ヌポーク その1 
2012/09/30 Sun. 19:45 [edit]
今日はヌポークの話を。
スポークじゃなくて、ヌポークです。
グーグルで検索すると
「次の検索結果を表示しています: スポーク」
と出るので、一般名詞に同音語がないのは確かなようです。
それもそのはず、これ 私の造語ですから。

最初に。私の図と 図の代わりの写真は、特に断りのない限り
向かって右側を進行方向としています。

ホイールを組むときに ハブフランジにスポークを通すわけですが、

ハブの内側から外側にスポークを通した場合の

↑この状態を、当ブログでは今後ヌポークと呼ぶことにします。
いちいち「内側から通したスポーク」と書くのがめんどくさいからです。

同様に、ハブの外側から内側にスポークを通した場合の

↑この状態を、反ヌポークと今後呼びます。
逆ヌポークでもいいのですが、反ヌポークの方がキーボードで打ちやすいので。

普通のホイールは、大別して2種類の組み方があります。
ハブ中心からスポーク同士が交わらないように組む 組み方は、
スポークが放射状(ラジアル状)に見えるのでラジアル組みといいます。
おそらくスポークドホイールが成立した最初期のホイールは
ラジアル組みだったと思うのですが、ラジアル組みには
メリットとデメリットがあり(長くなるので後日詳述)、
それを克服できる材質や構造が現れる1980年代末頃までは
ホイールといえばタンジェント組み(上の写真のような組み方)が
主流でした。

タンジェント組みの場合、(特殊な2本組みを除いて)ハブフランジに
通しているスポークはヌポークと反ヌポークが交互になります。

隣り合っているハブフランジの穴から出たスポークで、
互いに接触しない方向にのびている2本を図にすると
このようになりますが、

この方向が円の接線(タンジェント)に近いので
こういう組み方をタンジェント組みと呼びます。

冒頭でも触れましたが、
これ以降も 全て右側が進行方向として話をします。
スポークがごちゃごちゃしていると大変見づらいので、
上の写真で赤いニップルが見切れずに写っている4本だけを残して
見やすくしたいと思います。
普通のホイールは この4本が1つのグループになっていて、
これが6つなら24H、7つなら28H、8つなら32H・・・
という構成になっています。
その前に・・・

色つきスポークを用意しました。これをヌポークで通します。
赤は自分から見て手前のヌポーク、
青は自分から見て奥のヌポークとしてハブに通してみます。

↑4本のうち 進行方向に対して 後ろの2本がヌポークになるのが
イタリアン組みです。

↑先ほどの状態からひっくり返しました。
ヌポークが進行方向に対して前の2本になります。
これは逆イタリアン組みです。

↑対して、4本のうち進行方向に対して前後の2本がヌポークになるのが
JIS組みです。
赤いヌポークについては イタリアン組みと同じですが、
青いヌポークが逆になります。

↑JIS組みは、ひっくり返してもヌポークの位置関係が変わりません。
ヌポークが進行方向に対して後ろにのびているか
前にのびているかという点が非常に重要です。

16Hのタンジェント組みしたホイールをヌポークだけ書き出します。
手前ヌポークを赤、奥ヌポークを青として書くと
イタリアン組みの場合 上の図のようになります。

JISの場合はこうです。しつこく書きますが、
イタリアンにせよJISにせよ赤ヌポークの位置関係は同じです。

↑こういう方向にのびているということです。

この、「ホイールの上半分を見た場合ヌポークが後ろ向きになる」と
いうのは、後輪にとって非常に重要です。
これを「ヤマアラシさん方向」と名付けます。

↑で、「右ヌポークだけのホイール」を用意しました。
さらにしつこいですが、イタリアンでもJISでも右フランジの
ヌポークはヤマアラシさん方向です。

↓

走行中、フリーボディには スプロケットが付いていて、
それにチェーンがかかっていて、クランクアームを上から
ペダルを介して踏み込むとき、前に向かって強烈なねじれがかかります。
それを手で表現すると上のような感じになります。
フリー部分を持つとハブフランジが見えないので
ハブボディを持って前に向かってねじってみます。
力のかかるさまを見たいので、スポークテンションは甘いというか
張っていません。

↓

スポークがさらに引き絞られて締まっているのが分かるでしょうか。
実際の組んだ状態ではこんなには変形しませんが、
こういう負荷に常々さらされているというということです。

では、右ヌポークが反ヤマアラシさん方向ではどうなるでしょうか。
これは逆イタリアン組みか逆JIS組みした時にこうなりますが・・・

↓

スポークテンションは張る方向ではなく 緩む方向になります。

タイヤを張っていなければ、スポークがリムから飛び出すような
格好になります。
思いっきりペダルを踏み込んだ時、
その力を後輪の外側に伝えてくれそうなのは
どちらでしょうか?
もちろん右ヌポークがヤマアラシさん方向の場合ですね。
「そんなん当たり前やん」と言われそうですが、完成車メーカーの手組みホイールが
逆イタリアンで組まれていたり、
ストレートスポーク式のハブで 最も右から出ている
スポークが 逆ヤマアラシさん方向になっている完組みホイールもあるので、
そういうのは よく見たほうがいいという話です。
これの具体例は長くなるので後日詳述します。

等間隔に印をつけたゴムの円柱があったとして・・

それの端を持ってねじると ねじれの発生側に近いほど
ねじれ量が大きくなる、というのをリヤハブで想像すると

↓

こうなります。ペダリング踏力から発生した力を最も大きく受け止めるスポークが
右ヌポークになるので、右ヌポークはヤマアラシさん方向がいいということです。
次はリムブレーキの場合です。

ヌポークがヤマアラシさん方向になっているホイールが走っています。

その状態からブレーキをかけて急制動しました。
リムの回転を一瞬で止めたものの

ハブは一瞬で止まらなかったので、スポークは
よりヤマアラシさん方向に絞られました。
という現象が起こります。
イタリアン組みならこれが左右同じように絞られますが、
JIS組みの場合、進行方向に対して左側のスポークだけが
テンションが抜ける方向に力がかかるんですね。
これが何とも私には気持ち悪いんです。

ちょっと見方を変えてみます。
リム高が低いリムの場合、ニップルの穴が左右に交互に振っています。

↑組むとこうなります。

実はこのホイールはカンパニョーロのニュートロンなのですが、

リムのデカールにもあるとおり、ニュートロンは内蔵ニップルです。
外ニップルのニュートロンは・・・
長くなるのでカットします。後日詳述もしません。

で、穴振りのあるリムを

組んだとします。

↑これは青のマーカーですが、ここでは
「どんなものでも豆腐を切るようにサクサク切れる魔法のナイフ」
だとします。

で、穴振りに合わせてサクサク切開していきますね。

バルブの穴周りはこう切ります。

もう一つ。ハブフランジに対して

↑ヌポークをこう表記し、

↑反ヌポークをこう表記することとします。
そして先ほどのホイールを平面に展開したとすると

↑イタリアン組みの場合はこうなります。
赤が右ヌポーク、青が左ヌポークです。
四隅の切欠きが元バルブ穴の部分です。
図を正確に捉えれば、これは8Hで ヌポークと反ヌポークを2本組した
ホイールということになりますが、
これは力のかかり方を考えるための概念図なので、
このホイール自体が実現可能かどうかは気にしないでください。

で、さらにヌポークだけ残しました。

↑JIS組みの場合はこうなります。

で、さらにヌポークだけ残しました。

↑余談ですが「JISはひっくりかえしてもJIS」というのは
こういう風にも表現できます。

で、「リム側でのブレーキング」や
「後輪でフリーボディを前に向かってねじる」というのは、
上の図で言うとハブ部分を持って一気に引っ張り上げるという
作用になります。
実際にやってみます。

イタリアン組みの場合は、左右のヌポークともピーンとテンションが張りました。
言い方を変えれば ヤマアラシさん方向に絞られているということです。
スポークがこんなに伸びるわけがないですが、
力のかかり方を表現したいのでこう図示しています。

これがJISならこうなります。
私は この左右不均等な感じが何とも嫌なんです。
この図では

スポークとニップルが

リムから飛び出てますが、

タイヤを付けていてスポークが飛び出さないというのであれば

こういう風に書いてもいいです。


大変長くなりましたが、結論です。
・タンジェント組みをするなら 前後ともイタリアン組みが望ましい
・イタリアン組みの場合、前輪は 逆にはめると理論上よくないので注意すること
・後輪で両側にギヤが付いている場合は、どちらではめても右ヌポークが
ヤマアラシさん方向になるようにするためにJIS組みで組むこと
が私のホイール組みの基本です(いろいろ例外はありますが)。
あと、首折れスポークでラジアル組みをしている場合 ほぼ100%
反ヌポークでラジアル組みをしていますが、
私はヌポークでラジアル組みをすることもあります。
また、ディスクブレーキのハブの場合は逆イタリアン組みが理論上優れています。
この2点は後日詳述します。それでなくてもこの文章長すぎ!
おまけ

ストレートスポークは私の考えでは反ヌポークになるのですが、
それでフルクラムの後輪(2:1)を展開するとこうなります。

カンパニョーロのG3の後輪はこうですね。

マヴィック・キシリウムの後輪はこうなります。
フリー側ラジアル組みというのは一種の革命だと思うのですが、
普通の首折れスポークでやるのはリスクが大きいです。
ところで この図、じつはちょっと間違ってます。
が、概念図なので深くは追及しないでください。
私がホイールを組むときに 頭に浮かんでいる図を
拙く書いたものなので。

キシリウムの後輪は20Hですが、
ハブフランジから出るスポークが接線関係にある
穴をそれぞれA、Bとするなら普通のホイールなら
上の図のようになりますが、

キシリウムは このAとBが横から見て 重ね合わせになるフランジ形状です。
展開図では この点を表現してませんが、許してください。
普通のホイールではAのスポークとBのスポークを
1本の線とみなした場合、円の実際の接線よりも
円に対して内側を通ることはありませんが、
キシリウムの場合内側を通るんですね。
私はそういうハブを「接線を割ってるハブ」と呼んでますが
これもキシリウムのいいところです。なぜいいのかは書きませんが。
category: ヌポークの話
チタンキャップスクリューボルト、入荷! 
2012/09/29 Sat. 23:58 [edit]

キャップスクリューというのは、頭部が円筒形で
六角穴が付いているボルトのことです。
まずはM5の首下20mmから。
多くのステムの ハンドルクランプ側の4点留めボルトに
使われているサイズがこれです。
首下長さ18mmのものも多いですが、2mmカットする事も出来ますので
お買い上げの際に お申し出ください。
コラム側固定ボルトがM5なら そちらにも使えますが、
私はコラム側をチタンボルトにするのは あまり好きではないので、
オススメはしません。
また、コラム側は よりシビアに首下長さを設定する必要があります。
(ボルトが長くて突き出していると、ダンシング時に膝を切ります)
首下すぐから ねじ山があるので、ボトルケージの固定ボルトとしても使えます。
アルミの方が比重が軽いのは確かですが、
アルマイトとて剥げないわけではないので、耐候性の高いチタンボルトを
選択するのもありです。

余談ですが、アルマイト処理というのは上の写真の
コラムスペーサーのような表面処理のことです。
これは均質な酸化被膜でアルミの表面を覆うことなので、
理論上は「この色に錆びさせている」のと一緒です。
錆びの膜なので、退色や腐食が全くないわけではありません。

M6の首下長さ40mmも入荷しています。
これはヘッドキャップボルト用として仕入れています。
ここもやはりアルミに置き換えられる部分なのでアルミが最軽量ですが、
ヘッドキャップは汗がかかる部分なので、人によってはステムを
腐らせてしまうこともある部分です。
なのでアルミ化よりチタン化の方がいいという人もいるので、
仕入れてみました。
category: 新着情報!
お花、ありがとうございました。 
2012/09/29 Sat. 21:51 [edit]
お礼を言うのが遅れて申し訳ありませんでした。
ありがとうございます。

前の日に「花屋ですが、明日お花をお届けにあがります」という
電話が2時間おきくらいに3度もあったので、
3度目には「またかいな」と思ってましたが、
全部 別件でした。
花屋さんは どこも屋号を言わないし、
電話口の声は みんな女性だったので 同じ店が何度もかけてきてると
思ってました。

ユリの花、いい匂いですが 花粉がすごい・・・
category: のむラボ日記
Tni AL300リム、入荷! 
2012/09/29 Sat. 21:42 [edit]

リム高30mmのそこそこ軽いリムです。
OEM元は分かっているんですが、ここには書けません。

で、こういうリムを仕入れて たいていがっかりさせられるのが
リムの精度の低さです。が、継ぎ目を見るかぎり、けっこう良さそう・・・

↑継ぎ目の線がブレーキゾーンの部分に 縦にうっすらあるのが
分かるでしょうか?かなり精度がいいです。
当店のオリジナルホイールを作るべく仕入れましたが、
これは当たりの予感です。


↑同じ画像じゃないです。違う個体です。
カタログ値が460gなのですが、
サバを読んでないようですね。いい感じです。
マヴィック・オープンプロのブラックの32Hの2011年モデルの
平均重量(私調べ)が439gなので、まあまあの軽さです。

↑前輪をさっそく組んでみました。
700g切るとは思ってなかったので上々の出来です。
フロント20H・リヤ24Hで
ハブもTni、スポークはDTコンペティション2.0-1.8-2.0、
ニップルはDTアルミです。
リヤリム用の24Hがまだ届いていないので詳しくお知らせできませんが、
リヤは ちょっと「いいこと」をする予定です。
続報をお待ちください。

前後ペア売りする予定ですが、「フロントだけでいいよ」
という方もいるかもしれませんので、一応書いておくと
価格は12000円(税込)です。
スポークの本数や仕様についてオーダーしていただくことももちろん可能です。
お気軽に ご相談ください。
category: のむラボホイール
プーリーの話 
2012/09/28 Fri. 01:21 [edit]
7400デュラエースの頃までは コンポーネントのチューンナップパーツと称する
サードパーティ製の怪しい(夢あふれる)パーツが色々と出回っていたわけですが、
7700デュラエース以降は、デュラエース自体が軽かったりするので
軽量化をうたうパーツは激減しました。
今では もっぱら そういうメーカーの注力する部分は、
ベアリング関係に集中しています。
BBやハブの低抵抗化をうたうパーツがそうですね。
このあたりは純正品から置き換えても、はっきりと「良くなった」と
言えそうな部分だからです。
変速周りの事情に関しては現在、メーカー純正のコンポーネントの組み合わせに
割って入って 純正以上に変速性能が良くなるということは まず考えられません。
しかし、サードパーティ製のパーツをあれこれと付けている人は
必ずと言っていいほどリヤメカのプーリーに手を出しています。
リヤメカのプーリーというのは 実は変速性能にかなり大きく絡んでいます。
今日はその話を。

↑これはカンパニョーロ・コーラス10スピードのリヤメカです。
非純正のプーリーに交換しています。
プーリー以前にいろいろ間違っている気がしますが、気にしないでください。

上のプーリーはBBB、下のプーリーはKCNCです。
これらのプーリーはシールドベアリングを採用することで
低抵抗な回転を実現しています。が、プーリーとしての仕事を
果たしているかという点では十分ではありません。
上のプーリーは、上にあるのでアッパープーリーとも呼ばれますが、
変速時にチェーンを押して変速するので
ガイドプーリーとも呼ばれます。
しかし、チェーンを押しているというのは 一部ウソです。
またあとで書きます。


下のプーリーはローワープーリーとも呼ばれています。
またはテンションプーリーともいいます。
例えば20スピードの場合、アウター×ロー(大きいギヤ×大きいギヤ)から
インナー×トップ(小さいギヤ×小さいギヤ)まで 20種類のチェーンの長さが
ありえるわけですが、チェーンの下側がたるむことなく 適正に張っている状態を
維持する(チェーンのテンションを保つ)ことから そう呼ばれます。
ここでは役割に注目したいので、これ以降 上のプーリーをガイドプーリー、
下のプーリーをテンションプーリーと呼ぶことにします。

↑これはRD-7402、8速対応のデュラエースのリヤメカです。

裏を見ると、プーリーケージに「センタロン ガイドプーリー」と表記があり、
ガイドプーリー自体にも同様の表記があります。

これはシマノの特許で、左右にスライドしてカタカタ動く
ガイドプーリーの構造を指します。

↑右いっぱいの位置

↑左いっぱいの位置
このような構造にするわけは、変速時にトップ側のギヤから上がってきた場合と
ロー側のギヤから降りてきた場合とでは 理想的なプーリーの位置が異なるので、
どちらの場合でも適正位置に収まるようにしたいからです。
現在ではシマノとカンパニョーロが スライドするガイドプーリーを採用しています。
この「スライドするガイドプーリー」は 構造上プーリーの回転軸をブッシュ式に
しなければならないので、単純な回転の軽さという点ではベアリング式に劣ります。
サードパーティ製のプーリーはほとんど全てが 回転の軽さをうたった
ベアリング式であるため、スライド機構がありません。
ここではブッシュとベアリングを対義語のように書いてますが、
ブッシュもベアリングの一種です。
ブッシュ→ブッシュベアリング
ベアリング→シールドベアリング
のつもりで書いています。
それぞれをブッシュプーリー、ベアリングプーリーと言う人が多いので。

変速のストレス(上の図の赤い矢印)の多くは、ガイドプーリーにかかります。
さらに、ロー側への変速は トップ側への変速に比べて
プーリーとチェーンのインナープレートとの摩擦がより大きくかかります。
これについてもあとで書きます。

ガイドプーリーの部分の絵を変えて、下に左右向きの矢印を追加しました。
これがガイドプーリーのスライド幅です。
このスライド幅は、シマノ10Sの場合は0.7mmですが、
シールドベアリングプーリーに交換すると
この0.7mmがほぼ0になってしまいます。
↓これはRD-7800ですが、

↑右いっぱいの位置

↑左いっぱいの位置
これが0.7mmの動作量です。

0.7mmというのは、決して小さな数字ではありません。
シマノは9Sから10S化する際に スプロケットの横幅を1mm
広くしていますが、

その内訳はトップ側0.25mm、ロー側0.75mmです。
0.7mmというのは変速性能にとって かなり大きな数字です。
何が言いたいかというと、
ガイドプーリーをサードパーティ製の物に換えるということは、
かすかな低抵抗化と引き換えに変速性能を明らかに
ダウンさせているのではないか、ということです。

サードパーティ製のプーリーの問題は まだあります。
上の画像のプーリーはTacx(タックス)のものですが、実質BBBと同じです。
このプーリーにはアッパー・ローワーとそれぞれ表記はあるものの、
どう見ても作り分けているようには見えません。

これはRD-7900のテンションプーリーですが、
回転方向を示す矢印の表記があります。
ロードバイクはクランクを逆回ししても前に進みませんから、
チェーンの進行方向は一様です。
テンションプーリーは歯先部分を チェーンとの関係で
より理想的な形状にしているので、回転方向の指定があります。
ほぼすべてのサードパーティ製のテンションプーリーには、
このような回転方向の指定がありません。
KCNCのプーリーなどは1枚単位で売っていますから、
それ自身が 上下や表裏を意識した作りであるはずがありません。
しかし、単なるドレスアップであってもパーツを色々交換してみたいという
気持ちもあると思います。私自身もそうです。
そこで、個人的なオススメは「テンションプーリーだけ換える」です。
真にシビアな変速性能を求めるなら 純正品が一番であることは
やはり間違いないです。これは はっきりしています。



↑冒頭のコーラス10Sは上下ともシールドベアリングプーリーですが、
このアテナ11SはテンションプーリーのみKCNCにしています。
プーリー以前にいろいろ間違っている気がしますが、気にしないでください。
ロー側への変速時にガイドプーリーだけで押しているわけじゃないよ疑惑について

↑これは冒頭のコーラス10Sで、

↑これはRD-7402ですが、
ガイドプーリーの摩耗とは別に、右プーリーケージの内側も
チェーンとの接触で摩耗しているのが分かります。
ということは、

ロー側への変速はガイドプーリーで押しているだけではなく、

右プーリーケージの内側でも押しているのでは?と思われます。

↑これはRD-7800ですが、右プーリーケージの内側のふちに
プラスチックのガードのようなものが付いています。
これはRD-7700からこういう仕様になっていて、
アルテグラや105に付いた例のない、
デュラエースだけの秘密?となっています。

で、これを内側から見る限り、思いっきり仕事してるっぽいですね。
金属部分も摩耗してます。このプラスチック部分単体のリペアパーツはないですが、
右プーリーケージ全体を交換することで、
プラスチック部分も新品に交換することができます。
シマノとしても、ガイドプーリーだけで押しているわけではないことが
分かっているので こうしたのでしょう。
7700・7800とデュラエースだけに採用された仕様なので、
「やっぱりデュラは違うわー」という差別化ポイントです。

で、RD-7900はどうなっているかといいますと・・・

なにか無くなっているようですね。「押すところ」が。

↑RD-7800で同じ角度で撮ってみました。
プーリーケージごと押すのが変速で有利なのであれば、
理論上は7800の方がいいのでは、と思うのは私だけでしょうか。
この点をフォローするような何かが7900にあればいいのですが。
プーリーの摩耗度について

↑これはチタンのプーリーです。
一度取り付けてから 外すまで、上下・表裏の位置関係を一切 変えていません。
激しく摩耗しているのでもう使っていないものです。
左右のプーリーとも、表裏を見て より摩耗している方を上に向けています。
左の方が歯先が減っていますね。肉抜き穴とつながりそうなくらいです。
写真ではわかりませんが、歯先の厚みも左の方が薄いです。
そう、左の方が元ガイドプーリーです。

↑そのままひっくり返しました。
特に右のプーリーですが、あまり摩耗していないのが
分かるでしょうか。先ほどの写真はかつて内側を向いていた方で、
こちらの写真がかつて外側を向いていた方だということが分かります。
プーリーの減りは平等ではないということですね。

↑冒頭のコーラスのテンションプーリーの外側

↑同 内側
アルマイトの色で分かりますが、
摩耗が進んでいるのは内側の方です。
ということは、

プーリーの摩耗しやすさは、このようになるということです。
上下ともベアリングプーリーにしている場合、チェーンの交換の時にでも
プーリーのローテーションをするといいかも知れません。
category: その他 機材の話
チネリ・スーパーコルサ SLX 
2012/09/26 Wed. 23:36 [edit]
1985年にラ・ヴィ・クレール チームでツール5勝を成し遂げた
ベルナール・イノーの実車のうち1台が日本の自転車文化センターにありますが、

↑このバイクがたまらなく かっこいいと思うのです。
これはイノー ブランドのバイクですが、フレームはラ・ヴィ・クレールの
メカニシャン兼イノーのパーソナルコーチ、アラン・デクロワの
手によるものなので、市販品ではありません。

↑同じような色のチネリ・スーパーコルサでパーツスペックも概ね
同じように組んだ私のバイクです。

フレームチューブはコロンバス・SLXで
リヤハブのオーバーロックナット寸法はもちろん126mmです。

サドルはイノーがロールスなのでロールスにしています。
イノーターボも いくつか持ってますが、冒頭のバイクのスペックに近くしたくて
ロールスにしています。ターボに関しては書くことがたくさんありますが、
長くなるので後日にします。
チネリかつSLXということで、チネリのボラーレSLXも 手持ちにあるので
選択肢としてはありですが、ここはロールスで。


スプーンレバーのスーパーレコードのブレーキアーチですが、
ブレーキシューは現在でもカンパニョーロ社から手に入ります。
おそらく現存最古のスモールパーツでしょう。
レバーのアメ色パッドも安定供給されればいいのですが。

私のこだわりで、イノーのスペックからは外れますが
リヤのみSYNTシューにしています。
「スーパーレコード」という単語が必ずしもこのコンポを指す
わけではなくなったのは ちょっと嫌ですが、仕方ないですね。
「スーパーレコード12速」というと、リヤが12枚なのかと
思われかねない時代になりました。
(このバイクはリヤ7速です)


ルックのファーストモデル、PP65は前期型と後記型がありますが、
これは最初期ロゴ+コインねじの前期型です。
後記型は現在と同じルックのロゴで、テンションアジャストのねじも
アーレンキー式になっています。


シートポストはスーパーレコードではなく、レコードです。
スーパーレコードは1本締めのヤグラですが、これは2本締めなので
サドルの固定力が高いです。ヤグラの梨地ぐあいも同じです。
セライタリアもセラサンマルコも、製造年月をサドルの裏に刻印しているのは
1985年くらいからのようです。私の持っているセライタリアのRSや
セラサンマルコのコンコールには、製造年月の刻印を入れる以前のものもあるので。
スーパーコルサに付けているのは実は92年モデルなので、
時代考証的にはアウトです。
85年モデルも持っていますが、92年モデルで気に入っている
点があるので、時代考証的に合わなくても使っています。

リヤメカも本当は手に持っているパンタグラフの方を使うべきなんですが、
「ヌーボレコード+黒い両サイド+チタンピボット」なスーパーレコードが
好きなので。
で、手に持っている方のスーパーレコードはアルミピボットです。

↑左がアルミピボット、右がチタンピボットですね。
category: 新手のスタンド使い
CULTではない 
2012/09/26 Wed. 18:30 [edit]
セラミック化したのですが・・・

おなじみのCULTではなくセラミックスピード社のそれに交換しました。
ベアリングだけ出しているのではなく、BBカップも作るというのがいいですね。

で、パークツールのベアリング工具ですが、抜く方は 一般的な
ベアリングプーラーがウルトラトルクに特化したような感じで
いいのですが、

入れる方がこういう工具でして、困ったものです。
抜くのが圧出で 入れるのが衝撃荷重とか ふざけてますね。
ヘッドの下玉押しならまだしも、ベアリングですよ?
説明書通りにハンマーで叩いて入れるのが はばかられるので
圧入で入るように使いました。
Cyclus(サイクラス)の工具なら 圧出と圧入で作業できます。
つかみ爪も3つで、よりウルトラトルクに特化した
(それ以外に汎用性がない)形状の 非常によくできた工具です。
それが分かっていても パークツールの方がいいと思える点があるので、
私はこれを使っています。
category: のむラボ日記
ガーミン エッジ800改 
2012/09/26 Wed. 00:15 [edit]

この時点でなにかおかしいです。
原形をとどめていません。

コントローラーでライトのON/OFFを操作できます。

これで暗いところでも安心して走行できます。

前進・後退・左右旋回を自由に操作できます。
けっこう速いです。

しかし「ただ走るだけでは何か物足りない」という お声を頂戴しましたので、

シチューをけん引できるようにしました。
これでシチュー引き回しをお楽しみいただけます。

さらに「※ご飯ものがないとすすまない」という お声もいただいたので、
(※食がすすまないという意味なのかどうかは不明)

さらにカツ丼も連結できるようにしました。
シチューにカツを求めるとは
まさにこのことですね。
category: 新手のスタンド使い
ピラミッドなのか タワーなのか 
2012/09/22 Sat. 21:36 [edit]
ふと思ったのですが、1T刻みで際限なく大きくスプロケットを
大きくしていった場合、スプロケットの先が描く稜線はどうなるのでしょうか?

↑12速用のスプロケット(フロントダブル使用時)

歯数は13-15-16-17-18-19Tなんですね。
トップ側で一枚飛ばししているのは珍しいですが、
これには一応理由があります。でも書きません。

で、それはいいんですが、15Tから19Tまで1T飛ばしの構成になっていて
この歯先を結ぶと直線になる(と私は思う)というのが今回の話です。

上の図では7段目までしか書いていませんが、歯先を結んだ線(青い線)は
スプロケットがどこまで大きくなったとしても直線になると思うんです。
仮にギヤの厚みが1.65mm、スペーサーの厚みが2.35mmだとしましょう。
合わせて4mmです。250000Tでちょうど1000000mm、
1000mになります。最後がスペーサーで終わっているのが嫌なら
250001Tで1000001.65mmでもいいです。

その高さ1000mのスプロケットが街中に現れたら、
どのように見えるでしょうか。
私は上の絵のようにピラミッド状になると思うのですが、

このようにタワー状になると言い張る人がいるんですね。
高さ1000mでこうなるかどうかは別として、
いつかはこういう形態をとるという事らしいです。本当でしょうか?

その前にスプロケットの歯先について。
スプロケットの歯の先は変速が良くなるように加工されていて、
歯先までの長さが一定ではありません。
スラムの場合は歯そのものが1T欠けたような設計になっています。
これでは歯先の位置を同じように定めることができません。
そこで、ここでいう「歯先」の定義を決めてしまいます。

自転車のチェーンというのはママチャリ用であろうが11S用であろうが
チェーンのローラーのセンター~センターの寸法が定まっています。
2コマで1インチ(25.4mm)、1コマで1/2インチ(12.7mm)と
なっています。
~脱線~

むかしむかし、デュラエース10(テン)というピスト用のコンポがありまして、

これはその小ギヤ外しですが、10というのはチェーンのピッチが
10mmであることに由来します。

12.7mmピッチと比べると全然違いますね。
こういう例外もあります。

↑図が適当すぎる点はスルーしてください(笑)。
上の図では9Tの歯になっていますが、チェーン(のローラー部分)が
スプロケットの歯と歯の間にきれいに落ち込んだ時のローラーの中心を
線で結ぶと、nTのスプロケットの場合 正n角形になります。
この正n角形の頂点の部分を「歯先」と ここでは定義します。
スプロケットの中心から頂点までの長さrを
「歯先までの長さ」ということにします。

多段スプロケットは変速性能をよくするために、歯先の位相を少しずつ
ずらしていっています。

ここではスプロケットが増えていっても
1か所で位相をそろえているものとして考えていきます。
~またまた脱線~
シマノ10Sでもっともクロスレシオな歯数は?
と訊かれたら、どう答えますか?
12-21T?
それが正解なのでしょうが、

16-16-16-16-16-16-16-16-16-16T
という組み合わせもあります。

「デスとうもろこし」「死の美顔器」の異名を持っています。
(いま考えました)

こいつを作った目的とは違うところで気づかされたことがあります。

「歯先の位相がそろっていると、変速が恐ろしく悪い」ということです。
となりのギヤが同じ大きさだというのも原因の一つだとは思いますが。
リヤメカのスラント角もびっくりの構成ですね。
で、検証に移るまえに、
「タワー状になるよ派」の方の主張から。

フロントギヤは何Tでもいいんですが、
リヤギヤを11Tから12Tに変速すると、約10%軽くなります。
同じ1Tの変速でも、これがもし100Tから101Tだと
約1%しか軽くなりません。
さらに10000Tと10001Tだと、
約0.01%しか軽くなりません。

で、ギヤの軽さをグラフ化すると、こういう感じになるはずです。
1億Tから1億1Tに変速しても、
ほとんどギヤ比が変わらないということです。

で、その線と鏡対象の線を引き、立てた この形が、
歯の枚数が十分に大きいスプロケットの姿だということらしいです。

で、新たに定義した「歯先までの長さr」を図にしました。

これでnTのrと n+1Tのrの差(上の図の赤い点線)を
比べればいいわけです。
タワー状になるのであれば、nが十分大きければ
(n+1Tのr)-(nTのr)が0に近づいていくはずです。

歯先と呼ぶことにしたチェーンのローラーの中心を
直線で結ぶと、正多角形になります。
その正多角形の外接円の半径をr、
辺の長さは12.7mmですが、aとすると

↑この式でrを求めることができます。
以下、nとn+1のrの差を計算して書いていきます(単位はmm)。
n=11のとき
11Tのr 22.53910613
12Tのr 24.53451599
その差 1.99540986
n=12のとき
12Tのr 24.53451599
13Tのr 26.53399233
その差 1.99947634
n=13のとき
13Tのr 26.53399233
14Tのr 28.53664097
その差 2.00264864
ん?同じ数字にならない・・・ということは、
少なくとも稜線は直線ではないということが分かりました。
次に、nに大きな数を入れてみます。
n=1万のとき
1万Tのr 20212.67810515
1万1Tのr 20214.69937289
その差 2.02126774
n=1兆のとき
1兆Tのr 2021267777267.07076426
1兆1Tのr 2021267777269.09203204
その差 2.02126778
・・・これでだいたいの形がつかめてきました。
1万Tからの1Tと 1兆Tからの1Tではrの伸びしろがほぼ同じです。
スプロケットの歯数nが十分に大きいと0に収束するのは
「r」ではなく、「nとn+1のrの差」ということですね。
そして、nとn+1のrの差は nの数だけある(どの場合も少しずつ違う)ので、
稜線は直線ではありませんが、ほとんど直線に見えるといってもよさそうです。
歯数が小さい場合、nとn+1の差が大きいですが、
この差は 正多角形が円からほど遠くなるほど大きくなるようです。

↑6Tなんていう歯数はないですが、正6角形と外接円の間には
「円になりきれてない余剰面積」があります。
この余剰面積が大きいほど、nTのrとn+1Tのrの差が
大きくなるということです。

↑これは正6百万角形と書いてますが、ここまで来るとほとんど円です。

1万Tあたりの伸びしろと 1兆Tあたりの伸びしろがほぼ同じなので、

1万Tの歯先から1兆1Tの歯先まで直線を引きます。
これは真の稜線ではないですが、真の稜線に近しい線です。

その線をトップギヤまで延長すると、
大げさに書けばこういうことになります。

それでも、
「1兆Tは十分に大きい歯数とは言えない」

「1兆Tのはるか先、どこかでいずれタワー化するんだ」と言われたら・・・

1Tあたりのrの伸びしろがいずれ0に収束するとして、
ほぼ0に収束しそうな十分に大きな歯数nTを想像してみます。
11TからnTまでの高さの約10倍の位置に10nTがあるわけですが、
「チェーンのピッチが12.7mmと決まっていて ギヤの数が10倍も違うのに
ギヤの外径がほとんど同じっておかしくない?」と考えれば
タワー形状になりそうもないことは想像がつきます。
「最初からそういえばいいやん」と言われそうですが、
私は最初、歯先の稜線は直線だと思っていたので
rを計算したことは無駄ではありませんでした。
category: 新手のスタンド使い
オルトリーブ マッドレーサー ファン 
2012/09/22 Sat. 18:37 [edit]
一刻も早くリヤタイヤが乾いてほしいな、
と強く思ったことはないですか?
ある→2人
ない→1人
(当店調べ)
じつに7割近くの方が「ある」と回答されました。統計って怖いですね。

オルトリーブにマッドレーサーというサドルバッグがあります。
同社には水没OKというくらいの防水性能のモデルもあるのですが、

これは上からゴムをかぶせてジッパー部分をふさいでいるだけで
水没OKレベルではありません。
ただ、シャワーや雨のような上から降る水であれば浸水は実質皆無です。
これに「リヤタイヤ乾かし機」を取り付けたのがマッドレーサー・ファンです。

バッグ下部にファンが付いています。

バッグの横にあるスイッチをONにすると・・・

↓

ファンが勢い良く回ります。これによりリヤタイヤの乾燥を早めます。
いやー、よかった!一刻もはやくタイヤが乾けばいいな、と思ってたんですよ!(棒読み)

このファンは(ファンの種類にもよりますが)、
蛇口の水を通さない程度の能力がありますので

能動的ドロヨケ(←造語)としても使えます。
普通のドロヨケは受動的ドロヨケといったところでしょうか。
ファンの種類にもよりますが といった通り、オプションで様々なファンを用意しています。
3枚羽+黄色でタケコプターを想起させる標準タイプの他に


回っているファンに指を突っ込むと けっこう痛いのですが、
それでも安心!のガードの付いたタイプ。


音を楽しみたいという方向けの6枚羽タイプ。


とにかく大きいファンを!という方向けの2枚羽の
大型タイプ(ペダリングに干渉しないのは確認済みです)。
UCI規定に抵触していることはわざわざ調べるまでもありません。
あと、路面が乾いているにもかかわらず 登りないしスプリント時に
スイッチを入れてしまっていることがありますが、そのため
「リヤタイヤ乾かし機なる名称は建前で、むしろそのために作ったのでは?」と
あらぬ疑いをかけられることもあります。気のせいです。気のせいです。
category: 新手のスタンド使い
ステンレススポークのこと 
2012/09/21 Fri. 05:47 [edit]
「厳密にはステンレスではない」と書いてますが、
ステン(さび)レス(ない)というにはちょっと耐食性に弱いので
そう書いただけで、ステンレスの1種ではあります(どっちやねん)。
ステンレスというのはスチールにクロム、またはクロムとニッケルを混ぜたものを
指すのですが、クロムとニッケルを混ぜたステンレスは非磁性、
つまり磁石がくっつかない性質を持っています。
ステンレスの流し台などは全てこれです。クロム+ニッケル系のステンレスは
耐食性に優れている(さびにくい)ので、水回りには最適です。
が、引張強度でクロム系に劣るんです。
引張強度が高い=スポークとして使った場合 首が飛びにくいということですね。
クロム系のステンレスは、磁石にくっつきます(例外はありますが)。
なので磁石を近づけることでステンレスがクロム系かクロム+ニッケル系か判断できます。
クロム系の方が引張強度が強いということなので、乱暴に言えば
「磁石がより強くくっつくスポークほど首折れしにくい、でもさびやすい」
ということになります。

↑これはDTのチャンピオンの2.0です。

これをキャットアイのスピードセンサー用の磁石で持ち上げてみます。
磁石がくっつきます。しかし これ以上持ち上げると、
磁力がスポーク1本の重さを支えきれずに、落ちてしまいます。

チャンピオンの束に磁石を当てましたが、持ち上がりません。

スポークメーカーは、ふつうヘッド部分にメーカーが分かる刻印をしています。
これはちょっと分かりにくいですが

↑こういう風に「DT」と刻印されています。

つづいて星のスターブライト。
これは絶版のエアロスターブライト3型というやつで 扁平加工がされてます。
プレーンのスターブライトも存在します。
星の場合、スターブライトとは別に「ステンレススポーク」という
モデル名のスポークがあります。
こちらは磁石にぴくりとも反応しません。
スターブライトも大別すれば材質的にはステンレスの1種なのでしょうが、
わざわざ作り分けされた特別な材質であるということですね。

めっちゃ くっつきます!

スポークヘッドは○の中にHとなっています。
ステンレススポーク(星のモデル名)は○の中に☆マークなので、すぐに見分けがつきます。
ステンレススポーク(星のモデル名)は ステンレススポーク(一般名詞)らしく、
非常に首が飛びやすいスポークです。
もともと仕入れないので写真が撮れません。

つづいてサピムのCX-RAYです。
これもスターブライト同様かなり「ビタッ!」とくっつきます。

磁石に付けたまま 振り回しても落ちません。

サピムの刻印はスポークヘッドにはありません。

ここにSAPIMとあります。
スポークの首が折れると 刻印部分が飛んでいくので、
折れたスポーク単体を見てもどこのメーカーのものか判別できません。
サピムは折れても残る場所にメーカー名を入れることで、
「ウチのスポークは折れないからここに名前を入れても大丈夫」
とばかりに自信満々なんですね。
CX-RAYの首折れ事例はもちろんありますが、
確率的には確かに非常に低いです。

ホイールスミスのエアロスポークもかなり磁石がくっつく方です。
このWフリーのリヤホイール、書くことがたくさんあるのでまた後日にします。
DTのスポークは磁石の付きが弱いですが、擁護しておくとDTのチャンピオンは
非常に首折れしにくいスポークです。ホイールの種類や組み方によってはCX-RAYよりも
理論上いいんじゃないかと思える場合もあるくらいです。
実際 私の使っているある後輪はフリー側がチャンピオン、反フリー側がCX-RAYです。
磁石のくっつき易さは 材質的に引張強度を推し量る目安ではありますが、
スポークの首飛びにくさはそれだけでは決まりません。
ただ、全く磁石のつかないステンレススポークは よく首が飛ぶのは確かです。
category: スポークの話
スポークの1mmあたりの重さについて 
2012/09/21 Fri. 04:49 [edit]
今日はスポークの1mmあたりの重さについて。
といっても、これは正確な表現ではなく、
厳密には「Xmmのスポークをスポークの中心からX個に分割した時の重さ」になります。
それを1mmあたりの重さと言っているだけです。
何のこっちゃと思われると思いますが、以下ゆっくり書いていきますね。

↑これがスポークです。というような幼稚な絵に以下お付き合いください(笑)。

スポークの太さは、スポーツバイクではほぼ上記の2種類のものに限られます。
2.0mm径のものと1.8mm径のものです。
スポークの太さのことを番手といいますが、
2.0mmを14番、1.8mmを15番とも呼びます。
コスミックカーボン専用のスポークで2.34mm(13番)を採用しているなど
例外はありますが、基本的に2.0か1.8の2種類です。
1.8の方が細いので、当然重量は1.8の方が軽いです。
完組みホイールに上記のような汎用規格のスポークが使われている場合、
ほぼ100% 2.0mmのスポークです。
前後ペアで1000gを切るような LEWのVT-1リムの完組みホイールでも
2.0mmスポークです。
私が普段 手組みのホイールに使うのも主に2.0です。
これには理由があります(後述)。

ニップルにも2.0用と1.8用があり、互換性はありません。
材質は しんちゅうかアルミです。アルミの方が軽いですが、
完組みホイールで汎用ニップルが使われている場合、ほぼ100%しんちゅうです。
FFWDのホイールは汎用ニップルなので、しんちゅうです。
(完組みホイールで自社企画の専用ニップルを採用している場合はアルミの場合が多いですが)

「スポークが折れた」という場合、ほとんどは首元の部分の破断です(上の図の赤い線)。
1.8のスポークは 首元も1.8mmなので2.0のスポークに比べて
この部分の破断リスクが高いんですね。
これが完組みホイールに1.8が使われない理由であり、
私もあまり使わない理由です。
リヤホイールを1.8で組むと特によく分かります。明らかに2.0より首が飛びやすいです。

ニップルが原因の場合、上の図の赤い線の部分で破断してしまうことが まれにあります。
アルミだけでなく、しんちゅうでも起こることがあります。

スポークが折れるのは、ほぼ100%首折れです。途中で折れることはありません。
ローギヤの内側にチェーンが落ちて、チェーンとスポークがジャムったがために
スポークが逆むけみたいに削れて 結果 途中で折れることはありますが、
そういう外的要因を除けば「スポーク折れ=首折れ」と言っていいです。
そこで軽量化のために、首元とねじ部分は2.0のままで、途中を細くするというスポークが
考えられたんですね。途中で折れることはまずないわけですから、
スポークの首折れリスクを増大させずに重量を軽くできるわけです。
端から端までずっと同じ径のスポークを「プレーンスポーク」、
途中を細くしているスポークを「バテッドスポーク」といいます。
スイスのスポークメーカー、DTではプレーンスポークをチャンピオン、
バテッドスポークをコンペティションという商品名で出しています。
コンペティションの2.0の場合、バテッド部分は1.8です。
上の図にはありませんが、コンペティションの1.8の場合は
バテッド部分は1.6となります。
チャンピオンの2.0は 2.0と表記することにします。
コンペティションの2.0は 2.0-1.8-2.0と表記することにします。
首元-バテッド部分-ねじ部分の径を並べて書いただけです。

DTにはさらに軽いバテッドスポークの、レボリューションというモデルがあります。
2.0と1.8がありますが、どちらもバテッド部分は1.5です。
コンペティションよりもバテッド部分が割合的に長くなっているので、
その点でも軽く仕上がっています。
レボリューションの2.0は 2.0-1.5-2.0と表記することにします。

私がよく使うスポークはDTのチャンピオンとコンペティションですが、
もう一つ よく使うスポークが、ベルギーのサピムのCX-RAYです。
これはバテッド部分が扁平になっているスポークで、
エアロスポークと呼ばれるものになります。
エアロ部分の断面は最も扁平な部分で0.9mm、
最も広い部分で2.3mmとなっています。
こういう形状にするのは空力特性狙いが主ですが、CX-RAYの場合は
軽量化も兼ねた設計になっています。
これは2.0-(0.9-2.3)-2.0と表記することにします。
サピムには1.8のプレーンスポークがラインナップにありますが、
その他のバテッドスポークやエアロスポークのモデルには1.8mm径のものはありません。
なのでCX-RAYには1.8のものが存在しません。
(特注品としてはあるかも知れませんが)

ここからが本題です。
スポークの1mmあたりの長さを求めたいのですが、
例えば上の図のように10等分した場合、AとBでは重さが違ってきます。

そこで、思考実験ですが スポークの中心から放射状に等分するとします。
上の図では5等分ということになりますが、全然5等分に見えないのは私の絵が
へたくそだからで、とにかくこういう風に分割するものと思ってください。

で、200mmのスポークを200分割、
300mmのスポークを300分割した場合の1片について考えます。

ついでにXmmのスポークをX分割した場合についても。

1片あたりの中心角は上の図の通りです。
私が何を言いたいのかというと、
「これらの1片あたりの重さは ほぼ同じなのではないか」
ということです。
とはいえ、プレーンならまだ分からないでもないですが、バテッドの場合は
スポークの長さに占めるバテッド部分の割合がスポーク長さによって変わるので
同じになるとはどうしても考えられません。
50mmのレボリューションと1億mmのレボリューションでは
重量を長さで割った場合、長い方が軽くなるのは当然です。
話は変わりますが、私は今まで「いけない改造をした完組みホイール」を多々組んできました。
あんまり「こういう事も出来るぞ!」とおおっぴらに書けないものが多いのですが
それは おいおいこのブログで小出しにするとして(笑)、その一つに

「普通ハブで手組みされたコスミックカーボン80」というのがありまして、
これのスポーク長さが、詳しくは書きませんが230mmくらいです。
カンパニョーロのバレット105を××(自主規制)したい、などの場合を除いて
これより短いスポークは700Cのホイールでは なかなかないはずです。

↑これは私のシクロクロスの前輪ですが、オープンプロの32Hをモランボン組みしています。
「もっとリム高の低い昔のチューブラーリムの36Hを8本組みモランボンで組んだもの」が
700Cで最もスポークが長くなる組み方だと思われますが、その場合で
310mmくらいです(いや、正確に把握はしてるんですが)。
ということは、ロードバイクでありうるスポーク長さは
230mmから310mmの間にほぼ全て納まるということですね。
バテッド加工が及ぼす重量のばらつきはごく限られたものになりそうです。

で、実際に調べてみました。書いてるのは3種類ですが、実際はもっとサンプルは多いです。
スポーク1本だけを 1gごとや0.1gごとの重量差でしか量れないはかりで量るのは
あまりに大雑把です。上記の場合はたまたま全て32本ですが、
同じ長さのスポークをある程度まとまった数で量り、本数で割ると かなり正確に
1本当たりの重量が出ます。

で、出しました。

これをさらに長さで割ります。
1mmあたりの重さと書いてますが、冒頭にもあった通り
厳密には中心から分割した1片の重さになります。
長さで割っているので1mmあたりと表現してます。
これはだいたい一緒といってもいいのではないでしょうか。

同様にサピムのCX-RAYでもしてみます。

全重量はこんな感じで、

1本当たりの重量はこんな感じです。

それを長さで割りました。多少ばらついてはいます。
最高で1mmあたり1000分の4gのばらつきです。
もっとサンプルはあるんですが、これが最も大きいばらつきです。

で、2.0プレーンのDTチャンピオンでもやってみました。
サピムにも2.0プレーンのリーダーというモデルがあります。
星工業には2.0プレーンでスターブライトというモデルがあります。
これらは厳密にはステンレススポークではありません。
ステンレスですが、一般的なイメージのステンレス鋼とはちょっと違います。
これについて書くとまた長くなるので、後日にします。
DT、サピム、星、あるいはそれ以外のメーカーでスポークの添加物や配合比が
全く同じというわけではないはずなので、2.0mmのプレーンスポークであっても
かなりまとまった数を精査すれば比重の違いが出るかと思われます。

が、とりあえず上記のDTチャンピオン2.0の1mmの重さ0.0257gを
100%として、各スポークの重量比を求めたいと思います。
この図が残っているのはホワイトボードが両面仕様だからです。
本当に買ってよかった。

↑こうなります。ばらつきは中心値を採っています。

↑チャンピオンの1.8も追加しました。
ねじ切ってないのは書き忘れです(笑)。
当然ですがコンペティションの2.0-1.8-2.0より軽いです。
レボリューションの2.0やCX-RAYは、プレーンの2.0からみて
材料を3分の2くらい削いでいるということですね。すごいです。

で、長さまでも加味したスポークの重さを計算できるようになりました。
掛け算を3回もしているので誤差はあるかも知れませんが、
フェルミ推定的な方法としては かなり正確なものだと思います。
最後の係数には、先ほどの赤字のパーセンテージを代入します。
これを使えば、スポークを仕入れる前に、あるいはホイールを組む前に
だいたいの重量が分かるようになります(係数を知っている必要がありますが)。
また、ここには書いていませんが 係数が60%を切るスポークがこの世に2つほどあります。
本当に軽いスポークホイールが組むなら、それを使うことが必須条件になります。

ニップルの重さも書いておきます。

これでホイールの構成要素のうちスポークとニップルの重量が概算で出るようになりました。
ハブやリムは現物を量るのが一番ですが、もし無いならカタログ重量で計算します。
ほとんどの場合 カタログ重量よりも重いはずですから、机上計算で得られた重量は
「だいたいこれぐらいだけど、きっとこれより重くなる」という目安には十分なりえます。
ホイールを組むたびにスポークの束を量っておけば、
より正確な係数を出すための数字が得られます。
そういう積み重ねが大事です。
category: スポークの話
オープンの日ですが・・・ 
2012/09/20 Thu. 02:11 [edit]

営業時間は13:00~20:00、
定休日は水曜日と毎月最終土曜日となります。
ロードバイクの整備・修理・組立専門店として
頑張りますので、ご来店よろしくお願いします!
category: のむラボ日記
セラサンマルコ クラブ スツール 
2012/09/20 Thu. 01:28 [edit]

↑販促品ではなく、実際に商品として売られていた セラサンマルコ製の椅子です。
茶と黒がありますが、これは茶の方です。価格は1万5千円くらいだったでしょうか。
それ以上の値段のサドルがあることを思えば、安い気がしてきます。
シルベストサイクル住之江店に置いておったのを憶えている方もおられると思いますが、
これ、わたしの私物だったんです。

延べで何人が座ったか分からないくらいなので、刺繍がけっこう すり減ってます。
そのわりに革は削れたり黒ずんだりしていないので、なかなかいい革なのかもしれません。
category: のむラボ日記
ホワイトボードが欲しい 
2012/09/20 Thu. 00:27 [edit]
私はお客さんと話をするときに 紙に図を描いたりすることが非常に多く、
いつも「ホワイトボード欲しいな」と思っていました。
この店は幸いにもホワイトボードを置くスペースが(いまのところ)あります。
ということで買っちゃいました。

↑ホーロー引きのちょっといいやつです。
今後 このブログでホイールの話やQファクターの話など
いろいろ書くことがあるかと思いますが、そのためにもこいつが必要です。
あと、なぜ総裁Xは いつもちょっと左に寄っているんでしょうか。
category: のむラボ日記
看板を作る 
2012/09/19 Wed. 22:44 [edit]
過去に某フレームビルダーさんの看板やパン屋さんの看板など
作ってきたので、今回も同じようなものができると思います。

↑というわけで適当な木の板を買ってきました。

↑まずは下書きです。
どういう風に彫るかというイメージが大切ですね。
彫ると掘るを間違っているような気がしますが、気にしてはいけません。

↑下書きを参考に彫りました。
ニスを塗ったようにやたらと つやつやしてますが、
削りカスを流すのに水洗いしただけです。

↑乾かしてから塗装します。色はマホガニーです。

↑文字を墨入れします。
白い字の方が目立つと思ったので、白にしました。
後日 黒にするかも知れません。

↑適当に紙やすりをかけて出来上がり。
category: のむラボ日記
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