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のむラボ日記

自転車工房「のむラボ」のブログです

EC90SLXさん  

お客さんからEC90SLXをお預かりしました。
DSC06360amx3.jpg
DSC06358amx3.jpg
前輪はかすかに振れとセンターずれあり、
後輪はセンターずれが前輪以上でしたが
どちらにしても大したことはありませんでした。
あと、リヤハブのベアリングの回転がゴリゴリするということです。

DSC06359amx3.jpg
ここまで全て 作業後の画像なのですが、
確かにシャフトを手で回すとゴリゴリでした。
リヤハブの場合、たいていはハブ体に2つとフリーボディに2つで
4つのベアリングが並んでいます。
(これはカートリッジベアリングの場合で、
シマノは7800系の時代を除いて2つのカップ&コーン式ベアリング、
マヴィックはフリーボディのベアリングが1つなので
カートリッジ式で3つのベアリングとなります)
それらが 強い圧入ではないですがシャフトと常に接しているので
ゴリゴリの原因が どのベアリングなのか、
また、ダメなものの個数はいくつなのか、を
手探りで当てることはできません。
実はハブではなく フリーボディのベアリングが死んでいただけ、
ということも よくあります。

DSC06256amx3.jpg
分解してみて分かりましたが、
今回は ハブベアリングの右側だけが死んでいました。

DSC06258amx3.jpg
R4SLハブなので セラミックベアリング仕様なのですが、
ベアリング球の硬さにボールレースが負けて虫食いが起きてしまい
削り取られた鉄粉が錆びてしまったようです。
上の画像では シールをめくる前に
パーツクリーナーを噴いてみたのですが、
すでに錆び汁が出ています。

DSC06340amx3.jpg
シールをめくってから噴くと かなりの量の錆び汁が出ましたが
撮り忘れてしまいました。

DSC06341amx3.jpg
このシールを洗ってみると・・・

DSC06343amx3.jpg
6902CE-2RSとあります。
6902はベアリングのサイズ、CEはセラミック球、
2RSは両面ラバーシール(2 Rubber Seal)を示しています。
片面ラバーシールだとRSになりますが、
メーカーによっては両面でもRS表記のものがあります。

6902は外径28mm/内径15mm/厚み7mmの
ミリサイズ系の規格ベアリングなので入手は容易です。
セラミックでさえなければ。

DSC06350amx3.jpg
↑フリーボディのベアリングは6902-2RSの鉄球仕様です。
これなら簡単に入手できるのですが。
うーん これは困った・・・。(困ったふり)

DSC06344amx3.jpg
と思っていたらTniからセラミックベアリングが出ていました。(知ってました)
自転車のパーツによく使われる
68××系と69××系のサイズが豊富に揃っています。
いやーこれは便利だ!(露骨な宣伝)

鉄球ベアリングが ピンからキリまであるように
セラミックベアリングにも良し悪しがあります。
重要なのはベアリングボールの真球度・・・ではなく(←これも大事ですが)
ボールレース側の硬度です。
これがセラミック球の硬さに合っていないと
レースが削られて すぐに虫食いが起きたりします。
カンパニョーロの黒いボールレースのUSBは明らかに低寿命ですが、
これも それが理由です。
最近の銀色のボールレースはこの点が改善されています。
出てから何年も経っていないことを差し引いても、
虫食い発生率が非常に低いからです。
黒ボールレース時代のUSBベアリングは、
私が使う場合は 全てわざわざ鉄球にデチューンしていましたが
(そもそもこれがデチューンと言えるのかが疑問)、
銀ボールレースはその必要が無さそうです。

じゃあどこのセラミックベアリングが良いのか、
というと私見ですが やっぱりセラミックスピードは別格です。
COATEDという上位モデルがありますが そちらでなくても十分です。
次に それと同格かな、というのがCULTです。
何にでも付くというわけではないですが。
あとはだいたい玉石混交、ではなく 石だらけです。
先ほどのドリルの話と同じでチタンコーティングを謳っているものでも
耐久性や低抵抗性が 別に優れているわけではありません。
BBカップがとくに顕著ですが、鉄球のものより寿命が極端に短いものは
球だけセラミックにした粗悪品
です。
ボールレースの硬度が低いのと、きっと真球度も高くないのでしょう。
私がセラミックベアリングを積極的にお客さんにオススメしないのは、
「まともなものが少なくて まともなものは高価だから」です。

だいぶ昔になりますが、コスミックカーボンアルチメイトで
○○○ー○のセラミックベアリングに打ち換えたものの
あまり具合がよろしくない(違いをあまり体感できない)という
お客さんのそれを「私を信じてください」と言って
セラミックスピードのセラミックベアリングに
すぐに打ち換え直したことがあります。
それについて「全然違う!」という感想をいただきましたが
そりゃあ 玉と石では違います。
実は ただ単純に打ち換えただけでは無いのですが、
それでも主因はベアリングそのものの性能の違いです。

で、Tniのこれが 玉か石かどちらになるのかですが、
セラミックスピードには及ばないものの
価格以上のものであるのは確かです。
私自身 カンパニョーロのウルトラトルクのUSBを
これに換えて継続的に使っていますが、
少なくとも極端に低寿命というわけではありません。
何より、これより中途半端に高価で
もっと質の悪いものが たくさんあります。
具体的には書きませんが。
誰が教えるかっつうの。
↑うわこいつ感じ悪っ!

DSC06345amx3.jpg
脱線しました すいません。
ベアリングですが、当然 同じサイズです。

DSC06347amx3.jpg
6902の「RS」表記ですが 両面シールです。

DSC06349amx3.jpg
DSC06354amx3.jpg
DSC06353amx3.jpg
ハブをオーバーホールしてから再圧入しました。
ゴリゴリ感はきれいに消えています。













DSC06366amx3.jpg
蟹光線の登場を予感した方が多いかと思いますが、
現在 蟹光線は思想警察に拘束され
不当かつ苛烈な取調べを受けているため
今回 出番はありません。残念でした。

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2014/12/19 17:49 | edit

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