CL50ディスクの前輪を組み直しました 
2021/11/30 Tue. 22:48 [edit]

お客さんから ロヴァールのCL50ディスクをお預かりしました。
今日やるのは前輪だけですが、ヌルいというか どうにも走らないので
前後輪とも組み直してほしいとのことです。
CLもCLXも 組み方というかタンジェント組み側のスポークの角度や
CLXに限ってはスポークの番手の選定からして
このホイールが走るわけが無いというか、
もし このホイールが正しいというなら 私もカンパニョーロも
ホイールに関して大筋で間違っているということになります。
ロヴァールのホイールが良いものだと本当に思っている人がいるなら
勝手に そう思ってもらって もちろん結構ですが(笑)、
これを売る立場側の人で ホイールを組めなくとも
人並み以上に脚があって 使ってどうこうという批評ができる、
つまり 料理は作れなくとも 味の評価だけはできるという人で
このホイールの本質が理解できないほど貧乏舌では無いはずなのに
絶賛する人もいますが、それは立場上 仕方が無いことなのでしょう。
これを持ち込まれた お客さんは
ツール・ド・おきなわの210kmを第1集団で完走したり
乗鞍で1時間を切るほど 脚があるわけではありませんが、
このホイールに疑問を感じずに そのまま使うことが出来ない程度には
舌が肥えているというか 感性がまともです。


タンジェント組み側のスポークの角度が立ちすぎていて
最終交差の挟角が鋭いのがロヴァールの2:1組みのダメな点です。
この角度は もっとスモールフランジでも実現できるので、
このハブは 見た目ほど実際的にはハイローフランジではありません。
24+12の36Hなら これくらいになっても仕方がないのですが、
このホイールは14+7の21Hです。
これが2:1組みでなくて 反対側を6本組み相当にするのであれば
要素の大小のポイントが変わるので 別に いいのですが。
スポークにぎにぎで こんなに変形する!というのが上の画像ですが
そんなに極端に強く握っているわけでもありません。
リムブレーキの後輪の話になりますが、
ボーラの35と50、CLXの32と50で
それぞれ同じか ほぼ同じリム高の 2:1組みの21Hの後輪で
前者でほとんど聞かないシュータッチを 後者でよく聞くのは
ホイールの構造とスポークの番手違いによるものです。
ディスクブレーキのホイールになると シュータッチが無くなるので
クソホイールだと バレにくくなります。
実は ボーラのスクエアエアロスポークは
CX-RAYよりスポーク比重がやや大きく、
それが絶妙に効いているのも関係しています。
ボーラもCLXも、私が組み直すとして
いじれる要素はスポークの番手と結線の有無くらいですが、
CLXでは 元のホイールよりマシなものを組めると断言できますが
ボーラでは 無理です。
スポークの番手を左右逆異径組みに改めても
ロヴァールの場合 2:1組みの2本側のほうが低テンションになりますが、
ボーラは元の状態からして左右のスポークのテンションがほぼ同じか
2本側(フリー側)のほうが かすかに高い左右同径組みなので、
スポークの変形量も 左右ほぼ同じになっています。
よって 最終交差のあやどりを取るように組み直して
結線したところで、ほとんど化けません。
ひとつ ロヴァールが勝っている点を挙げるなら、
ディスクブレーキ用のホイールでは ボーラよりも
リム重量がハイト/ウェイトレシオにおいて優秀で、
同じようなリム高同士なら ロヴァールのほうがリムが軽いです。

組み直しました。

半黒CXスプリントです。
結線は あとでやります。
私は 根拠も無しにロヴァールのホイールを批判しているわけでなく、
対案も出しているわけです。
現状の条件でいじるなら スポーク比重を、
もし メーカーのほうで改善するなら ヨンゼロ組み相当を
ロクゼロ組み相当にしろと。
もし ロヴァールがロクゼロ組み相当にしたとすれば
その違いは体感できないわけがないので、
各所のインプレなどで さらにおいしくなりました的な
「設計の見直しにより さらに戦闘力が増した!」みたいな
批評をされることになるはずですが、
さらにおいしくなる前の クソまずかった時点で
そのことを指摘する人は(当然といえば当然ですが)
売る側の立場の人には皆無です。
単に貧乏舌なだけという可能性もありますが。
このホイールを持ち込まれたお客さんは
売る側の人ではないですし、
我慢できないほどマズいと思ったということですね。
お預かりした時点での 2本側のスポークの変形量が
あまりに大きくて、ありえないことですが
当店に持ち込まれる前に ゆるめてきたのかと思うほどでしたが

別件で全く同じホイールを お預かりしており、

(エンドに保護キャップをはめて

リムにウェイトを貼っている方のほうですよ~
↑これを書いておかないと、今日やったのが
こちらのお客さんに「あっ!自分のホイールだ!」と
間違われるかも知れませんので。)
こちらのホイールも 元の状態のスポークテンションが ほぼ同じでした。
今日組み直したほうが わずかに低いのは事実ですが、
張ったところで大して化けないとはいえ
どちらも吊るしの状態から もう少し張れたのも事実です。
category: のむラボ日記
スラムの割れたプーリーを捨てなくて良かった話 
2021/11/29 Mon. 22:39 [edit]

REDの10Sリヤメカのプーリーと

ライヴァル1のリヤメカのプーリーのベアリングの
内輪と外輪が残ったのであった。
これは最終的な結果です。時系列を戻すと

私の時計の師匠が 今日 シクロクロスに乗って来たのですが、
フロントシングルコンポのライヴァル1の
リヤメカのプーリーが なんかおかしいとのことです。
固定されたプーリーボルトとベアリングの内輪に対して
それより外側のパーツ全てが 左右にガタつき、
偏芯する感じにもガタがありました。
上下ともですが、とくに下プーリーが ひどかったです。
それが上の画像のプーリーですが、

ベアリングのリテーナー(保持器)が割れ、
割れたリテーナーが 回転で細かなカスになって
ベアリングの中を磨耗で ダメにしています。
こうなるまでに 明らかに感触がおかしい時期が
それなりにあったと思うのですが・・・。
鋼球の色は 黒く くすんで、
ボールレースは虫食いが出来まくっています。

ラバーシールも芯の金属の部分以外が
磨耗で無くなっているので、
外輪に対して パチンと はめ込むことが出来なくなっていました。
関西シクロの次戦のマキノは 次の日曜日です。
それまでに プーリーを交換しないといけませんが、
どうやら 間に合いそうにありません。
で、ベアリングのサイズを測ってみたのですが
内径6mm・外径19mm・厚み6mmでした。
これは規格サイズで、
ミニチュアベアリングの626に相当します。
プーリー部分は12Tで、偶数歯のプーリーは
磨耗度が交互に偏る 偏磨耗が起きることがあるので
それだけなら理屈上は良くないのですが、
このプーリーは 歯先がナローワイドになっているので
必ず偶数歯になる仕様です。

↑これは 私物のREDの10Sのリヤメカに付いていた
11Tプーリーで、前期型の肉抜き穴が貫通しているタイプで
プーリー割れが頻発していた時期のものです。
これも実際、すでに割れています。

↑これは後期型の肉抜きが半穴のプーリーです。
しれっと仕様変更していますが 明らかに割れ対策をしており、
このプーリーでの割れ事例は ほぼありません。

シールにある表記はS626CE-2RS、
626はベアリングのサイズで、ライヴァル1のものと同じです。
CEはセラミックベアリング、2RSは2面ラバーシールを意味します。

で、このベアリング、
プーリーが割れているということもあり

手で外せました。
このプーリーとベアリングの関係は
圧入方向が決まっている形状になっていましたが、
ライヴァル1のプーリーは とくにそういうのが無さそうな形状で
どちら向きにでも圧出できるようになっていたので

初見ですが ベアリングを交換する治具と方法を確立しました。
やったぜ。
上の画像は ちょっと抜いた状態で 治具から外したものです。

↑逆から見ると こんな感じ

外輪を抜き取りました。

やはり 内径・外径・厚みが全て同じでした。

ベアリングを移植しました。
上の画像は圧入の途中の状態を撮ったもので
このあと ピッタリの位置まで圧入しています。

↑RED10S用

↑ライヴァル1用
プーリーボルトの径や長さが違いますが、
丸いプレートのベアリングに当たる側は 内輪だけを押さえる段差と
6mmの穴に はまる ツバが付いており、
あいている穴のサイズが プーリーボルトに合わせて違うだけで
ベアリングのサイズは共通でした。
ベアリングの各部寸法は ミリ規格で
ボルトのねじ山も M3やM4のミリ規格ですが、
プーリーボルトの ねじ山が切られていない
ベアリング直下の部分の径を測ったところ
ここは どうやらインチ径のようです。
ライヴァル1のリヤメカの上プーリーも、
下プーリーより 多少マシというだけで
明らかに要交換なガタがあるので 後日 交換します。
マキノに間に合うように手配はしました。
あと、今回の件で 626の両面ラバーシールのベアリングの
常備を努めることにしたので 同じ案件は即応できるようになります。
category: その他 機材の話
クリスキングのフロントハブでピストの後輪を組みました 
2021/11/28 Sun. 23:30 [edit]

お客さんから クリスキングのBOOST規格のISOフロントハブを
120mm幅のピストリヤハブに変更したものをお預かりしました。
CCBというブランドから そういう変換キットが出ています。
興味がある方は「CCB-001」で検索してみてください。

キットの中に、6穴ディスクローター台座用の
厚歯の小ギヤも付属しています。

フレームへの固定は ハブシャフトに
ナットを取り付ける方式ではなく、
フレーム直下の部分が ボルトになる方式です。
ホワイトインダストリーやフィルウッドのハブにも
この方式のピストリヤハブがあり、
私の知る限りでは ホワイトのハブで
ボルトの変形事例があるので
この方式は あまり好きではありません。
スルーアクスルの穴を埋めるコンバーター形式では
こうするしかなかったのも 理解はできますが。

組めました。

リムは パセンティのブルベで

32H 全コンペロクロクイタリアン組みです。
これが もしディスクブレーキの前輪なら
左右異本組み(ロクヨン組み)をしていたでしょうが、
今回は 色々と思うところあり ヨンロク組みにはしませんでした。
お客さんの希望は 銀スポークかつ丸断面スポーク(エアロはNG)で
組んで欲しいということ以外 全ておまかせで、
結線については どっちでもいいとのことですが、
反小ギヤ側を結線することになると思います。

専用の小ギヤのハブに当たる面には
ISOハブの台座の形に合わせたヌスミ加工があります。


↑小ギヤを取り付けると こんな感じ
category: のむラボ日記
SES3.4の後輪を組みました 
2021/11/26 Fri. 23:22 [edit]

SES3.4のリヤリムで後輪を組みました。

ホワイトの黒いT11ハブ 24H 半コンペヨンロク組みで
バルブ穴の左右両隣と 時計回りに もう2本だけ銀スポーク、
それ以外は黒スポークです。
結線は あとでやります。

↑これは前輪の画像ですが、SESのリムは
リムテープ面にある 成型の継ぎ目のように見える
突起がある位相と

最外周部のフチに突起がある位相が同じではありません。

↑こやつ


↑こちらは 後輪のリムですが、やはり突起は別々の位相です。

で、こやつですが

縦振れを取るときにゲージに当たって 検知されます。
縦振れであれば シュッという音で
この突起に当たった音は カーンという感じなので
縦振れと誤認するわけではありませんが。
最終的には この突起の接触音以外 鳴らなくなるので
(少なくとも外周側には)この突起より大きな縦振れが
リムの全周にわたって無い、というところまで追い込めます。
・・・実は ENVEの吊るしのホイールは
そこまで追い込んでいないのですが。
category: のむラボ日記
オリオンIIの後輪をのむラボホイール1号に組み直しました 
2021/11/25 Thu. 23:17 [edit]

お客さんから イーストンのオリオンIIの後輪をお預かりしました。
ヴェロマックスを買収してホイール事業を始めたイーストンですが、
ごく初期はイーストン ヴェロマックスと
ダブルネームが リムに表記されていたものの
これはイーストンのみに移行した頃のものです。

が、ハブはイーストンのR4ハブではなく
両ねじ切りスポーク仕様のヴェロマックスのもので、
ハブ胴の表記もヴェロマックスのままでした。

これも何度も書いていることですが、
ヴェロマックス系の後輪はニップルの色が
銀と黒の交互になっていて、違うのは色だけではなく材質もです。
フリー側が銀しんちゅう、反フリー側が黒アルミで
振れ取り調整をする場合 原則 反フリー側の黒アルミだけで
調整しろと マニュアルに書いてあります。
今回 この後輪をお預かりしたのは、




フリー側のリム穴の何ヵ所かに
カイゼル髭状のクラックが入っているので
リムを交換するためです。
スタンズのZTRアルファ340も カイゼル髭クラックが よく発生しますが、
あれの原因は リムの薄さ・軽さと
鍛造の結果ゆえなのか 脆いまでの硬さにありますが
ヴェロマックスの後輪で これが発生するのは
単純に スポークテンションが高いからです。
スポークの首とびが起きないので
スポークテンションを躊躇なく上げていったときに
最初に壊れるのが 少なくともスポークやハブではないので
張ろうと思えば かなりのところまで張れます。
左右同数スポークの反フリー側ラジアル組みなので
反フリー側のスポークテンションがヌルくなるはずですが、
ヴェロマックスの後輪は さほどヌルくはありません。
ハイローフランジハブとオフセットリムでいくらか軽減されているとはいえ
スポークテンションの左右差が大きいはずなのですが、
フリー側を異常に張ることで 効率が悪いながら 反フリー側も相当に張れています。
先ほど フリー側のしんちゅうニップルで調整をしてはいけないと書きましたが
どのみち フリー側のニップルは ほぼ回せません。
ホイール組みの際に リムの直下に右フランジが来るほどに
まずは フリー側をキンキンに張り、それから反フリー側の増し締めで
センターを出すように組んでいるのは間違いなく、
私も その方法でホイールを組んでいるのは事実ですが
ヴェロマックスの後輪ほど フリー側を張ったりはしません。
まあ 反フリー側ラジアル組みをしないので そうする必要も無いのですが。
その逆順で ニップルをゆるめてホイールをバラしてみると、
リム側のスポークのねじ山には ねじ止め剤が塗布されておらず
テンションから解放されたニップルは 手でスルスルとゆるみます。
つまり、フリー側どころか 反フリー側でさえニップルをナメそうになる
あの固さは スポークテンションだけで発生しているということです
(歯周ポケットに詰まった砂や粉も多少は関係ありますが)。

あと、ヴェロマックスのホイールはスポーク長さが かなり長めです。
これは一切ゆるめていないニップルを リムから出せるまで
他の箇所をゆるめて出したものです。
これですら、鍵を開けるように ニップル回しで
歯周ポケット周りの固着だけ パキンと解いてやれば
それ以降は手でスルスルとゆるみます。

リムと ウニ(ハブ+スポークの物体)に分けました。
新しいリムですが、のむラボホイール5号のリムであれば
おそらく同じウニの状態のままで ホイールを組めるのですが
反フリー側をヌルくない程度に張るのであれば
また同じようにリム穴にクラックが発生するのが怖いので
のむラボホイール1号のリムで組み直すことになりました。
その場合、スポーク長さを切り詰める必要があるので
一旦 ハブからスポークを外す必要があります。
ハブ側のスポークのねじ山には ねじ止め剤が塗布してあります。

ハブ側のスポークのねじ山長さは、
汎用スポークのそれと同じです。
ハブフランジ内部に ねじ山が突き抜けているのは
破断した際に回収可能にするための保険です。
マニュアルでは ハブ側のスポークが回らない場合
ライターでフランジを熱して 接着剤を溶かせとか書いていますが
私は それを実行したことはありません。

スポークのリム側のねじ山付近ににのみ
例外なく「S」の刻印があります。
一応、向きの属性があるということですが
こちらのねじ山部分の長さも 汎用スポークのそれと同じです。
なので 先ほどのニップルからねじ山が出ていた長さは
明らかに長すぎです。


このハブ側スポークは 簡単に回せるほど ゆるくはありません。
私は、ヴェロマックスのマニュアルには無い
非常に効率よくスポークを外す方法を確立しています。
むしろヴェロマックスに教えてあげたいくらいですが、
廃業しているうえに イーストンのホイールでも
両ねじ山スポーク仕様のホイールをやめて 失伝しています。

反フリー側のスポークを切って ハブに通し直しました。
S刻印と逆側(つまりハブ側)で 長さをカットし、
S刻印がリム側になるように徹底しています。
ハブフランジのスポークのねじ山は
ハブ体左ベアリングより内側なので
仮に スポークが破断して回収する場合
ベアリングを外す必要がありますが、

いまはハブシャフトを抜いているので
内側の様子を覗くことができます。
スポークの先端が ハブシャフトすれすれに見えますが、
これでも純正の状態より かすかに短くしてあります。

長さをカットした フリー側のスポークも通しました。
こちら側のねじ山は ニップルにスポークを通すように
スルスルと軽くはありません。
これもメシノタネコードですが 独自のやり方でやっています。
私が知らないだけで マニュアルには無いものの
かつてのヴェロマックスの製造ラインで
ほぼ同じ方法を採っていた可能性はありますが、
その場合は いわゆる「車輪の再発明」ということになるでしょうか。


↑一旦 フリー側にガッツリずれた状態で縦横振れを取り、
あとは反フリー側の増し締めで仕上げる・・・にしても
極端な過程だと思うかもしれませんが、
ヴェロマックス本家では これ以上に
極端な過程を踏んでいると思われます。
でないと あんなに張れません。


センターが出ました。

組めました。

オリオンIIとは違い、フリー側の最終交差を編みました
(あやどりをとる、とも表現します)。
スポークテンションは 元のホイールと同じところまで上げていません。
不可能では無いですが 同じようにリムが割れる可能性が高いです。
組み換え後の のむラボホイール1号のリムは
オフセットリムではないので、
フリー側のテンションが元より低い以上
反フリー側のスポークの変形しにくさを 元のホイール以上にはできません。
有利な条件といえば リム高が高いので
スポークが短くなったことくらいですが、
そこで大化けするほど スポークの長さが変わったわけでもありません。
なので 悪あがきとして最終交差を編みました。
元のリムと比べて、リムそのものの変形しにくさのおかげで
元のホイールより 明確にヌルいとは思わない、
という結果に期待しています。

ヴェロマックスのように フリー側をしんちゅうニップルにはせず、
全てアルミニップルで組みました。
先ほども書きましたが、もし そうする必要があるほど張れば
遠からず リム穴が割れます。

↑元のリムの実測重量です。
のむラボホイール5号のリムと同じくらいか やや重い程度で
アルミリムとしては軽いほうです。
ブレーキゾーンは 反りや凹みが出るほど摩耗していないので、
新品であったとしても390gを超えないとは思います。
そりゃ こんなリム あんなに張ったら割れるわい。
category: のむラボホイール
WH-R9270-C36-TUの前輪を買いました 
2021/11/25 Thu. 18:20 [edit]

後輪は12S専用のスプラインのリヤハブなので買っていません。
この素晴らしいホイールを前後輪で使うには
コンポのほうを12Sにする必要があります。
7800系が出た当初も デュラエースグレードのホイールは
10S専用フリーボディとして 同じことを やっていました。
ちなみに、R8100系の後輪は
11Sにも対応している従来のスプラインです。
この前輪、概算上ではリムの重量が270~280gになるはずで、
シマノが そんな攻めた仕様にするのか疑問だったので
それの検証のために買っています。

発表当初は、メーカーサイトで「リムブレーキモデルでも使用可能」
との表記がありましたが ほぼ1日で消されました。

↑びふぉー

↑あふたー

リムはチューブラーですが、
ブレーキゾーンに相当する箇所に水抜き穴があいていました。
チューブレスリムの場合でも、タイヤ内の空気がリム内に漏れて
内圧が上がったときのエア抜き穴として
同じ穴があいていると思われます。

ディスクブレーキだけ!とステッカーも貼ってありました。
これを貼るくらいなら DURA-ACEのロゴを
もっと外周いっぱいの位置に設定すればいいと思うのですが・・・。
リムにあるC36の表記のプリントは厚みがありませんが、
DURA-ACEのほうは エンボスとまではいかないものの
かすかに 盛り上がっています。

ホイールの構成は左右同径同数組みの
24Hヨンヨン組み相当です。
実に ふつーの組み方ですが、
故に ふつー以下のホイールでは無いのが確かなだけ マシです。
ロヴァ―ルなどは、ふつ―では無い組み方をしたがために
むしろ ふつ―以下のクソホイールに仕上がっているので。

公称522gに対して525gでした。

スポークを4本抜いた状態での話ですが。

時系列が戻りますが、吊るしの状態だと545gです。
この時点で かなり萎えていますが 続けます。

ホイールをバラして リム単体の状態にしました。
私物として買ったホイールを 届いた その日にバラすのは
アイサツのようなものです。
古くはキシリウムESや 初代シャマルウルトラ(ゴールド)でも
同じことをしました。

↑リムの実測重量です。
うーん、これは厳しい!
超軽量と言ってもいいくらいではありますが
ホイールが公称重量どおりであれば 300gを切っていました。
軽いのは事実ですが、ウソをつかれたのも事実です。
なお、仮にホイールが522gだった場合
リムの重量は285gになりますが、
私の過去の見積もりが それより さらに軽いのには理由があります。
過去の記事では このホイールのスポーク比重を
CX-RAYと同じだとして計算していますが、
実際はそれよりも軽いスポークで組まれていました。
これについては後述します。

300gまでであれば 目量0.1gの秤でも重量が量れたのですが・・・。
ちょっとオーバーしてるだけなので 量れるかも?
と思い 実際やってみたら

ダメでした。
1円玉10枚の10gを載せてゼロを取り、そこから1円玉を除けて
マイナス10gから載せれば量れるかもとか考えましたが
実行は していません。

時系列が戻りますが、ニップルの内周側のつかみしろは
3.2mmの四角で 汎用ニップルと同じでした。
外周側にも 六角の つかみしろがあったので
バラす際には そちら側を触っています。

ハブは116.2gでした。
これはカップ&コーンのディスクハブとしては超軽量で、
相当に頑張っています。
たとえばTniに ストレートスポーク用の24Hディスクハブとして
BITE(バイト)というハブがあり、
フロントハブの公称重量は121gですが
あれはカートリッジベアリング仕様です。

また、「コンポパーツとしてのデュラエースのハブ」としては
最後となった9000系のフロントハブ(当然ですが リムブレーキ用)、
HB-9000よりも軽いことを考えると やはり相当に軽いです。

↑ニップル24個

↑短い側のスポーク12本

↑長い側のスポーク12本
目量1gの秤での吊るしのホイール重量が545g、
リム以外を目量0.1gの秤で量ったパーツの重量を
全て足した合計は544.4gとなりました。

これで、ホイールから リムを抜いた
それ以外すべてのパーツの重量が分かりました。
私は これを「ウニ」と呼んでいます。
スポークですが、公称値と 私の測り方ともに 同じ数値になりました。
スポーク比重は それぞれ61.89%と62.55%で、
概算では62%ということでいいかと思います。
これは、かなりの数のサンプルを採って
平均値を64.5%としている CX-RAYよりも軽いことは確実です。
スポーク長さの公称値が信用できて
スポーク比重も分かっている、これで何ができるのかというと

同じハブと 同じ番手のスポークで組まれた
他のホイールのウニの重量が かなり正確に割り出せるということです。
スポーク比重は62%だと仮定しました。
高剛性モデルのC60-HRは スポークが違うので無理ですが、
C36のチューブレスと C50のチューブラーとチューブレスは
前輪の実測重量から 上の図のウニの重量(青の数値)を引けば
かなり正確に求められます。
ホイールによっては フロントリムとリヤリムの高さが同じでも
厚みを変えて 重たく強くなるように作り分けている場合があるので
フロントリムとリヤリムが同じものだとは断言できませんが、
私が現状 勝手に思っているぶんには
同じじゃないかと予想しています。
今回のホイールですが、リム高に関わらず(ローハイトリムだろうが)
リムブレーキの前輪は16Hが最適、
なぜなら それがスポークの空気抵抗が少ないから!とかいう
要素の大小をはき違えたクソホイールをひねり出し続けてきた
中の人が ようやく勇退したかのような感触があります。
(実際のところ どうなのかは知りませんが)。
リム重量について 萎えたと書いたのは
ホイールの公称重量の522gが わりとウソであったからで、
これが もし550gであったなら 受け取り方も変わり
リムそのものの308gは十分に軽いことから
とくに がっかりしなかったと思います。
あと、スペアスポークの供給などが 永く安定するのであれば
選択肢に入れてもいいのではないでしょうか。
価格についても かなり頑張っており、前後輪の税込定価233530円も
先代と言っていいのか ギリギリ現行になるのか R9100の
リムブレーキのWOモデルが カーボンラミネートのクソ重いリムで
C40が税込定価230560円、C60が税込定価240011円も
することを思えば、破格の安さです
(本当に出回っているのか疑問なレベルで 見かけないホイールですが)。
スペック的に R9270-C36-TUの先代と言っていい
R9170-C40-TU(名前に反してリム高は37mm・前輪の公称重量602g)が
税込定価356572円で あることから、
リムのサプライヤーを変更した可能性が高いと思われます。
ああ、でも R9200系の後輪は12S専用だったわ。
そうでなければ普通に もっと売れるホイールだと思うのに
惜しいことよ。
リム穴は、穴振り無しの仕様でした。
もし穴振りがあったところで 16+8Hでは無いので
左右交互か 反フリー側用の穴のみ
左に振っているのどちらかになるはずなので、
どのみち 私物で リヤブレーキをかけないなら
24Hのリムブレーキの後輪のリムとしても使えます。
category: ホイールの話
のむラボホイール5号のリムを交換しました 
2021/11/23 Tue. 23:00 [edit]

1ヵ所、どうしても取れない振れがあるとのことで
近所のショップで見てもらったところ リムの交換が必要かもとのことでした。
結線したままでも リムのお引っ越しは可能なので、
交換が必要かも・・・とか言うだけでなく やってみてくれてもいいんですよ?
まあ、私が直したほうが 遠方から送って来られる送料を考えても
安く上がるとは思いますが。

振れのひどい箇所に白い目印の点を 3つ付けてあるということです。

↑これら

その3つの点の端のあたりの最外周部に
ブレーキシューがかからないので 汚れが少ない箇所があり、

リムのビードフックがかすかに変形していました。

↑差し金を当てると こんな感じ

↑ちなみに変形が無いところだと こんな感じ

リムのお引っ越し中・・・。
リムをお引っ越ししてから ホイール組み作業に入ったのですが、
振れ取り台でハブをつかむと リムがガタつきます。
ハブの両エンドのナットは ゆるんでいませんし、
ハブの両端に親指の腹を当てて押しても
左右のガタつきはありませんでした。
しかし 振れ取り台にかけるとガタが出ます。
なのでフレームにクイックで取り付けていたときも
ハブを軸として ペダルクリートの可動域のようなガタが
出ていたはずです。
ゴクッと目立つ振れはリムの変形ですが、
その位相以外で 横振れに見えるものは
このハブのガタに起因するところが大きかったはずです。
一切 振れていなかったとは言いませんが。
ハブシャフトを手で回すと
はっきり聞こえる大きな音で ゴソゴソと鳴ります。
どこかのベアリングが死んでいるのが明白です。
リムの振れに出るので フリーボディではなく
ハブ体側のベアリングの可能性が非常に高いです。
それと、このホイールはフリーボディの爪かかりが
滑るときがあるというので フリーボディを交換した履歴があります。
なのでスプロケットを取り付けるスプラインへの食い込み痕も浅く、
外見も きれいなので フリーボディのベアリングが悪いとは考えにくいです。

フリーボディを外すと、ハブ体右側のベアリングが
錆び汁とグリスとホコリが固まった汚れで
シールが隠れるほどに覆われていました。

フリーボディの爪側も もらい錆びでエライことになっていますが、
フリーボディのベアリングには 何の問題もありません。


エボライトハブのハブ体ベアリングは
右側が15267で 左側が6802ですが、
傷みが出やすいのは サイズが小さい6802のほうです。
ハブシャフトに どちらも接している通常の組み付け状態で
回転がゴソゴソしている場合、
どちらのベアリングが悪いのかの判別はできません
(両方ともダメとか、片側は交換するほどでは無いものの
傷んでいるとか そういう場合もありますが)。
たいていの場合は6802のほうを抜くのですが、
今回は15267のほうを抜きました。
結果、6802は傷んでいる感触が無く

15267を補填すると ハブシャフトは
無音でスルスルと回るようになりました。
ハブ体とフリーボディの間のシールと、どん突き防止スペーサーは
本来 単品での提供が無いパーツですが
当店にはあるので 交換しています。
フリーボディの爪と爪起こしバネは 可能な限り錆びを落として
再度 取り付けました。
で、ハブにガタが無くなったので
ようやくホイールが組めるようになりましたが、
ホイールの組み直し後の画像を撮り忘れました。

取り付けてあったスプロケットですが、
ミドルグレード以下のもので スプロケットを留めてあるピンが
内側に突き出しているタイプのものでした。
11Sフリーボディを8・9・10S化するスペーサーは
これに対応しておらず、画像では そうでも無いですが
ロックリングの締め付けで波打つように変形することもあるのと
厳密には変速調整の位置決めに関わるので

↑対策品に交換しておきました。

ピンの内側の出っ張りと スペーサーとの接触箇所

ピンの外側は、はみ出しがありません。
グレードによっては ピンの頭に六角穴があり
アーレンキーでバラせるタイプのものありますが
これはカシメてあります。
category: のむラボホイール
SES3.4の前輪を組みました 
2021/11/23 Tue. 22:22 [edit]

SES3.4のフロントリムで前輪を組みました。
「フロントリムで前輪を組む」のは 当たり前のような気がしますが、
スマートエンヴィシステムは 同社が想定している前後用リムの
フロント用リムは20Hのみ、リヤ用リムは24Hとしています。
今回お預かりしたSES3.4のリムの正式なモデル名は
38ACと42ACですが、リヤリム用とされている42ACは
オフセットリムではなく 左右方向の指定も無いので
中には 42ACで24Hの前後輪を組むという人もいるかも知れません。
その場合「SES3.4のリヤリムで前輪を組みました」という表現もありえます。
ENVEのリムが非常に高テンションで張れるのは
内蔵ニップル仕様ということもありますが、
ホールレスリムを作ってから リム穴をドリリングしているわけではなく
あらかじめ金型に リム穴の部分が成型されているので
リムの完成時点で すでにリム穴があるという
製造法だからというのが大きいです。
つまり、同じモデルのリムであっても穴数が違えば
金型が別になるということなので、
SES以降のリムは ひとつのモデルに対して
1種類の穴数しか用意しないという
コスト重視でもある仕様となっています。
昔の「45」リムなどには 28H仕様があり
シクロクロス用のホイールなどで有用だったのですが、
20Hや24Hの売り上げで金型代を回収してもらうくらいに
売れゆきが良くなかったのかもしれません。

ホワイトの黒いT11ハブ 20H CX-RAY反ヌポークラジアル組みで

バルブ穴の左右両隣と 時計回りに もう2本だけ銀スポーク、
それ以外は黒スポークです。

ブレーキゾーンにヤスリ加工があるリムブレーキ用リムで、

フックレスではなくフックドカーボンリムで
チューブレスレディ仕様です。
・・・説明することが多いなー。
ロードバイク用のリムといえば リムブレーキしか無く
フックレスリムも無く チューブレスレディリムもほぼ無かった
少し前なら、いちいち書かなくてもよかった情報です。

バルブ周りのステッカーは 左右ともハンドメイドインザUSA表記で、
片側がシリアルナンバーではない仕様のものとは違います。
この少し横にある白いステッカーに
シリアルナンバーとバーコードがありますが、
リムの外周側に埋め込まれているラベルにも
同じシリアルナンバーの表記があります。
category: のむラボ日記
deer seeker 2(と鍋谷峠の話の補足) 
2021/11/22 Mon. 23:56 [edit]
表題に反して、今回の記事には鹿は出てきません。
先日 アスファルトがきれいに整備された
鍋谷峠の記事を書きましたが(→こちら)、
それについての補足を先に書きます。

前の記事で、新480号線が 府道226号線こと
旧480号線を ぶった切っている箇所があると書きました。
これについて、図にあるように 私は当初
新480号線を2回渡るという ルートを通っていましたが
新480号線は自動車専用道路で、これより下にあるトンネルと
この先にあるバイパスのトンネルも 自転車は走行できません。
なので この新480号線をまたぐというルートは
道交法上 まずいんじゃないかという指摘を
今日 常連のお客さんからされたのですが、
実は私も そう思っており 今日の早朝も
取材目的で鍋谷峠を登ってきました。

これは帰宅後の画像ですが、ソニーのアクションカメラと
VOLT6000をハンドルバーに取り付けています。
スコラとか デラべっぴんを思い出すのですが。
今日は 午前6時までの降水確率が20%、
6時以降が100%でしたが 鍋谷峠の頂上までは行っていません。
登りの途中(午前4時半くらい)で 雨がパラついてきて
顔にポツポツ当たったので びびって下ることにしたのですが、
それ以降は雨が降る気配も無く
これなら頂上まで登れたやんけ!と思っていたら
家まで残り2kmのところで 急に雨が降ってきて、
ほんのちょっとだけ 雨に降られました。
もし頂上まで行っていたら 20分くらいは
完全な雨の中を走る羽目になっていたでしょう。
以下、アクションカメラで撮った動画からの静止画と
スマホのカメラの画像の2つが入り混じります。

↑これが、新480号線に合流しているところです。
この30mほど手前に、自転車はバイパス区間(新480号線)を
歩くように、という看板が立っていました。
これは新480号を歩いて またげという意味ではなく、
画像にある 緑の部分を歩いて進めということです。
確かに、その場合 車道で自動車相手に事故ることはありません。
が、この歩道らしき道は アスファルト舗装ではなく
目の細かいグレーチングのフタが続いており、
自転車がすれ違うのも難しいほど狭い箇所もあります。
また、歩くと結構な長さなので 歩くことは現実的ではなく
実際は乗車したまま通ることになると思いますが
「一応は 歩くようにと注意喚起はしたぞ」というポーズのために
看板を立てているのでしょう。

これは帰りの道中、上側の合流地点から下側の合流地点まで
歩道を走った動画からの静止画です。
ここから左折して歩道に入り、



ここまでは アスファルトですが、
この先は路面の幅が狭まります。

ガードレールではなく ポールが立っている箇所は
金属のフタの上を走らざるを得ません。
濡れていたり(冬場だと凍っていたり)している場合は
滑る可能性があり危険です。
・・・やっぱり 乗らずに歩こうね!←建て前上の表記

下の合流地点に出ました。

時系列が戻りますが、これは合流前の旧道で
かつて峠のタイムを図る際のスタート地点のひとつだった
製材所の標識のところです。
画像の、街路灯がある電柱に
かつては 気象の青標識がかかっていました。

これが地蔵さんのカーブです。
製材所スタートの場合、ここまでのタイムが
ゴールまでの だいたい1/3になります。
これは遅い人でも速い人でも ほぼ変わりません。

この地蔵さんの両脇にあるステンレス製の花立ては
鍋谷スト氏の手によるものです(→こちら)。
画像では ちょっと枯れちゃってますが、
ここの地蔵さんは 誰かの手によって
よく花が替えられていました。
この山道は 途中に商店や民家などが一切無く、
自販機すらも無いうえに 仮に 歩いてここまで来るとなると
けっこうな道中になりますが、
何かのついでではなく わざわざ 地蔵さんの世話のためだけに
そこそこの頻度で ここまで来ている人がいるということです。


これが、前の記事で 右側の法面に
ホッチキスの針型の黄色いハシゴがあると書いた地点です。
ここまでで タイム的には ほぼ2/3になっているはずです。
この少し先に もうひとつ同じハシゴがありますが、
中間ラップを採るのは この手前のほうのハシゴです。
このハシゴの直前に 勾配が明らかにゆるくなり、
アスファルトの色が明確に変わる継ぎ目があって
そこを通過するときに ラップを採っていたのですが
目印にしていたアスファルトの継ぎ目は
補修によって無くなってしまいました。
今となっては それ以前に製材所スタートではなくなったので
時間的な目安には ならないかもしれません。
が、このハシゴ以降 勾配がゆるくなることは 知っておくと便利です。

前回の記事の この図の、
下りでの ブラインド左コーナーですが



↑これら、全て違う箇所ですが
直線のあとに えぐるような左コーナーが
あるという点では共通しています。

上のほうになると落ち葉が多くなっていました。
もし濡れていると 案外滑るので要注意です。




同じ画像を並べているように見えますが
実はこれら、全て違う橋です。
橋の上がコンクリート舗装で 右コーナー、というのが
先ほどの左コーナーと交互に延々と続きます。
雨がパラついてきたので引き返したのが
黄色いハシゴのあたりなので 画像はそれより下のものだけですが、
それより上でも 同じような感じです。
補修前の路面では、これらの橋との舗装の境目に
油断ならない段差があったのですが
ほぼ全ての橋で きれいに埋めてありました。

わりと下のほうにある、このコンクリート部分が
斜めに切った はんぺんのような橋だけは

やや大きな継ぎ目があるので 要注意です。
次に、この記事のdeer seeker要素について。
アクションカメラを使ったのは、前回 鍋谷峠を登ったときに
アライグマと遭遇したからです。
タヌキではありません。尻尾が完全に縞模様でした。
2匹が道路の右側にいたのが 突如現れた私にびびって
私の前を さっと横切り左の草むらに逃げたのと、
そのあとに別の個体を1匹 見かけています。
それを撮ろうと思い、アクションカメラを
ハンドルバーに取り付けたのですが
アライグマとは遭遇できませんでした。
が・・・、

下りで ノウサギに遭いました!

めっちゃ すばしっこい。

↑こやつ


↑最も ウサギっぽいコマが これです。

このあと、右側のガードレールをくぐって
林の中に逃げられてしまいました・・・。
鍋谷峠と同じ和泉山脈に
通称 犬鳴山(いぬなきさん)という峠があります。
そこにある温泉のほうは いぬなき「やま」と読みます。
道沿いに神通(じんづう)温泉というのもあるので
神通峠と呼ばれることもあります。
頂上のトンネルは犬鳴トンネルと言っても通じますが、
正式名称は池田トンネルです。
以前に そこの登りで かなり大きなアライグマが
道路のセンターラインに2匹でいたのを見かけ、
下りの左側の白線の上に ノウサギがいたのを見かけたので
後日 2回にわたってアクションカメラを取り付けて行ったのですが
どちらも不発に終わりました。
が、頂上のトンネルまで行って画像を撮りました。

↑池田トンネル和歌山側

↑池田トンネル大阪側
心霊スポット感があります。
これらは同じ日に撮ったわけではなく、
2枚目は1枚目の5日後です。
また、2枚目に大阪側と書いていますが
実は このトンネルは県境でなく
トンネルの2km手前あたりが県境で、
それより先にある神通温泉も
住所は和歌山県紀の川市になります。
ここの大阪側の下りは自作のチェーンガイド(→こちら)が
機能しているか(チェーン落ちが起きないか)の判定に使えるので
登りに行った、というのが そもそもの動機で、
そこでアライグマとノウサギを見かけたのが
そのあと2回にわたって行った動機です。
これは8月のことですが、コロナ禍で 他県への移動に対する
自粛ムードが今より強かった頃ということもあり
和歌山側へは降りていません。

これは また別件、同じく和泉山脈の風吹峠の
付け換わった新しい道の 新しいほうのトンネルです。
これは6月で 時刻は午前6時40分くらいですが、
今なら日の出がそれくらいなので こんなに明るくはありません。
このトンネルの手前には(今は知りませんが 少なくとも当時は)
「不要不急の外出を控えましょう!」みたいな 看板が何枚も並べてあり、
大した用も無いのに和歌山に来るなという圧が 非常に強かったので
そのまま来た道を 回れ右して帰りました。
ここも 実は、トンネルの少し手前にある道の駅の
さらに少し手前に県境があるので 厳密には和歌山県に突っ込んでいます。
このときは フィジークのアダプティブサドルを付けていますが
これについても いずれ記事を書きます。

↑さっき書いた道の駅のトイレの前
これ以前に来たときは トイレの建物の中に
雛がいるツバメの巣があったのですが、
それがあるのが 女子トイレの入り口の上付近なので
誤解を受けるのが怖いので 画像を撮れませんでした。

↑カタツムリ先生
ボトルの水を垂らすと なんか生き生きした感じになりました。
category: のむラボ日記
のむラボホイール1号の前輪のリムを交換しました 
2021/11/22 Mon. 22:14 [edit]

お客さんから のむラボホイール1号の前輪をお預かりしました。
ENVEのステッカーが貼ってありますが 気にしてはいけません。
画像右下の空間が歪んでいるように見えますが、

歪んでいるのは リムのほうです。

いつもと違う道を走っていたら
幅が広めのグレーチングに 前輪が はまり、
低速だったので 停車→てこの原理で リムがメキッ☆と逝ったとのことです。
高速で突っ込んでいれば、どのみち要交換な程度には
リムが曲がったかもしれませんが こういう壊れ方はしません。
ただ その場合、前輪を軸として 縦回転して
大怪我をする可能性があるので
前輪の破損だけで済んだだけ良かったです。

↑ここから

↑ここまでの間が曲がっています。
リムの変形が大きいので リムのお引っ越しが出来ませんでした。
私としても そっちのほうが都合がいいです。

組めました。

銀スポーク金ニップルですが、組んでから日が浅いので
ニップルは20個中19個を使い回したのですが、

↑これだけは回収不能だったので新品に交換しています。
スポークは全て使い回せました。
category: のむラボホイール
プライムのアタキの前輪をのむラボホイール1号に組み直しました 
2021/11/21 Sun. 23:49 [edit]

お客さんから プライムのアタッカーの前輪をお預かりしました。

なぜかモデル名がフランス語です。
表題にあるアタキはフランス語で読んだ場合のカタカナ表記です。

リムのビードフックが座屈で変形したので
リムの交換をご希望です。
当初、TniのAL31Wが リム高・リム幅が同じくらいで
チューブレスレディリムという点も同じだったので
それで組み直すつもりだったのですが
リム重量が重たいからか AL300(本名:XR300)リムで
組み直すことになりました。

現状、チューブレスレディタイヤをチューブレス状態で運用していますが
AL300リムがチューブレス非対応リムだという点についても
お客さんの了承は得ています。

タイヤを外して変形箇所を見てみると こんな感じです。
けっこう ベッコリと逝っています。


チューブレスバルブの食い込みが強く
外周側に簡単に抜けなかったので、
バルブに米式変換アダプターを取り付けて
プラスチックハンマーで軽く叩いて抜きました。
当店における この変換アダプターの使用用途は
おもに これです。
これ、出先でパンクしたときに なかなか外れない場合
どうしたらいいんでしょうか。
これに対する対策が第一義ではないものの
トリプルバルブにしていると この点でも便利です。
実は最近 私物の後輪を リムを換えて組み直しました。
リムを変えて、ではなく換えてなので
リムは組み直し前と同じく DTのXR331です。
2番目と3番目のバルブ穴の位相を変更しました。

バルブナットは 四角い穴になっていて、
バルブの丸との接触箇所にのみ
ねじ山を切っているという仕様のものです。

それはともかく組めました。

リム内径の半径が 元のリムと0.5mmほどしか違わなかったので
スポークは そのまま使い回しています。
category: のむラボホイール
補修後の鍋谷峠を登ってきました 
2021/11/19 Fri. 07:04 [edit]
国道480号線のバイパス(自動車専用のトンネル)が通ってから
それに対する旧道となるものの 全面補修された(してくれた)
鍋谷峠に、遅ればせながら行ってきました。

頂上で朝4時ごろです。
標識が傾いているので水平に直そうとしたら
どこか釘が抜けているのか 画像の状態にすぐ戻ります。

これは和歌山側に ほんのちょっと入ってから
大阪側に向けて撮ったものです。
鍋谷峠ですが・・・

新しい道が通る前は
峠のタイムの計測開始地点が 人によって違い、
鍋谷橋という橋からスタートするか
その少し先にある製材所のところにあった
「大雨が降った場合などに ここから通行止めにしますよ」という
始点の青い標識の真下からスタートするかの2つがありました。

私は製材所派だったのですが
(複数人で溜まる場合 橋よりも車の妨げにならず、
日陰があるので 夏場でも比較的涼しい)、
橋から製材所までは 人によりますが40秒くらいなので
スタート地点が違っていて 話が噛み合わないときは
40秒を足すか引くかすれば だいたい合いました。
で、これがバイパスが通った現在では

旧国道480号線が 府道226号線となり、
かつてのスタート地点2つから少し先で
新480号線がズドーンと通ってしまいました。

かつてのスタート地点から走り始めると
すぐに ほんの少しだけ新480号線を走ることになりますが、
逆走は危険なので 一旦 道をまたぐ形となり、
すぐにまた226号線に入るために また道をまたぐことになるので
車が走ってくると危険です。
気象の始点の青標識も226号線に再度入ったところに移動しているので、
今後は ここをスタートにするのが安全かと思われます。
新しい青標識から先は 和歌山まで完全な一本道です。
終点のほうの青標識は 昔も今も変わらず
頂上の県境の コーナー2つ手前です。
で、走ってみたのですが舗装が あまりにきれいなのでびっくりしました。
補修前は そこかしこがガレており、
アスファルトが剥がれた恐竜の足跡みたいな浅い穴の底が
砂利になっている部分も多く、集団で走っているか
車に気をつけると まっすぐそこに突っ込まざるを得ません。
その程度で リムが座屈で壊れたりはしませんが
その穴から這い出すように出るときに 無駄に足を使わされます。
補修後は そういうのが一切無くなっており、
登りはともかく 下りで危ないので 位置を全て覚えていたのですが
ありがたいことに その意味が無くなりました。
かつての製材所スタートの場合
地蔵さんがいるところで 全体の時間的に1/3、
ホッチキスの針のような コの字型の黄色いハシゴの取っ手が
右側のコンクリートの法面に付いていて
斜度が明らかにゆるむところが 全体の時間的に2/3です。
時間でなく距離では 製材所~地蔵の箇所で3割弱といったところです。
鍋谷峠は後半の斜度がややゆるいので、
時間で1/3の地点では 距離では1/3に達していません。
地蔵までを本気の高強度で走った場合、
その強度を最後まで維持できれば 地蔵までの時間の3倍が
だいたいゴールタイムになります(製材所スタートの場合)。
が、スタート地点が変わって 舗装もきれいになった今となっては
走り方も変わるので 相当にタイムが短縮されるはずです。

下りですが、ブラインド左コーナーのあとに
小さな橋を渡る右コーナーという
同じようなシチュエーションが延々と続きます。
鍋谷峠は上のほうが斜度がゆるいと書きましたが、
それでも 登っていて明確に下りに転じる箇所は無く、
平地になる箇所も ほぼ無いので
頂上から大阪側に下る場合 始点の青標識まで
ノーペダリングで下ることもできます。
下りで午前4時過ぎで VOLT800のハイモードとはいえ
暗いというのもあり ほぼノーペダリングで下ったのですが、
左ブラインドカーブが 次々と すぐに現れるので
右脚が ずっと下死点のままとなり、
橋の右コーナーで下げている脚を切り換えないでいると
右ひざの裏がシビレて来るような感覚になりました。
昔は 補修前の下りを レース脳全開で
ペダリング込みで ぶっ飛ばしたこともあるのですが
いま同じことをやる自信はありません。
補修前は そこかしこに浅い穴があったり
ガードレールの真下のアスファルトが
崩落していて 元々狭い道が
さらに狭くなっている箇所などがありましたが
補修後はそういうのが 皆無と言っていい状態でした。
これは元からですが、山道に入ってから(始点の標識以降)は
マンホールやグレーチングも無いので
サーキットのような感覚で下れます。
これはこれで危ない場合もあり、
ガレていたりするような道というのは とくに気をつけるので
かえって落車などをしにくかったりもします。
自分の限界以上のスピードが簡単に出せるような下りは
落車した場合の大ケガ率が上がります。
淡路島の水仙郷の下りなどが いい例です
(本当に骨折したという話が多い)。
下る際に このコーナーの反復が何回続くのか、
上の図でいうところのn回が いくつなのか
いつも数えながら下っているのですが、

途中で脳内の羊が 次々と柵を越えながら
「時そば」を仕掛けてくるので いつも うやむやにされます。

橋は、下のほうを除いて ほとんどがコンクリートの舗装です
(上の図では輔装と誤字っていますが気にしないでください)。
左右にコンクリート製の低い欄干があり、
たいていの橋で緑の金網が立ててあります。
かつては橋に入るアスファルトとコンクリートの間に段差があり、
登りでスピードがつっかえるわ 下りのコーナーで跳ねて滑るわ
季節によっては落ち葉でその段差が隠れるわと
わりと油断ならなかったのですが
補修では この段差も きれいに埋めてありました。
バイパスが通ったので、鍋谷峠の旧道が
今後傷む最大の要因は 交通荷重ではなく
気候による経年劣化だと思われるので
それなりに長い間 アスファルトの良コンディションが保たれるはずです。
あと、私にとってありがたいのは
高野山からの帰りの峠の選択肢がひとつ増えたというか
封鎖が解けて元に戻ったことです。
矢立茶屋から480号線、美嶋温泉に向けて下ったあとに
紀見峠まで回る必要が無くなったのと、
紀見峠だと 時間帯によっては
そのあとの国道310号線が異常に混むので
夕方に走りたくないのです
(鍋谷峠を下ってから泉北2号線に出ると それほど車が多くない)。
category: のむラボ日記
グランプリ5000が少数入荷しました 
2021/11/18 Thu. 22:45 [edit]

少数 入荷しました。
とくに23Cについては「春まで来ない」とお客さんに言っていましたが
(問屋さんが そう言っていたので)、
注文残分に引き当たったものが入荷しています。
問屋さんへの今回の入荷分では
注文残分の全てに充当できなかったため
問屋さんには依然 在庫は無く、そのため補充はできません。
それとは別に 25Cの茶サイドも入荷しました。
コンチネンタルでの呼称はトランスルーセントですが
いわゆる茶サイドとかアメ色サイドです。
上の画像のものは700Cですが
一部のグラベルバイク用に650Bサイズも出ており、
元々ランドナー用のタイヤサイズだった650Bで
ランドナーと親和性が高い茶サイドのタイヤを
現代版のランドナー的バイクとしても使える
グラベルバイクで流行するというのが
時代が変わっても 変わらない嗜好があるというか
同じことを繰り返している感じがあって面白いです。
キックスケーターで遊んでいる子供のうち、
ローラースルーゴーゴーを知っているという子は まずいないでしょう。
それよりは多いと思いますが、
三ツ星(本業はベルト屋さんで タイヤ事業は廃業)の
トリムライン(というタイヤ)を知っていて 使ったこともあり
現在 ディスクブレーキのグラベルバイクも所有しているという人も
ゼロでは無いでしょうが 少ないと思われます。

↑これはグッドイヤーの茶サイドで、
メーカーでの呼称はタンカラーです。
タンとは牛タンのタン(舌:tongue)ではなく
日焼けを意味するtanのことです。
追記:なめし皮のタンでは?というコメントをいただきました。
そうかもしれません。
皮をなめすtanも 日に焼けさせるtanも綴りが同じですが、
「黄褐色の」という意味で使うなら
tan sidewallでいいところ
「日焼けした」という意味で使うなら
tanned colorとかtanned sidewallになる気がしますが、
メーカーの資料では BLK/TANとなっているので
これは黒/黄褐色と 色自体のことを指しているので
日焼けしたという解釈は間違っているようです。
コメントありがとうございました。
これは比較的 薄めの茶サイドですが、

グランプリ5000の茶サイドはもっと濃いめの茶色です。
上の画像は 実物より薄く写っています。
で、このタイヤサイドの色なんですが
昔のグランプリ3000の茶色と ほぼ同じ色なので
私に言わせれば新色というよりは 復刻といった感じです。
category: 新着情報!
ボーラウルトラ35さん 
2021/11/18 Thu. 22:22 [edit]

コスメチックが通常モデルと違いますが、
これはキャニオンのモビスターチーム レプリカカラーの
完成車に付属している特注仕様のホイールです。
チューブラーリム仕様ですが、最近の完成車のホイールで
チューブラーというのは 珍しいかもしれません。
フルクラムのスペアパーツカタログには
巻末に カスタムホイールという項目があり
2013年以降の特注ホイールの仕様について
細かく書いてありますが、カンパニョーロには掲載がありません。
上の画像、目印のテープを貼ったスポーク2本が曲がっていますが
テンションを抜いて 見た目に分かるようにしてあります。

直しました。

変形していたスポークは同じ側ですが
くっきり曲がっていたわりには 連続していないのが不思議です。

つづいて後輪。
振れ取りごっこを しくじってスポークが ねじれています。


フリー側、G3のお休み位相の両隣の2本が ねじれていました。
ニップルもナメかけているので要交換です。

直しました。

ボーラは、落車や外的な力がかかったなどの要因が無い
通常の使用範囲では なかなか振れないホイールです。
振れたとしても反フリー側の増し締めだけで ほとんど解決し、
反フリー側の増し締めで リムが左に寄るのと
経年使用でリムが右に寄るのが ほとんど釣り合うか、
振れ取りを ほぼ要しないので 経年使用のセンターずれのほうが
勝るといった感じになることが多いです。
何が言いたいのかというと、
初手でフリー側のニップルを いじくっているのが センスが無い、
さらに スポークをねじってニップルをナメたのが 2ヵ所触ったうちの2ヵ所、
つまり100%やらかしているのも ダサすぎるということです。
ちなみに お持ち込みされたお客さんは
このホイールの最初のオーナーではありません。

↑交換した前輪のスポーク


↑交換した後輪のスポークとニップル

ねじれた部分が戻ることも無く、かといって ねじ切ることも無く
ねじ山の固着も無かったので わりと あっさりゆるんだのですが、
この状態で むしろ どうやってスポークをねじったり
ニップルをナメたりできるのかが分かりません。
category: のむラボ日記
XR240リムとダイナモハブで前輪を組みました 
2021/11/18 Thu. 21:13 [edit]

キンリンのXR240リムと シマノのダイナモハブで前輪を組みました。
ダイナモハブなので前輪に決まっていますが。
XR240リムは、リム高はXR200に近いものの
重量は よりリム高が高いXR300より むしろ重たいというリムで、
レーシングパーツとして見ると ハイト/ウェイトレシオで劣っていますが
「重いので頑丈」という見方もできます。

DH-C3000 36H 全コンペ反ヌポークラジアル組みで
赤アルミニップルです。
category: のむラボ日記
捕まるぞ 
2021/11/18 Thu. 19:28 [edit]
「ロヴァ―ルのスペアスポークを自作する場合の
エリンギ型スポークヘッドは どうやって加工してるんだ」
と訊かれたので
「遮断機が下りた踏切に立ち入って列車に轢かせてる」
と 出まかせを言ってしまいました。
信じないように。
本当にやったら捕まるぞ。
そのショップから最寄りの線路は
山陽新幹線の高架なので踏切は無く、
やるとしたら甲子園口駅付近の踏切になると思われます。
スペシャライズドの扱いが無いのに修理を引き受けるとは偉いのう。
category: のむラボ日記
HUNTのホイールのカーボンスポークを交換しました 
2021/11/16 Tue. 23:55 [edit]

目印のテープを貼ってあるスポークに ささくれがあり、
交換してほしいとのことです。

ささくれは お客さんのほうで 接着剤で埋めてあります。
このささくれについては やらかしたわけではなく、
買った当初からあったので HUNTにホイール自体の交換を希望したところ
「当該箇所のスポークの交換で勘弁して」ということで
スポークが送られてきたそうですが、
近所のショップでは「工具が無い」という理由で断られたので
修理実績がある当店に依頼したという流れです。
このホイールのお客さんとは 以前にやり取りしたことがあるので
全くの一見さんというわけでは無いのですが。
「工具が無い」とのことですが、3.4mm対辺四角のニップル回しと
6mm対辺六角のボックスレンチ型ニップル回しがあれば 作業は可能で、
それが無いのに自転車屋の看板を上げているということが信じられません。
無いのは工具ではなく技術と自信だと 正直に言えないカスでも
N県では飯を食っていけるということが分かりました。
どーでもいい話ですが、イニシャルで伏せた場合
最も匿名性が高い県と市は S県K市になるそうです。
県ではなく府で、ただ一例しか無い例としては
K府U市や O府D市などがあります。
お預かりしたホイールは ささくれを埋めたスポークが混じっていますが、
振れには影響はありません。
元々ほぼ振れ無しであったところ 重箱の隅をつつくレベルの
振れ取りを 元のホイールの状態のまま やりました。
といっても 回した内蔵ニップルは2ヵ所で、その量も ごくわずかです。
もちろん、ホイールセンターが変わるほどではありません。


という状態でセンターゲージを当てたのが これです。
そこそこセンターずれがあります。
横振れは 超絶に追い込んでいるので、
いつもの暫定センターと違い どの位相でセンターゲージを当てても
同じ結果が出ることが 確かです。

交換するスポークを抜き取ろうとしたところ、
スポークヘッドが どうやっても隣のスポークに干渉して抜けないので

隣のスポークのニップルをゆるめて 通せるようにしました。
これのために さらに隣のスポークをゆるめる必要があり
そのためには さらに隣の・・・という連鎖で
片側全てのヤマアラシさん方向のスポークをゆるめる必要が
あるわけではなくて 良かったです。

目印のテープがフランジ穴を通らないので剥がします。

直りました。

テープは「一旦ゆるめたスポークの目印」で、
ひとつは交換したスポーク、
もうひとつは作業の必要上ゆるめたスポークです。


センタードンピシャです。
反フリー側の増し締め傾向で作業できるので助かりました。
左右同数スポークの後輪であれば
「テンションが低い反フリー側を上げられるのがありがたい」となりますが、
このホイールのように2:1組みなどの左右異数組みの後輪の場合は
「少ないスポーク側の増し締めで済むのでありがたい」となります。

↑交換したスポーク(×印のテープを貼ってあるほう)
HUNTから送られてきたのが2本だったのか
スペアスポークを 2本お預かりしていますが、
必要なのは1本だけでした。
HUNTのカーボンスポークのホイールを買った際は
使う前に スポークのささくれの全数検査を
したほうがいいかもしれません。

あと、謎のステッカーが お客さんに送り込まれるようですが、
これを スポーク交換を断ったショップの入り口のドアノブに貼るという
テロ行為(※)に使うのは 決してオススメしません。
ダメだやめろ私は止めたぞ貼るな貼るな貼るんじゃないぞ。
※語源通り まさに恐怖でしかないでしょうな。
もし心当たりがあるショップが ここを読んだなら
しばらくは ビビって店のドアノブをチェックし続けることになるでしょう。
category: のむラボ日記
Tniのクロモリコグのレインボーを買ってみました 
2021/11/16 Tue. 23:23 [edit]
R9100の11-25Tと12-25T、R7000の12-25Tを除いて
それ以外 全ての歯数が全滅となっております。
予定通りいけば(いかないと思っていますが)
だいたいの歯数の予定納期は 来年の1月~3月ですが、
R7000の11-30Tや11-32Tなどは
6月以降になると思われます。

それはいいとして(←よくねーよ)、普段乗りのバイクに付けていた
R8000の11-30Tスプロケットを外しました。

フロントシングルギヤの歯数は44Tですが、
これは本当は46Tにしたいところ
カンパニョーロのエカルのチェーンリングの最大歯数が44Tで
社外品も出ていない(たぶん)ことから
44×11-30Tで使っています。
画像のスプロケットは洗っていますが、洗う前のほうが
普段 チェーンを よくかけている範囲が
分かりやすくて良かったかもしれません。
トップギヤにもローギヤにも ほとんどかけていないことから
フロントギヤの歯数が 軽すぎず重すぎないこと
あまり山にも行っていないこと
これはまだ使えるので捨てるわけではありませんが、
Tniのクロモリコグを買ってみたので 交換するために外しました。

↑こやつ

クロモリのカタマリを削り出ししたスプロケットです。

アルミではないとはいえ、
ちょっと攻め過ぎな気もします。

↑リヤハブに通して内側から見た図

Tniのクロモリコグには
チタン(材質ではなくチタン色という意味)のものが
シマノで10種類、カンパニョーロで1種類の歯数展開があり、
そのうち11-30Tと11-32Tにのみ
レインボーという いわゆるオイルスリックカラーの展開があります。
価格は歯数に関わらず チタンで税別定価22000円、
レインボーで24000円です。
安いものでは無いですが、私の普段乗りのバイクで
シマノ11S規格なのは スプロケットとチェーンだけで、
これはカンパニョーロのそれらが高いので
維持費をケチるという目的が大きいので
スプロケットが2万円しても カンパニョーロ純正よりは安いので
べらぼうに高いという感じではありません。
これとは別にあるアルミ製のスプロケットは、
摩耗の激しさによる耐用年数の短さから考えると 割高ですが。

Tniのレインボーの2種類の歯数の構成を書き出しました。

同様に、トップとローのギヤの歯数が同じ
シマノのスプロケットの構成も書き加えました。
11-32Tについては どちらも同じ構成です。

さらに、歯数差を書き加えました。
Tniのクロモリコグの11-30Tは、
トップギヤの次を除いて「全て2Tとび」という特異な構成となっています。
ローギヤ付近の4~5枚が1Tとびになるというヒルクライム向けの
「ロークロス」という歯数構成がありますが、
あれほど極端では無いものの 最後まで2Tとびというのは
ロークロス的な性質を帯びています。
実際、上の図の11-30Tで 24Tから30Tまでの間にあるギヤが
シマノでは計3枚であるところ Tniでは計4枚です。
反面 13Tや15Tが無くて、トップギヤ側の数枚では
変速1回あたりで変動するケイデンスの差が大きいのが
デメリットになるのも ロークロス的性質です。
これを試してみたいというのもあって
今回 Tniのクロモリコグを買ってみました。
ちなみに、Tniのクロモリコグの全ての歯数の合計は
11-30Tで221枚、11-32Tで211枚となり
「ローギヤが大きい構成のほうが 枚数が少ない」ので
公称重量も11-32Tのほうが軽いという
一見 奇妙な結果になっています。

↑今まで使っていたR8000の11-30T
これの公称重量は269gですが、
それはロックリング込みでの重量だと思われます。

↑Tniクロモリコグの11-30T
11-30Tの公称重量は237g、11-32Tだと214gです。
こちらもロックリング込みでの重量だと思われます。
R8000の最小ギヤの11-25Tが公称232gなので、
それとほぼ同重量で11-30Tだと思えば軽いです。
R9100の11-30Tは公称211gですが、
税別定価28311円と これより高いのと
ローギヤ5枚がチタン製で 摩耗が早いことを考えると
コストパフォーマンス的にも悪くはありません。
悪いのは変速パフォーマンスです。
シマノの純正スプロケットより良くなることはありません。
と言いたいところですが(事実ではあるでしょうが)、
私が使った感触では 明確にひどいというわけでもなく、
スプロケットが社外品だというのを意識するのは 変速の感触ではなく
トップ側半分のギヤでの変速で
ギヤ1枚分の割りには重いなー(軽いなー)と分かる感触のほうです。
11-30Tの歯数構成が トップギヤの次以外全て2Tとびなのは
レインボーだけでなく チタンのほうでも同様です。
チタンのほうも問屋さんに在庫があったのですが、
ひと目で「あ、こいつ社外品のパーツ付けてやがる」という
いちびった(※)見た目も欲しくて オイルスリックカラーのほうを選びました。
※「いちびる」は関西での方言です。
category: のむラボ日記
旧スーパーエアロリムでピストの前輪を組みました 
2021/11/15 Mon. 23:46 [edit]

お客さんから 旧スーパーエアロリムで組まれた前輪をお預かりしました。

600アルテグラのフロントハブ HB-6400 28H
ロクロクJIS組みで、

スポークは 星の☆マークのスポークで、
かなり強い磁石ですら ほぼ無反応な ステンレス
(一般名詞のステンレスとは別の こういうモデル名)の15番プレーンです。
後年、同じ刻印で磁性が違うパチモンを
星スポーク自身で ばらまきますが、これはそれ以前のものです。


大きなセンターずれがあるのと

DTスポーク・DTニップルで組まれていた後輪と違い
ニップルも 星のしんちゅう(スポークの付属品)で
前後輪で必要な工具のサイズが違うので
(上の画像は3.4mmニップルに 3.2mm用の工具が入らないの図)
おそらくは前後輪で組まれた時期と 組み手が違うと思われます。

ホイールをバラして リム以外の全てのパーツを変更して組み直しました。

HB-7600 28H 現行エアロスターブライト14番
ロクロクイタリアン組みです。
ハブとリムに左右の属性は無いですが、
イタリアン組みで左右の属性が発生しています。

さーて、連続で組んだ これらの28Hホイール、
左右の最終交差全ての合計56ヵ所を結線しないといけません。
あとで やります。
category: のむラボ日記
コスミックカーボンUSTさん 
2021/11/15 Mon. 22:29 [edit]

これは遠方から送られてきたものですが、
その前に 症状について相談があり
フリーボディが手で抜けない、そして
リヤハブシャフトに左右方向のガタがあるとのことでした。
インスタントドライブ360はポン当て式の構造で
ねじ山を締めるような玉当たり調整要素が無く、
普通に考えれば横ガタの出ようがありません。
が、実はハブシャフト左端側の溝にかかっているスナップリングが
何かの拍子に外れたときに横ガタが出ます。
その事例を知っていたので「スナップリングを疑ってみてください」と
アドバイスをしたのですが・・・。
結局 当店に送られてきました。


左右ともポン当て式エンドです。
前作のFTS-Lフリーボディは
フリーボディ外側のベアリングの
(というかフリーボディ内側にはベアリングが無い特異な構造ですが)
内径が9mmとなっています。
12mmスルーアクスルを通すためには
ハブシャフトの内径が 当然ながら12mmである必要があり、
外径は15mmや17mmにする必要があります。
これはハブ体やフリーボディのベアリングの内径にもなります。
このハブもポン当てエンドの交換で
クイックからスルーアクスルへの変換が可能ですが、
リムブレーキ用のホイールなので
スルーアクスルにすることは まず無いと思われます。
スルーアクスル化が容易という点以外での
インスタントドライブ360の特徴として
DTのスターラチェットのような 面ラチェット構造が挙げられますが、
これは初期性能を維持できる期間が非常に短く
専用のペースト状のグリスの価格と入手しやすさ(入手しにくさ)、
理想的な状態を保つ場合のメンテ頻度を考えると
まともな運用自体が現実的ではありません。
現に、持ち込まれるホイールのほとんどが
ラチェットのグリスが切れているといっていい状態です。
なので 私に言わせれば欠陥規格です。


左のポン当てエンドを外しました。
やったことは それだけで、他には何もしていません。
撮り損じが怖いので 別角度からも撮っています。
お客さんからの手紙には「スナップリングの部分は
キチンと組まれているみたいです」とありましたが
やはり ここがキチンと組まれていないのが原因でした。
原因も対処法も言い当てているのに
話が通じていないというのは 非常に心にクるものがありますが、
これが初めてでは無いですし 最後でも無いでしょうし
実は わりと しょっちゅうあります。

スナップリングが キチンと はまっていないという確信があったので
プラスチックハンマーで 軽く叩くと
フリーボディ付きハブシャフトが 右側に抜けました。

↑こんな感じ
スナップリングとベアリングの間に ウェーブワッシャーが噛ませてあり、
これのテンションのせいで スナップリングを
溝に はめるのが 難しいのは事実です。

↑外した物体

ハブシャフトの左側には溝がふたつあり、
内側はベアリング直下のOリング、
外側は例のスナップリング用の溝です。

フリーボディが手で抜けなかったので

DTの叩き抜く用の治具が ちょうど合ったので
それを取り付け、

叩き抜きました。
ベアリング直下に相当する部分に もらい錆びがありますが
フリーボディは最近 近所のショップで交換したとのことで
ベアリングに傷みはありません。
それでもハブシャフト側が錆びて汚れていれば
固着に近い状態になるようです。

汚れたグリスを拭き取りました。

びふぉー

あふたー

ハブシャフト右側の、ハブ体右ベアリングの抑えとなる Cリングと

ハブシャフト左側のゴムのOリングを一旦外して
可能な限り 磨きました。
ハブの内部が やたらと錆びているので
あとから お客さんに「高圧洗浄機を使っているのか」と訊きましたが
使っていないとのことです。ふーむ。

ハブ体の内部も錆びまくっています。
こう見えて、ハブ体右側のベアリングは
交換が不要な程度には傷みが少ないと思っていました。
このときは。

ベアリングのシールですが、ハブ体右側は
画像では分かりにくいですが めくった痕跡があります。
めくったことが分からないようにする方法もありますが。

こちらはハブ体左側のベアリングです。
シールにめくった痕があり ベコベコになっています。
こちら側のベアリングは 回転がゴリゴリで要交換でした。

NTN TAIWAN SC03838LBとありますが、
寸法を測ると 内径17mm外径28mm厚み7mmなので
その数値を並べた17287と同じ寸法のものになります。
元のベアリングの品番の末尾のLBは
非接触式を意味していますが(接触式ならLU)、
右側のベアリングが オレンジ色の接触式シールなので
メーカー純正のものなのかどうかは知りません。
また、私に用意できるのも 非接触式のベアリングになります。

↑外したベアリング
スプレーオイルを噴くと 錆び汁が出続けました。

ベアリングを取り寄せました。
15287は よく使うので常備していますが、
17287は あまり使わないので 1個だけ取り寄せました。

シールの表記も17287で、

サイズも同じです。

ハブシャフトの左側に ウェーブワッシャーとスナップリングを
「キチンと」取り付けました。

左ポン当てエンドですが、バテッドしている細い径の奥まで

このように入ります。

フリーボディが固着して抜けないので
ホイールの左側から スプロケットのローギヤあたりを
ガンガン叩くことで起こると思われるのですが、
スナップリングが外れて ポン当てエンドに接する状態になることがあります。
この状態だと、ハブシャフトは左右にガタつきます。
戻って見てもらえば分かりますが、
冒頭の「左ポン当てエンドを外しただけの状態」では
スナップリングは溝ではなく
上の画像と同じ位置に乗っかっています。

ハブ体右側ですが、中の様子を見るに
仕事を果たしているとは言い難い 防水防塵シールを

外しました。

汚れたグリスを さっと拭き取りました。

ラチェットの台座の抜け止めの
Cリングの切り欠きが見えるようになったので

Cリングを外して

ラチェットの台座も外し、

右ベアリングが圧入されているだけのハブ体を

可能な限り洗浄しました。

左ベアリングを圧入しました。
あとから分かったことですが、こちらが新品になると
右ベアリングの 要交換というほどでもない傷みが
目立つようになりました。
が、今回は右ベアリングは交換しませんでした。
ベアリングを2個以上仕入れていれば
お客さんに訊いたうえで 左右とも交換したかもしれません。

スナップリングですが、

取り付けたときの締まり具合を強めるために 形状を絞っています。
というか元の状態は 本来の状態より広がっているはずです。

ここで、先にハブシャフト左側のパーツを取り付けてから
ハブ体に通し

右側ベアリングの内輪に接しているCリングをスライドさせて
取り付けるということを試みましたが

はまりませんでした。


ちなみに、この時点では
上の画像の範囲でハブシャフトが動きます。


右側のCリングを取り付けてから
ハブシャフトをハブ体右側から通し、

スナップリングを取り付けました。


↑この状態でハブシャフトが左右に動くようであれば
スナップリングが キチンと はまっていません。
もちろん、上の画像の状態では 左右のガタはありません。

リム内に異物が多数入っていて、ホイールを振ると音がするので
リムテープを剥がさずに取り除こうと思ったら
バルブナットを手の力だけでなく工具で締めた跡があり、
手の力だけでは全くゆるみませんでした。
ということは、シーラントで防げないパンクを出先でした場合
チューブドに変更しようにも詰むことになります。
ジャージのポケットから はみ出すほどの
長尺のペンチを常時 携帯するというなら 話は別ですが。
ペンチでつかんで ナットを外したところ、
ねじ山が傷んでいるのは ナットのほうだけで
しんちゅうの普通のバルブナットはスルスルと通ったので
あとから それに換えています。
それでもチューブレスの性能に不都合はありません。

この程度では無かったですが、
リム内に 何かのカスが入りまくっていました。

マヴィックの面ラチェットの山ですが、

外周側が とくに摩耗するようです。

パーツを取り付けました。
画像の時点では取り付けていない
防水シールも あとから取り付けています。

フリーボディ側には もらい錆びなどがありません。
ごく最近、お客さんの近所のショップで交換したものだからです。
過去に別件で 東京から直にお持ち込みされた
インスタントドライブ360のハブのガタを直した件で
左側のスナップリングより外側に
ウェーブワッシャーが入っていたことがあり、
お客さん自身でホイールを触っていないことと
直前にあるショップに預けて オーバーホールごっこをされたことから
そこでのスカタンに違いない、
左ポン当てエンドを抜いただけで スナップリングが残っているのに
ウェーブワッシャーがポロンと落ちるのはおかしいと説明して
マヴィックの展開図も印刷し、お客さんに見せて
展開図通りに組み立てたところ ガタが無くなった(当たり前だ)
ということがあり、もしそのショップに言いに行くなら
当店の名前を出してもらっても構わないと言ったのですが
そのときのショップと 今回フリーボディを交換したショップは
同じ屋号のところです。
多店舗展開しているので同じショップかどうかまでは不明ですが。

マヴィックの専用グリスも 在庫は(なぜか)持っているのですが、
あえて DTのスターラチェット用のグリスを塗布しました。
かなりベッタリと塗ってから フリーボディを取り付け、
少し回してから フリーボディを抜き取ったのが 上の画像です。
シールが甘くて水が入るのか、面ラチェットの性質なのかは不明ですが
(でも DTのスターラチェットはメンテ頻度が これほど短くはない)、
冒頭にも書いたように インスタントドライブ360は
初期性能を維持している期間が非常に短いです。


今この瞬間は フリーボディが手で外れます。
ハブシャフトには粘度の高いオイルを差しておきましたが
これが いつまで続くかは分かりません。

話は変わりますが DTのスターラチェット用グリス、

円筒形の容器に25ml入りでの提供であったところ

お値段はそのままに20g入りのチューブでの提供に変更されました。
単位が違うので量が増えたのか減ったのか分かりません。

↑これは旧販売形態の未使用品ですが、

・・・微妙なところです。

ほぼ空の容器があるので これにチューブの全量をぶちまければ
だいたいは分かると思いますが、チューブでの提供になったことにより
ラチェットの山に塗布しやすくなったというメリットがあるので
チューブの中身をぶちまけることはできませんでした。


センターずれがありました。


直しました。
ビードフックの変形を除いて 振れは ほぼありませんでした。

リムの反フリー側のビードフックですが、
熱を持った状態で穴や段差を踏んだがための変形があります。
やった覚えのある無しは関係ありません。
確実に あとから変形させています。

↑画像では伝わりにくいかもしれませんが
ビードフックが外側に ふくらんでいます。

↑断言しておきますが絶対にそんなことはありません。

つづいて前輪。
とくに不具合は感じないそうですが、
一応 点検してほしいとのことです。
タイヤ付きなのは チューブレスタイヤの
リムへの食いつきを解除できなかったからで、
当店への発送が遅れたのも 爪を伸ばして
再度 試みる期間があったためだということですが

一瞬で落とせました。
親指の腹でタイヤサイドを押す具合が決め手なので
爪の長さは関係ありません。
力が全く要らないわけでは無いですが、力よりはコツというかやり方です。


後輪よりは振れていました。
あとセンターずれがあります。
実際ホイールを組む人であれば分かると思いますが
オチョコの無い前輪で この量はひどいです。


振れもセンターずれも直しました。
category: のむラボ日記
パールイズミのイヤーウォーマーがモデルチェンジしたので困っています 
2021/11/14 Sun. 23:09 [edit]
長年 愛用していたものがあります。

↑これ
パールイズミでの呼び名は
イヤーウォーマーではなく イアーウォーマです。
「イアーウォーマ」で検索すると
パールイズミのイヤーウォーマーが上位に出ます。
品番は82ですが、厳密には82-2-Fです。
末尾のFはフリーサイズを意味します。
これとは形が違う現行品も82ですが、そちらは82-4-Fです。
単に「パールイズミの82」というと 現状では82-4を指します。
82-4は2019年秋冬モデルが初出で、
以降 継続モデルとなっています。
82-2は2012年秋冬モデルが初出です。
私の知らない82-3が存在するのかと思い調べましたが、
調べた限り 82-2の赤色版が82-3のようでした。
ただ、82-2は同じ品番で 黒とグレーがあるので(上の画像のものは黒)
色の違いだけで品番を進めるとも思えず、
何か違いがあるのかもしれません。
82-2がいいところは、耳覆いの前側をつなぐ
額の部分の縦幅が短いことです。
これほど短いものは なかなかありません。
82全般の特徴として後頭部のベルクロ部分で
任意に締め付け具合を調整できることがありますが、
これはヘルメットを脱がずとも装着できるということでもあります。
最初はヘルメットをかぶる前に 82-2を頭に巻きます。
それからヘルメットをかぶるので
ヘルメットの耳の部分のストラップは 82-2より上になります。
そのあとに、出先で外したくなったときに
ヘルメットをかぶったまま 後頭部のベルクロをめくれば
引き抜くことができます。
さらに そのあとに82-2を付けたくなった場合、
今度はヘルメットをかぶったまま 耳のストラップの上から
82-2を巻くことが多いのですが、
このときに額の部分の縦幅が短いと
ヘルメットの中に詰め込むのが 非常に楽なのです。
信号待ちの短い時間や、峠の頂上で一瞬止まるだけで
さっと装着できるので 本当に重宝していました。

が、先日 うっかり ちょっと強めに引っ張ってしまい

糸が切れてしまいました。
新品か それに近い状態であれば こうはなっていないでしょうが、
相当に(少なくとも価格に見合った期間以上に)使っているので
仕方がありません。
で、82-2を未だに売っているところがないかと
いろいろ探したところ ア〇ゾンで82-2の画像が載っていて
販売しているところがあり 注文したところ、

82-4が届きました。
あばっばっばbっばっばああああ
販売元にクレームは入れていないので、
せめて ここを読んでいる方は
同じ罠に嵌まらないようにしてください。

82-4は こんな感じ
額の縦幅は これでも細いほうですが、

82-2(画像下)には負けます。

82-2には無い耳あての部分の穴は
アイウェアの つるを挿しこむためのものですが、
ここから風切り音がするらしいです。
これとは別件ですが、私も使っている防水ソックスのメーカーの
デックスシェルから「スカルキャップ」というモデル名の
アンダーヘルメットキャップが出ており、
帽子の種別としてのスカルキャップには本来 無い
耳覆いが付いています。
で、外の音が聞こえるようにとの考えでしょうが
その耳覆いの部分に、
切符の窓口や面会室のアクリル板に開いているような
放射状の穴があり、これのせいで すさまじい風切り音がします
(むしろ これのせいで外の音が ほぼ聞こえません)。
ハンカチ1枚噛ませると 音がしないので、
いつか穴をふさぐ布を縫いつけてやろうと思っていたのですが
どこにやったのか 見当たりませんでした。
アンダーヘルメットキャップは かつてゴールドウィンが出していた
光電子生地のものが私の知る限りでは最高でした。
品番はGWB-870です。
現状で手に入るものとしてはGSM-19150というものがありますが、
これは いわゆるスカルキャップであり 耳覆いがありません。


糸がスルスルと抜けるので抜いてみたら崩壊しました。
このあと、待ち針で固定して手縫いを試みましたが
伸びる部分の生地の端が丸まってボロボロになっていたので
修理を断念しました。糸を抜く前であったなら
何とかなったかもしれません。
先ほども書きましたが価格以上に使ったと思っているので
納得はしています。
82-4ですが、あるお客さんが
「ちょうどイヤーウォーマーが欲しかった」と言って
私から買い取ってくれました。
ありがたや
82-2との違いや、私が不満に思っている点も 正直に話しています。


これは また別件で、マヴィックの春/秋用の薄手の長指グローブです。
手のひら側にクッションが無いので たいへん気に入っています。
これで耐えられないほど寒くなれば
ナナイタのウインターグローブに換えます。
かつて マヴィックがアメアグループの傘下にあったころ、
同じアメア傘下のアディダスから自転車用のウェアが出ていましたが
これは そのアディダスからマヴィックにブランドが変更された
初年度のモデルで、アディダス時代はスプリンググローブという名前でした。
手の甲側のデザインは違いますが、手のひら側は これと全く同じです。
昔のモデルなので 昨今のグローブにある
スマホの画面に反応する生地を 指先に付けていたりなどもありません。

これが、手首周りの縫製が左右とも ほつれてきました。

これは手遅れになりませんでした。
糸の色が黒ではないのは わざとです。
自分で補修する場合は あえて目立つ色にしています。
category: のむラボ日記
旧スーパーエアロリムでピストの後輪を組みました 
2021/11/14 Sun. 22:11 [edit]

お客さんから アラヤのスーパーエアロリムで組まれた
ホイールをお預かりしました。
組み直しを ご希望です。
前後輪ありますが 今日は後輪です。

HB-7600 両切りリヤハブ 28H 15番プレーンチャンピオン
ロクロクJIS組みです。

ニップルもDTのもので、つかみしろの対辺は3.2mmです。

表題を 旧スーパーエアロとしたのは、
少し前に復刻モデルが出たからです(そして すでに終売です)。
このリムのペットネームはスーパーエアロで、
リムのステッカーにも そう書いてありますが
カタログ上の品番はSA-230です。
これはチューブラーリムですが WOリムもありました。
このスーパーエアロが出た時点では
市販品で最も高いリム高のリム(たぶん)だったので
このくらいのリム高でもエアロリムという扱いになっています。
復刻リムの品番はSA-730でWOリム仕様のみ、
SA-230でのスーパーエアロのステッカーの部分が
SA-730という表記のものに変わっています。
SA-230は リムの横っ腹を強くつまむと ペコペコするほど薄く、
カットサンプルも見たことがありますが
ブレーキゾーンを除くサイド部分が非常に薄くなっていました。
SA-730は 公称で545gもあるので
リム高や各部の外寸が同じなだけの別物です。


どうせバラすので関係ありませんが、
うっすらセンターずれありでした。
それより気になったのは、ホイールとして成立する下限を
割っているんじゃないかというくらい ヌルく組まれていたことです。
このリムも 最近のリムのつもりで張るとエラい目に遭いますが
旧エアロ1よりは張れます。

組めました。

エアロスターブライト14番ロクロクJIS組みです。
左右全結線を あとでやります。

もし このハブが36Hであったなら
ハブ胴中央にNJSの刻印が入るので
それが ハブの左右の属性の根拠になります。
片切りではなく両切りのハブなので
このハブに左右の属性を決定づける要素はありません。
ハブシャフトを抜き出せば 刻印などがあるかもしれませんが。
ただ、両切りハブながら かつては片側にのみ
小ギヤを付けていたようで

↑取り付け跡あり

↑取り付け跡無し
小ギヤを片側にのみ取り付けて使うのであれば
取り付け跡がある側を右側にしたほうがいいかと思います。
おまけ

星の現行エアロスターブライトですが、
スポークの長さに関わらず非バテッド部分の長さが一律で、
とくに スポークヘッド側は
いきなりエアロ加工が始まっていて いい感じです。
全ヌポークまたは全反ヌポーク通しで2本組みする場合、
ハブフランジのごく近くに最終交差が出来ますが、
出来れば その部分は丸断面でないほうがいいのです。

↑これはボントレガー、

↑これはロルフプリマでの全ヌポーク1クロスですが、
どちらも疎密位相のラージフランジで 16Hと本数も少ないので
この組み方としては ハブフランジから やや離れた位置に
最終交差があります。

これをスモールフランジかつ32Hでやると こうなります。
このホイールの場合は そもそもエアロスポークですら ありませんが。

これは星の旧エアロスターブライトII型ですが、


「数十種類あるスポーク長さに対して 数種類のバテッド部分の長さ」という
製法になっているようで、スポーク長さに対して
バテッド部分の長さというか バテッド始まりまでの長さが まちまちになっており、
エアロスポークというには多少マヌケな見た目のものもあります。
これに対して 現行エアロスターブライトは
非常に気を遣って作られているとは思うのですが、
それでも 常用スポークにする予定は全くありません。
category: のむラボ日記
旧エアロ1リムでピストの後輪を組みました 
2021/11/13 Sat. 23:32 [edit]

昨日の続きです。後輪を組みました。
ぱっと見 同じホイールに見えますが

こちらはリヤハブです。
両ねじ切りのハブなのでJIS組みにしました。
それ以外は前輪と同じく シュパーブプロ ラージフランジ 28H
エアロスターブライト14番ロクロク組みです。
こちらも両側全結線を あとでやります。


バルブ穴から覗いたときのハブ胴の位相を
前後輪とも サンツアーの位置にしましたが、
それと リムのラベルが正方向で読める側を右側とすると

↑右側

↑左側
これ以前に このハブで使われていた後輪では
右側にのみギヤを取り付けて使っていたようです。

スポークには つかみしろが3.4mm対辺の
しんちゅうニップルが付いていますが
それは使わず DTの3.2mmアルミニップルにしています。
category: のむラボ日記
ボーラWTO45さん 
2021/11/12 Fri. 23:31 [edit]
リムブレーキ用ホイールをお預かりしました。

新品です。CULT化と点検をご希望です。
まずは前輪から。


暫定センターはドンピシャで、ほぼ振れ無しでした。

左右の中空エンドボルトに工具をかけて ゆるめたところ、
右側が先にゆるみました。
エンドボルトのねじ山に 強めのねじ止め剤を塗布して
14mmスパナと5mmアーレンキーで右側をグッと締め込みました。
画像のねじ山にある 白いねじ止め剤らしきものは
元から付いているものでしたが、全く効いていないようです。
次に 右側をハブシャフトの14mmのつかみしろで つかみ、
左側をエンドボルトの5mm六角穴にアーレンキーを通して
ゆるめようとしましたが、

ビクともしません。
上の画像のアーレンキーはベータのものです。
カンパニョーロにジャパンいち詳しい問屋さんの中の人いわく
玉当たり調整ナットの締め付けを ゆるめれば
左エンドボルトは 簡単に ゆるむとのことですが、
見ての通り 上の画像でも すでにゆるめてあります。
ふざけんな ゆるまねぇぞ!
私の目の前で これを触ってほしいと思う前輪を
ときどき見かけますが、これも そのひとつです。

ねじ山に 浸透性の高いオイルを噴き、
アーレンキーを こういう時のために常用せずにいるヴェラのもの
(面つかみではなく 角つかみの六角になっている)にして
かなりのトルクをかけることで「パキーン!」と音を立てながら
熱した鉄の臭いをさせつつ ようやく ゆるみました。
このホイールの初期状態から、初見で
新シャフトだいばくはつを回避するのは まず無理です。

↑これは左側のベアリングですが、
ワンの溝にシールが パチンと はまっています。

右側ですが、ハブシャフトを抜いただけで シールがポロンと落ちました。
ワンの溝に はまっていれば シャフトを抜いた程度で
一緒に落ちることは絶対に無いので 始めから きっちり はまっていません。
これはメーカーの吊るし状態では非常に珍しいですが、
自分でカンパニョーロ・フルクラムのハブをグリスアップしているという
お客さんのハブをバラした際には よく見られることです。
意味もなく過剰なメンテ頻度は 玉当たりがこなれるのを
度々リセットすることになりますし、
シールが はまっていなくて ハブの回転に擦った感触が出るのと
(実際 擦っているわけですが)
フリーボディの乱暴な抜き差しで
爪起こしバネが変形しているのも よく見かけます。

USBのワンを抜きました。
ハブ胴内にグリスが流れるのを防ぐパーツが 付いていないので
ハブ胴の内側に白いグリスが付いていますが、
ハブ胴の中央が鼓型で細くなっているので
グリスが付着したハブシャフトを差し込むだけでも
ハブ胴の内部に グリスが付着します。

洗浄しました。

鉄球とUSBのボールレースが銀色になってからは
CULTとの混同を避けるために、
外したUSBのパーツを封印してからでないと
CULTのパーツの封を切らないように徹底しています。

CULTのワンを圧入しました。
圧入に関しては、メーカーの吊るしよりも強く締めているはずです。

ハブ胴にUSBのステッカーが貼ってありますが、
剥がすかどうかは お客さんの判断にお任せします。
最初からCULTベアリング仕様で カーボン製ハブ胴の
ボーラウルトラWTOというモデルが
2022年モデルとして出ますが(初回便は すでに出回っています)、
あれはディスクブレーキ用のホイールだけでの展開です。


暫定センターがドンピシャだったのに
ベアリングの交換で 紙1枚ほどのずれが発生しました。
これを調べたくて暫定センターを見ています。


センター出しをしました。
先ほども書いていますが 振れは元からほぼありませんでした。

どーでもいいことですが、このホイールが入っていた
最新の青いホイールバッグのエンドの補強の生地が
革バッグのブランドロゴのような模様のものになっていました。
今回の前後輪のホイールバッグともがそうでしたが、

先日 組み直したZIPP乙0乙の後輪が
同じ青いカンパニョーロのホイールバッグだったので
見てみたところ こちらはワニ革っぽい模様のものでした。
カルバン・クラインっぽいロゴのものについては(→こちら)

つづいて後輪ですが、


暫定センターを見たところ、盛大にずれていました。
マヴィックなら これ以上にひどくても なんとも思わないのですが。
また、前輪と違い 振れがあります。

グリスが これでもかというくらい潤沢に塗られていましたが

USBのパーツを 全て外し封印、ハブを洗浄して


CULTのワンを圧入し、
パーツを組み付けてセンターゲージを当てると


センターずれの傾向は同じで、量が増えているように見えますが
前輪と違い 振れがあったのに センターゲージを
先ほどと同じ位相に当てているとは限らないので
ベアリング交換とセンターずれが
確実に関係があったとは言い切れない感じです。


振れ取りとセンター出しをしました。
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旧エアロ1リムでピストの前輪を組みました 
2021/11/12 Fri. 22:50 [edit]

アラヤの旧エアロ1リムで前輪を組みました。

ハブは サンツアー シュパーブプロのラージフランジのピストハブで
スポークは星の現行エアロスターブライト14番(非NJS)の
28H ロクロクイタリアン組みです。
結線は あとでやります。左右とも。

アラヤのエアロ1ですが、ハードアルマイトのものと比べて
ポリッシュ仕上げのリムは 明らかに軟らかく、
エアロ1自体が 最近のアルミリムのように張れるわけではないので
(のむラボホイール5号のつもりで張ると リム穴がぶち抜けるはず)
かなり ビビりながら張りました。
このリムにしては張っているほうだと思います。

ADX-1Sではなく 旧エアロ1なので
カマボコ型の専用ワッシャーが必要です。

星スポークの現行エアロスターブライト14番(非NJS)ですが、
18本または36本セットでの販売単位となっています。
当店では1本売りをしますが。
一時期のクソスターブライトとは違い 磁性に関しても問題なく、
ホイール組みの材料として信頼に欠けるといったこともありません。
おかしな話ですが その点は私が請け負ってもいいです。
ただ、お客さんが希望する場合に使うことはあるものの
個人的に これで私物のホイールを組んだり
積極的に勧めようという気にはならないのも事実です。
スポーク比重ですが、300mmが36本で254g、
1mmあたりの重量が0.023518518と出ましたが
私の電卓の範囲が ここまでなだけで
以下 518が循環しているのかなと思い調べたところ
やはり循環していました。
それはいいとして スポーク比重は91.51%でした。
私は これまで このスポークのスポーク比重を
口頭で説明するときは約91%と言っていたので
だいたい合っています。
今後の調査で 91.5%以上が続くようであれば
約92%に訂正する可能性はあります。
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