のむラボ日記

自転車工房「のむラボ」のブログです

名前を呼んではいけないブランドの後輪を組み直しました  

今日もホイー(以下略)。
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お客さんから、名前を呼んではいけないブランドのホイールをお預かりしました。
かなり ひどい問題が起きていて、何とかしてほしいとのことです。
ホイールの組み方が 2:1組みになっていますが、
やっぱり このブランドは ホイールのことを
よく理解していないというのが分かりました。

と言うだけだったら言いがかりになるので、
推測される原因や 対処法まで書いてやることにします。
ありがたく思え。←上から目線

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今後の画像撮影の都合上、配慮さんだけでカバーできないので
ブランド名を伏せるテープを貼りました。

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ぴっちりと貼ると ロゴがエンボス状に浮き出ることが分かったので
ふんわりと貼ることにしました。

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で、かなり ひどい問題というのは、
フレームの左チェーンステーに
タイヤサイドが擦って 塗膜が剥げた
ということです。
シュータッチならぬフレームタッチです。
塗膜が剥げた部分はカーボンの地が出ているそうで、
レース前に決戦用ホイールに履き替えようとしたときに 気付いたとのことです。

私が知る限りでは、バックが よほど絞ってある形状のフレームに
ヌルいホイールを履いたがために擦ったという例も無いではないですが、
フレームタッチをするのは、おもに「スポークがとんだホイール」です。

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擦った痕跡を調べます。擦り始めの位置に目印のテープを貼りました。
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DSC01067amx8.jpg
→→
DSC01068amx8.jpg
→→→
DSC01069amx8.jpg
→→→→
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このあたりで終わっています。

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だいたい150°くらいに渡ってタイヤサイドに擦った痕跡がありました。
ホイールに横振れはありません。
お客さんのフレームはアンカーのRS9です。
チェーンステーは絞り気味の形状ではありますが、
25Cタイヤを履いた実車を同業者に見せてもらったところ
タイヤサイドとチェーンステーの間隔が
異常に詰まっているわけでもありませんでした。

RS9のリヤエンドは、いわゆる「ストドロ」になっています。
ストレートドロップエンドは、後輪を斜めに取り付けることが出来ません。
古典的なスチールフレームのロードエンドや、
トラックまたは 一部のTTバイクに見られる正爪エンドは
後輪を斜めに取り付けてしまう可能性があります。

もし、何らかの不備で お客さんが
フレームに対して後輪を斜めに取り付けたとしましょう。
その場合、タイヤサイド全周に渡って 擦った跡がつくはずです。
実際には 部分的に(といっても約半周ですが)擦っているので
これはホイールの問題です。

お客さんの使い方としては、
極端にホイールをねじるように平地でモガキ倒した・・・わけでもなく
どうも普通に登りで立ちこぎしたときに擦っていたようです。
お客さんの体重が極端に重いわけでもありません。

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タイヤはグランプリ4000SIIの23Cですが、
このタイヤは経年使用で2mm弱 太ります。

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実測すると、25.1mmでした。
実質25Cになっているのは 経年で太ったというよりも
ワイドリムに装着して 引っぱりタイヤ状態になっているからというのが
理由としては大きいと思われます。
が、先ほども書いたように 実質25Cタイヤといっても
RS9に不適合というわけでは無い以上
フレームのせい タイヤのせいとするのは無理筋です。
やっぱりホイールのせいです。

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タイヤを外して、ホイールセンターを調べました。
ドンピシャですが、実は ずれているほうが救いがあったのです。
増し締めで 何とかなったかもしれないので。
スポークテンションは、この条件下としては
キンキンに張っているわけではないですが 充分に張ってあり、
これ以上の増し締めしろは少ないです。

このリムこのハブこのスポークこの組み方で
あと もうちょっと何とかするのであれば、
スポークテンションの多寡しか調整要素はありません。

ここから 横振れ無し+ホイールセンターを保ったまま
ニップルを増し締めしていったとすると、
先ほどのタイヤサイドの接触範囲が 潮が引いていくように
150°・・・120°・・・80°・・・50°・・・・・・0°!
と なればいいのですが、それだけで解決できるほどには
現状がヌルくないので 増し締めだけでの解決は無理です。
「異常にヌルい個体だったので、これだけ張れば もう擦らないでしょう!」
で済めば 楽な話です。

ということは、このホイールを RS9にはめて フレームタッチするというのは
100個中100個ともには起きないとしても、
100個中1個のレアケースというわけでも無いわけです。
これの原因と思しき要素を排除しない限り、解決はしません。

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このホイール、2:1組みになっていますが
2:1組みをしている完組みホイールメーカーが
ことごとく気付いている ある理屈に気が付いていません。
それは フレームタッチの理由としては十分だと思われます。
頭悪いのに左右異数組みに手を出すんじゃねえよ。

その原因というのは、ヨンゼロ組みをしているということです。
12+12Hの24Hヨンゼロ組みと
16+8Hの24Hヨンゼロ組みは、全くの別物
なのです。

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以前にも触れたことがありますが、もう一度 書きます。

ある左右同数組みの24Hホイールで、4本組みをしたとします。
リムとハブの寸法が同じであるという条件下で
YHのX本組みでY/Xが同じ数になる場合、

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X本組みの Xの数が違っていても
スポークの軌道は全くの相似になります。
相似なので最終交差の挟角も同じになります。

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そこから、スポークの本数に応じて異なる角度
(360/片側の最終交差の交点の数 °)で
最終交差の点が回転して移動、

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移動先で相似のスポーク軌道をニョキッと発生させる・・・というのを
1周分 繰り返せば ホイールになります。

思考実験ですが1440Hの240本組みも
スポークの軌道は上の図のものと相似で、
最終交差の交点の移動角は1°になります。

何が言いたいかというと、4本組みとか6本組みとかいうのは
それだけで最終交差の挟角が決まるような絶対基準ではなく、
リムとハブの寸法が同じであっても 穴数の条件が変われば
4本組みの挟角と6本組みの挟角が同じになる場合も
ありうるという話です。

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で、16+8Hは合計24Hではありますが
右フランジだけを見れば32Hハブの片側と変わりありません。
リムは32Hではなく24Hなので厳密には違いますが、
このホイール、24Hの4本組みをしているようで
実は32Hの(ほぼ)4本組みをしているのです。
これが このホイールの設計上の最大の弱点です。

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ここで、12+12Hの反フリー側ラジアル組みの後輪の展開図を
ハブ~リム~ハブ型で描いてみます。
バルブ穴の位相を0°にすると 描きにくくなるので
バルブ穴から時計回りに隣の最初のリム穴を0°の位相にしました。

フリー側のスポークとリム穴を青、反フリー側を赤で描いています。

タンジェント組みを 1クロス(2本組み)で表現しているのは、
2クロス以上だと 線が煩雑になるからです。

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つづいて、16+8Hの展開図も描きます。

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リム線上の リム穴の位相は12+12Hと同じですが、
2:1組みなので青赤青の反復になります。

バルブ穴の隣が青なのは、

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実際のホイールでも バルブ穴の両隣ともが
フリー側のスポークになっているからです。

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0本組みのスポーク軌道ががラジアル線上にある場合
(普通のラジアル組みは そうなります)、リム線に対して垂直な線になります。
まず 反フリー側ラジアル組みを描きました。

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このホイールの2:1組みは、真横から見て
反フリー側ラジアル組みのスポークが フリー側の最終交差を通る形なので、

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赤の線をフリー側に延長すれば 青の最終交差にぶつかるはずです。
あとは 32Hハブ相当で均等間隔の右フランジ穴を描けば
16+8Hの24Hの後輪の展開図が完成します。

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12+12Hと16+8Hの展開図を並べました。
「フリー側4本組み」という同じ呼び名の組み方をした場合、
16+8Hのほうがスポークの角度が ラジアル組みに近づきます。
つまり、同じ「24Hのフリー側4本組み」でありながら
16+8Hのほうが低テンションになるということです。
そのうえ、左右異数組みのスポークテンション差の是正度がすさまじいので
場合によっては反フリー側のほうが高テンションになることがあります。

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実際に、H1STを調べてみました。
DSC01078amx8.jpg
ある反フリー側で157を指しました。

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あるフリー側で154弱を指しました。
154寄りなので154ということにします。

大事なことを書き忘れていましたが、
このホイールは左右同径スポークです。
後述しますが 左右異径組みであった場合、
H1STの比較だけで 第2STの大小を断定することはできません。

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というのを、ホイールを フリー側から見て時計回りにフリー側を、
ひっくり返して反時計回りに反フリー側を測った結果がこれです。
フリー側の「ヤ」はヤマアラシさん方向、
「反」は反ヤマアラシさん方向を指しますが
あまり意味はありません。
リム穴全てに 時計回りに番号を付けていったとすると、フリー側が上から
1、3、4、6、7、9、10、12、
13、15、16、18、19、21、22、24となり
反フリー側が上から
2、5、8、11、14、17、20、23となります。
左タイヤが擦っていたのは バルブの対岸あたりの位相になるので
10~15辺りのテンションが低いのでは、
と思っていましたが そうでもありません。
あと、もし顕著にテンションが抜けていれば 縦振れが出るはずです。

注目すべきは、やはり反フリー側のテンションが高いという点です。
反フリー側のほうが高テンションなのが 何か問題なのか?
と言われそうですが、スポークテンションの袋小路を
反フリー側が決めるというのは おかしい気がします。

そこで、左右異数組みの絶大な是正度を 少し戻すために
それよりも是正度が低い異径組みや異本組みを
あえて逆に用いるという高等テクニックがあります。
これは、ホイールのことを真に理解していないと
使えないし 思いつきもしません。
左右異数組み+逆異径組みの例としては、
「コリマの12+8Hの3:2組みホイールで
反フリー側のスポークのほうが太い(スポーク比重が大きい)」
というのが例に挙げられます。
これを初めて見たときは ひっくり返りました。
この意味を理解してるの私以外にどれだけいるんだろうとも思いました。
コリマの中の人は、のむラボ用語でホイールの性質を
把握しているわけではないでしょうが
私と同じかそれ以上の観念でホイールを見ているわけです。

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↑これです。
壊れたデジカメのSDカードから復元できていました。
点検お持ち込みではなく、珍しく当店で販売したホイールです。

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↑左右逆異径組みです。
極端なスポーク比重差ではないところに、
計算づくでやったという感じがあります。

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あとクイックかっこよすぎる(どうでもいい)。

話を戻します。
左右異数組みへのカウンターとして、
左右異径組みを選ぶのと 左右異本組みを選ぶのとでは、
異径組みのほうが難易度が上になります。

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↑これはDTのチャンピオンの換算表です。
DSC01083amx8.jpg
↑同じくコンペティションの換算表です。
いずれも14番ねじ山のほうですが、
縦軸がD1ST(DTのゲージの第1のスポークテンション)、
横軸がスポークテンション(第2のスポークテンション)です。
同じような表に見えるのですが、

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チャンピオンの表は D1STが1から3.5、
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コンペティションでは0から2.5となっているので
実は 同じ表ではありません。

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切ってくっつけました。
同じスポークテンション(第2ST)であっても
スポークの番手や形状や比重が変われば D1STやH1STが変わるので、
左右異径組みをカウンターで使うのであれば
第2STを よくよく把握していないことには難しいということです。

DSC01088amx8.jpg
ん?

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おい待てや 縦軸の長さ一緒やけど 横軸は違うやんけ。
まあ言わんとしてることは伝わったと思うので別にいいのですが。

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左右同径組みの場合、第1STの差だけを見て
第2STの差の比率を求めることはできませんが、大小だけは確定します。
なので反フリー側が高テンションになるのを防ぐことだけはできます。
通常のホイールだと 上の図Aがフリー側になるわけですが
今回の件だとBになっているということです。
実測で Bの平均が150.9、Aの平均が157なので
H1STだと BはAの約96%ですが、
第2STの差は換算表無しには分かりません。
で、これを16+8Hのヨンゼロ組みから
逆異本組みをしてロクゼロ組みすれば フレームタッチを防げるのではないか、
というのが今回の対処法の提案となります。
おそらくは、上の図AとBの位置が逆転する・・・わけではありません。
Aの位置がそのままで Bの位置がAよりも上になるというのが予想です。
リムの許容テンションを超えてはならない、という条件付きですが。

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ここで、何本組みとか 何クロスという呼び方の関係を まとめておきます。
X本組みは X/2クロスという言い換えができますが、
これはフランジ穴が均等間隔のときにのみ成り立ちます。

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↑これはヴィットリアの2:1組みホイールですが、2クロスです。
2クロスですが、実効的なことを言えば 4本組みではありません。
フランジ穴(スポークヘッドがある位相)の間隔が
疎密を繰り返していて均等ではないからです(疎同士と密同士は均等)。

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均等間隔フランジ穴6本組みを描きました。
赤い反ヤマアラシさん方向のスポークが、
最終交差を含めて ヤマアラシさん方向のスポークと3回クロスしています。
3クロス=6本組みです。

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元のフランジを飲み込むようなラージフランジを設定しました。
新ラージフランジの新フランジ穴は、
スポークの軌道と 元のフランジの外径が重なった位置に設定します。
そこから、元のフランジとフランジ穴を消すと

DSC01136amx8.jpg
こうなります。
残されたスポークの軌道は一切変わっていないので、
疎密穴フランジの2クロスは 均等間隔穴の6本組みに相当します。

先ほどした言い方をすれば、見かけ上2クロスながら それよりも小径な
汎用フランジの6本組みのスポークの軌道と(残った部分は)相似になるので
最終交差の挟角も同じになるということです。

これをやる理由ですが、スポークを短くして剛性を稼ぐためだと思われます。

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じゃあ もっともっとラージフランジにして、
交差の読みが1クロスとか0クロスになるようにすれば
いいじゃないかと極論が出そうですが、
これについて 完組みホイールメーカーでは
ハブ自体の重量がホイールの重量増に響かず
スポークを短く出来るメリットだけをほぼ享受できる
ギリギリのところを突いていると思うのです。

今回 組み直すホイールブランドは 割りと無根拠に
他社のホイールの仕様について あれはダメこれはダメとほざいてますが、

DSC01062amx8.jpg
自分とこのホイールは 2:1組みで
均等間隔フランジ穴4本組みをするという程度の理解度なのが笑えます。
これ、最終交差がフランジに近すぎるんですよね。

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↑ヴィットリア

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↑ローヴァル

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↑フルクラム
いずれもフリー側の組み方が 疎密フランジ2クロス実効6本組みです。

均等間隔汎用ハブでは 実効6本組みが出来ない・・・というより
普通に6本組みをすればいいので、2:1組みする場合には
左右異数組みに 左右逆異本組みを盛り込んで
ヨンゼロ組みでなくあえてロクゼロ組みをしたほうがいいのでは、
というのが 私の考えです。

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ホイールをバラしました。
リム重量を量るので テープは剥がしました。
うへあ。

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同じくらいのリム高の、カンパニョーロ バレットです。
アルカーボンリムですが、ブレーキゾーンがアルミなので
通常のブレーキシューが使えます。

「通常のブレーキシューが使える」というのは、
下りのブレーキ熱でシューが溶けてダメになることが無く
正常に使えるという意味です。
あと、バレットはフレームタッチしません。

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外したピラーのスポークです。
スポーク比重を調べたところ、96~97%といったところでした。

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左右方向から見た側
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前後方向から見た側
これなら、サピムのCX(スポーク比重101%)のほうが
空力的においしいと思うのですが、どうでしょうか。
このブランドでは リムの空力特性が リムの重量よりも
ホイール全体の性能に関して 大要素だと言わんばかりに
空力に こだわっているようなので
(リムの空力が優れていれば 重量が500gあってもどうということは無いらしい)、
このスポークの選択は ちょっとどうかと思います。

これと同じスポークで6本組みの長さが入手できれば
ロクゼロ組みで反フリー側のH1STを組み換え前と同じにしたときの
フリー側のH1STを測れますが、残念ながら それが出来ないので
もっと別の方法を考えます。

私の見立てでは今回の2:1組みの後輪は
それ以前の左右同数組みよりも完成度が低いので
(前のモデルでフレームタッチしたというのは聞いたことが無い)
12+12H黒半コンペヨンロク組み結線ありだと
それ以上のものを組めるのは まず確実ですが
(前モデルを何ペアか組み換えて
組み換え前より悪くなったと言われたことが無いので)、
今回のリヤリムは ご丁寧にも2:1組み用の穴振りになっています。
穴振りを無視して左右同数穴ハブで組むのは、不可能ではないですが やりません。
2:1組みのままで組み方を考える必要があります。

のむラボホイールで左右異数組みをしなかったのは
カウンターの左右異本異径組みを どの程度ブチ込むのが
最適解になるのかのトライ&エラーの積み重ねが無いことと、
積み重ねたところで左右同数異本異径組み結線ありのほうが
かかりが良いだろうと思われるからです。
左右異数組みの場合、反フリー側はタンジェント組みには出来ません。
そんなことをすれば反フリー側が勝ちすぎて
反フリー側のスポークテンションの袋小路の時点で
フリー側のほうが低テンションになるからです。

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組み換えました(三つ目がとおる)。

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16+8の24Hハブ コンペ/CXロクゼロ組み結線ありです。
タンジェント組みはフリー側のみなので、結線は当然 フリー側です。

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組み換え前のスポークは 丸穴に通るサイズでしたが、
ハブフランジにはスリットがあったので CXを使いました。

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↑組み換え前のスポーク24本

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↑組み換え後のスポーク24本
先ほど、CXのスポーク比重は101%だと書きましたが
これは過去のデータの101.3%からの引用で、
今日の入荷分で調べたところ99.3%でした。
サピムの公称値の260mm×64本で423g、
から計算すれば98.9%になります。
これくらいであれば14番プレーンスポーク(100%)と左右別で使うときに
左右異径組みであるとは意識しないので
「CXは約100%」という認識で問題はありません。

対してコンペですが、この状態のコンペで
スポーク比重を計算すると85.6%となりました。
実はこれはカット後の状態のスポーク比重で、
バテッド部分の割合が吊るしよりも大きくなっています。
コリマ先生ほどのテストをしたわけでもないのに
左右異数組みのカウンターに左右異径組みを混ぜるという試みを採りました。

フリー側に結線をした理由ですが、
おそらく無しでもフレームタッチはしないと思うのですが
もし なった場合に再度やり直すのが面倒なので やりました。
このホイールブランドでは結線に意味が無いと言っていますが、
フレームに擦らないホイールを出してから言ってほしいです。

ここまでエラソーに講釈をたれていますが、お客さんにとって重要なのは
タイヤがフレームに擦るか擦らないかという点だけです。
それが解決しないなら、スポーク比重だの逆異径組みだのという
ここまでの話はゴミ同然の机上の空論になります。

前輪も点検でお預かりしていますので、タイヤローテーションをして
擦り跡の無い元フロントタイヤを後輪に取り付けました。
左サイドに再度(ここダジャレ)擦り跡が付くかどうかの
経過確認を お願いしようと思っています。

リムの穴振り不良について書きます。
次の2枚の画像はいずれも組み換え前のものですが、
DSC01117amx8.jpg
↑正常
DSC01119amx8.jpg
↑穴振り不良
ニップルが ほぼ真上、または逆側に傾いたりするのを
私が勝手に そう呼んでいます。
カーボンリムに多いのですが、
スポークがニップルの穴に干渉した状態になったり、
ひどい場合はスポークが明らかに曲がるような例もあります。

組み換え前のホイールは 外周側からも回せる形状の
ニップルと知ってはいましたが、内周側だけをつかんで ほどきました。
そのときに、締めているのではなく ゆるめているのに
ハトメのような金属的ザリザリ感があったので
「入っているな」とは思いましたが

DSC01157amx8.jpg
ニップルワッシャーが入っていました。
もっと大きなものであれば スポークテンションを
面積で分散させるような効果が期待できますが、
このサイズのものだと そういう効果はありません。

DSC01145amx8.jpg
というか これだけ無駄に内周側が分厚いリムだと ワッシャーは不要です。

DSC01158amx8.jpg
ニップルは使い回しませんでした。
14mmニップルに相当する長さですが、
DSC01159amx8.jpg
ワッシャーも使わなかったので リム穴が分厚くとも 12mmで事足ります。
DSC01160amx8.jpg
で、このワッシャーですが妙な変形をしたものが多く
DSC01161amx8.jpg
これがニップルの根元の可動域を殺していたので
DSC01163amx8.jpg
穴振り不良を起こしていたのかもしれません。
というのも、通常 穴振り不良は直らないのですが
(ドリルの刃を手でピンバイスのように回して
軽く ざぐると 改善する場合はある)
ワッシャー無しで組み直したところ 顕著な穴振り不良が無くなったからです。

DSC01155amx8.jpg
↑正常
DSC01156amx8.jpg
↑ちょっとずれているけど正常の範囲
ロングニップルだと歯周ポケットが長いので
傾いたスポークとニップルの穴が接触しやすいのかもしれません。
ついでに書いておくと
ワッシャー無し・短いニップル・スポーク変更の どれもが軽量化になりました。

最後に。
このホイールブランドの方も
いずれ ここを見ることになるかと思いますが、
ヨンゼロ組みからロクゼロ組みへの仕様変更または
社内テスト(普通は販売前にするものですが)だけでも
やってみることを強くオススメします。
ニップルワッシャーも害のほうが多いと思います。

今回のお客さんの身体的条件とフレームの条件と使用状況は
それほど極端な条件が揃っているわけではないので、
大なり小なりのフレームタッチを 他所でも起こす可能性が否定できません。
こういう現象が起きているのにヨンゼロ組みのままで売るのは
お客さんに対して不義理だと思います
(私が勝手に思っているだけなのでお構いなく)。
もし、ロクゼロ組みへ仕様変更したのであれば
2:1組みの仕様変更の時点で思いつかなかった以上
ここを見てから慌てて変えた、つまり私のホイール論に屈したと見なします。
元の左右同数スポークに戻すのも「逃げ」ですよ。
義理か面子か 好きなほうをお選びください。

謝辞
アンカーのRS9についての知見については・・・
*おおっと*
そういえば名前を出すなと言っていたな
とにかく助かったぜ

category: ホイールの話

tb: 0   cm: 3

花(フラワー)  

私信です。ねじり組みですが、最終交差の2ひねりではなく
最終交差で1ひねり・その手前で1ひねりにすると
DSC00173amx8.jpg
こうなります。

DSC00174amx8.jpg
↑張ってません。

DSC00175amx8.jpg
DSC00176amx8.jpg
DSC00177amx8.jpg
張りました。

DSC00178amx8.jpg
スポーク長さの補正値が分かったのでバラしました。
思うところあって15番プレーンにしましたが、そうでなくとも いけそうです。

あと、このスポークを切ったのは 先日書いたMCCのボルトクリッパですが、
MCCについてメーカー名を 松「坂」鉄工所と誤って表記していました。
コメントでのご指摘により 松「阪」鉄工所に訂正しています。
ありがとうございました。

category: ホイールの話

tb: 0   cm: 1

XR200リムの2:1スポークの後輪を組み直しました  

今日もホイー(以下略)。
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お客さんから XR200リムで組まれた後輪をお預かりしました。

DSC06640amx6.jpg
ハブはリーフハブの親戚で、左右異数16:8Hの24Hになっています。
全CX-RAYロクゼロ組みで反フリー側ラジアル組みは
ヌポーク通しという構成ですが、
乗っていて何となく進まない気がするということなので
組み換えることになりました。

ニップルは外周側からも回せる銀アルミニップルですが、
つかみ部分は3.2mmの四角ではなく 5mmの六角です。
で、フリー側が扁平スポークを抑えながらでないと
ここまで張れんだろうというくらいキンキンに張ってあります。
重量級カーボンリムならともかく アルミリムでこんなに張るのはヤバいのですが、
XR200も異常なリムでして 300g台のリムで
こんなに張れるアルミリムは ほとんどありません。
うーん、それにしても張りすぎなんですが・・・。
で、こんなに張っても「かかりが悪い」的なことを言われるんですね。

DSC06642amx6.jpg
組み換えました。

DSC06643amx6.jpg
エボライトハブ24H 黒半コンペヨンロク組みです。
結線は あとでやります。
スポークの色が組み直し前と違うのは お客さんの希望です。
ニップルもDTの黒アルミに変更しているので 外周部からは回せません。
フリー側の第2スポークテンションだけなら 組み直し前を下回っています。
それでも、組み直し後のほうが走るホイールだと言われると思いますが。


2:1組みですが、今回のように
左右異数穴の専用ハブを用意しようとしまいと
汎用のリムであれば 24Hしか実質の選択肢がありません。
左右3本のスポークが 1つのまとまりで、
それが6ペアで18Hなのが
カンパニョーロなどの80mm高以上のリムの後輪、
7ペアで21Hが カンパニョーロとフルクラムの上位モデル、
8ペアでは24Hなので リム穴の穴振りさえなければ汎用リムでも可能、
9ペアで27HはカンパニョーロのヴェントやカムシンのG3で存在していました。

このうち汎用リムで組める穴数は18Hと24Hになりますが、
18Hの後輪をスチールスポークで まともに組むのは非常に難しいので
実質の選択肢は やはり24Hのみとなります。

2:1組みの後輪の反フリー側をタンジェント組みにしてしまうと、
ハブの条件などによっては
反フリー側のほうが高テンションになりかねないので
基本はラジアル組みで組むことになります。
ということは、2:1組みであってもホイールの性質は
反フリー側ラジアル組みの後輪のそれとなるので
駆動剛性というか、かかりのいい後輪に仕立てるのは難しくなります。

2:1組みは、左右のスポークテンションが非常に近くなるのは事実ですが
応力に対する ホイールの左右の変形が同じというわけではありません。
なのでスポークテンションだけを以って
「バランスが良い」とするのは早計です。
私が2:1組みの後輪を組まないのは、首折れスポークでやると
首のとびやすさが異常に高い(経験上 間違いない)ことと、
実際に使って 走るホイールだと思えなかったこともありますが、
24Hの2:1組みだと反フリー側のスポークが
たった8本しかないという点が問題を難しくしていると考えています。

リムがハブのオーバーロックナット寸法の中央にあるとして、
24Hの普通の後輪だと フリー側のスポークは
フリー側のスポークテンションの総和を12分割、
反フリー側も同じく12分割しています。
これが2:1組みになるとフリー側が16分割で
反フリー側が8分割になりますが、
この2つの後輪を 同じ第2スポークテンションで組むとすると、
いずれにしてもフリー側のスポークテンションのほうが高くなるので
リムの許容テンションはフリー側で出すことになります。
リムのセンターが出ている限り、
反フリー側のスポークが リムの許容テンションを超えることはありません
(極端な左右異径組みを盛り込んだ場合は別です)。
16分割のほうは総和に対する1本当たりのテンションが
12分割より和らぐので 同じ総和の量を分割すると
16分割のほうが低テンション(←第2ST)となります。
リムが定めているのは一般に「スポーク本数に関係ない第2ST」なので
スポーク1本当たりの第2STを同じにすると、
16分割のほうがホイール片側の張力の総和が増えることになります。
それに対して反フリー側は8分割なのでスポーク1本あたりが
オチョコ量からは考えられないくらいキンキンに張れるわけです。
しかし反フリー側の8本スポークというのは、
スポークテンションが同じであれば16Hの左右同数組みの後輪と
性質は大差ないので スポークとびが非常に起きやすくなります。
それを避けるためと、ホイール片側の張力の総和を
より広い断面積で受けたいという理由から、
私は「2:1組みをするのであればスポーク比重を大きめに取ったほうがいい」
という結論に達しました。それでも採用はしませんが。

CX-RAYのスポーク比重は約65%ですが、
これだと断面積が小さすぎて片側8本にするのはヤバいというわけです。
スポーク比重が同じく約65%の丸バテッドスポークの
レボリューションやレーザーで2:1組みを試みた場合、
反フリー側は完全に うにょーん発生域に突っ込んでしまいます。
反フリー側が うにょーんしないテンションだと
フリー側も相当にヌルく組まなければならなくなるので、
まともな後輪として成立しません。
スポーク比重85%くらいだと
なんとか反フリー側8本に耐えられるのではないか、
いや むしろ100%(チャンピオンやCXなど)でもいいくらいだというのが
私の経験からの結論ですが、左右逆異径組みをするわけにはいかないので
2:1組みはフリー側/反フリー側で
スポーク比重85%/85%や 100%/100%になる構成にする必要があります。
スポーク比重85%の首折れエアロスポークが安定供給されないというのも
手組みの2:1組みをしない理由のひとつです。
簡潔に書きますと、全CX-RAYや全エアロライトの
2:1組みはダメということです。

過去に私は、同じスポーク量であれば本数が多いほうがいい、
空力の不利より そっちのほうが大事、ただし うにょーんが起きない範囲で、
ということを書きました。
ラジアル組みの前輪で考えるとして、
スポーク比重×本数がだいたい同じになるのは
チャンピオンの20H≒コンペティションの24H≒CX-RAYの31H
ですが、この中で選ぶならCX-RAYの31Hが良いということです。
12:12Hの半コンペのフリー側を、
スポーク本数が変わってスポーク長さも変わることを無視した
簡易的なスポーク比重×本数だけのスポーク量で比較するとすると、
コンペ12本はCX-RAY16本に相当します。
スポーク量の差を保ったまま、左右同数半コンペを
左右異数全CX-RAYに変換したと言ってもいいです。
なので、半コンペ12:12Hと 全CX-RAY16:12Hは
ホイールの重量は ほぼ同じになります。
16:8Hの反フリー側8本が 16Hの普通の後輪並みにヤバいとしても、
16:12Hの反フリー側12本は 24Hの反フリー側並みの性質なので
スポーク折れを気にする必要はありません。
スポーク数の比でいうと4:3なので
2:1よりはスポークテンションの左右差は縮みませんが、
スポークとびのリスクは かなり軽減されます。
という後輪を組もうと思うと、28Hの穴振り無しリムがあったところで
組むことはできません。
24Hの2:1組みの場合は32Hのハブを穴とばしで組めますが、
4:3組みに流用できる左右同数/均等間隔穴のハブというのはありません。
ハブ側の左右の穴それぞれを12Hと16Hで設け、
リム側の穴のほうをニップルが重ならないように位相をずらして
均等間隔でないように設ければ そういうホイールは組めますが
(32Hのフリー側と 24Hの反フリー側をくっつけた状態)、
そうなるとリムもハブも専用設計のものが必要になるので
汎用の材料では組めません。
コリマには12:8H(比は3:2)で そういうホイールがありますが。

しかもコリマの場合、反フリー側の張力を断面積で和らげることを意識しているのか、
反フリー側のほうがスポーク比重が大きい逆異径組みを採用しています。

2:1組みの反フリー側の駆動時のたわみやスポークとびを
ほぼ解決する方法があります。アルミスポークにすることです。
レーシングゼロやシャマルウルトラのスポークで、
ハブ側直下でスポーク折れが起きたという例は
疲労でポッキリも 外的なショックでも 未だに見かけたことがありません。

じゃあスチールスポークの2:1組み、
ボーラやゾンダは走らないのかというと、そんなことはありません。
カンパニョーロとフルクラムの2:1組みのホイールでは、
安易に細いスポークを採用していないからです。
ゾンダは C17以前は左右異径組みですが、それの反フリー側でも
スポーク比重65%より大きいスクエアエアロのスポークになっています。
CX-RAY相当のスポークを採用しているのは
ハイペロンやニュートロンなど左右同数スポークのモデルに限られます。
あと、G3の場合はフリー側のスポークを
ハブフランジのほぼ接線方向に引いているというのが特徴で、
フルクラムのお休み位相のリム穴のモデルも
それに近い性質になっているので
これらを 普通の2:1組みと比べてはいけません。

ここまでをまとめると、左右異数組みは
ハブやリムを専用に設計するくらいで臨まないと
なかなか まともなホイールにはならない、
スポーク比重が小さいスポークを使わないほうがいい、
ということになります。

なので シマノのオプトバルや ローヴァルの後輪は
私の見立てでは 完組みホイールながら走らないほうに属します。
乗り心地が良いというのは否定しません。
ローヴァルのリム高が高いモデルについては、
リムの硬さで かなりいい方向にごまかされているとは思います。

なので先日、WH-9000のC24のチューブラーホイール(→こちら)が
左右異径組みなのには 本当に驚いたのです。
触って分かるだけの違いがありました。

今回の組み換え前のホイールですが、
2:1組み専用ハブをそのまま使い回すとして、
全CX-RAY以外で左右同径組みするとなると
全チャンピや全コンペしかないわけですが、
おそらくどちらで組んでも かかりに関しては良くなると思います。
重量は重たくなってしまいますが。

スポーク長さを無視したスポーク量では
先ほど書いたようにCX-RAY16本と コンペ12本はほぼ同じになります。
これは今回の 組み換え前と組み換え後のフリー側のスポークと
番手と本数が合致しています。

DSC06641amx6.jpg
DSC06644amx6.jpg
となると あとは反フリー側の勝負ですね。
CX-RAY8本ラジアル組みと 12本タンジェント組み、
どちらのほうが構造体としてフリーボディの回転方向のねじれに強く
スポークとびのリスクが低いのか、という話です(上の画像)。
しかも後者は 結線もします。フヒヒ。
CX-RAY4本分だけ、組み換え後のほうが重たいことは
事実なので否定はしません。
ただ、それによって得られるものと失うものを 要素の大小で考えると
組み換え後のほうが性能的に劣っているとは考えにくいのです。

2:1組みはじめ左右異数組みはダメだ、と言っているわけではありません。
もしやるなら かなり練った構造にしない限り
左右同数組みには勝てないということです。
24Hの穴振り無しまたは右左右振りの
均等間隔穴のリムで組むくらいなら、
左右同数組みで組み方を突き詰めるほうが良いです。

ストレートスポークのハブを採用する、というのは
首とびに対してのリスクはかなり軽減されますが
ホイールの性質(駆動ねじれ剛性など)が
劇的に改善するわけではありませんので
「練った構造」には該当しません。

というわけで、のむラボホイールには
2:1組みを採用しないのでありました。

category: ホイールの話

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XR300リムで後輪を組みました   

今日もホイー(以下略)。
DSC05809amx6.jpg
先日の続きです。
XR300の銀リムで後輪を組みました。

DSC05811amx6.jpg
リーフハブっぽいリヤハブ24H
半コンペヨンロク組み結線ありです。

DSC05812amx6.jpg
スプロケットがスプラインに噛みこむのを防ぐ
アンチバイトガードが付いているフリーボディです。
ノヴァテックのものより薄い鉄板ですが、
120°位相で3ヵ所に入っているので
効果としては十分だと思います。

DSC05814amx6.jpg
反フリー側にテープで留めているのは
オーバーロックナット寸法を
130mmから135mmにするアダプターで、

DSC05807amx6.jpg
DSC05808amx6.jpg
それ込みでセンター出しをしています。
これがなかなか絶大でして、反フリー側の結線が
不要じゃないかと思うくらいのホイールに仕上がりました。
お客さんの希望なので やりましたが。

結線について 競輪関係から さらに知った話があるのですが、その前に。
競輪で使われるアラヤの16B GOLDというリムは
昔ながらの製法なので非常に軟らかく、
最近の 鍛造や切削やらが施されたリムと同じ調子で組もうとすると
スポークテンションでハトメが浮いてきて、
最悪ニップルがリムを突き破って割れます。

というリムなのですが、決戦用として
使い捨てのつもりで ハトメが浮くほど張った場合は
結線の効果があんまり分からない、ということでした。
これと、私がフリー側の結線をしない理由は おそらく同じです。
体感できるほどの違いが現れないなら飾りと一緒、というわけです。
反フリー側に施した場合は駆動剛性に関して
体感上の違いがあるので やりますが。
競輪の後輪の場合は、両切りハブならオチョコ無し、
片切りハブは(例えばデュラエースなら)オチョコがありますが、
それほど大きいものではありません。
右側からスプロケットが10枚も11枚も押し寄せてきて
大きなオチョコを取らざるを得ないロードバイクの場合は
考えられることをやり尽くしても なお 反フリー側のほうがヌルくなります。

DSC05815amx6.jpg
私が持っているチネリのスーパーコルサは
リヤエンドが126mmなのですが、
ピナレロのステルヴィオという(峠の名前が付いた)フレームと
後輪(カンパニョーロのボスフリー用ハブ)を共用していた時期があります。

ステルヴィオのリヤエンドが130mm幅なので、
DSC05816amx6.jpg
ハブシャフトのスペーサーを左側に4mm足して、
130mmの後輪に変換していたことがありました
(そんなにしょっちゅう 変換していたわけではないですが)。
右側のエンドのWナットも一旦ゆるめて、
ハブシャフト自体も左側にずらす必要があります。
なので エンドにかかるハブシャフトのねじ山部分が少し浅くなります。
もちろん これだけだと新しいオーバーロックナット寸法の
ホイールセンターに対して リムがずれたままになるので、

DSC05817amx6.jpg
リムの位置を 寸法を増やした側に、
増やした寸法の半分だけずらしてやる必要があります。
増やす4mmですが、左右2mmずつや 右だけ4mmというのはいけません。
変速(スプロケット)の位置が変わるというのもありますが、
右だけ4mmの場合はホイールの理屈的にも悪くなるからです。

リムを反フリー側に寄せるというのは
「一方的に反フリー側だけを増し締めできる」ということで、
この2mmというのは たった2mm・・・どころではなく
絶大な是正になるのです。
これは、乗り手としての 乗ってどうこうでも分かるかも知れませんが
組み手としてのホイールを組んだ感触だと 確実に違いが分かります。

というわけで今回のホイールも、
リーフハブで組んだのむラボホイール1号を
130mmでの完成状態から
さらにリムが2.5mm反フリー側にずれるまで
一方的に増し締めしたのと同じ状態になっています。
なので左右のスポークテンションの差が非常に少ないのです。

これと同じ効果を得られるのが オフセットリムだというのは
たぶんここまでで多くの方が気付いたと思いますが、
今回のこれも フランジ幅の損失無しでオチョコが軽減されています。

そのうち書こうと思っていたのですが、
キャノンデールのMTBやシクロクロスなどで
142mm幅のスルーアクスルエンドを
フリー側を6mm伸ばした形でオフセットした規格があります。
それでホイールを組めますか?というコメントを だいぶ前にいただいていますが、
リヤハブは142mmの汎用品でもいいということなので もちろん組めます。
スポーク長さの計算もそれほど面倒ではないですし、
既存の142mm幅の後輪であっても
左右のスポーク長さがニップルの端面で終わっているような長さであれば
反フリー側を締めて フリー側をゆるめることで
スポークの交換なしに6mmオフセット状態にすることも可能です。

右側を伸ばすのはダメ、というのは左右同寸法だからという
既成概念の上の話で 左右異寸法ならいいだろ、という考えのようですね。
キャノンデールがそれをする理由は
リム直下にハブフランジ間の中心を持ってくる、
つまりオチョコを無くしたいからのようですが
フランジ幅が変わらないなら横剛性が劇的に上がるわけではありません。

DSC05824amx6.jpg
フレームの142mmエンドを71/71mmではなく
65/77mm用で設計するということです。
上の図 上が普通の142mm、下が6mmオフセットです。
ハブを基準にして描くとこうなりますが、

DSC05826amx6.jpg
実際は6mmの「オフセット」なので フレームのシートチューブの中心と
ホイールセンター(上の図の破線)の関係は変わりません。
スプロケットが外に出る形になるので チェーンラインの問題なども軽減されます。

リヤハブのフランジ幅は(例外はたくさんありますが)だいたい平均して56mm、
その内訳がフリー側21mm 反フリー側35mmといったところなので
6mmオフセットさせると フリー側27mm 反フリー側29mmとなり
フランジ幅は変わりませんがオチョコは減ります。
専用に設計すれば左右同幅、オチョコ無しのリヤハブも作れるでしょう。
この場合 多くの組み手に取って助かるのが、左右同径同本組みで
左右同テンション・同スポーク角・同スポーク長さになるということです。
ここでいう多くの組み手というのは、32Hのオープンプロリムを渡されたら
一生 左右同径スポークでロクロク組みかハチハチ組みをし続けることに
何の疑問も抱かないような人達のことです。
そっちの人たちに合わせたモノづくりというのは困りますね。
オチョコがひどくなってもいいから、フランジ幅を広げてもらうほうが
私としてはありがたいのですが。
スポークの左右バランスを是正する術はいろいろありますが、
フランジ幅の損失を取り戻すような方法は無いのです。
それに・・・オチョコが無い後輪だと結線する場合
左右ともにしなくちゃいけないので 面倒くさいだろうが!(←これが本音)

DSC05820amx6.jpg
私物ですが、一例を。

DSC05821amx6.jpg
130mm幅 オチョコ無しのWフリーハブです。

DSC05822amx6.jpg
よって 結線するなら左右すべてになります。

category: ホイールの話

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別軸フランジと同軸フランジの話で使わなかったネタについて  

先日の長文の記事で使わなかったネタについて。
私は スポークの根元の横位置の類型として
同軸フランジと別軸フランジに大別しているわけですが、
タンジェント組みのように 半分ヌポーク 半分反ヌポークだと
厳密には同軸フランジではありません。
でもそれくらいなら同軸フランジとして扱うよ、という話ですが
それとは関係のない動機で
「エボハブを全ヌポークラジアル組みして高テンションで張ると
ハブシャフトの横ガタが出ることがあるが
半ヌポーク(反ヌポークではない)なら どうなんだ?」
DSC05614amx6.jpg
という のむラボホイール5号が こちらになります。

DSC05619amx6.jpg
↑半ヌポーク
一般に、タンジェント組みは 半ヌポークを編んだ状態になります
(2本組みを編むなら 全ヌポークか全反ヌポークになりますが)。

DSC05616amx6.jpg
DSC05617amx6.jpg
けっこう横位置が違います。
ハブシャフトのガタは出ませんでした。
おそらくはサンプル数を重ねても同じです(エボハブなら)。

ヌポークと反ヌポークのスポークテンションは厳密には違いますが、
変形量の大きいほうが必ずゆるむ(※)というほどの差は無いので
その点は問題ありません。
理論上 これは全反ヌポークラジアル組みより 横剛性が高いと思うのですが、
体感できる差が無い(スポークテンションの多寡のほうが大要素っぽい)ので
売り物には採用しませんでした。

※最終交差の2本のスポークで異径組みすると、
反ヤマアラシさん方向の細スポークが異常にゆるみやすくなります。
これは、結線で防ぐことができませんでした。
もし防げるとすれば、ストレートスポークの2:1組みで
フリー側交差異径組み 反フリー側ラジアル組み、
フリー側結線ありとか 面白い気がします。

category: ホイールの話

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