のむラボ日記

自転車工房「のむラボ」のブログです

コメントのお返事(せんたーげーじのつかいかたについて)  

センターゲージの使い方について、コメントをいただきました。

「細かい振れがたくさんあったら、
センターが微妙にずれているとしても
それは分からないと思うのです。
振れの大きさを把握した上でセンターゲージを当ててみた時に
「明らかにずれてる!」ということはあるでしょうが、
センターゲージの読み (?)の差が小さい場合は、
センターがどっちにずれているんだか
自分には分かりません。
「ここは振れていない」というリムの箇所にマーキングでもして
おくのでしょうか?
横振れを取り切った上でホイールに当ててみて、左右の読みが同じ
だったらセンターが出せてる。
こう使うのがセンターゲージですよね?」
というコメントをいただきました。
道具の使い方について講釈をいただき ありがとうございます。


これを拝読した限り
「振れ取り作業前にセンターゲージを当てる意味が無い」
とも取れるのですが、そんなことはありません。

「細かい振れがたくさんあって、
センターゲージが左右ピッタリ当たるものの
実は ずれている」という状態を
以下「疑似センター」と呼ぶことにします。

振れ取り作業を終えた状態は
疑似センターの可能性が排除されていますから
その状態+センターゲージが左右ピッタリで
「センターずれ無し」と確定できます。
ただそれだけのことです。
リムにマーキングうんぬんは要りません。

では なぜ横振れを取りきっていない状態で
センターゲージを当てる必要があるのかというと、
仮に センターずれが検知できた場合から書きます。
センターずれが検知できた場合、
どちらにずれていたか あらかじめ知っていることで
ニップルに工具をかける回数と作業時間を減らすことが出来ます。

DSC08037amx3.jpg
前輪でセンターずれありなら、増し締めでセンターに寄る側だけで
「センター出しを兼ねた振れ取り」をするので
その側で(だいたい普段は)9割ほどの振れが取れます。
後輪でセンターずれありで リムがフリー側に寄っている場合、
なるべく反フリー側の増し締めだけで
「センター出しを兼ねた振れ取り」をします。
後輪でセンターずれありでリムが反フリー側に寄っていた場合、
これが最悪なのですが フリー側の増し締めがきついことが多いので
反フリー側をゆるめざるを得ないことが多々あります。

R-SYSの後輪の場合は、センターずれの方向が分かっていて
かつ軽微ならトラコンプリングを抜かないように
(反フリー側のニップルを一切触らずに)調整できることがあります。

もし振れ取り作業後にしかセンターゲージが必要ない
(これがコメントでいうところの「使い方」なんですよね?)、
または振れ取り作業を ひとしきり終えないかぎり
センターゲージを使ってはいけないとするなら、
振れ取り作業は「まず大きな振れから取っていく」ことになります。
その場合、振れ取り作業がかえって
センターずれを増大させる可能性が当然あります。
DSC08038amx3.jpg
↑これは単純化した例で、実際はもっと複雑ですが
振れの大きさ順に手をつけただけでは
かえって答えから遠ざかることが多々ある、ということです。

もし事前にセンターずれの向きが分かっていれば、
ニップルを締めゆるめして行ったり来たりする無駄な作業が
かなり減ることになります。
なので振れ取り作業前にセンターゲージを当てる、
という「使い方」をしないというのは ありえません。

次に、センターずれが検知できなかった場合について。
この場合はセンターが出ているか 疑似センターかということですが、
どのみちそのあとに振れ取り作業を100%するので
全て疑似センターであったとしても かまいません。
(私は センターゲージだけ当てて振れ取りをしなかった、
ということは過去 一度もありません)
振れ取り完了後に(疑似センターの可能性を排除した後に)
センターゲージを当てるだけです。
疑似センターであったということは
センターずれが全体的に軽微であるということなので
大きい振れから取り掛かっても それが無駄な手順になる可能性は低いです。

もちろん、振れ取り前に疑似センターであったにもかかわらず
振れ取り後にセンターずれが検知されるということも よくあります。
私の振れ取り作業によってセンターがずれたのでしょう。
その場合、再度出しなおせばいいだけです。
ホイールの点検の記事で「センターが出ていました」と
私が書いている場合、これは確かに作業前の状態なので
疑似センターである可能性があります。
たぶんコメントで言いたいところは ここなのだと思うのですが、
作業前の疑似センターを最終的に「センターが出ている」と
判別しているわけではありません。
作業前のセンターゲージの当て方は左右同位相で1回だけですが、
作業後は位相をずらして数ヵ所で見ています。
あくまで作業前にセンターゲージを当てるのは
作業の方向の指針を得たいためであって、
その段階のセンターを信頼しているというわけではありません。

お客さんにお渡しする最終状態が「振れ無し・センターずれ無し」なら
問題ないわけですが、そこに至るまでの手数が
作業前にセンターゲージを当てたかどうかで ずいぶん変わるのです。

あと、私はホイールの点検については
記事に「お預かり」と書いていますが
この場合は 単にお客さんから受け取ったという意味であって、
長期のお預かりになるということは ほとんどありません。
その時その場でやります。
仮に作業前にセンターずれがあった場合、
その場に お客さんがおられるので
「こんだけずれてましたよ」→「振れ 取りましたよ」→
「センターもビタッ!と出てるでしょ」と
目の前で実演することがほとんどです。
(お客さんが用事などで中座したりなどしないかぎりは)

お客さんにとって 得体の知れない(かも知れない)作業に
お金を払うのは嫌だろうなと思い、
作業はお客さんの見ている前でします。
私が示す センターゲージとハブ軸の間の紙1枚ほどのすき間を
見たという方も たくさんおられるでしょう。
お客さんの前で「作業前はずれていましたよ」というのを
(検知された場合のみですが)見せるためにも
作業前にセンターゲージを当てる意味はあります。


次にセンターゲージ自体の精度について。
DSC08039amx3.jpg
私はおもにホーザンのこれを使っています。
リムに当てる面の平面度が信用に足ることと、
DSC08040amx3.jpg
ハブに当てる部分のガタツキが非常に少ないので
先ほども書きましたが紙1枚ほどの左右差が検知できます。

カンパニョーロも持っていますが、
ハブに当てる部分がスライドではなく ねじ式になっていて
ねじ山の寸法のアソビが ガタとしてあるので
使えないことはないですが コツが要ります。

DSC08041amx3.jpg
つづいてパークツール。
これと先ほどのホーザンの2つが
今 私が使うことがあるセンターゲージです。
99%以上はホーザンですが。
あと、ミノウラの折りたたみ式のものは
プロが使う道具ではありません。論外です。
世界にあれ1つしかセンターゲージが無いのなら使いますが。

パークツールではセンターゲージのことを
Wheel Alignment Gaugeと呼んでいますので
アクロニムはWAGとなり、
現在WAG-4とWAG-5がラインナップにあります。
上の画像のものはWAG-4です。
WAG-5は普通のセンターゲージで
リムに当てる部分が金属なのですが、
WAG-4ではプラスチックになっています。

DSC08042amx3.jpg
DSC08043amx3.jpg
↑リムに当てる部分がスライドするので、
タイヤを外さずともリムにゲージを当てることができるというのがポイントです。
昔 私がシル○ストサイクルにいたとき
これを買った翌々日に このプラスチックが捨てられていて、
休み明けで出た日だったものですから
ゴミ箱をひっくり返しても すでにありませんでした。
捨てた奴(奴ら?)は これの意図が分からなかったようです。
おそらくは外して普通のセンターゲージとして使ったあと、
放り出してあったこれを 別の誰かがゴミだと思って捨てたのでしょう。
よくわからないこうぐはさわらなくていいよ。

DSC08044amx3.jpg
リムに当てる面のプラスチックの精度がいまいちアヤシイ、
というのが これを使いたくない第2の理由です(第1の理由は あとで)。
私はWOとチューブレスタイヤなら振れ取り時に必ず外して作業します。
チューブラータイヤもなるべくなら剥がします。
ただ、どうしても剥がさないほうがいい場合もありまして、
例えばシクロクロスのタイヤを
パンクしないかぎりワンシーズンそれで通すために
リムセメントとコニシボンド秘密の儀式で
ガッチリ張ってある場合などは
下手に剥がさないほうがいいです。
ついでに書いておきますが、これが為にシクロの決戦ホイールは
内蔵ニップルでないほうが メンテナンス性の面で有利なのですが
私の考える最強リムはENVE(←内蔵ニップル!)だったりします。

DSC08045amx3.jpg
これを使いたくない第1の理由について。
パークツールのセンターゲージはWAG-4、5ともに
スリットの入ったプレートをハブ軸に当てます。
これを固定するときにユリヤねじを手で締めるのですが

DSC08047amx3.jpg
ねじを締めるとプレートが内側、
斜め上にスイングする方向で かなり動くのです。

実際、過去調べたかぎりでは
パークツールとミノウラのセンターゲージで
ずれが検知できないホイールが、
先ほどのホーザンでは検知できることがありました。
センターゲージの検知精度に大きな差があるということです。
私が普段ホーザンを使っていて、コメントにあるような
「細かい振れがたくさんあったら、センターが微妙に
ずれているとしても それは分からない」という経験はありません。
(パークツールなら十分ありえそうです。
この2つの隔たりは非常に大きい)
ホーザンのセンターゲージを欺くような疑似センターは
あったとしても かなり微妙なずれになります。
どちらにしても振れ取り後に疑似センターを排除してから
コメントにある「センターゲージとして」使うわけですが、
もし精度の低いゲージを使っていて それが気になるというなら
道具を改めるほうがいいですね。

いま調べてみたところホーザンのセンターゲージは現行品で
「C-335」という品番でした。税別定価13200円です。
使ってみると分かりますがハブに当てる部分の
確実性と再現性がこれ以外のセンターゲージと段違いです。

それはそうとコメントありがとうございました。

category: のむラボ日記

tb: 0   cm: 0

コメント

コメントの投稿

Secret

トラックバック

トラックバックURL
→http://pass13.blog.fc2.com/tb.php/1769-db3fe5f3
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

検索フォーム

最新記事

最新コメント

カテゴリ

月別アーカイブ

リンク

カウンター