のむラボ日記

自転車工房「のむラボ」のブログです

回転計算尺と ギヤ倍数の話(後編)  

先ほどの続きです。
まずは「ギヤ倍数」について。
DSC01126amx4.jpg
ギヤ倍数というのは「クランク1回転で 後輪が何回転するかの倍率」です。
これはフロントチェーンリングとリヤスプロケットの歯数で決まります。
上の図では 52Tと17Tを描いていますが、
これはよく慣習的に「52×17T(ごじゅうに の じゅうなな ティー)」と表記されます。
ややこしいことに×があるので 一見 掛け算に見えますが、
実際は割り算です。

DSC01127amx4.jpg
52÷17は3.058823529・・・です。
これがクランク1回転あたりの 後輪の回転数になります。
以後 この記事中では数値について
小数点第4位切り捨てで 第3位までの表記とします。
(仮に3.058999999・・・であったとしても
3.058と表記するということです)

上の図で、さらにタイヤまで含めたホイールの外周長さが
2130mm(2.13m)だとします。
その場合は クランク1回転につき
3.058×2.13で6.513m進むことになります。
さらにもし 毎分ケイデンスが90回であったなら
1分間にすすむ距離は6.513×90で586.17m、
60分間(1時間)なら586.17×60で35170.2m、
これをkmに直して 時速35.17kmという風に計算できます。

で、このギヤ倍数ですが(当然 後輪の大きさが同じだとして)
「52×17と52×18では どっちが軽い?」と もし訊かれたら
答えは簡単です。リヤスプロケットが大きいほうが軽いに決まっています。
が、もし「52×17と 50×15なら?」という風に、
フロントとリヤの歯数が両方とも違う場合は 即答できないと思います。

こういう比較をするのに、回転計算尺があれば非常に便利だというのが
今から書くことです。

DSC01119amx4.jpg
↑さっきの記事にもあった画像です。今後は
「外側の目盛りはフロントチェーンリングの歯数、
内側の目盛りはリヤスプロケットの歯数」
ということだけ 覚えていればOKです。めっちゃ簡単で便利。

例えば、普段インナーギヤが39Tだという人がいて、
ヒルクライムのときだけ34Tのクランクに交換するとします。
リヤのローギヤが25Tだった場合、
交換後の最低ギヤ倍数となる34×25Tは
39×何Tに相当するのかというのを
回転計算尺なら一瞬で計算できます。

DSC01128amx4.jpg
まず、34×25Tに目盛りを合わせます。
フロントチェーンリングが外側、リヤスプロケットが内側です。

DSC01129amx4.jpg
次に、そこから外側の39Tを読むだけです。
リヤスプロケット29Tが最も近いですね。
ということは34×25T≒39×29Tということです。

計算上の数字は
34×25T=39×28.676Tとなるのですが、
スプロケットの歯数は28Tとか29Tとかの自然数しかありません(当たり前です)。
28.676Tという歯は概念上はともかく 実在はしません。

DSC01131amx4.jpg
次に、39×28.676Tの状態から目盛り同士が キッチリ合う
39×29Tになるよう 外側を回しました。
このときに、時計回りに回す場合と 反時計回りに回す場合があります。
今回は時計回りです。
元々合わせてあったギヤの位置を前者、
後から読んだ近似値を後者として、
後者の目盛りを最寄の自然数(目盛りちょうど)同士に合わせたとき、
「時計回りなら前者のギヤ倍数より 後者のギヤ倍数のほうがちょっと軽い、
反時計回りなら前者のギヤ倍数より後者のギヤ倍数のほうがちょっと重い」
ということになります。今回は
・元々のギヤが34×25T
・39Tで読んだ近似値が29T
・きっかり39×29Tに合わせるために時計回りに外側を回した
ので「34×25Tと39×29Tはほぼ同じで、でも39×29Tのほうがちょっと軽い」
ということが一瞬で分かります。

これが便利で簡単な点は、「実は計算はしていない」ということです。
目盛りを読んだだけなので。

ちょっと面倒ですが、実際に計算してみます。
DSC01134amx4.jpg
まず、34×25Tに合わせます。
DSC01135amx4.jpg
次に、内側の10の位置の数値を見ます。
13.6の辺りです。これがギヤ倍数です。
数値の大きさから考えると13.6ではなく 1.36だというのが分かります。
ここでギヤ倍数の具体的な数値を求めています。
(実際に計算すると34÷25で1.36倍です)
DSC01136amx4.jpg
次に、内側の13.6(求めたギヤ倍数)に39Tを合わせます。
DSC01137amx4.jpg
そこから内側の10の位置を見ると、
34×25Tに近しい 39×?Tの数値が出ます。
28.7くらいに読めるので
34×25T≒39×28.7T、と読み取れます。
が、このやり方は面倒です。
外側を慎重に あっちこっちに回さないといけませんし、
そのたびに目盛りの読みのずれが増幅されるかも知れません。



次に、52×39Tでリヤスプロケットの最大ギヤが25Tであった場合
ギヤのクロスレシオ具合が どの程度なのか調べてみます。
DSC01139amx4.jpg
↑シマノ11Sで 11-25Tの場合
この22種類のギヤの組み合わせになります。

DSC01140amx4.jpg
まず、アウター×ローの 52×25Tに合わせます。
DSC01145amx4.jpg
そこから39Tを読むと、スプロケットの歯数は19Tが一番近いです。
(実際に計算すると52×25Tのギヤ倍数は2.08、
39Tで2.08倍になる概念上のスプロケット歯数は18.75Tになりますが、
そういう計算をしなくても ほぼ正確にギヤ倍数が比較できるというのが
この記事の趣旨です)
DSC01146amx4.jpg
39Tに一番近い自然数19Tに目盛りを合わせました。
時計回りに回したので、
「52×25Tに最も近い 39T×のスプロケット歯数は19Tで、
52×25Tと比べて 39×19Tはほぼ同じながらちょっと軽い」
というのが計算無しで一瞬で分かりました。

DSC01148amx4.jpg
「時計回りに回すと軽くなる」というのがイメージしにくければ、
こう見てみてもいいです。
上の画像では52×11Tにかけていますが、
これを→12T→13T→14T→15T・・・とロー側に変速していくと
外側を 時計回りに回すことになります。

DSC01149amx4.jpg
で、52×25Tと39×19Tが ほぼ同じ、ということから何が分かるかというと
この組み合わせでは インナーギヤでしか出せない
低ギヤ倍数はロー側3枚だけということです。

DSC01150amx4.jpg
なので ちょっと乱暴に言うと
インナー39T×19Tとそれより重いギヤは
アウター52T×軽いギヤと似たり寄ったりでかぶっているわけです。
ということは、この22種類のギヤの組み合わせは
22色入りの色鉛筆のように見えて 実は22本入りなだけであって、
似たような色を同じと見なすと実質14色程度になるということです。



次に、ピストバイクの前後ギヤの組み合わせを考えてみます。
DSC01151amx4.jpg
シマノの場合、ピストのフロントチェーンリングの歯数のラインナップは
45~55Tとなっています。
このうち、実際に使うのは48~51Tといったところでしょう。
リヤスプロケットは、13~16Tの4種類だけです。
こちらは13・14・15Tが よく使われます。
前後の歯数の組み合わせでチェーンの長さが変わるので
それに合わせて リヤハブ軸の位置を変えたり
チェーンの長さを変えたり 半コマで調整したりするわけですが、限度があります。

また 1Tあたりに変わるギヤ倍数は一定ではなく、ギヤの大きさによって変わります。
極端な話、12Tが11Tになると 約1割も重たくなりますが、
10000Tと10001Tは ほぼ同じ重さになるということです。

フロントチェーンリングが49Tから1T大きく または小さくなると、
約2%ギヤ倍数が変わります。
リヤスプロケットが15Tから1T大きく または小さくなると
約7%ギヤ倍数が変わります。

DSC01154amx4.jpg
49×15Tに合わせてみました。
リヤスプロケットは15T以外には13・14・16Tしかありません。
49×15Tと近似になるフロントチェーンリングを見ると
・約42.5T×13T
・46弱T×14T
・52強T×16T
となり、このうち近似値といえるのは下2つです。

DSC01155amx4.jpg
赤の水性ペンで49×15Tに印を付けました。
DSC01156amx4.jpg
その状態から、50×14Tに合わせます。
外側を かなり反時計回りに回したので、
ギヤ比が かなり重たくなったということです。
DSC01157amx4.jpg
次に、44×14Tにしてみました。
外側が 元の位置より少しだけ時計回りなので
49×15より ギヤ比が少しだけ軽くなったということです。

しつこく書きますが、ギヤ比を感覚的につかむだけなら
ギヤ倍数の数値そのものを求める必要はありません。
回転計算尺なら一瞬で分かります。




navitimer 01amx4
回転計算尺付きの時計にちょっと興味が出てきたな、という貴方に
ぜひオススメなのが、ブライトリングの「ナビタイマー」です。
(画像は ブライトリングホームページより)
価格は仕様にも よりますが、86万円(税別)からとなっております。

この記事自体が、あれですよ
「ドキュメンタリーだと思ったら にんにく卵黄の巧妙な宣伝番組だった」
という感じのステマです。真面目に読んでいた方は申し訳ありません。
私が ギヤ倍数を概算するのにスーペリアを使っているのは事実です。

category: その他 機材の話

tb: 0   cm: 0

コメント

コメントの投稿

Secret

トラックバック

トラックバックURL
→http://pass13.blog.fc2.com/tb.php/1879-394bb2aa
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

検索フォーム

最新記事

最新コメント

カテゴリ

月別アーカイブ

リンク

カウンター