メカニコのリムでホイールを組みました(後輪だけど前編) 
2015/04/30 Thu. 23:55 [edit]

メカニコの86mm高カーボンチューブラーリムで
ホイールを組みました。
ハブは9000デュラエースです。


28H 黒半コンペヨンロク組みで組みました。
ヨンパチ組みも可能なのですが、お客さんの希望でヨンロク組みにしています。
結線はする予定なのですが、フラックスを洗い流してから使うウエスが
切れたので、今日は できません。


↑リム穴の内周側(ニップルを受ける側)の厚みが
しっかり取ってあるので、ビビらずに張れました。
前輪も組もうと思ったのですが、スポーク長さの計算を
補正値抜きでしてしまい 微妙に合わないので組めません。
一応、妥協すれば組めなくもないですが、
そういうことから仕事が腐っていくのを知ってますので
お客さんに連絡して今日は断念しました。
スポークは発注中で 明日来る予定です。
category: のむラボ日記
オープンプロでホイールを組みました 
2015/04/28 Tue. 23:44 [edit]


マヴィックのオープンプロで ホイールを組みました。
のむラボホイール1号をオススメしたのですが、
お客さんは 政治的理由でマヴィックを使わないといけない立場なので
オープンプロになりました。

スポーク本数を減らしたかったので、
28H仕様のある黒オープンプロにしました。

前輪はエボライトハブ28H CX-RAY反ヌポークラジアル組みにしました。
これくらいの本数になると、タンジェント組みにしないと
ハブの拭き掃除がしにくいのですが
走行性能に関係ない要素なので気にしないことにします。

後輪はエボライトハブ28H 半コンペヨンロク組み結線ありです。
ヨンパチ組みに必要な長さのCX-RAYが存在しないので
ヨンロク組みになりました。
category: のむラボ日記
回転計算尺と ギヤ倍数の話(後編) 
2015/04/27 Mon. 05:09 [edit]
まずは「ギヤ倍数」について。

ギヤ倍数というのは「クランク1回転で 後輪が何回転するかの倍率」です。
これはフロントチェーンリングとリヤスプロケットの歯数で決まります。
上の図では 52Tと17Tを描いていますが、
これはよく慣習的に「52×17T(ごじゅうに の じゅうなな ティー)」と表記されます。
ややこしいことに×があるので 一見 掛け算に見えますが、
実際は割り算です。

52÷17は3.058823529・・・です。
これがクランク1回転あたりの 後輪の回転数になります。
以後 この記事中では数値について
小数点第4位切り捨てで 第3位までの表記とします。
(仮に3.058999999・・・であったとしても
3.058と表記するということです)
上の図で、さらにタイヤまで含めたホイールの外周長さが
2130mm(2.13m)だとします。
その場合は クランク1回転につき
3.058×2.13で6.513m進むことになります。
さらにもし 毎分ケイデンスが90回であったなら
1分間にすすむ距離は6.513×90で586.17m、
60分間(1時間)なら586.17×60で35170.2m、
これをkmに直して 時速35.17kmという風に計算できます。
で、このギヤ倍数ですが(当然 後輪の大きさが同じだとして)
「52×17と52×18では どっちが軽い?」と もし訊かれたら
答えは簡単です。リヤスプロケットが大きいほうが軽いに決まっています。
が、もし「52×17と 50×15なら?」という風に、
フロントとリヤの歯数が両方とも違う場合は 即答できないと思います。
こういう比較をするのに、回転計算尺があれば非常に便利だというのが
今から書くことです。

↑さっきの記事にもあった画像です。今後は
「外側の目盛りはフロントチェーンリングの歯数、
内側の目盛りはリヤスプロケットの歯数」
ということだけ 覚えていればOKです。めっちゃ簡単で便利。
例えば、普段インナーギヤが39Tだという人がいて、
ヒルクライムのときだけ34Tのクランクに交換するとします。
リヤのローギヤが25Tだった場合、
交換後の最低ギヤ倍数となる34×25Tは
39×何Tに相当するのかというのを
回転計算尺なら一瞬で計算できます。

まず、34×25Tに目盛りを合わせます。
フロントチェーンリングが外側、リヤスプロケットが内側です。

次に、そこから外側の39Tを読むだけです。
リヤスプロケット29Tが最も近いですね。
ということは34×25T≒39×29Tということです。
計算上の数字は
34×25T=39×28.676Tとなるのですが、
スプロケットの歯数は28Tとか29Tとかの自然数しかありません(当たり前です)。
28.676Tという歯は概念上はともかく 実在はしません。

次に、39×28.676Tの状態から目盛り同士が キッチリ合う
39×29Tになるよう 外側を回しました。
このときに、時計回りに回す場合と 反時計回りに回す場合があります。
今回は時計回りです。
元々合わせてあったギヤの位置を前者、
後から読んだ近似値を後者として、
後者の目盛りを最寄の自然数(目盛りちょうど)同士に合わせたとき、
「時計回りなら前者のギヤ倍数より 後者のギヤ倍数のほうがちょっと軽い、
反時計回りなら前者のギヤ倍数より後者のギヤ倍数のほうがちょっと重い」
ということになります。今回は
・元々のギヤが34×25T
・39Tで読んだ近似値が29T
・きっかり39×29Tに合わせるために時計回りに外側を回した
ので「34×25Tと39×29Tはほぼ同じで、でも39×29Tのほうがちょっと軽い」
ということが一瞬で分かります。
これが便利で簡単な点は、「実は計算はしていない」ということです。
目盛りを読んだだけなので。
ちょっと面倒ですが、実際に計算してみます。

まず、34×25Tに合わせます。

次に、内側の10の位置の数値を見ます。
13.6の辺りです。これがギヤ倍数です。
数値の大きさから考えると13.6ではなく 1.36だというのが分かります。
ここでギヤ倍数の具体的な数値を求めています。
(実際に計算すると34÷25で1.36倍です)

次に、内側の13.6(求めたギヤ倍数)に39Tを合わせます。

そこから内側の10の位置を見ると、
34×25Tに近しい 39×?Tの数値が出ます。
28.7くらいに読めるので
34×25T≒39×28.7T、と読み取れます。
が、このやり方は面倒です。
外側を慎重に あっちこっちに回さないといけませんし、
そのたびに目盛りの読みのずれが増幅されるかも知れません。
次に、52×39Tでリヤスプロケットの最大ギヤが25Tであった場合
ギヤのクロスレシオ具合が どの程度なのか調べてみます。

↑シマノ11Sで 11-25Tの場合
この22種類のギヤの組み合わせになります。

まず、アウター×ローの 52×25Tに合わせます。

そこから39Tを読むと、スプロケットの歯数は19Tが一番近いです。
(実際に計算すると52×25Tのギヤ倍数は2.08、
39Tで2.08倍になる概念上のスプロケット歯数は18.75Tになりますが、
そういう計算をしなくても ほぼ正確にギヤ倍数が比較できるというのが
この記事の趣旨です)

39Tに一番近い自然数19Tに目盛りを合わせました。
時計回りに回したので、
「52×25Tに最も近い 39T×のスプロケット歯数は19Tで、
52×25Tと比べて 39×19Tはほぼ同じながらちょっと軽い」
というのが計算無しで一瞬で分かりました。

「時計回りに回すと軽くなる」というのがイメージしにくければ、
こう見てみてもいいです。
上の画像では52×11Tにかけていますが、
これを→12T→13T→14T→15T・・・とロー側に変速していくと
外側を 時計回りに回すことになります。

で、52×25Tと39×19Tが ほぼ同じ、ということから何が分かるかというと
この組み合わせでは インナーギヤでしか出せない
低ギヤ倍数はロー側3枚だけということです。

なので ちょっと乱暴に言うと
インナー39T×19Tとそれより重いギヤは
アウター52T×軽いギヤと似たり寄ったりでかぶっているわけです。
ということは、この22種類のギヤの組み合わせは
22色入りの色鉛筆のように見えて 実は22本入りなだけであって、
似たような色を同じと見なすと実質14色程度になるということです。
次に、ピストバイクの前後ギヤの組み合わせを考えてみます。

シマノの場合、ピストのフロントチェーンリングの歯数のラインナップは
45~55Tとなっています。
このうち、実際に使うのは48~51Tといったところでしょう。
リヤスプロケットは、13~16Tの4種類だけです。
こちらは13・14・15Tが よく使われます。
前後の歯数の組み合わせでチェーンの長さが変わるので
それに合わせて リヤハブ軸の位置を変えたり
チェーンの長さを変えたり 半コマで調整したりするわけですが、限度があります。
また 1Tあたりに変わるギヤ倍数は一定ではなく、ギヤの大きさによって変わります。
極端な話、12Tが11Tになると 約1割も重たくなりますが、
10000Tと10001Tは ほぼ同じ重さになるということです。
フロントチェーンリングが49Tから1T大きく または小さくなると、
約2%ギヤ倍数が変わります。
リヤスプロケットが15Tから1T大きく または小さくなると
約7%ギヤ倍数が変わります。

49×15Tに合わせてみました。
リヤスプロケットは15T以外には13・14・16Tしかありません。
49×15Tと近似になるフロントチェーンリングを見ると
・約42.5T×13T
・46弱T×14T
・52強T×16T
となり、このうち近似値といえるのは下2つです。

赤の水性ペンで49×15Tに印を付けました。

その状態から、50×14Tに合わせます。
外側を かなり反時計回りに回したので、
ギヤ比が かなり重たくなったということです。

次に、44×14Tにしてみました。
外側が 元の位置より少しだけ時計回りなので
49×15より ギヤ比が少しだけ軽くなったということです。
しつこく書きますが、ギヤ比を感覚的につかむだけなら
ギヤ倍数の数値そのものを求める必要はありません。
回転計算尺なら一瞬で分かります。

回転計算尺付きの時計にちょっと興味が出てきたな、という貴方に
ぜひオススメなのが、ブライトリングの「ナビタイマー」です。
(画像は ブライトリングホームページより)
価格は仕様にも よりますが、86万円(税別)からとなっております。
「ドキュメンタリーだと思ったら にんにく卵黄の巧妙な宣伝番組だった」
という感じのステマです。真面目に読んでいた方は申し訳ありません。
私が ギヤ倍数を概算するのにスーペリアを使っているのは事実です。
category: その他 機材の話
回転計算尺と ギヤ倍数の話(前編) 
2015/04/27 Mon. 02:31 [edit]

その前に。
これは私が持っている
逆輸入セイコーのブランドのひとつ「スーペリア」の
機械式時計です。
日付があるのは別にいいのですが、
45mmというのはちょっと大きいですね。
ケースの径は43mmですが、ベゼルの径が45mmなので
45mmの見た目になります。
せめて あと2mm小さければ・・・。

大きめの竜頭が4時位置に付いています。
ねじ込み式ではなく、引き出さずに操作すると
ぜんまいの手巻きができます。
自動巻きなので常用すれば 手巻きは不要ですが、
手巻きの際に ただ回せばOKというのは便利です。
1段引き出しで日付の変更、2段引き出しで秒針停止と時刻の操作ができます。

24時間計というのは好きではないのですが、
日付ありの機械式の場合は 止まったときに便利です。
11時なのか23時なのか すぐに判別できれば
日付合わせが しやすいからです。

裏スケルトンです。
U字磁石のマークがありますが、強化耐磁ではないものの
耐磁性能があるんでしょうか。裏スケだと 怪しいかぎりです。
ムーブメントは4R37で 6振動です。
秒針の動きはスムーズでなく カチコチ感がありますが、
風情があって私は好きです。
精度はそれなりなので 気にしてはいけません。

時計自体の話は以上です。
次に 本題の回転計算尺について。
ケース(以下 内側)とベゼル(以下 外側)それぞれに目盛りが付いていて、
計算尺の機能を持っています。
内側は固定で、外側は任意に回転させることができます。
これによって掛け算、割り算、キロとマイルの換算、
リッターとガロンの換算など色々できますが、
掛け算と割り算について 一瞬でだいたいの数値が
目盛りで読めるという点だけでも便利です。
そろばんの心得がある人なら不要とは思いますが、
2桁同士の掛け算を実際にやってみます。

23×17を計算してみます。
まず内側の10の位置に 外側の23を合わせます。

次にそこから 内側の17の位置を見ると、
外側の39の辺りを指しています。
この39は、数字の桁によって 答えが10倍だったり 100倍だったり
10分の1だったりします。
これについてはちょっと考える必要がありますが、
今回は390辺りだというのは分かります。
実際の答えは391ですが、アナログ時計と同じで
一瞬で「だいたいの」大きさが分かるという点が特徴です。
もし2.3×1.7なら3.9くらい、23×1.7なら39くらいと
読めるようになれば かなり使えます。

次に37×19を計算してみます。
先ほどと同様に 内側の10の位置に 外側の37を合わせて・・・

そこから 内側の19の位置を見ると
外側では700と710の間くらいになっています。
実際の答えは703なので、目盛りの位置が かなり正確です。
前編おわり
なぜ記事を分割したかというと、
このブログの特性上 1つの記事に2つ以上のカテゴリーを付けられないからです。
category: ヘッドホンとか時計とか
キシリウムSLさん 
2015/04/27 Mon. 01:14 [edit]

まず前輪ですが、ムチャクチャでした。
横振れ「だけは」少なかったのですが、センターが ガッツリずれています。
1円玉1枚分以上です(←径じゃなくて厚みです 念のため)。
「シューとリムの間隔を詰め気味にする人のセッティングで、、
レバーを握っていないときの間隔」くらいはありました。
さらに、振れ取り台にかけて回すと上下にビクンビクンと脈打っています。
精査するまでもなく目視できるような 大きな縦振れがありました。
さすがにおかしいと思ってちょっとお客さんに訊いたのですが、
最近 フロントリムを新品に交換したのだそうです。
つまり この作業、どっかのショップの組みかけのホイールの
おかしい理由が分かりさえすればいいので、
そのショップの名前を絶対に言わないよう お客さんに お願いしました。
知ってしまったら ここに名指しで
「組みかけのホイールお客さんに売るなボケ」と書いてしまうからです。
というわけで、どこのショップかは本当に存じませんが
組みかけのホイールお客さんに売るんじゃねーよ ボケが。←結局 書く

後輪は吊るしの状態だそうですが、こちらもセンターがずれていました。
前輪に比べれば だいぶ ましでしたが。
category: のむラボ日記
キシリウム110さん 
2015/04/27 Mon. 00:59 [edit]

1889年創業のマヴィックが、110年目に出したキシリウムなので
「キシリウム110」です。・・・ウソです。
1999年デビューの初代キシリウムです。

↑前輪のスポークが1本曲がっています。
お客さんはこれの最初のオーナーではないそうですが、
これを入手したときから曲がっていたそうです。
曲がったスポークというのは、「く」の字の最短距離を結ぶ格好になるので
単純にいえば スポークがその部分だけ短くなったのと
同じ作用をホイールに及ぼします。
このホイールですが、大きな振れはありませんでした。
スポークが曲がっている状態で再調整されています。
なので 新品のスポークに交換したあとは、振れ取り作業というよりも
曲がったスポークにあわせた調整を戻すような作業となります。

スポークを交換しました。

間に合わせで合うものがシルバースポークしかありませんでした。

↑テンションから解放してやると これくらい曲がっていました。
これをまた使うくらいなら鶏合え酢 色違いでもいいので
新品のスポークがあるなら 交換せざるを得ませんでした。
category: のむラボ日記
オープンプロを 7700のリヤハブで組みました 
2015/04/26 Sun. 23:49 [edit]

オープンプロで後輪を組みました。
リムのアルマイトの色はマヴィックでいうところの「CD」です。
この色のリムは、同じオープンプロのシルバーやブラックと比べて
ホイールを組む感触が 明らかに硬いです。
シルバーよりもブラックのほうが かすかに硬いですが、
ブラックとCDにはそれ以上の差があります。
リムサイドまでCDになっていることも硬さに関係あるはずです。
ハブはFH-7700です。
回転の軽さでなら、未だにこのハブが歴代のデュラエースで最高です。
玉当たり調整が無段階で出来なくなった7900以降の構造に対する批判は
過去に何度か書いたと思いますが、それを置いても
7700はベアリング球が大きいこと、あとは玉押しとの接触角度や接触面積が
とくに良く出来ているような気がします。
同じく無段階で玉当たり調整が可能な7800系のハブでも
このハブをチューンしたときの回転の軽さにはなりません。

デュラエースのハブフランジは厚みがあり、
しかも14番のスポークが通りにくく作ってあるので
スポークの首下の食いつきが非常にいいです。
これは現行モデルでも同様です。

32H 半コンペヨンパチ組み結線無しです。
組み方も結線無しも お客さんの希望です。
張れるオープンプロだからというのもありますが、
結線不要と思えるくらいになりました。
左右異径異本組みの教科書にしたいくらいの出来です。

・・・それだけではないですね。
このハブ、右フランジ幅が20.8mmと広いので
オチョコ量の左右差が少ないのです。
昨今のハブは19mm前後が多いですが、
20mm未満は組んでいて分かります。
32Hロクロク組みなどすれば 反フリー側がいまいち上がりません。
やっぱりハブの寸法は大きな要素です。
category: のむラボ日記
電動コンポ専用仕様のSLR01の お膳立てに従いませんでした 
2015/04/25 Sat. 01:49 [edit]

お客さんからSLR01をお預かりしました。
シマノ電動コンポ専用の仕様で、アウター受けなどを省いているため
機械式のコンポでは組めません。
バッテリーは 外付け式をダウンチューブ下に取り付けるようになっていて、
そのためのショート台座用のねじ穴が すでに設けてあります。
無視して内蔵バッテリーにすることも可能なのですが、
お客さんの希望で外付けにしました。
他にも外付けバッテリーの電動コンポの完成車を何台となく持っているので、
1台だけのために充電器を買い直すのが嫌だったのかもしれません。

BB穴には、アルミのスリーブが挿入されています。
フレームの製造と同時なので取り外しできるわけではありません。
これに4つの穴がすでにあいており、
配線が簡単にできるようになっています。

通しました。
画像上から時計回りにフロントメカ、上ジャンクション(以下JC)、
バッテリー台座、リヤメカにそれぞれ接続します。

これらを下JCにつないで

ダウンチューブに放り込みました。
あとはBBを避けるように コードを適当に処理すればOKです。
~終わり~

気に食わないので やり直します。
こんなに荒っぽくコードを抜いたわけではありません(念のため)。

今回、フレームとスリーブ(BB穴)の関係はこうなっています。

で、先ほどまでは お膳立てどおり このように配線していたわけですが、

↑こうすればBB穴に一切コードを通さなくてもいいのでは?
と思ったのです。
これができそうだというのは、もちろん事前に調べてのことです。

バッテリー台座のコードですが、ここは本当にギリギリの寸法だったので
一瞬だけドリルが うなっています(お客さん了承済み)。
なので冒頭の ドリルがうなる!は一応 事実です。

配線できました。

↑4本ともダウンチューブの穴から出ています。

下JCにコードをつなぎました。
これをダウンチューブに放り込むと・・・

配線ができているのに コードがBB穴を通っていないという状態になります。
すっきりしました。
BB穴が防水に関して密室になったわけではないので
ウォーターシースに相当するパーツは使います。
つづいて、フレームに元々あいている穴について。

右チェーンステーからリヤメカへの穴はこうなっています。
とくに問題はありません。

フロントメカの穴ですが、たいていは台座やバンドの高さより
やや下にあけている場合が多いです。私もそうします。
ところが、このフレームでは ほぼ同じ高さにあけていました。
台座のリベット穴と距離が近すぎる気がしますし、
コードも少し たるみます。
ただ、これを見たある人の意見によれば
グロメットからの配線が下を向くので 水が入りにくいという利点があるそうです。
この後の処置を見れば、そこまで考えていないように思いますが・・・。

ショートバッテリー台座のねじ穴と コードの穴も問題があります。

まず、台座のねじ穴の位置がまっすぐではありません。
ねじの六角穴の位置で見れば よく分かります。

さらに、配線すると コードがこのようになります。
台座の位置をもう少し上にするか、穴の位置をもう少し後ろにすれば
もっとすっきり配線できたはずなのですが。
ひとつ前の画像を見てもらうと分かりますが、
台座の位置は 上いっぱいにしています。
この向きでは バッテリー取り外しのレバーが
チェーンリング側に開く形になるので、
実は逆さに取り付けるのが正解なのかなとも 思いましたが
その場合コードがプラプラするので やはりこっちでいいようです。

しかし そのままではまだダメです。
上いっぱいに取り付けても

↑ここがフレームと干渉しました。
これによって台座がひずむので

バッテリーが まっすぐに入りません。

ということで 台座とフレームの間にスペーサーを入れました。

↑今度はちゃんと空いています。

バッテリーもスムースに取り付け可能になりました。

つづいて上JCへの配線です。
先に 画像のように グロメットまで取り付けて処理したところ・・・

9070のレバーに付属しているやや長いブレーキアウターキャップが
どうやってもアウター受けに入りませんでした。

なので一旦グロメットを外してから通したのですが

そのあとにグロメットを付けてみると やはり窮屈です。
なぜここに穴を設けたのか。
グロメットを、シマノ製でない薄いものにすれば干渉はマシになりますが、
防水性を考えればこちらのほうがいいので この状態にしています。

コードをブレーキアウターに沿わせるとしても、
もうちょっといい位置があると思うのですが・・・。

最後に。もし今回、仮にBB穴が完全密室であったとしても
フレームチューブ間のつながりさえ明確なら
コード3本が配線済みの下JCを ヘッドチューブから
ワイヤーで誘導して配線することも可能だったと思います。
それができないと配線できないフレームが次に控えているので、
いい勉強になりました。
あと上の画像ですが、
とぼけることができるギリギリの線をついたと自負しております。
category: ドリルがうなる!
GRAALをシマノ電動コンポ内装仕様にしました 
2015/04/23 Thu. 23:56 [edit]

ピナレロのTTフレーム、グラールを完成車でお預かりしました。
元はスーパーレコード11Sの機械式で組んでありましたが、
これをシマノ電動コンポ(内装バッテリー・内装用ジャンクション仕様)で
組むために 穴を設けてほしいということです。
ちょっと見ただけでも、問題が非常に多いのが分かりました。
まず、BB穴が完全密室です。
次に、内装バッテリーを仕込む場所が無さそうです。
結果なんとかなりましたが、
当初はダウンチューブに仕込もうと思っていました。
作業前の全景を撮り忘れたので、上の画像は ほぼ作業後のものです。

↑まず調べてみたことは、
シートチューブとダウンチューブがつながっているか
(厳密に言えばコードが通るほどのすき間があるか)どうかです。
探査ワイヤーを通さずして ある方法で
まず間違いなく道があることは確認できたのですが・・・

↑ダウンチューブの この辺りで なぜか通りません。
(マグネットが探査ワイヤーの先端に反応してします)
調べたところ、スポンジが詰まっていました。
剛性担保に関係ないので掻き出します。

探査ワイヤーの先を、スポンジをバラバラにする形状にして
何度も突っ込んでから ヘッドチューブを下に向けて振ると、
スポンジが落ちてきました。

↑これ

ダウンチューブとシートチューブに
コードを通すだけのすき間があることが確定したので、
次はフロントメカ用の穴をあけて、
2つの探査ワイヤーを双方から通してみることにします。

まずはダウンチューブ側を通しました。
探査ワイヤーは、シマノのシフトワイヤーを改造した使い捨て品です。
(使い捨てと書きましたが、1度きりというわけではありません)
ワイヤー自体にはマグネットなどが付いておらず、
上の画像のように ワイヤーの端を加工することで
スムーズ且つ確実にフレームの中をすすむようにしています。
こんな ちょっとの事なんですが、作業性が格段に上がります。

同様にシートチューブ側からも通してみました。
ワイヤーの端は先ほどと同様に このような形にしています。
あれっ?どちらの画像も見切れちゃってますね。
いやーうっかりしてました すみません。

↑このように通ればいいわけです。
コードの長さが1200mmで足りなければ、
最長長さの1400mmにするつもりでしたが
どう見ても足りそうなので1200mmにしました。

通りました。

時系列が前後しますが、きっと無理だと思っていた
シートチューブへの内蔵バッテリーの挿入が
あつらえたようにピッタリということが判明しました。
ピナレロのTTフレームで、グラールの前作の「モンテロ」は
シートポストの横幅がグラールよりも大きいので
仕込めることが確実な反面 そのまま入れただけではガタつきます。
が、グラールでは ほぼピッタリなので
落ち止め・ガタつき止め加工が容易でした。
それはですね・・・(以下略)

フロントメカのコードを通しました。

リヤメカのコードの穴はここにしました。
機械式用の穴はヘッドチューブから完全トンネルなので
電動用の穴のガイドには使えません。
機械式コンポに戻すことが絶対に無いなら
元の穴をブチ抜いても良かったのですが、一応 別にあけました。

上ジャンクションへの穴はここにしました。
比較的どこでも良かったのですが、黒の塗装の部分だと
グロメットが目立たないと思い ここにしています。

下ジャンクションはここにして、シートチューブに沈めます。

内装バッテリーを配線しました。画像を撮る 分かりやすさのために
ここから出しているだけであって、
実際はシートチューブの上から配線しています。

↑結果としてはこんな感じです。
先ほど さらっと書いて スルーしましたが、
このフレームで一番の難所はリヤメカの配線です。
どうやったのかは書きません。

シートポストを通して

専用のクランプで留めました。
あと20mmでも突っ込めば シートポストが下ジャンクションと干渉します。
フレームの持ち主が変わらないなら、
サドルが最大限 分厚いものに変わっても たぶん大丈夫です。

いつもは作業前にフレームをきれいにするのですが、
今回は配線後にしました。
そういう気分だったわけではなくて作業の都合上の理由からです。

グラールもモンテロも、TTフレームとしては珍しく「正爪エンド」ではなく
一般的なロードバイクと同じ逆爪エンドです。
その場合は起こりにくいはずなのですが、
左チェーンステーにタイヤが擦ったあとがあります。
あるいは少スポーク数のホイールで
振れが出たか スポークが折れたかですが、
そっちの可能性がないことは確かです。
私は このフレームの来歴を知っているので。
とにかく、指でぬぐっても消えないような
小キズ気味の汚れがあるのは確かです。

忍法ヤ○オクの術を以ってすれば きれいになりましたが。

配線作業が済みました。
ここで重要なのは、BBの完全密室が保たれたということです。
なぜウルトラトルク用のBBカップを外さなかったのかというと、
これ以降は ここに書けないような組み合わせで組んでいくからです。
完全密室なのでEPS用のBBプロテクター無しで
クランクセットを取り付けられます。
シマノの電動コンポが カンパニョーロのEPSと決定的に違うのは、
フロント変速がアウターに入っているときに
ねじの調整で最終位置を変更できるという点です。
EPSでもV2(バージョン ツー)からはアウターに入れたときの位置の
微調整は可能ですが、あくまで出先で不調になった際の
緊急的な措置として設けているだけなので、
変速調整を最初からやり直すためにリセットすると
アウター時の微調整した位置も忘れてしまいます。
なので
シマノの電動コンポのほうが拡張性が高いと言えます。
要は、スーパーレコードのクランクでも
調整次第でどうにかなるというわけですね。
さらにスプロケットについては歯間距離は同じと言っていいわけですから
今回の電動化でBB・クランク・チェーン・スプロケット(当然フリーボディも)は
そのままで再組み立て
あれこんな時間に誰だろうお客さんかな
うわなにをするやm
category: ドリルがうなる!
お休みをいただきます 
2015/04/22 Wed. 17:06 [edit]
次の土曜日も 最終土曜日で休みです。
それをつなぐように明日あさっての木・金曜日も休みます。
申し訳ありません。いろいろ限界です。
category: のむラボ日記
Visionのホイールを組み換えました 
2015/04/21 Tue. 23:49 [edit]

お客さんからヴィジョンのカーボンホイールをお預かりしました。
ステッカーを剥がしてあるのは、お客さんがやりました。
レーシングスピードやコスミックカーボンアルチメイトでも
躊躇なくステッカーを剥がすほどなので、これも同様です。
ヴィジョンは FSAのTT用パーツの別ブランドで、
エアロバーやエアロホイールやTT用前乗りサドルだけを扱っているブランド・・・
だったのですが、最近はロードバイクのパーツも展開しているようです。

このホイールですが、リヤハブのフランジ幅が非常に狭くなっており
スポークの前面投影面積を最小限にしています。
イーストンにEC90TTという12Hの前輪がありましたが、
おそらく同様の理由で あれも かなりのナローフランジです。
リムが許す限りスポークテンションを張った場合、
横剛性はフランジ幅で ほぼ決まります。
自然の法則なので例外はありません。
これも横剛性は決して高くはなく、下りで明らかにヨレるのと
平地であってもコーナーを攻めるときの挙動が頼りないそうです。
ああ あと「ロードレースでは使えない」とも言っていました。
エアロバーにしがみつき、立ちこぎをほとんどしないような
TT系の使い方なら スポークの風抜けが剛性よりも重視されるので
横剛性の無さも気にならないのかもしれません。
お客さんはこれをシクロクロスで使っていましたが
(シクロクロスなら何とかいけるらしい)、
ロードレース用にしたいので組み換えてほしいとのことです。
組み換え前はシマノ10Sフリーボディなのですが、
組み換えに際して11S化も兼ねています。

よく見ると、いろんなところが シクロクロス独特の汚れ方をしています。

バラすためにニップルをゆるめると
砂がボロボロと出てきました。

組めました。
お客さんの希望で黒スポークにしています。
(前輪も持っていて 色を合わせるため)

エボライトハブ24H 半チャンピ・・・
*おおっと*
フリー側をホイールスミスのSS14、反フリー側をCX-RAYにしたので
半SS14ヨンロク組み結線ありです。
組み換え前は 反フリー側ラジアル組み+反フリー側のテンションが低い
(上げにくいことを差し引いても低い)という状態だったので、
組み換え後は確実に剛性が上がっています。
さすがに「ロードレースで使えない」ということはないでしょう。
ただ「ものすごく張れるカーボンリム」というわけでもなかったので、
結線要らず!な風には仕上がりませんでした。
ということで結線は(私としては)必須です。


スポークの最終交差を前後方向からにぎにぎしたときの
たわみにくさも向上していますが、
スポークを左右から まとめて握ったときのたわみにくさも
はるかに向上しています。


お客さんは ロード用のホイールはチューベラーテープを使っているのですが、
シクロクロス用のホイールでは
リムセメントに
超強力ベッドを作っています
(上の画像ですが、これはまだましな部分です)。
ロード用ホイールへの移行に際して、テープが貼れるくらいまで
リムをきれいにしてほしい(※)と言われたのですが、
これが非常に面倒でした。
基本はアセトンを使いますが、
普通なら簡単にきれいになるところが なかなか落ちません。
とくにタイヤの縫い目逃がしの溝に食いついたベッドが強力でした。
今回 ホイール組みに30分、結線に12分かかっていますが
ベッド剥がしは間違いなく30分以上かかっています。
※厳密には 当初「リムをきれいにしてほしい」ではなくて
「やり方を教えてくれたら自分でやります」だったのですが、
私の作業を見てからは「前輪も持ってくるので よろしく」に変わっていました。
category: のむラボ日記
キシリウムSLさん 
2015/04/21 Tue. 23:44 [edit]


2006年にキシリウムESが出たときのキシリウムSLは
シルバー1色の仕様で、その翌年も
「1本だけ赤スポークの黒キシリウムES」と
「銀キシリウムSL」という展開でしたが、
2008年からはESそっくりの仕様がSLとなり
ESが廃版になりました。
マヴィックがよくやる「記念モデルの仕様の一般化」というやつです。
キシリウム125の とろんとした丸いリム形状も
いずれ125周年記念モデルでないホイールに
普通に採用されるだろうと 前にどこかで書きましたが、
先日見た2015年モデルのR-SYS SLRがすでにそうなっていました。
お客さんは このホイールの最初のオーナーではないそうですが、
前後ともセンターずれがあり とくに前輪がひどかったです。
まっすぐ走れないんじゃないの?というくらい ずれていました。
ニップルに触った痕跡があったので、
適当な振れ取りだけをしたのかもしれません。

↑キシリウムSL スーパーライトと書いています。

↑これは私のESですが、英語で書くと
EDITION SPECIAL TENTH ANNIVERSARY HERIUM
(ヘリウムが出てから10周年の特別仕様)に相当する
フランス語が書いてあります。
あと、赤いスポークが多いのは 気のせいです。
category: のむラボ日記
レーシング1 2WAY-FITさん 
2015/04/21 Tue. 23:25 [edit]


お客さんの自己申告では振れがあり、特に前輪がひどいということですが
ビビリながら見てみたところ それほど大きな振れではありませんでした。
作業前に調べたセンターずれを是正する方向で
ちょこちょこと振れ取りしていたら 知らぬ間にセンターも出ていました。
category: のむラボ日記
ROVAL ラピーデ CLX40さん 
2015/04/21 Tue. 23:20 [edit]


以前に見たことがあるディスクブレーキ用ハブの
ラピーデ40CLと リムがよく似ています(→こちら)。
同じものなのかどうかは知りません。
センターずれほぼ無しで振れも軽微でしたが、
細い丸バテッドスポークなので
ニップルが回しにくい点は要注意です。

↑ハブはDT、ベアリングはセラミックスピードと提携しているようです。
こちらはリヤハブですが、かなりのハイローフランジなのもいいですね。

↑ホイールの名前が分からなくならないように撮った画像
category: のむラボ日記
ZIPPのハブについて訂正 
2015/04/21 Tue. 23:09 [edit]

↑このハブを「ある時期の188」と書きましたが、
それについて「188じゃないです」というコメントをいただきました。


調べてみたところ、182でした。
ご指摘ありがとうございます。
ちなみにカタログは2007年です。

↑こちらが188です。
カタログは2009年です。
category: のむラボ日記
ZIPP404の後輪を組み換えました 
2015/04/20 Mon. 23:47 [edit]

遠方のお客さんから、ZIPPの404の後輪を
11S化ついでにカッチリと組み換えて欲しいということで
お預かりしていました。
それで先日、「取りに来ました」と来店されたのですが・・・
すみません。それ、別件です(→こちら)。
なんと同じモデルの404でした。

リムサイドにディンプル加工がされる ひとつ前のモデルです。
リム幅も現行のように広くはなく、

ニップルワッシャーをリム内周部に仕込むことができない仕様です。
(小さいものなら仕込めますが、あまり意味はありません)


フリー側ラジアル組み時代の 188ハブです。
ZIPPのこの手のリヤハブは、ある年代以降は
全て188という名前で仕様をコロコロ変更するので ややこしいです。

組めました。

エボライトハブ24H 半コンペヨンロク組み結線ありです。

このZIPP404リムは、重量が最も軽い時代のモデルで
これ以前よりも これ以降よりも軽くできています。
現行モデルの404はファイアクレスト形状で
ブレーキゾーンの部分の幅が27mmなので
座屈に非常に強い(空力は私の知るところではありません)反面
重量は重たくなっています。
最軽量時代の404はスポークテンションを上げるのが非常に難しいリムで、
私でも かなりのビビりが入ります。
リム高は実測58mmですが、実測重量をリム高で割った
ハイト/ウェイトレシオは かなり優秀です。
これを計算するには当然 リムの実測重量が必要ですが、
ここに書く気はありません。
私だけが知っていればいいことですから。ペッ!
↑うわこいつかんじわるい

オ待タセシマシタ!
コチラノ画像ヲ ゴ覧下サイ!

↑やーめーろー!
category: のむラボ日記
レーシングゼロ NITEさん 
2015/04/19 Sun. 23:53 [edit]


来歴は本当に知りませんが、点検されていないことは まず確実です。
ブレーキゾーンに貼られた 専用シューに関する注意書きのステッカーが
きれいに貼ったままだったので。
前輪はセンターバッチリ、振れもほぼ無しです。
精度に関してかなりアタリの個体でした。
後輪はお客さんに目視で分かってもらえる程度のセンターずれがありました。
惜しい。これさえなければ ほぼ作業無ししだったのに。
category: のむラボ日記
R-SYS SLRさん(2013)と R-SYS SLRさん(2015) 
2015/04/19 Sun. 23:48 [edit]


↑2013年モデル
タイヤ(作業の都合上外しています)とスプロケット付きで、
「2年ほど使っている」とのことですが、傷みが非常に少ないというか
使用感が まるで無いので
「買ってから2年経った」と言うほうが正確かもしれません。
(ラベルは180°位相で2ヵ所)


↑2015年モデル
最近買われたという 未使用の新品です。
(ラベルは120°位相で3ヵ所)
2013年のほうですが、前輪に振れがあったので
やむなくトラコンプリングを外しました。
後輪は反フリー側にリムが寄っていましたが
わずかな量だったので フリー側の増し締め 且つ
フリー側だけのニップルだけの調整で何とかできました。
反フリー側のニップルを1つでも回さざるを得ないなら
一旦ハブを分解してトラコンプリングを外す必要があり、
それを避けたかったからです。
2015年のほうは、前輪にかすかな振れがありました。
もしこれが私のホイールなら そのまま使うだろうという程度の量ですが
仕事なのでキッチリやります。
というわけでニップルを回さざるを得ず、
トラコンプリングを外しました。

↑スポークヘッドと トラコンプリングの磨耗箇所は
ハブの内側に寄るのですが、そこから回しているので
磨耗痕が横向きになっています。

後輪は論外でした。
リムがこれだけ 反フリー側に寄っています。
マヴィックの後輪は センターずれが
ひどい傾向がありますが、これは本当にひどい。
で、フリー側の増し締めだけでセンター出しを試みたのですが
さすがに無理でした。
トラコンプリングを外して反フリー側を少しゆるめています。

この2つのR-SYS SLRですが、リム以外に違いはありません(多分)。
画像上が2013でキシリウムK10的なリム、
画像下が2015でキシリウム125的なリムとなっています。
category: のむラボ日記
WH-9000-C24-CLさん 
2015/04/19 Sun. 23:24 [edit]


前後とも紙1枚ほどのセンターずれがありました。
メーカー出荷レベルではあるので問題ではありません。
(もちろん直しますが)
2年ほどノーメンテで使ったので
どこが悪いとも分からないけど見てほしい
とのことですが、振れも軽微でした。
ただ、後輪のスポークテンションが明らかにヌルかったので
増し締めしています。
先ほどの記事でも同じことをしていますが、
こちらのほうが増し締めした量は はるかに上です。
作業前後に お客さんにスポークを握ってもらいましたが、
明らかに張りが変わりました。
実際に乗った体感でも たぶん分かるんじゃないかと思います。
あらかじめ「増し締めした!」と知っているので
プラシーボ的なものもあるかもしれませんが。
category: のむラボ日記
WH-9000-C24-CL 
2015/04/19 Sun. 23:23 [edit]


先ほどの記事のとは違い こちらはWOリムです。
前後ともセンタードンピシャで、振れもほぼ無しでした。
特に前輪ですが、ほぼ何もしていません。

後輪も ほぼ何もしないで済まそうと思ったのですが
(絶対吊るしの状態じゃないぜ これ)、
反フリー側のスポークで扁平方向が回っているものがあったので
直しついでに 軽く増し締めしました。
category: のむラボ日記
WH-9000-C24-TL 
2015/04/19 Sun. 23:19 [edit]


「チューブレスタイヤを使わず結局WOタイヤで使っているので
CLを買ったほうがよかった」とお客さんは言っていましたが、
特価品だったそうです。
うん、その値段なら買っちゃいますよねという破格値でしたが。
前輪が少し振れていただけで 特に問題はありませんでした。
category: のむラボ日記
WH-7701Cさん 
2015/04/19 Sun. 23:12 [edit]


完組みホイールには メーカーごとの独創性が必要だ、というのならば
これがシマノホイールの最高傑作です。
現行のC35だと思いますが。
フロントハブが十字型フランジで、左右方向でスポークが交差する
ペアスポーク構造となっています。
7700ではリヤハブも同様の構造ですが、
ワイドフランジ詐欺(1度目)により 7701では
リヤハブのフランジ幅とスポークアレンジメントが変更されました。
状態が非常にいいのは、ショップの片隅で長らく眠っていたからだそうです。
お客さんの言うところでは「頼りない」乗り味だそうですが、
少スポーク数に こだわりすぎた結果なので致し方ありません。
かかりの良さとは別のところを評価して「そういうもの」だと思って使えば
面白いホイールではあります。
点検も ご希望ですが、ハブの具合が
良くないかも知れないのでチェックしてほしいとのことです。
前後ともセンターずれ無し、振れは かすかでした。

フロントハブのグリスは異常が無いように見えますが、実は終わっています。
グリスの成分が飛んでいるからです。
感触がボソッとしていて、粘度がありません。
仮に、グリスが 油を含んだスポンジだとすると
これは油が抜け切ったスポンジの残りかすのようなものになります。
10年以上 放置してあったので仕方ありません。
→洗浄してからグリスアップしました。

リヤハブのグリスは汚れてこそいますが、
みずみずしさを保っています。
フロントハブは一見してボールの傷みなどが無いのは確かですが、
こちらもグリスの汚れをぬぐえば新品同然でした。
→洗浄してからグリスアップしました。
前後輪とも回転の濁りが消えて、スムースに回るようになりました。

この手の十字型フランジのホイールは、
最終交差(といっても1クロス目ですが)を編んでいます。

JIS組み相当になっていますが、これには意味があります。
前輪を どちらの向きで装着しても スポークの位置関係が変わらないから
という理由もあるかもしれませんが、
私が思うところでは

「交差に挟んである異音発生防止用の円盤が1種類で済むから」
ではないでしょうか。
円盤の両面に スポークがはまるスリットが切ってあるわけですが、
もし イタリアン組みや逆イタリアン組みの場合は
スリットの方向が 鏡映しに逆になっているものが必要になるからです。
(この黒い赤血球(←ニホンゴ オカシイ)の正式名称は
「スポークスペーサー」です)
初期のシマノホイールのスポークによく見られる
(というか100%起こる)特有の錆びが浮いてきていますが、
これは 割りとどうしようもありません。

7700と違い 7701のリヤハブはフリー側ラジアル組みで

ワイドフランジ化しました。
フリー側が もう少しラージフランジだったなら良かったですね。
ごく初期のフルクラムもそうなのですが、
7700は後輪の左右のスポークの長さが同じという
メンテナンス上の利点があります(あくまでメンテの上だけですが)。
7701ではフリー側が278mm、反フリー側が294mmなので
どうせなら思い切ってリヤハブの寸法をハイローにすれば
かなり化けたと思います。

反フリー側の最終交差は

フランジ形状の関係上 編める近さに無いので編んでいません。
フリー側ラジアル組みで反フリー側が編まない1クロスなので
もがきに対する 耐ねじれ性能が低そうですが、実際に低いです。
このホイール、スポークテンションを張ったところで
乗り味がそれほど変わらない(かかりが劇的に良くなったりしない)ので
増し締め調整は 特にしませんでした。
念のため書いておきますが、私は このホイールは好きですよ。
前輪の風抜け感は本当に素晴らしいですし。
category: のむラボ日記
のむラボホイール3号を組みました 
2015/04/18 Sat. 22:35 [edit]

のむラボホイール3号を組みました。

前輪はリーフハブ20H CX反ヌポークラジアル組みです。
スポークにCXを使いたかったので
フランジ穴にスリットのある リーフハブにしました。


後輪はリーフハブ24H 半チャンピヨンロク組み結線ありです。
category: のむラボホイール
パワータップのホイールを のむラボホイール5号に組み換えました 
2015/04/16 Thu. 23:47 [edit]


お客さんからパワータップのホイールをお預かりしました。
ハブとリムがパワータップで、スポークは全て黒コンペ、
前後輪とも 32Hロクロク逆イタリアン組みとなっています。
お客さんが このホイールに不満があったかどうかは知りませんが、
ちゃんと組めていました。
私が この材料と組み方で組んだとしても、ほぼ同じものになると思います。
お客さんの希望はXR200リムへの組み換えで、
黒スポークであることにもこだわりがないので
銀スポークで のむラボホイール的最善手で組み換えてほしいとのことです。

前輪ですが、フロントハブのロゴとクイックの関係が
逆さになっているように見えます。

が、こうすることによって逆イタリアン組みを イタリアン組みにできるので
お客さんの方で わざとしていたと思われます。フフフ 分かっておる。

後輪は どうしようもないですが。

リムはパワータップブランドの台形断面形状のものですが、


ひとつ前のバージョンのステッカーで同じものが 当店にありました。
床からそそり立つ「廃リムタワー」というのが当店にあるのですが、
こういうときに便利なので解体できずにいます。
タワーの高さが上限に達したので 現在は第2タワーの建設中です。
お客さんは 組み換え前のリムはもう要らないとのことなので
第2タワーの材料になります。

↑第1タワー

の一部に さらに前のバージョンのリムがありました。
こちらは三角断面形状なので別のものです。

画像を撮るときに タイヤやスプロケットを外そうかと思いましたが、
それをすると別件でお預かりしている
同じホイールと間違いかねないので作業直前まで そのままにしました。


バラしました。


ハブを洗っておきました。
この後のグリスアップで フリーの爪の音を消しすぎたかもしれません。
(洗う前の状態がエグかった反動です)

組めました。

前輪はCX-RAY 反ヌポークラジアル組みです。


後輪は半コンペ ヨンパチ組み結線ありにしました。
組み換え前はしんちゅうニップルだったので、
リムの軽量化とアルミニップル化の両方で
外周部重量が かなり軽くなっています。

イタリアン組みにしました。
category: のむラボホイール
カーボンリムの後輪の組み換えをしました 
2015/04/14 Tue. 23:49 [edit]

お客さんから44mm高リムの後輪をお預かりしました。
走りがヌルいので カッチリ目に組み換えてほしいとのことです。

リムですが、外周部のラベルに「WH-R44CF-T-3K DS↓」とあるのは
「ロード用の44mm高 カーボンファイバー製リム チューブラー仕様
3K編み化粧カーボン ドライブサイドを矢印の方向で組め」という意味です。
惑星Xや 早送りなどと同じ製造元ですね。

ちなみに ドライブサイドの指定ですが、

組み換え前は間違っていました。

ハブは ヨンゼロ組み相当のストレートスポーク用で、
カーボンとアルミのハイブリッドになっています。
右フランジの部分は完全にアルミなので、
継ぎ目の部分は 黒の塗装でグラデーションをかけています。
アルミラグのカーボンフレームで
継ぎ目をパイプとツライチに仕上げているものや、
クラウンの部分がアルミのカーボンフォークなどは
フルカーボンに見せるべく こういう塗り方をよくやります。
すべてカーボン製にするのは、
右フランジの形状からして無理なので こうしたのでしょう。
反フリー側ラジアル組みのホイールは ほぼ例外なくヌルイものですが
(2:1スポークなどは かろうじてOK、
むしろ2:1スポークは反フリー側をタンジェント組みしてはいけません)、
これはフリー側からして あまり張っていないので論外です。
左右同数スポークで 反フリー側ラジアル組みにする場合、
フリー側を超高テンションで張る必要があります。
フリー側のスポークテンションに対する 反フリー側のそれの追随度が低いので、
それでも反フリー側のスポークが張るようにするには
・リムがそれに耐えられる設計であること
・ストレートスポークであること
の2つが必須条件です。
昔のカンパニョーロの12~16Hの後輪などは これに該当します。
スチールスポークのコスミックカーボンも そうなのですが、
あれはオープンプロとリム内径が同じくらいのローハイトリムに
カーボンのフードをかぶせているので、
スポークの変形量を抑えるうえで非常に有効な
「スポークが短いこと」という条件を満たせないので
反フリー側のテンションは やや低めです。
そのぶん スポークの断面積と13番の太さにすることで補ってはいるのですが。
さっき赤字で書いた「超高テンション」ですが、
150kgfでも足りないので専用設計されたリム以外では無理です。
首折れスポークでも無理なので、
手組みホイールでは 反フリー側ラジアル組みは良くありません。

組めました。
組み換え前のスポークは 左右ともピラー製のスクエアエアロで、
CX-RAYより厚くて四角いのでスポーク比重が上なのは間違いありません。

組み換え後は 24H半コンペヨンロク組みです。
組み換え前に「24H」と書かなかったのは、
私の定義では「H(ホール)」とは スポークが出る根元の部分の数になるからです。
組み換え前のハブは フリー側の12本のスポークが6ヵ所から出ているので
私の定義では6Hになります。
これで左右足して「18H」と書くとややこしくなるので避けました。
24H相当とか 24本スポークと表現すればいいのかもしれません。
私の定義と書いているのは、組み換え前のハブのフリー側の場合
スポーク長さの計算式で6Hのハブフランジとして扱うからです。
で、組んでみたのですが
スポークテンションを張るのが非常に難しいリムだということが分かりました。
組むときの感触で分かります。正直ビビりまくりました。
せめてもし内蔵ニップルであったなら もう少しは張れたはずです。
これは このリム固有のことであって、
同じ製造元のリム全てが こうだというわけではありません。
といっても組み換え前と比べれば 格段に張ってはいます。
ただ、私が「フヒヒ」と思うところまでは無理でした。
結線はします。反フリー側のスポークの変形を抑えるには むしろ必須です。
していないのは、あと4分の1周ほどでいいから増し締めしたいなーと
思いつつ ビビって手が出せないからです。

↑赤アルミニップルですが、これは組み換え前と同じものです。

私はアルミニップルを使い回すことは まず しませんが、
これは外周側から工具でつかめる仕様なので再利用しました。
category: のむラボ日記
ゾンダさん 
2015/04/13 Mon. 23:18 [edit]


落車で前後輪とも ひどい振れが出ていました。
振れている状態なので あまり当てにはなりませんが、
前後とも はっきり目視できるセンターずれがありました。
横振れは後輪のほうがひどかったのですが、
リムに変形が無かったのか
新品同然というか 平均的な吊るしの出荷状態以上に
バッチリ 振れ取りとセンター出しができました。
前輪は リムのビードフックに凹みが出ていた箇所がありましたが、
少々のことなので 完璧とはいえないまでも直しました。

↑なおすまえ

↑なおしたあと
この部分でどうしても取れない縦振れがあったので、
作業後に実際にタイヤを付けて 私のバイクで試走しました。
きれいな路面で ペダルを漕がずに(フリーを空転させて)走行し、
前輪の接地面の感触に 神経を集中しても
縦振れが体感できなかったので、問題はないかと思われます。
次に横振れ(というより リムのふくらみ)ですが、
ブレーキを 軽く当て利きさせながら
常時シュータッチ状態で走ったところ、
変形箇所でごくごくわずかな違和感がありましたが
そこだけ異常にブレーキが利いて ガクンガクンと前後にゆすられるような
状態にはならなかったので こちらもまず問題はありません。
仮に、リムに変形があると知らなければ気付かないだろうという程度です。
後輪ほど「バッチリと直した!」とは言えませんが、
リムの交換をしない場合でのベストは尽くしたと思います。
category: のむラボ日記