のむラボ日記

自転車工房「のむラボ」のブログです

アクシウムさん  

お客さんから アクシウムをお預かりしました。
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点検をご希望のほか、ハブを見てみて必要があればグリスアップと
可能ならスポークテンションを微増にしてほしいのと
フリーボディの音を最大限うるさく、というのを ご希望です。

大きな振れがあると事前に訊いていたのでビビっていましたが
普通の横振れ取りで対処できる程度でした。
むしろ自己申告無しで見せてもらったホイールでも
これより振れている場合は多々あります。

前輪は センターずれが無かったので
横振れ取りを増し締め傾向でする以外の調整はしていません。
スポークを張る目的で ことさらにニップルを締めてはいない、ということです。
後輪は リムがかなりフリー側に寄っていたので
それをセンターに呼ぶだけでも結構な増し締めになりました。

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フロントハブを バラしました。

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こんなデカいボールは 耐久性的にはオーバースペックです。
エボライトハブやアメリカンクラシックが 仁丹みたいなボールで
一応は使えているところからしても それは確かです。
これがアクシウムのいいところなのですが。

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シールの印字から得られる情報は「NTN台湾の6001LU」ということです。
NTNは日本の大手ベアリングメーカーで、
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6001は 外径28mm/内径12mm/幅8mmの規格サイズ(←でかすぎる)、
LUとあるのは シールの形式のことで、LLBなら非接触、LLUなら接触式で
LUは接触式で片側シールのものを指します。
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シールの裏は、まだみずみずしい状態のグリスが付いていました。
さすがです。
あまり必要を感じなかったのですが、
ベアリングのグリスアップをしました。

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続いてリヤハブです。
フリーボディの音をうるさくする件については
お客さんのほうから「やっぱり別にいいや」と言われたのですが、
フリーボディの空転音が明らかにおかしかったので私の判断でバラしました。
ジーーーーッという連続的な音ではなく ジーコジーコという感じの音で、
2つある爪の片方が 起きずに寝っぱなしなのではと思ったからです。

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やっぱり その通りでした。
画像は寝ていた方の爪ですが、起きているのは
私が指でパチパチと押して起こしたからです(汚れに指紋が付きました)。

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洗浄してから再組立てをすると きれいに動くようになりました。
ご希望通り フリーの音も可能な限り うるさくはしています。
こちらは ハブベアリングのグリスアップはしていません。

- - - 切 り 取 り 線 - - -

ところで このアクシウム、マヴィックでの正式名称は「AKSIUM 08」になります。
(カタログ上ではAKSIUMですが、サービスマニュアル上ではAKSIUM 08です)
初代アクシウムは デビューした2007年限りのモデルで、
このアクシウム08は二代目になります。

ホイールメーカーが根本から設計した「本当の意味での」完組みホイールの場合、
リムの重量もコントロールできるわけで、できる以上 していると思われるわけです。
初代アクシウムは 前後24Hで、スペアパーツとしてのリムの品番も
前後とも同じで1種類になります。
前後共用リムということですね。
このリムの重量ですが、約590gです。数本 量ったので間違いありません。

アルミリムの完組みホイールでは
前後輪でリムの重量を変えている場合があり、
その場合 リヤリムを重たくしてあります。
カンパニョーロのミディアムプロファイルリムの完組みホイールは
リヤリムのほうが30gほど重たくなっています。
が、この場合 リム高もリヤリムのほうが高いので
別物のリムということになり 重量が違うのは当然です。
キシリウムの場合は、リム高は同じですが
リヤリムが20gほど重たくなっています。
ところが、キシリウムのリヤリムはオフセットリムとなっており、
オフセットリムはそうでないリムより一般に重たくなる傾向があるので
この場合も リムの重さを意識的に作り分けている例として挙げることはできません。

今回のアクシウム08ですが、過去に ポテチになったリムの組み換えを
2~3度したことがありまして、そのとき量ったデータによれば
フロントリムが約540g、リヤリムが約590gでした。
たった2、3のサンプルですが、
フロントリムはリヤリムより 50gほど常に軽かったので
これは意識的な作り分けの結果ではないかと 私は思います。
で、そんなに違うのであれば リム穴から見える厚みにも違いがあるはず、
と思いリムテープを外して 調べてみました。

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↑フロントリム
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↑リヤリム
うーん・・・。「違うはず!」という先入観込みでも
それほど違いがあるようには見えませんでした。
これは外周側ですが、厚みを持たせるなら
おもに内周側(ニップル側)にするはずなので
これだけでは分かりません(←苦し紛れの言い訳)。

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あと、アクシウム08は しんちゅうニップルで組まれていますが
前後で長さが違います。

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↑前輪
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↑後輪
というのも、前輪は汎用品と同じようなニップルですが
後輪は ねじロック付きで 外周から六角穴で回せる
特殊なニップルを採用しているからです。
さらに変わっていることに、
前輪の指定スポークテンションは80~90kgですが
後輪のフリー側は150~165kgとなっています。
(kgfではなくkgなのはマヴィックの原文ママなので ツッコまないでください)
たいていの完組みホイール または汎用品のリムでは
後輪のフリー側は 前輪のテンションの1割増しくらいであることが多いです。
例えば 前輪110kgfで後輪のフリー側120kgfといった具合です。

これに倣えば アクシウムの前輪は140kgくらいを指定しそうなものですが
(リヤのフリー側が165kgで耐えられるなら 140kgも当然OKなはず)、
こんなに前後でテンションが違うのは
リムの厚みを造り分けているからでは?という気がします。

後輪について フリー側のテンションしか指定しないのは、
反フリー側のテンションは フリー側のテンションから
左右の組み方やスポーク比重の差や ハブの寸法などによって
自ずと定まってしまうからです。
この「あるフリー側のテンションに対する
反フリー側のテンションの最大化」を手組みホイールの材料で
可能な限り追求してみようという試みが 私のやっていることなのですが。

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リムの外周側の底面が 平らではなく
端の部分がふくらんでいるのには 理由があります。

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このリムは廉価モデルによく見られる「ピンジョイント」という方式で
接合部が合わせわれているからです。
マヴィックの場合、高級モデルは溶接ジョイントとなり
キシリウムやオープンプロなどが それに該当します。

リムの接合部に入れられるジョイントピンは、
リムの穴に対して圧入気味のプラス公差になる寸法で
両端が 食いつきが良くなるようギザギザに荒らしてあります。
ピンジョイントの欠点は、溶接ジョイントより重たくなり
回転バランスが悪くなることですが
アクシウムの場合はリムの圧倒的な重量で ウヤムヤになってしまいそうです。

マヴィックのピンジョイントのリムは、
汎用リムなら現行では オープンスポーツで
そのひとつ前に MA3というリムがありました。
MA3は実測490gくらいのリムです。
ピンジョイントリムの完組みホイールで、
MA3と同時代に ほぼ同じリム高と形状(全く同じではない)のリムで組まれた
コスモスという完組みホイールが かつてありましたが、
これはたいへん 重宝しました。
オープンプロリムは 実測420gといったところですが
ブラックアルマイトのものでも28H・32H・36Hしかラインナップが無く、
前輪24H・後輪28Hのコスモスのスペアリムのうち 24Hのほうが何かと使えたのです。
しかもコスモスのリムはMA3とほぼ同じ形状ながら実測440gくらいなので、
明らかにMA3よりも「狙って軽く」作られており
前輪コスモス24Hリム・後輪オープンプロ28Hリムの組み合わせや
前後ともコスモス24Hリムの手組みホイールを よく組んだものでした(※)。
28Hは 黒オープンプロで間に合うので
コスモスの28Hリムで手組みホイールを組んだことはありませんが、
もしかしたら24Hフロントリムより 重たかったのかもしれません。
コスモスの24Hと28Hで 顕著な重量違いがあるのかどうかは未確認ですが、
同じピンジョイントで ほぼ同じ形状のMA3より軽く作っていたのは確実です。

※:完組みホイールのスペアパーツとしてのリムを、
邪悪な手組みホイールを組む目的で使うのは やめましょう。
↑これは「このあとスタッフがおいしくいただきました」的な
タテマエの文言なので 気にしないでください。

アルミリムは、型から押し出されたカーテンレールのような棒を
曲げわっぱして接合するわけですが、
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↑ピンジョイントの場合 一般に「チリが合わない」のも欠点です。
コストが安い製法なので致し方ないですが。
私は このリムにもあるような
「点ではなく溝を一周彫ったインジケーター」が嫌いなのですが、
溝の幅が一様ですらないうえに この場合は
明らかに幅が違うところで接合しているのも気になります。


最後に念のため書いておきますが、
私はアクシウムを非常に良いホイールだと思っています。

アクシウムは単なる最廉価モデルというだけではなくて
「頑丈で とにかく振れない」という設計思想を持って作られたホイールです。
(と 私は思っているのですが)
なので ラフに扱ったときの ぶっ壊れにくさは
例えば 同じくスチールスポーク仕様で 同社の高級モデルの
キシリウムエリートなどよりも はるかに上です。
ベアリングのメンテナンスフリーっぷりも すさまじいので、
「壊れないという性能」でいえば これ以上のホイールは まず無いのです。
すべての完組みホイールメーカーの最廉価モデル、
またはアクシウムと同価格帯のホイールが
アクシウム並みに頑丈、というわけではありませんし
「アクシウムより壊れない のむラボホイールを組んでくれ」と言われれば
素直に「たぶん無理」だと言います。
(DT585リムで組んだホイールや のむラボホイール1号3・3・7なら
アクシウムより頑丈だと思いますが、アクシウムより重たくなります。
「同重量で より強く」は 無理です)

なのでアクシウムは ある性能に特化したホイールとして
「そういうもの」だと思えば 使いどころは いろいろとあります。


記事の途中に赤い切り取り線がありましたが、
それ以降はバッサリ切っていいところです。

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