のむラボ日記

自転車工房「のむラボ」のブログです

WH-R500さん  

お客さんから WH-R500をお預かりしました。
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フロントハブは 玉当たりを見ましたが、ベアリング球の精度の問題で
回転のかすかなガサつきを除去はできなかったものの
かなりマシにはなりました。ボールレースの虫食いは ありません。
前輪は横振れ取りを少ししただけ、後輪は センターがガッツリずれていましたが
お客さんのほうで ちょっと触ったそうなので 原因が分かっていれば問題はありません。



完組みホイールというのは 元来「手組みでは無理な特殊なこと」をして
メーカーが出したもの、というものでした。
シマノホイールは 少スポーク数・ペアスポークで
手組みホイールから かけ離れた見た目の
WH-7700から始まっていますが、
その当時の下位モデルはWH-6500とWH-R535です。
これらの下位モデルも 見た目はほぼWH-7700と同じもので
R535でも税別定価26000円ほどでした。
これは練習用ホイールを検討するときに
手組みホイールと どちらがいいか迷う価格帯です。
このときのサードパーティ製の普及帯価格の完組みといえば
A-CLASSのALX280などがありましたが
これも実売2万円ちょっとで、
それよりも安いホイールというのは ありませんでした。

その次のWH-7701世代も 下位モデルはWH-R540で、
やはり見た目はWH-7701とほぼ同じです。

WH-R500は、WH-7800世代の最廉価モデルとして
仕様が ほぼ手組みと同じ「普通のホイール」で
実売1万円ほどという破格の価格設定で 2005年に出ました。
実は けっこう最近です。
これはWH-R500と同グレードの仕上げと思われる
当時のソラやティアグラのハブで 手組みホイールを組んでも
絶対に太刀打ちできない価格でした(材料費だけで1万円を超える)。

これが手組みホイールの終わりの始まりで、
WH-R500は ショップがホイールを組むことを
バカらしいと思わせるのに十分な破壊力があったのです。
フレームにコンポを組みつけて 手組みホイールをセットする
という手間のうち、ホイールは吊るしでも良くなったので。
そもそも手組みホイールという呼び名自体
完組みホイールが出てきてから それと区別するためのものです。

ただ、それによって 牙を抜かれたというよりは
元々牙がない奴でも ホイールを組まずして
ショップができるようになったことのほうが影響は大きく、
大きなショップならスタッフ全員ではなくとも
大半のスタッフがまともなホイールも組めないというのが 一般的な現状です。

手組みホイールが組めるのがそんなに偉いのか、と言われそうですが
ロードバイクのパーツの組み付けに関して
高い精度や妥協点で取り組めるかどうかの資質は
ホイール組みで とくに大きく出ます。
そういう訓練を積む機会を奪った大きなきっかけが WH-R500です。
(もちろんWH-R500が奪ったんじゃなくて
ショップ側が ただ吊るしに甘えてるだけですが)

「これは もう直りません」と よそのショップで匙を投げたホイールを
直したことが多々ありますが、
私も リムが反っているにもかかわらず無理やり直したり、
本当に終わっているものを まだ使えますと言ったりはしません。
ちょっと触った程度で直るような お持ち込みがほとんどです。

私は そういう件をよく「これは 直りません」じゃなくて
「これは 私みたいな雑魚には直せません」と正直に言えやコラ!
みたいな論調で吊るし上げたり(←自覚あり)しますが
ホイールに関しての「これは 直りません」というボーダーが低い奴は
変速調整や ややこしいパーツの取り付けなどに関する
「これ以上は無理」「それは出来ません」というボーダーも同じく低いのです。

例えば どうすればブレーキレバーの引きを軽くして、
しかもその初期状態を長期間維持できるかと考えることと
私が普段手組みホイールであれこれ考えることは
ものの考え方でいうと ほぼ同じです。
シマノの今のコーティングされたブレーキインナーは
「ほぼ誰が組んでも同じ結果」になりはしませんが
従来の非コーティングのステンレスインナーよりは
ほぼ誰が組んでも同じ結果になります。
今のブレーキアウターキャップは ライナーが少し出ていて
フレームのアウター受けとの摺動抵抗を減らすようになっていますが
私は15年以上前から それと同じものをいちいち自作していました。
ところが今では レバーに付いているものを そのまま使うだけで
ほぼ同じ結果が得られますから、吊るしと 自作スペシャルとの差が
この点でも ちょっと埋まったわけです。
パーツがより良くなるというのは いいことですが、
「どうすれば もっと良くできるのか」ということを考える機会を
奪われている(←だから奪ってないっつーの)ことに
気付かないといけません。

これに限らず最近は パーツのほうのメンテナンス性や
フールプルーフが上がっているので
テキトーな仕事と そうでない仕事の差を見抜きにくくなっていますが
分かる人には分かりますし、悪い意味で お客さんを見て
「この人なら どーせ分からんだろ」みたいな手の抜き方をすると
いずれ痛い目を見ます。

さっき書いた「パーツがより良くなる」ですが、
これを「廉価帯のホイールを組む手間」に当てはめた場合
「そもそもホイール組みをしなくていいよ」という答えが
用意されたというのがオソロシイことなのです。

あれ だいぶ話が逸れているぞ


WH-R500はホイールの概念だけでなく
ショップのあり方までも変えてしまった といっても大げさではなく、
性能とは別の部分で 間違いなく「傑作」ホイールです。
という話を 前々から書こうと思っていたので長文になりました。

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2015/07/30 21:41 | edit

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