のむラボ日記

自転車工房「のむラボ」のブログです

シャマルウルトラを組み直しました  

今日もホイー(以下略)。
DSC03111amx4.jpg
お客さんから シャマルウルトラをお預かりしました。
前後輪とも お預かりしていますが
まずは 後輪から。

1ヵ所、たいへん ひどい横振れがあります。
大げさではなく シュータッチしそうなくらいの振れがあり、
リムとシューの間隔を詰め気味にセッティングする人なら
後輪が回っているだけで リムがシューに擦るはずです。

近所のショップに持っていったところ
色々工夫して試してくれた結果
「修理できない」と言われたそうですが、
そのときに リムに打撃痕のようなものがあるのを教えてもらったそうです。
打撃痕については お客さんに 原因として思い当たる節があるそうなので
別にいいのですが、
そのショップのいうところの
「リムの一部に打撃を受けたような傷があり
その部分が曲がったたために 全体のバランスがずれて云々・・・」という
「修理できない理由」は ちょっと引っかかるので、
直るとは断言できませんが とにかく見せてくださいと言って
ホイールを当店に送ってもらいました。

DSC03113amx4.jpg
↑まず、打撃痕というのは これです。
DSC03115amx4.jpg
赤色で落書きしました。
こんな感じで うっすら凹んでいます。

DSC03116amx4.jpg
その打撃痕直下のビードフックですが、
DSC03117amx4.jpg
↑まったく曲がっていません。
ビードフックの曲がりが原因なら 多少は強引に直せるのですが、
それよりも内周寄りに凹みがあるので
打撃痕の部分を何とかすることは出来ないことは分かりました。

次に横振れですが、
DSC03118amx4.jpg
DSC03119amx4.jpg
DSC03120amx4.jpg
DSC03121amx4.jpg
G3直下の部分で横振れを見ました。
21Hなので7ヵ所あります。
どこも同じように当たっているように見えるのは、
かなり内側にゲージを押し当てているからで
上の画像の4つの間でも 精査すれば横振れは存在します。
あと、1枚目と2枚目の画像で
ゲージの先端と ブレーキゾーンの内周側の端との間隔を見ればわかりますが
それなりに縦振れがあります。
これは元からのものではなくて 横振れ取りだけ見て
あちこち触りまくった結果です。

DSC03122amx4.jpg
↑で、ここが グワッと横振れのある箇所です。
ここ以外の6ヵ所での細かい横振れを検知できるくらいに ゲージを広げれば、
ここだけが画像の状態の3倍くらいはリムとの間が空きます。

DSC03124amx4.jpg
ところが ここは、打撃痕の箇所の直近というわけではありません。
ビードフックが曲がっていない かすかな凹みと
G3直下の異常な横振れとの因果関係が 私には想像できません。

横振れの箇所がG3間の空白にあるのなら まだ分かるのですが、
最大の横振れがG3直下にある状態で
お客さんに返すというのは おかしいのです。

さっき書いた「色々工夫して試してくれた結果」というのは
お客さんの手紙にあった原文ママですが、
結果は「縦振れを出されて突っ返されただけ」です。
打撃痕によって リムのバランスがおかしくなった(らしい)
という言い訳も 私には よく分かりませんが、
仮に リムがある程度以上 反っていたなら直せないのは確かです。
それを一発で検証する方法があるのですが その前に。

DSC03134amx4.jpg
ねじれているスポークが 何本かありました。
ここまで、私はニップルに工具を一切かけていません。
で、リムの反りを調べる方法ですが・・・

DSC03135amx4.jpg
もちろん、ホイールをバラす以外にありません。
スポークの張力がかかっていると正確なことは分からないので。

DSC03136amx4.jpg
当店には定盤(平面のモノサシ)は ありませんが、
リムの反りの判断程度なら 窓ガラスで事足りるので
これを疑似定盤としています。
このガラスの定盤、正式名称を
「壊れそうなものばかり 当ててしまうよ
輝きは飾りじゃない ガラスの定盤」
と言いますが、この程度の改変では
JASR○Cに嗅ぎつけられる恐れがあるので
正式名称で呼んではいけません。

当て方を変えて 何度も見てみましたが、
リムは ほとんど反っていませんでした。
少なくとも まともなホイールが組めないほどには反っていません。

DSC03137amx4.jpg
交換を要すると判断した ねじれスポークは3本でした。

DSC03139amx4.jpg
スポークの供回り止め工具で、
抑える縦幅が短いものを使ったと思われます。

DSC03140amx4.jpg
DSC03141amx4.jpg
しかも金属製なので 同じような位置に傷が付いていました。
これは、お客さんの使い方に非があったとか
乗車中の外的要因(落車や座屈)によるものでないことは はっきりしています。

DSC03145amx4.jpg
ついでなので ハブを洗います。

DSC03147amx4.jpg
表面積がすごいことになっているフランジ周りを
きれいにできる貴重な機会です。

DSC03148amx4.jpg
ハブ内部の洗浄とグリスアップもします。
ハブ単体で回転ユルユルの玉当たり調整をして その状態でホイールを組むと
フランジがスポーク張力で引っ張られて 玉当たりが甘くなり
横ガタが出たりすることもありますが、このハブは
大径アルミシャフトだからか
フランジの剛性が高いからか
ラージフランジなのでスポーク張力で起こるひずみが
ハブ胴に伝わりにくいからか、
あまり顕著に それが出ません。

同じシャフトの レコードの手組みハブでは 玉当たりが変わるので
アルミ大径シャフトだから というのは無さそうですが。

DSC03149amx4.jpg
フリーの爪起こしバネは 曲がっていませんでした。

DSC03263amx4.jpg
ホイールを組んでいきますが、
G3直下の7ヵ所に 番号を振っていきます。
こうしておくと 例えば「ゲージを細かく調整したときに
4番の直下だけ縦振れが空いている」というように見ることができ
作業がしやすいのです。
普段は G3リムの組み立てでも ここまでしませんが
新品のリムなら疑わなくていいような瑕疵があるかもしれないので
番号を振りました。

DSC03274amx4.jpg
まず、G3直下で かなり厳密に縦振れを取ります。
上の図の青い三角は 振れ取り台のゲージです。
DSC03275amx4.jpg
ホイール中心からゲージまでの長さを半径として 青い線を描きました。
スポーク張力による リムの変形が無い(=完全剛体)のであれば
リムの外周部は 青い線そのものになるはずですが
DSC03276amx4.jpg
↑実際は こうなります。
2:1スポークのホイールは 縦振れの妥協点がどうしても下がりますが、
G3では リム穴位相の疎密があるので さらにひどくなります。
ただ、タイヤの変形量以下には抑えられるので
乗ってわかるほど ひどいことにはなりません。
とにかく G3直下の縦振れを かなりキッチリ取りました。
次いで横振れもG3直下の部分でのみ(G3間は 今は無視)取ります。
そうすると縦振れが かすかに出るので それを追い込み、
その後に出た横振れも追い込み・・・と していって
G3直下の縦横振れを収束させていきます。
あわてて ニップルを一気に回してはいけません。
答えに少しずつ にじり寄っていく感じです。

DSC03278amx4.jpg
G3直下だけでいいので 横振れを追い込んでいったとすると、
DSC03279amx4.jpg
↑G3間に リムの反りやへこみがないなら
書き足した青い線のようになってくれるはずですが、
DSC03281amx4.jpg
完璧に振れが無いというわけではありません。
これは新品のリムでも同様ですが、
ここからG3直下のニップルの調整で
G3間の横振れを妥協点以下に出来れば
売り物レベルののホイールとなるわけです。
新品のリムほど きれいに歪みが無いというわけではありませんが、
修理不可となるほど ふくらんだような箇所もありませんでした。
ホイールをバラしたのは、リムの反りの点検もありますが
触った箇所 触っていない箇所の区別なく
ニップルの締め込み具合を きれいさっぱり
リセットしたかったというのもあります。
例の打撃痕は 1と7の間のフリー側にありますが、
ブレーキゾーンの外周で横振れ取りすると ほぼ気になりません。
よって これがリム全体のバランスをおかしくしたというのは
あり得ないことです。

DSC03261amx4.jpg
DSC03260amx4.jpg
ホイールセンターが大きく偏らないように意識はしていましたが、
センターゲージを使わず 縦横振れをチクチクと出していったところ
最後にかすかにずれていたので 反フリー側の一様な調整で
センター出しをしました。

バラす前のセンターは見ていません。
あれだけグワッと横振れがあっては
暫定センターを見ても仕方ないですし、
どのみちバラすから関係ないと思ったので。

DSC03265amx4.jpg
組めました。
元々タイヤとスプロケット付きで お預かりしています。

DSC03282amx4.jpg
シマノ10Sスプロケットだったのですが、
私のバイクで同じく10Sなのは シクロクロスだけなので
それに装着しました。

ホイールを回すと打撃痕の箇所だけ うねったような感じになっていますが
それ以外での横振れは ほぼありません。
リヤブレーキを当て利きさせつつ乗ってみましたが、
引っかかるようなブレーキの感触もなく、
乗っただけで リムの凹みを判別することはできません。
縦振れは、きれいな路面を フリー空転で走行しつつ
後輪の接地面に神経を集中させましたが 分かりませんでした。
(縦振れは むしろ吊るしの新品より少ないくらいなので
これで分かるなら 他のシャマルウルトラでも分かるはずです)



おまけ
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私のシクロクロスの後輪は 今
11-12-13-14-15-17-19-21-24-28-
25-23-21-20-19-18-17-16-15-14の
20Sですが(歯数が一部かぶっているのは 気にしてはいけません)、
これを22S化したいと考えています。
そんな暇は ありませんが。
現状これが 世界一ナローフランジのリヤハブだと思いますが、
11Sハブにすると さらに狭くなります。

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