のむラボ日記

自転車工房「のむラボ」のブログです

コメントのお返事(シマノホイールの話)  

先日、あるコメントをいただきまして、ちょっとそれに背中を押された気がするので
書くまいと思っていたことを書くことにします。

その前に。完組みホイールの元祖(多分ローヴァル、広い意味ではディスクホイール)は
ともかく、完組みホイールが当たり前になったきっかけを作ったのは
1996年のマヴィック・ヘリウムの功績(功罪?)です。
つまり、完組みホイールの歴史は1996年以降のメジャーなホイールブランドのカタログを
網羅していれば概ね把握できるということです。
で、私はその手のカタログを大事に大事に 普段から読み漁っておりまして、
ずっと心に引っかかっていたことがあります。

まずはいただいたコメントから抜粋。
「7900のホイールを2本持っているのですが
シマノはなぜ9000対応の互換フリーを出さないのでしょうか?」

「ホイールメーカーはいち早く対応して出してきているのに・・・
構造的に無理ってことはないですよね。」

「売る側は買い替えで儲かるでしょうが」

「もうシマノの完組みホイールは絶対買いません。」

うわー、すごいことをいう人がいるもんだなー(←お前が言うな)
7900のホイールを2つも持っているということは、
1つも持っていない私よりは
この問題に関して批判する権利があると思います。
この方のブログのリンクもいただいたので拝読しました。

ええ、私は疑問視していますよ。

旧シマノホイール(といってもつい先日まで現役だったわけですが)の
11Sの互換フリーを出す出さないという ここ最近の問題ではなく、
シマノの、完組みホイールというものに対しての取り組み方そのものに
ついて 以下、書いていきます。

DSC01944amx.jpg
まずはトップバッター、シマノホイールの始祖WH-7700から。
ペアスポーク配列の前後16H仕様というのが衝撃でしたね。

DSC01947amx.jpg
↑まず見てほしいのが、上の図の「この部分が不要 軽量化に貢献」という部分です。
ここをカットしなくても これより軽いリムは沢山あります。
このホイールはハブ側ニップルですが、スペシャルワッシャとあるパーツは
重量的にニップルのようなものなので ハブ・リム両側にニップルの重量が
あるようなものです。さらに、スペシャルワッシャの重量は
かなり外周部寄りですね。

DSC01948amx.jpg
↑それより もっと重要なことを。
新スポークパターンという部分ですが、充分な横剛性の獲得
という単語を覚えておいてください。

DSC01950amx.jpg
続いてWH-7701です。
最も大きな変更点はリヤホイールのフリー側ラジアル組み化です。
これが左右のスポークテンションの是正にどれほど効果的かは
当ブログでも再三書いてきました。
手組みホイールではスポークの首折れリスクや
ダフり角の問題(駆動応力に対する効率)から
しない方がいいというのが私の見解です。

DSC01953amx.jpg
↑見どころはそこではなくて、フランジ幅を広げているということですね。
20%横剛性が上がっているとのことです。
さっき充分な横剛性の獲得とか言ってたような気がするのですが。

DSC01951amx.jpg
とにかく、リヤハブのフランジ幅は広い方がいいということです。
私はこれをワイドフランジ詐欺と呼んでいます。
出来るなら、あるいは知ってたんなら最初から やっとけと思いますね。
WH-7700系列はシマノのオリジナリティあふれる設計です。

DSC01954amx.jpg
つづいてWH-7800です。
「この部分が不要 軽量化に貢献」?何ですかそれは?
ハブの構造がカンパニョーロの丸パクリ(シマノのフリーハブ史上この時代の
デュラエースハブだけの特徴です)、
スポークアレンジメントがマヴィックキシリウムの丸パクリなので
オリジナリティあふれない設計になりました。

DSC01957amx.jpg
↑今までのは「デュラエースのホイール」ではなかったそうです。

DSC01961amx.jpg
↑これを覚えておいてください。
最少限(原文ママ)のオチョコ量で横剛性を確保というくだりです。
「さいしょうげん」の対義語は「最大限」であり、「最多限」という単語もないので
「最小限」じゃないの?「さいしょうげん」の変換候補も最小限と再証言だけだし・・・。
という揚げ足取りはまあいいです。
最多限でググると「「間違いやすい日本語」の本」というのに引っかかりますが・・・。
ハブ全体のセンターとフランジ幅全体のセンターが6.2mm差ということですが、
フランジ幅の表記がないので左フランジ寸法は割り出せません。

DSC01962amx.jpg
つづいてWH-7801です。

DSC01963amx.jpg
↑見どころというか、覚えておいてほしいポイントが2つあります。
ひとつはワイドフランジについて。
最大限に広く設計したというくだりです。

もうひとつはアルミフリーハブボディについて。
これはWH-7800からですが。
これ、10S専用のフリーボディなんですが、
7700系のチタンフリーボディよりもわずかに軽いんです。
10S専用というのは今までの9Sユーザーを置き去りにする
(もちろん わざとでしょうが)仕様ですが、ここでは触れていません。

困るのが、この10S専用フリーボディのリヤハブのみ
シマノの歴史の中で特異な構造になっているので、7700や7900の
フリーボディに交換できない(8Sにも9Sにも11Sにもできない)
ということです。

DSC01964amx.jpg
2度目のワイドフランジ詐欺キター!
リヤハブの右フランジの寸法は 先日のハブの話からも分かるように
ハブが変わっても ほとんど同じです。違っていて1mmくらいです。
ということは、さっきの6.2mmと この10.6mmは、
左フランジ幅が少なく見積もっても 最低4mmくらいは違うということですね。
先ほどのWH-7800の図面を見てもらえれば分かりますが、
WH-7800はオフセットリムではありません。
オフセットリム化とワイドフランジ化を果たしたキシリウム組みの
WH-7801こそがシマノホイールの構造的最高傑作だと私は思っています。

DSC01965amx.jpg
話がそれますが、先日どんなにオフセットリム化を頑張っても
到底10mmもずれませんと書きましたが、これくらい大きくオフセットしても
3mmです。フランジ幅やリムの頂点の1mm2mmというのはかなり大きいです。

DSC01966amx.jpg
DSC01967amx.jpg
つづいてWH-7850です。ほとんど同じものなのでWH-7900も
このグループにまとめていいと思います。
シマノのオリジナリティあふれる構造に戻りました。
フリー側の最も外側のスポーク(手組みホイールではフリー側のヌポークに相当すると
私が考えているスポーク)が反ヤマアラシさん方向なので、
もっともフリーボディのねじれを受け止めるスポークが理屈上スポークテンションが
瞬間的に抜ける(ゆるむ)方向になっていると私は考えています。
手組みなら逆イタリアン組みに相当するのではないかと思うのです。

DSC01969amx.jpg
DSC01970amx.jpg
↑もっと大きな問題はフランジ幅ですね。
上の画像、上がC24のハブで 下がC50のハブです。
リムが高くなると左フランジを内側に詰めるというよく分からない仕様です。
さっきこの寸法の1mm2mmは非常に大きいと書きましたが、
C50の詰めっぷりは目視でもそれを超えているのが分かります。
7850にはC35のホイールは無いのですが、
7900のC35は C50と同じナローフランジハブになっています。

DSC01973amx.jpg
↑にもかかわらず最大限に広く設計したという表現をしています。最大限・・・。
あと、WH-7800/7801のフリーボディより これまたかすかに軽い
削ぎこみチタンフリーボディになったのですが、8・9・10S対応になったと
ネガティブでないことはしっかり表記するという徹底さです。
というかチタンフリーボディで軽くできるなら最初から やっとけと思いますね。

DSC01983amx.jpg
やっと追いつきました。WH-9000です。
C24以外は「オプトバル」なる2:1スポークアレンジメントになりました。

DSC01976amx.jpg
↑「従来の1対1のスポーク構成では、不均衡なスポークテンションとなり、
ホイール全体の損傷やニップルの緩みなど、
耐久性と強度に影響を及ぼす可能性があります。」
原文ママで文章を打ち出していて怖くなりました。
地味にすごいこと書いてますよ これ。
今までのシマノホイール使ってたらケガするかもって書いてるようなものです。
昨日おとといまで売ってた自社のホイールに対する評価がこれです。

DSC01977amx.jpg
そして3度目のワイドフランジ詐欺キター!
WH-7850ないし7900のC50は もがくと左シュータッチしやすいと
先日 私も書きましたが、ある意味それを認めるような自己言及です。

DSC01980amx.jpg
↑ここでいう「従来のホイール」とは ホイール全般を指すのではなく
WH-7900のことだというのはシルエット(赤い方)からも明らかです。
WH-9000はローヴァルとイーストンのパクリなので
シマノのオリジナリティあふれないホイールです。
個人的にはWH-7800/7801系の次に優れた設計だと思っています。
ホイールの設計を自分で考える時間があるなら 他社のホイールの設計で
どれが特許切れなのか調べている時間の方が有意義ということでしょうか。
12Sは すぐに出ないと思いますのでWH-9000は買いだと思いますよ(棒読み)

以上の例からも分かると思いますが、
シマノのホイールには筋の通った設計思想や 一貫性がまったく無いんです。
この点だけは誰も否定できないでしょう。
「その時その時で最もベストと考えられるものを世に出している」という
言い訳はありえますが。それにしても変節が多すぎ(ほぼ毎回)です。
マヴィックのキシリウムは1999年が初出ですが、本当に10年すすんだホイールでした。
まあ、その10年が経ってしまったんですけどね(笑)。
しかし10年というか14年ぶっ通しでラインナップに
加え続けるだけの設計だという点は大いに評価すべきです。
周りのレベルが上がったので追いつかれたという感こそありますが、
完全に追い抜かれてもいないというのが私の印象です。
例えばフルクラムのレーシング1と一長一短という感じですが、
レーシング1の初出は2005年(発表は2004年)です。
キシリウムがデビュー以降やった変更点といえば
フロントハブボディのカーボン化と リムの削ぎこみくらいです。
キシリウムを買って後悔するとすれば
「くそっ!俺が買った次の年にリムに削りを入れやがった!」くらいのものです。
メーカー自身が前作を自己否定するようなことはありません。
他にも例えばカンパニョーロも「G3な、あれ、ゴメン、忘れてや」などと
自社の設計を放り投げたりしません。むしろ超ハイローフランジ化や
CULTベアリングなどで進化しています。

ホイールの性能そのものに対する疑問は置いておいても、
行き当たりばったりの設計で目先を変えたホイールを売っておいて
挙句「前のはダメ」という買った人を大事にしない売り方は疑問です。
冒頭の、旧シマノホイールの11Sへの対応もそのひとつかもしれません
(技術的に本当に無理ならそうではないのですが)。
しかし、スプロケットの枚数が増えるにしたがって
どこかでユーザーを一旦 切り捨てるような結果になるのは
やむを得ないということもあるでしょう。メーカーとしては心苦しいはずです。
10S専用フリーの件から見るにちっとも心苦しそうに見えない・・・
のは気のせいです きっと。
まあ、こんな声など問題にならないくらい買い支えている人が多いので
今後もそれに甘えたホイールであり続けるのかも知れません。

category: ホイールの話

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