のむラボ日記

自転車工房「のむラボ」のブログです

VIVA Sさん(12:8Hホイールの 展開図の話)  

お客さんからコリマのVIVA Sをお預かりしました。
DSC01089amx4.jpg
今日お預かりしたわけではありません。1週間くらい前です。
「こんなん直しました」という話のあとに、書きたいことがあったので
記事にしていなかったのです。

お預かりした要件は、3本ローラーに乗ると縦振れが よく分かるので
直してほしいとのことでした。
3本ローラーは ホイールやタイヤの縦振れが非常に感知しやすいので
安物の練習用タイヤなど履くと 走行感がグワングワンしますが、
お客さんは このホイールをほぼレース専用にしており
3本ローラーに乗るのは レース前に決戦用タイヤでアップするためなので、
タイヤの縦振れというのは考えられません。

ということで縦振れを見てみたところ、
リム穴(ニップル)の位置で 4つ分くらいに渡ってリムが内側にひずんでいました。
それ以外にも外側に出ている箇所もあったので
可能なかぎり 縦振れを追い込んでから センター出しと横振れ取りをしました。

DSC01090amx4.jpg
↑ハブの仕上げは、アルマイトではなく おそらくメッキだと思うのですが
あまり強くて厚い膜では無いみたいです。
経年使用した このハブはほぼ例外なく メッキが浮いてきています。

DSC01092amx4.jpg
DSC01093amx4.jpg
ここからが展開図の話です。
このホイールは12:8スポークの20Hですが、
上の画像のように リム穴の間隔が詰まっているところもあれば、
まばらなところもあります。
2:1スポークの場合は「RLR」をひとつの単位として
リムに穴を設ければいいのですが、
これは3:2スポークになるので ちょっと複雑そうです。

というわけで バルブ穴が真上の状態でホイールを置き、
それをフリーボディ側から見て バルブ穴から時計回りに
リム穴が右か左か書きとめることにしました。
DSC01365amx4.jpg
↑それがこれです。
リム穴の間隔が 比較的近い場合は詰めて、
ちょっと離れている場合は離して右(R)と左(L)を書くと
LR RL R /LR RL R /LR RL R /LR RL R /LR RL Rとなり
LR RL Rの4回反復になっています。
(分かりやすいように90°位相ごとに「/」を入れました)


ただ、LR RL Rを ひとつの単位とすると、
Rが3つ(奇数)なので
DSC01366amx4.jpg
↑タンジェント組みのスポークの交差が 完成しません。

DSC01367amx4.jpg
なのでLR RL R LR RL Rの180°位相分の2回反復で描きました。

DSC01368amx4.jpg
毎度おなじみホイール展開図です。
今回は「リム穴の重なりを避ける」のを重視しているので
ハブ~リム~ハブ型の図にします。
フリー側は12Hなのでリム穴の間隔は30°ごと、
反フリー側は8Hなのでリム穴の間隔は45°ごとと なります。

DSC01370amx4.jpg
0°の位相から それぞれその角度ごとに リム穴を設けました。
はい、これは間違いです。ホイールが組めません。

DSC01371amx4.jpg
スタートラインを同じくして30°ごとと45°ごとで 穴を設けているので、
90°位相ごとに穴が重なります。
さらに、さっきホイールの現物を読んだ結果の
LR RL Rのパターンでもありません。

DSC01372amx4.jpg
さらに、バルブ穴(0°/360°)の位置では
バルブ穴、右スポークの穴、左スポークの穴の3つが重なりました。

DSC01373amx4.jpg
これを避けるために、リム穴の位相を それぞれずらすことにします。

DSC01091amx4.jpg
ところで、ホイールの現物を見ると
ステッカーの赤い部分がちょうどバルブ穴になっているのですが、
バルブ穴の時計回りの隣の穴は左スポークで、
反時計回りの隣の穴は右スポークです。
目視したかぎりですが、この2つのリム穴は
バルブからの距離が同じに見えます。

DSC01388amx4.jpg
↑こういうことですね。
仮にですが「同じだとして」リム穴の位相を考えてみます。

DSC01380amx4.jpg
↑エクセルで こういう表を作ってみました。
枠の数がスポーク本数、
枠内の数字がバルブ穴からのリム穴の位相になります。
反フリー側は 左端の枠の数字45から45ずつ増えてゆき、
フリー側は 左端の枠の数字30から30ずつ増えてゆきます。
これがホイールとして成立するには、
・同じ数字(同じ位相のリム穴)があってはならない
・バルブ穴(0°/360°)に リム穴が重なってはならない
という条件を満たす必要があります。

上の図は、先ほどの間違っていると書いた展開図と同じ状態です。

DSC01382amx4.jpg
1°だけ ずらしました。
図にある「ずらす角度」に数値を入れると
反フリー側はプラス方向(時計回り)に、
フリー側はマイナス方向(反時計回り)に
位相がずれるようになっています。
この状態では、
・同じ数字がない
・バルブ穴(0°/360°)に重なっていない
という条件を満たしているのでホイールとして成立しますが、
それは概念上の話であって
実際は1°程度のずれだと リム穴やバルブ穴の径からすれば
穴がつながってしまうほど近くになるはずです。
なので、実際は5°くらいは離れていないと
ホイールにならないのではと思われます。

DSC01396amx4.jpg
私の「のむラボホイール1号3・3・7」は
32Hの倍である64Hから
バルブ穴の位相を除いた63Hのホイールですが、
スポークの仮想本数は64Hなので
リム穴の位相は360÷64で5.625°ごととなります。
リム高によってリム穴間の内周側の弧の距離は変わりますが、
このくらいのリム高で64Hだと ニップル回し工具は 何とか使えます。
(もしダメなら レンチタイプの工具にすればいいのですが)

DSC01384amx4.jpg
15°ずらしてみました。
だめですね。バルブ穴にこそ かぶっていませんが、
リム穴の位相がそろう箇所が出てしまいました。
(上の図で同じ形で囲った数字同士)

DSC01386amx4.jpg
7.5°ずらしてみました。
リム穴が 先ほどと違う位相でかぶっています。
あと、この数字だと作図しにくいので却下です(笑)。

DSC01387amx4.jpg
10°ずらしました。
これはいけそうですね。
一番近い部分も 5°離れています。

DSC01390amx4.jpg
展開図に数字と位相を描きこみました。

DSC01391amx4.jpg
この状態でリムの上を読んでいくと、
「LR RL R」の反復になっているので
実際のホイールとも矛盾しません。

DSC01392amx4.jpg
反フリー側はラジアル組みなので
スポークはこのようになります。

DSC01393amx4.jpg
フリー側ですが、
実際はタンジェント組み2クロスのところ
1クロスで描いていますが「最終交差がバルブ穴をまたがない」
ということを表現できればいいので これで問題はありません。

バルブ穴の両隣のリム穴を見ると、
それぞれ 時計回りでは370°(10°)で反フリー側、
反時計回りでは350°でフリー側のスポーク穴になっています。
実際に位相のずれが10°かどうかは知りませんが、
7.5°や15°の場合 問題があるところからして
このあたりではないかと思われます。

前からコリマの12:8の20Hの展開図を描きたいと思ってましたが、
ついにできました。

今回は「バルブ穴から両隣のリム穴までの距離が同じ」という
仮定の上で描いたので ずらす角度は
プラスマイナス10°ずつで 同じにしましたが、
スポーク配列によってはフリー側と反フリー側で違う角度ずつ
位相をずらす必要のある場合もありえます。



トッポリーノというメーカーのホイールで
18:12スポークの30H(※)の後輪がありますが、
これはスポーク数の左右比が3:2なので
コリマの12:8スポークが 1.5倍に増えただけであり、
「LR RL R」の4回反復が 6回反復になるだけで
同じような構成になるはずです。
違いといえば反フリー側がタンジェント組みになることくらいでしょうか。
なので 上の展開図を1.5倍に延長して(角度は書き直す)
反フリー側のスポークを 最終交差がバルブ穴をまたがないように
描けばいいだけ、のはずです。

DSC01397amx4.jpg
※余談ですが、トッポリーノのカーボンケブラースポークは
ハブフランジで挟まれた リムの対岸同士を結ぶ構造になっています。
マヴィックが コスミックカーボン系の一部のホイールで採用している
R2R(リム トゥ リム)と同じですが、こっちがずっと先です。
これを1本のスポークと見なすと
15本(9:6)スポークの後輪ということになりますが、
ややこしいので30Hとしています。

category: 位相の話

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2015/05/05 08:48 | edit

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