HUNTのカーボンスポークについて 
2021/10/31 Sun. 23:45 [edit]

先日 カーボンスポークを交換して修理したホイールとは別件で、
今年の6月17日ごろに点検したものですが
記事には していませんでした。画像も前輪しか撮っていません。

↑これは先日の前輪ですが、実は リム高が違います。

これは6月に点検したホイールの
スポークと一体になっているニップル型パーツの部分ですが、
つかみしろが しっかり リムから出ています。
これはハブとリムの寸法と、あと小さな要素として
どの程度テンションを張ったかによって リムからの出しろが決まりますが
先日のリム高が高いほうは つかみしろの平面が
これの半分ちょっとくらいしか出ておらず 作業に苦労しました。
しかも このスポークと内蔵ニップルの役目をするナットの間には
ねじ山の径にしては強めの ゆるみ止め剤が塗布されており、
初動の回転を得ようとすると それが解除されるときに
「パキン!」と鳴るうえ、それに至るまではカーボンスポークがねじれるか
ニップル型の四角部分がナメそうになる力がかかるので
かなり ビビリながら触りました。

ハブ胴には日本のEZOのベアリングが使ってあると
レーザーエッチングがあります。
EZOとは エゾ=北海道にある北日本精機のベアリングのことです。

作業の都合上 リムテープは剥がす必要がありますが、
それは別として このHUNTのネーム入りのリムテープ、
リムの形状に追従するような 柔軟性に欠けており
上の画像の位相では たまたま きれいに貼れていますが
リムとの幅が合っておらず 画像でも 向かって左側の端まで
テープが届いていません。


それに加えて ゴワゴワしている位相も多く、

テープの最後も こんな感じで めくれていて、

すき間から 輸送時のダンボールの繊維だかを噛んでいました。

↑こちらは6月に点検したほうの前輪ですが、
リム高に関わらず どちらも後輪は左右同数組みで12×2の24H、
前輪は なんと2:1組みで12+6で
18Hという かなり攻めた仕様になっています。
これは このカーボンスポークであれば
(全てのカーボンスポークが そうとは限らない)
多くの人が不満を述べないくらいの
剛性を確保できているとは思います。
スチールスポークなら スポーク比重100%でも
18Hは おそらく無理です。
それをスポーク比重65%でやらかしているクソアホホイールが
ロヴァールのラピーデCLXです。

↑見たことないのに批判してるわけではないぞ。
上の画像はラピーデCLXとアルピニストで、
点検で持ち込まれたものを 前輪だけ画像を撮りました。
アルピニストは別件で記事用の画像を今年の4月に撮っており、
そちらは記事としてのバリューがあるので また別に記事を上げます。
もし私にも 風洞実験をするだけの資金力や設備があったなら
同じリム高のあるホイールで(とくに前輪で)
スポーク本数を変えたときに どう空気抵抗が減るのか
さまざま やってみるでしょうが、なまじ そういう手段を持っていると
ホイールの性能全体の要素の大小には目が曇るようで
12+6の18Hのスチールスポークの前輪が いかにヤバいか
考えられなくなってしまうようです。
右側に6本しか(スチールの)スポークが無いってことを軽く考えるなよ。
これが左右異径組みでも同径組みでもいいのですが
6本側をエアロライトではなくエアロコンプにしていれば
(私の見立てでは それでも足りませんが)
幾分か マシなホイールにはなります。
別件で CLX64のホイールをスポーク比重を変更して
結線したことがありますが(→こちら)、私の予想に反して
そのお客さんが問題視していたのは 後輪ではなく前輪でした。
そのCLX64の前輪ですら 3×7で21Hです。
そこからスポーク比重を変えずに さらに3本1ペアを抜くというのは
ホイールのことを まじめに考えているとは思えません。
私は 一般的なスポークテンション(以下ST)のことを
第2STと呼んでいます。
それに対してスポークテンションメーターに出る
単なる数値(単位も付かない)のことを第1STと呼んでいます。
第1STを調べないと一般的なスポークテンションが求められないことから
そちらを第2STと 後の番号にしました。
第1STはテンションメーターが変われば数値も違うので
メーターがDTだとD1ST、ホーザンだとH1ST、
パークツールだとP1STと呼んでいます。
これらの基準が完全に一様であれば、
各々の第1STから算出される第2STは 当然 同じになります。
パークツールのテンションメーターに関しては
同じということになっているメーター間の個体差が やや大きめですが
ホームユースで使う分には十分な精度はあります。
「リムブレーキ用の オチョコが無い左右同数組みでラジアル組みの
スポーク本数が同じ前輪」という最も単純なホイールで、
しかも スチールスポークだけに限ったとしても、
第2STが同じなら ホイールの剛性は同じ・・・にはなりません。
同じ第2STなら、スポーク比重が大きいほうが
スポークの変形量が少なくなるからです。
つまりむしろスポークの変形しにくさを より正確に表現しているのは
第1STのほうではないかということです。
スポークの前後方向でホーザンのメーターを当てた場合、
ある同じ第2ST(130kgf強)のときのH1STが
チャンピなど14番プレーン(100%)で140、
14番ベースのコンペ(85%強)で130、
CX(ほぼ100%)で190、CX-RAY(65%弱)で130くらいです。
コンペでH1STを140にするのは ほぼ無理です。
絶対に不可能ではないでしょうが、リムとニップルを選びます。
あと、さすがにコンペでも うにょーんが出始めるはずです。
コンペの上限にあわせて チャンピでH1STが130になるように甘く組めば、
スポークの変形量に関しては ほぼ同じ感触のホイールになりますが、
その場合 チャンピのほうが スポーク部分が無駄に重いホイールになるだけです。
このH1STだけを見れば 85%のコンペと65%のCX-RAYが同じ130!
CX-RAYはスポーク比重を超越して優秀!という感じに見えますが
これはスポークの前後方向から測定子を当てているので
扁平スポークだと有利に出るだけです。
CX-RAYは丸穴に通るので 横方向からでもホーザンのメーターを当てられますが、
CXのような一般的な丸穴に通らないスポークは
ホーザンの測定子の先端の凹字型の部分に
はまらないので 計測できません。
この方法で 数値上 最強なスチールスポークは
現行のマヴィックの 指を切りそうなくらい薄くて広い
エアロスポークで、H1STで205くらいです。
第2STの数値だけでは ホイールの剛性を ざっと表現することすら出来ず、
むしろ第1STのほうがスポーク比重まで含めた
スポーク単体の変形しにくさを表現している、
また、スポーク本数が変われば ホイールの剛性も変わりますが
これはスポーク比重×スポーク本数の「スポーク量」で
ある程度 追えるので スポーク量と第1STを基準にした
第3STというホイールの剛性の評価基準が私の中にあり、
これは個々のホイールにおける世間的な評価と
だいたい合致するので非常に便利なのですが
メシノタネコードなので ここで詳しく書くことはありません。
これは のむラボホイールの自己評価に
下駄を履かせるために考えたわけではなく、
第3ST最強のホイールは レーシングゼロやシャマルウルトラになります。
まあ、レーシングゼロが第3STにおいて最強だとしても
それはスポークのテンション関係(変形しにくさ)の評価基準で
優秀というだけのことに過ぎず、
たとえば 空力が要素の大小において大きくなるような限定的状況
(ピストとかタイムトライアルとか)でも
レーシングゼロが最強ということではありません。
また、これはスポークドホイールだけで通じる話であって
バトンホイールやディスクホイールの変形しにくさは
スポークドホイールを はるかに凌駕しています。
私が普段 ZIPPやENVEやレイノルズや
ロヴァールなどのクソホイールを組み直して
前より硬くなったとか かかりが良くなったとか言われるのは
第3ST的な評価が高くなったと言い換えることも出来ます
(実際に そうなっています)。
私は フランジ幅が狭いリヤハブは
横剛性に関して厳しいホイールしか組めないとか
左右同数組みの反フリー側ラジアル組みの後輪は
例外なくクソだとか書いてきましたが、
これらはスポークの材質がスチール系の場合での話です。
スポークの材質が変わればスチールスポークの理屈や
ホイールに関して 経験的に判明していることが通用しなくなります。
アルミスポークやカーボンスポークであれば
ナローフランジのリヤハブで組んだとしても
多くの人が不満を述べない横剛性が得られるかもしれませんし、
12+6で18Hという ふざけた本数の前輪でも
問題ないかもしれません。
吊るしのレーシングゼロのH1STは
前輪と 後輪のフリー側で235くらいです。
これはスチールスポークでは到達不可能な数値ですが
(13番プレーンか 旧ロルフの120%スポークで
リムが死ぬほど張れば いけるかも知れませんが)、
レーシングゼロのアルミスポークのスポーク比重は約70%です。
つまり、CX-RAYより ほんのり重いスポーク比重のスポークで
CXより変形しにくいスポークが アルミだと得られるということです。
今まで売ったホイールのワランティについて説明することなく夜逃げした
名前を呼んではいけない某ブランドの中の人は
かつて「アルミスポークには物性的な意味は無い」などと ほざいていましたが
あれはスポーク比重の概念すら理解していないアホの妄言で、
どう考えても スポーク比重70%のスチールスポーク16Hの前輪と
レーシングゼロの前輪(これも16H)が同じ剛性になることはありません。
よって 物性的に意味はあります。
H1STで235が出るレーシングゼロのスポークですが、
第2STはどうなのかというと 同じスポークで組まれている
カンパニョーロのシャマルウルトラの資料がありますが
前輪の上限が130kgf、後輪のフリー側の上限が150kgfと
極端に飛びぬけた数値ではないので やはり第2STだけで
ホイールの剛性を判断するのは無理です。
レーシングゼロもシャマルウルトラも第2ST的には
「スポークテンションが130kgfで16Hの前輪」となるので。
↑私も この字面だけを見れば
「きっと下りでヨレるクソホイールだろう」とか判断しそうになります。
カンパニョーロ・フルクラムのアルミスポークの第2STについての資料は
一般向けには公開されていない資料だと思いますが、
これについては書くことが多いので別記事にします。

↑これはクランクブラザーズのアイオダインという
MTBホイールのインスペクションシートです。
書かれているのは第2STで、画像がテカっているのは
ラミネートされたカードになっているからです。
第2STが書かれていることとラミネートされていることから
これは組み手側の検査票というよりは
ユーザーに知らせる意味のほうが強いのかもしれません。

↑これはロヴァールのホイールのインスペクションシートです。
番号を振られたスポークに 0.4前後の数値が書いてありますが
これはDTのテンションメーターの第1ST、つまりD1STです。
組み手には スポークの番手も第2STも知らせる必要はありません。
第1STだけで管理させても同じものは組めますし、
第2STに換算する手間と そこで起こりうる間違いを排除できます。
今回のHUNTのUDカーボンスポーク、
第1STから判断される私の雑感では スチールスポークでは
スポーク比重85%のエアロスポーク程度に相当するのではという感じでした。
数値を採るサンプルが増えれば 今後 変動する可能性はありますが。
これは多少 乱暴に言えば、CXスプリントより やや太いか
コンペを扁平につぶしたスチールスポークに置き換えたとして
目をつぶってスポークを にぎにぎする限りでは
(これもファジィながら第1STでの評価法ではある)
元のカーボンスポークと判別が付かないということです。
なので 冒頭の12+6の18Hの前輪も
扁平につぶした全コンペ相当だということになり、
それでも スポーク本数は少ないと思いますが
全エアロライト(スポーク比重65%)で組まれた
ロヴァールのラピーデCLXよりは はるかにマシです。
HUNTのUDカーボンスポークの資料でも、スポークテンションについては
上限120kgfなどと 第2STが書いてあるだけです。
なので、振れ取りやスポーク交換程度ならともかく
リム交換となると 吊るしのホイールの第1STを知っておく必要があります。
このカーボンスポーク、スポーク比重が もし分かるなら
「スポーク比重85%のエアロスポークと同じ剛性感なのに
こっちのカーボンスポークのほうが
スポーク比重○○%で軽いから優秀」というような評価が可能になります。
また、先ほどと同じことを書きますが
もしスチールスポークの限界を大きく超越していれば
「同じ横剛性でいいなら ハブをナローフランジにしたり
反フリー側ラジアル組みでも よかったりするので
そうした場合空力的に より有利」という振り方ができる可能性もあります。
結線についても、剛性が確保できるならする必要もありません。
ライトウェイトのホイールなのですが。
HUNTのUDカーボンスポークですが、
スポーク比重的というか のむラボ的ホイール観では
ホイールの材料として非常に優秀です。
ただ、念のため書いておきますが
これはHUNTのUDカーボンスポークについての言及であって
HUNTのリムはハイト/ウェイトレシオでいうと
それほど軽いリムではないので
HUNTのカーボンスポークのホイール全般に対する評価ではありません。
また、他のブランドのカーボンスポークがどうとかは知らないので
カーボンスポークはスチールスポークの完全上位互換!
という主語の大きい結論に至ったわけでもありません。

6月に点検したHUNTの画像を掘り起こしてまで
この記事を書いたのは、スポーク比重が判明したという
記事としてのバリューが発生したからです。
先日のスポーク交換の件で お客さんから
反フリー側のスポークを袋入りで10本、
フリー側のスポークを裸で4本 お預かりしましたが
同じスポークが10本と目量0.1gの秤があれば
スポーク比重は分かります。
カーボンスポークの両端に接着されているアルミの部分は
不可分なので、これもスポークとして含めます。
で、そのスポーク比重ですが・・・
そんなこと簡単に教えるわけが無いよね。
今日はここまでです。
↑うわこいつかんじわるい

オ待タセシマシタ!
HUNTノ UDかーぼんすぽーくノ すぽーく比重デスガ、
過去ニ ホボ同時ニ ホボ同ジ表題で上ゲタ
やもりサンノ記事「月光 gecko」(→こちら)ト
かえるサンノ記事「ゲコ ゲコ」(→こちら)デ、
拍手ノ数ガ かえるサン優勢ニ ナレバ 公開シマス!
恐ラク 無理ダロウガナ!

ム・・・無駄ナ抵抗ハ ヤメロ!

何ィ!逆転シタダトォ?
・・・コチラノ画像ヲ ゴ覧クダサイ!

公称278mm10本デ 30.2g、
1mmアタリノ重量ガ 0.010863309・・・gナノデ
すぽーく比重ハ 42.2%デス!
↑やーめーろー!
category: スポークの話
レーシングゼロの後輪を組みました 
2021/10/31 Sun. 22:14 [edit]

先日のレーシングゼロの前輪の、相方の後輪を組みます。
推測ですが ほぼ間違いない この件の流れですが、
・最初のオーナーがハブとスポークをオークションに出品した
・2番目のオーナーが それを買って
フロントリムを手に入れて ホイールもどきを組んでみた
・3番目のオーナー(当店に お持ち込みされたお客さん)が それを買った
という感じです。
2番目のオーナーは自分で組んだ前輪について
「振れが1mm以内」と説明していたとのことですが
横振れだけに限っても それ以上に振れていましたし、
縦振れとセンターずれは ホイールとして成立しておらず、
ニップルに少し傷があります的なことを書いていたらしいですが
あのペンチでつかんだあとが少しとか
まさに売る側だけが言えるレベルの寝言に驚きです。
それはいいとして、アルミスポークの刻印について
「のむラボ日記というブログに詳しく書いています」と
説明に書いていたそうですが
私が書いたのは「刻印が同じなら色が違っても長さは絶対に一緒」
という程度のことで、どの刻印が どの年代の どの箇所に
対応しているかなどを 網羅的に説明したことはありません。
まあ、3番目のオーナーが誰であれ 当店に持ち込まれる確率が
非常に高かったということは間違い無さそうです。

ハブ胴はカーボンで、右フランジは大径化する前のものです。
初代レーシングゼロは チューブレス非対応のWOリム・
ネクタイスポーク・リヤリムの穴が均等間隔・赤アルミハブ胴ですが、
初代レーシングゼロ2WAY-FITは シャマルウルトラと同じまっすぐスポーク・
リヤリムの穴がお休み位相あり・カーボンハブ胴となっていて
この2つが併売されていたモデルイヤーが存在します。
そのあとに 非チューブレスリムのレーシングゼロも
2WAY-FITと同じハブ(上の画像のもの)と
お休み位相ありのリヤリムになりました。
何が言いたいのかというと、カーボンハブ胴である時点で
均等間隔穴リムでは組めないということです。
スポーク長さが違うというのもありますが、
リヤハブが想定しているリム穴の位相以外だと
ハブフランジから出るスリットとスポークが干渉するというのも問題です。
スチールスポークで これを無視して組んだ例はありますが・・・(→こちら)。
難しい問題が もうひとつ。
ネクタイスポークではないレーシングゼロ(2WAY-FIT含む)には、
基本的には 赤アルマイトのリムはありません。
少なくとも レギュラーモデルには無いです。

このリヤリムは当店で仕入れました。
限定モデルの補修品ですが、
仕入れるには ちょっとしたテクニックが必要です。
海外通販などのルートには おそらく乗らないので、
2番目のオーナーは フロントリムだけを まず買ったのではなく、
リヤリムを入手することが出来なかったのではないでしょうか。

念のため フリー側だけを仮組みしました。
1本だけスポークが短い気がしますが 今はいいです。

ああ、これは組める。分かります。

リムにはニップルが付属しており、

バラしたときの工具の跡が付いていましたが、
つかみしろをペンチでつかんだような痕跡はなく
再利用可能な程度ではありました。
これが比較的 きれいなのも「最初にホイールをバラした人と
前輪もどきを組んでみた人が 別人」と考えられる根拠です。
素人さんは みんな フルクラムのニップルを
ペンチで回すものだと誤解するところでしたスミマセン。
後輪のニップルも ゆるみ止めのナイロン入りのものにしました。


↑ナイロンのカスが詰まったニップルがあり、
スポークをねじ込んでいけば 勝手に排除されるかと思ったら
そんなことは無かったので

取り出しました。

お客さん(3番目のオーナー)のほうで
スポークを洗浄して フリー側14本、
反フリー側7本に まとめてあったので そのまま仮組みしましたが
1本ずつ入れ違いになっていることに気が付きました。
上の画像のように 反フリー側のスポークの刻印は縦3本「III」、

フリー側は前輪と同じく縦4本「IIII」ですが
(メガ右フランジ以前は スポーク長さの種類を
なるべく抑えるように設計されていた)、

やっぱり 1本だけ入れ違いになっていました。
アブネー アブネー。
以前に書いた某クソアホショップ(→こちら)と同じ轍は踏まんぞ。
しかし いま見てもあれだな、プロ(笑)がやったにしては
ニップルのつかみしろが ガビり過ぎだな。


組めました。

レーシングゼロなどのリムは バルブ穴の近くに
小さな穴があいていますが、
これがチューブレス用の2WAY-FITリムでは
穴を後からふさいであることから
製造工程上 穴をあけることが避けられないのだと考えられます。
上の画像は その痕跡です。

2WAY-FITリムでは バルブ穴周辺と
リムの継ぎ目(上の画像)に ある種の接着剤の乾燥後のような
やや軟質な感触のコーティングが施してあります。


↑これは チューブレス非対応の先日の前輪のリムですが、
穴はそのままで、継ぎ目は けっこう荒々しいです。
のちにチューブレスリムを出すことを見越したような
リム中央の凹みのせいなのか、WOタイヤでチューブに加圧しても
ビード部分の耳上がりが やや悪くなっています。
必ずしも中央には無い6本の突起が 前後方向に走っていますが、
これは チューブに肉割れのような永久変形の癖を
つけてしまう可能性があり、とくにラテックスチューブだと顕著になるので
お客さんと相談して スタンズのチューブレステープを貼りました。
category: のむラボ日記
明日お休みをいただきます 
2021/10/29 Fri. 23:38 [edit]
最終土曜日は元々 定休日ですが、
私自身 忘れて店に出てくるなど 周知されていない気がするので
たまには書いておきます。
以下 以前の記事の補足など

↑このイラストの意味が分かる同志が
意外に多くてびっくりしました(←勝手に同志にするな)。
コメントだけでも3件いただいています。
もちろん解説はしません。
意味が分かる人には解説できない理由も
理解してもらえると思いますが。

A&Wのルートビアですが、私が買いに行く店では
日本語の説明書きがシールで貼られているものが売られています。
そして、缶の裏(底)にある数字の羅列は 管理番号のようなものだけで
賞味期限がを示している表記はありません。
そして170kcalのほうが明らかに味が濃いというか 後味がきつく、
私は
どうも160kcalのものに仕様変更されたようだと 以前に書きました。
その根拠は「現状 いつも買う店では160kcalのものしか売っていない」
「缶に貼られている賞味期限が170kcalのほうが先」の2点ですが、
当店に来られる あるお客さんの話では
沖縄の物産展(160kcal)と コストコ(170kcal)で
別個に買ったA&Wルートビアでは
どちらも缶の底に賞味期限だと分かる表記があり
160kcalのほうが賞味期限が後だったということなので、
仕様変更ではなく製造工場が違う
ロット違いなだけではないかと言われました。
それが確かかどうかは不明ですが、
明確に違う商品を 同じ名前・同じものだとして
併売していいのかという疑問はあります。


例のチューブ(→こちら)の兄弟の画像が取れました。
これは0.6mm厚のものなので厳密には同じものではなく、
0.45mm厚のものが兄弟((というか双子)というか3つ子)ですが。
右側の表記の意味は依然不明ですが、
左側のブリヂストンの下の718256FMの意味は判明しています。
ブリヂストンのエクステンザのチューブには
0.6mm厚の「ライト」と0.45mm厚の「スーパーライト」の2種類があります。
718256FMを分解すると
7 700Cチューブ
1825 18~25C用
6 0.6mm厚(4なら0.45mm厚)
F フレンチバルブ
M 48mmバルブ(Lなら60mmバルブ)
という意味となりますが、これはブリヂストン側の命名法による印字を
OEM元のマシキスに依頼しているだけで、
マキシスの命名法とは関係ありません。

ジェッセージのウェアで 縫製不良を疑われる、
そして実際に たまに
「仕様」について書いておきます。
ジャージの左ポケットに 手のひらを体に当てる向きで
手を突っ込むと、ちょうど親指が穴に入ることがあります。


↑これ
この穴、縫製不良ではなく
レースで使う無線機から出ている イヤホンのケーブルを
ジャージの中に通すための穴で、
ジェッセージでは ジャージだけでなく
上に羽織るジャケットにも これを設けています。
本場の仕様過ぎて理解されず 縫製不良だと たまに言われるので
7ITAはじめ日本出荷仕様では やめてくれと
セブンバイシクルでは言ったこともあるらしいですが、
聞いちゃくれねーとのことです。
この穴について セブンバイシクルでも
たまに告知はしているとのことですが、
周知されているとは言い難いので
ここでもお知らせした次第です。
category: のむラボ日記
HUNTのホイールのカーボンスポークを交換しました 
2021/10/29 Fri. 22:51 [edit]

まずは後輪から。

カーボンスポークのモデルです。
3ヵ月くらい前だったと思いますが、このホイールのお客さんから
HUNTのホイールの修理について電話をもらったときに
先に言われるまでもなく
「カーボンスポークのホイールですか?」と 訊きました。
そのときに「スチールスポークで補修できないか」と
言われたのですが、断りました。
私は このホイール以前に HUNTのカーボンスポークのホイールを
点検したことがあり、リム側は汎用品であることを知っていたので
スポークヘッド側を何とかすれば 一部にスチールスポークを補填して
ホイールに見える形に取り繕うのは
不可能ではないと知ってはいましたが、
スポーク比重が違うスポークを ホイールの片側で混ぜるのは
たいへんな問題があるので やりません。
カーボンスポークを そちらで用意さえしてくれれば
作業的なことはできます、とだけ返事をしました。
私は ディスクホイールやバトンホイール、ライトウェイトなどの
振れに関して調整要素が無いホイールを除いて
「修理できないホイール」というのが大嫌いでして、
これは修理できる構造かどうかの可否だけではなく
パーツの供給が速やかで供給期間が長いかどうかも重要です。
まあ、当店で売ったホイールじゃないし
スペアスポークが入手できないなら
「そういうもの」だと思ってもらうしか・・・というところで
話が終わったと思ったら 先日 スポークを入手したということで
ホイールと一緒に お預かりしました。

明らかに ささくれているスポークが1本あります。

そのスポークと最終交差を成すスポークに
ピリッとしたダメージが入っているものがあり、

↑これも要交換です。
この2本は反フリー側で、

あとフリー側に お客さんのほうで接着剤で
ささくれを埋めたスポークが1本あり、これも要交換です。
メーカーサイトには UDカーボンスポークとありますが、
ユニディレクショナル、つまり縦方向だけのカーボンスポークといえば
マヴィックの初代R-SYSの さらに初期ロットで問題があったので
左右ともカーボンスポークである前輪がリコールされたことがあります。
竹や ビニールひものようにシャクシャクになって
ささくれが出たり、あるいは割れたりします。
UDかーぼんすぽーくのきょうふ!については
(→こちら)の最後のおまけをどうぞ。

HUNTのカーボンスポークです。

両側にアルミを接着してる構造で、

スポークヘッド側は アルミのパーツが
どん突きではなく 貫通になっています。
接着が抜けていないかどうか
視覚的に判別しやすくするためかも知れません。
これだけではなく 全数がそうだったので わざとだと思いますが、
カーボンの端が打たれた杭のように 潰されて広がっており、
接着が抜けた場合の保険になっているようです。
HUNTではないものの 以前に中華製のカーボンスポークのホイールで
スポークテンションが極端に低いスポークが混じっている
ホイールの点検をしたことがありますが、
テンションが抜けていたのは ねじ山のゆるみではなく
接着が抜けたのが原因だというものがありました。

リム側ですが、3.4mm対辺のニップルと同じ形状のつかみしろがあり
ねじ山の直前までは汎用ニップルと同じ寸法なので
このスポークは汎用リムに対して合います。
スポークヘッドのほうは特殊なので、ハブは専用品が必要ですが。
アルミ部分はカーボン部分と接着されて 1個のカタマリとなっているので
ねじ山の締め込みは外周側からのナットで行い、
ニップルに見える部分は 供回り止めのために
工具でつかむだけの部分です。
回せないし、回してはいけません。

ねじ山側もアルミのパーツは貫通になっています。

↑スポークの構造は こんな感じです。
このスポークがHUNT専用として
作られたのかどうかは知りませんが、
HUNTのリムはハイト/ウェイトレシオでいうと
それほど軽いリムではなく、
内周側のリム穴が厚いのと関係あるのか
スポーク長さを短めに見積もっているのか
3.4mm対辺の 四角い つかみしろが
本来ある長さの半分くらいしか出ておらず、
ナメずにつかむのに 気を遣いました。
この、一見 ニップルに見えるパーツが
ニップルではなくスポークの一部で 回してはならず、
外周側のナットでねじ山の締めゆるめをするという構造は
スピナジーのザイロン製スポークのホイール、
ゼロライト(→こちら)と同じです。

内蔵ニップルに相当するナットは こんな感じです。
ピラーなどの六角型内蔵ニップルなどで
六角柱が最後まで続いているのに
表裏の区別があるものがありますが、
このニップルは 逆さで使おうとすると工具がかからないので
どんなバカでも向きを間違えようがない形状になっています。

つかみしろの寸法は 6mm対辺の六角で、
色んなブランドから工具が出ている一般的なものです。

直りました。


↑たぶん最初からセンターずれがあったと思うけど
最終的にはドンピシャ

スポークを交換したのはテープを貼った3本ですが、

そのあたりの横振れを ざっと取った時点で
それ以上に振れていたのが
HUNTのロゴがある付近の位相でした。
つまり、スポークに問題がなくとも 元々 振れていたということです。
この位相に限らずスポークについては 全数 要交換の判定をしているので
元からあった振れについては スポークの傷みなどとは無関係です。

↑交換したスポーク
画像上から

↑接着剤で埋めたフリー側


↑ピリッときてる反フリー側

↑ささくれている反フリー側(前後方向から見た状態)
です。

つづいて前輪。
こちらは点検だけということですが、
お客さんが自己申告する程度には振れがありました。


たまたま当てた位相で紙1枚くらいのずれですが、
探せば もっとずれている位相もあれば
そこだけはセンターが出ている位相もありそうです。

ディスクブレーキのホイールで まだ良かったですね、という傷がありました。
最近のワイドリムのホイールですが、
指定範囲内のサイズのタイヤを履いていても
タイヤの横幅より リムの幅のほうが広いという
きしょい見た目になる場合があり、
そういう状態で グレーチングの溝蓋の上を走ると
溝に はまり切らないまでも 上を通過したときに
まず リムに直接ダメージが及ぶことがあります。
これが その例に当てはまるかどうかは知りませんが。


振れを取ってセンター出しをしました。
振れ取り単体の時間だけなら 前輪のほうがかかっています。
category: のむラボ日記
レーシングゼロの前輪を組み直しました 
2021/10/29 Fri. 21:35 [edit]

お客さんからレーシングゼロの前輪をお預かりしました。
現オーナーは最初のオーナーではなく、
ひとつ前のオーナーも 最初のオーナーではないかも知れません。
まず、ハブとリムの年代が合っていません。
リムは ネクタイスポークで組まれていた
初代の赤レーシングゼロのものです。
ハブは カーボン胴でUSBベアリング仕様のもので、
リムに対して 後年の仕様になります。
これの経緯(※)は、リムを前後ともダメにしたか
そのオーナーから 前後ハブを手に入れた人が
リムとスポークを買ってホイールを自分で組もうとしたところ、
まともなものにならなかった「廃材のような物体」を
さらに現オーナーがオークションで買ったというものです。
※「けいい」を変換しました。「いきさつ」でも同じ字が出ます。
実際に前オーナーが買ったのはフロントリムだけで、
前輪だけは組もうとしたようですが
テンションが そこそこ張ってあるのと
横振れ「だけ」は取ろうとした努力が見える程度で
とてもホイールとは呼べないものでした。
素人さんに対して あまり手厳しいことは書かないようにしていますが、
事実なので仕方ありません。


まず、センターが これだけ ずれています。
驚くのは このこと自体ではなくて、


↑この状態で ちょっと使っていることです。
上の画像、左右のZEROのZの位相で撮りました。
下の画像の側に特徴的な摩耗痕の帯があります。
あと、リムのステッカーを きれいに貼るのは
けっこう難しいのですが、この時代のレーシングゼロのリムは
レーシング1が しんちゅうニップル仕様で
リム穴のサイズが わずかに小さく
レーシングゼロと仕様を共有していないので
「他のモデルに無い固有の仕様」となり、
そういったリムは始めから ステッカーありで提供されます。
なので このリムの購入者が貼ったわけではありません。
これより後年のモデルで、例えばシャマルウルトラとユーラスの違いが
ハブ胴の材質とベアリングの仕様だけで
リム自体は同じものになったりしますが、
そういう共有リムはステッカー無しで提供されます。
これを まともに直すだけなら
ホイールの組み直しとはなりませんが、




ほぼ全数のニップルの角がガビガビになっていて 要交換なので
ホイールの組み直し(リムとハブが分割された瞬間がある)になります。
ちなみに上の画像2枚が リムが外側に寄っている側、
下2枚が その反対側のスポークなので
ニップルから出ている丸断面部分の長さが けっこう違います。
ニップルですが、ペンチかウォーターポンププライヤーで
回したようです。そのせいで、




ニップルはいいとして リム穴の周りに
工具のつかみ部分の角で かじったような跡が
程度の差はあれ 散見されました。

組めました。
冒頭の画像と ほぼ同じに見えるので
上げる意味があるのかと思ってしまいますが。


センタードンピシャで

横振れも追い込みました(画像のホイールは回っています念のため)。

摩耗痕が目立つ側のブレーキゾーンですが、
この位相では 外周いっぱいに摩耗痕があるのに

縦位置が外側に出ていた位相では
最外周部にシューが当たっていません。
かつては この摩耗痕が真円になっていたわけです。

↑元のニップル(ちゃんと16個あるよ)

この赤スポークですが、刻印が縦4本「IIII」であり
ベアリング球が2つ少ない新リテーナーで
右エンドとハブシャフトが別体の新シャフトの
小径フランジになったフロントハブ用のもので、
色は別として シャマルウルトラとレーシングゼロ共通の長さのものです。
なので 外周側の端に ゆるみ止めのナイロンを埋め込んだ
新ニップルに対応した ねじ山長さとなっており、
スポークを 手でねじ込めるところまで入れてみて
ナイロンナットに かすかに かかったところが 上の画像です。

↑こんな感じ

これは組み終わりの状態ですが、スポークによって
丸断面部分の長さに多少のバラツキはあるものの
手応え的に間違いなく 全てのスポークのねじ山が
ゆるみ止めのナイロンにかかっています。
これが起こることを確信していたので、
元は旧ニップルであったところ
新ニップルを使って組み直しました。
category: のむラボ日記
のむラボホイール5号の後輪を組み直しました 
2021/10/26 Tue. 22:56 [edit]

お渡ししてから 割りと日が浅いものですが、
グレーチングに はまって 振れが出たとのことです。
リムが逝ってなければいいのですが・・・とのことですが、
ポテチ性の振れなのは明らかで、一瞬だけ振れ取りを試みましたが
リム交換が必要だと判断しました。

スポークテンションを完全に抜き、
新品のリムを ある位相で密着させると

↑これくらい空く位相があります。

リムのお引っ越し中・・・。
今回は「リム穴でいうところの交互に、片側フランジから遠いほうに
新しいリムにスポークを通す」という形を取りました。
いつかリムのお引っ越しのスタイルに
あやとりの技名みたいな名前が付く日が来るのかもしれません。


組めました。
誰が決めたのか リムのお引っ越しというか
リムとハブが完全に分割されていない作業は
今日もホイー(以下略)。の条件を満たさないということです。
昨日のZIPPなど、材料がバラの状態から始める
ホイール組みより時間がかかっていますが
あれも今日もホイー(以下略)。ではありません。
というわけで 今日もホイー(以下略)。

お客さんから のむラボホイール5号の後輪をお預かりしました。
先ほどの前輪とは 別のお客さんのものですが、
のむラボステッカーをハブ胴に貼っている点は共通しています。

反フリー側のスポークが1本、ねじ山始まりで とんでいます。
今回は ここだけの交換でなく スポークの全交換をします。
リムは使い回したいのですが、
テンションを抜いたあとに スポークを切断して
ガラスの定盤レベルで ほんのわずかにでも反っていれば
交換します。

リムを切り離しました。画像で1本だけ長いのは
元から とんでいたスポークです。
リムは、かすかながら反っていました。
使い回せなくも無いですが、交換します。

リヤハブの回転に濁りがあり、
フリーボディを抜いたハブ体ベアリングだけでは
スムースになったので
フリーボディのベアリングだけが傷んでいるのが確定です。
フリーボディのベアリングは 15267が2連で入っていますが
そのベアリング代と工賃が フリーボディ代と ほぼ釣り合うので
外側のベアリングだけが極端に傷んでいる場合を除き
ベアリング交換ではなく フリーボディ全体の交換で対処することも多いです。
今回は それに加えてラチェットの爪が錆びており、
起き上がりにも乏しいです。

↑新品と並べてみました。

爪起こしバネが折れたわけではなかったです。
というか、カンパニョーロと違い これが折れたのを見たことがありません。


組めました。

元と同じく 24H 黒半コンペヨンロク組み赤アルミニップルです。
結線は あとでやります。

↑フリー側

↑反フリー側
私は普段 ハブ穴のヌポークと反ヌポークの関係を変えずに
組み直すことが多いですが、今回は変更してみました。
左右フランジ外側の反ヌポークヘッドに、ヌポークの痕跡があります。
category: のむラボホイール
MSN乙0乙さん 
2021/10/26 Tue. 11:47 [edit]
組まれた後輪をお預かりしました。

品番からして ジオングや百式と関係があるのかと思ったのですが
そんなことは無く、

ZIPPのローハイトリムの後輪です。
お客さんいわく タイヤがフレームタッチするとのことですが、
正常な状態ではなく 反フリー側のスポークテンションが
かなり低下していました。


リムも フリー側にかなりずれています。

↑反フリー側の最終交差を 外側(左側)から見たものです。

最終交差を にぎにぎすると
スポークの接触面の塗装が剥げているのが分かりますが、

別の最終交差では その塗装が薄れているのが
外側に向いていました。
スポークが反転したということです。

にぎにぎすると こんな感じ
塗装剥げが2つあります。

この最終交差を内側(右側)から見ると
塗装剥げがありませんでした。
ということは、スポークが反転したのは 最近のことです。

サピムの新Bワッシャーの割れた欠片が出てきました。
もう片方は リムから落ちたのを お客さんが確認したそうです。
これはニップルとリムの間に はさまっているものなので、
ホイールが組まれた状態から これが抜けると
当然スポークテンションは ガタ落ちします。
ただ、これが割れていたのは1ヵ所だけですが
反フリー側のスポークテンションは
バラツキがあるものの全般的に抜けています。

ワッシャーが割れた箇所を見つけました。
気になったのは、ワッシャーとリムの間に
バルーンを噛んでいることです。


↑これらはそれぞれ正常な状態の箇所ですが、
バルーンを噛んでいません。
ただ、リム穴を さえぎるように 残ってはいます。

↑ここなどは もはやニップルが見えません。

ワッシャーがバルーンを噛んでいる箇所から

ワッシャーとニップルを除去してみました。
先ほど、反フリー側のテンションにバラツキがあると書きましたが
とくに低い箇所とバルーンを噛んでいる箇所が ほぼ一致します。
単純に考えるとバルーンの厚み分だけ リム穴が厚いほうが
高テンションになる気がするのですが、
硬質な素材でなければ そうでないのかもしれません。
ワッシャーの下にバルーンが座っていると
ニップルがゆるみやすくなる・・・かどうかは不明ですが
この1件だけで判断してもいいなら その可能性はあります。

バルーンを除去したいので 噛んでいる位相の
ワッシャー・ニップル・スポークを 一旦 取り外しました。
画像にあるスポークは 反フリー側のものだけです。
フリー側のスポークは長さが違うので
区別のために 別に よけています。
ワッシャーは新Bワッシャー(→こちらと そのさらにリンク先を参照)だったので
磁石に あまり付かず、回収に手間取りました。


一旦パーツを抜いたリム穴に テープで印を付けました。
イチからホイールを組むより面倒なことになっています。


↑パーツを抜いたリム穴



バルーンの抜き方はメシノタネコードです。
見た目ほど簡単な作業ではありませんが、
これ以上に効率的な方法は無いというくらい
洗練されているという自信もあります。


↑バルーンを除去したリム穴

作業中に もう1ヵ所、バルーンを噛んでいたリム穴を見つけたので
パーツを抜き取りました。

ひとつ前の画像と同じリム穴です。
バルーンのカタマリを引きずり出しているところです。
抜き取るのは 隣の穴から抜きました。

リム内のバルーンを ほぼ完全に除去しました。
画像に写っているのは大きいものだけで、
細かいカスは捨てています。

パーツを補填して組み直しました。
上の画像はフリー側ですが

目印のテープは反フリー側です。
途中で追加した分があるので テープが1ヵ所増えています。
バラすときに調べたのですが 左右とも
ニップルの端面が ちょうどスポークのねじ山を隠したところから
8周ほどで組み終えていたので、
テープのリム穴のニップルをスポークのねじ山を隠したところから
初手で6周ずつ回し、以降は徐々に詰めていって組んでいます。
フリー側を なるべく張り、吊るしの平均よりは高くしましたが
スポークは変えていないので 反フリー側は
普段 私が組んでいる後輪よりはヌルいです。
まあ、リヤタイヤがフレームに擦ることは無いでしょう。
もし擦るなら これと同じホイールの吊るしは もっと擦るはずです。
シュータッチは するかもしれません。

抜き取ったバルーンですが、
等間隔にある フチが黒い大きな穴が

リムの外周側の穴に当たる部分です。

↑これが今回 一番の大物で、
リム穴4つ分の長さになっていますが



一度に取れる平均的な長さは だいたい これくらいです。

バルーンの重量が どれくらいなのかを量ってみます。
目量0.1gの秤に載せた ビニール袋の重量が1.1g、

その状態でゼロを出すと 表示は0g、

そこから袋を除くとマイナス1.1gとなります。

先ほどの袋にバルーンを詰めて、
大物は そのまま載せて量りました。
細かいカスは捨てているので、
もし それも集めたとすれば19gくらいでしょうか。
軽さが問われるローハイトリムでは、20g弱の差は大きいです。
500gのリムが20g軽くなるかどうかより
350gのリムが330gになるほうが重要度が高いということです。
もし この500gのリムが リム高の高いエアロリムだと、
「ある程度 重いほうが かえってありがたい速度域」で常用すると思われるので。
あと、リム高が高くなると バルーンの表面積が増えるので
完全除去したときの重量減は より大きくなるはずです。
category: のむラボ日記
CX22リムで後輪を組みました 
2021/10/25 Mon. 22:43 [edit]

お客さんから WTBのクリスクロスリムで組まれた後輪をお預かりしました。
過去に私が組んだものです。

画像では分かりにくいですが、ブレーキゾーンが丸く減っています。

また、ビードフックが変形している箇所も ありました。

書き忘れていましたが シクロクロスに使っていたホイールです。

FH-5800 32H全コンペヨンパチ組み結線ありです。

反フリー側が スモールフランジではないので
32H8本組みでもスポークヘッドの干渉は ほぼありませんが、
次はヨンロク組みで組むことにしました。

CX22リムでホイールを組みました。


全コンペヨンロク組み虹色配列ニップルです。
結線は あとでやります。
category: のむラボ日記
のむラボホイール5号の後輪のリムを交換しました 
2021/10/24 Sun. 23:23 [edit]


トラックの左折に巻き込まれて
フレームが異世界に転生、チートスキルに目覚めた結果
向こうでは最強のフレームとして無双の限りを尽くしているそうですが
ポテチ気味に曲がった後輪は現世に残されたので
リムの交換を ご希望です。

リムのお引っ越し中・・・。
しつこく書いてやるけど
「結線をしてるホイールは振れ取りができない」とか ほざく奴ら!
リムのお引っ越しができるのに 振れ取りが出来ないわけがないやろ!
正直に「私には技術が無いので出来ません」
または「狂犬のむラボが怖いので出来ません」と言え!

組めひろし。

作業については スプロケットすら外していません。
category: のむラボ日記
超軽量中華カーボンフックレスチューブレスリムでホイールを組みました 
2021/10/24 Sun. 22:30 [edit]

実測250gくらいのフックレスカーボンリムでホイールを組みました。
表題では全部書いていますが、フックレスリムという時点で
チューブレス(&チューブレスレディ)タイヤ専用リムだと含意しています。
重量について あやふやな表現なのは、
このリムは リムの外周側にバルブ穴以外の穴が無いリムで
ニップルを磁石で呼ぶ必要がありますが
その仮組みを お客さんのほうでしているからです。

ユニパーのストレートスポーク用ハブ 20H
黒CXスーパー強制ラジアル組みで 黒アルミニップルです。
仮組み時点での感触で スポーク長さが長めなのは
明らかでしたが、組めなくもなさそうなので
ホイール組みを強行しました。
スポークカッターで ねじを転造する時の感触で
DTのコンペより CX-RAYのほうが材質的に硬いのが分かりますが、
CXスーパーはそれより硬いので
なるべく ねじ切りをしたくないというのも理由です。
材料がバラで持ち込まれたなら やったかもしれませんが。

前述の通り 外周側にバルブ穴以外の穴が無く
リムテープも不要です。
ニップルを磁石で呼ぶというのは、
しんちゅうにしてもアルミにしても 磁石には付かないので
ねじ山に 鉄製のねじ型ツールを取り付けて誘導するわけですが、
CXスーパーは 15番ベースのスポークなので
ゾンダやレーシング3用に作られたツールが使えません。

リムの品番を見るに、29インチのMTB用リムのようですが

オーダーの際にブレーキゾーンを付けてもらったとのことです。
ハブを見ても分かりますが、お客さんは これをリムブレーキで使います。
リムブレーキ仕様のフックレスリムというのは珍しいです。

後輪も組みました。

前輪と同じくユニパーのストレートスポーク用ハブで、
24H 全CXスーパー強制ヨンゼロ組み相当です。
ニップルの端面とスポークのねじ山始まりをそろえた仮組み時に
リムがフリー側に大きく寄ったので
反フリー側のスポークが長めでしたが、ホイール組みを強行しました。
お預かり時点では反フリー側のハブ体ベアリングが圧入されておらず、
ストレートスポークを通すのが ベアリング無しの状態でないと
無理という設計となっていました。
左右同数組みの反フリー側ラジアル組みなので
スポークテンションの左右差は大きめですが、
単に重量が軽いホイールが欲しいなら これが最適解です。
フリーボディのラチェットの爪は 3つ爪で、
爪ごとに個別に 「つ」の形をした金属製のバネで起こす形式でした。
エクストラライトのハブのように ゴム製のOリング(→こちら)で爪を起こすような
ふざけた構造ではありません。
あれはあれで 何かが極まっていて 嫌いではないのですが。

フリー側(タンジェント組み側)を 逆リム扱いして
仮組みしていましたが、反フリー側がラジアル組みなのと
リム穴に穴振りが無かったので そのまま組みました。
仮に左右タンジェント組みであったなら
左右の最終交差のスポーク4本1組の まとまりの中に
バルブが来るという 不格好な形になります。
category: のむラボ日記
CX22リムで前輪を組みました 
2021/10/23 Sat. 23:29 [edit]

CX22ワイドチューブラーリムで前輪を組みました。
チューブラータイヤを張る時間も考えると
関西シクロクロスの初戦に間に合うかどうか微妙なところです。

サンツアー シュパーブプロのハブ 32H
全コンペロクロクイタリアン組みで

ニップルは虹色配列(VAS配列)です。
最近 ご要望が多いですが 流行ってるのか これ。
category: のむラボ日記
明日お休みをいただきます 
2021/10/21 Thu. 23:55 [edit]
のっぴきならない用事があるので お休みをいただきます。
申し訳ありませんが よろしくお願いします。
ついでに書いておくと28日(木)も お休みをいただきます。
こちらはアレの2回目の次の日なので一応 大事を取りました。

↑この画像は記事の内容に全く関係ありません。

明日の指揮は外山雄三先生(90歳)ですが、
ブラームスの2番と4番という 過去 演ったことが無いわけがない
割りと定番的なプログラムにすることで、
ややこしい曲や 演ったことが無い新しい曲、
あるいはマーラーのような長い曲と違い
身体への負荷が少ないのかもしれません。

どーでもいい話ですが、
フェンティマンスのジンジャービアと
A&Wルートビア(ここまでがブランド名)の
ルートビア(一般名詞)は
BEERとありますが どちらもノンアルコールのソフトドリンクです。

ルートビアという飲み物は このブランドだけのものではなく
レモネードのような一般名詞です。
ただ、日本で単にルートビアというと A&Wのこれを指すと思いますが。
最近、これの味が明らかに変わりました。
味がやや薄くなったというか、あの湿布薬を絞ったような後味が
かなり弱くなっています。気のせいでは ありません。
よく見ると 缶のデザインも変わっており、
上の画像 左が旧版で 右が新版ですが
新版のほうが木目の色が やや濃く、

缶に垂れている泡の形も違い、

旧版のほうにのみ エイジドバニラの表記があり、

ノーカフェインと表記している箇所も違い、

決定的なこととして カロリーが違います。
170kcalとあるのが旧版です。
いつもこれを買っている輸入食品店では
少し前までは新旧が混在していましたが、
今では新版しか見かけないので
完全に切り替わっているようです。
以前に、セブンイレブンの牛乳の乳脂肪分が変わって
3.6の表記が消えたと書いたことがありますが、
それについて「牛の水分摂取量が夏と冬で違うので
乳脂肪分が変わる 季節柄のこと」だという
コメントをいただいたことがありますが、
このルートビアの変更は そういうのでは無さそうです。

↑旧版

↑新版
輸入代理店が貼っている
日本語の注意書きの賞味期限は 約半月違いです。
切り替わったのは 本当に最近です。
category: のむラボ日記
イーストンのサーキットさん 
2021/10/21 Thu. 22:54 [edit]

お客さんは このホイールの最初のオーナーではないので
リムにステッカーが無い このホイールの
正確なモデル名は分からないとのことでしたが、
ヴェロマックスがイーストンに買収された以降の「サーキット」です。
アセントとオリオンであれば ハブ胴はブロンズ色のアルマイトですが
このホイールでは黒アルマイトであること、
オリオンはオフセットリムなのに これは非オフセットリムであること、
サーキットだとしても ヴェロマックス時代のものであれば
リムのブレーキゾーンにインジケーターの溝が無いのに
これには溝があることから イーストンのサーキットで確定です。
それはいいとして、


反フリー側の180°対岸から1つだけ外れた位相の
2本のスポークに妙な変形があり、これ由来の横振れもあります。

↑こんな感じ
こうなった理由は不明ですが、落車などではなく
悪意のない人為的要因ではないかと思われます。
ホイールバッグに入った後輪が横たえてある状態に
上から 椅子か脚立の足が乗って人間の体重がかかった、的な
荷重で変形しているように見えます。
スポークの交換をしますが、ハブはヴェロマックスのものなので

両側ねじ山スポーク仕様となっています。
同じ番手のものでスポークを作りました。

直りました。

以前のオーナーから このホイールを譲れらるときに
「振れてるのを ちょっと直してみた」と善意から触った話をされたそうですが
縦振れがそこそこ出ていたので 二度手間になりました。
どこをどう触ったのかは ルービックキューブを戻す作業のように
私には だいたい分かります。
交換した2本のスポークの振れ取りより、
それ以降の縦振れを直す作業のほうが時間がかかっています。
ヴェロマックスの後輪は 銀スポークで
ニップルの色は 銀と黒が交互になっていますが、
フリー側の銀は しんちゅう、反フリー側の黒は アルミで
日常の振れ取りは 反フリー側のニップルだけでやれと
マニュアルに書いてあります。
あまりに振れている場合は 例外的に
フリー側のニップルを触らざるを得ない場合もありますが、
今日 フリー側のニップルをあちこち触ったのは
すでに 触られていたのを戻しただけです。
あと、高テンションだったので 締めるのが難しかったのか
ゆるめ傾向で振れ取り
素人さんがしたことなので あまり手厳しいことは書きませんが。

↑交換したスポーク

スポークの端ではなく、変形部分をそろえると
こんな感じです。
前輪も点検しましたが 暫定センタードンピシャで縦振れ無し、
横振れ取りは かすかにニップル2ヵ所を回しただけで
そのあとにセンターゲージを当てても 変わらずドンピシャでした。
元々ほぼ振れていないということです。
このホイールのお客さんは 姫路より まだ西側から来られていますが、
お客さんが思うところでは「このホイールを直せる最寄りのショップ」が
大阪にある当店であったということになります。
「そんなことは無い、ウチは姫路と大阪の間にあるけど
預かりでなく 持ち込まれた その場で
かつ お前以上の精度で そのホイールを直せるわ!」
という同業者の方がおられましたら、
ここで紹介いたしますので ご一報くださいませ。
category: のむラボ日記
フライウェイトVSスーパーソニック 
2021/10/20 Wed. 21:50 [edit]

ハイ オハコンバンチワ KANI TUBEデス!

今日ハ 軽量ぶちるちゅーぶ対決トイウコトデ
まきしすノ「ふらいうぇいと」ト
こんちねんたるノ「すーぱーそにっく」ヲ
徹底比較シマス!
重量ハ 個体差れべるデ 同ジクライナノデ
ソレ以外ノトコロデ 違ウ点ヲ 探シテミマス!

マズ ふらいうぇいとデスガ、
まきしすトアル表記カラ 順ニ読ンデイクト・・・

さいずノ表記ガアリ、

厚ミノ表記ガアリマスガ
ソレニ続イテ
151(3桁ノ数字)
196(3桁ノ数字)
32(2桁ノ数字)
‐(はいふん)
45(2桁ノ数字)
丸ノ中ニAノ文字
ト ナッテイマス!
意味ハ不明デスガ
コノヨウナふぉーまっとデ 管理サレテイルトイウコトデスネ!

ばるぶノ根元ニハ「10」トイウ刻印ガ アリマス!
仮ニ はるぶノ根元周リノ空気漏レナドノ 不良ガ頻発シタ場合
同ジ製造ろっと(コノ番号)デ 起コッテイルノカドウカ
特定スル為ニ 型ニ刻ンデイルノカモ 知レマセン!

続イテ こんちねんたるノ すーぱーそにっくデス!
ばるぶノ根元ニハ「15」トイウ刻印ガ アリマス!

続イテ こんちねんたる れーす28 すーぱーそにっく
トイウ表記ガアリ

さいず表記ノ後ニ続ク 03/19とは
2019年ノ3月製 アルイハ
2019年ノ第3週製トイウ 意味ナノカモ知レマセン!
ソノ後ニ続ク表記デスガ、
先ホドノ ふらいうぇいとニ ふぉーまっとガ 酷似シテオリ、

数字ノ内 196ト32ガ一致シテオリ、
ソノ後ニ 丸ノ中ニAト記スノモ 同ジデ、

めいど いん たいわんノ字体モ酷似シテイマス!
アレ?コノ記事ノたいとる、
VS(ばーさす)ジャ無クテ
=(いこーる)ニ シタホウガ イインジャネ?

ン?
ふらいうぇいとトすーぱーそにっく
ドコニ行ッタ?
謎の声「……君のような
勘のいいカニは
嫌いだよ」
category: その他 機材の話
シャマルウルトラの前輪をバラして組み直しました 
2021/10/19 Tue. 23:27 [edit]

お客さんから シャマルウルトラの前後輪をお預かりしました。
後輪は点検だけで、難しい案件は前輪です。
国道を走行中に 前輪に草が絡んで落車し、振れが出たとのことです。
近所のショップに持ち込んで 修理を依頼したところ、
「横振れは直るけど 代わりに縦振れが出てしまう、それでもいいですか?」
と言われたので修理
スポークテンションにバラツキが出て パンパンに張るスポークと
ゆるめたいのに これ以上ゆるめられないスポークが出てしまう、
横振れを取ったら縦振れが出た、スポークがねじれた、と言われ
店主のお手上げ状態でホイールが返ってきたのですが
現状 まともに使えるほど直ってはいないので
見てほしいということで お預かりしました。

直せないのは ともかくとして、
スポークがねじれているのは ショップのスカタンです。
落車などのショックで、曲がることこそあれ ねじれることはありません。
上の画像は ぱっと見で分かった ねじれスポークです。

まず横振れですが、たいていの位相の横位置でゲージを当てると

最も振れているのが この量です。
一応、振れ取りをした結果のはずです。
横振れぐらい追い込んでくれや。


で、縦振れです。ホイールを回転させると
目視でもビクンビクンと跳ねるのが分かるくらいです。
念のため書いておきますが
上の2つの画像、振れ取り台のゲージの位置は同じです。

ニップルは固着予備軍が多く、歯周ポケットから
粉がボロボロと出てくるものが ほとんどでしたが、

純正の工具で押さえつつ 慎重に回すだけで

全数 スポークをねじれさせずにゆるめられました。
現状 ねじれているのは お預かりの時点で
ねじれていたものだけです。
本当に固着していて スポークを切断しないといけない場合もありますが、
そこまで ひどい状態のものは ひとつもありませんでした。
この前輪のハブフランジは 引っかけ式で、
ホイール半周分ほどのニップルを十分にゆるめれば
あとは ハブを持って左右にゆするだけで
ハブを抜き取ることができます。
なので実は 上の画像の状態は
ニップルを全数ゆるめた証明にはなりません。
しかし この状態でも分かることはあります。
ガラスの定盤に当てて リムが反っているかどうかの確認はできます。
あまりにポテチのように曲がっているのであれば
スポークテンションのバラツキを発生させず
振れも出さずに組むということが不可能になりますが、
今回のリムは 完全に反っていないという判定ではないものの
ホイールとして組めないほどではありません。

非常に面倒ですが、リムの反り具合を確認したあとで
もう一度 ふんわりと仮組みしました。
ついでに ねじれているスポーク3本に
番号付きの目印のテープも貼っています。

↑片側の連続した3本を 頑張って締めてみたようです。

もう一度バラしました。
今度はリム単体までバラしています。
つまり、完全固着ニップルは ひとつもなかったと
証明されたということです。
この状態で、メシノタネコードにより書けない
超絶技巧的処理を施しました。
お客さんは このホイールに特段の思い入れがあり、
なんとか直れば・・・というようなことを手紙に書いていたので
普段は やらない 超絶に面倒なことをしています。
この作業は1ヵ月くらいかかりました。
決して 当初持ち込まれたショップの面子を潰してやろうとか
ねじれるのは不可避だったというウソを暴くのは楽しいぜフヒヒとか
そういう動機に後押しされたわけではありません。信じてください。


組めました。
全体画像を撮り忘れていますが、
冒頭の画像と同じようなものなので まあいいや。
上の画像はセンタードンピシャで、
冒頭からの画像と違うことといえば


↑横振れを追い込みました。
上の画像はホイールが回っています念のため。

↑縦振れも追い込みました。
上の画像はホイールが回っています念のため。

↑交換したスポーク
見ての通り、普段 私がここに上げるものと違い
曲がってはいません。
ねじれを修正して ほぼ分からない見た目にして
使い回すこともできますが、
今回は許可もいただいたので交換しました。
スポークに 1~3まで番号を振っていますが

↑スポーク1

↑スポーク1の別角度

↑スポーク2

↑スポーク3
です。
あと、画像では伝わらないですが
組み直したホイールのスポークテンション、
位相によるバラツキは ほぼありません。
あると見做しても 吊るしのシャマルウルトラと同程度のはずです。
もし当初の修理ごっこをしたショップが
後日 粗探しをすることになっても
ケチのつけようがないくらいには仕上げています。
それ以前に 冒頭の状態を「仕事」とカンチガイする程度の奴に
ケチをつける資格があるとは思えませんが。

つづいて後輪。


経年使用によるフリー側へのセンターずれを


直しただけです。
振れは元から ほぼありませんでした。
category: のむラボ日記
ゾンダさんと スプリント350さん 
2021/10/18 Mon. 23:53 [edit]

スポークが1本 とんでいます。

↑こやつ
スポークの交換とは別に、ハブの回転がゴリゴリしていました。
高テンションで張られたホイール、とくに首折れスポークで
スモールフランジハブの前輪などでは
スポークが1本または まとまった位相で数本とぶと
ハブフランジにかかっている引っ張りが不均一になって
ハブの回転の中に引っかくような濁りを生じる場合があります。
これは虫食いなどが原因ではないので、
スポークを補填して張ってやれば 勝手に直ります。
このゾンダのハブでは それが起こるとは考えにくいので
スポークとびとは別に ハブの中が傷んでいると思われます。
元々 ハブのオーバーホールをご希望ですが、
べらぼうな費用がかかるわけではない限り(その場合は事前に言います)
私の判断でパーツを交換してもいいとのことです。

玉当たり調整ナットがある側と
逆側(以下 右側)の玉押しです。

右側のリテーナーベアリングです。
グリスが切れてボールレースに 錆びが回っています。

左側の玉押しです。

左側のリテーナーベアリングです。
右側よりも鋼球の色が くすんでいます。
ベアリングの傷みは 左右同じ程度に進行することが珍しく、
たいてい より傷んでいる側があるものですが
今回は左側のほうが ひどい見た目でした。


右側のワンを拭き取りました。


左側のワンを拭き取りました。
予想に反して、交換を要すると(私が)判断するほどの
虫食いの兆候はありません。

リテーナーベアリングは左右とも交換しますが、
鋼球の色が比較的マシだった右側の玉押しに
虫食いの兆候がありました。

↑別の位相

左の玉押しは、お客さんが交換を希望しない限りは
交換しなくてもいい程度の状態でした。
結果、ハブ周りのパーツは左右のリテーナーベアリングと
右の玉押しを 交換しています。
玉押しは メーカーでは4個セットでの販売単位ですが
当店では1個、片側だけでの販売もしています。

スポークの品番はWH-016ZOCです。
ホイール 016 ゾンダ クリンチャーという意味で、
016はフロントスポークを意味します。
018ならリヤ右、019ならリヤ左です。
017が空いていますが、ディスクブレーキ用の前輪で
左右の長さが違う場合に
016がフロント右、017がフロント左となります。
C17ワイドリムになると 百の位が1になり
たとえば フロントならWH-116ZOCとなります。
これらの法則は ボーラなどでも同じだったのですが、
最近は例外が増えてきました。
上の画像、1箱4本入りと書いていますが

同じスポークごとに 1箱で まとめているので
実際は もっとたくさんの在庫を持っています。


スポークが1本とんでいると ゴバッと大きな横振れが出るので
暫定センターを見ることができません。
ハブを組み立て スポークを補填して、
補填したスポークのニップルの調整だけで
ほとんど横振れの無い状態になったところから
数ヵ所あった微細な横振れを追い込んだ時点で
作業に入って 初めてセンターゲージを当てたところドンピシャでした。
スポークがとぶ1秒前までは
ほぼ振れ無しのセンタードンピシャだったということです。


直りました。
つづいて、同じお客さんから アメリカンクラシックの
スプリント350というホイールの前輪をお預かりしました。

スポークが1本とんでいます。
首折れスポークで回収が容易なので
元のスポークは すでにありません。

先日 のむラボホイール5号のリムに組み換えた
CR350とは 別のリムです。
あれは軽いだけのナローリムでしたが
このスプリント350なるリムは チューブレスレディのワイドリムでした。
アメリカンクラシックが、こんな現代的な仕様のホイールを出すほどに
ブランドが存続していたということが驚きです。
CR350リムは ブレーキゾーンの縦幅が
ブレーキシューより狭いくらいなので
黒いリムであれば 内周側の黒アルマイトを
必ず削ってしまうリムでしたが、
スプリント350リムは それほど極端に狭いブレーキゾーンではありません。


・・・今回の前輪では、ブレーキシューを内周寄りに
セッティングしていたのか 結局 削ってしまってましたが。

こちらもハブの回転がゴリゴリで、交換をご希望なので
交換しますが ベアリングのサイズが688で
在庫が無かったので取り寄せることになりました。

鶏合え酢 ベアリングがゴリゴリのままでいいとして、
スポークを補填して 先に振れ取りだけをすることにしました。

先ほども書いたように 元のスポークはありません。

ニップルが 引きちぎれたような壊れ方をしています。
つかみ部分の短さから
外周側から回すことが前提のニップルのようです。
それなのに内周側をつかんで回してナメた、と思っていたのですが
それだけではスポークがとんだ理由が説明できません。
お客さんに訊いたところ、買い物袋を巻き込んだ覚えがあり
その時点では スポークが曲がっただけだったところ
数ヵ月後に いきなりバチーンと弾けたとのことです。
なるほど。

外周側を回して調整したいのですが、
チューブレステープが貼ってありました。
もし この前輪が 元々 ほぼ振れておらず
センターも出ていたのであれば 先ほどのゾンダのように
補填したスポークのニップルの調整だけで ほぼ直るはずです。
今回は1ヵ所ですが、3~4ヵ所くらいまでなら
フルクラム方式で ニップルを磁石で呼ぶのはそれほど手間ではなく
リムテープを剥がさずに済みます。

ニップルが割れて広がっていて
リム内に落ちなかったので

落とせるように潰しました。

バルブ穴から元のニップルを回収しました。
やはり外周側から回すタイプのものです。

ホイールに元からあるスポークですが、
2.0-1.8-2.0mmバテッドの丸スポークです。
刻印にACとありますが、これはスポークのメーカーのことではなく
アメリカンクラシックの特注品です。

バルブ穴の左右のみ 白というか
薄いグレーのスポークになっています。

DTの白または赤のスポークと同じような
塗装の欠けかたをしていますが、
まず間違いなく DTのスポークではありません。
補填スポークはDTのコンペにしましたが。

リムテープを剥がさず、磁石でDTのニップルを呼びました。
このニップルと、あと数ヵ所程度の横振れで済むなら
リムテープは剥がしません。
大きくニップルを回す必要があるほど振れている箇所があったり
センターずれの修正で片側全てのニップルを回さざるを得ない場合は
リムテープを剥がして外周側をつかむことにします。


ひと通り 振れ取りを終えました。
元々 振れが無かったようで、補填したニップルだけの調整を除けば
3ヵ所を かすかに回した程度です。
その時点で 紙1枚ほどセンターがずれていました。
ベアリングの交換で消える可能性に賭けて
今は これで放置しておきます。


一応 直りました。

スポークが 少なくともDT製ではないと思われる理由ですが、
DTの刻印は打刻、つまり 凹みとして表現されているものの
元のスポークはACが エンボスで ふくらんでいます。
OEM元は塗膜の感じからして ピラーではなく、
おそらくはCNスポークです。


ベアリングが入荷したので交換しました。


センターずれの傾向は変わらなかったので
センター出しのために 片側全部を ごくわずか回しました。
リムテープを剥がそうかとも思いましたが、
なんとか交換しない作業を強行しました。
スクオルクスニップルもですが、しょーもない工具で
内周側をつかんで回すと つかみしろを一瞬でナメます。

黒シールなので交換後です念のため。

↑交換したパーツ
ゾンダのスポークの右上にあるのが ゾンダのパーツ、
左下にあるのがスプリント350のパーツです。


ゾンダのスポークですが、ねじ山始まりで破断していました。
スポークヘッド側が破断した例を見たことが無いわけではないですが、
こちら側の破断が圧倒的に多いです。
それ以前に 落車したり買い物袋を巻き込んだり
施錠したまま発進したりメタルクワガタにやられたりする事例のほうが
さらに圧倒的に多いのですが。
category: のむラボ日記
ライダーのスライダーを買いました 
2021/10/17 Sun. 23:32 [edit]
そのまま小さくしたキットが いくつかのメーカーから出ています。
RYDER(ライダー)というブランドから出ている
SLUG PLUG(スラッグ プラグ)という商品もその一つで、
ナメクジ(slug)に似ているかどうかは微妙なところですが
粘着質のチューブ状の修理材の真ん中を
裁縫用具のリッパーのようなツールで二つ折りにして
そのまま タイヤのパンク箇所に ぶっ刺すことで
空気漏れをふさぐという方式になっています。
追記:slugの意味について
「この場合のslugはナメクジよりもどちらかというと
思いっきりぶっさすほうのことを指していると思われます。
slugには金属の塊や強打する行為を指す意味があります。
散弾銃の弾丸の種類に、スラグ弾というものがありまして、
細かい散弾ではなく一つの大きい金属の塊を発射する弾種です。」
というコメントをいただきました。
私も あとから気付いて追記しに来たら コメントが先にあったのですが、
スラッグプラグの容器が ある種のスラッグ弾頭(スラグ弾頭)に
よく似ているので名付けられたのでは、とも思われます。
スラッグプラグは 未使用時は錠剤のカプセルのような形状の
容器に収まっていますが、メーカーからボトルケージ穴に取り付ける
専用のホルダーが出ており、片側にスラッグプラグのケース、
もう片側にCO2ボンベを取り付けるケースが
挿しこめるようになっています。
スラッグプラグでパンクの応急処置が可能なのは
チューブレスかつ低圧で タイヤ内の容積がある程度以上大きい必要があり、
ロードバイクでは使えません。
MTBと、太めのグラベルタイヤで ギリギリ使えるくらいでしょうか。
先ほど書いた専用のホルダーには
両側とも CO2ボンベを取り付ける仕様のものがあり、

今回は それを個人的に買ってみました。
ライダーのスライダーという商品です。
ボトルケージ穴に共締めするCO2ボンべ用の台座は
ほぼ同じ形状のものが バルビエリとミノウラから出ていますが、
金属製で重いのと 見た目がうるさいので(←個人の主観)
買ったことはありませんでした。
あと、ボンベを2本ぶら下げた見た目が好きではないので
片持ちで 何か良いものはないかと思っていました。

「RYDER」の「SLYDER」です。
ブランド名から SRYDERと綴ってスライダーと読ませる
洒落っ気は無いようです。
SLUG PLUGは 韻を踏んだような商品名なのに。
どうでもいい話ですが、クロモリとチタンのフレームを作っている
ブロディまたはブローディー(BRODIE)というブランドがありますが、
MTB系のフレームを おもに展開していて
ドロップハンドルのモデルは現状 グラベルバイクが出ている程度です。
そのブローディーに 2017年モデルまで存在していた
チタンのロードのフレームにRODIEというモデルがあり、
これはブランド名から Bを抜いた綴りで
ローディーと読ませているモデル名です。
ローディーの正しい綴りはroadieですが、
誤字ではなく もじっていることは明白です。
以前にも書きましたが、ロックショックスのフロントサスフォークの
「SID」のシドニーオリンピック記念モデルとして
SIDNEYというモデルが出ていましたが
シドニーの正しい綴りはsydneyです。

ボトルケージ穴にベースプレートを取り付け、
そのプレートに ボンベホルダーをスライドして挿しこむという構造です。
特許だとのことですが これがなかなか良く出来ていました。

ボンベホルダーにCO2ボンベを取り付けました。
ホルダーにあるRYDERの表記と逆側に
ねじ山が来るようにしか取り付けられません。
このホルダーのホールド感ですが やや固く、
取り付ける際も ボンベに貼ってあるステッカーが
剥がれるくらいに固いですが 反面 ガタや ゆるさはありません。

ボンベ付きのホルダーを、
ベースプレートのスリットの奥に挿しこむと
クリック感がして しっかり留まります。
なぜ「ボンベ付きの」と書いたのかというと、
当初 パッケージの状態だと ベースプレートとホルダーの
挿しこみ感が ゆるゆるで、
こんなもん 振動でガタガタ鳴ったり 外れて飛び出しかねないだろうが!
と思っていたのですが・・・

ホルダー単体だと スリットとの間にガタがあるのですが、

ボンベ付きになると スリットをはさむように
絶妙に変形して ガタが無くなります。
これは狙ってやっているのでしょうが、
感触があまりに変わるので感動しました。

スリットの奥は どん突きになっているので
挿しこみ方向は決まっていますが、
ホルダーの上下を どちらにするかは選べます。
また、このホルダーはボンベ使用時に表面が冷えて
凍傷気味に皮膚に張りつくのを防ぐ
カバーの役割も兼ねています。

パッケージの図によれば ボンベの片側に
ボンベアダプターを付けっぱなしにしていますが、

ボンベに穴をあけない程度の ねじ込みだと

このように すぐに回るので固定できません。
これはTniのプッシュ式ですが、これとは別に
穴をあけずに固定できるタイプのアダプターがあるのでしょうか。
まさか、図の状態は 穴をあけた状態で
携帯している・・・わけはないと思うのですが。

取り付けました。
ベースプレートが ぐにゃっと曲がっています。

これはトピークのボトルケージ穴の上に
携帯ポンプが乗るタイプの(つまりボトルケージと併用できない)
タイプのアダプターですが、

フレームとの接触面が丸くなっており
これを 無理やり締め込むとベースプレートが変形するようです。

まっすぐになるように アールを削ぎました。

パッケージの図によれば RYDERと表記がある側を
外側にして取り付けろとあります。

↑本来は こちらが外側で、

フレームと接触する側にはボトルケージ穴のリベットの
ふくらみに合わせた ヌスミの凹みがありますが、

それを ちょうどのサイズの金属のワッシャーで埋めて

ベースプレートを 本来の向きと逆で取り付けることにしました。

↑ベースプレートは反っていません。

ボンベは片側しか取り付けない予定なので、
ベースプレートを右側いっぱいに寄せています。

↑こんな感じ
左クランクとのクリアランスも十分すぎるくらいあります。
もしパワーメーターが貼り付けてあっても 干渉はしないでしょう。
おまけ

↑これはプロファイルデザインの
CO2マウントキット エアボンベアダプターという商品です。

アダプター1つに対してボンベが1つ取り付けられ、
ボトルケージ穴に対して 上の画像のような感じで
取り付けますが、

シングルで使う場合は
アダプターと同じ厚みのスペーサーが付属しているので

↑このようにして 取り付けます。

で、こいつ ボルト1本での締め込みなので
固定した位置から回ることがあるんですよね。
上の画像では 対策として
ギザ付きワッシャーを使ったあとがあります。
category: のむラボ日記
のむラボホイール8号の前輪を組みました 
2021/10/17 Sun. 22:54 [edit]

AL22W DBリムで前輪を組みました。
サピムのCXスプリントが安定供給されたら
のむラボホイール8号にしようと思っている仕様ですが、
お客さんのディスクブレーキが シマノなのを確認しているので
今回は 半コンペで組んでいます。

レボディスクハブ 24H 黒半コンペロクヨン逆イタリアン組みです。
結線は あとでやります。


ニップルは虹色配列(VAS配列)です。
リム1本あたりの値段が5000円ほど上がるものの
DTのRR411dbリムのほうが オフセットリムかつ軽いですよと
オススメしていたのですが
(XR331リムは最少穴数28Hまで、
対してレボディスクハブは24H仕様のみなので組めない)、
私物の改造ニュートロンの前輪の虹色ニップルが光り輝くのを見せたら
「絶対これがいいから同じようにしてください!」と強く言われたので
AL22W DBリムで組むことになりました。
DTのスクオルクスニップル指定リムは
汎用ニップルで組むと首元破断が頻発します。
私も過去に相当痛い目を見ました
(過去 組んだのを 全数 無償で組み直しました)。
というわけで、今回の件は
ニップルの色でホイールを決めたということになります。
category: のむラボホイール
のむラボホイール5号の後輪を組みました 
2021/10/16 Sat. 22:44 [edit]

のむラボホイール5号の後輪を組みました。

FH-RS300 28H 半コンペヨンロク組みで
フリー側がターコイズニップル、反フリー側がオレンジニップルです。
結線は あとでやります。
ハブは お客さんからのお預かり品で、
RS400が11S用であるところ
あえて10Sまでの対応となるRS300にしているのは
右フランジ幅が広くて オチョコがひどくないからです。
エボライトハブのように ハイローフランジで無いのは
承知の上ですが・・・、とのことですが
スポークテンションの左右差に関しては
フルクラムなどのメガフランジくらいの差でない限りは
右フランジ幅のほうが大要素です。
重量が 多少 重たいことを除けば、
私が考えるホイールの要素としては
RS300のハブは 9000デュラエースのハブより優秀ですし、
エボライトハブよりも優秀です。
しかしもっと言えば 126mm幅のボスフリーハブに
反フリー側に4mmスペーサーを入れて130mmにしたハブは
さらに優秀です。
ボスフリーギヤの一般的な最多段数は8Sですが、
チェーンの寿命が短いのを承知の上で
今の12Sスプロケットの幅でボスフリーギヤを作れば
9Sは余裕、10Sはローギヤが内側にオーバーハングするような形状で
ローギヤに変速したときに スポークとの干渉が起きないのであれば
可能かもしれません。
しかし 左右のスポークテンションバランスのために
ギヤ枚数を減らすというのは考えられないので
それが実現することはありません。
「12Sの幅で9S」というと表現的におかしい気がするので
チェーンの幅について より正確な呼び方をしてみたいと思います。
一般車(ママチャリ)・競輪・BMXなどの厚歯用のチェーンの寸法は
1/2”×1/8”などと表記されます。
前者の1/2インチというのは チェーンのコマ1リンクのピンの中心間の長さです。
これには ほぼ例外がありません。例外については別記事を上げます。
1/8インチというのは幅のことです。
これが多段ギヤ用のチェーンの場合 3/32インチという
少し幅が細いチェーンになりますが これが通用したのは8Sまでで、
たとえばシマノでも 8Sチェーンは6Sと7Sにも対応しています。
シマノチェーンの場合は UG・IG・HGという規格で
それぞれギヤとチェーンがあり、
IGのチェーンとスプロケット・フロントチェーンリング同士、
HGのチェーンとスプロケット・フロントチェーンリング同士は
当然ながら合いますが それ以外の組み合わせだと
多少ややこしいことになっています。
幅を7.1mmから7.3mmに改めた
新IGチェーンのCN-IG90・70・51・31は
HGスプロケットには使えますが
HGフロントチェーンリングには合いません。
HGチェーンは、IGのスプロケット・フロントチェーンリングの
どちらにも合いません。
「IGチェーンはHGギヤには使えるけど、逆はダメ」という
表現を見かけることがありますが、厳密には不正確です。
9S以降のチェーンは各メーカーの自社規格ということになります。
「3/32インチ」のような 幅のインチ表記もメーカーカタログに載っておらず、
「シマノの11Sチェーン」や「カンパニョーロの12Sチェーン」のような
呼ばれ方をするだけです。
サードパーティーのチェーンだと
「コンポメーカー不問で11S用」みたいな場合もありますが。

↑これは私が4㎏台のバイクに付けた
ヤバンというブランドのチェーンの箱です。
段数は11Sですが、

箱の裏には 11/128インチという幅の表記がありました。
分母を合わせるなら
厚歯用のチェーンが 16/128インチ、
6・7・8S用のチェーンが 12/128インチということになります。
これで、11S用チェーンの幅が
11/128インチと表記できるというのであれば
たとえば「11Sの幅の9Sスプロケットが もしあれば・・・」という表現でなく
「11/128インチチェーン対応の9Sスプロケットが もしあれば・・・」と
いった表現が可能になります。
というわけで ヤバンのメーカーサイトで
9S以上の多段ギヤ用のチェーンの幅を
どう表記しているのか調べたのですが、
なんと 9・10・11・12Sチェーンは全て11/128インチとなっていました。
これでは「11/128インチチェーン対応の9Sスプロケットが もしあれば・・・」
という表現は使えません。
以上、別記事にしても良かったのですが 分割しなかった脱線の話です。


縦横振れほぼ無しの状態から、上の画像のセンターずれの
だいたい倍くらいの量から 反フリー側の増し締めだけで
リムをセンターに寄せている過程です。
なぜ ここで撮ったのかというと、このくらいが だいたい
普段組んでいるエボライトハブの
のむラボホイール5号の左右差だからです。
つまり、ここからセンターが出るまで
反フリー側を一方的に張れるということです。
今回のホイールは28Hですが、
お客さんはすでにエボライトハブ24Hの
のむラボホイール5号を持っているので
スポークの本数差も相まって 体感できるレベルでの差を
感じることになると思います。


センターを出しました。

時系列が戻りますが、ハブ胴のSHIMANOの部分に
のむラボステッカーを貼ってほしいと お願いされました。
これについて、私が手ずから貼ることは
基本的にしないのですが

たまたまSHIMANOの幅とステッカーの幅が
ほぼ同じで(ステッカーのほうが0.2mmほど狭い)、
ホイールを組んだ状態で あとから きれいに貼るのが
非常に難しい感じだったので

今回は私が貼りました。

↑わずかに文字が はみ出しています。
こちらが はみ出さないなら 逆側で はみ出します。
もっと廉価モデルになると ハブ胴の仕上げが
爪切りのヤスリというか 楽器のギロのように
細かい刻みが入ったような表面になるので
ステッカーの貼り付きが弱くなりますが、
このハブ胴では まず剥がれないのではと思います。
category: のむラボホイール
うさエク 
2021/10/15 Fri. 22:53 [edit]
「近日中にある車連のレースに久しぶりに出るのだが
ゼッケン台座が無いので 急いで用立てろクソが!」
と おっしゃりやがりますので
Tniのリヤブレーキシャフト共締めタイプのものを
急いで仕入れ、当店専属の夜間/早朝自転車便の
うさぎエクスプレス(→こちら)に依頼して届けてきまし・・・届けてもらいました。

↑これ
封をする前に消印が押されているなどの細かい点に
ツッコミを入れてはいけません。
今回も リンク先の記事と同じく神戸の東灘付近で、
あまり詳しいことは書けませんが
届け先は Tniを扱っているトライスポーツさんの かなり近くです。
実際、社屋の前を 往路と復路で2回通りました。
いや、「うさぎエクスプレスさんによれば 通った」とのことです。
この、手続き上 仕方が無いとはいえ
商品が ほとんどブーメランというか
ピストンのような軌道を描いているのは滑稽です。
同じような例で もっとスケールが大きく
スタートとゴールがより近い例として、
朝練の年間表彰のトロフィーを
ネットで注文できる東京の会社でオーダーしたら
そのトロフィーの製造元・発送元は
当店から徒歩1分足らずのところにある会社だったので
「ほぼ目の前で作られたトロフィーが
一度 東京に行ってから帰ってきた」ということがありました。
詳しくは(→こちら)をどうぞ。
category: 新手のスタンド使い
ノースウェーブのシューズのスパイクのねじ穴を修復しました 
2021/10/15 Fri. 22:00 [edit]

お客さんから ノースウェーブのSPD2穴クリート用シューズをお預かりしました。
MTBではなくシクロクロスで使っているものです。

クリートではなく、つま先のスパイクを取り付ける用の
M5ねじ穴の片方がバカになっており、
スパイクを取り付けると ねじ山が永久に回るようになっていました。
ちなみに 上の画像は修理後です。

↑こちらの穴は、こう見えて なんともありません。

ヘリサートコイルを取り付けました。
同じような案件として(→こちら)や(→こちら)があります。
念のため 長さが長いM5ボルトを取り付け
手の力で思いっきりゆすったり 引っぱったりなどしても
ガタつきすら無いというのを お客さんに見てもらっています。
スパイクは ボックスレンチの10mmで回す
六角のつかみしろがありましたが、
ちょっと普通は ここまで締めないだろうというくらいに
締めても ねじのバカ回りが起きず、
ゆるめても ヘリサートが抜けてこないのを確認しています。
今回はスパイク用のねじ穴でしたが、
クリートを取り付けるためのねじ穴があるプレートのことを
「クリートナット」と呼びます。
それに倣うならスパイク用は「スパイクナット」となるでしょうか。
シューズによってはインソールを外してみると
シューズの内側からクリートナットを交換できるタイプのものもあります。
今回の件、まずはクリートナットやスパイクナットが
交換できるタイプのシューズか まず確認したのですが、無理でした。
交換可能な場合は「メーカーで取り寄せてくれ、
ノースウェーブはウチでやってないから わしゃ知らん」と言えますが、
その場合でも たいてい「入手可能かどうか
すぐには分からんから 一応 ダメ元で修理を試みてくれ」と
言われることが ほとんどです。
今回の件では そういう問答はしていませんが。
category: ドリルがうなる!
バレットウルトラさん 
2021/10/15 Fri. 21:34 [edit]

記事の本旨には関係ない話ですが、
バレットウルトラというモデル名のホイールは2種類あり
ベアリングがUSBかCULTかどうかが違います。
これはCULT仕様で、リムにもCULTとありますが
ステッカーは ボーラなどと同じで
クリアの下にあるので剥がせません。
つまり、USB仕様のバレットウルトラをCULT化しても
リムは ずっとUSB表記のままです。
バレットウルトラとは別にある
鉄球ベアリング仕様の「バレット」は
ベアリングがカップ&コーン式ではなく
カートリッジベアリングなので CULT化など
カップ&コーン式のベアリングに換装することは出来ません。
それはいいとして、フリーボディのラチェット音が
急に静かになったということです。
手で触る限りでは ラチェットは仕事をしていました。
前に向かって空転したりはしません。
このフリーボディの爪起こしバネは 円弧の部分が1周ちょっとあり、
折れる場合は たいてい 真ん中で二分される形になります。
その状態でも バネ始まりから近いほうの最初の爪だけは
うっすら仕事をするので、バネが折れても
即 前に向かって空転することは まずありません。
それ以降 しつこく使うと ラチェットがときどき滑ったりするようになります。
さらにそれを無視して 使ったがために
前に向かって空転するようになった事例は1例しか知りません。

フリーボディを抜きました。

↑明らかに爪の起こりが悪いです。

バネが折れていました。

一応、フルクラムの場合は
5-R1-015(5個売り レーシング1 品番015)、

カンパニョーロの場合は
5-FH-RE114(5個売り フリーハブ レコード 品番114)を
使うようにしていますが、
この2つは同じパーツです。
むしろ昔のRE114は 同じフリーボディに取り付けるのに
現行品よりバネの直径が小さく、明らかに別物でした。


↑これ

↑現行品との差
小径のFH-RE114が使われていたフリーボディに対しても、
現行品の大径のもので対応するしかありません。
「品番が同じであれば 見た目が違っていても同じもの」という、
バルブブッシュやベアリングのボールレースでもやっている
カンパニョーロ式の こっそり仕様変更の一例です。

爪周りの汚れたグリスを拭いて バネを交換しました。
爪の起こりが お持ち込みの状態と全然違います。
ラチェット音も うるさくなったのですが、
あまりにうるさいので グリスを詰め気味に足しました。
category: のむラボ日記
レーシングゼロのリム交換をしました 
2021/10/14 Thu. 22:39 [edit]

詳しいことを書くと お客さんの不利益になるので書けませんが、
リムがダメになった レーシングゼロの前輪をバラしました。
上の画像は その「リム以外」です。
画像にあるスポークが13本なのは、
ダメだったスポークが3本あったからです。
この13本は使い回します。ついでに書いておくと
リム交換に伴う スポークの全交換というのは
やったことがありません。


おしゃれ泥棒になっていますが、元のホイールのそれは
私が やったわけではありません。


組めました。
元のリムはC17リムでしたが お客さんの希望でC15リムにしています。
リムはステッカー無しで供給されるので 私が貼っていますが、
このリムの本来の年代とは合っていません。
このあたりのことも お客さんと相談して決めました。
category: のむラボ日記
CX22リムで後輪を組みました 
2021/10/12 Tue. 23:29 [edit]

昨日の続きです。
GP4リムの後輪をCX22リムで組み直します。
前輪にあったショップの名前入りステッカーが
後輪には無かったので 配慮さんの出番はありません。

↑例のアレは650Wでした。

ハブはカンパニョーロのデイトナ、あるいはケンタウルです。
2001年モデルであればデイトナで
2002年以降のモデルであればケンタウルですが、
レバーやリヤメカやブレーキなどと違い
このハブには グレード名の表記が無いので特定はできません。
お客さんがデイトナと言っていた気がするので
デイトナなのでしょう。
このハブの穴数は32Hですが、コーラスとデイトナ(ケンタウル)のハブは
32Hと36H仕様のみの展開です。
レコードのみ 28Hもありました。
レコードのハブは ハブ胴中央にグリスホールと
それのフタの役目のバンドがかけてあります。
コーラスからは グリスホールがありません。
デイトナは、さらにエンド周りのパーツが違います。

ハブの玉当たり調整ナットの固定がプラスねじ穴で、

右エンドナットは フレームとの接触面にギザがあるものの
左エンド中空ボルトは ギザがありません。

↑以下2001年のカンパニョーロのカタログですが、
これはレコードのフロントハブです。
リヤハブも同じくハブ胴にグリスホールのフタの
バンドが取り付けてあります。

コーラスだと、ハブ胴にバンドは無いですが
玉当たり調整のパーツが銀色で コーラスと書いてあります。

これがデイトナでは、

玉当たり調整ナットが黒いパーツで
そこにカンパニョーロとは書いてありますが
グレード名はどこにもありません。
ちなみに ひとつ前の画像ですが、デイトナのシートポストが載っています。
カンパニョーロの この世代のシートポストは
レコードがカーボン、コーラスがチタンで
デイトナは なんとスチールです。
これ以降は レコードがカーボンピラーでヤグラもカーボン、
コーラスは少し前のレコードと同じもので
カーボンピラーでアルミのヤグラとなり それ以下のグレードでは
シートポストの展開が無くなります。
スチールのシートポストというのは非常に珍しいですが、
クロモリなどスチール系のフレームに突っ込んだときに
アルミのシートポストで起こる 電位差による腐食が起きないので
そういうフレームに対しては重宝します。
・・・それを気にするなら チタンのシートポストにするのが一般的ですが。

↑これはシマノのSP-M900の成れの果てです。
元の色は当時のXTRの色に合わせた黒に近いグレーでしたが
塗装が剥げたか 人為的に剥がしたかされています。
デイトナのシートポストはカタログでは
「スチールチューブ」という表記になっていますが
SP-M900はカタログでは「クロモリ鋼」となっています。

↑XTRのアルミの銀シートポストSP-910や
デュラエースのアルミの銀シートポストSP-7410と同じヤグラ
ちなみに いま挙げた2つのシートポストのピラー部分はイーストン製です。

ピラー部分の厚みは非常に薄いです。

話をホイールに戻します。
前輪が しんちゅうニップルで組まれていたのに
後輪が 金アルミニップルだったので
組まれた時期が違うのかと思っていたのですが、

前輪と同じく 星スポークの昔の「ステンレス」で組まれているので
時期はともかく 組んだショップは同じだと思われます。

スポークがとんだのか 1ヵ所だけDTのコンペで補修してありました。
この反ヌポークの穴に ヌポークの引っぱり跡があるので
今回の組み直しをする前の、お預かりした時点で
このハブに対して組まれたホイールは1回目ではありません。
そして おそらく2回目です。

DTのコンペは銀アルミニップルで補修してありました。
組み直し後のスポークも 銀コンペですが、
さすがに これ1本だけを反ヌポークとして使い回すことはせずに
全交換しています。

↑フリー側

↑反フリー側

↑フリー側

↑反フリー側
反フリー側のスポークが短い、というより
左右同じ長さのスポークで後輪を組むという
横着を かましています。
私の場合、そもそも この手の横着をやりませんが
それ以前に 後輪は左右異本組みをすることがほとんどなので
左右同じ長さのスポークで組めるということが まず ありません。

組めました。

デイトナハブ 32H 全コンペヨンロク組みです。
結線は あとでやります。
組み手の落ち度ではなく ハブの寸法からくる性質ですが、
組み直し前の後輪は 反フリー側がフリー側に対して かなりヌルめでした。
これは、このハブは左右合計のフランジ幅が狭いわけでは無いものの
右フランジ幅だけで見ると狭く、つまりオチョコがキツいので
フリー側が すぐにキンキンに張ってしまいます。
今回は ロクロク組みをヨンロク組みにしただけで
スポークの番手が 元とほぼ同じの左右同径組みなので
思ったほどに 反フリー側が化けなかったので
結線は必須です。
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シートポストを返してもらいました(強制) 
2021/10/12 Tue. 21:54 [edit]

元は 私が乗っていたものです。
現状は ボトルケージを付けていませんが、
ダウンチューブに3つめの穴を追加して
シングルボトルケージで位置を下げるのは
私が 私物のフレームでよくやることです。
フォークは初代ターマックのものです。
上半分がカーボン、下半分がE5アルミというハイブリッドバイクで
「specialized tarmac 2004」で検索すると出てきます。
そのターマックに対してフルカーボンフレームになったのが
ターマックSLの始まりです。
当時は
単純にカーボンバックと呼べない
アルミとカーボンのハイブリッドフレームが流行っていました。
キャノンデールのSIX13(シックス サーティーン)では
トップチューブとダウンチューブがカーボンで、
それ以外の部分がアルミでした。
名前の由来は 原子番号6/元素記号Cのカーボンと
原子番号13/元素記号Alのアルミニウムからです。
なのでフルカーボンフレームのスーパーシックスは
超すごいカーボン または超軽いカーボンという意味になります。
上の画像のフレームはTniのデダチャイSC61.10Aチューブ
(以下 SC61)のカーボンバックです。
アルミフレームというのは、チューブの出どころさえ確かなら
重量や剛性に関して大きな見込み違いにはならない点が安心です。
これはカーボンバック(シートステーがカーボン)ですが、
たとえば SC61のフルアルミフレームであれば
スローピング具合によって前三角の大きさが変わるなどを除けば
極端な話 どこのブランドのフレームであっても
剛性感は ほとんど同じになるはずです。
SC61のメーカー製フレームというのは 探せばたくさんありますが、
たとえば デローザのメラクがあります
(後年出た 同名のカーボンフレームとは別物)。
溶接痕の処理がきれいで、性能には無関係ですが塗装も きれいです。
ジオスのエアロライト(後年出た同名のカーボンフレームとは別物)も
SC61のカーボンバックです。
定価で10万円くらいだったので、SC61の吊るしとしては
かなり安い部類です。
ただ、各アルミチューブ間の溶接痕が荒いので
見て楽しむ要素はありません。
上の画像のTniも 溶接痕をきれいに処理している部類ではないですが、
エアロライトよりはマシでしょうか。
私が決戦用としているフレームも アカマツのSC61のフルアルミで
ホリゾンタルトップチューブのでオーダー品です。
溶接痕は滑らかに仕上げられていますが、
それ以前に 芯狂いを一切疑う必要が無いという点が
私にとっては非常に重要な要素です。

何か擦り傷 多いな。もっと大事に乗れや。
SC61のトップチューブですが、卵型の断面形状をしており
メーカーの指定では 尖った側を上に向けて
フレームを作れとなっています。
先に挙げた メラク・エアロライト・アカマツの全てがそうなっています。
が、このフレームでは 思うところあってか
トップチューブを あえて逆さにしてあります。
これによってフレームの剛性などに どう影響しているのかは
正直 体感できませんが、
信号待ちなどの際に サドルから前に降りるときに
股間に刺さる感触がマイルドなのは確かです。
友人は これを 弟に貸していたと言ってましたが
どちらも喫煙者ではないのに
フレームの表面がヤニのようなもので覆われており、
触るとベタベタするので なんでやねんと あとで訊いたら
隣の中華料理屋さんの ダクトの下にいつも停めていたとのことです。



コンポは概ね 7700系デュラエースです。
長期間 放置したとき特有の錆びかた、傷みかたをしています。



可能な限り洗ったものの 擦り傷が消えることはありません。

スプロケットはデュラエースでは無いですが、
チェーンはデュラエースでした。
ロードバイクのチェーンを錆びさせんなや。


数百kmも使っていないCN-7700ではなく7701を持っているので
これを取り付けました。
中古ということもあり 形式上はパーツ代を取っていません。
工賃という形で取っている感じにはなっていますが。

ホイールも洗い、廉価チューブラータイヤをリムセメントで張りました。
リムセメントなのは、元々そうだからです。
このホイールを組んだときは チューベラーテープというものが
まだ出回っていませんでした。
ハブは前後とも7700の32Hで、

前輪は黒チャンピ全ヌポーク1クロス、

後輪はヨンゼロ組みで 反フリー側はヌポークラジアル組みです。
どちらも現在 のむラボホイールに採用していない組み方です。
これが私物だったのか 友人を実験台にしたのかは
もはや覚えていません。

ひとつ前の記事とも関連する
GP4リムの電解処理の表記について。

↑650Vとあります。650W表記と どちらが古いのかは不明で、
見かける数も同じくらいな気がします。

↑650HVとあります。このリム以外では見たことがありません。
なんじゃこりゃ。
今回のTniのロードバイク、ステムとハンドルとシートポストが
ITMのミレニアムで統一されていました。
私は ハンドルバーが25.8mmクランプの時代の
3TとITMが好きでして、私的に使う分には一生分くらいの
ステムやハンドルバーのスペアを確保しています。
今回のバイクに付いていたミレニアムのステムは90mm、
これは私が使わないサイズなので別にいいです。
ハンドルバーはアナトミカ(アナトミック形状)の外~外420mmで、
これも私の幅ではありません。
シートポストは27.2mm径ですが、
箱を持っているのに 物が無いので
どこで失くしたのかと思い探していました。
おそらくは 友人に譲る際に誂えたわけではなく、
元々フレームに刺さっていたのを そのまま回収し忘れて
渡したものだと思われます。
というわけなので

デダの安い現行品と すり替えて
盗(ギ)ってやったぜ。
画像のミレニアムステムは100mm、
ミレニアムバーはストラーダ(古典的ロード用の丸形状)の
外~外400mmです。


当時のITMのシートポストですが、イタリアのセルコフ製です。
代わりに、セルコフのステムとハンドルバーはITMが作っていました。
画像にあるセルコフの箱は ヤグラが2つ並んでいて
後ろのヤグラにサドルをセットすると後退幅が大きく取れる
68Xまたは68XNのものです。
ミレニアムのシートポストは セルコフでいうと66XNが近いでしょうか。
66Xがモデル名で、Nはネロ(イタリア語で黒)を意味する色品番です。
category: のむラボ日記
CX22リムで前輪を組みました 
2021/10/11 Mon. 23:29 [edit]

お客さんから マヴィックのGP4で組まれた前輪をお預かりしました。
リムにショップ名入りのステッカーがあったので
一応 配慮さんが阻んでいます。

Mラベル時代のもので GP4ならラベルの色が紫です。
この時代のマヴィックのリムは GEL280なら水色、GL330ならピンク、
MACH2CD2(マッハ ツー シーディ ーツー)なら黄緑といった具合に
ここの色が違うので、遠目でも判別が可能です。

ハードアルマイトの電解処理を
650Wで行っていますという ここの表記ですが
同じラベルでも650Vとなっているバージョンも存在しており、
1Aなんだなということが分かるのですが
最近 ここがWでもVでもない表記のものを見つけました。
次の記事に書きます。←こう書くと後に引けなくなる

ハブはHB-7400の32Hで ロクロクイタリアン組み、

スポークは星のステンレスです。
一般名詞のステンレスではなく「ステンレス」という商品名です。
これとは別にあるスターブライトも
一般的な定義でのステンレススポークに該当するので。
スポークヘッドが☆マークは「ステンレス」ですが、
これは昔の星スポークの 本物の「ステンレス」だったので
磁石に対して全く反応しませんでした。

同じリムで組まれた後輪も お預かりしていますが、
組んだ時期が違うのか どうなのか そちらは金アルミニップルでした。
前輪を わざわざ しんちゅうで組んでいるので
15番ベースなのかと思ったら14番ベースのバテッドスポークでした
(15番のカラーアルミニップルを潤沢に在庫している
ショップというのはあまり無いと考えられるので)。

スポークの長さが短かったのですが、
次に組むCX22リムのほうがリム内径が小さく、
かといって 寸法差が あまりに大きいわけでもないので
このホイールを丁寧にバラして 元ヌポークと元反ヌポークを区別し、
長さを切り直して再利用することは可能でした。
組んで1年以内ということが明らかだとか、
もしスポークが真スターブライトであれば そうしていたと思います。

組めました。

HB-7400 32H 全コンペロクロク組みです。
リム重量はほぼ同じ、スポーク比重もほぼ同じで
組み方も同じなので スポーク量もほぼ同じです。
違うことといえば、お客さんはこれをシクロクロスで使うのですが
リム幅と形状から タイヤの接着面がより広く
こちらのほうがブレーキが利くことです。
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