のむラボ日記

自転車工房「のむラボ」のブログです

コメントのお返事(無荷重でのセンター出しについて)  

普段私がやっているセンター出しの作業について
「いつも無荷重でセンターをきっちり合わせてますが、
タイヤに空気を入れたときのセンターずれは無視なんですか?」
というコメントをいただきました。
おお、これは たいへんいい質問です(冷や汗)。
ありがとうございます。

はい、無視しています。と書いてしまうと あれなので詳しく書きます。
まず タイヤの空気圧ですが、
外気圧の数倍も入れると それによってリムが圧縮されるので
(とくにロードバイクだと より顕著に)スポークテンションが下がります。
リムは タイヤの空気圧に対して完全剛体のような振る舞いは見せません。
(タイヤを張る以前にホイールを組んでいるわけですが、
そのスポークテンションに対しても完全剛性ではありません。
リムによっては内周側への圧縮の量が無視できないので
スポーク長さを0.5mmや1mmほど
計算上より短くしないといけないリムがあることが分かっています)
そのとき、オチョコがあるホイールだと
リムはスポークの角度が立っている側にずれます。
これはセンターゲージで観測できることもあります。
観測できなくても 微量ながら起こってはいるはずです。
その量はリムの剛性によって変わりますが、
経験的に 重たいリムのほうが少なく、リム高が高いリムのほうが少ないです。
しかし実は、リムの剛性よりは タイヤとリムの形式ほうが
要素としては大きいと思われます。
ある空気圧に対する起こりやすさ(ずれやすさ)では
チューブレス、チューブド(WOとHE)、チューブラーの順になります。
具体的に書くと、シマノのWH-6800や イーストンの旧EA90RTでは
チューブレスタイヤの8barで「紙1枚くらい」以上のセンターずれが起こります。
旧EA90RTの件では、お客さんが いつも使うタイヤの
いつも使う空気圧の状態でセンター出しをしたこともあります。

ドンピシャ級に出した無荷重のセンター出しが
タイヤ装着と加圧も含めた実際の使用状況でも維持されている
というわけではない
のは承知していますが、
乗り手のタイヤと空気圧の条件が分からない以上
無荷重でドンピシャが作業の基本になってしまいます。
いつものタイヤ いつもの空気圧の状態でセンター出しをしてくれ、
と言われれば それでやってもいいのですが、
経年使用でタイヤ幅が23mmから25mmに太る
あるWOタイヤの場合、太ってしまうと 同じ空気圧時での
リムずらし量が減ることも分かっています。
なので 可能な限り厳密に実使用時での条件下で
センター出しをする、というのは非常に難しいのです。
(技術的にではなく 条件のほうが変わるという意味で)

あと、私が使っている タイヤを装着した状態で使えるセンターゲージは
モノサシとしてあまり信用できません。
それが出来るセンターゲージでまともなものを買えよ!と言われそうですが
私の知る限りでは存在しません。
もしあるなら教えてほしいです。買いますので。

あと、R-SYS以外の後輪では経年使用で
リムがフリー側にずれることも分かっています。
(理由については 別の切り口からいずれ書きます)
私が使っているのむラボホイール4号は
無負荷時で うっすら反フリー側にずらしていたのですが、
タイヤを交換するときごとに センターゲージで見たところ
やはりフリー側にずれる現象が確認できました。
これは、乗っていて分かる量ではないですが
量の大小としては タイヤの空気圧でずれる量よりも大きくなります。
この経年使用でフリー側にずれる現象は、2:1スポークなど
左右異数組みの後輪の場合 ずれるのが早い、
ということも経験的に分かっています。

じゃあ 普段私がやっている無負荷でのセンター出しに
意味はあるのかということになりますが、
ホイールセンターが1円玉1枚以上ずれているような吊るしのホイールを
少なくともその時点での 無負荷センタードンピシャにするのは
お持ち込みいただく前の状態よりは ずっと良いはずなので、
そういうテキトーな精度のホイールを 作業で排除するという点では
やはり意味があります。

先ほども書きましたが、
いま履いているタイヤ+この空気圧時で
センター出しをしてくれと言われれば そのように致します。
そこからタイヤが変われば(変わるというのは 太るのも含む)
実使用時でのドンピシャは保証できませんが・・・。

経年使用した後輪のホイールセンターがフリー側にずれる、
という現象が存在するのは経験上間違いありません。
のむラボホイールにしろ 完組みホイールにしろ、
無負荷センターを私が過去に出した後輪を 後日振れ取りするときに
反フリー側の増し締めによる「追いセンター出し」をするというのは
実は けっこうやっています。
今までそれをあまり書かなかったのは、それを知った同業者が
フリー側のセンターずれについて全て
「経年使用によるもの」だと言い訳されそうで ウザいからです。
私は、振れ取り作業で 可能な限りタイヤを外して作業しますが
それは 無負荷センターも ついでに出すためです。
最新のカンパニョーロ・ボーラのチューブラーモデルだと、
ワイドリムなので 幅によってはタイヤが付いた状態で
センターゲージを干渉せずに当てられ、
しかも内蔵ニップルではないので タイヤを剥がさずに調整できます。
そういう場合はタイヤ付きで点検しますが。

DSC00203amx5.jpg
いい機会なので
WH-6800の後輪とチューブレスタイヤでのセンターずれについて。
上の画像は記事用にストックしていたものですが、
撮ったのは2015年の3月14日です。

DSC09492amx5.jpg
これは 先ほど書いた、タイヤが付いていても使えるセンターゲージです。
(この画像は今日のものです念のため)
端っこの、リムに当てる部分がスライドするので
タイヤの横っ腹が リム幅からオーバーハングしていても
タイヤと干渉させないように当てられます。

DSC09493amx5.jpg
エンドに当てる部分の全体形状は こうなっていて
DSC09494amx5.jpg
先端は直角より鈍角に曲がっています。
DSC09495amx5.jpg
このユリヤボルトを締めて固定するのですが・・・。

DSC09496amx5.jpg
ユリヤボルトを締めるときに
先端をエンドに めっちゃ押さえつけているのにもかかわらず
DSC09498amx5.jpg
ボルトを締めると先端が斜め上に浮くのです。このクソ工具が!

DSC09500amx5.jpg
そこで、使い方を考えます。
まず 使い方その1ですが「先端がエンドから浮くのは仕方がない」として
そのすき間を目視で憶えておいて 反対側とくらべるという方法です。
もしくは、反対側で より詰まったとしても エンドに接触さえしなければ
「乗って分かるほどはずれてねえから でえじょうぶだ」ということなのかもしれません。
私の妥協点がそれよりも もーちょっと高いことについては
普段のセンターゲージの画像で信じていただけるかと思います。

DSC09502amx5.jpg
次に、使い方その2です。
先端をエンドより低い位置にして、ユリヤボルトを締めきったときに
エンドの端面と揃うように調整してから使うという方法です。
このセンターゲージを どうしても仕方なく使うときはこうしていますが、
以下の画像を撮ったときは 使い方その1でやりました。

DSC00204amx5.jpg
タイヤ無し無負荷センターを出しています。
工具の先端が エンドからちょっと浮いていますが
フリー側でも同量です。

DSC00207amx5.jpg
ずれる量がなるべく大きくなるように、
チューブレスタイヤ(ちなみにIRC製)で9barにしました。
先ほどの状態から全く動かしていない工具の先端が当たっています。
この程度のずれは発生しうるということですが、
本当にタイヤ側の条件で ずれの量が変わるので
この現象を知らないわけではないのですが
普段の調整では無視した形になっています。

文中で メシノタネコードに抵触することをうっかり書いていますが
どれがそれに当たるのか書かないのでセーフ(たぶん)

category: ホイールの話

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2016/05/21 19:18 | edit

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