のむラボ日記

自転車工房「のむラボ」のブログです

左右異数組みの可否の判別法など  

先日、手組みホイールで2:1組みした場合
反フリー側のスポークの首折れリスクが非常に高いので
売り物としてはやりません、というようなことを書きましたが
それについてコメントを数件いただきました。

「24Hで2:1組みだとNDS側の8本への負担が大きくて飛びやすいということですが、
28Hで4:3組みなんてどうでしょう?
16本:12本で、32Hハブを使えば組めそうな感じがするのですが・・・」

「手組2:1だと少ない方のスポークが飛ぶとのこと、
確かに静的には良くても、動的な、例えばコーナリング時の衝撃等を
半分しかない方のスポークが耐えるのはきついのかもしれません。
そこで手組4:3というのはどうでしょう? というのが今回の質問です。
例えば32Hのバブと28Hのリムで16:12で組む意味はあると思われますか?」

2件だけ抜粋させてもらいましたが それぞれ別の方です。
16+12=28ということですね。
こういうホイールが問題なく組めるのか、
または条件付きで組めるのか、または基本的に無理なのかを
簡単に判定する方法があります。
今日はそれについて。

DSC03212amx3.jpg
いつぞや このブログでも書いた
ホイールの平面展開図を描くだけです(→こちら)。
実は今から書くことと かなり重複するのですが
別にかまいません。

今回は32Hハブ・28Hリムで 図はリム・ハブ・リム型にします。

DSC03213amx3.jpg
以下 フリー側を右、反フリー側を左と表現します。
右16H・左12Hの後輪を考えます。
16:12を約分すると4:3となりますが、約分すると
「反復の1単位を切ってしまうことがある」
「反復の1単位と 最小約数は同じとは限らない」
という問題が発生しますので
実際のスポーク本数(この場合16:12)で書いたほうがいいです。
「反復」についてはあとで触れます。
あとでコリマの20Hの後輪についても書きますが、
この12:8も 3:2と表記しないほうがいいです。

DSC03215amx3.jpg
右スポーク16本のリム側の穴を描いていきます。
90°位相分に4つです。

DSC03216amx3.jpg
同様に 反対側から左スポーク12本分のリム側の穴を描いていきます。
90°位相分に3つです。

DSC03217amx3.jpg
描けました。

DSC03218amx3.jpg
右側をタンジェント組みで描きます。
図がややこしくなるので 2本組みにしておきます。

DSC03219amx3.jpg
図が長いので切りました。
このホイールは180°位相分のパターンを2回反復しています。
このパターンが反復1単位です。
そこだけを描くことにしました。

DSC03220amx3.jpg
ハブに 左側のスポークの穴を描き足しました。
で、この状態では反復1単位に付き ハブ8Hリム6Hとなっているので・・・

DSC03221amx3.jpg
8つに対して6つ選ぶ形となり、0本組みをしてやっても
ラジアル組み(=スポークがラジアル線上)にはなりません。
位相狂いが起きています。
32Hハブ・24Hリムで位相狂いが起きないので
28Hリムだと起きそうなのは何となく想像できますが、
図にするとこんな感じです。

これは先ほど書いた「問題なく組める」には あたりません。

DSC03223amx3.jpg
つづいて「条件付きで組める」というのを満たすために
ハブ側の穴を 特別な位相にあけても良いとします。
リム側の穴から まっすぐにスポークを引き、ハブ側の穴を後から決めます。
図ではラジアル組みで書きましたが、
反復1単位分の左の本数が偶数なので タンジェント組みでもOKです。

で、ハブの線上に○を2つ書きましたが、
ここはハブ側でスポークが重なる以上 リム側でも重なる箇所です。
ということは左右のスポークがリムの同位相に来るということになります。
XAEROというメーカーのホイールで、リムの上が平たくなっていて
左右のスポークが横並びになる完全ペアスポークのホイールがありますが、
リムの同位相上にスポークが来ても組むことが可能なリム形状というのは
かなり例外的です。エアロリムなら なおさらです。

DSC03224amx3.jpg
今回リム・ハブ・リム型で図を描いたのは このためなのですが、
左右リムをそれぞれ円に戻すと こうなります。

DSC03225amx3.jpg
この左右リムを、
リムの同位相上にスポークが来ないちょうど良い位置になるよう
どちらかに対して もう片方を回すことにします。

DSC03226amx3.jpg
それを平面展開図で表現すると
片側のリムの線を任意にループさせていることになります。

ということで32Hハブ・28Hリムで16:12組みするのであれば
ハブ側の穴を任意にあけることができるなら位相狂い無しで組める、
通常の均等間隔のフランジ穴のハブでは無理、ということになります。


ところで、紹介させてもらったコメントのうち
2つめのコメントの方から さらにコメントをいただいています。
「先ほどコメントした者です。連投すみません。
よく考えたら位相が変になるのでリムも32Hでやる必要がありそうですね。
じつは自分はまだホイールを組んだことが無いのでよくわかってないですが、
4:3というのを思いついたので書いてみました。どうなんでしょう?」
ということです。
ホイールを組んだことがないのに位相狂いに気がつくとは・・・!
おぬし ただものではないな!
で、4:3なのですが
8:6の14H、
12:9の21H、
16:12の28H、
20:15の35Hとなります。
これ以上スポークを増やすと重たいだけなので この辺でいいでしょう。
28H以外は 穴数が特殊なリムが必要です。
28Hだけは特殊なハブを用意すればホイールになりますが、
現状の完組みホイールの後輪のスポーク数からして
重量面でメリットを見出せないので
メーカーがするとなれば たぶん没になると思います。
その他 左右異数組みを思いつかれたという方は
先ほどのやり方で平面展開図を描いてみてください。
ホイールメーカーないし 私が思いついていない
実用的な左右比というのは たぶん無いはずです。

DSC03227amx3.jpg
つづいてコリマの12:8の 20Hの後輪について。
先ほどと同じように右側12H、左側8Hで展開図を描きました。
今度はハブ・リム・ハブ型です。
結果、90°位相ごとの4ヵ所で
スポークが かち合っています(上矢印の部分)。
右側は鶏合え酢 ラジアル組みで描きました。
スポークの重なりを避けるために左側のスポークの位相を
適当にずらしてみます。
ループさせると うっとおしいので左に少しずらします。

DSC03229amx3.jpg
ずらしました。
この図、反復1単位が90°の4回ではなく 180°の2回です。
(タンジェント組みを青の破線で描き加えました。
左端から 左のスポーク4本と
右タンジェント組みの交差との位置関係を見ると
「交差の間・交差の中・交差の中・交差の間」となっています)

右側は ほとんどの場合ラジアル組みをしませんが、
タンジェント組みをするには
片側フランジのスポーク数が偶数である必要があり、
12:8の20Hを 3:2と約分すると
右側3Hとなり 反復の1単位を切ってしまうことになります。
これが 先ほど「約分で表記しないほうがいい」と書いた理由です。

DSC03230amx3.jpg
で、12:8の20Hの後輪ですが
コリマの位相ずらし量が仮にこれと同じだとすると

DSC03233amx3.jpg
右右右右が1単位の2回反復ということになります。
これを見やすくしたくてハブ・リム・ハブ型で 図を描きました。

穴のだけ見れば右右の4回反復に見えますが
リム側穴の間隔が違うので同じパターンは180°ごとです。

この「同じ側の穴が連続する箇所が出てくる」というのが
左右異数組みの大きな弱点でして・・・

DSC03234amx3.jpg
こういう状況が必ず出てきます。
なのでフルクラムにしろ その他左右異数組みのホイールは
縦振れの妥協点が非常に甘いです。
普通の手組みホイールでは考えられないくらいの縦振れがありますが、
タイヤの接地面での変形で吸収される範囲なので
問題なしとしているようです。
実際に私がそういうホイールを使っても縦振れは分かりません。

普段のフルクラムのホイールなどの点検では
左スポークの周辺限定ですが
それでもなるべく縦振れを消す方向で 横振れを取ってはいます。

さらにカンパニョーロのG3ともなると
左右3本いっぺんに引っぱっている箇所が
内周部に かなりひずむので、
G3の7回反復で21Hのホイールなどは
正7角形と円と円と円を足して4で割ったようなリム形状になっています。
けっして大げさな表現ではありません。

DSC03237amx3.jpg
カンパニョーロとフルクラムのアルミリムでは
ニップルの根元の部分以外を
「切削している」ような格好になっていますが、
あれはむしろスポークテンションによる リムの内周ひずみを
抑えるために「盛り上げている」のではと 私は考えています。

DSC03236amx3.jpg
↑この赤の破線のスポークがあれば
ニップルをゆるめて押し出す形で縦横の振れを同時に少なくできるのですが・・・。

手組みホイールで左右異数組みをしない理由ですが、
現実的な範囲では 32Hハブ・24Hリムの2:1組み以外で
位相狂いを起こさない組み合わせがない
(ハブ穴の余りはOKで リム穴の余りはNGとした場合)、
というのもあります。
あとスポークとび問題と 縦振れ妥協問題ですね。
ただ、左右のスポークテンション差の是正度は絶大なんですけでもね・・・。
左右異径スポーク組みを、かえって しないほうがいいくらいに。

category: ホイールの話

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