のむラボ日記

自転車工房「のむラボ」のブログです

スピナジー REV-Xさん  

お客さんからスピナジーのレブ エックスをお預かりしました。
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テンション構造の8枚(4対)のブレードで作られたホイールです。
(これのMTB用ホイール版では12枚(6対)になっています)
これは初期のモデルで、後になって ブレードに
大きな三角形のステッカーが貼られるようになりますが
これとほぼ同じモデルで青ステッカーのものが「スタンダード」、
ブレードに補強を入れた赤ステッカーのものが「スーパースティフ」、
ハブ軸を軽量化した(※)黄ステッカーのものが「エクストラライト」と
細分化されるようになり、その後に エクストラライトのハブ軸で
スーパースティフのブレードという統合された仕様のものが最後に出ました。

※:フロントハブはアルミ軸、リヤハブはチタン軸です。
エクストラライトについては「エキストラライト」と書こうと思ったのですが、
モデル名がExtraLiteではなくXtraLiteなのでエクストラにしてみました。

このホイール、当然 振れ取りなどは出来ませんが、
点検できることはしてほしいということで 持って来られました。

横振れが 前後ともかすかに1ヵ所ありましたが、
ホイールの年代から考えると十分に少ないといっていい程度です。
前輪のセンターがずれていましたが どうしようもありません。

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まず前輪ですが、もしベアリングやシャフトの交換をするのであれば
ここのスナップリングを外します。
取っ掛かりのいいようにスナップリングの片方の端に切り欠きがあります。

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エンドナットは C型スナップリングが はまっているので
これを起こすと 外せます。

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ベアリングのグリスアップをするだけなので
本当はどちらも外さなくていいのですが 参考までに。

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リヤハブのところに「センター オブ テンション ハブ」とありますが、
単にオチョコが無いというだけのことです。

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↑フロントハブもナローですが、リヤハブのフランジ幅の無さは
バトンやディスクを除く テンション構造の後輪の中で一番かもしれません。
少々ナローフランジなハブ程度では(実際するかどうかは別として)
反フリー側にもフリーボディを付けるだけの寸法はありませんが、
このハブはやろうと思えば出来るからです。
今までは 私が自作したWフリーハブが
最もナローフランジなリヤハブだと思っていましたが、
これのほうが狭いかもしれません。

DSC03354amx4.jpg
リヤハブですが、これはシマノのフリーボディを流用しています。
出た年代からして8S用だと思いますが 10Sまでは使えます。

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右エンドのナットを外して
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シャフトを反フリー側に引き抜くと こうなります。
ベアリングの状態が非常にいいですね。
ここからフリーボディを外すために中空ボルトをゆるめるわけですが、
最初のフリーハブである7400系の場合のみ 専用工具が必要になります。
それ以降の中空ボルトは10mmか12mmのアーレンキーで外せます。

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シマノハブと同じスプラインです。
フリーボディの どん突き防止用ワッシャーも入っています。
(黒いので分かりやすい)

この構造は7800系を除いて 9000系に至るまで 基本的には同じです。
スプラインの形状を変えるというユーザーの切り捨てはありましたが(→こちら)。

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反フリー側がカートリッジベアリング、フリー側が大きなバラ玉ですが
これでトラブルが多発していないのが不思議です。

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シマノがフリーボディハブを考えた最大の理由は
「ベアリング間の距離を広げたかったから」です。
(「軽量化」ではありません。軽いボスフリーギヤを使えば
当時のフリーボディハブ+カセットスプロケットよりは軽くなるので)

発想がボスハブの延長なのでベアリングは左右1ヵ所ずつしかなく、
フリーボディを外した場合「オチョコのある前輪」 状態で回転させることは出来ません。
現行のハブでも 反フリー側がバラ玉でなく
リテーナー式になっている以外は 同じ構造です。

これでトラブルなく使えるのは、左右ともアンギュラ(角度)コンタクトで
球径がそれなりに大きなベアリングだからです。

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↑現在の一般的なフリーハブではハブ体の左右に1つずつ、
フリーボディの両端に1つずつで 計4つのベアリングが使われています。
通常はカートリッジ式のラジアルベアリングですが、
カンパニョーロの場合はハブ体のベアリングのみ
アンギュラコンタクトのリテーナーベアリングです。
例外として ハブ体に アンギュラコンタクトのカートリッジ風ベアリングを
採用していて玉当たり調整を煮詰められるようにしているメーカーもあります。
この手のハブの場合は フリーボディを外した状態でも
ギヤ無しハブとして転がることは可能です。
ラジアルベアリングだけの場合 上の図の状態で計4つ配していないと
実用上ベアリングがすぐに壊れてしまうようで、
ここからベアリングを省略するのは難しいようです。
アルケミーのハブで ベアリング幅を ほぼハブいっぱいに取って
3つにしたものがありましたが、残念ながらリコールになりました。

DSC04011amx4.jpg
マヴィックの場合は ベアリングが3つなのですが、
ハブ体フリー側のベアリングを 外いっぱいに取っています。
あと、図では描き忘れましたがフリーボディとハブ体の間に
ゴムのシールリングがはさんであり、
車の半クラッチのように 常にスリスリと擦っています。
フリーボディのオイル(グリスではない)の粘度が
低いにもかかわらず漏れ出しにくいのも、
後輪が浮いた状態で 後輪を回すと
チェーンを介してクランクが回るのも ここの接触が原因です。
フリーボディでも ペダルをよどみなく漕いでいる間は固定ギヤと同じなので
ここの摩擦は気にしないということなのでしょう。
ベアリング3つで成立しているのは、シールゴムの接触が
ベアリングではないブッシュとして働いているからかもしれません。

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と考えると 左側がカートリッジベアリング(しかもナローで球径も小さい)で
ベアリングの数も2ヵ所な このスピナジーのハブが
当時あまり不具合も聞かずに一応使えていたというのは
不思議です、という話です。
ガッタガタになったのを見たことはありますが。

私のWフリーハブは上の図の右半分を2つくっつけた状態になるので
ナローフランジによるスポークの性質はともかく
ベアリング幅は超ワイドで 球径も大きくアンギュラコンタクトなので
その点での不安はありません。

DSC03366amx4.jpg
フリー側のダブルナットで玉当たり調整をするので
ハブスパナが2つかかるようになっていました。
これが当時のシマノハブの元からの仕様なのか
スピナジーの慮りなのかは分かりませんが、たぶん後者です。

追記:私は記事を上げてすぐに誤字脱字のチェックや
「てにおは」を直したりするのですが、こんな時間だというのに
そのあいだに3拍手も付いていました。
こんなクソブログで夜更かしするのはオススメしません。

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