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のむラボ日記

自転車工房「のむラボ」のブログです

コメントのお返事のお返事  

最近コメントをいただくことが多くて、お返事をここでお返ししていますが
それにまたさらにお返事をいただくこともあります。
ここで何件かいっぺんに さらにお返事をします。
DSC00868amx.jpg
コリマのハブの話のときに 首折れスポークでヌポークラジアル組みをしているのは
コリマぐらい、ということを書きましたが 他のメーカーにもあるよと具体例を
教えてくださった方がおられます。
なんでもその方いわく
「ホイール好きが見たら思わず蟹ハサミの間でテスラコイルの用に放電して
目からビームが出るような作りになってます」ということらしいです。
上のカッコの中、マジで原文ママです
× 用に ○ 様に も訂正してません。←まあそんなことはいいのですが。
というわけでその様子を描いてみましたのが上の画像です。
ついでに公式設定としていただいておきます(笑)。

DSC00872amx.jpg
コリマのハブのフリー側のスポークの首折れが
通常のスポークを90度ひねった形になっていて 実質コリマ専用品だと書きましたが、
コリマ以外で あるメーカーのハブでも90度ひねりのエアロスポークを
要するものがあると教えてくださった方がいます。
その上で こういうスポークは安定供給されるのかなと書かれていたのですが、
コリマ以外では安定供給はされていません。

コリマのエアロは年代によって2種類のスポーク長さがあるのですが
(ハブが同じでリム内径が違う)、輸入元のトライスポーツさんは それをきっちり
把握していて、しかも頼んで在庫がなかったということは今のところありません。
本当にちゃんとしています。

前述のあるメーカーというのは現在 代理店が日本にないのでハブを入手しても
エアロスポークで組むのは難しいですね。たまたま 組むリムによって
コリマのスポークが使えそうな長さならいいですが、そうとも限らないので。

20120519172909.jpg
リムの穴振りの話のときに、リムの穴振りとは無関係に
正リムとして組まれているホイールを持っているとコメントをいただいた方へ。
逆リムというものはごく少数ですが存在します。
しかし自転車屋というものは、リムの穴振りも見ずに
正リムとしてホイールを組む習性があるのか(私は違いますが)、
たまにリムの穴振りとスポークの方向が間違っているホイールもあります。
私はゾンダのフロントホイールで、オシャカになったリムを 内径が非常に近いからという
ことでデュラエースのC24のWOに組み換えたことがありますが(上の画像)、
ゾンダは逆リム、C24は正リムです。

DSC00870amx.jpg
当然 組み換えるときに穴振りを換えました。
上の画像で自分から見て手前側のフランジから出ているスポークを
奥のフランジから出ているスポークをとします。
フォークの右ブレードにスピードメーターのセンサーが付いているとすると、
マグネットを付けるスポークは進行方向の右側のスポークになります。
バルブに最も近いスポークにマグネットを付けたいとすると・・・。
ゾンダではバルブの前側、C24ではバルブの後ろ側にマグネットが位置します。
このホイールでは穴振りを間違えても組めないことはないかもしれませんが、
やはりホイールにとってよくありません。

20120519172944.jpg
ところでこの前輪、300g台のWOリムで
CULT化できるという実はすごいホイールです。
私はハブの重量に関しては 回転が十分に軽ければ あまり固執しないほうです。
これがデュラエースのハブより重量的に重くても、回転さえデュラエース以上なら
構わないと思っています。いや、鉄球の時点でデュラエースより回転が軽いんですが。
でもそれがどこまでも看過されるのかというと、さすがにゴキソくらい重量が重たければ
ハブの回転がいくら良くてもちょっと躊躇します。
確かなのは、今たった数行で たくさんの敵を作ったということですね。

category: のむラボ日記

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サピム先生  

サピムのホームページを見たら、
「スーパースポークス」という新モデルが出ていました。
今まで作られたスポークの中で一番軽いと豪語しています。
(たぶんサピム史上ではなく、人類史上という意味で)
サイズはなんと1.8-1.4-1.8mm!
1.4というのが非常にヤバいです。
サピムのカタログ値(けっこう正確なのは実証済み)で
260mm・64本で231gということですが、
これを私のスポーク比重に当てはめると2.0mmプレーン比
54.0%というとんでもない数字になりました。
サピムCX-RAYで65%、
DTのレボリューションの1.8-1.5-1.8mmで61%くらいです。
私の知っている最軽量スポークですら59%ですから
これはとてつもないことです。

DSC00867amx.jpg
比重が54%ということは、バテッドを平均的にならしてプレーンにしたときの
断面積も54%くらいということになります。
54%のスポークがもしプレーンだったとすると、
1.47mm外径ということになります。
ということは この1.8-1.4-1.8mmは、ねじと頭以外のほとんどの部分が
1.4mmということです。

まだ日本に入ってきたという情報はないですが、うーん気になる・・・。

category: スポークの話

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のむラボホイール3号  

のむラボホイール3号、出来ました!
DSC00865amx.jpg
予告通りTniエアロ80の後輪です。
さっきまで 長~い文章書いていたので昨日中に上げられませんでした。

リム重量は実測529gでした。
先日のお客さん注文分は24Hのリヤ用リムで組みましたが、これは20Hです。
本来フロント用ですが、使って いけそうであればリヤに組むのはありです。
逆はダメですが。ヨンロク組みが出来ないのと 20Hという穴数の少なさから、
フリー側をDTチャンピオン2.0mmプレーン、
反フリー側をサピムCX2.0-(1.3-2.8)-2.0mmエアロで組んで
スポークの変形量の少なさ(=硬さ)を狙っています。

529gのリムでスポークの軽さを稼いでも仕方がない、剛性だ 剛性!
思ったので、これ以上ないくらいにカンカンに組みました。
結線はしてもしなくてもいいかな、と思いましたが
やったらえらいことになりました。
スポークの交差部分を握った変形量、左右とも ほぼゼロかというくらいです。
横穴があいているディスクホイールのようなものになりました

前後同じリム高のチューブラーホイールを履いていてオールラウンドに使っている人が、
後輪の付け替えで平坦特化型超剛性踏みまくりモードになるという使い方を想定しています。


前回はサピムCX-RAYの24Hで902gで組めたのに、
スポークの4本少ない今回は916gになりました。
24Hなら反フリー側はCX-RAYにしたと思います。

気になるお値段ですが、
Tniの吊るしホイールで68250円、
同じ仕様で私が組んで56000円と先日書きました。

これらは24Hなのですが、のむラボホイール3号は20Hなのと
使っているスポークの価格が違うので49000円で設定しました!
49000円で最強のエアロ後輪を目指しています。

category: のむラボホイール

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コメントのお返事  

今度出たシマノ9000のC35のチューブラーホイールについてどう思いますか?
また、同じようなスペックの手組みのホイールを組むとすれば
どういう材料で組みますか?というお問い合わせをいただきました。

9000のC35について書く前に、私がシマノホイールについて
思っていることをまず書きます。

まず、私はシマノの7900のC24のWOは非常にいいホイールだと思うんです。
少なくともWOであの重量であのテンションで張っているホイールというのは
他に例がありません。リム重量はフロントで実測385gでした。
RS80のC24もリムは同じということらしいですが、
実測が392gだったので(これは個体差の範囲程度)リムが同じというのは本当でしょう。
マヴィックのオープンプロは430gくらいですが、
これの16Hが存在していたとしても 手組みではちょっと組めません。
C24のWOはそう考えると スチールスポークのWOリムホイールという
ふるいにかけたときに、最後の最後に残るホイールなんですね。
重量的に競合しているのはR-SYSくらいです。
(ホイールじゃなくてリムの重量がです)

これが7900のC24のチューブラーであれば、外周部重量で競合するリムが
いくつか存在するので、WOのときと違ってその分野で唯一というわけではありません。
他に検討してもいいという候補が出てきます。
ホイールというのは結局「リムをぶん回している物体」になるわけですが、
穴数が合うものとして 7900のハブを使い、C24相当のリム高の
他のリムに置き換えたとき、「こっちの方が走るわ」というリムが
ある可能性もあります。少なくとも もっと軽いというリムはあります。
しかし競合するリムといっても ごく少数なのでC24のチューブラーも
同じようなホイールの中でふるいにかけると
最後まで残るホイールのひとつには違いないと思います。

これが7900のC35とC50になるともっと競合するリムが増えます。
しかし問題はもっと別のところにあって、リムがどうこう以前に
リヤハブの左フランジを内側に寄せるということをしていますので、
理論上も実際上も横剛性が落ちるハブをわざわざ使っているという時点で
個人的にはあまり好きではありません。リムはいいのに。
左フランジを寄せたハブについては
9000のホイールの解説に「低い安定性」とシマノ自ら謳っているほどです。

シマノのホイールは毎度アイデアは面白いと思いますが、
設計思想が一貫せず、世代ごとに ころころ変わっています。
7700はスポークの出たフランジの反対側のリムサイドにスポークを引っかけて
テンションを張る構造+ペアスポークです。

7701はリヤハブのフリー側をラジアル組みにしました。
(このとき、7700よりテンションバランスが良くなったと謳っています)
前輪は7700もそうですが 理論上JIS組みです。
これについては後日ちょっと書くことがあります。

7800はハブ側ニップル+フリー側ラジアル組みです。
スポークの間隔は均等になりました。
(7701とちがいホイールのどこでも振れが取れます!とは謳ってませんが)

7900はリヤが理論上 反イタリアン組みでニップルはリム側になりました。
(7800の方が外周部の整流効果がいいです!とは謳ってませんが)
リム高が高いモデルは リヤハブの左フランジを内側に寄せています。

で、9000ですね。C24は完成されているのか、7950と大きな変更点はありません。
C35以上のリム高のモデルについてはスポーク数の左右比を1:2にしたことと、
リム高に関係なくリヤハブの左フランジを広くとっているのが特徴です。

ハブとリムをつなぐホイールの構造としては 7800が過去最高傑作だと思ってましたが、
9000もなかなか良さそうです。最もフリーボディに近いスポークが
進行方向に対して前を向いている(逆イタリアン組み相当)ことだけは
個人的にどうかと思いますが、それ以外はかなり良くなったと思います。
(=以前は悪かったってことです)
その9000の中でもC35についてですが、ロードレース中の大抵の状況で
C50やC75より おいしい時間が長いと思われますので、これも絶妙です。
日本のレースに限って言えば 周回レースが多いので、登り下りも考えると
35mmというやや低め(35mmが低めというのも隔世の感がありますが)の
リム高がいいので、全部買えればいいですが(笑)一つ買うなら
ベストバイはC35になると思います。

で、私がそのC35に対して競合するようなホイールを手組みで組むとするなら、
リム高はC50寄りですが ENVEの1-45を手組みの理屈フル動員で組むと思います。
左右異径スポーク・リヤが24Hならヨンロク組み・反フリー側の結線ハンダ付け、に加えて
完組みの専用設計には及ばないもののリヤハブはハイローフランジのものを選ぶ、
リム高45mmでは厳しいですが必要とあればヌポーク組みにする、などです。
(私の過去の例では1-45はヌポークで組むことが多いです)

1-45はEDGEの最終ロットで274gくらい、
ENVEの現行ロットで296gくらいが実測重量の振り幅の最低値だと思いますが、
リム高も勘案すれば(実は勘案しなくても)外周部重量はC35より軽いです。

あとはこれを 完組みホイール並みにカッチリと組めればいいのですが、
首折れスポークではなかなか難しい話です(いつも書いてることです)。
特にフロントの縦の硬さは絶対に勝てません。
また、(C35と比べて)1-45の方が座屈に弱いので
体重のある方には強くオススメしません。

Tniのカーボン38(のむラボホイール2号ですね)ではリム重量347gです。
C35に対して性能で完全上位互換は無理ですが それでもリムの軽さや、
無負荷のハブの回転の軽さ(シャフトを持って手で回したときのすとヌルヌル度)や、
組み方しだいによっては 見かけ上のスポークテンションの
左右差の少なさについては太刀打ちする自信があります。
まあ前後ペア86000円で売っているホイールなので、
それと比較すること自体がおこがましいのですが。

のむラボホイール1号は29000円のホイールでは最強、
2号は86000円のホイールでは最強、というのを目指しています。

ENVEの1-45で手組みして ハブも組み方もそれなりに考えて組んだ場合
試算したら186000円ほどで組めると出ました。
WH-9000-C35-TUは254371円ですね。
といってもこれは希望小売価格です。
私の手組みホイールは実売価格です。
という情報をお客さんに伝えるわけですが、
選ぶのはお客さんです

あと、いただいたコメントの冒頭で
アンチシマノホイールの野村さんと書かれておられましたが、
別にアンチシマノでもアンチシマノホイールでもないですよ。
冒頭で7900のC35が好きではないと書きましたが、
これはそのモデルのみについてのことで
メーカーでホイールを評価するなど色眼鏡も甚だしいです。
「メーカーロゴやステッカーを取っ払った真っ黒いホイール」として
ホイールを見たときに 頭の悪い構造のホイールが嫌いなだけです。


以下 私の好きなシマノ製品(ホイール関係)
7701のカーボンの前輪は好きです。ペアスポークでエア抜けがいいのか
旧モデルになるうえラジアル組みでもないのにウルリヒがTTで使ってましたね。
7801の後輪も好きですよ。左右のテンション差だけに注視した場合の
スチールスポークのスポークアレンジメントとしては、多分 結論です。
C24のWOの前輪も好きです。7900でもRS80でもどっちでもいいです。
同じリムなので。

あと旧品ですがデュラエースAXのスポークヘッド埋め込みフランジのハブも好きですし、
デオーレのディスクブレーキハブの初期モデルの引っかけフランジのハブも好きです。
↑これは理屈的にアウトですが、それでも好きです。

あと6600アルテグラのリヤハブも好きです。
左フランジの横の張り出しがデュラエースよりも出ているので、
デュラエースのハブよりも横に強いホイールが組めます。
ワイドフランジで生じる左右のスポークテンション差は組み方で取り戻せますが、
フランジが狭い結果落ちる横剛性はどうすることもできません。
6700も仕上げ以外は同じハブですが、6600は24Hがあったので
カーボンホイールを組むのによく使いました。


私はここで シマノホイールについて辛辣なことを書くこともありますが、
何も「シマノだからダメ」というわけではないです。
理屈上ダメなものはダメというだけです。

category: 手組み 対 完組み

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謎のリムでホイールを組みました  

謎のリムでホイールを組みました。
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リム高80mmのカーボンリムです。かっこいいですね。
お客さんの注文品なのでタイヤも張っています。

DSC00858amx.jpg
うーん どう撮ってもかっこいいなー

DSC00855amx.jpg
スポークはフリー側がDTチャンピオン2.0mmプレーン、
反フリー側がサピムCXです。スポークの比重で言うと 左:右で
100.3%:100%と厳密には逆転していますが、まあ同じとみていいです。
断面形状こそ違うものの 断面積が同じ=張力特性がほぼ同じということなので、
組んだ感じは左右とも2.0mmプレーンで組んだようでした。
フリー側は横方向への変形量を減らすため、反フリー側は空力特性に期待して、と
左右でして欲しい仕事を明確に意識しています。

DSC00861amx.jpg
謎のリムの正体ですが、
Tniエアロ80のステッカーをはがしただけです。

お客さんの希望だったので。
最近エアロ80のリヤについてよく問い合わせがあるので、
これをのむラボホイール3号にします。
上の画像のもう一つのリムは そのための分です。

のむラボホイール3号は 今 組んだものと全く同スペックになりますが、
ここでまだ書いていないことは3号を組んだ時に書くことにします。

category: のむラボホイール

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コメントのお返事  

「リムのスポーク穴の穴振りですが、アルミリムはフランジ側に振り、
カーボンリムは反対側に振ってあるのはなぜ?」という ご質問をいただきました。

リムの穴振りが間違っている場合 基本的にホイールは組めません。

どういう状況なのか具体的に見ていないので分かりませんが、
見かけ上 そうなっているだけで、実際は穴振りを間違っているわけでは
ないのではと思います。メーカーさんの組んだものであればなおさらそうです。
というわけでリムの穴振りについて書いていきます。

DSC00797amx.jpg
DSC00800amx.jpg
↑これはかなり前の世代のコリマのリムです。

DSC00803amx.jpg
バルブ穴付近のスポーク穴を上から見てみます。
スポーク穴がかなり左右に振っていますね。

DSC00809amx.jpg
バルブ穴の両側に実際にスポークを通してみました。
横方向から見るかぎりでは分かりませんが、
DSC00810amx.jpg
前後方向から見るとこんなに穴が振っているんです。
このリムは「バルブ穴を真上にした状態でホイールを横から見たとき、
バルブの向かって右のスポークが自分から見て奥の方のフランジから出ている
方向に穴が振っているリム」になります。大多数のリムがそうなので
この穴振りのリムを当ブログでは「正リム」と呼んでいます。

画像の右側からホイールを見たときにバルブの右側(画像では奥)のスポークが
自分から見て遠ざかる方向に振っていますね。正リムです。
このスポークの指向性はけっこう強力で、
これに反してホイールを組むことはできません。
不可能ではないでしょうが、リムの ニップルを保持している部分に
かなりのストレスが かかり続けることになります。

DSC00825amx.jpg
次にのむラボホイール2号を見てみます。

DSC00826amx.jpg
先ほどのコリマほどではないですが、穴はそれなりに振っています。

DSC00831amx.jpg
↑この穴は向かって左に穴が振っていますが、
スポークは向かって右に伸びています。
これを図示すると
DSC00835amx.jpg
こうなります。
スポークの リムへの入射角が斜めなので、
リム外周部側の穴を横に振って あけないと
工具で調整しづらい(または出来ない)状態になります。
なので穴振りと組み方はこれで合っています。

DSC00836amx.jpg
穴振りとスポークの方向を描き足しました。
質問者さんのホイールはこうなっていますか?
これなら正解です。

DSC00849amx.jpg
実はリムの穴振りが大きくても、リムのスポーク穴自体はほぼ真下にあいています。
ディープリムには リム内周部の穴に穴振りがない(正リムも逆リムもない)ので
逆に組むこともできそうですが、
正リムと同じように組むことを前提としてリム外周部に穴を設けているので
DSC00850amx.jpg
工具を入れる方向に穴を振っています。
なので、正リムとして扱わないと実質組めないのです。

DSC00852amx.jpg
コリマの場合などは、リムが空洞ではなく ウレタンが封入されていて工具が
斜めにまっすぐ以外に入らない場合もあります。

ということで、リムの穴振り方向とスポークが伸びる方向は逆になります。
質問者さんの「カーボンリムはスポーク穴が反対側に振っている」というのが
このことを指すのであれば問題ありません。
リムの外周部の穴の振りと同方向にスポークが伸びているという場合は、
また教えてください。

DSC00822amx.jpg
普通のホイールの場合について。
ニップルの根元は 球に近い丸みがついているので
DSC00823amx.jpg
穴振り通りでも
DSC00824amx.jpg
逆穴振りでも
ホイールを組めないことはありません(ニップル部分の負担はやはり大きいです)。
しかし、逆穴振りでホイールを組むのは気持ちのいいものではありません。

DSC00837amx.jpg
↑いままでこんな感じで図を描いてきましたが、
DSC00840amx.jpg
穴振りを意識すればこういう風になります。
DSC00842amx.jpg
逆穴振りではこうです。一目見て「エヘン虫にやさしくないなー」という感じです。
実はこれは理論上の横剛性が上がるのですが、
リムの穴振りというのは左右位置だけでなく 角度も付いていますので、
ニップル部分の負担のデメリットを考えれば やはり避けるべきです。

DSC00846amx.jpg
最も穴振りの指向性が強いのは、キシリウムやR-SYSの類になります。
これらのホイールはリムに直接ねじ山を切っています。
言うなれば ねじをねじ込んでいる状態です。
何山か ねじ山を入れれば、ニップル部分はリムに対してほぼ不動です。

上の画像ではねじ山が見えていませんが、

DSC00845amx.jpg
同じニップルの反対側を見ると2山ほど ねじが見えます。
いかに斜めに入っているかということですね。

DSC00792amx.jpg
TNiのAL300リムでは 内周部にも外周部にも穴振りがありません。
さらに、内蔵ニップルではないので タンジェント組みするときに
逆リム扱いしても 理論上問題はありません。
慣習的に気持ち悪いので正リムとして組みますが。

category: のむラボ日記

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コリマ先生 2時限目  

今日はコリマのアルミボディのハブについて。
色々とすごいです。
DSC00779amx.jpg
↑これです。左のフランジ位置がやや内寄りなことが 少し残念ですが、
かなり極端なハイローフランジでスポークのテンションバランスを
是正しようという点はかなり良くできています。

DSC00781amx.jpg
左右フランジとも首折れスポークを使うのですが、
フリー側に使うスポークはちょっと特殊です。
フリー側のフランジにスポークを通す方向は
ヌポークでも反ヌポークでもありません。

DSC00788amx.jpg
丸スポークなら問題ないのですが、エアロスポークの場合は扁平な部分に対して
首の曲げが90度回転した形状になる 特殊なものを使います。
実質 コリマ専用品です。

DSC00780amx.jpg
反フリー側は フロントハブと同じくヌポーク通しですね。

実は このハブ、防水性に非常に問題がありまして 水が入りやすいんです。
何年か前の大台ケ原のヒルクライムでコリマを使った方がいたのですが、
大雨の中 走ったあと 次のレースまで放置していたら(決戦用であり常用はしない)
次のレースの日の朝に、フリーボディが前に向かっても空転するという
トラブルが起きたことがあります。

DSC00783amx.jpg
フリーボディの爪は、通常 ばねの力で常に起きるようになっていますが
DSC00784amx.jpg
爪の部分に浸水したのをレース後 長時間放置していたので
爪がさびて寝っぱなしになり、フリーボディが前にも滑るようになってしまったんです。

このハブが防水に問題を抱えているのはコリマも承知しているようで、
改善策として次のようなハブが出ました。
piercing hub
↑これです。
ピアシングハブというモデルです。
その名の通り、ハブ胴に穴があいています。

DSC00785amx.jpg
ハブの形状を
DSC00786amx.jpg
ホイールの回転の遠心力で水が出ていきやすい形状にし、
DSC00787amx.jpg
かつ穴をあけることで水を出すという発想のハブです。
防水性能ではなく排水性能を高めるというぶっ飛んだ発想
さすがコリマとしか言えません。
このハブは今でも一部のモデルに採用されています。
賛否両論あるかも知れませんが 私は好きですよ、こういうの。
コリマ好きのひいき目が多分に含まれているうえでの感想ですが。

category: ホイールの話

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ブールミッシュをいただきました。  

お客様からブールミッシュの詰め合わせをいただきました。
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フィナンシェとかマドレーヌとかいろいろです。

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トリュフケーキはトリュフチョコ、ガトー・オ・マロンはマロングラッセが
それぞれ底に入っていて おいしいです。

category: のむラボ日記

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ニールプライドのアリーゼを組みました  

ニールプライドのアリーゼを組みました!
DSC00764amx.jpg
↑この状態ではセットバックしているシートポストを挿していますが、
前乗り用のシートポストと挿し替えることでロードポジションと
トライアスロン/TTポジションを切り替えることができるという異色のバイクです。

DSC00766amx.jpg
エアロバーを付けたとしても、シフト操作はバーコンではなく
デュアルコントロールレバーの方でします。
エアロバーをポン付けするかどうかで モードの切り替えが
すぐ出来るようにしたいからです。

トライアスロンを長くされている方の中には エアロバーパッドを自作する方もいますが、
これも非純正のお客さん自作のアームパッドです。
ステッチが入っていますね。材料は謎です。
材料を訊いてガチャピンの皮とかだったら いやなので、
何から獲った(←獲ったって おい)のかはあえて訊きません。

DSC00769amx.jpg
サーベロといい リドレーといい フェルトといい、なぜエアロロードはことごとく
サイズの割に ヘッドチューブが長めなんでしょうか。
理由はないかもしれませんが、申し合わせたかのように そうなので不思議です。
このニールプライドもそうですね。
ヘッドスペーサーの色がフレームカラーに合っていて気に入っています。
お客さんではなく私が(笑)。

DSC00772amx.jpg
シフトもリヤブレーキも内蔵式ですっきりしています。
空力的にどうこうというのもありますが、私にとっては
トライアスロンバイクといえば 試合後のフレームに残るゼッケンシールの
強烈なのりの跡と、コーラか補給食のジェルが垂れたとおぼしき 乾ききった
カラメルのような汚れというイメージです(整備する側からしたらマジです)。
なので掃除・洗車しやすいバイクというのがいいですね。

DSC00770amx.jpg
シートポストは かなり扁平です。
汎用のシートポストで後ろ乗りと前乗りを切り替えることができるバイクは
丸パイプのシートポストになります。

前後2か所以上のヤグラが設定できる専用シートポストのバイクは
サドルをいったん外してセッティングする必要があります。

このバイクの場合はサドルを付けた状態のシートポストを
後ろ乗り用と 前乗り用で用意しておけば、
30秒もかからずにセッティングが変えられます。
エアロバーの付け外しの時間を足しても
合計で3分もあればモードチェンジできます。

DSC00771amx.jpg
シートチューブ裏の後輪に沿ったカーブがかっこいいですね。
クランク回りのフレーム塗装が黒なのはニールプライドの優しさです(多分)。
これが白か水色なら 汚れが目立ちまくりの拭きまくりスパイラルに陥ります。
このあたりの苦労は白いフレームに乗ったことのある方にしか分からないでしょう。

category: のむラボ日記

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コリマ先生 1時限目  

コリマというリムメーカーがありますが、
最近あまり評価されていないようなので、
私なりにコリマすげーという話を書いていきます。
DSC00752amx.jpg
コリマはカーボンリムの祖といっていいメーカーです。
カーボンリムだけでなく1988年にディスクホイール、
1990年にバトンホイールを出していることからも老舗という感じです。
カンパニョーロの初代ボーラのリムをはじめ、ジピエンメのC416や
アンブロージオのカーボンリムなど、すべてコリマのOEMです。
座屈や熱に対しても強く、昔はトラブルの少ないカーボンリムといえば
コリマ一択だったと思うのですが、最近はあまり見かけないですね。
プロチーム供給の露出が少ないからでしょうか。惜しい・・・。

DSC00753amx.jpg
私はコリマリムが好きなので数点持っていますが、
あるときコリマ12が無性に欲しくなって代理店さんに在庫を聞きました。
(コリマ12というのはコリマのエアロというリムの12H仕様のことです。
現在は廃版です。カーボンスポークなら12Hのものがあります)
じつはすでにその時点でエアロの12Hは廃版だったのですが、
「一応ある」というお返事。一応?
なんでもどこかのお店に一度 卸したところ、その店では取れない振れが最初から
あったそうで 返品されたものが一個だけあるそうなんです。
「それは何とかするので下さい。」といって送ってもらったコリマ12ですが、
どんだけ振れてるのかと思ったら すぐに直りました。
というわけで その時点で廃版から2年くらい経つのにめぐり巡って
手に入った正真正銘最後の一個がこれです。

DSC00755amx.jpg
コリマのこの手のハブは、完組みとしては珍しく首折れスポークです。
あと、お気づきでしょうか?これ、ヌポークラジアル組みです。
たぶん 完組みホイールとしてはコリマが唯一ヌポーク仕様のハブを出しています。

DSC00756amx.jpg
↑コリマはカーボンの編み目が細かい3Kカーボンと
編み目が粗い12Kカーボンをモデルによって使い分けています。
これは12Kのほうですね。12Kは最近の仕様なのですが
出たのは エアロの12Hを廃版にした年と重なるくらいのはずです。

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コスミックカーボンアルチメイトのリムもコリマ製だと思われます。
これでコリマじゃなかったら訴えられそうなくらい そっくりです。

DSC00760amx.jpg
スポークドホイールなのでスポークの張り出しがあります。
しかし12Hというのはロルフプリマの10Hの次にスポークが少ない仕様なので、
風抜けの良さを体感できます。あっ、エヘン虫をよく受け流すというべきでした。

DSC00113amx.jpg
そのエヘン虫受け流し特性も、バトンホイールには負けちゃいます。

DSC00115amx.jpg
ブレードがリム幅にすっぽり入ってしまうので
前面投影面積的には最高のホイールです。

コリマのすごい点は、これだけではありません。また後日・・・。

category: ホイールの話

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ネットってこわいですねー  

先日の、拍手をたくさんいただいた記事について。
DSC00761amx.jpg
といっても記事じゃなくて連絡事項なのですが。
なぜかあれを書いてからすぐに1拍手がついていたんですね。
不思議に思って「記事としての中身がないのに なぜ拍手がつくんだ」と
書いたら すぐに8拍手ぐらいになっていました。

なんとかして拍手を止めたい。そこで思い出した話が。
ある薬局の前に置かれていたサトちゃん(佐藤製薬のオレンジ色の象です)が、
毎晩のように 酔っ払いの人に蹴り倒されて朝になったら倒れている。
そこでその薬局の店主がサトちゃんに大きな絆創膏を貼りつけ
包帯を鼻や腕に巻いてみたところ、
見るからに痛々しいサトちゃんに 追い打ちをかけるのは気が引けるのか
サトちゃんへの暴力はピタッと止んだそうです。
良心に訴えかけるわけですね。よし、それでいこう。

DSC00762amx.jpg
なんで炎上しとんねん!
今 見たら54拍手もついとるやないか!
いやーネットってこわいですね。

category: のむラボ日記

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ペアスポークの話 その1  

ペアスポークというスポーク配列があります。
DSC00730amx.jpg
メーカーやモデルによって程度の差はありますが、
リムとハブのスポーク穴の位相を専用に設計することで
スポークの間隔を非均等にしたスポークの配列です。
これによるメリットについて考えてみます。

DSC00727amx.jpg
↑これは普通のリムですが、ハードアルマイトの表面がブレーキで削れて
リムサイドに刀の刃紋みたいな模様が出ています。
よく見ると跡が 左から濃い、薄い、濃い、薄い、濃い・・・となっています。

DSC00731amx.jpg
普通のリムは スポーク穴を左右交互に引っ張られるので
DSC00732amx.jpg
リムが左右に波打った形になります。
大げさに描くと上の図のような感じです。

DSC00733amx.jpg
その状態のリムがブレーキシューで削られると
さっきのような模様が出るんですね。

DSC00735amx.jpg
ペアスポークの場合はスポーク穴の位置が近いので
リムが左右に波打ったりはしません。
(左右にかすかにふくらむかもしれませんが)
また、ペアスポークの間の部分には 横方向に引かれるストレスが
かからないのも特徴です。
これだけ見ればペアスポークがいいような気がしますね。

DSC00736amx.jpg
ペアスポークはスポークテンションの調整できるポイントが不均一なので
リムの縦振れをきれいに取れません。
スポーク穴の根元の部分が 他の部分に比べて内側に引っ込む形になります。
また、ペアスポークから 隣のペアスポークまでの間の部分の横振れが
取りにくいのも難点です。

DSC00737amx.jpg
縦振れに関しては、調整しにくいなりにきっちり取れば
リムの縦振れ量を タイヤの接地面の変形量よりも小さくできますので、
乗っていて分かる・気になるということはありません。

基本的にペアスポークにメリットはない(あってもデメリットの方が大きい)
というのが私の見解ですが、ペアスポークには「空力的に有利」という
一種の信仰のようなものがあり、それに関しては私も否定はできません。

DSC00738amx.jpg
久々に登場のエヘン虫です。ピースすんな。
このエヘン虫を回転しているホイールの正面から放ちます。
サイクロイド曲線の話のときに書きましたが、回転しているホイールの上半分は
ホイールの速度以上に運動しているので エヘン虫の散らばり具合は
ホイールの上半分で調べます。

DSC00739amx.jpg
スポークを通過するたびに群れが散り散りになります。
よりきれいにエヘン虫を受け流すホイールを
「エヘン虫受け流し特性が高い」と当ブログでは表現していますが、
これは造語を作らなくても「整流効果」という単語があります。
それでもエヘン虫受け流し特性という単語を使うのには理由がありますが、
なぜかは秘密です。

DSC00740amx.jpg
同じことをペアスポークで考えてみます。
もちろんスポーク本数自体は同じです。

DSC00741amx.jpg
ペアスポーク間に「エヘン虫にやさしいゾーン」がありますね。
これのおかげで視覚的に「ペアスポークは空力的に有利」と思われるようです。

DSC00742amx.jpg
同じようにエヘン虫を放ちました。図ではいいように描いていますが、
ペアスポークは 本当にエヘン虫受け流し特性が高いのでしょうか?
この図では回転しているホイールではなく 静止しているホイールに
エヘン虫を放ったようにも見えます。
ちょっと見方を変えてみましょう。

DSC00745amx.jpg
エヘン虫さんが夜道を歩いていたときのこと。
突然目の前の屈強な男がラリアットをかましてきました。
その後も次々に左右交互に容赦ないラリアットが飛んできます。
合計20人からラリアットをくらいました。

DSC00746amx.jpg
また別の日のこと。
今度はほぼ左右同時に 二人がかりでラリアットをかましてきます。
それは計10回にのぼり、合計20人からラリアットをくらいました。

こっちの方がさっきよりも体に残るダメージが少なそう、
というのなら ペアスポークは空力的に有利だといえそうです。

DSC00748amx.jpg
今度はインディージョーンズばりのギロチン振り子が目の前で
左右に揺れている場合を考えます。

DSC00750amx.jpg
DSC00751amx.jpg
トロッコに乗ったエヘン虫たちが振り子の下を通過します。
トロッコの速度は一定で進みます。任意に止まったりはできません。
振り子の動きが同期しているとして、振り子の設置間隔がペアスポーク的に
配置されている方が生存率が高くなりそうですね。

ペアスポークに関しては、ホイールとしての全体的な精度を損なう代わりに
もしかしたら空力的においしいかもしれないという表現が私の限界です。
前者が断定、後者が推定になっていることから お察しください。

カンパニョーロのG3組みをペアスポークの一種と見る向きもありますが、
とんでもない!あれはペアスポークという概念を越えたスポークの配列なんです。
長くなるのでまた後日。

category: スポークの話

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メシのタネとヨンロク組みと左落としと部屋とワイシャツと私  

私はここでいつもホイールのことなどについて いろいろと書いていますが、
寒いネタ(例えば この記事の表題)をはさみつつも
好意的に見てくださっている方が多いようで大変励みになります。

しかし ここに書けないこと、書かないこともたくさんあります。
私の独占知識というか、メシのタネですね。
それに触れることは一切書いていないつもりですが、
無意識に漏れていることもあるかも知れません。
ああ、Wフリーハブはそれに抵触してるなー。
まあいいか。誰もマネせんだろ。


今日は初めて意識してメシのタネを書きます。
と もったい付けておきながら「そんなん知ってるわ」「ちょっと考えたら分かるわ」と
言われたら私が恥ずかしいだけなのですが。

話の内容はヨンロク組みについてです。
ヨンロク組みを初めて試みた場合、おそらく失敗します。
初見でヨンロク組みの罠を見ぬいて対処できたなら
結構すごいと思いますよ。

DSC00724amx.jpg
↑この殴り書きは今は解読できません。スルーしてください。

DSC00689amx.jpg
ハブ胴にハブのモデル名が書いてあるハブの場合、
多少の例外(先日のホワイトインダストリーとか)を除いて
進行方向に向いたときに名前が読めるように組みます。
図の、向かって右が進行方向だとして、
自分から見て手前のフランジが 進行方向から見た右側になります。

DSC00690amx.jpg
上の図ではヌポークにしていますが、それはどうでもいいです。
手前のフランジから出ているスポークを
奥のフランジから出ているスポークをで書くことにします。

DSC00691amx.jpg
ホイールのバルブ穴を頂点に持ってきた状態を考えます。
リムのスポーク穴は、ディープリムでない限り 穴が左右交互に振っています。
リムの穴振りに合わせてヌポークラジアル組みをすると・・・
DSC00693amx.jpg
↑こうなります。
バルブを頂点としたとき、バルブから向かってひとつ右側のスポークは
自分から見て奥のフランジから出ている状態になります。

この状態は バルブを頂点にしたまま 駒のようにくるっと反転させても
(言い方を変えるなら反対側から見ても)位置関係は変わりません。

DSC00694amx.jpg
DSC00695amx.jpg
DSC00696amx.jpg
↑真横から撮っているのでちょっと分かりにくいですが、
バルブから 向かって右側のスポークが 自分から見て奥のフランジから
出ています。こうなっている穴振りのリムが大多数なので、
この穴振りのリムを「正リム」と今後 呼ぶことにします。
別に何かが正しいというわけではないですが、
市販の手組み用リムはほとんど この穴振りです。

DSC00697amx.jpg
例外も挙げておきます。カンパニョーロやフルクラムの前輪、
マヴィックのコスミックカーボンアルチメイトなど 完組みには本当に多いのですが、
穴振りが正リムと逆になっているリムもあります。
上の画像、バルブから 向かって右側のスポークが自分から見て手前のフランジから
出ています。こういうリムを「逆リム」と今後呼ぶことにします。

DSC00698amx.jpg
ラジアル組みの場合は正リムだろうと逆リムだろうと
穴振りに注意すれば特に難しいことはありません。
しかし、タンジェント組みの場合はそうもいかないのです。

DSC00700amx.jpg
↑画像に写っている4本のスポークを1単位として
タンジェント組みは成り立っています。
この4本が5つなら20H、6つなら24H、7つなら28H・・・といった風に。
この4本のスポークの集まりがバルブ穴をまたぐと非常にかっこ悪いですね。

DSC00702amx.jpg
図で書くと・・・
DSC00704amx.jpg
↑これはいいけども
DSC00705amx.jpg
↑これはダメということです。

スポーク4本の集まりが バルブ穴をまたがないようにしつつ、
イタリアンないしJIS組みするには、どうすればいいのでしょうか。

DSC00706amx.jpg
ホイールを組むときにまずハブにスポークを通すのですが、

DSC00707amx.jpg
1本、上から下に通します。

DSC00708amx.jpg
スポークをハブシャフトと平行に垂らした場合、
反対側のフランジのスポーク穴は位相がずれている格好になります。

DSC00709amx.jpg
このときに、向かって左にスポークを落とします。
これを左落としといいます。
あとは交互にヌポークと反ヌポークで通します。
それでイタリアン組みすると スポークの4本の集まりがバルブ穴をまたぎません。
左落としはイタリアン組み、これは基本的なことです。
左落としでJIS組みすると、バルブ穴またぎが発生します。

右落としでJIS組みすると、バルブ穴またぎになりません。
右落としでイタリアン組みすると、バルブ穴またぎが発生します。
右落としはJIS組みということです。

で、ここからが重要なのですが、
左落としイタリアン・右落としJISになるのは正リムのときだけです。
ほとんどの手組み用リムが正リムなのでこのことに気づいていない人もいると思います。

逆リムでタンジェント組みする場合は、位相がひとつずれるので
右落としイタリアン・左落としJISになります。
具体的にはちょっと前のコリマのリムが逆リムでした(今は違うようです)。
24Hのリムを仕入れて手組みで組む可能性があるので、
知らないと罠にはまります。

DSC00711amx.jpg
ここからメシのタネです。
4本組み・6本組み・8本組みをそれぞれ図示しました。

DSC00712amx.jpg
スポークの交点とハブ軸を通る線でスポーク穴を二分します。
上の図の点線ですね。

DSC00713amx.jpg
点線の片側にあるスポーク穴の数を書きます。
4本組みは2H、6本組みは3H、8本組みは4Hですね。
大事なのは
DSC00714amx.jpg
その数が偶数奇数かということです。
偶数同士、または奇数同士で組む場合は、正リムの場合 左落としイタリアンで組めます。
ヨンヨン組み、ロクロク組み、ハチハチ組みなど普通の組み方なら問題ありません。
ヨンロク組みやロクハチ組みの場合、片側のフランジのヌポーク・反ヌポークの並びに対して
位相がずれる形になるので、正リムで右落としイタリアンになります。

つまり、ヨンロク組みでイタリアン組みするなら、
右落としで組まないといけないということですね。

はい ここテストに出まーす。

メシのタネではありますが、ショップないし個人の方が 当ブログを見て
ヨンロク組みを試みた場合 きっとここで一度つまづくと思ったので書きました。
ヨンロク組みでホイールを組むことがないであろう大多数の人にとっては
特に有益な情報ではないので、公表してもいいかなと思った次第です。

DSC00716amx.jpg
具体例をだしますね。
20Hの
DSC00718amx.jpg
ヨンヨン組になってます。ヌポークが両側ともホイールの上半分で
後ろ向きになっている(ヤマアラシさん方向)のでこれはイタリアン組みです。

DSC00719amx.jpg
落として通しているスポークに沿って、スポークを1本垂らして
ハブフランジの穴振りに対して どっちを通しているかというと・・・
DSC00720amx.jpg
↑左落としです。左落としイタリアンです。

DSC00721amx.jpg
つづいて24H。
DSC00722amx.jpg
↑ヨンロク組みイタリアンで組まれていますが
DSC00723amx.jpg
↑右落としですね。
ヨンロク組みは右落としでイタリアン組みになります。

じゃあ逆リムでヨンロク組みしたら?
裏の裏は表なので、逆リムのイタリアン組みは左落としになります。

正リムで 反フリー側を40Hの10本組みで イタリアン組みしたいとすると、
フリー側が6本組みのときは左落とし、4本組みと8本組みのときは右落としになります。
何となくつかめてきたでしょうか。

DSC00724amx.jpg
↑で、冒頭の殴り書きです。
さっきと違って解読できた方で ホイールを組む方がおられましたら
ぜひヨンロク組みをお試しください。

category: ホイールの話

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コメントのお返事  

のむラボホイールの地方発送の件で
ブログ拍手の方からコメントをしていただいた方へ。
当ブログを読んでいただきありがとうございます。

拍手コメントからは お返事を返せません。
もしよかったら当店にお電話をください。
よろしくお願いいたします。

追記
単なる連絡事項であって記事の中身がないのになぜ拍手が付くのか・・・?

DSC00688amx.jpg
よーし、これ以上 拍手ができないように良心に訴えかける作戦だ!
拍手ヤメレ

category: のむラボ日記

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スーパーシックスEVOを組みました。  

キャノンデールのスーパーシックスEVOを組みました!
ここに載せるのを快諾していただきありがとうございます。
DSC00679amx.jpg
カタログ重量695gの超軽量フレームです。
重量は あとで書きますが、危険な飛び道具一切抜きで
こんな重量で組めるんだ、というバイクです。

DSC00164amx.jpg
BB小物を入れる前の状態。薄すぎです。

DSC00680amx.jpg
シフトアウターが長めに見えますが、
DSC00681amx.jpg
ヘッドチューブの横にアウター受けがあるせいです。
これで真横にハンドルが切れる ちょうどの長さくらいです。
実際は信号待ちでスタンディングで踏ん張っても
そこまでハンドルを切らないでしょうが、
不意に落車して ハンドルがいっぱいまで切れたときに
アウターが突っ張ってフレームにダメージを及ぼすのは
避けなければいけません。

まあ そういう落車でなくても ちょっとした落車でオシャカになりそうですが。

DSC00682amx.jpg
フレーム側にシフトワイヤーのアジャスターがないので、
シフトアウターの途中に設けています。
これ、完成車の場合 前後変速分で左右についていることが多いですが
リヤはディレイラーに付いているので不要ではないでしょうか。
走行中に回して直すという使い方はまずしないでしょう。
(そんなことを日常的にしているなら根本的に直すべきです)
左右ともについているとアジャスター同士が干渉して削れたり
カンカンと音がするので不快です。ということでフロントのみにしています。

DSC00685amx.jpg
FSAのKフォースのシートポスト、妙に軽いなと思ったら
ヤグラがカーボンになってました。

DSC09948amx.jpg
話はちょっと飛びますが、上の画像はTNiのエボリューションハブです。
実はこれ、去年くらいにマイナーチェンジしていまして、
変更点は 細いスチールシャフト→太いアルミシャフトで軽量化しています。
なので厳密にはエボリューションハブIIです。
エボハブIとIIは、フリーボディに互換性がありません。
私がこのハブをセラミックベアリング仕様の 同社ウイングハブよりもオススメするのは、
ハブの寸法がハイローフランジだからです。

DSC09953amx.jpg
↑で、これがウイングハブのリヤですが、左フランジに肉抜きがありますね。
左右フランジ径は全く一緒です。
実はこれ、ウイングハブIなんです。

DSC00684amx.jpg
最近ウイングハブIIになりました。左フランジの形状が変わっています。
このファストフォワードF6Rも私の手組みです。
このウイングハブなら・・・まあ・・・ホイール組んでもいいかなと思います。
フロントハブはエボとウイングで無負荷回転(要はシャフトつまんでクルクル)の
感触が遜色ないくらいですが、リヤはウイングの方がかすかに軽いと分かります。
ハブの重量自体もウイングの方が若干軽いです。

ここまで引っ張った 気になるバイク重量ですが、
ペダルとボトルケージ×2が込みで 6.33kgでした。
登録レースに出るなら、あとは1200gのフレームに替えればいいだけですね(笑)。

category: のむラボ日記

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レイノルズ先生  

私のここまでのホイールに関する話の中で、
左右でスポークの太さ(=断面積)を変えると
スポークテンション差を是正できるかも知れないということを書きました。
DSC00678amx.jpg
↑これはフリー側2.0mmプレーン・反フリー側CX-RAYです。

以前書いたように パークツールのテンションゲージの換算表でも
2.0mmと1.8mmのプレーン同士で、計測した変形量と
変形量から概算したスポークテンションに顕著な差があるので
左右でスポークの太さを変えるのは それなりに意味がありそうです。
しかし「猫も杓子もCX-RAY」という現状で あえて重いスポークを
使うということが一般に支持されるのか
という不安はあります。

「こうした方が走るホイールになるから!」
「重たくなったのは外周部じゃないから!」と私が言っても
やはりホイールが少し重たくなるというのは受けが良くありません。

と思っていたのですが、昨日あるお客さんに
「レイノルズのホイールは左右異径スポークにしているよ」
いう大変ありがたい情報をいただきました。
確かにモデルによってはそうなっているものがあります。
ちょっと自信が湧きました。
レイノルズのホイールと 私のホイールでは 左右異径にする理由が
同じとは限りませんが、遠く離れた接点のない二者が同じ結論に
至ったということは、まるで収斂進化のようです。

今のところ のむラボホイールの標準仕様は左右異径スポークにしていませんが、
今後 左右異径スポークを標準仕様にする場合「レイノルズも同じことやってます」と
言えることが根拠の一つに加わった、ということがありがたいのです。
といっても、そこそこ高いリム高でも後輪を丸スポークで組むという点は
私の考えの押し付けなのですが。
しかしこれをしないと吊るしのホイールと差別化できないんですね。
組んだものを展示しているのは かすかな重量増で得られた
剛性特化仕様ホイールを実際に触ってほしいという理由からです。

カンパニョーロのハイペロンも左右異径スポークなのですが、
超ハイローフランジにストレートスポークという完組みの特権を使いまくりなのに対し、
レイノルズは首折れスポークです。顕著なハイローフランジでもありません。
普通のハブで左右異径をしているという点がいいのです。

さすがレイノルズ先生です。

category: ホイールの話

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パワータップを組みました。  

今日もパワータップのホイールを組みました。
DSC00676amx.jpg
DSC00677amx.jpg
パワータップのホイール組み、最近 本当に多いです。

category: のむラボ日記

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新ブランド?  

そういえばTNiのリムを仕入れたときのこと。
DSC00674amx.jpg
DSC00675amx.jpg
↑なんだ この箱は!
エンゲージと読むのでしょうか。
えーと、昨日くらいから新規取り扱いブランドとして
トライスポーツさんのホームページにエンゲージの製品が出ています。
カーボンのハンドルバーでけっこう軽くて そこそこ丸ハンドルで
かなりお買い得な価格のものがあるので気になっています。
ブレーキもかっこいいですね。

category: のむラボ日記

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スポークの比重について  

※下の画像は本文にあまり関係ありません
DSC00673amx.jpg
最近スポークの比重の話を持ち出すことが多いですが、
ホイールを組む前に完成重量が分かるといっても
材料が目の前にあれば それを全て測ればいいだけのことです。
これの真の目的は、組まれているホイールからリムの重量だけをすっぱ抜くことです。
そのためにはスポークの1mmあたりの重さや
ハブの重さを事前に知っている必要があります。

完組みホイールの場合は特殊スポークなので
比重のデータが無いからリムの重さを測れないですね。
どうしても知りたい場合は一度ばらせばいいだけです。

こういう数字を持っておくと 色んなところで使えます。

category: スポークの話

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Tniエアロ80を組みました  

つづいてエアロ80です。
DSC00669amx.jpg
「120kgfまで張っていい」そう言われただけでホッとします。
ホイールを組むうえで制約が少ないリムなので 特に悩まず組めます。
リム重量は公称値なし、実測値で525gでした。
リムとしての公称重量はありませんが、
ホイールの状態ではリヤで890gという公称値になっています。
このホイールはオーダー仕様でたまたま吊るしと同じスポーク(CX-RAY)
なのですが、実測902gでした。スポークの総延長はこちらの方が長いですから、
それを勘案するとリムの重量の個体差はほぼないと言ってよさそうです。

DSC00668amx.jpg
リム高80mmというのは、リム高20mmくらいの24インチのWOリムと
ほぼ同じリム内径になります。
また、スポーク張力の指定最大値120kgfというのは
多くのアルミリムと同じくらいです。

つまり、乱暴な話ですが「24インチのアルミリムを組んでいる」と
思っていいくらいです。スポークを張ったことによるリムの変形は
リム自体が高いので皆無です。そのことも考えると内蔵ニップルという以外に
ホイールを組むうえで難しい条件はありません。

DSC00670amx.jpg
20Hでもよかったのですが、クリテリウム用に剛性重視ということで
24Hで組むことにしました。せっかくなので24H以上の特権、ヨンロク組みです。
結線は迷っています。しなくてもいいような・・・。お客さんと相談します。

DSC00672amx.jpg
大きな声では言えませんが(小さな声では聞こえませんが)、
ステッカーは剥がせます。

価格について書いておきたいと思います。
のむラボホイール2号の前輪と TNiカーボン38の前輪は
ニップル以外 同じスペックなのですが、2号は税込43000円、
TNiの吊るしは48300円になります。
組んだほうが安く販売できるということですね。
私としても吊るしのホイールを右から左に売るのは面白くないので、
ここはお客さんと利害?が一致するといったところでしょうか。

TNiのエアロ80で組んだ吊るしホイールですが、
TNiエボハブ+サピムCX-RAYで
前輪 税込61950円
後輪 税込68250円

です。前後130200円ですが、セットで買うと126000円になります。

今回私の組んだ エアロ80の後輪は
ニップル以外TNiと同じ仕様なのですが、計算すると
前輪 税込53000円
後輪 税込56000円

で販売できそうです。

これはサピムCX-RAY仕様の場合で、のむラボホイールとして組むなら
「前後チューブラーホイールを持っている人が 後輪だけを平地の決戦用に
特化したものに付け替える」というのを想定した、
後輪のみの設定にしようと思っています。

今回のホイールはヨンロク組みしたさの24Hですが、
20Hにする代わりにフリー側を丸スポークにして
後輪を53000円くらいで販売出来たらいいな、とも思っています。

category: のむラボホイール

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Tniカーボン50を組みました  

TNiのカーボン50リムで前輪を組みました!
すでにエアロ80の後輪も組んでいますが、
前後でまったく違う考え方で組んでいるので 別々に書きます。
DSC00649amx.jpg
↑こんな感じです。かっこいいですね。カーボン38と違い
スポークテンションを100kgf以内で組まないといけないので、
いろいろと考えさせられました。
リム重量は公称値なし、実測値で398gでした。

DSC00650amx.jpg
まずは18Hの前輪だけの特典?です。
TNiには「カーボンフロントハブ」というハブがあります。
もう15年くらい前からあるハブなのですが、これ、穴数が18Hしか無いんです。
18Hが売れ残ったわけではなくて、そういう仕様です。
今回 前輪を18Hで組むことにしたので、採用しました。

スポークはサピムのCXです。CX-RAYではありません。
先日の星のエアロスターブライトII型と同じく、スポーク穴にスリットのある
ハブでないとスポークが通せず組めません。

反ヌポークで組んでいるのは、リムがそれなりに高いからです。
個人的にヌポークで組むかどうかの分水嶺はリム高50mmくらいです。
(といってもヌポーク組み自体 ほとんど見かけませんが)


あえてCXを使った理由について。
DSC00654amx.jpg
いつものスポークの比重の話になります。
ちょっと以前と重複します。
DTチャンピオン2.0mmプレーンの 292mm長さの36本の束の重さを
計測すると、270gでした。

DSC00655amx.jpg
ここからスポーク1本の重さを計算すると270g÷36本で
1本7.5gになります。

その7.5gを長さで割ると1mmあたりの重さが0.0257gになります。
この2.0mmプレーン1mmあたりの重さを100%として、
これを基準に各スポークの比重をあらかじめ求めておくと、
長さや本数が変わってもスポークの重さがかなり正確に概算できる

というのが私の考えです。
(実際はもっと多くのサンプルを採って0.0257gを出しています)

もし2.0mmプレーンのスポークで286mm、24本なら
0.0257×286×24で310gとなります。
あとはこれにハブとニップルとリムの重さを足せば
ホイールを組まずしてほぼ正確な重さが分かるというわけですね。
もしこれを全てCX-RAYに置き換えたとすると、
CX-RAYの比重は65.0%ですから、
310×0.65で201gと求めることができます。

DSC00656amx.jpg
で、それをサピムのCXでやってみました。
CXは エアロ部分の薄い方が1.3mm、厚い方が2.8mmの寸法で、
首元およびねじ山部分は2.0mmです。
274mmが20本で141.2gでした。

DSC00657amx.jpg
ということは1本7.06gです。
1mmあたりの重さは0.0258gになりました。

DSC00659amx.jpg
2.0mmプレーンスポークよりかすかに重いという結果が出ました。
なんと100.3%!
私の計測した中で比重100%を超えるスポークはこれが初めてです。
比重がほぼ同じということは、1.3mm×2.8mmのエアロ部分の断面積は
2.0mmの丸スポークとほぼ同じということです


余談ですが、サピムは260mmで64本のときのスポークの束の重さを
公開しています。サピムのプレーンスポークは「リーダー」というモデルなのですが、
リーダー・260mm・64本で421gというカタログ値です。
これがCXでは同条件で423gというカタログ値です。
サピムのカタログ値でもCXは リーダー(≒DT チャンピオン)から見て
100.4%の重さということですね。
スポーク比重で スポークの束の重さを概算するということの
妥当性を後押ししてくれる数字です。

DSC00662amx.jpg
TNiのカーボンハブに24Hは存在しませんが、
ここではハブ・ニップル・リムが同じだとして
CXの18Hで組んだ場合と CX-RAYの24Hで組んだ場合とを
比較してみます。
CX18Hの前輪から見れば、スポークの比重はおよそ1.5倍になります。
しかしスポークの本数は2/3になるので、
この2つの前輪はほぼ同じ重さということになります。
リム高50mmで24Hというのはちょっと見た目にうるさい気がします。
このホイールはお客さんの注文品ですが、クリテリウムでの使用を中心に
考えておられます。もし私がクリテリウムに使うとして、
この2つから どっちか選べと言われればCXの18Hにします。

DSC00664amx.jpg
ではCX-RAYの18Hで組んだ場合と比較するとどうでしょうか。
先ほどの2つの前輪に対して、CX-RAYの18Hは約50g軽くなります。
ヒルクライムならこっちの方がいいかもしれません。
しかし、今回CX-RAYは使いたくありませんでした。

DSC00666amx.jpg
スポークテンションの上限が100kgfだからです。先ほど書いたように
CXの比重は2.0mmプレーンとほぼ同じ、ということは断面積もほぼ同じです。

先日、断面積の大きい(=太い)スポークほど スポークテンションが上がりにくい
と書きました。同じことを別の形で表現するなら
リムにかかる張力(このブログではRKと呼んでます)が同じなら
スポークが太いほどスポークテンションは低くなるという風にも言えます。

スポークテンションが100kgfに達したときに、スポークが太い方が
よりカッチリしたホイールになるということです

これが今回 私がCXで組んだ(そうせざるを得なかった)理由です。
カーボン38と同じく130kgfまで張っていいならCX-RAYにしたかもしれません。
ロードバイク用として使いうるスポークの中では
2.0mmプレーンが最も太いスポークですが、
CXはそれと同等の断面積なので理屈上は2.0mmプレーンの
張力特性で組めるということになります。
それに空力特性が付いてくるということですね。
さらにサピムのスポークの飛びにくさも付いてきます。
問題は2.0mmプレーン並みに重い(この前輪の場合はCX-RAY比で +50g)
ということですが、ここは剛性を第一に選択しました。
外周部重量ではないですし、リムが高くて ニップルも全て内周部に寄るので
あまり問題は無いように思います。

あかんこれ以上の長文を書くと蟹光線がやってくる

DSC00648amx.jpg
冒頭のCXの長さを見て、
「TNiのカーボンハブでTNiのカーボン50をラジアル組みで組んだら
スポーク長さは274mmなのか」と思われた方へ。
違います。確かに274mmで仕入れましたが、
なるべくプレーン部分が露出しないようにと 二次加工をしています。
普通に組んだら上の画像のようになるはずです。

DSC00651amx.jpg
実際はこうです。扁平な部分しか露出していません。

DSC00652amx.jpg
エヘン虫にやさしい外周部です。

DSC00653amx.jpg
今回はオーダー仕様ですが、
のむラボホイール2号仕様(TNiエボハブ+サピムCX-RAY)なら
38と50のリムは同じ価格なので ホイールも同価格になります。
しかし(前にも書きましたが)50のリヤホイールは強くオススメしません。
かと言って フロント50でリヤ38というのはかっこ悪いですね。
ということでリヤホイールをエアロ80で組むことになった次第です。

category: のむラボホイール

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午後9時から午後5時  

あるメーカーさんというか、代理店さんに電話した時の話です。
営業時間外だったのですが、留守電に謎のメッセージが。
「当社の営業時間は、午後9時から午後5時までです。
営業時間中におかけ直しください。」

午後9時から午後5時?聞き間違いではありません。
いったい どういうことなのでしょうか。
考えられるのは3つです。

その1:本当にその時間で営業している
DSC00638amx.jpg
↑この図の通りです。毎日 夜を徹して20時間営業をしていることになります。
3交代制などであれば ありうる話ですが、私の知る限り この代理店さんは
そうしたローテーションを組めるほど社員の方がいないはずです。
そんな中でこれを強行したら、すぐに体を壊すと思うのですが。
(法的にアウトという点はスルー)



その2:時空が歪んでいる
DSC00640amx.jpg
留守電の言葉通りにとれば、午後9時からマイナス4時間だけ
働いている可能性も否めなせん。

DSC00642amx.jpg
代理店さんの所在地付近が 時間の逆行する特異点という可能性です。
時空の歪みに入ると、後ろ向きに歩いて出社する形になります。

DSC00644amx.jpg
プリンターやファックスには 印刷された書類が次々引きずりこまれて、
インクタンクに活字が吸い取られて白紙になった用紙が
整然と溜めこまれていきます。

DSC00643amx.jpg
お弁当の時間は 空の弁当箱に口から出したごはんやおかずを
整然と並べていく光景です。

DSC00645amx.jpg
業務ですが、取り扱い品目を書くと代理店さんがどこか ばれるので、
きれいなバーテープを剥いて 汚れたバーテープに巻き替えるといった
例えにしておきます。

DSC00647amx.jpg
電話の応対は 1モーラごとに逆に読んだ形の音声になります。
聞き取るのも困難ですが、こちらの言いたいことを伝えるのも非常に困難です。

いや、本当に切実に用事があるんですけど。
いつも留守電なので困っています。
時空が歪んでいてもいいから電話に出てください




その3:午前9時と午後9時を言い間違えているだけ
ではなぜ午前9時から午後5時の間も留守電なのか。うーん困った。

category: 新手のスタンド使い

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Tniカーボン50とエアロ80リム 入荷!  

お客さんの注文品ではありますが、
Tniのカーボン50リムと エアロ80リムが入荷しました。
エアロ80リムは、そういう名前なのであって もちろんカーボンリムです。
DSC00634amx.jpg
↑カーボン50

DSC00635amx.jpg
↑エアロ80

カーボン38(のむラボホイール2号のリム)は130kgfまで
スポークテンションを上げられますが、
カーボン50は100kgf、エアロ80は120kgfまでです。

カーボン50をぬるく組まないために考えていることがあります。
それとは別に このカーボン50は18Hですが、
18H限定で「ちょっといいこと」が出来るので やってみるつもりです。

カーボン80は 計算し直してみる必要がありますが、
おそらく価格面でお得な情報をお伝えできるはずです。
スポークやハブがそろわないと書けないことなので、また後日。

category: のむラボホイール

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結線だけ  

今日もホイールのお仕事です。
DSC00618amx.jpg
7700のリヤハブ×オープンプロのホイールですが、
DSC00620amx.jpg
結線だけをあとからしました。こういうご要望があるんですね。
乗って硬くなったと言われましたが、振れ取りついでに
ニップル全てを半周分くらい増し締めしていますので、
そちらの効果も大きいのではと思います。

category: のむラボ日記

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猫も杓子もCX-RAY  

完組みホイールにしろ 手組みホイールにしろ、
スポークは「サピムCX-RAYを使っています」という
メーカーや 組み手さんが多いですね。
個々の使い手にとって最善のホイールを組みたいところですが、
とにかくCX-RAY!という風潮には ちょっと疑問があるので
今日はそのあたりのことを書きます。
DSC00539amx.jpg
↑先日組んだ このホイールですが、お客さんにお渡し後 試乗させてもらったら、
ただとにかくひたすら硬い!んです。暴力的に硬いです。
お前はバトンホイールか!というくらいに硬いです。
(もちろんバトンホイールのほうが縦方向には硬いですよ。あれには勝てません)

DSC00294amx.jpg
CX-RAYはエアロスポークですが、軽量スポークでもあります。
横方向の応力に対しては 実はそれほど強くありません。
2.0mmプレーンスポークとの重量比(以下 比重)約65%というのは
なかなかの軽さで、DTレボリューションの2.0-1.5-2.0が約64.5%、
DTレボリューションの1.8-1.5-1.8が約61%です。
現行の市販品ではレボリューションの1.8がおそらく最軽量です。
それより軽い 比重60%未満のスポークを2つ知っていますが、
2つとも廃版商品です。

DSC00623amx.jpg
ホイールとして組みあがった状態で
スポークの部分を手の平で両側から抱え込むように押す、
またはスポーク1本の中央付近を指で押すなどすると、
スポークはそれなりにたわみます。
が、冒頭の星のエアロスターブライトII型で組んだホイールでは
そのたわみがほとんどないんです。完全剛体といえば言いすぎですが、
それに近いものを感じます。
サピムのCX-RAYでは このたわみが大きいんですね。
(念のため。どちらもスポークテンションは リムの限界から増し締めしろを
引いたぐらいの、けっこうカッチリとした組み方です)

トッププロ選手が、CX-RAYで組まれた20H前後のホイールを実際に使っていて
特に問題はないのですから、この横たわみはそれほど重大事ではないのかもしれません。
しかし、横たわみがほとんどないホイールを おそらく過剰剛性と知りつつも
使ってみたいという要望があるのも事実です。

ではなぜCX-RAYの採用率がこれほど高いのでしょうか。
私がぱっとおもいつく限りでも理由が3つあります。

理由1:組みやすい
エアロスポークは、ホイール組みでニップルを締めたときに起こる
スポークの共回りが 簡単に目視できます。
しかも、扁平な部分を工具で押さえることで共回り自体をなくすことができるんですね。
ホイールを組むときに なじみ出しという作業をしますが、
エアロスポークの場合は このなじみ出しの手間が丸スポークに比べて
非常に少なく、ホイール組みの時間も短縮できます。

理由2:首が飛びにくい
サピムはスポークの首が飛んでもメーカー名が分かるように、
通常スポークの首先端にあるメーカー刻印を スポークの首元近くの
丸スポークの部分に入れています。
「ウチのスポークはとにかく飛ばないんだ」という自信の表れですが、
実際にかなり首飛びに強いです。
量産品の首折れスポークとしては多分 世界一でしょう。
それはストレートスポークでも同様です。
ホイールを組む側としてもトラブルが起きにくいスポークのほうが
当然いいですから、サピムを採用するのも分かります。
私個人としては、CX-RAYは エアロ性能を買うというよりは
首元の飛びにくさを買っていると思っているくらいです。

DSC00625amx.jpg
※文字がひたすら続くのもどうかと思い はさんでいる画像です。
本文には関係ありません。
この画像をはさむのもどうかと思いますが。

理由3:軽い
スポーク以外のスペックが全く同じ後輪があったとします。
片方をDTコンペティション2.0-1.8-2.0、
もう片方をCX-RAY2.0-(0.9-2.3)-2.0で
組んだところ、40g CX-RAYで組んだホイールのほうが
軽くなったとします。本数次第では十分あり得る数値です。
それぞれのホイールが825gと785gだとすると、
「785gのホイールのほうがいい!」と思うのは当然ですが、
825gのホイールのほうがカッチリして走るということも
組み方次第ではあり得ることです。
個人的には リムとニップル以外の部分まで 単純に軽さ第一と考えることに
異論があるのですが(いままで色々書いてきました)、
カタログ上の数値を1gでも軽く載せたいメーカー側としては
基本的に軽いスポークが歓迎されるのも当然です。

私はCX-RAYに限らず自分の後輪ではフリー側に エアロスポークを
使いません(この考えを他の人にまで押しつけたりはしませんが)。

CX-RAYは非常に優れたスポークですが、
どんな場合においても 最適解というわけではありません。
しかも その最適解というのは、同じ材料でホイールを組むとしても
使う人の体重や用途で変わってくるはずです。
手組みホイールはそのあたりの事情が完組みホイールよりも有利ですね。
私の得意分野でもあります。

category: のむラボ日記

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スラムRED Quarqクランクについて  

バイクにパワーメーターを付けるということの敷居がだいぶ下がってきました。
最近 パワーメーター関連のお取り付け・お問い合わせが本当に多いです。
DSC00587amx.jpg
コンパクトギヤじゃなかったり
DSC00586amx.jpg
コンパクトギヤだったり。
165mmがあれば多分 私も手を出していたでしょう。
これの子細なインプレはバイクオーナーさんの特権なので割愛します(笑)。

今日はセッティングでちょっと気になったことについて。
DSC00598amx.jpg
電池ケースのふたを開けると 6つに伸びた爪が見えます。
これがボタン電池のマイナス極を当てる側です。
電池を入れると、プラス極側が見える格好になりますが、
その状態では通電していません。
ふたの裏はアルミですが、
DSC00596amx.jpg
フタを締め切ったところで
DSC00597amx.jpg
ここが赤く光ります。

ふたの裏はアルマイト処理をしていません(していたら通電しません)。
先日お渡ししたQUARQで、使用初日でいきなりケイデンスとパワーが
出なくなるという事例が発生しました。
バイクを持ってきて頂いたところ、ふたを締め切っても窓が光りません。
電池は念のため新品にしたそうです。
サイクルコンピュータはガーミンですが、設定していた電波の照合が失われていました。
ガーミンやクランク内部の機械的故障というのは考えにくいので、
千枚通しで6つの爪を軽く起こして 再度電池を入れて ふたを閉めたところ
窓が赤く光りました。接点の問題だけだったみたいです。
ガーミンとの照合ののち、無事 再作動しました。

今回はしていませんが、ふたの裏にうっすらとグリスを塗布すると
錆びの防止になります。
もし同じ症状が出た人がいたら、一度 接点を疑ってみてください。
・・・という情報を共有したくて書きました。

使って初日にそんなんだったので「メーカー返送かも・・・」と
お客さんがちょっと(実はかなり)沈んでたので、直ってよかったです。

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再販望む  

ビーバーテイルというドロヨケがあります(ありました)。
DSC00613amx.jpg
↑これですね。私はこれをバッグの中に 背板みたいに入れているのですが、
雨のときにサドルのレールに差し込めばドロヨケになります。
サドルは、セラSMP以外であれば 大抵のサドルに合います。

実はこれ、廃版になりました。
理由は「歩留まりが悪いから」らしいです。
製造工程で売り物にならないような出来のものが
それなりに出てしまうということですね。
あるいは巨大なシート状の板から この形を切り出しているとすると、
けっこうな量のプラスチックの切り残りが出ます。

代理店さんはメーカー側に掛け合ってくれているらしいですが、
一度作るとなると何千、何万と作る必要があるので
採算を考えると難しいらしいです。

DSC00617amx.jpg
これ以外にも同じような趣旨のドロヨケはありますが、
個人的にはこれが一番いい出来だと思っています。

再販してくれないかなー

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C59を組みました。  

コルナゴのC59を組みました。フレームはお持ち込みです。
DSC00602amx.jpg
ちょっと罠があって組むのに時間がかかりました。
(フレームに瑕疵があったわけではないですよ)
これを組むためだけの工具が必要になったので作ったくらいです。
おかげで今後はすんなり組めそうです。
フレームにシフトインナーが内蔵される形式ですが、
罠はそれとは関係ありません。

スラムのQuarqパワーメーター付きREDクランクが付いていますが、
ちょっと書くことがあるので後日書きます。

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今日は雨  

今日は雨ですが、けっこう降っているのに
DSC00603amx.jpg
チャリ通を敢行しました。

DSC00606amx.jpg
お客さんのホイールで、リムの継ぎ目の段差がでかくて
ブレーキをかけるとコツコツ響くものがあったので
段差をきれいに削ったのですが、削ってしまうと
今度はそこだけブレーキがきいてしまうようになります。
許可をもらってホイールを借りて試乗しました。
タイヤは私のです。削った部分はピカピカだったのですが、
ブレーキを重ねるうちに他の部分と同じようなブレーキ痕が付きます。
そうすると段々と ひっかかり感が薄れてきました。
最終的に 削った部分は よほど意識しないと分からないくらいになったので、
問題なく使えるようになりました。
雨でかえって好都合だったかもしれません。
今からホイールを洗います。

category: のむラボ日記

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うそをつくな  

DSC00584amx.jpg
つぶらな ひとみに だまされないぞ

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