のむラボ日記

自転車工房「のむラボ」のブログです

初代コスミックエリートさん  

お客さんから 初代コスミックエリートをお預かりしました。
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広い意味での「最初の完組みホイール」は
ディスクホイールということになると思いますが、
「ロードレース用のスポークドホイールで
メーカーが量産したもの」となると 1996年のマヴィック・ヘリウムが最初です。
ヘリウムは山岳決戦用軽量モデルで
フロント26H・リヤ28Hのアルミリムホイールですが、
フロントリムはリフレックスリムを完組みホイール用に穴数違いで
特別に作ったものです。と書きながら 実は厳密には違うのですが。
ごく初期のヘリウムのチューブラーリムには340g台のものがあり、
これはリフレックスの軽い個体だとしてもありえない軽さなので
素材の厚みも含めて特別にヘリウム用に作ったものです。
後期型だと390gくらいなので、
単に穴数とリムの色が特別なリフレックスということで間違いありません。

エアロホイール系のコスミックシリーズは、
97年に コスミックカーボン(SSCではない前後16Hのモデル)と
コスミックプロとコスミックエキスパート、
98年にコスミックエキップ、
99年にコスミックエリートが出ていて
今回のこれは99年初出の初代エリートになります。
コスミックカーボン以外のモデルはアルミリムで、
38mm高リムのプロは このモデルのためだけの
レインフォースアイレット(後述)無しとなっていますが
それ以外の3モデルは リム高30.5mmのCXP30リムの
穴数と色を変更して流用した仕様となっています。

お預かりした最大の理由は、後輪の振れが大きく
お客さんいわく「スポークがリムを持ち上げている?状態」に
なっているからです。
これは、CXP30リムの仕様である
レインフォースアイレットが割れてしまったから
見かけ上そうなってしまっています。

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↑リム穴には穴振りと切り欠きがあり、
自分から見て手前に向かって伸びているスポークと
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↑向こう側に向かって伸びているスポークで
見えかたが違います。

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↑これが持ち上がっているという部分で
お客さんが目印のテープを貼ってありますが、
明らかに 何かがおかしいです。

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内周側の厚みが薄いので、
ニップルがリム穴を突き破りそうになっています。

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↑これがレインフォースアイレットです。
例えば最近の完組みホイールであれば
リム穴周辺のみ肉厚にするなどの加工がしてあるものもありますが、
それをするには高い切削技術が必要になります。
このリムの場合は、レインフォース(強化)アイレットを
リム穴にのみ挟むことで部分的に強化しているわけです。

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当該箇所ではアイレットが割れてしまったのでしょう。
リムテープ無しの状態で送られてきたので
アイレットの欠片は見当たりませんでした。

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CXP30のレインフォースアイレットです。
一応書いておくと とっくの昔に廃版になっています。

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あと40個、今日使ったのであと39個しかありません。
個人的にCXP30リムの32Hと28Hを 数本持っていますが、
これが必要になるのでホイールは1つしか組めません。

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ニップルを回収しました。このニップルのみナメた跡がひどく、
アイレットが欠けた状態でニップルを回したようですが
長さ16mmで 工具のつかみしろが3.2mm対辺なので
結局は16mm長さの DTのしんちゅうニップルにしました。

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↑この専用工具を使う必要もないのですが、
とにかく図のようにセッティングしろということです。

フランス語はじめ5ヶ国語での説明書になっていますが、
上の画像1枚目のRenforced eyeletという綴りは誤りです。
英語ならRenforceではなくReinforceとなり、
Renforceはフランス語ですが 活用するとRenfortになるので
Renforcedはフランス語のあとに英語の接尾辞~edを
付けた形になっています。

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アイレットを補填して直しました。
レインフォースアイレットは、作業中にリム内に落ち込むことがあるので
それの対策として 長いアイレットにしただけ・・・では重たくなるので
軽量化もするぜ!というのが

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↑このエキスパンディングアイレットになります。
一応書いておくと とっくの昔に廃版になっています。
ちなみに、肉抜き部分は
アステカ文字にインスパイアされた可能性があります。

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前輪は、スポークが2本 変形しているので交換をご希望です。
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交換しました。

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↑CXP30の寸法です。
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↑コスミックエキスパート・エキップ・エリートのリムの寸法です
(チューブラー仕様があるかどうかはモデルによります)。
CXP30と全く同じ寸法です。

上のほうのレインフォースアイレットの画像に
M40012と書いた袋がありますが、
これは図にもあるように

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↑これのことです。

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あと お客さんの希望として、
ハブのグリスアップをお願いされましたが
フロントハブは全く傷んでいませんでした。
リヤハブは ハブシャフトのベアリング直下に
もらい錆びがあったので どうかと思いましたが、
中身は傷んでいませんでした。

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最後に。
このフリーボディはシマノ8・9S用で、
8・9Sというのは当時の表記なので、10Sも使用可能です。
これをカンパニョーロ仕様のフリーボディに
交換してほしいということなのですが、
残念ながら不可能です。
この当時のマヴィックに カンパニョーロ用フリーボディは存在しません。


では カンパニョーロで使う場合どうするのかというと、
かなり ややこしい話になります。
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まず、マヴィックにCC9というスプロケットがありました。
CCはカセット コグという意味で、コグとはフランス語で歯車のことです。
スプロケット(コグ)とスペーサーを1枚ずつ
フリーボディのスプラインに挿していく形でセッティングするのですが、
シマノのHG(HYPER GLIDE)フリーボディとスプラインの形を同じくする
「CC9フリーボディ」というものがあり、
CC9スプロケットを黄色スペーサーで使った場合
カンパニョーロの9Sに対応するという形になっていました。
つまり、カンパニョーロのコンポで使いたければ
HGフリーボディをCC9フリーボディに交換し
マヴィックのスプロケットを買えということになります。

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CC9フリーボディは、カンパニョーロ専用のフリーボディなので
シマノのスプロケットで使ってはいけないことになっています。

そして、カンパニョーロ9Sで使う場合の方法は
「CC9を黄色スペーサーでセッティングする」以外に もうひとつあります。

DSC03399amx6.jpg
「シマノ純正の9Sギヤを、
スプロケットにスペーサーが盛られている部分は極薄スペーサーを足し、
スペーサー単体はそれよりもやや厚いスペーサーに換えることで
カンパニョーロの寸法に改造するための
HG/CC9キットなるパーツを使う」という トンデモナイ方法です。
この場合の厚いほうのスペーサーの色はグレーです。
察しのいい方はお気づきだと思いますが、
この方法ではスパイダーアームの部分の歯間距離は変更できません。
そして、異常に変速性能が落ちるのです(当たり前だ)。
この方法でカンパニョーロに対応(←対応できてねーだろ)する場合でも、
HG9フリーボディではなく CC9フリーボディへの交換が必要になります。

ちなみに、CC9から1枚 スプロケットを抜き
黄色スペーサーから 少し厚い銀スペーサーに換えることで
カンパニョーロ8Sに対応する CC8という状態にすることも可能です。
この場合もフリーボディはCC9に限られます。

今回のコスミックエリートですが、フリーボディを取り外す場合
ハブ体の左ベアリングを抜いて 12mmアーレンキーを突っ込み、
フリーボディを固定している中空ボルトを内側から回すという形式になるので
後年に出た FTS-Lフリーボディと互換性がありません。
なので カンパニョーロのスプラインを持つフリーボディの取り付けが出来ないのです。
シマノ11Sに対応したフリーボディへの換装もできません。
というのを先日 電話口でお伝えしたのですが
詳しく書くと こういうことになります。
しかもここに書くと お客さん以外に 2000人くらいに伝わるのでお得です。
今回のコスミックエリートはHG9フリーボディなので、
シマノ8・9・10Sには対応しています。
その範囲で お使いください。

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ちなみに、シマノスプラインのFTS-LフリーボディはM10という名称ですが、
スプラインの奥に2mmのスペーサーが入っています。
CC9の後継モデルとして シマノスプラインのフリーボディに取り付ける
カンパニョーロ用10Sスプロケットの「M10カセット」というものがあるのですが、
M10カセット使用時はM10フリーボディの
2mmスペーサーを抜く必要があります。

M10カセットのスペーサーの色は黒ですが、
スプロケットを1枚抜いて黄色スペーサーにすることでCC9状態に、
さらに1枚抜いて銀スペーサーにすることでCC8状態になります。
これらの場合でも2mmスペーサーは不要です。

後からの話になりますが、シマノ11Sが出たときに
シマノ10Sに対して伸びたスプラインの長さが1.85mmであったことから
0.15mmの差はあるものの
「M10フリーボディの2mmスペーサーを抜けば シマノ11Sが取り付け可能」
という対応になりました。

あれ?
つまりですね、かつてのCC9フリーボディのスプラインは
FTS-Lフリーボディでいうところの
M10(スペーサー無し)の深さと同じなのでは、ということになります。
今回のホイールでも HG9フリーボディをCC9フリーボディに交換すると
シマノ11Sスプロケットが取り付くのでは、ということですが
スプロケットの取り付けが可能であっても、
ローギヤがハブ体に接触する可能性が大きいので
実用は おそらく無理だと思われます。

FTS-Lフリーボディには M10だけでなく
カンパニョーロ用のED10(EXA DRIVE)があります
(現行はそれぞれM11とED11に改名しています)。
シマノスプラインに取り付けるカンパニョーロ11S用
マヴィック製スプロケットというのは出ていません。

さらに追記
DSC03375amx6.jpg
↑これは2005年のコスミックエリートですが、
やはり リムはCXP30の穴数違いです。
CXP30リムそのものは とっくの昔に廃版になっていますが、
完組み用リムとしては残ったわけです。

DSC03413amx6.jpg
↑こちらはエキスパンディングアイレットでした。
でも これ単品の供給はありません。

category: ホイールの話

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2017/01/15 09:13 | edit

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