のむラボ日記

自転車工房「のむラボ」のブログです

ヌポーク その1  

はい また長文です。
今日はヌポークの話を。
スポークじゃなくて、ヌポークです。
グーグルで検索すると
「次の検索結果を表示しています: スポーク」
と出るので、一般名詞に同音語がないのは確かなようです。
それもそのはず、これ 私の造語ですから。
DSC09154amx.jpg
最初に。私の図と 図の代わりの写真は、特に断りのない限り
向かって右側を進行方向としています。

DSC09032amx.jpg
ホイールを組むときに ハブフランジにスポークを通すわけですが、
DSC09033amx.jpg
ハブの内側から外側にスポークを通した場合の
DSC09034amx.jpg
↑この状態を、当ブログでは今後ヌポークと呼ぶことにします。
いちいち「内側から通したスポーク」と書くのがめんどくさいからです。

DSC09035amx.jpg
同様に、ハブの外側から内側にスポークを通した場合の
DSC09036amx.jpg
↑この状態を、反ヌポークと今後呼びます。
逆ヌポークでもいいのですが、反ヌポークの方がキーボードで打ちやすいので。

DSC09037amx.jpg
普通のホイールは、大別して2種類の組み方があります。
ハブ中心からスポーク同士が交わらないように組む 組み方は、
スポークが放射状(ラジアル状)に見えるのでラジアル組みといいます。

おそらくスポークドホイールが成立した最初期のホイールは
ラジアル組みだったと思うのですが、ラジアル組みには
メリットとデメリットがあり(長くなるので後日詳述)、
それを克服できる材質や構造が現れる1980年代末頃までは
ホイールといえばタンジェント組み(上の写真のような組み方)が
主流でした。

DSC09039amx.jpg
タンジェント組みの場合、(特殊な2本組みを除いて)ハブフランジに
通しているスポークはヌポークと反ヌポークが交互になります。

DSC09151amx.jpg
隣り合っているハブフランジの穴から出たスポークで、
互いに接触しない方向にのびている2本を図にすると
このようになりますが、

DSC09153amx.jpg
この方向が円の接線(タンジェント)に近いので
こういう組み方をタンジェント組みと呼びます。

DSC09041amx.jpg
冒頭でも触れましたが、
これ以降も 全て右側が進行方向として話をします。

スポークがごちゃごちゃしていると大変見づらいので、
上の写真で赤いニップルが見切れずに写っている4本だけを残して
見やすくしたいと思います。
普通のホイールは この4本が1つのグループになっていて、
これが6つなら24H、7つなら28H、8つなら32H・・・
という構成になっています。

その前に・・・
DSC09049amx.jpg
色つきスポークを用意しました。これをヌポークで通します。
赤は自分から見て手前のヌポーク
青は自分から見て奥のヌポークとしてハブに通してみます。

DSC09058amx.jpg
↑4本のうち 進行方向に対して 後ろの2本がヌポークになるのが
イタリアン組みです。

DSC09059amx.jpg
↑先ほどの状態からひっくり返しました。
ヌポークが進行方向に対して前の2本になります。
これは逆イタリアン組みです。

DSC09056amx.jpg
↑対して、4本のうち進行方向に対して前後の2本がヌポークになるのが
JIS組みです。
赤いヌポークについては イタリアン組みと同じですが、
青いヌポークが逆になります。

DSC09057amx.jpg
↑JIS組みは、ひっくり返してもヌポークの位置関係が変わりません。

ヌポークが進行方向に対して後ろにのびているか
前にのびているかという点が非常に重要です。

DSC09066amx.jpg
16Hのタンジェント組みしたホイールをヌポークだけ書き出します。
手前ヌポークを赤、奥ヌポークを青として書くと
イタリアン組みの場合 上の図のようになります。

DSC09067amx.jpg
JISの場合はこうです。しつこく書きますが、
イタリアンにせよJISにせよ赤ヌポークの位置関係は同じです。

DSC09164amx.jpg
↑こういう方向にのびているということです。

DSC09170amx.jpg
この、「ホイールの上半分を見た場合ヌポークが後ろ向きになる」と
いうのは、後輪にとって非常に重要です

これを「ヤマアラシさん方向」と名付けます。

DSC09069amx.jpg
↑で、「右ヌポークだけのホイール」を用意しました。
さらにしつこいですが、イタリアンでもJISでも右フランジの
ヌポークはヤマアラシさん方向です。

DSC09071amx.jpg

DSC09072amx.jpg
走行中、フリーボディには スプロケットが付いていて、
それにチェーンがかかっていて、クランクアームを上から
ペダルを介して踏み込むとき、前に向かって強烈なねじれがかかります。
それを手で表現すると上のような感じになります。

フリー部分を持つとハブフランジが見えないので
ハブボディを持って前に向かってねじってみます。
力のかかるさまを見たいので、スポークテンションは甘いというか
張っていません。
DSC09074amx.jpg

DSC09075amx.jpg
スポークがさらに引き絞られて締まっているのが分かるでしょうか。
実際の組んだ状態ではこんなには変形しませんが、
こういう負荷に常々さらされているというということです。

DSC09076amx.jpg
では、右ヌポークが反ヤマアラシさん方向ではどうなるでしょうか。
これは逆イタリアン組みか逆JIS組みした時にこうなりますが・・・

DSC09078amx.jpg

DSC09079amx.jpg
スポークテンションは張る方向ではなく 緩む方向になります。

DSC09080amx.jpg
タイヤを張っていなければ、スポークがリムから飛び出すような
格好になります。
思いっきりペダルを踏み込んだ時、
その力を後輪の外側に伝えてくれそうなのは
どちらでしょうか?
もちろん右ヌポークがヤマアラシさん方向の場合ですね。

「そんなん当たり前やん」と言われそうですが、完成車メーカーの手組みホイールが
逆イタリアンで組まれていたり、
ストレートスポーク式のハブで 最も右から出ている
スポークが 逆ヤマアラシさん方向になっている完組みホイールもあるので、
そういうのは よく見たほうがいいという話です。
これの具体例は長くなるので後日詳述します。

DSC09158amx.jpg
等間隔に印をつけたゴムの円柱があったとして・・
DSC09159amx.jpg
それの端を持ってねじると ねじれの発生側に近いほど
ねじれ量が大きくなる、というのをリヤハブで想像すると
DSC09160amx.jpg

DSC09162amx.jpg
こうなります。ペダリング踏力から発生した力を最も大きく受け止めるスポークが
右ヌポークになるので、右ヌポークはヤマアラシさん方向がいいということです。

次はリムブレーキの場合です。
DSC09084amx.jpg
ヌポークがヤマアラシさん方向になっているホイールが走っています。
DSC09085amx.jpg
その状態からブレーキをかけて急制動しました。
リムの回転を一瞬で止めたものの
DSC09087amx.jpg
ハブは一瞬で止まらなかったので、スポークは
よりヤマアラシさん方向に絞られました。

という現象が起こります。
イタリアン組みならこれが左右同じように絞られますが、
JIS組みの場合、進行方向に対して左側のスポークだけが
テンションが抜ける方向に力がかかるんですね。
これが何とも私には気持ち悪いんです。

DSC08661amx.jpg
ちょっと見方を変えてみます。
リム高が低いリムの場合、ニップルの穴が左右に交互に振っています。

DSC08664amx.jpg
↑組むとこうなります。

DSC08667amx.jpg
実はこのホイールはカンパニョーロのニュートロンなのですが、

DSC08662amx.jpg
リムのデカールにもあるとおり、ニュートロンは内蔵ニップルです。
外ニップルのニュートロンは・・・
長くなるのでカットします。後日詳述もしません。

DSC09093amx.jpg
で、穴振りのあるリムを
DSC09095amx.jpg
組んだとします。

DSC09089amx.jpg
↑これは青のマーカーですが、ここでは
「どんなものでも豆腐を切るようにサクサク切れる魔法のナイフ」
だとします。

DSC09096amx.jpg
で、穴振りに合わせてサクサク切開していきますね。
DSC09098amx.jpg
バルブの穴周りはこう切ります。

DSC09061amxamx.jpg
もう一つ。ハブフランジに対して
DSC09062amxamx.jpg
↑ヌポークをこう表記し、
DSC09063amxamx.jpg
↑反ヌポークをこう表記することとします。

そして先ほどのホイールを平面に展開したとすると
DSC09107amx.jpg
↑イタリアン組みの場合はこうなります。
赤が右ヌポーク、青が左ヌポークです。
四隅の切欠きが元バルブ穴の部分です。
図を正確に捉えれば、これは8Hで ヌポークと反ヌポークを2本組した
ホイールということになりますが、
これは力のかかり方を考えるための概念図なので、
このホイール自体が実現可能かどうかは気にしないでください。

DSC09111amx.jpg
で、さらにヌポークだけ残しました。

DSC09110amx.jpg
↑JIS組みの場合はこうなります。

DSC09113amx.jpg
で、さらにヌポークだけ残しました。
DSC090113amx.jpg
↑余談ですが「JISはひっくりかえしてもJIS」というのは
こういう風にも表現できます。

DSC09114amx.jpg
で、「リム側でのブレーキング」や
「後輪でフリーボディを前に向かってねじる」というのは、
上の図で言うとハブ部分を持って一気に引っ張り上げるという
作用になります。
実際にやってみます。

DSC09116amx.jpg
イタリアン組みの場合は、左右のヌポークともピーンとテンションが張りました。
言い方を変えれば ヤマアラシさん方向に絞られているということです。
スポークがこんなに伸びるわけがないですが、
力のかかり方を表現したいのでこう図示しています。

DSC09117amx.jpg
これがJISならこうなります。
私は この左右不均等な感じが何とも嫌なんです。
この図では
DSC09118amx.jpg
スポークとニップルが
DSC09119amx.jpg
リムから飛び出てますが、
DSC09121amx.jpg
タイヤを付けていてスポークが飛び出さないというのであれば
DSC09122amx.jpg
こういう風に書いてもいいです。

DSC09155amxamx.jpg
DSC09157amxamx.jpg
大変長くなりましたが、結論です。
・タンジェント組みをするなら 前後ともイタリアン組みが望ましい
・イタリアン組みの場合、前輪は 逆にはめると理論上よくないので注意すること
・後輪で両側にギヤが付いている場合は、どちらではめても右ヌポークが
 ヤマアラシさん方向になるようにするためにJIS組みで組むこと
が私のホイール組みの基本です(いろいろ例外はありますが)。

あと、首折れスポークでラジアル組みをしている場合 ほぼ100%
反ヌポークでラジアル組みをしていますが、
私はヌポークでラジアル組みをすることもあります。
また、ディスクブレーキのハブの場合は逆イタリアン組みが理論上優れています。
この2点は後日詳述します。それでなくてもこの文章長すぎ!



おまけ
DSC09125amx.jpg
ストレートスポークは私の考えでは反ヌポークになるのですが、
それでフルクラムの後輪(2:1)を展開するとこうなります。

DSC09126amx.jpg
カンパニョーロのG3の後輪はこうですね。

DSC09127amx.jpg
マヴィック・キシリウムの後輪はこうなります。
フリー側ラジアル組みというのは一種の革命だと思うのですが、
普通の首折れスポークでやるのはリスクが大きいです。
ところで この図、じつはちょっと間違ってます。
が、概念図なので深くは追及しないでください。
私がホイールを組むときに 頭に浮かんでいる図を
拙く書いたものなので。

DSC09171amx.jpg
キシリウムの後輪は20Hですが、
ハブフランジから出るスポークが接線関係にある
穴をそれぞれA、Bとするなら普通のホイールなら
上の図のようになりますが、
DSC09133amx.jpg
キシリウムは このAとBが横から見て 重ね合わせになるフランジ形状です。
展開図では この点を表現してませんが、許してください。
普通のホイールではAのスポークとBのスポークを
1本の線とみなした場合、円の実際の接線よりも
円に対して内側を通ることはありませんが、
キシリウムの場合内側を通るんですね。
私はそういうハブを「接線を割ってるハブ」と呼んでますが
これもキシリウムのいいところです。なぜいいのかは書きませんが。

category: ヌポークの話

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2012/10/13 20:17 | edit

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