のむラボ日記

自転車工房「のむラボ」のブログです

ALIZEを直したりしました  

ドリルがうなる!
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お客さんからニールプライドのアリーゼを お預かりしました。
普段こういうこと(バイクのオーバーホール)について書きませんが
何点か書きたいことがあるので書きます。
お客さんには了承を得ています。

まずヘッドの調整がガタガタということでしたが、
ちょっとやそっとじゃないくらいガタガタでした。
よくそれで走っていたなというくらいです。
上側のカートリッジベアリングが錆びて腐りきっていたので
それを交換しつつ ヘッドのガタ取りをしました。
あとは ワイヤー全交換をご希望だったので
それをすれば済むと思っていたのですが・・・。
ツッコミどころが満載で結局ばらしてしまいました。

このフレームは ダウンチューブのボトルケージ穴が3つあり
うち隣り合った2つを使ってボトルケージを付けるのですが、
下2つのねじが台座に固着していて ねじが全くゆるみませんでした。

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しかも都合の悪いことにトラスねじでした。
トラスというのは上の図のように、
ねじ頭が低くて 丸い形状のもののことです。
ステムによく使われている円筒状のねじ頭のものは
キャップスクリューといいます。
例外はありますが ボトルケージのねじ穴はM5、
M5のトラスは3mmアーレンキー穴、
M5のキャップスクリューは4mmアーレンキー穴であることが多いです。

今回は、トラスねじが固着していただけでなく
3mmアーレンキー穴もナメ気味で、全くゆるみませんでした。
困ったことにトラスねじはペンチ系の工具で ねじ頭をつかむことが出来ません。
(ちなみに、トラスっぽいけども 横につかみしろがあるような
頭のものは ナベねじといいます)

「フレームの寿命まで ずっとこのボトルケージで使ってください」
というわけにもいかないので・・・

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まずはトラス頭を ドリルで飛ばしました。

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これでまず ボトルケージは外れます。

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これから どうするかですが、
ねじが入っていなければ カシメより十分に大きい径のドリルで
外側のカシメを削りきるところですが、
ねじがあるので そうもいきません。

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なので、外側のカシメを3/4周ほど きれいに削って

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フレームの中に落とし込むことにします。
簡単に書いてますが非常に難しい作業です。

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できました。
フレームが、落としたリベットナットが回収できる構造かどうかも
事前に調べておきます。
今回はシートポストを抜いて シートチューブから出せました。

ボトルケージを付けていたのは上2つですが、
今 使っていないからといって固着していた
一番下の台座を直さない理由はありません。
ダウンチューブの一番上と シートチューブの2つの穴
(固着していなかった穴)もねじ山のかかりが
明らかにおかしかったので タッピングしています。
というか 固着予備軍でした。

このあと もちろんリベットナットを新たに打ち直しています。
(画像を撮り忘れました)

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↑回収したリベットナット

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↑つづいて これはダウンチューブのアウター受けですが、
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ライナーを使わずに組み付けたので シフトインナーで削れています。

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↑こういうことですね。
書き忘れていましたが、このバイクは お客さんが組んだものではありません。
ショップで組んでいます。
ニールプライドのコーポレートカラーの水色ではなく
赤のフレームが どうしても欲しかったので、
完成車にしか無い赤仕様を手に入れるために
105の完成車を一度買ってから デュラエースに組み直しています。

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フォークコラムがまっすぐ水平に切られていませんでした。
画像は切った後です。
このステムは 冒頭の画像でも付いている
FSAのOS190ステムの70mmですが、
お客さんのものではありません。
しかも実は ステムでもありません。
コラムカットがまっすぐかどうか調べるための道具
兼 フロントフォーク抜け落ち止めです。

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DSC05953amx3.jpg
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いい機会なので、別件ですが書いておきます。
これは冒頭の画像で後ろに映っている
グラファイトデザインのフォークコラムですが、
これもひどく斜めに切られています。
今回のアリーゼは これよりは多少マシといったところでしたが。
フォークコラムをまともに切れない奴がする
変速調整だの振れ取りだのバーテープ巻きだのといった
作業の精度は、たかが知れています。
そんなんでお金をいただくなよというレベルです。

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しゅぱーん!

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この年代の STIレバー側のアウター受けに
プラスチックのものを 使うのはいけません。
なぜデュラエースだけがアルミになっていて
差別化されているかということですが、
長期的に見たときの変速性能に違いがあるからです。
ということに今回は目をつぶるとして、
シフトアウターが内這わしになっています。

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↑しかしなぜか 反対側は外這わしでした。
お客さんに訊いたところ
「アウターの長さが足りなくなったから取り回しを変えた」と
ショップから説明されたそうです。

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お客さんのハンドルはボントレガーなのですが、
上の図でいうところの「前凹み」なので
シフトアウターを外這わしにするのはありえません。
バーテープがOGKのBT-06超薄手なこともあって
アップバーを握ったときに 手の平にアウターが当たって
痛いと思うのですが。

余談ですが私などは 前後ミゾのバーで内這わしにしています。
バーテープを巻くと手の平側が平面っぽくなって握り心地がいいのです。
指の腹側がアウターでやや四角い感じになるのは問題ありません。

もうひとつ余談ですが、PROのVIBEなど
下側が平面になっているバーもあります。

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ここまでは前座です。
ここからが本題です。
お客さんからお預かりした理由は3つありまして、
「ヘッドがガタガタ」「ワイヤーの交換」「サドルの角度が出せない」の3つです。
(ねじの固着その他は お客さん自身
気づいていなかったことですが 勝手に直しました)

シートポストのヤグラの形状と サドルのレールの角度の相性が悪く、
出したいポジションが出せないということです。
シートポストはフレームの付属品かつ専用品なので
シートポストそのものの交換では対応出来ません。

調べてみたところ前後天秤式のねじが 前はM7、後ろはM6ねじでした。
M7というのはシートポストのヤグラ固定ねじとしては
実はありふれたサイズですが、一般には非常に特殊です。
ナットはすぐに見つかりましたが ねじのほうは取り寄せになる、
ワゴムイラーヌ用のねじを買った ねじ屋さんに言われました。

DSC06688amx3.jpg
ヤグラの向きは間違っていません念のため。

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サドルの角度によっては ヤグラの下パーツと
歯車型の角度調整ダイヤルが干渉するということです。
角度以前に ダイヤルが大きすぎる気がするのですが・・・。

当店ではオープン以来の2年間で
計9台のフレームないし完成車を販売しています。
1年に5台売れば 自転車屋は食っていけるということです。
(そのスタイルでいく場合 年間500本以上のホイールを組む必要がありますが)
そのうち2台はアリーゼなのですが、これらのバイクでは
ヤグラに干渉問題が起きなかったので
サドルによって起こる要素が大きいのは確かです。

DSC06690amx3.jpg
ばらしてみました。
(簡単に書いていますが ちょっと難しいです)

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当初は M7のねじを取り寄せて、
M7のナット2つで ダブルナットを強くかけたものを
歯車ダイヤルの位置に設けようと思っていました。
が、このねじが ねじ山以降アウトバテッドしていることと
首下が丸く加工されていることから
同じ性能のものを得がたいと思ったので
このねじを流用することにしました。

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↑歯車ダイヤルは こうなっています。
穴の中に ローレット(ギザギザ)加工があります。

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買ってきたM7ナットを ぎゅいーんしました。
そのあと アレとかコレとかを施して

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↑こういう状態にしました。
ナットの対辺つかみ径は10mmです。
後ろ側のねじが相当に締まっている状態から
前のナットを回しても ねじから ずれたりはしません。

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実際にやるかどうかは別として、
これくらいの前下がりにセットしてみました。

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↑そのときのヤグラの状態です。
以前の歯車ダイヤルでは無理ですね。干渉します。

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このサドルは セラサンマルコのコンコールライトですが、
標準のセッティングは ちょっと特殊で
サドル全体で水平を出すのではなく
サドル前半分で水平を出し 後ろが反りあがっている状態にします。

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↑その状態で こんな感じです。
お客さんはここから ほんのちょっとの微妙な、
本人以外には分からないこだわりの角度に煮詰めたかったそうなのですが
歯車ダイヤルでは無理だったということです。

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2015/01/18 00:07 | edit

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