のむラボ日記

自転車工房「のむラボ」のブログです

WH-7801-SLさん  

お客さんから WH-7801-SLの前輪をお預かりしました。
DSC03717e.jpg
世界で最初のロードチューブレスホイールで、
スカンディウムリムという意欲作です。
相方のタイヤはユッチンソン(←当時の問屋さんでの呼称)の
フュージョン2チューブレスのみで、
当初は その組み合わせしかありませんでした。

さっそくロードチューブレスを試してみた感想として よく聞かれたのが
「タイヤが粘っこくて転がりが重い」「ウェットの路面で異常に滑る」
などといった声でしたが、それはチューブレス云々に関係なく
フュージョン2が そもそもそういうタイヤなのです。
あと 耐候性がしょぼくて裂ける、パンクしやすい、も追加しておきましょう。
ハッチンソンのタイヤは皮膚呼吸が激しい個体が多いので
前後輪でエア抜け具合が顕著に違うこともよくありますが、
当時は まともなシーラントも無く取り扱いが難しいというのもあって
マイナスイメージのほうが先行したのではないでしょうか。
つるむ相手を間違えたので、一気に流行させるのは しくじった感じです。
もしこの時点でエア抜けが皆無であったなら
「高級クリンチャーは基本的にチューブレス、
チューブ入りは安物のモデルだけ」という世の中に
持っていけたかもしれません。
トッププロがレースで使わないのも大きかったと思いますが。

おっと話がそれた。

DSC03719e.jpg
折れたスポークの修理をご希望です。
お持ち込み時点ではスポークが付いていましたが、外しました。

DSC03720e.jpg
とんでいないスポークを見てみます。
リム側ニップルから「APIM」という文字が見えます。
どこかOEM元のメーカー名なのでしょうか。
DSC03721e.jpg
ハブ側ニップルは こうなっています。

DSC01794amx6.jpg
とんだスポークのリム側です。
スポークには何かを巻き込んだのか、かなり曲がっていました。
DSC01793amx6.jpg
DSC03722e.jpg
DSC03723e.jpg
↑とんだスポークのハブ側ニップルです。
折れたスポークが詰まっているので 再利用はできません。

DSC03724e.jpg
エアロスポークのバテッド部分を切って、リム側ニップルを回収しました。

DSC03738e.jpg
今回の件を図で描くとこうなります。
リム側ニップル付きスポークは、
丸スポークを通してから扁平加工しているので
スポーク部分のみの交換はできません。
さらに困ったことに、WH-7801-SLのスポークキット
(リム側ニップル付きスポーク+ハブ側ニップルのセット)は
とっくの昔に廃版となっているのです。
この状況、詰んだっぽいですね。

DSC03729e.jpg
ハブ側ニップルは、これ以前に出ていたMTBの完組みホイールの
WH-M540のフリー側ニップルと同じものだということをつきとめました。
これもどうやら廃盤商品のようですが、流通在庫はありました。

WH-7801-SLのエアロスポークは幅と厚みからして
スポーク比重100%近辺ということで間違いなさそうなので、

DSC03726e.jpg
リム側ニップルに通す丸スポークは
14番プレーンのサピム リーダーのストレート仕様にしました。

DSC03725e.jpg
なぜか2.0mmが すんなり通らなかったので
2.0mmのドリルで軽くもんでいます。

DSC03727e.jpg
先ほどの「APIM」の謎が解けました。
「SAPIM」の一部がニップルで隠れていただけだったようです。
と、ということは このホイールのスポークはサピム製だったのかぁー!

DSC03728e.jpg
リーダーのストレートスポークは、そもそも ねじ山を切っておらず
14番プレーンなので長さを自由に設定できるという
ありがたい仕様となっています。

DSC03730e.jpg
元の別注スポークでは ねじ山の長さを長くしてあるようで、
当店のスポークカッターで切ったねじ山も
サピムの純正よりは1山ほど長いはずなのですが、

DSC03733e.jpg
↑どん突きまで締めきっても
先ほどのスポークが詰まったニップルの画像にあるように
スポークの端面がハブ側ニップルの端面に届きません。
なので 純正スポークの公称長さの282mmより短くする必要があります。

DSC03734e.jpg
スポークを補填しました。

DSC03735e.jpg
↑純正
DSC03736e.jpg
↑非純正
シマノのカタログでは、リペアパーツについて
「ひとつの製品と末永くお付き合いいただくために。」と
書いてありますが、とんでもないウソですな。
パーツが入手できないせいで、
手組みホイール以下の耐用年数になっています。

DSC03737e.jpg
↑補填した箇所
まず、交換したスポークのニップル「だけ」の増し締めで
なるべく振れが無い状態にします。
ホイールの中で最も振れている箇所が ここで無くなったなら、
あとは 普通の振れということになるからです。
こまごまと振れがありましたが リムが反っている感じも無く
(シマノホイールの)吊るしの新品よりも
振れが無い程度には追い込めたので 問題なく使えます。



追記:「ひとつの製品と末永くお付き合いいただくために。」について調べました。
DSC03752amx6.jpg
DSC03753amx6.jpg
DSC03754amx6.jpg
シマノのカタログを繰ったところ、2006年から数年間は
XTのリヤメカの分解画像に添えて 例の文言があり、
これが記憶にあったので本文中で触れました。

「ひとつの製品と」「末永く」付き合わせるつもりなら
例えば 10Sフリーボディの完組みホイールの後輪を
11S化できるようにするべきだろうが!と思うかもしれません。

DSC03755amx6.jpg
しかし、2012年のカタログでは同じ画像のキャプションが
「ネジ一本から。」となっており「末永く」というような表現は
一切 見当たらなくなりました。
現在のシマノ製品は ユーザーにひとつのものを
末永くお付き合いさせる気が無いので、
私が先ほど書いた「とんでもないウソ」という批判は
的外れもいいところです。大変失礼いたしました。
新しい製品をバンバン買い換える「養分」になれということですね。

category: のむラボ日記

tb: 0   cm: 1

コメント

承認待ちコメント

このコメントは管理者の承認待ちです

# | 
2017/01/30 21:23 | edit

コメントの投稿

Secret

トラックバック

トラックバックURL
→http://pass13.blog.fc2.com/tb.php/3207-94cb1d10
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

検索フォーム

最新記事

最新コメント

カテゴリ

月別アーカイブ

リンク

カウンター