昨日はお休みをいただきました 
2022/06/30 Thu. 23:55 [edit]
お休みをいただきました。

といっても元々 定休日の水曜日ですが。
会場の都合なのか 定期演奏会は たいてい木曜日か金曜日なのですが、
今回は珍しく水曜日でした。
どこかの賛助会員の企業の招待券、
という名のタダ券が相当数ばら撒かれたようで
(実は私にも5口くらいは招待券の発行権があります)
いつもは空席が多い私の周りにも 人がギッシリで、
当然 無自覚なのでしょうがマナーが悪い人が多かったです。
ビニールの衣擦れみたいな音って めっちゃ響くのな。
憶えてませんが 私も最初は
そういう感じだったのかもしれないので我慢しました。
演奏自体は非常に良かったです。
御歳91歳の指揮者の外山雄三先生が
拍手の出囃子とともに出てきたり
演奏後に拍手の中 控え室まで帰る
ひょこひょこした歩き方に既視感があると思ったら
それはスターウォーズのヨーダでした。
実は外山先生も本気を出せば
ヨーダがパルパティーンと戦ったときのように
ホール内の席から席へ飛び回ることができるのかもしれません。
私の席の周りが普段 空席なのは
2階サイド席の穴場的なところを定席にしてもらっているからです。
1階中央であっても 前半分の場所よりは音がいいはずです。
あるホールに対して どの席までをS席にして
どこからA席やB席にするかというのは
ホールではなく楽団が決めることで、
概ね同じながら楽団によって若干の違いがあるのですが
私の定席はS席の隣のA席で、実質S席のようなものです。
1階中央の後ろのほう、一番 音がいいところは
列の両端を除いて たいてい常に空いています
(郵便ポストの四角い穴みたいな感じ)。
あれは聞くところによると 大和ハ○スとかリク○ルなどの
大口の賛助会員のエラいひとが ノーアポで来られたときに
「席がありません」というわけにはいかないので
空けてあるらしいですが、昨日は そこまでも埋まっていました。

冒頭の画像のハガキの下のポスターは これですが、
これは私は行きません。
横山だいすけ お兄さんによる子供向けの
「はじめてのオーケストラ」みたいな催しです。
こういうのとは別に、いわゆる胎教である
「妊婦のためのコンサート」みたいなプログラムを
まれに見かけますが、私の知る限り
その演目に サティの「干からびた胎児」や
マーラーの「亡き子をしのぶ歌」が選ばれたことはありません。

次は7月22日(金)ですが、
それとは別件で7月12日(火)を臨時休業にする可能性があります。
というか ほぼ決定です。
申し訳ありませんが よろしくお願いいたします。
category: のむラボ日記
競輪の前輪を組みました 
2022/06/30 Thu. 23:22 [edit]

競輪に使う前輪を組みました。
少し前に組んだ2ペアとは別件です。

HB-7600-F 36H 15番エアロSB
ハチハチJIS組み結線無しです。
先日の 競輪選手のお客さんからお預かりしたハブに
イタリアン組みの跡しか無かった件ですが、
関係者に問い合わせしたところ
現在 競輪のホイールはイタリアン組みで
組んでもいいということでした。
あのハブがバラされる前のホイールも
検査を通っていて 実際に競輪で使っていたということです。
category: のむラボ日記
オフセットリムを使ったときにオフセット量の絶対値を最小化する話 
2022/06/28 Tue. 23:27 [edit]
その前に。

リムをずらした量と センターゲージとエンドの間にできる
すき間についての話から。
オーバーロックナット寸法100mmの
リムブレーキの前輪で考えます。
想像しやすい具体的なリム幅を設定しないとカンチガイするアホがいるので
リム幅を20mmとしました。
この場合、ホイールセンターが出ていれば
両エンド(のゲージを当てる面)から リムまでの距離は
左右とも 40mmとなります。

そこから、リムを1mm左側に ずらしました。
このとき、左エンドとリムまでの距離は 40-1=39mm、
右エンドとリムまでの距離は 40+1=41mmとなります。

なので、エンドとリムの距離が遠い側(41mm側)で採った寸法を
近い側(39mm側)のリムに当てると、
エンドとリムのすき間は2mmとなります。
いつも記事で上げているセンターずれの画像が この部分のすき間です。
これは言い換えると「Xmmリムがずれている場合に
センターゲージで見れるずれの寸法は 2Xmm」ということです。
キャノンデールのAIフレーム用の後輪を最初に組んだときに、
「6mmリムをずらす」と言われたので
左エンドとリムをの距離を6mmにしてしまったことがあります(→こちら)。
これは後日 修正しました。
というわけで冒頭のアホというのは私のことです。

これはまた別の話で、オーバーロックナット寸法126mmの
ボスハブ(でなくてもいいのですが これをやるのは大抵ボスハブ)を

130mmに変更するときは 左側のみを4mm延長します。
必要であれば ハブシャフトも交換します。
右側の寸法を変えてはいけません。
変速の位置設定が変わってしまいます。
左右に2mm足すと ホイールのスポークの角度は変わらず、
変速の位置設定が変わります。
右側にのみ4mm足すと、オチョコが劇的に悪化します。
片側のみオーバーロックナット寸法を4mm延長した場合の
リム移動量は2mmです。

キャノンデールのAIですが、
これはリムを6mmオフセットさせて
リヤハブのオチョコを減らそうという試みです。
一般的なフレームに対して
スポークテンションの左右差は 確かに縮まりますが、
一般的なリヤハブに対して フランジ幅が特段に広いものを
用いるわけではないので 横剛性が劇的に改善するという効果はありません。
フランジ幅を後天的に広げることはできませんが、
スポークテンションの左右差(というより変形量)を
軽減する工夫は色々あるので、オチョコがきつくなってしまってもいいので
ハブのフランジ幅を広げてほしいというのが 私の願うところです。
上の図に書き込んでいる 左右フランジ幅は
キャノンデールのトップストーンの完成車に付属していたリヤハブを
私が実測した寸法です。
私が測るフランジ幅は フランジ外側までの幅ですが、これはシマノと同じです。
このフランジ外~外幅は 11Sや12Sのハブの場合
極端に狭いものを除いて53mmくらいだと狭め、
58mmくらいあれば広めといったところです
(BOOST規格だと 62~63mmのものもありますが)。
先日のキャノンデールのハブだと
35.7+21.6=57.3mmだったので
狭いというわけでありませんが、
寸法が極端な専用品というわけではなく
一般的なリヤハブと同程度のものでした。
上の図は普通のフレームに装着した場合のリムの位置で、
オーバーロックナット寸法142mmを リムの中心で分割すると
左右とも71mmとなりますが

このハブの寸法を
左側を71-6=65mm、右側を71+6=77mmとして
使おうというのがAIです。
65:77mmの箇所に リムの中心とフレームの中心があります。
ここまでなら、ほぼ同じ話を過去にも書いています(→こちら)。
今回はオフセットリムの話なので その点について続けます。
このハブを普通のフレームで使った場合 フランジ幅57.3mmの内訳は
左フランジ幅:右フランジ幅で 35.7:21.6mmだったわけですが、
AIフレーム用のホイールとして組むと 29.7:27.6mmとなりました。
オチョコがかなり軽減されています。
これはオフセットリムではない 普通のリムの場合で、
先日 組み換えに使ったスタンズのクレストMK4は
前作 MK3(すでに廃版)と違い オフセットリムとなっていました。
軽いアルミリムを探すと そうなっただけであって、
この場合のオフセットは私にとっては余計なお世話です。
もしクレストMK3と併売状態であったなら、
あるいは問屋さんに在庫が残っていれば MK3を仕入れています。
今回のハブの場合、AIフレームに使う場合でも
右側フランジが狭い 正オチョコとなっていました。
なので オフセットリムを逆向きで使うことはしません。
クレストMK4のオチョコ量は1.5mmということなので、
それを通常のオフセットリムの向きで使った場合

↑こうなります。
左フランジ幅がマイナス1.5mm、右フランジ幅がプラス1.5mmとなるので
フランジ幅は28.2:29.1mmの逆オチョコとなりました。
しかしフランジ幅の左右差自体は2.1mmから0.9mmに減っています。
「1.5mmリムが動いたのに フランジの左右差は1.2mm違いなのはおかしい」
と思われるかも知れませんが、
元は正オチョコ2.1mmで オフセットリムにより逆オチョコの0.9mmとなっているので
2.1mmと-0.9mmで 3mm差です。
正オチョコを正、逆オチョコを負として
正負の境をまたいだ絶対値を比較するので こういうことになります。
リムが1.5.mmずれたときに フランジの左右差が
元の状態と比べて3mmになるのは 冒頭の話と同じ理屈です。
「左エンドとリムまでの距離~」を
「左フランジ外側端面とリムまでの距離~」に言い換えるだけです。
逆オチョコとはいえ、ダイナモフロントハブに
たまに見られる程度のオチョコ量だったので
先日のAIの後輪は左右同径同本組みとしました。

つづいて、ひとつ前の記事の後輪について。
ハブはサーリーで
オーバーロックナット寸法135mmのクイック仕様で、
片側が固定ギヤ台座 もう片側がディスクローター台座です。
フランジ幅の数値は私の実測値です。
右フランジ幅のほうが広い逆オチョコハブとなっています。
左の図が だいたい真ん中で分割されているっぽいのは
気にしないでください。ハブの この部分の寸法ですよという意味です。

同じ135mm幅のクイックのハブとして、
デオーレのFH-M6000の公称の寸法を書き足しました。
デオーレにしたのは、XTRやXTには スルーアクスルのハブしか無いからです。
先ほども書いたように シマノの公称値で測っている箇所は
私と同じなので 数値は同じ測り方をしたものとして比較できます。
これも過去に書いたことですが、
現在 シマノでは左右のフランジ幅をそのまま掲載すればいいのに
フランジ幅とオフセット量という情報しか カタログに載せていません。
これはフランジ幅の半分に オフセット量をプラスとマイナスすれば
左右のフランジ幅が計算できます。

計算しました。
ついでに、サーリーのハブのシマノ風の表現も書いておきます。

さらに、デュラエーストラックの片側ねじ山の
ラージフランジリヤハブの寸法も書き加えました。
デオーレのハブは フリーボディの部分が長いので右フランジが狭い、
サーリーのハブはデュラエーストラックより
オーバーロックナット寸法が15mmも広いのに
フランジ幅が同じくらいなのは
ディスクローター台座に寸法を食われている感じ、
サーリーのハブのオフセット量の少なさは優秀・・・
でも これ逆オチョコやんけ、など いろいろなことが分かります。

先ほどの左の図に リムを描き足しました。
フランジ幅を分割する線も 中心からずらして描き直しています。
AL22Wリムのオフセット仕様は 問屋さんの資料によれば
3mmオフセットらしいですが、そんなにあるように見えないので
調べてみました。

ブレーキゾーンがあって ガラスの定盤にピタッと当たる
リムブレーキ仕様のAL22Wオフセットリムの

リムの端から穴の端までの左右の寸法と
穴の直径を実測します。

私が測った限りでは こういう内訳になりました。
3つを足すと24.0mmとなり、リムの公称の外幅も24mmですが
リムの外幅を実測すると なぜか24.2mmくらいです。
リム穴の直径も 4.3mmと出る穴もあり
0.1mmレベルの誤差は全ての部分にあります。
リム穴には左右の穴振りがあったので
右穴振りと左穴振りを それぞれ測った平均を出しています。

リム穴の径をゼロにした場合、
あるいはリムの端から穴の中心までの長さを計算すると
9:15mmとなりました。

これは リム自体の中心12mmからプラスマイナス3mmなので
3mmオフセットという公称値は正しかったです。
数値が3.0mmちょうどになったのは
恣意的に端数をいじったわけではありません。
私自身 3mmオフセットが本当だったとしても
計測と計算の結果は2.9mmとか3.2mmとか
きれいに3mmちょうどにはならないと思っていました。

ひとつ前の記事の後輪ですが、
オフセットリムを通常と逆の向きにして
逆オチョコだったのを反転させています。
35.7-39.1=-3.4mmから
38.7-36.1=2.6mmなので
リム穴3mmの移動で オチョコが6mm変わっています。
オチョコ量の絶対値は0.8mm減りました。
リムのオフセット量まで含めた最終的な状態を シマノ風に書くと
フランジ幅74.8mm オフセット量1.3mmとなります。
これはほとんどオチョコ無しとなるので
新規にホイールを組むなら ロクロク組みでいいのですが、
スポークをなるべく使い回すという条件があったので
ヨンロク組みにしました。
結果 右側(小ギヤ側)のほうが高テンションになりましたが
左右同径同本同数組みの ふつーのフリーハブの後輪よりは
スポークテンション(と変形量)の左右差は少ないですし、
ふつ―の後輪でいうところの反フリー側のスポークのほうが
明確に変形量が少ない(硬い)後輪というのは 非常に気色悪いものの
(ロヴァ―ルのディスクブレーキの後輪テメーだよ テメー)
ギヤ側が多少硬いぶんには別にいいかと思いました。
組んでいて あまりに良くないと思ったなら
お客さんに お伺いを立てて 組み方を変更します。
シマノのカタログにあるハブの「オフセット量」なる数値ですが
リムのオフセット量と そのまま比較できるので
こういう場合には考え方として便利です。
が、AI仕様のフレームや 逆オチョコのハブと
オフセットリムでホイールを組む時に
オフセット量の絶対値を小さくするにはどうしたらいいかと
考えること自体が レアケースで、
そういうときは私のほうで勝手に調べるので
左右フランジ幅の公称値については やはり数値そのものを
書いていてくれたほうが助かります。
AIフレームの場合は、オフセットリムではないほうが気が楽です。
オフセットリムで無いのであれば、まだ少しオチョコが残っていようが
キャノンデールと関係ないフランジ幅が極端に狭いハブ
(とくに左フランジ側が狭いハブ)のときに 逆オチョコが発生するかもとか
リムをひっくり返しても何も変わらない以上 気にする必要が無いので。
category: ホイールの話
AL22Wリムの後輪のハブを組み換えました 
2022/06/28 Tue. 22:43 [edit]

昨日の前輪の相方ですが、後輪と同じく
ハブを違うもので組み換えます。
AL22Wリムで ディスクブレーキ用リムなので
これは一応 のむラボホイール8号となるため
昨日の記事ともども 記事のカテゴリを「のむラボホイール」にしましたが、
このホイールを組んだのは約2年前の2020年7月12日なのですが
その時点では このリムのホイールをのむラボホイール8号とはしていませんでした。
面倒なので その過去記事のカテゴリは改変しません。

FH-M975 32H 全コンペヨンロクJIS組み結線無しです。
このホイールのお客さんは、一個人としては
私がホイールを組んだ回数が 最も多いお客さんかもしれません。
今までに数え切れないほど組んでいるので
以前に「本当に全部自分で使っているのか
(友人のホイールなどの斡旋などは無いのか)」
というようなことを 訊いたこともあります。
全部 自分で使っているということでしたが。
あ、ちなみに 斡旋そのものは 私は気にしませんし OKです。
競技色が強くないホイールについては
エアロスポークを使わない・スポークの色は銀・結線不要という
注文をされるので 結線をしていた場合 不可となる
スポークの使い回しができることも多いです。
で、AL22Wリムにはオフセット仕様もあるわけですが
私はディスクブレーキのホイールを組む際でも
オフセット無しリムを使うことが多いです。
オチョコ量が少ない前輪などだと 左右異径異本組みをすると
右側のスポークが はち切れんばかりにキンキンになるからです。
これが理由で オフセットリムしか無い
DTのRR411dbリムなどは、組むのが かえって難しくなります。
昔は 半コンペが選択肢中の最適解でしたが、
現在では 半CXスプリントにすれば
スポーク比重の左右差が抑えられるので
半コンペほど強烈なホイールにはなりません。
今回のお預かりした状態でのホイールは
エアロスポークを使わないという条件なので 全コンペです。
一応、丸スポークでの左右異径組みとしては
チャンピ/コンペや ストロング/コンペという選択肢も存在します。
ちなみにデュラエースのハブのフランジ穴は
ストロングが通りませんが、XTRは通ります。
全コンペで組むうえ結線も無しということなので、
今回の前後輪は どちらもオフセットリムで組んであります。
これで 次の後輪が難しくなりました。

組み換えに使うリヤハブは
サーリーのシングルスピードのもので、

右側が固定ギヤ用の台座、

左側がディスクローターの6穴台座という仕様のものです。
このリヤハブ、ディスクローター台座側のフランジが
より 内側に入っています。つまり、逆オチョコなのです。
なので、オフセットリムを 通常のように
左側にリム穴が寄る形で組むと
スポークテンションの左右差が かえって増大します。
といって リムをひっくり返しても左右均等にはならないのですが。
このあたりのことは 次の記事で書きます。

前輪と同じく 組み換えによって
ヌポークと反ヌポークが変わることが無いようにしています。

組めました。

32H 全コンペヨンロクJIS組み結線無しです。
ヨンロク組みする必要があったのかと言われそうですが、
スポークを使い回すことを重視しました。
前輪と同じく 組み換え後のハブのほうがラージフランジで
スポーク長さが短かったのですが、
XTRハブのフリー側4本組みが
サーリーのハブで6本組みできるほどの差は無かったので
ヨンロク組みになりました。

↑ホイール右側

↑ホイール左側
通常の後輪のオフセットリムの向きとは 逆にしてあります。
結果、右側が高テンションではありますが
一般的なフリーハブを左右同径同本組みで組んだ後輪よりは
左右差が近くなってくれました。
category: のむラボホイール
アイオロスRSL37さん 
2022/06/27 Mon. 23:45 [edit]

ニセコクラシックのレース中に接触をして
スポークが折れたとのことです。
全然関係ない話ですが、ニセコに出たそれぞれ別件の方2名から
白い恋人をいただきました。
包装紙が違っていて それぞれ緑色と茶色だったのですが、
茶色のほうは 白い恋人 ブラックという
一見 矛盾した名前の別仕様のものでした。

スポークが2本、折れています。
これでも自走は可能だったらしいですが、
集団の中にいると ホイールがばくはつして
周りに迷惑をかけてはいけないと思い
あえて そっとちぎれて ゴールだけはしたとのことです。
昨今のバイクの価格を考えると
集団落車の被害額が定価ベースで1千万円コースというのも
ありえない話ではありません。おそろしや。
ふと思ったのですが、トレックの取り扱い店で
これをお持ち込みされた その場で直せる、
さらに できれば私の以上の精度でというショップは存在するのでしょうか。
このホイールのお客さんがどう思っているのかは
当店にお持ち込みされたこと自体で答えが出ていますが。

折れてはいないものの、耐えて曲がったスポークも あります。

リム内に 折れたスポークと
それに付いているニップルが落ち込んでいましたが、

バルブ穴から回収しました。
ニップルは磁石で誘導するフルクラム方式で再セットします。
2ヵ所くらいであれば チューブレステープを剥がすのが
もったいないと思ったからです。

ローター台座側、つまり左側のフランジは
スポークの交換が容易でしたが

右側のフランジはスポークを抜き取る軌道が
かなり限定されており、スポークテンションがかかっていない
ホイールの新規組み立ての仮組み状態なら ともかく
スポークテンションがかかった状態で交換するのは 至難の業でした。

要交換スポークは折れた2本と変形した1本の
計3本かと思っていたら、
どうしても取れない、無理に取った場合 縦振れが出るか
周りのスポークに対して極端に違うテンションにならざるを得ない
不自然な振れが残る位相があり、よく見たら変形がありました。
ある程度以上の変形があれば 振れに出るので 必ず気付きます。

直りました。

ある位相に集中した4本です。

↑交換したスポーク

折れたのが2本と

曲がったのが2本です。
category: のむラボ日記
ボーラウルトラ50クリンチャーダークラベルさん 
2022/06/27 Mon. 23:26 [edit]

チェーン落ちで スポークを曲げてしまって振れが出たとのことです。
チェーン落ちということなので 当然 後輪の話です。
前輪は ついでに点検ということでお預かりしています。

このタイヤ、当店でも一瞬で完売したグランプリ5000の
ツールドフランス公式の限定カラーのものです。


↑変形しているのは この最終交差の2本です。
他のスポークは問題ありませんでした。
テンションがかかっていると分かりにくいので


テンションを抜いた状態が これです。


ハブの玉当たり調整に横ガタがあったので直しました。
スポークを交換し、ほぼ その2本のスポークのニップルだけの調整で
振れ取りが終わったので その時点でセンターゲージを当てると
ドンピシャだったというのが上の画像です。
ということは、元からセンターずれが無かったということです。
そこから さらにイチャモンレベルの微細な振れ取りをしましたが
ホイールセンターは変わりませんでした。


直りました。

↑交換したスポーク

リム側を概ね平行にすると、

ハブ側ではこれくらい変形しています。
本当は 同じ向きに変形しているのですが
1本を ひっくり返して スポークヘッドが離れるように置いています。
横方向だけとか 前後方向だけとかではなく
複合的にベコベコに曲がっています。


つづいて前輪。
ハブの玉当たりに横ガタ無しで ほぼ振れ無しでした。
センターだけが 微かに ずれています。

クジラ偶蹄目・・・じゃなかった、
目くじらを立てるレベルではありません。
これくらいならメーカーの検品を通るのも已む無しです。


ただ、まだ もう少し追い込めますよっていうだけのことです。
category: のむラボ日記
レーシングゼロカーボンさん 
2022/06/27 Mon. 22:01 [edit]

チェーン落ちに起因するスポーク折れが起きていますが、
スポークの破断は チェーン落ちの直後ではなく
少し後に起きたとのことです。
チェーン落ちの際に かなり強く踏み込んだようで、
軽度であれば外側のスポーク(ヤマアラシさん方向のスポーク)のみが
変形するところ、内側のスポークにも変形があります。
あと、折れたスポークの位相がだいたい対岸の位相であることからも
スポークの変形が1周に渡っていることが分かります。

スポークは折れているものだけでなく、

要交換な程度に変形しているものも多々あります。

直りました。

フリー側の14本中11本のスポークにテープを貼っていますが、
交換したのは9本です。
それ以外の2ヵ所は振れ取り調整の都合上 増し締めしたいところ
歯周ポケットの錆びや ねじ止め剤を押し固める形になるので
もし無理に ニップルを(締める向きに)回せば
スポークが変形したり 最悪折れると判断されたので
一旦 完全にゆるめました。

↑交換したスポーク
画像上から5番目のスポークは ほとんどまっすぐですが、

チェーン落ちによって えぐれた傷が大きいので交換しています。
category: のむラボ日記
AL22Wリムの前輪のハブを組み換えました 
2022/06/27 Mon. 21:32 [edit]

お客さんから AL22Wで組まれた前輪をお預かりしました。
ディスクブレーキ仕様のリムサイドなので
一応 のむラボホイール8号です。

かつて私が組んだものです。
ハブは HB-M975の32Hで、全コンペロクヨン組み結線無しです。
クイック仕様のXTRのハブというのは 今となっては貴重ですが

フィルウッドのフロントディスクハブに組み換えを ご希望です。
ハブ胴中央の色が 妙に青いのは

保護テープが貼られているからです。

リムに謎のステッカーが貼ってありました。
私が手ずから貼ったものではありません。
ホイール組みに支障がある位置だったので

めったにしないことですが 新たに貼り直しました。

元のホイールから、右側のヌポークのみを抜き取りました。
ヌポーク特有の首下の変形をしています。
スポークの可能な限りの使い回しは
お客さんの希望するところでもあります。

長さを切った右側のヌポークを移しました。
フィルウッドのハブのほうがフランジ径が大きいので、
スポーク長さは短くなります。
DTのコンペティションは ねじ山側の2.0mm部分の長さが長いので
スポークを使い回せる可能性が高いです。
同じ2.0-1.8-2.0mmバテッドの
サピムのレースであったなら使い回しができなかった可能性大です。

つづいて 反ヌポークを抜き取りました。
反ヌポークの変形は 新品の状態と比べても
あまり違いは無いので分かりにくいです。

右側の反ヌポークを移しました。

つづいて、左側のヌポークを移しました。
この時点で ヌポークと反ヌポークの関係を
組み換え前後で変えていないのが証明されたので
以降は省略します。

組めました。

組み換え前と同じく ロクヨン逆イタリアン組み結線無しです。

ディスクローターのロックリングですが、
カニ目レンチで回すのか 外周のスプラインをつかむ専用工具があるのか
不明なものが付属していました。
ただ 調べたところ、ねじ山の規格はセンターロックのものと同じでした。
このロックリング、PMPのハブのものを思い出します。

参考までにPMPのリヤハブです。

このロックリングは、4つ穴がカニ目レンチでつかめるような径ではないので
専用工具が必要です。
しかも フリーボディがシマノ用でもカンパニョーロ用でも
どちらの純正の規格のロックリングとも ねじ径が合わない
ハブに対する専用品となっています。
category: のむラボホイール
のむラボホイール1号の前輪を組みました 
2022/06/26 Sun. 23:55 [edit]

のむラボホイール1号の前輪を組みました。

エボライトハブ 20H CX-RAY反ヌポークラジアル組みです。
そろそろ660ハブに移行しようかと思ったのですが
この前輪は エボライトハブで組みたい理由があるので
エボライトハブで組みました。理由は後輪のときに書きます。

銀スポーク銀ニップルなだけでなく リムも銀色です。
何か映り込んでいるような気がしますが 気のせいです。
category: のむラボホイール
反時計回り専用タイヤ 
2022/06/24 Fri. 23:10 [edit]

かつて 私が組んだホイールです。
優勝したホイールだなどと喧伝するつもりはありません。
要件は ハブベアリングの交換でしたが、
それはいいとして このチューブラータイヤ、ピスト用のものを
ヒルクライム決戦タイヤとして履いています。

ラベルは両ラベルではなく片ラベルです。
TUFOの一部のモデルなどに、
トレッドパターンから解釈すると 左側にラベルが来るように
履くべきタイヤなどの例外的事例もありますが
基本的に片ラベルのタイヤは
「右ラベル」になるように取り付けるのが通例です。
が、このタイヤではトレッドパターンから解釈するという点でも
右ラベル以外にはありえないという根拠がありました。

本来は反時計回りのトラック専用のタイヤなので、
コルサ特有の前後方向の溝のパターンが
左側にしか付いていません。

↑右ラベルで履いたときの
左側から見ると こんな感じ
このタイヤ、とくに前輪の場合は
下りの右コーナーと左コーナーで トレッドの違いによる性能差を
体感できるかどうかというテストに使えるかも知れません。
ヒルクライムレースが終わった後の下りで停車するのは危険なので
その状況で試すのはダメですが、
リムブレーキの前輪の場合は
ホイールを一旦外して左右を変えることが可能です。
なので とっかえひっかえして下るのも楽しいかとも思いましたが、
そもそもコーナーを攻められるような
幅と特性のタイヤではありませんでした。
追記:今回のタイヤは現行モデルではなく
赤文字のグラファイト2.0を除けば
ピスタという表記のみのモデル名となっている旧モデルです。
現行モデルでは ピスタ なんちゃら という表記になっている
3モデル展開となっています。
メーカーが屋内バンク限定だと指定している ピスタ オロ、
板張りバンク向けだと謳っている ピスタ スピード、
屋外バンク向けだと謳っているピスタ コントロールの3つです。
このうち、オロとスピードはスリックパターンで
コントロールだけが片側溝パターンですが
オロとコントロールが最近の事情に合わせた23C幅、
スピードが昔ながらの19C幅なので
今回の旧モデルのピスタは 現行モデルには無い
「片側溝パターンのピスタ スピード」といった感じのスペックです。
ピスタ スピードは19C幅で公称140gです。
これは まあそんなもんだろうという感じですが
ピスタ スピードのWOタイヤ版は23C幅で公称165g、
チューブが別なのに チューブラータイヤより重たいというのは
この手のタイヤではよくあることです。
ピスタ コントロールは23C幅で公称250gと かなり重ためです。
22~23C幅のロード用チューブラータイヤで
もっと軽いものが たくさんあるくらいですが、
トレッドパターンがバンクに特化しているので
転がり抵抗などで突出した何かがあるのかもしれません。
ピスタ コントロールのWOタイヤ版は公称210gで、
チューブラータイヤより軽いです。
同じ呼び幅(※)なので チューブが無いぶん
WOタイヤのほうが軽いといったところでしょうか。
※チューブラータイヤは 装着するリムの幅に関係なく
適正空気圧の際のタイヤ幅は ほぼ変動しませんが、
WOタイヤは リムの内幅によって
タイヤ幅とタイヤの形状が大きく変わります。
で、最後にピスタ オロです。
オロとは金色のことなので
「金メダル請け負いタイヤ」といった意味になりますが
ピスタ オロはチューブラータイヤのみの展開で、
23C幅で公称165gという
幅を考えると なかなかイカれた軽さです。
category: のむラボ日記
303の後輪を組み直しました 
2022/06/24 Fri. 22:49 [edit]

お客さんから ZIPPの303の後輪をお預かりしました。
小さいながらショップの名前のステッカーが貼ってあるので
配慮さんが配慮しています。本来の仕事です。
少し前に「可視化された利益」なる鳥を見た気がしますが(→こちら)、
あれは よく似ているものの配慮さんでは無いらしいです。
同様に、黄色首大根さん(→こちら)の正体も謎に包まれています。

この303ですが、リムだけでいうと
2005年でも 物は同じなのですが
その場合は303の下に黄色いラインがあるようなステッカーであり、


182ハブのフリーボディの色は 銀色になっています。
シマノ用が赤、カンパニョーロ用が青となっている
強制ヨンゼロ組みの182ハブは2006年と2007年に限られます。
この赤フリーボディは10S用なので、
お客さんから お預かりした11Sハブでの組み換えをご希望です。
書き忘れそうになりましたが
スポークは 左右ともCX-RAYストレートでした。


最初に センタードンピシャで組まれていたとして、
そこから10年放置しても リムが紙1枚くらいは
フリー側に寄りそうなものですが、
現時点でドンピシャでした。
元は反フリー側に かすかにずれていたか、
最近 調整したかのいずれかだと思うのですが


ニップルのゆるみの初動を強力に防ぐ パリパリ系ねじ止め剤が
無駄に効いていた箇所が多く、
ニップルを回す際も 抵抗が大きいうえ
キキキッと音も鳴って非常に回しにくかったので
最近 調整したというのは考えにくいです。

ニップルは汎用品のロングで、外周側から回す つかみしろはありません。
外周側のリム穴も小さく、この世代では まだニップルワッシャーは使われていません。
このリムから2世代前が ZIPP史上 最も軽いリムを出していた時期で、
完組みホイールの303用のリムが MID-V280というリムで
リムサイドにカーボン模様も無ければディンプル加工も無いものでした。
これはスポークテンションに対する強度が異常に低く
競輪用のリムよりも弱いくらいでした。
その次のモデルがMID-V285で、数字は いずれも公称重量です。
MID-V285はリムサイドに ふくらみができました。
その次のモデルが今回のリムで、リム単体の名前は
MID-Vを省いた 単なる「285」です。
この世代から リムサイドにディンプル加工が施されましたが

さすがにモデル名の数字と実測重量が乖離してきています。
いま思えば これでも十分に軽いのですが。
ただ、この世代からは しっかりと張れるリムになりました。
コリマのほうが さらに張れますが、
あちらは内蔵ニップル仕様なので 単純な比較はできません。

組めました。

ノヴァテックFS522SBハブ 24H 全CXスプリントストレート
強制左右2クロス組み結線ありです。
反フリー側をCX-RAYにしなかったのは、
こうしたほうが お客さんの希望に沿うだろうと判断したからです。
反フリー側はスモールフランジですが、
結線の意味を成さないほど 最終交差がハブフランジに近いわけでも無いので
充分に意味はあります。

ストレートスポーク2本が それぞれの向きに出ている
ハブフランジの山ですが、
片側には 24Hの半分が12Hなので6ヵ所あります。
反フリー側の山との位相の関係は
フリー側の山の ちょうど中間ではなく、さらにその半分ずれていて
右から見て 向かって3:1の関係になっています。

均等間隔なリム穴のリムで組まれた 左右タンジェント組みのホイールの
左右の最終交差の位相を見ても、反フリー側の最終交差は
フリー側の最終交差の ちょうど中間にあるわけでありません。

↑182ハブの実測重量は だいたい名前の通り
なのは いいとして、


反フリー側ラジアル組みのストレートスポーク用ハブの場合は
反フリー側のリム穴の位相は フリー側の山のちょうど中間と
山のちょうど中心の2つになります。
これとカンチガイしてか 反フリー側もタンジェント組みのハブで
位相間違いをしたものを カタログに載せる段階まで気付かずに、
しかも そのハブでの最初の組み手が間違いを指摘したら
わけわからんクチゴタエをしてくるメーカーとかあるらしいですね。
・・・その節は大変お世話になりました。
category: のむラボ日記
磁石がつくタイヤ 
2022/06/23 Thu. 23:47 [edit]


海外通販で妙に安く、
妙なことに箱入りではなく畳まれていない状態で届き、
重量が妙に重たく、リムに対して ビードが妙に
はめにくいというタイヤですが
これは完成車にアッセンブルする際にコストを抑えるために採用される
スチールビードのタイヤでした。
ジャパンでゆいいつコンチネンタルを扱っている問屋さんが
扱っていない仕様のものなので、完成車の外し品などで無ければ
海外通販だと考えられると以前に書きましたが、実際に そうでした。
当店で特価で販売していたルビノプロG2.0に 前後輪とも交換したのですが、
タイヤ1本に付き100g近い軽量化になっています。
これはルビノが特別に軽いというわけではありません念のため。
昔、15年ほど前ですが
シュワルベに ルガーノというタイヤがあり
それのスチールビード仕様が日本の問屋さんに常備在庫されていました。
実勢価格は1本で なんと980円です。
いま調べてみたら ルガーノではなく ルガノ呼びで、
ルガノ2という後継モデルが ケブラービード仕様のみの展開で
税別定価2400円でした。
で、その旧ルガーノですが 新品ではなく ある程度使ったものでも
親指の腹を押し付けると 指先が白くなってグリップする・・・ことはなく
つつーっと指先が 前に向かって滑ります。
しかも、質感がゴムというよりプラスチックのようで
水をかけると きれいに弾くという 謎の材質で作られたタイヤで
マンホールや点字ブロックで異常に滑るという
非常にヤバいものでした。
偽タピオカなるものがあるらしいですが、
逆にタピオカから作られた偽タイヤというのも あるのかも知れません。
category: のむラボ日記
ゾンダさん 
2022/06/23 Thu. 23:03 [edit]

上の画像、だいたい12時の位置のスポークにマグネットが付いていますが
その時計回りに隣のスポークが曲がっているのが分かります。

↑これ
実は この時点でテンションを抜いているので
変形が分かりやすくなっています。


直りました。
これくらいのことであれば 記事用の画像を撮らず
撮っても記事にしないことも多いのですが・・・。

↑交換したスポーク
スポークを曲げた原因ですが
「ビンディングを はめ損なって滑った足が
前輪に ぶつかったから」です。
初めて聞く事例でもないのですが、気を付けましょうという注意喚起が
この記事のバリューです。
category: のむラボ日記
キシリウムESの破損ニップルを回収しました 
2022/06/23 Thu. 22:55 [edit]


お客さんから キシリウムESの前輪をお預かりしました。
上の画像は作業後のものです。
リム穴周りを接写するのを忘れてました。
この記事の画像は2592×1944ピクセルの画像を
640×480ピクセルに圧縮していますが、
上の画像2枚目の圧縮前の画像から
作業をしたリム穴周りを640×480ピクセルにカットしたのが

↑これです。
リム穴周りにドリルが滑った跡などが無いというのを
接写したかったのですが・・・。

↑本題に入る前に。
これは、キシリウムの旧型の工具に対応するニップルの
ジクラルアルミスポークです。
ニップルは スポークの扁平バテッドとリム側エンドの丸い加工の間を
スカスカに動かせますが、

実際にホイールに組み付けられた時の状態は
当然ながら こうなります。
腐食が進むとニップルは 回らなくなったり、
なんとか回せてスポークを回収できた場合でも
内周側にスカスカに動くわけではなくなったりします。

画像下は新型のニップルで、対応する工具も違います。
ついでに書いておくとR-SYSのスポークのニップル部分は
これの新型ニップルと同じ形状です。
キシリウムESは2006年モデルで、ニップルは旧型です。
ねじ山自体は同じなので、長ささえ合えば
新スポークを混ぜて補修することも可能です。
ひとつのホイールのニップルで工具が混在するわけですが、
それしか手に入らないということで
仕方なく混ぜて直したことも 多々あります。

で、最も振れている位相直下のニップルが こうなっていました。
お客さん自身で振れ取りを試みようとしたら
ニップルが腐っていて破断したとのことです。

同じリム穴を反対側から見ると こんな感じ
しくじっても あとから文句を言わないという条件付きで、
これを何とかする作業に入りました。
なるべく簡単に事が済むように、難しくないことから試していきましたが
結果 最も難しい作業を強いられました。

ニップルの残存部分を切らないように スポークだけを切りました。
ここから、スポークの断面を叩けば
リムの中にスポークの切れ端が落ちるはずです。
リム高から考えて、落ちたスポークがバルブ穴まで誘導できる長さにしています。
この状態にする前に出来ることがあるのでは?と思われるかもしれませんが、
バイスクリップで ニップルの露出部分をつかんで
回すのを試みるなど すでにしています。
固着がひどくて スポークがリム内に落ちなかったので

ド中心を露天掘りする方針に切り換えました。
露天掘りといっても円錘ではなく円柱ですが。
削れたスポークが面圧を失って リム内に落ちました。

穴を広げていきます。
さすがに 穴の奥をドリルでかすかに突いてしまいましたが、

リムの外周部は貫通していません。

ニップルのねじの谷底の径(谷径です。谷啓ではありません)
ギリギリまで穴を拡張して、厚みを 可能な限り薄くすると

このように めくることができ、

ねじ穴側を傷つけずに 破壊したニップルを回収するか、
リム内に落とせます。
で、なぜか在庫として持っていたキシリウムESのスポークを
補填して振れ取りをしたのが 冒頭の画像の状態です。

↑回収したスポークとニップルの欠片



スポークのリム側エンドですが、
ほぼ ド中心にドリリングできています。


ニップル側の欠片です。
もっと大きなものもあったのですが、失くしてしまいました。
category: ドリルがうなる!
ZIPPのSL-70エルゴハンドルバーを仕入れました 
2022/06/21 Tue. 23:25 [edit]


ZIPPのアルミのハンドルバーの現行品は
サビースコースというモデル名です。
これはヴェロフレックスのタイヤなどにあった
イタリア語のセルヴィツィオコルセや
ミシュランのチューブラータイヤなどにあった
フランス語のサービスクルスと同じ意味です。
廉価モデルは単にサービスコース、
軽量モデルはサービスコース SLというモデル名で、
アップバー部分が ほぼストレートのものと
バックスイープがあるエルゴという仕様があり、
さらに非エルゴでも エルゴでもハンドルバーのリーチが
70mmのものと80mmのものがあります
(非エルゴ仕様に限り 88mmもあり)。
リーチが70mmで 下ハンドルが極端にハの字になっている
グラベル用のXPLR(たぶんエクスプローラーと読ませている)
というモデルもあります。
最上位モデルのカーボンハンドルバーのリーチは70mm仕様のみで、
アップバーの形状はカーボンでないと
出来ないようなエアロ形状の「エアロ」と、
アルミバーのエルゴと ほぼ同形状の「エルゴ」の2種類があります。
なので、ZIPPが主張したいことを汲み取ると
「エルゴの70mm」になると思い
サービスコース SLグレードの400mmを仕入れてみました。

サービスコース SLの

70 エルゴで、

↑アップバーは こんな感じ

↑リーチと下ハンドル形状は こんな感じ

税込定価は16200円です。
アルミのバーとしては けっこう お高めですが・・・。
しまった こんなところに置いたら
タンゲハブ返品セールに巻き込まれてしまう!(棒読み)
あと、ルビノプロが写り込んでいますが
撮影時には在庫があったものの完売しました。
第2陣として用意してある
ドイターのバックパックなどがあるので出しておきます。
というか SL-70エルゴも
この記事を上げるまでの間に売れたりしているので
もし無くなったら 申し訳ありませんが
問屋さん在庫は欠品しているので 取り寄せ即納は不可です。
6月24日追記:完売しました お買い上げありがとうございました。
category: 新着情報!
ボーラWTO45ダークラベルさん 
2022/06/21 Tue. 22:01 [edit]
ボーラWTO45のリムブレーキ用ホイールを仕入れました。

たまには完組みホイールも販売します。
三顧の礼では無いですが、私から「海外通販のほうが安いよ」と言って
2回ほど帰ってもらいました。
どー考えても 価格が合わせられないからです。
私はとくに通販擁護派というつもりでは無いのですが、
過去に書いたこともあると思いますが
私自身 通販で 実店舗の本屋さんとか酒屋さんの
機会損失となる買い物を すでに沢山しています。
それが罪だというなら かなりの罪人です。
それが自転車屋さんの場合に限って、
自分の商売の不利益になるからといって
通販をする人を やれ不義理だの
やれ人の心を持ち合わせていないようなエゲツナイ奴だのと
批判することはできません。
あと思うのは、もし 私がお客さんの立場であったなら
パーツやホイールを通販で全く買わないことはありえません。
これは私の方針というか考えであって、
通販を利用する人に対して理解者ヅラをしたいわけでも無ければ、
通販をのさばらせると 業界が立ち行かなくなるとか
もっと端的に言えば 俺の店に金が入って来なくなるから
やめろとかいう一部の同業者の方の意見を
尊重していないわけではありません。
そーゆー方針なら それで頑張ってください。
とはいえ、私もエゲツナイ商売をしていることは否定はしません。
なぜなら、海外通販や個人売買で手に入れたというホイールから
点検と称して さらにもう一度お金いただくというマネをしているので。
今回のホイールは USB仕様ですが、
購入時に最初からCULT化を ご希望です。
その場合は パーツ代だけで工賃をいただかないので、
その条件であれば 海外通販とさほど価格が変わらないということと
お客さんが 当店で わざわざ買いたいと言ってくれたので
ホイールを仕入れました。


USBのパーツを抜いたリヤハブです。


CULT化してからハブを組み立て、暫定センターを見ました。
元の状態を見ていないので、
CULT化自体で起きたセンターずれ(ワンの圧入具合で起きうる)が
混ざっているかどうかは不明です。


振れ取りとセンター出しをしました。
振れ取りといっても ほぼ振れてなかったですが。
この点検も 当店購入品なら無料です。

USBのパーツを抜いたフロントハブです。


前輪も ずれていましたが、後輪と同じく元の状態を見ていないので
USBの時点で ずれていたかどうかは不明です。


直しました。

ハブ胴にUSBのステッカーが貼ってありますが
もちろん 私が勝手に剥がすことはしません。
お客さんに お任せします。

今回のボーラWTOはリムブレーキ仕様です。
なんか ラジアル組みの前輪が新鮮に見えてきたぞヤバいヤバい。

リムブレーキ仕様なのでブレーキゾーンがあり、
AC3加工も施されています。

ボーラWTOとボーラWTOウルトラは、リムが けっこう違います。
それに比べれば ベアリングがUSBかCULTかは
あとで変更できるというのもあって 大した違いでは無いですし、
ウルトラだと フロントハブ胴がカーボンですが
それも わりとどーでもいことです。
今回のホイールは2WAY-FITリム仕様ですが、
WTOにはチューブラー仕様もあるところ
WTOウルトラは ディスクブレーキかつ
2WAY-FITリムという仕様に限られます。
これには理由があるのですが 今はまだ書けません。
category: のむラボ日記
競輪の前輪を組みました(前輪だからというわけはないが前編) 
2022/06/21 Tue. 21:14 [edit]

競輪の前輪を組みました。

リムはアラヤの16Bゴールドで 36HハチハチJIS組み、
これは競輪用のホイールであれば確定事項です。
確定ではない事項は
ハブが7600デュラエース(NJS認定ハブは他にもある)で
スポークが星のエアロSB(他には丸バテッドもある)という点です。
少し前に全く同じ構成のホイールを組んでいますが、


今回のは 新品のハブから組んでいます。
category: のむラボ日記
コスミックSLR45さん 
2022/06/20 Mon. 23:47 [edit]

↑普段 記事には上げない
「ホイールの名前のメモとしての画像」です。


まずは前輪から。


ディスク台座がある側、つまり左側に リムがずれています。
右側スポークのニップルを均等に増し締めすればセンターは出ますが、
テンションがヌルめの個体だったので センターを出してから
全てのニップルを 少し増し締めする必要がありそうです。
しかし ここはあえて、センターずれがむしろ増大する
左側スポークのニップルの増し締めを
必要と思われる全量 先にしてみました。
1:センター出しのために右側増し締め
2:テンションを上げたいので左側を増し締め
3:テンションを上げたいので右側を増し締め
のうち、2を 先に全てやってみるということです。


↑こうなりました。
普段の振れ取り作業で 暫定センターを見るのは
「振れは取れたけど センターずれは むしろ増えたので二度手間になった」
というのを避けるためです。
ここからセンターが出るまで 右側を一方的に締めるわけですが、
それは 先ほど書いた1と3を いっぺんにやることに相当します。


センターが出ました。
元からあった微細な横振れと、センター出し自体で出る横振れも
追い込んでいます念のため。


つづいて後輪。


いつものごとく 反フリー側にずれています。
マヴィックでは ここを詰めるかどうかユーザーが選ぶことが出来るように
あえてホイールをずらしているわけですが(確率からして そうとしか思えん)、
詰めるためには 近所にまともにホイールを触れるショップが必要です。
お客さんの判断される範囲での最寄り店が
当店だったということになりますが、だいたい240kmほど離れています。
お客さんは とくに後輪についてヌルいのを気にしていましたが、
その感想は当たっています。前輪よりも さらにヌルい個体です。
念のため書いておきますが、私は完組みホイールの
スポークテンションを ひたすらに張れば張るほど
良くなると思っているわけではありません。
ことさらに ゆるめることは ほぼ無いものの、
増し締め方向のセンター出し以上に張らないことが大半です。
あと これは雑感ですが、会社の体制が変わって
アルミスポークのホイールや R-SYSなどを辞めてしまって以降の
マヴィックのホイールは 元々甘い検品が さらに甘くなったのか
スポークテンションの個体差が大きくなっているように感じます。


前輪とは逆に センターずれが減る方向で増し締めを始めましたが、
前輪と同じく センターが出てからテンションを張るために増し締めるぶんまで
先に締めてしまいました。
よって リムのずれている向きが逆転しています。


という状態から 反フリー側の増し締めでセンターを出しました。

このホイールのリム、フルカーボンですが ジクラルスポーク仕様なので
ホイールの外周部にバルブ穴以外の穴がありません。
これの何が良いのかというと、
マヴィックの あの茶色いロードUSTチューブレステープ(→こちら)は
テープの終わりの部分の粘着力が弱く、
経年使用されたものの ほとんどが
テープの端からシーラントが浸みこんでいて
粘着力を失って めくれています。
マヴィックの、接合部分を溶接で処理している
ジクラルスポーク仕様のアルミリムは リムテープが不要なものの
仕上げが粗い継ぎ目の部分で チューブを傷つけないように
そこだけ黒いテープが貼ってありましたが、
ロードUSTチューブレステープが貼られているホイールの場合は
その黒いテープを チューブレステープの最後の めくれ止めに使っており、
それがタイヤのビードの動きにやられるのか
左右方向に短くなる形で グズグズに変形します。
さらには、純正であれ非純正であれ チューブレスタイヤが外しにくいからと
タイヤレバーでテープをひっかくことで
テープが部分的にめくれる形で傷が入ったりもするわけですが
リムテープが不要な仕様であれば そういったことで煩わされることがありません。
しかも あのテープ、テープを重ねた部分の粘着力が弱いくせに
剥がすと リムに対しての糊残りがひどく、
スタンズのテープのようにきれいに剥がせません。
category: のむラボ日記
キャノンデールの650Bの後輪を700Cに変更しました 
2022/06/20 Mon. 22:37 [edit]

昨日の続きで後輪を組み換えます。

リムは前輪と同じで、
完成車に付いていたホイールのハブ 28H
黒14番プレーンロクロクJIS組みです。


組み換え前後のリムですが、どちらもローハイトなので
重ねることが出来ました。


今回の後輪は キャノンデールのAIオフセットフレーム用なので、
リムが6mm反フリー側に ずれている必要があります。
なので、左エンドとセンターゲージの測定子の間隔は12mmとなります。
バラす前に調べたところ 元の状態は11mmだったのですが。

↑反フリー側

↑フリー側

↑反フリー側

↑フリー側
前輪よりも さらにスポークが短い傾向があります。
AIオフセットの補正値抜きで スポークとニップルの端面の関係が
左右同じくらいになるスポーク長さから
AIオフセットのために 反フリー側を増し締めしてずらしたとすると
反フリー側のスポークのほうが見た目上 長めになるはずですが、
実際は逆でした。わけがわからん。

組めました。

28H 全黒CXスプリントロクロクJIS組み結線無しです。
結線は不要だと判断しました。
やってもいいのですが、もし やる場合は左右全結線となります。
左右同径同本組みの後輪というのを久しぶりに組みました。
スポークは全CXスプリントではなく 全コンペでもよかったのですが、
CXスプリントのほうがスポーク比重が小さいので
ホイール自体の軽さも気にしてみた結果です。


AIオフセット対応にしています。

組み替えの前後とも ロクロクJISですが、
ハブフランジについた ヌポークと反ヌポークの跡は
左右とも 元の状態に倣いました。

↑反フリー側

↑フリー側

↑反フリー側

↑フリー側
左右どちらもニップルの端面とツイライチです。


↑前輪の組み換え前後のリムの実測重量


↑後輪の組み換え前後のリムの実測重量
しんちゅうニップルとアルミニップルの重量差を入れて
だいたい ちょうど100gくらいです。
クレストMK4リムがオフセットリムであることが
歓迎できない理由については長くなるので別記事にします。
category: のむラボ日記
キャノンデールの650Bの前輪を700Cに変更しました 
2022/06/19 Sun. 23:17 [edit]

お客さんから キャノンデールのグラベルバイク、
トップストーンの完成車に付属しているホイールをお預かりしました。
今日やるのは前輪だけですが。

リムはWTB ST i23というモデルで、非常に重たいものです。
直感に反する事実として、チューブレスリムで より軽いものを探した場合
現状ではロードよりMTBのリムのほうが軽いというのがあります。
200g台のリムで クロスカントリーレースを走って
リムがぶっ壊れないのが不思議なのですが、
タイヤが50Cや55Cであることによるエアボリュームからの
クッション性が関係しているようです。
このホイールに元から付いているタイヤのサイズは47Cですが、
用途としては MTBほどハードな路面を走るわけでも無さそうなので
リムを特段に重くして強度を求める必要はありません。
まあ、完成車の付属品だから 軽量リムが使われないのは
分かりますが、このリムは500gくらいあり、特段に重いです。
リムのモデル名にある i23とは リムの内幅が23mmという意味ですが、
WTBの軽量リム(径や幅にもよるが410g前後)の
KOMライトというシリーズには i21・i23・i25の3種類があり
トップストーンの完成車でも 上位グレードのものだと
KOMライト i23を採用しているので
この約500gのリムは「車種の特性上 不可欠な重さ」というわけではありません。
一言で言うと「無駄に重い」ってことです。
で、あまりに重いのでリムを交換してほしいというのが
お客さんの希望ですが、径を700Cに変更してタイヤサイズも細くすると
現状のフレームとフォークに取り付けられるというので
700Cの軽量リムに組み換えることになりました。

スポークは CNスポークの14番プレーンの黒で、

ニップルは 黒ロングしんちゅうニップルです。



スポーク長さは短めで ニップルのすり割りとツライチといったところですが
この長さにするのには理由があります。
自動組み機のマイナスドライバーのビットが滑って
黒が剥げて しんちゅうの地金の色が見えていますが、
仮組みを 自動組み機でするなら ビットとスポークの端面が
接触しないスポーク長さでないといけないからです。

トップストーンの中でも
レフティ サスペンションフォーク仕様の車種なので
フロントハブはレフティ用です。


どーせ バラすので どーでもいいっちゃあ いいんですが、
純正の組み付け用アダプターを取り付けた状態での
センターずれが これだけありました。縦振れも ひどかったです。
これに限らない話ですが、ディスクブレーキ用の量産手組みホイールは
精度に関して 振れやセンターずれの不備が
リムブレーキほど簡単にバレなくなっているからか
テキトーになっている傾向があります。
あと、WTBではちゃんとしていますが アルミリムの継ぎ目の段差が
リムブレーキでは使えないほど大きいものも散見されるようになりました。
ALEXRIMSや その完組みホイールブランドのA-CLASSなどは
最近とくに ひどいです。

WTBのリムなので、チューブレステープの下に
ソリッドストリップが仕込んでありました。
これについては(→こちら)(→こちら)をどうぞ。

組み換え後のリムは スタンズのクレストMK3の後継モデル、
クレストMK4です。
これはアルミリムですが、超軽量カーボンリムほど軽くはないものの
400gを切っているので リムだけでも100gほどの軽量化になっています。
WTBのKOMライトで リムの内幅が同じくらいのものと比較しても
こちらのほうが軽いのですが、

MK4から オフセットリムになったのは
私にとっては歓迎できない点です。
リムが少し重たくなるというのもありますが、
それだけではありません。それについては後輪のときに書きます。

組めました。

28H 半黒CXスプリントロクヨン逆イタリアン組みです。
結線は あとでやります。
category: のむラボ日記
タンゲハブ返品セールをやります 
2022/06/19 Sun. 07:06 [edit]
ハブの件(→こちら)の続きです。
前回の記事の さらに次の日に
タンゲから電話がかかってきました。
で、まず言われたのは
「リムが カーボンリムかどうか」
「リムが オフセットリムかどうか」の2点です。
一晩 悶々と考えていた想定問答の
はるか下を行く質問をされたので びっくりしました。
リムの材質やオフセットの有無が
リンク先の記事にあるような位相狂いと 何の関係があるのか。
よくよく話を聞くと、タンゲの担当者の人いわく
「実業団に供給しているホイールがあり、それは問題なく使えている」→
「それはカーボンリムであり、オフセットリムである」→
「なので もしリムの材質がアルミであったり
オフセットリムでない場合は 組めない可能性がありますが
それはこちらの落ち度ではありません」
という論法でした。
なに ほざいとんねんこいつ。
私が、組めない理由について
ハブフランジの設計がそもそもおかしいのが理由だから
リムの材質や リム穴の横位置は関係ないですと言ったら
「でも実業団のホイールは・・・」と言うので、
それは実は 私も知っているのだが
赤アルマイトのハブで2:1組みの後輪、つまり別物だから
今回の青いハブで起きている位相ねじれが
起きていないだけだと説明しました。
それでも「一度 実業団のほうに確認します」などと言って話にならないので
「どんなアホが見ても一発で分かるように
仮組みしてるホイールがあるから見に来いや!!」と
電話口で怒鳴りつけてしまいました。
問屋さんならともかく メーカーの中の人に
技術的な話が通じないのは マジでイライラする!
「アンタ口が悪いな、それはビジネス上 アカンぞ」と言われたので
それについてのみ謝りましたが、
ビジネスも何も 現状こちらは 絶対にホイールが組めないハブの形をしたゴミに
金を払っている状態なんですけど・・・。
「見に行く前に やはり実業団に問い合わせを・・・」と まだ言うので
「会社が堺で、近いから 何ならこちらからお持ちしてもいいですが」と言ったら
当店に見に来てくれることになりました。
で、次の日に 私が怒鳴りつけた担当者の方が来店されたのですが、
なんと タンゲの社長さんでした。
リンク先の記事にある話を ホワイトボードで一通り説明してから
仮組みしてるフリー側の反対側、
反フリー側のハブフランジにスポークを通して見せて
「これでホイールが組めますか?」と訊いたところ
「無理です」と認めてくれました。
もちろん、ハブの返品についても。
私はハブの返品返金ありきで話をしているわけではなく、
もし このハブでホイールが組めるなら
ぜひ やり方を教えてほしいだけだ
というのは最初から言っていることです。
ただ もし返品となった場合には、
のむラボとかいうショップの奴がギャアギャアわめくから
返品に応じたるわ 金さえ返せば文句ないんやろ、ではなく
ホイールが絶対に組めない設計不良のハブだということを
認めてほしかったのです。
もし、話が決裂して ハブが返品できないとなれば
それはそれで考えがありました。
実行に移さなくて(移せなくて)ホッとしています。
この件のハブ、カタログには載っているものの
日本での販売実績はゼロだということです。まあ当たり前ですが。
仮組みに使ったスポークは廃棄せざるを得ませんが、
その話をしてから 帰るまでの間に
スポーク代も当社で持ちますと自発的に言ってくれたので
いえいえ結構です大丈夫ですと固辞しました。

問題のハブです。
カタログに載っているのは ハブ胴が銀ですが、
日本に在庫が無く 台湾にハブ胴が青いものが2ペアだけ
在庫があるとのことだったので
お客さんのほうで 2ペア欲しいというので取り寄せました。
フロントハブは要らなかったのですが
前後セットが販売単位だというので 一緒に買っています。
ちなみに「タンゲが返品に応じなかったから
当店としてもハブの代金の返金はできません」
という答えはありえないので、タンゲと話を付ける前に
すでに お客さんのほうには返金をしています。

フロントハブも、フランジの位相が 対岸で3:1の割合で
ずれておらず ちょうど真ん中です。

↑これはデュラエースの完組みホイールの 20Hのリヤハブに
フリー側のフランジのみスポークを通したものです。

リンク先の記事でも触れている通り、
対岸のフランジに位相ずれがあることで

反フリー側のフランジにスポークを通すと
均等間隔のリム穴に対応したスポークの軌道が現れます。

フロントハブのフランジも 左右タンジェント組みで、
スポークの挿入方向を指定している形状です。

片側フランジにのみ スポークを通しました。

もう片側にも通しました。
対応しているのは 完全ペアスポーク位相ですが、
ローハイトリムで ボントレガーかロルフプリマくらいの
ペアスポーク具合のリムであれば
位相ねじれを起こしつつ ホイールが組める可能性はあります。
が、汎用品の均等間隔穴のリムでは無理です。
で、タンゲとの話は これで終わりなのですが、
まだ付いていないオトシマエがあります。
このハブ、カタログに価格が載っていませんが
想像よりは高いものでして、
さすがにクリスキングほどではありませんが
そこそこ高いものです。
このハブを仕入れたのは私が普段
あまり買わない問屋さんからなのですが、
非常に頼りになる奴がいるところなので
そいつに 取り寄せ手配や
不良品と分かってからのタンゲとの折衝をやってもらいました。
彼の労には、報いねばなりません。
今回 ハブを返品したことで 問屋さんに対してマイナスの請求が発生しました。
これに対して問屋さんのほうから小売店に支払いをするということは 通常ありえません。
そして、この状態が長引くことを
当然ながら 問屋さんは(とくに経理の人が)非常に嫌がります(→こちら)。
なので、ハブ2ペアの金額を超えるだけのお買い物を
返品処理と同月にすると彼に伝えて
「〇万円以上になるようにテキトーに包んでくれ」と頼みました。
実際に商品の選定をしたのは ほぼ私になりましたが。
今回の この件で仕入れた商品ですが、
「タンゲハブ返品セール」と称して 特価で販売します!
みんな、このセールの発端となったタンゲに感謝するんだぞ!
価格については ヤバすぎるので書けません。
ほぼ右から左です。なにが「右から左」なのかの解釈はお任せします。

ヴィットリアのルビノG2.0の25Cを仕入れました。
私は現状 最高のクリンチャータイヤは
コンチネンタルのグランプリ5000だと思っていますが、
これはコンチネンタルのタイヤ全てが
競合他社の同価格帯のものより優れているという意味ではなく、
グランプリ5000が最高だと言っているだけです。
で、ヴィットリアに ルビノというグレードのタイヤがありますが
ルビノ、ルビノプロ、ルビノプロ2、ルビノプロ3と続いて
現行モデルは グラフェン2.0をトレッドに配合した
ルビノプロG2.0というモデルになっています。
これは内部的にはルビノプロ4です。
現行モデルは知りませんが、前作のルビノプロ3は
私見ながら 先ほど書いた「同価格帯で比較した場合に最高のタイヤ」だったので
現行のルビノプロを選んでみました。
このタイヤにはチューブレスレディ仕様もありますが
今回仕入れたのは 普通のクリンチャータイヤです。
最上位モデルのコルサを選ばなかったのは、
あれは旧来のヴィットリアらしからぬ断面形状とサイドの薄さ、
あとトレッドパターンから
昔ヴィットリアが買収した クレメンのクリテリウムの流れを汲む作りで、
実際 元クレメンのメンバーが集まって再興したという
チャレンジのタイヤも同じような作りになっています。
分類上ではWOタイヤですが チューブラータイヤを縫わずに
ビードを付けただけという「オープンチューブラー」という形式で、
たたんだ状態だとタイヤの丸みが無く 平べったいのが特徴です。
ヴェロフレックスのWOタイヤなどもオープンチューブラーです。
で、コルサについては転がり軽さは非常に優れているのですが
ウェット時のグリップと コーナー限界に限っては
ルビノプロ3のほうが かえって良いという私見があるので
選びませんでした。パンクが多いのも欠点です。
少し前に、あるお客さんがネット通販で安かったので買ったという
コンチネンタルのウルトラスポーツが
やたらと ビードがはめにくく 走りも重たいというので
ホイールの振れ取りついでに タイヤの脱着を実演したのですが、
そのタイヤは ケブラービードではなくスチールビードでした。
ママチャリのタイヤと同じ仕様です。
たためないので箱に入っての供給ではありません。
ちなみに、スチールビードだから
とくに リムに はめにくいということもありませんでした。
これは完成車に採用されたりする廉価版で、
コンチネンタルの日本の問屋さんに取り扱いが無い仕様なので
詳しくは訊いていませんが 通販というのは海外通販で確定です。
「うわー このタイヤ 磁石がくっつくで~」と散々煽ってから
近々 ルビノプロをセール品として仕入れる予定だと話したら
取り置きを お願いされたのですが、
無理です 早い者勝ちですと断りました。

ヴィットリアのラテックスチューブの
700×25~28Cサイズを仕入れました。
ディスクロードが増えてきてから
「ブレーキ熱がかからないから
カーボンリムに ラテックスチューブを入れてもいいだろ」
ということなのか 25Cや28Cにラテックスチューブを入れている人を
最近 よく見かけます。
ホイールの点検のときにタイヤとチューブを外すので
統計と言ってもいいくらいの数を見ていますが
密かに流行っているようです。

箱の横に85gとありますが それより軽い傾向があるようです。
私の知る限り ヴィットリアのチューブの公称重量は
実測より軽く書いてあることが ほとんどだったのですが・・・。

5本重ねようと思ったら 4本目で少し崩れてきたので
4本まとめてとなりましたが、平均重量は77.5gでした。
誓って 無作為に抜き出したものを量っただけです。
ヴィットリアのラテックスチューブの
19~23Cサイズの公称重量は75gですが、
そのサイズだともっと軽いものが 別にあります(→こちら)。
いや、厳密には「ありました」でしょうか。
ヴェレデスティンのラテックスチューブは
現在問屋さんでの取り扱いが無く、注文も不可となっているので。

話は変わりますが、当店では超軽量ブチルチューブとして
マキシスのフライウェイトが よく売れています。
公称51g、実測50~53gといったところです。
このチューブのサイズ上限は25Cで、28Cには対応していません。
そして フライウェイトには28Cに対応するサイズのものが出ていません。
フライウェイトの次に分厚いチューブがウルトラライトです。
その次がウェルターウェイトとなります。厚みを列挙すると
フライウェイト 0.45mm
ウルトラライト 0.6mm
ウェルターウェイト 0.8mmとなります。
この並びだと ウルトラライトの名前を
フェザーウェイトかバンタムウェイトにしろや、と思うところですが
元々存在していたのはウルトラライトだけです。
MTBが26インチだった頃に出た
実質オンロードヒルクライム専用のペラッペラに薄いタイヤで
公称330gの「フライウェイト330」というタイヤと
そのセットとして出たチューブが フライウェイトというシリーズの始まりで、
ウルトラライトの下に ウェルターウェイトが出たのは
その ずっと後の2020年からです。
ウルトラライトにもウェルターウェイトにも
28Cをカバーするチューブは出ていますが、
ウェルターウェイトが25~32Cという幅で対応しているところ
ウルトラライトでは18~25Cの次が
28~38Cと 28Cが下限になっていました。

↑こんな感じ
箱の大きさが違います。

↑ウルトラライト 0.6mm厚 100g

↑ウェルターウェイト 0.8mm厚 94g
対応している幅が違うので、28Cタイヤに対しては
厚みがあるウェルターウェイトのほうが
かえって軽いという逆転現象が起きていました。
過去形なのは、現在ではウルトラライトに
23~32C(25~32Cではない)というサイズが追加されたからです。
ちなみに公称重量は80gです。

↑ウルトラライトのほうが薄いですが 幅は広いです。

下限が28Cのチューブを 28Cのタイヤに入れるのは可能ですが、
経年使用で伸びるので 次にタイヤを換える場合などに
折りたたんで詰め込む感じになるので あまりよろしくありません。
当店では 28C対応の軽量ブチルチューブを
ウェルターウェイトにしていたのですが、
23~32Cサイズが出たウルトラライトに移行するかどうかは検討中です。
税別定価で100円しか違わないのですが、
それがかえって難しいところです。

↑公称100gのウルトラライト3本の実測重量

↑公称94gのウェルターウェイト3本の実測重量(平均で95g)

あと、ウェルターウェイトですが バルブ長さが60mmのものは
対応幅が25~32Cではなく 23~32Cだとカタログにあったので
誤植を疑い仕入れてみたら 本当にそうなっていました。
マキシスのチューブのサイズの統一感の無さ、
本当に ややこしいんじゃあ。
あ、何が言いたいのかというと
23Cや25C用のチューブの場合は
もはや軽さだけならラテックスチューブを選ぶ理由は無く、
それこそ軽さだけならポリウレタンのチューブが さらに軽いわけですが
28Cに限っては ヴィットリアの実測80g弱のチューブが
ブチルの最軽量チューブに対しても とくに軽さで劣っていないということです。
ポリウレタンチューブの乗り心地の悪さも
ラテックスチューブの乗り心地の良さも 気のせいとかではなく
体感レベルではっきり分かることなので、
実質 毎日 空気を入れる必要があるという煩わしさを気にしないのであれば
ラテックスチューブも いいかもしれません。

オーストリッチのローターカバーも仕入れました。
140/160mm兼用です。
これと同じものだけではないですが、
同じ趣旨のものが使われているのを 最近よく見かけるので。
他にも ありますが、ここには書けません。
あと、今回のセールは来店者特典ですスミマセン。
先ほども書きましたが、価格についてはヤバいので
いつものところにすら書けませんが
なにか一言あるということで いつものところから先生に来てもらいました。
では 先生、お願いします。

↑あのー、そういうこと言うの やめてもらっていいですか。
category: 新着情報!
AL22Wリムとシマノハブでホイールを組みました(後輪なので後編) 
2022/06/18 Sat. 22:52 [edit]

昨日の続きです。
シマノのRSハブで後輪を組みました。

昨日の記事を見て お客さんがタイヤをお持ち込みされたので
取り付けています。

FH-RS300 28H 半コンペヨンロク組み結線ありです。
RS300のリヤハブは 11S非対応の8・9・10S用ですが
11S用のRS400と違い フランジ幅の全幅が1mm広くなっています。
シマノのカタログを見ると フランジ幅とオフセット量の関係は
FH-RS400 フランジ幅56.9mm オフセット9.75mm
FH-RS300 フランジ幅57.9mm オフセット8.4mmとなっています。
左右フランジ幅を いちいち計算させるな
昔みたいに数値をそのまま書いとけやと言いたくなりますが、
左フランジ幅を計算すると
FH-RS400が 56.9÷2+9.75で 38.2mm、
FH-RS300が 57.9÷2+8.4で 37.35mmとなります。
RS300のほうが 左フランジ幅が0.85mm狭いわけですが、
フランジ幅は左右合わせて1mm広いので
右フランジ幅は1.85mm(これは10Sと11Sスプロケットの幅の差と同じ)
RS400よりも広くなっています。
つまり、オチョコがかなり軽減されるということです。
左フランジ幅が1mm変わるのは(プラスでもマイナスでも)
それほど大きな差ではないですが、
右フランジ幅の1mmの差は非常に大きいです。
しかも この場合は1.85mm差です。
この違いは、ホイールを組んでいても分かります。
RS400ハブは それより上、デュラエースのハブにまで採用されている
フランジ穴間直径が45/44mmの微かなハイローフランジとなっており、
対して RS300ハブは45mmの左右同径ハブなので
この点だけなら RS400のほうが優秀ですが、
フランジ幅の全幅とオチョコ量の差のほうが
ホイールに与える影響が それよりも はるかに大要素です。
デュラエースグレードのハブは 9000系で終了していますが、
寸法だけなら FH-RS300は FH-9000よりも優秀です。
category: のむラボ日記
AL22Wリムとシマノハブでホイールを組みました(前輪だから前編) 
2022/06/17 Fri. 22:55 [edit]

AL22Wリムと RS400ハブで前輪を組みました。

HB-RS400 28H CX-RAYロクロクイタリアン組みです。
RS400ハブのハブ胴には 銀と黒がありますが

付属のクイックはどちらの場合も黒一色です。
category: のむラボ日記
ゾンダさん 
2022/06/14 Tue. 23:42 [edit]

ハブとリムのラベルの洗浄、振れ取り点検などを ご希望です。


↑これは前輪で、作業後の画像ですが
暫定センターも ずれていませんでした。
振れも ほぼ無しです。

ハブのパーツは前後輪とも傷みは無く、
汚れも ほぼありませんでした。
ブレーキゾーンにブレーキ痕はあるので
新品とか未使用品というわけではありませんが、
非常に状態がいいです。


↑後輪もセンターずれ無し 振れほぼ無しでした。
精度的に よほど当たりの個体を引いたのか、
どこかの他店が点検したホイールの
再検品に出されたような気がするほど
何ともありませんでした。
カンパニョーロのホイールのリムのラベル(ステッカー)ですが、
経年使用というか リムにフックをかけるような固定方法を続けると
表面のフィルムがめくれたり 剥げてきたりします。
フィルムがめくれた箇所は粘着力があり、
ホコリを呼ぶので黒く汚れます。
そこを パーツクリーナーなどの溶剤で拭き取ると
そのときだけは きれいになりますが、すぐに同じように汚れます。
そうなった場合は まだ手に入るものであれば
ステッカーを貼り直すのもいいですが、
そうで無ければいっそのこと 全て剥がすほうがスッキリします。
が、今回はフィルム剥がれなど無く ただ少し汚れていただけでした。
チェーンオイルが汚れの最大要因なので
リヤリムの右側が 最も汚れやすいです。

びふぉー

あふたー

びふぉー

あふたー
どちらも それぞれ同じ箇所です。


バルブ穴以外に穴が無いリムで、タイヤが付いていなかったので
バルブ穴をマスキングしてから洗いました。
他にも洗い物が多かったので これを含めて4ペアほど洗っています。
category: のむラボ日記
のむラボホイール7号の前輪を組みました 
2022/06/14 Tue. 22:30 [edit]

のむラボホイール7号の前輪を組みました。
これと、あとで組む後輪が正真正銘 最後の1ペアです。

エボライトハブ 20H 黒CX-RAY反ヌポークラジアル組みです。

リムブレーキ用リムなので ブレーキゾーンがありますが、
それとは関係なく 私物のディスクブレーキ用のホイールを
いつか組むつもりもあって
終売と言いつつ リムを3ペアほど確保していたのですが、
ご要望があったので使ってしまいました。
category: のむラボホイール
のむラボホイール1号の前輪を組み直しました 
2022/06/13 Mon. 23:43 [edit]

お客さんから のむラボホイール1号の前輪をお預かりしました。

スポークが 1本とんでいますが、
つい先日 この前輪のスポークを交換したところです。
今回とんだのは 先日交換したスポークではありません
(汚れ具合で分かる)。
で、立て続けにスポークがとぶのは
とび癖というか 以後 続くことが多いので
スポークの全交換をすることにしました。
私は 私が組んだホイール全ての経歴を
詳細に追えるわけではありませんが、
このホイールのお客さんは 昔からよく知っている人なので
使用歴と だいたいの使用頻度は把握しています。
おそらくは のむラボホイール1号を
よく使っている人のベスト5には入るでしょう。
ハブはリーフハブですが、ベアリングの交換履歴もあります。
いま見たら 傷みがあったのでハブも交換することにしました。
エボライトハブに交換しますが、
エボライトハブの フロント20Hとリヤ24Hシマノフリーボディは
問屋さん在庫終了で 当店でも在庫僅少です。
リヤハブの最後のいくつかは部品取り用に残すつもりですが
フロントハブは在庫ゼロになっても とくに困りません。

組めました。

エボライトハブ 20H 黒CX-RAY反ヌポークラジアル組みです。
スポークは全て新品に交換しています。

リムのみ使い回す予定でしたが、
バラしたものをガラスの定盤にかけたら
わずかに反っていたので交換しました。
結果、元のホイールからリム・ニップル・スポーク・ハブの
全てを交換しています。
テセウスの船どころか 完全に新造船ですが、
「バラす前のホイールのオーナーに所有権がある
のむラボホイール1号」という概念は継承しています。

元のホイールのスポークは テンションを抜いてから切りました。
首元の変形具合に興味があるので すぐには捨てません。
完全に新品の材料で組んでいるので、
元のホイールからのくだりを伏せて
「のむラボホイール1号の前輪を組みました。」
という内容だけでも良かったのですが、
リムが反っていることは バラすまでは不明だったのと
この記事を上げることを連絡に代えているのもあるので
一応は「組み直し」という扱いになりました。
category: のむラボホイール