘッド、カーボンのスポーク部分、ニップルのねじ山部分が
ひとつのカタマリになっているので なおのこと自然に回ることがありません。

R-SYS系の後輪のセンターずれについては
反フリー側にずれていたのが
(→こちら)(→こちら)(→こちら)(→こちら)(→こちら
(→こちら)←この記事中に 今日の記事の伏線あり
(→こちら)(→こちら)(→こちら)(→こちら)(→こちら
(→こちら)(→こちら)(→こちら)(→こちら)(→こちら
(→こちら)(→こちら)(→こちら)(→こちら)(→こちら
(→こちら)(→こちら)、

フリー側にずれていたのが
(→こちら)(→こちら)(→こちら
(→こちら)←R-SYS系としては珍しく リムがフリー側に寄っていますが、
という記述あり
です。
ざっと調べただけなので漏れが無いとは言い切れませんが
恣意的に抜き出したわけでもないので、これって「統計」と言っていいのでは・・・。
ていうか ずれてる場合のずれの量が えぐいですね。
あと もうひとつ重要なことを。
R-SYSはニップル1周あたりの
リム移動量の左右差が最も大きい後輪です。
フリー側1周の移動量が 反フリー側1/2周か、それ未満で釣り合います。
左右アルミスポークのキシリウムの場合、フリー側がラジアル組みですが
それでもニップル1周あたりのリムの移動量は反フリー側のほうが上です。
ラジアル組みかタンジェント組みかより オチョコのほうが大要素だからです。
R-SYSでは 反フリー側がラジアル組みなので
「スポークの角度が寝ているほう+ラジアル組み」という条件がそろい
キシリウムよりもニップル1周あたりの横移動量の左右差が大きくなっています。

つづいて、先日のレイノルズの後輪の増し締め(→こちら)について
記事中で補足できる量ではなくなったので
ここで しておきます。
DSC03060amx8.jpg
センターずれ無しの最初の状態のフリー側のH1ST(A)を、
お客さんに見せました。

そこから、張ってあるフリー側の増し締めが困難なので
反フリー側を3周ゆるめ、
フリー側を1周+1/2周+1/4周締めました。
このとき、微細な縦振れ取りもしていますが
テンションの多寡には ほぼ関係ありません。
この時点の、リムが最もフリー側にずれきった状態の
フリー側のH1ST(B)をお客さんに見せました。
反フリー側がゆるいのにAとBが ほぼ同じくらい(Bがやや高い)です。
これ以降、微細な横振れ取り以外では フリー側を触りません。

そこから、反フリー側を再び3周 締めました。
フリー側を1と3/4周増し締めているので
リムはセンターにまで戻りません。

そこからさらに、リムがセンターになるまで
反フリー側を一方的に増し締めできるわけですが
この増し締めボーナスぶんの
上の図プラスアルファのニップルの回転量は、
フリー側の増し締め量の1と3/4周より少なくなるはずです。
実際にそうなりました。
最終的にセンターが出た状態でのフリー側のH1ST(C)が、
数値のバラつきの下限が H1ST(A)の上限と同じか
やや上になったのを お客さんに見てもらっています。

追記:さらに別件ですが、かなり前にいただいたコメントで
「後輪を組むときに、左右同量ニップルを回しているのに
センターがずれます」という内容のものがありましたが、
それは左右同量で回しているからです。

category: ホイールの話

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FH-M755ハブで のむラボホイール1号を組みました  

今日もホイー(以下略)。
DSC02799amx8.jpg
理由あって 組み換え前のリムは撮れませんが、
お客さんから XTの初代ディスクブレーキハブで組まれた
後輪をお預かりしました。

DSC02800amx8.jpg
リヤハブはFH-M755で、
XTRがM950系のときの M750系XTです。
M950系XTRにはディスクブレーキの仕様がありません。
「純XC用途だとVブレーキで十分、ディスクブレーキはDH系のパーツだから」
と思っていたのか、あるいは
「XTRでディスクブレーキ出して しくじったら怖いから まずはXTで出すぞ」
と思っていたのかは知りませんが、とにかく755系ディスクは
XTだけでなく シマノ初のディスクブレーキです。
ローターの固定方式も センターロックではありません。

DSC02826amx8.jpg
今回の件には関係ないのですが、
まさに今しか書く機会が無さそうなので脱線します。
Vブレーキというのは「ロングアームカンチブレーキ」の
シマノ製品での呼称です。本来は一般名詞ではありません。
「(シマノ以外のブランド名)のVブレーキ」というのは
正確な表現ではないということです。

それを承知で今後も Vブレーキと書きますが、
一般的なVブレーキ(シマノ製品以外も含む)のアームは
メトロノームの振り子の棒のような軌道で動作します。
が、シマノの上位モデルのVブレーキには
「パラレルリンク」という機構が採用されており、
シューの部分の動作が ほぼ水平になります。
それによって シューの斜め摩耗を防ぐことができ、
斜め摩耗したシューが ズズッとリムに沈み込むようになる
「ダイブイン」を防ぐことができるというわけですが、
パラレルリンクを採用すると 当然 重量は重たくなります。
上の画像のXTRは BR-M951で、BR-M950の改良版です。
BR-M950はパラレルリンクのプレートに肉抜きが施してあり、
シュータッチ以降のブレーキレバーの握り込みで
パラレルリンクがたわむという欠点がありましたが、
BR-M951では多少マシになりました。
M950系XTRの時点でパラレルリンクを採用していたのは
XTのBR-M750と LXのBR-M570でしたが、
ブレーキの制動力の順でいうと アームがごついLXが明らかに最強、
次いでXT、その次にXTRと グレードと逆順になっていました。
ブレーキ前後セットでの公称重量は
XTR BR-M950が395g、M951が394g、
XT BR-750が455g、
LX BR-M570gが542g、
デオーレ BR-M510が420gで、
デオーレが軽いのはパラレルリンク式ではないためです。

シマノが XTRでディスクブレーキを採用したのはM960系からですが、
当時「新XTRでは、Vブレーキとディスクブレーキの重量差は ほぼありません!」
と喧伝していました。といっても Vブレーキのほうが数十グラムは軽かったはずですが。
ここで問題なのは、M960系VブレーキのBR-M960は
M950系よりアームが はるかに ごつくなり
公称重量でも484gもあったということです。
Vブレーキを約100g重たくしておいてディスクブレーキとの重量差を
小さく見せるなんて せこいマッチポンプだ、
BR-M95Xからだと百数十グラムの重量増じゃねーか、
と当時 思ったものです。
当時の時点でもVブレーキよりディスクブレーキのほうが
制動力が上だったことは 確かではありますが。

DSC02801amx8.jpg
話を戻します。
組み換え前の後輪ですが、
24Hリムと36Hハブで、ハブ穴とばしをして組んでありました。
スポークの向きがねじれないハブ穴とばしなので このこと自体は問題ありません。
組み方は逆イタリアン組みで、
ハブ穴の数えはロクロク組みとなりますが スポークの重なりは2クロスなので
24Hハブでの「ほぼ」ヨンヨン組みに相当します。
同じハブとリムだと YHのX本組みで Y/Xが同じならスポークの軌道は全く同じ、
長さも角度も全く同じというのを 以前に書きました。
36Hの6本組み(36/6)と 24Hの4本組み(24/4)の
スポークの軌道は同じというわけです。
ということは この最終交差を見ると36/6となるので
(存在はしませんが)FH-M775の24Hハブで 4本組みしたのと
スポークの軌道が全く同じ・・・にはなりません。
この36Hハブ穴を24Hと見立てるとハブ穴の間隔に
疎密があることになるので、それが原因で全く同じにはなりません。
が、「ほぼ」同じといっても いいです。

組み換え後は表題にもあるとおり
のむラボホイール1号のリムになりますが、
XR300リムは32Hまでしかありません(オーダーすれば別ですが)。
というわけで、24Hリムで組み換えをすることにしたので
DSC02820amx8.jpg
36Hハブと24Hリムでホイールを組む場合の展開図を
ハブ~リム~ハブ型で描いてみました。

今回の件に関係ないですが、
32Hハブと24Hリムでホイールを組む場合も描いています。
その場合、2:1組みになります。

スポークの軌道がおかしくならないように組もうと思えば、
ラジアル組みの場合は
スポークの線が横線に対して垂直である必要があり、
タンジェント組みの場合は
スポークの線が傾いていても 同じ角度で反復していれば
タンジェント組みさえすれば最終交差の向きの合成が
ラジアル線に乗るのでOKです。

どういうことかというと
DSC02821amx8.jpg
異なる穴数のハブとリムで0本組みするとき、
展開図のスポークの線が横線に対して垂直であれば
スポークの軌道がラジアル線上になり
「ラジアル組み」になります。
これが垂直でない場合、0本組みのスポークの軌道は
ねじれたようになり 厳密な意味でのラジアル組みにはなりません。

DSC02822amx8.jpg
リム穴とハブ穴を結んだスポーク線が
ラジアル線からそれた角度であったとしても、
垂直線からプラスマイナス同じ角度だけ違っているのが
反復している場合、

DSC02823amx8.jpg
タンジェント組みに変換できます(18Hの片側9Hなどは 奇数なので無理)。
この最終交差の合成はラジアル線なので
スポークの軌道がおかしくないホイールが組めます。
先ほどの図、32Hハブ24Hリムの2:1組みのフリー側が これに相当します。
XI組みで描いていますが Ж組みでスポークの線を引いてもいいです。
実際 組む場合はバルブ穴の位相がおかしくならないように
気を付ける必要がありますが。

DSC02824amx8.jpg
少し前に 触ることすらお断りした件として、
32Hのダイナモハブと コスミックカーボンの20Hリムで
無理組みしていた前輪というのがありました。

コスミックカーボンの20Hリムは リヤリムなので
リム横に空いている穴の高さが左右で違っていて、
それで前輪を組むこと自体も 気持ちが悪いのですが
それは別として0本組みをタンジェント組み3ペアぶん描いてみました。

DSC02825amx8.jpg
それをタンジェント組みに変換するとこうなります。
この状態から中央のリムの線を左右に動かしても
全てのタンジェント組み最終交差の合成を
ラジアル線に乗せることはできません。
つまり、20Hリムと32Hハブでは
スポークの引っ張り方向がねじれていないホイールを組むのは
無理ということになります。

この前輪、テンションが異常にヌルいうえに ばらつきもあり
(ヌルいスポークと 超ヌルいスポークが混在)、
点検をお願いされましたが これはホイールじゃないと言ってお断りしました。
最悪 怪我しますよとも言ったのですが 今でも使ってるんだろうなあ。

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組み換え前のスポークは星の黒スターブライトで、
DSC02803amx8.jpg
磁石に くっつく個体でした。
DSC02804amx8.jpg
ちょっと感動したので
スポークの黒塗装が安っぽいぞとか書くのをためらいましたが
結局 書きました。

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DSC02806amx8.jpg
ハブはオーバーホールします。

DSC02808amx8.jpg
DSC02809amx8.jpg
↑フリー側
DSC02811amx8.jpg
DSC02810amx8.jpg
↑反フリー側
とくに傷みはありませんでした。

DSC02812amx8.jpg
組めました。
ホイール組みより記事を書くほうが 数倍の時間を要しています。

DSC02813amx8.jpg
DSC02814amx8.jpg
JIS組みにしました。
フランジ穴のとばしを無視した 穴の読みでは
フリー側が6本組み 反フリー側が8本組みなのでロクヨン組みですが、
実際はフリー側が2クロス 反フリー側が3クロスなので
「だいたいヨンロク組み」ということにしておきます。
左右異本組みを盛り込んだというのが大事な点です。
スポークはフリー側が 黒リーダー 反フリー側が黒コンペで
チャンピ/コンペに相当します。
黒スポークの場合14番プレーンの用意が
サピムのリーダーになるからです。

あと、反フリー側の結線もしています。

DSC02815amx8.jpg
スプロケットの錆び落としと洗浄、ハブ体の洗浄、
ディスクローターのパッドが接触しない部分の錆び落としもしています。

category: ホイールの話

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5800のリヤハブのオーバーホールをしました  

わざわざ記事にするほどの内容は無いのですが、
お客さんの前で作業したわけではないので
作業前後の状態を撮ってあるものを 後日上げておきますと約束したので
記事にしました。
DSC02200amx8.jpg
これはシクロクロス用ということで かつて私が組んだ後輪ですが、
ハブはFH-5800です。
スチール製のフリーボディの外側に 錆びが浮いています。

私は やりませんが、スチール製のスプラインの場合
うっすらとグリスを塗っておくことで 錆びの進行を防ぐことが出来ます。

DSC02201amx8.jpg
ハブの回転に濁りは無いものの、グリスが切れている感触があり
それとは別にホイールを振るとシャンシャンと音がします。

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鋼球に傷はありませんでした。

DSC02202amx8.jpg
DSC02203amx8.jpg
スプロケットの汚れがヤバかったです。
チェーンに押された油泥団子が 歯の間に詰まっていました。

DSC02208amx8.jpg
フリーボディを外しました。

DSC02207amx8.jpg
フリーボディ内側に付いているラバーシールを めくり取りました。

DSC02205amx8.jpg
小さい鋼球がバラ玉で並んでいますが、
もう一玉 入りそうで入らないすき間が一箇所あり(画像の部分)、
ここのグリスが切れるとリヤハブ(または後輪)を振ると
シャンシャンと音がするようになります。これは異常や瑕疵ではありません。
歴史的に見れば この手のシマノ式フリーボディは
「ボスフリーギヤのギヤ無し状態」であり、
そこに歯の部分のみのパーツである
カセットスプロケットを取り付けることになりますが、
ボスフリーと同様 適度な固さのオイルを差してやることで
音や錆びを抑えることは可能です。

シマノからフリーハブグリスというのが出ていますが、
あれは シマノ式フリーボディに差すものではなく
爪がラチェットの山に対して起きる ラチェット&ポール式のリヤハブに使うもので、
7800系デュラエースと M800系セイントのリヤハブが それに相当します。
最近いただいたコメントにありましたが
WH-6600(完組みホイール)のリヤハブ部分も、7800と同じ形式です。
が、FH-6600(コンポーネントのリヤハブ)は
シマノ式フリーボディになっています。
セイントの現行グレードのM820系も シマノ式フリーボディになっているので
現状 フリーハブグリスの出番は ほぼ無くなっていますが、
DTがスターラチェット用にピンク色のペースト状の専用グリスを出しているように
ハブメーカーがラチェット&ポール用のグリスを出している・・・という例は
ほとんど無い(※)ので、シマノのフリーハブグリスを
シマノハブ以外で使ってみるのもいいかもしれません。

※マヴィックのフリーボディ専用オイルくらい

シマノのフリーハブグリスは、液体ヘリウムの超流動とは理屈が違いますが
フタのねじ山のすき間が大きいと思われる 旧型のグリス容器の場合
グリスが表面を伝って容器の外側を薄く覆う性質がありましたが、
現行の容器では ましになったようです。

DSC02209amx8.jpg
↑フリー側のワンです。ボールレースに傷はありません。
ワンに2ヵ所ある切り欠きは
メーカー内でのフリーボディの組み立てに必要なものだと思われますが、
ここからフリーボディを空転させると
切り欠きの部分までは回らずに その外側だけが回ります。
その間のすきまは 先ほどの小さい鋼球のバラ玉並びのほうに繋がっているので、
フリーボディを外さずに注油する場合は こちら側のすきまからオイルを差します。

DSC02210amx8.jpg
反フリー側のワンです。こちらにも傷はありません。

DSC02211amx8.jpg
洗浄してグリスアップして組み立てました。

DSC02212amx8.jpg
DSC02213amx8.jpg
スプロケットも洗浄しました。


おまけ
DSC02236amx8.jpg
これは また別件でのシマノ式フリーボディですが、
XTの完組みホイールに付いていたものです。
走行中に突然 固定ギヤの様になったので
帰ってからスプロケットを外したところ
スプラインが ばくはつしていたそうですが、
シマノに言っても交換してもらえなかったので
お客さん負担で修理したときの外し品です。

DSC02237amx8.jpg
ここが
DSC02238amx8.jpg
取れます。
クラックで広がったすき間に鋼球が詰まり 固定ギヤ状態になったようです。

DSC02239amx8.jpg
DSC02240amx8.jpg
ここにポール(爪)が内蔵されていました。
噛んでいた鋼球を除いたので 押すとパチパチ動きます。

DSC02241amx8.jpg
フリーボディ内側から。ポールが噛むラチェットの山です。

以上、記事としてのバリューが薄いところに
前々から書こうと思っていた話をぶち込んで
無理やり記事にしてみました。

category: ホイールの話

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コスミックカーボンアルチメイトのニップルをアルミにできませんでした  

私物のコスミックカーボンアルチメイトの後輪の
反フリー側のニップルを しんちゅうからアルミにしようと思ったのですが、
DSC02199amx8.jpg
無理でした。
元祖コスミックカーボン系のスチールスポークは
プレーン部分が 13番なのですが、
このカーボンスポークの先に埋め込まれている
スチールスポークのねじ山も 13番だったのです。
うーん、やるやんけ。
ちなみに、アルミニップル化したかった理由は
軽量化ではなく「青くしたかっただけ」という
しょーもない理由です。

category: ホイールの話

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まがいものに ご注意  

まずは 記事の表題とは関係ない話から。
「近所にあるショップ(店名書いてありましたが伏せます)に
ホイールを持ち込んだところ、
他人が組んだホイール(完組みホイールを含む)は
組んだ人の癖が付いているから
振れ取りとか調整、組み換え等で持ち込まれても困ります(できない)
と言い放たれました。これについて どう思いますか?」
というコメントをいただきました。

私の見解では
「そのショップの方針がそうなら 別にそれで仕方が無い」になります。
他店の方針に口は挟めません。
ただ、(上記のコメントの場合は違うようですが)
もし そのホイールが そのショップでの購入品であれば
死ぬ気で直せ、というのも 私の見解になります。
それが出来ない結果 お客さんによって
当店にお持ち込みされるホイールや その他修理が
あまりに多いことは このブログを読んでいる方はご存知だと思いますが。

これは、いつも書いている
「そんな程度の対応だったら海外通販で買われても仕方ないやんけ、
己の腕の無さを棚に上げて 海外通販してるお客さんに逆切れしてんじゃねえぞ」
という論調にもつながります。

当店では他店購入品(海外通販含む)でも 可能な限り
修理対応はやってみます、というのが基本方針なだけであって
それをしないショップの方針そのものに異議があるわけではありません。
内心バカにはしてますが、それは私の勝手です。
ただ、上のコメントの内容で まだ引っかかることがあります。
「ホイールには それを組んだ人の癖が付いている」というくだりです。
これは半分当たりですが、半分はずれです。
それに限らず「十分に確からしいだけの数を根拠にした経験則」に基づかないで
好き勝手テキトーなことをほざく奴があまりに多いのに辟易しています。
断るのはショップの方針なので自由ですが、
断る理由として「ウチでは受けてないんですよ」だけで 別にいいところ
ホイールの癖がどうこうという理由を付け足すのが
私が気持ち悪いと思うところです。
あと、まあ わざわざ言わないでしょうが
「ウチはホイールも触れないヘタクソなので受けません」
というのであればOKです。



「ホイールの癖」というものについて。
素人さんが組んだ手組みホイールを「念のため点検してください」と
お預かりすることがあります。
あるいは そのうえで結線はんだ付けをしてほしいと
言われることもありますが、
結線をするのはホイールの組み上がりの妥協点が
私と同じ水準にある場合のみに限っています。
素人さんが組んだ手組みホイールというのは大抵
スポークテンションがヌルく、
こんなん結線する以前の問題ですという場合が ほとんどです。
また、私が自分で組む場合だと疑う必要が無い
スポーク長さの間違いをしていることも多々あります。
とくに長い場合はホイールを組み切る前に
スポークがニップルのどん突きに達するので それ以上締められません。
スポーク長さが適正または やや短いくらいであれば
増し締めで のむラボホイール並みに
張ってやればいいじゃないかと言われそうですが、
ホイールを組む前の色んな下処理が出来ていないので
それが出来ないことが多々あるのです。
最近「のむラボホイール5号もどき」を よく見かけますが
まともに組めているものは ほとんどありません。
XR200リムとエボライトハブで半コンペヨンロク組みしている
ヌルいホイールを結線しても あまり意味は無いですし、
そんなホイールを渡されても のむラボホイールと同じように張るのは
実は 私にも出来ません。
ホイールを組む前の下処理についてはメシノタネコードがたくさんあり
詳しくは書きませんが、例えば私がミドリル処理と呼んでいるものもそうです。
ハトメなしの金属リム(一般車のステンレスリムなども含む)の場合
ミドリル処理をするかどうかで ニップルとリムの摺動抵抗が
変わります(減ります)が、
それをしていないと スポークテンションが高くなったときに、
ニップル回しでニップルを回すのに必要な力が
(とくにアルミの)ニップルのつかみ面をナメさせる閾値を超えるので
「張りたくてもニップルがナメるので これ以上は無理」という状態になります。
なので、ミドリル処理始め いくつかの下処理をしていない状態で
ホイールの形にしてしまったXR200リムのホイールを、
そこからの単純な増し締めだけで
準のむラボホイール5号に仕上げることは出来ません。
で、お預かりした時点で
ニップルがすでにナメているだとか
下処理をしていないので これ以上張れないだとか
そもそもスポークの長さが間違っているだとかの理由で
まともに触れない状態のホイールが多々存在するのは確かなので、
そういうのを「ホイールの癖」と呼んでいるのではないでしょうか。
私は ホイールの癖という言い方はしません。
私より ものを知らない、あるいはヘタクソが組んだホイールは
触りにくいというだけのことです。
もちろん 他人が組んだ手組みホイールでも
その辺りが ちゃんとしているものもありまして
そういうのは触りやすくて 助かります。
同じ材料で組まれていて 一見同じに見えるホイールでも
触りやすい触りにくいというのはありますが、
それを組み手の癖が残っていると表現するのは
ちょっと違うと思います。

お持ち込みされる手組みホイールの中には
素人さんだけでなく同業者の組んだものもありますが、
ほとんど何もせずに済み 結線も引き受けた例は 過去に2例あり、
そのどちらもが素人さんが組んだものです。
ほとんどのショップ組みのホイールより出来が上でした。

ヘタクソが触ったホイールは調整が難しい、の実例としては
「スポークのねじれ」も該当します。
シャマルウルトラなどのアルミスポークのニップル付近が
他店の調整で すでにねじれていることがあり
「これ、初手がゆるめる方向でも 回した瞬間にスポークがパキンと折れるかも」
という「黒ひげ危機一髪の最後の1本状態」になっているものは
お客さんに「このねじれ 元からで私のせいではありません、
気をつけて回すけど折れたらスミマセン」と事前に伝えるようにしています。
実際それで パキンと折った場合に
スポークの在庫が無くて即応できないから、というのも
他店購入品を断る理由のひとつかも知れません。
私も「このスポークは当店で入手が出来ません」と
お客さんに事前に伝えることが 多々ありますので。
しくじらない最大努力をすることと、
なるべく お断りしないという点は 本当に気をつけています。



さらに別のコメントで、
「ホンフゥの40mm高カーボンリムと
トラディツィオーネのリヤハブ(エボライトハブの色違い)で
半コンペヨンロク組みで組んでも
反フリー側のテンションが上がりきる前に
センターが出てしまいダンシングをするとシュータッチしてしまいます。
反フリー側のスポーク長が短く
ネジ山が1mmほど見えてしまっているのですが、関係はありますか?
また、複数のショップに聞いたところ、
3クロスはスポークが隣のスポークの頭に干渉する時は
やめた方がいいとご指摘を受けました。 実際、やめた方が良いのでしょうか?」
というコメントをいただきました。

スポーク長さが短いのは関係ありません。
反フリー側のテンションが上がりきる前に、という点が誤りです。
まずホンフゥのリムは限界テンションが高く
リムが割れる前にニップルがナメるか スポークがとぶので
テンションに関しては実質 青天井です。
もしニップルが黒アルミであった場合、
カラーアルミニップルは色によってリムとの摺動抵抗が
大きく異なり 黒はとくに大きいので、
メシノタネコードになりますが それを軽減する処置をしないことには
銀ニップルと同じようには張れません。
リム側の条件が良いので ホンフゥのリムでホイールを組んで
シュータッチすることは通常ありません。
しない後輪を組めと言われればできます(結線なしでも)。
半コンペヨンロク組みでシュータッチするということは、
そういうリムでホイールを組む場合によく見られる
全CX-RAYヨンヨン組みだと もっとひどいことになるはずで、
これは言いにくいのですが そもそもフリー側のテンションを
袋小路寸前まで張っていないことが原因です。
フリー側のテンションを袋小路寸前まで張るには、
リムの材質や 金属リムの場合ハトメの有無によって
それぞれ別の色んな下処理をする必要があり
そのうえでスポークを張る手順などが関係しますが
そのあたりは ことごとくメシノタネコードなので書けません。
半コンペヨンロク組みなどの組み方については
私なりの試行錯誤、トライアル&エラーから
エラーの部分を抜いた結果について ここに書いていますが、
これらは ホイールを百本組んだときに気付いたことや
千本組んだときに気付いたことなどが 元になっているので
理論とは別に 技術ありきの部分もあり
うわべだけ真似ても 同じホイールにはなりません。
ちなみに、私が店内でホイール組みをしているのを見られるのはOKです。
お客さんの前で 別のお客さんまたはそのお客さんのホイールを
組みながら(※)話や解説をすることは よくあります。
(※念のため書いておきますが 後者の
「お持ち込み即興組み」のほうが 件数としては はるかに少ないです)
お客さんの前で ミドリルも使いますし結線もやります。
なのでもし お近くの方なら、時間さえ許せば
目の前でホイールをバラして再度組むまでの全工程を
撮影や録音なしでさえあれば お見せすることも可能です。
半コンペヨンロク組みしてるのにヌルい!と言われると ちょっとつらいです。
原因は そこではないので。

あと、3クロスでスポークヘッドかぶりが起きるのは
良くないという話について。
もうこれだけで 何も分かってない奴が
またテキトーなこと ほざいとるわと分かるんですが、
答えとしては「程度によります」。
3クロスで問題があるのは
スモールフランジ且つ20Hで真の最接線組みをした場合くらいで、
私がスポークヘッドかぶりが原因と思われるスポーク折れを
現認したのはエボライトハブ28Hヨンパチ組みの
反フリー側(これも真の最接線組み)だけです。
この場合は4クロスになりますが。
そのショップども、「3クロスは良くない」と言えるだけの数の
ホイールを組んだ経験がおありなんでしょうか?
先ほども書きましたが、
「十分に確からしいだけの数を根拠にした経験則」に基づかない
薄っぺらい話に意味はありません。
ついでに書いておくと、よく言われることとして
「結線はんだ付けしたホイールは振れ取りができない」というのがありますが、
振れ取りどころか リムのお引っ越しすら可能なのは
私が実証しています。
で、そういうことをほざく奴の中で十分な数
結線をしたことがある奴なんて いないのですよ。
エボライトハブ半コンペヨンロク組みの
反フリー側の3クロス程度であれば
頻繁なスポークとびなどの問題は起きません。
もし起きるのなら私が過去に組んだ のむラボホイールの数からして
今ごろ 痛い目を見ているはずです。

問題が起きそうな3クロスの実例も ついでに挙げておきます。
DSC01614msn.jpg
DSC01615msn.jpg
↑これは私の3本ローラー用バイクの前輪ですが、
リーフハブ20H全コンペロクロクWクロス組みになっています。
Wクロスというのは最終交差のひとつ手前も編む組み方で、
2クロス=4本組みとは異なります。
これ、ねじれに強くなるのは事実ですが
スポークとびが頻発することが分かっています。
この前輪で スポークがとんだことは まだ無いですが
昔、オープンプロ32Hヨンパチ組みで組んだ私物の後輪の
Wクロスの反フリー側は本当に よくとびました。
もし この組み方を のむラボホイールに採用すれば
近い将来痛い目を見ることは必定です。



で、ここから表題の話になります。
DSC01545msn.jpg
お客さんから のむラボホイール5号もどきをお預かりしました。
オークションで買ったとのことですが、お客さん自身で組んだホイールではなく
売り物であった以上 これを組んだのが同業者だろうが素人だろうが
関係ありません。はっきり書きますが
材料が ほぼ同じなだけでこんなもん まがいものもいいところです。
こういうホイールで、説明文に
「のむラボと同じ様に組んでいます」とあるものもあるらしいですが
まるでちゃんと組めているかのように書くのは やめてほしいです。

DSC01546msn.jpg
リヤハブはノヴァテックの482SLでエボライトハブと同等品(というより元ネタ)、
スポークは 左右とも14番プレーンで
左落としヨンロクイタリアン組み結線?ありになっています。

DSC01549msn.jpg
結線?は鋼線のはんだ付けではなく
よく分からない汚い結線ですが、
この反フリー側、にぎにぎするとあまりにヌルく 結線以前の問題です。
センターもずれており、リムが反フリー側に寄っているので
経年使用ではなく 元からです。
縦横振れは ほぼ無しではありました。

DSC01548msn.jpg
イタリアン組みですが、ヨンロク組みを左落としで組んでいるので
逆リム扱いに なっています。
XR200リムには穴振りは無いので問題はありませんが、
こういうことをする奴は オープンプロなど顕著な穴振りがあるリムでも
同じことを やらかします。

DSC01765amx8.jpg
↑私物の のむラボホイール2号の前輪です。
思うところあって、わざと逆リム扱いで組んでいます。
自分のホイールだったら こういうことしてもいいんですが。

DSC01547msn.jpg
で、先ほど書いた下処理が出来ていないため
ニップル回転時の摺動抵抗があまりに大きく
センター出し以上には とても張れませんでした。
お客さんには「これ以上 張れません」と言うしかなかったのですが
何も意地悪で言ってるのではありません。
全バラしして最初から組ませてくれたら
これとはまったく違う結果を出す自信があります。
が、この のむラボホイール5号もどきを、単なる増し締めだけで
準のむラボホイール5号にするのは 私にも出来ません。

このホイール、先日の 21PPのヨOヨの後輪と
同じお客さんなのですが、
それの組み直しができましたという連絡をしたときに
「こないだの5号もどきについて ブログで悪し様に書くつもりだけど
気を悪くしたらごめんなさい」とお伝えしたところ
「その5号もどき、嫁さんのバイクに付けて乗せてみたら
フレームにまとわり付くような感触の走らなさで ヌルヌルなので
組み直してほしい」と言われました。
同じリムで全然違う結果を出せますということを証明する機会を
与えてもらったことに感謝します。フヒヒ。
それについては5号もどきの組み直しを待たずして
まず21PPのヨOヨで示すことが出来ると思いますが。

この記事で なにが言いたいのかというと、
例えばXR200リムで左右異径異本組みした後輪を使って
「のむラボホイール5号は こんなもんか」と
判断するのはやめてほしいということです。
今回のお客さんの件でも、それを証明する機会が無ければ
この のむラボホイール5号もどき≒のむラボホイール5号だと
判断されたかもしれません。おそろしや。


DSC01567msn.jpg
最後に。さらに別件ですが
組み直しをお願いされている あるホイールについて。
お客さんからウルサスのカーボンリムとクリスキングのハブで組まれた
「クリスキングの無駄遣い」ホイールをお預かりしました。

DSC01568msn.jpg
ハブは赤とターコイズで、
DSC01569msn.jpg
ニップルの色を前後で反転させてあります。
これは大阪市内の あるショップで組まれたものですが、
本人がここを見れば間違いなく分かると思うので はっきり書いておきます。
普通のホイール以下のゴミを組んで お客さんからお金を盗るのはやめましょう。
お前のところにリバースエンジニアリング可能な
のむラボホイール1号があるのを知ってますが、
それを見てこれを組んでお客さんに渡すというのは 相当な問題があります。
ちなみに、このホイールは現状 最初のオーナーの手を離れているので
そちらに連絡をとって組み直しの機会を得ることはかないません。

DSC01570msn.jpg
前輪はCX-RAY反ヌポークラジアル組みです。
一見 問題はなさそうですが、
明らかにスポークが短い(ニップルのすり割り未満)のを
お客さんにも確認してもらっています。

DSC01571msn.jpg
つづいて後輪。24Hロクロクイタリアン組みですが、
フリー側がCX-RAY、
DSC01572msn.jpg
反フリー側が丸スポークで
DSC01573msn.jpg
メーカーと番手を調べたところ
フィルウッドの2.0-1.8-2.0mmバテッドでした。
これはDTのコンペティションに相当するので
このホイール、逆半コンペになっています。

DSC01574msn.jpg
DSC01575msn.jpg
↑反フリー側が異常にヌルい。あかん笑ってまう。

こういうホイールを組むこと自体はいいのです。
左右異径組みの是正度を調べるために あえて逆に組むことで
どの程度悪くなるのかというのを試すぶんには。
私もやったことがあります。
しかし お客さんに渡してお金をもらうような仕事で
やることではありません。
ハブやリムなどの材料が安いものでは無い点もエグいです。

たまたま店内に のむラボホイール5号の結線無しがあったので、
お客さんに テンションゲージを当てた数値の左右差を お見せして
このウルサスが いかに低くまた左右差が大きいか、
5号のリムに対して リム高が はるかに高いのに
こんなヌルいのは いかに異常なことなのか丁寧に説明しました。
結果、点検は無し(後輪ずれてたけど無視)で
組み直しをご希望ということになりましたが
このお客さんの別件のお預かりが まだ解決していないので
すぐには取りかかれません。
といっても このお客さんは
私が組んだホイールや組み直したホイールを
すでにいくつも持っているので、私がなにか言わなくとも
ウルサスの現物に触れた時点で 後輪の組み直しは確定していたようです。
前輪のスポークが短いことまでは 気が付いてなかったようですが。



手組みホイールですが、頑張れば
スチールスポークの大抵の完組みホイールよりは
まともなものが組めるはずなのです。
レイノルズやZIPPやゼンティスなどの
「リム屋さんなので リムが良いだけ」の後輪は
ハブの交換も含めた組み直しで元より良くすることもできます。
これはのむラボ開店当初の時点では
断言までは はばかられましたが、
「できます」と強く言えるようになったのは
それなりの数をこなした結果からです。

なので、ホイール組みは とにかく数をこなすことです。
昔組んだホイールの出来を見て恥ずかしくなった、
という経験があるかどうかが ひとつの判断基準です。
月に十本も組めば年間百本を超えるので
そのうち なにかの境地に達するかもしれません。
実はそこがまだ入り口なんですが。
無茶言うなそんな本数プロショップでもなかなか組まんわ、
と言われそうですが その通りです。

全然関係ない話ですが、旧東ドイツの自転車競技のトレーナーが書いた本に
「ハイアマチュアなら、レース数は年間100ほどでいいだろう」と
書いてあるのですが、日本では そんな数のロードレースはありません。
↑レース数については曖昧なのでソースを見てから訂正します
DSC01764amx8.jpg
↑ソース見つけました
年間100レース走れる環境が「恵まれている」ように、
ホイール組みの仕事が絶えない 今のこの状況が
恵まれていることは もちろん自覚しています。
ありがたやありがたや。勉強できるぞ。


昔、鍋谷峠(大阪と和歌山の境)からの練習帰りに
小さなイタリアンレストンに 簡単なパスタコースを食べに
寄っていた時期がありましたが、
パスタについて勉強すればするほど
そこのシェフの仕事に近づく・・・んじゃなくて
むしろ何をやっているのか分かったが為に
実はものすごく遠いと気付かされたことがありました。
プロの仕事ってそういうものだと思うのです。
そういえば「パスタの量どれくらいにします?」と訊かれたときに
「(乾麺の束でいうと)店主のおっちゃんの○○○の太さくらい」と言ったら
とんでもない量を茹でて出してきたことがあります。
しょうもない見栄を張るんじゃねえよ。

category: ホイールの話

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