のむラボ日記

自転車工房「のむラボ」のブログです

リドレー ヘリウムのフロントメカ台座を交換しました  

ドリルがうなる!
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お客さん(たぶん)から リドレーのヘリウムをお預かりしました。
「フロントメカの台座が割れた」ということです。
・・・何を言っているのか よく分かりませんが、持って来てもらいました。

この人のバイクですが、タイヤの向きを逆に履いているなどは
まだかわいいほうで、チェーンの表裏や リヤメカプーリーの上下を
わざと間違えてるんじゃあないかと思うくらいの高確率で間違えていたり、
アウターの長さが長すぎたり ブレーキシューの高さが合っていなかったりなど
ツッコミどころが多くて困ります。
行きつけのショップは、自転車屋を片手間でやっているからか
そのうえ問屋さんへの支払いが常に滞っているなど
明らかにナメた仕事なので、たまに見たときに不備だらけなのが
素人仕事なのか そのショップでやったのか 本当に見分けが付きません。
そんな愚痴はいいとして・・・。

「逆歯離れ」が起きています。
フロントメカの羽根の前端になるほど
アウターチェーンリングの歯先との距離が開いています。
これと逆の現象は、昔と違いシート角を立てざるを得ない
最近のフレームで よく見られますが、
逆歯離れは普通起きません。

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ロー側の調整ねじが えらく上に抜けています。
このくらい出ていると ねじの先端はフロントメカを押していないので
実質はねじを外した状態と同じです。

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で、今回の異常ですが
DSC01076amx6.jpg
本当にフロントメカ台座が割れていました。

これを何とかしてほしいということです。

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ぎゅいーん。
リベットの頭をとばして、台座を外しました。
接着剤がかなり効いていたので 外すのに苦労しました。
こんなことをする前にリドレーの代理店に相談すべき、
と 思われるかも知れません。
実際、これは海外通販ではなく正規代理店経由のフレームです。
が、それが出来ない事情があるのです。書けませんが。

ここに新たに取り付ける台座ですが、
フロントメカの取り付けバンドを加工して作ります。
ただ、それにも条件がありまして
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↑こういうのはダメです。というか無理です。

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フロントメカより前の部分に、リベットを打つスペースがありません。

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フロントメカの取り付け穴が長穴ではないので、
位置調整が出来なくなるのもダメな理由です。
あと、バンドの肉抜きのせいで リベットの穴を打てません。

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これらの条件をすべて満たすバンドが トーケンにあります。
28.6mmなのは、ヒンジを切りとばした後に
シートチューブの形(非真円)に沿わせるのに
この径が最も都合がいいからです。
しかし、黒アルマイトのものは加工の跡が目立つので

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同じものの色違いがヨシガイ(※)から出ているので それを使います。

※:○吉貝(ヨシガイ) ×吉貝(キチガイ)

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↑こうなっているのですが、

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図で描くとこうなります。
ヒンジのピンの長さ(ピン穴の深さ)が短いかどうかが 賭けでした。
ちなみに、新しい台座を作るのは フレームの元の台座を外す前にやっています。

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ここを切ります。

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次に、ここを平面に削いでおきます。
ここにリベットを打ちこむわけですが、
ヒンジ穴の空洞があっては まずかったのです。

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リベットの径は3.2mm、下穴は3.4mmであけます。
リベットの頭が枕頭になるように、リベットの頭の径である
約7mmのザグリもいれます。
部材が分厚いので、こうしないとリベットがフレームに効きません。

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元の台座の穴位置を描き加えました。
このうち、右下の穴を新しい台座と同じ位置にします。
左上も同じ穴を使うように、新しい台座に穴を設けます。
右上は残念ながら使えません。
左下は新しい台座の形状の関係から使えませんが
リベットは必要なので 少し右に新しい左下の穴を設けます。


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↑左上と新左下

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↑右下

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↑裏から見たところ

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↑こんな感じになります。
右上と旧左下は台座の形状の都合上使えません。
わざと はしょっていますが、台座をフレームに沿わせるように
加工するのは けっこう難しかったです。

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右下基準で台座の位置を決めたので
フロントメカの取り付け穴位置はここになりました。
50~53Tの範囲であれば全く問題ありません。

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フロントメカを固定したところ、
冒頭の逆歯離れから、ややひどい程度の歯離れになりました。

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時系列が前後しますが、先に書いておきます。
ぎゅいーんの粉が飛び散ったので

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洗車しました。

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リヤ変速をローギヤに入れたところ、
内側のプレートとチェーンの間が空いています。
ロー側調整ボルトが飛び出ていて調整が効いていないからですが
・・・あれ?

「アウターへの変速による羽根の摩耗を抑えつつ
インナー×ローでチェーンがチャラつく異音を鳴らなくするプレート」が
なぜか付いていません。
どうやったらこれが落ちんねん いつもこんなんやんけ ふざけんな

ちなみに、このパーツのリペアパーツとしての名前は
「スキッドプレート」といいます。
電動のフロントメカには付いていないので、
アウター変速時の摩耗うんぬんが主目的ではなく
トリム操作が足りない場合の異音を消す効果のほうが大きいと思われます
(電動コンポはトリム操作を勝手にするので)。

インナー×ローで、フロントメカを落とし切れていない状態で
スキッドプレートが無い場合、シャラシャラと異音がするわけですが
スキッドプレートのせいで異音自体は ほとんどしなくなります。
といっても異音がしないだけで、接触は起きています。
トリム操作がちゃんと出来ない人を想定した
フールプルーフフェイルセーフということです。

また、最近 インナーワイヤーを内蔵するフレームが非常に多いわけですが
ダウンチューブをライナーが通っている場合、
インナーワイヤーとの抵抗が大きくなると
レバー操作をしてもフロントメカが戻りきりません。
フロントメカをインナーいっぱいに操作してからペダリングし、
そこからフロントメカを指で内側に押すと まだ少し動く(戻りきっていない)
といった現象が実際に起こります。
あと、9000のシフトインナーのコーティングが剥がれて
ライナーに詰まってグズるのもダウンチューブ内の抵抗が増す原因になるので、
ライナー式の内蔵フレームは 長い目で見れば
コーティングインナーを使わないほうがいい
(9000のインナーが 9000のフロントメカの動作不良の原因になっている)
と断言できる事例も多々あります。

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この修理自体が急ぎなので、私の手持ちのフロントメカから
スキッドプレートを移します。

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しかし、この汚い穴にパチンとはめるのが はばかられるので

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フロントメカを洗ってから取り付けました。
しかし・・・

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遅かりし
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由良之助
スキッドプレートは実はけっこう仕事をしていた、と証明する形に
なってしまいました。
羽根がけっこう削れています。
度重なるアウターへの変速が主因でこうなる、というのであれば
電動のフロントメカにもスキッドプレートが必須なわけですが
この摩耗はそれではなく、トリムをやり切っていなくて
チャラついていたのを無視し続けていた結果と思われます。
ひとつ擁護しておくと、元のフロントメカの台座が割れていた時点では
フロントメカの後端が外に振る形で固定されていました。
なのでトリム操作うんぬんを別にしても
この部分が擦りやすい状況にあったとは思いますし、
そのために あんな極端なねじの調整をしていたのかもしれません。

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あと、フロントメカの取付座金(←これもリペアパーツの正式名称)ですが、
9000の純正品を使わないほうがいい、または使ってはいけない場合が多々あります。
今回も従来の、縦幅が広く接触面積が広いものにあえて交換しました。

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おもて
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うら
↑これかんがえたやつあほ
みみっちい軽量化もけっこうですが、
例えば この座金をカーボン製の直付け台座に取り付けようとすると
ミシミシと食い込んでいくので実質使えない場合もあります。
カーボン製の直付け台座の場合、フレームメーカーによっては
専用の座金を用意している場合もありますが
全てのメーカーがそうというわけでもありません。

今回の台座の破損も、締め付けトルクが過剰だったなどあるかもしれませんが
そもそも これを使ったからというのも否定できないと思います。

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フロントメカの直付け台座のスリットですが、
M5ねじ(固定ねじ)が通ればいいだけなのに
それよりもかなり広い幅の長穴を設けているものがあります。
ものによっては 座金の角っこが
スリットに落ち込むように食い込むこともあります。

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↑これは別件ですが、非常に幅広の穴で
しかもフレームの付属品として幅広の座金が付属していなかったので
私のほうで 幅が広いものにしました。
フロントメカの位置を、左右に振ってチェーンリングに対して
まっすぐに取り付ける都合上 M5ぴっちりのスリットだとマズいのかもしれませんが、
それにしても これは広すぎです。

この件も チェーンリングに対してまっすぐ取り付けた結果
フロントメカを振る形になったので
座金と台座のかかりが右と左で違います。
左(フレームに近い側)のかかりが かなり浅いですが、
これは旧シマノ純正座金にしても 前述の落ち込みが起きたので無理でした。

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なぜ私が これを常備しているのかってことですが、
新座金を必ず使わないというわけではありません。

DSC01129amx6.jpg
出来ました。

DSC01128amx6.jpg
先ほどと比べても、さらに歯離れが修正されています。
これはフロントメカのほうをいじったからです。
FD-7900は、それ以前のフロントメカと違い 羽根の剛性が非常に高く
歯離れ修正をさせてくれなかったのですが、
FD-9000は 7800や7700よりは硬いものの歯離れ修正が出来ました。
歯離れ修正時の反応だけで比較すれば、
FD-9000はFD-7900よりも軟らかいです。

DSC01130amx6.jpg
よーしここで究極の歯離れ修正見せちゃうぞー

DSC01132amx6.jpg
私物です。
変速時の接触ポイントでない部分は削いでOK、という考えのもとにやりました。
もちろん、羽根全体の剛性は落ちています。
無茶な変速をすれば すぐに逝くはずなのですが、
幸い まだ壊れていません。
これ、画像ではお伝えできませんが 非常に変速がスムーズなのです。
本来は 外側のプレートに「インナーへの変速用スキッドプレート」にあたる
ポリマーのパーツが付いていますが、あえて外しています。

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DSC01138amx6.jpg
DSC01136amx6.jpg
カンパニョーロでは、このポリマーがフロントメカに付くようになってから後に
外側の羽根がカーボン化しました。
(一部、説明に不要な画像が混じっていますが気にしてはいけません)
インナーへの変速時に カーボンで直接チェーンを押すことが
ポリマーのおかげで避けられるわけです。
が、外羽根がカーボンになっている最新のフロントメカでは ポリマーがありません。
カンパニョーロのことにジャパンいち詳しい人に訊いたところ、
ポリマーが不要だと判断されたから そうしたのだそうです。
該当するのはスーパーレコードEPS・スーパーレコード・レコードの3つで
レコードEPSは外羽根がアルミ製+ポリマーになっています。

DSC01133amx6.jpg
↑元の台座

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割れているのを戻すように 指で思いっきり押さえても、
すき間をピッチリと閉じることはできません。
この状態で めっちゃ硬いです。

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