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のむラボ日記

自転車工房「のむラボ」のブログです

コメントのお返事  

先日のG3組みの話でコメントをいただきました。

スプロケットの回転トルクがかかった時に
全てのヤマアラシさん方向のスポークにテンションがかかるならば、
そのとき全ての反ヤマアラシさん方向のスポークにスポークテンションの低下が
起こっているはず。

という内容ですが、その通りです。

普通のホイールの場合で ヤマアラシさん方向のみ、または反ヤマアラシさん方向のみの
ヌポークの仮組みホイールをそれぞれ用意して、
フリーボディの前ねじれトルクに対して スポークがどういう振る舞いをするか
というのを以前書きました。
DSC09074amx.jpg
ヤマアラシさん方向のスポークは
DSC09075amx.jpg
スポークがより絞られる方向になるのでニップルがリムに瞬間的に食いついて
テンションが張ります。

DSC09078amx.jpg
反ヤマアラシさん方向のスポークは
DSC09079amx.jpg
スポークが外に飛び出す方向になるのでニップルの根元がリムから浮いて
テンションが抜けます。

実際にはこの二者が拮抗していて、かつ十分なスポークテンションで張られているので
乗って分かるかどうかといわれれば怪しいかもしれませんが、
体感レベルかどうかは別として 起こっていること自体は確かですから
ホイール全体のデザインやハブの設計が
この問題に対してより良い形であるかどうかは重要です。

DSC01140amx.jpg
描きやすいから(笑)という理由で、12HのG3組みの
フリー側8Hパラレル組みを用意しました。

DSC01141amx.jpg
これをヤマアラシさん方向と反ヤマアラシさん方向のスポークに分けます。

DSC01142amx.jpg
第3作用でフリーボディを前に絞りました。
ヤマアラシさん方向のスポークは一瞬でピーンと張ります(第4作用)。
その直後に後輪が転がる(第5作用)わけですね。

DSC01144amx.jpg
これが反ヤマアラシさん方向の場合、スポークのテンションが抜けてしまうので
第4作用としての仕事はしていないように見えます。

DSC01145amx.jpg
しかし、反ヤマアラシさん方向のスポークといえどもニップルがリムと接している以上、
ニップルがリムをぶん回そうとする力はゼロではありません(ダフり角が負であっても)。
スポークのテンションが瞬間的に抜けきってからニップルがリムを回転方向に
押しているはずです。
しかし、カンパニョーロの動画では完全に無視されていましたね。
私も、スポークテンションの左右差を埋めるために
フリー側のスポークの容積の総和を増やすための添え物と書いたりしてますが。
G3組みが、反ヤマアラシさん方向のスポークテンションの抜けで生じるロスを
普通のホイール以上に軽減しているかどうかですが、
G3組みそのものによって軽減されている角度的なメリットと
G3組みによって生じるテンション的なメリットの2つのメリットがあります。
それについて書きます。
あれ?これ次に書く予定のネタだったんですけど・・・まあいいや。

DSC01146amx.jpg
タンジェント組みのスポークのうち、反ヤマアラシさん方向の1本だけを描きました。

DSC01147amx.jpg
第3作用のねじれがギュンッ!とかかります。

DSC01148amx.jpg
その瞬間、ハブの接線上を前向きに走る
「ヤマアラシさん方向は絞るぞ/反ヤマアラシさん方向は緩めるぞトルク」
が発生します。
DSC01149amx.jpg
タンジェント組みのスポーク方向は この緩めるぞトルクの方向に近いので、
スポークテンションが抜けやすいと思われます。

DSC01150amx.jpg
パラレル組みの反ヤマアラシさん方向のスポークで同じことをすると・・・
DSC01151amx.jpg
スポークの方向が 緩めるぞトルクの角度に近くないので、
スポークのすっぽ抜けが起きにくいと思われます。
これが角度的なメリットです。

もう一つのテンション的なメリットですが、フリー側だけをパラレル組みにすると
スポークテンションの左右差がかすかに縮みます。
組み方によって下がったフリー側のスポークテンションを、再び元通りの数値にするには
反フリー側のスポークテンションも上げなければなりません。
結果として(少なくとも縦には)以前よりも硬いホイールが組めることになります。
スポークテンションが上がっているのですから、反ヤマアラシさん方向のスポークの
「緩めるぞトルクに対する耐性」も向上するわけです。
これがテンション的なメリットです。

G3組みは普通のホイールよりも反ヤマアラシさん方向のスポークが
第4作用の仕事に加わっている割合が高い(=ロスが少ない)と私は思っています。

コメントをいただいた方は「完組み買うならカンパがいいかも」と書かれていましたが、
私にとってもG3組みだけなんですよ。
これだけグダグダ長く 理屈について書かせるようなホイールは。
G3組みというものがすでにあって、目にしたからこそ
「ここはこういう理屈でこうしているんだ」と考えることができますが、
もしG3組みを見たことのない私が ホイールのことをあれこれと考えたとき
机上の空論でもいいから自分ひとりの頭でG3組みを思いつくかと言われれば、
それは100%ないです。
私の使うホイールは コスミックカーボンアルチメイト以外は
だいたい自分の手組みです。
その私が「試したいなら買うしかない」完組みホイールがカンパニョーロです。

category: G3組みの話

tb: 0   cm: 3

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2012/12/12 20:59 | edit

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2015/05/19 18:46 | edit

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