のむラボ日記

自転車工房「のむラボ」のブログです

XR200リムの2:1スポークの後輪を組み直しました  

今日もホイー(以下略)。
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お客さんから XR200リムで組まれた後輪をお預かりしました。

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ハブはリーフハブの親戚で、左右異数16:8Hの24Hになっています。
全CX-RAYロクゼロ組みで反フリー側ラジアル組みは
ヌポーク通しという構成ですが、
乗っていて何となく進まない気がするということなので
組み換えることになりました。

ニップルは外周側からも回せる銀アルミニップルですが、
つかみ部分は3.2mmの四角ではなく 5mmの六角です。
で、フリー側が扁平スポークを抑えながらでないと
ここまで張れんだろうというくらいキンキンに張ってあります。
重量級カーボンリムならともかく アルミリムでこんなに張るのはヤバいのですが、
XR200も異常なリムでして 300g台のリムで
こんなに張れるアルミリムは ほとんどありません。
うーん、それにしても張りすぎなんですが・・・。
で、こんなに張っても「かかりが悪い」的なことを言われるんですね。

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組み換えました。

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エボライトハブ24H 黒半コンペヨンロク組みです。
結線は あとでやります。
スポークの色が組み直し前と違うのは お客さんの希望です。
ニップルもDTの黒アルミに変更しているので 外周部からは回せません。
フリー側の第2スポークテンションだけなら 組み直し前を下回っています。
それでも、組み直し後のほうが走るホイールだと言われると思いますが。


2:1組みですが、今回のように
左右異数穴の専用ハブを用意しようとしまいと
汎用のリムであれば 24Hしか実質の選択肢がありません。
左右3本のスポークが 1つのまとまりで、
それが6ペアで18Hなのが
カンパニョーロなどの80mm高以上のリムの後輪、
7ペアで21Hが カンパニョーロとフルクラムの上位モデル、
8ペアでは24Hなので リム穴の穴振りさえなければ汎用リムでも可能、
9ペアで27HはカンパニョーロのヴェントやカムシンのG3で存在していました。

このうち汎用リムで組める穴数は18Hと24Hになりますが、
18Hの後輪をスチールスポークで まともに組むのは非常に難しいので
実質の選択肢は やはり24Hのみとなります。

2:1組みの後輪の反フリー側をタンジェント組みにしてしまうと、
ハブの条件などによっては
反フリー側のほうが高テンションになりかねないので
基本はラジアル組みで組むことになります。
ということは、2:1組みであってもホイールの性質は
反フリー側ラジアル組みの後輪のそれとなるので
駆動剛性というか、かかりのいい後輪に仕立てるのは難しくなります。

2:1組みは、左右のスポークテンションが非常に近くなるのは事実ですが
応力に対する ホイールの左右の変形が同じというわけではありません。
なのでスポークテンションだけを以って
「バランスが良い」とするのは早計です。
私が2:1組みの後輪を組まないのは、首折れスポークでやると
首のとびやすさが異常に高い(経験上 間違いない)ことと、
実際に使って 走るホイールだと思えなかったこともありますが、
24Hの2:1組みだと反フリー側のスポークが
たった8本しかないという点が問題を難しくしていると考えています。

リムがハブのオーバーロックナット寸法の中央にあるとして、
24Hの普通の後輪だと フリー側のスポークは
フリー側のスポークテンションの総和を12分割、
反フリー側も同じく12分割しています。
これが2:1組みになるとフリー側が16分割で
反フリー側が8分割になりますが、
この2つの後輪を 同じ第2スポークテンションで組むとすると、
いずれにしてもフリー側のスポークテンションのほうが高くなるので
リムの許容テンションはフリー側で出すことになります。
リムのセンターが出ている限り、
反フリー側のスポークが リムの許容テンションを超えることはありません
(極端な左右異径組みを盛り込んだ場合は別です)。
16分割のほうは総和に対する1本当たりのテンションが
12分割より和らぐので 同じ総和の量を分割すると
16分割のほうが低テンション(←第2ST)となります。
リムが定めているのは一般に「スポーク本数に関係ない第2ST」なので
スポーク1本当たりの第2STを同じにすると、
16分割のほうがホイール片側の張力の総和が増えることになります。
それに対して反フリー側は8分割なのでスポーク1本あたりが
オチョコ量からは考えられないくらいキンキンに張れるわけです。
しかし反フリー側の8本スポークというのは、
スポークテンションが同じであれば16Hの左右同数組みの後輪と
性質は大差ないので スポークとびが非常に起きやすくなります。
それを避けるためと、ホイール片側の張力の総和を
より広い断面積で受けたいという理由から、
私は「2:1組みをするのであればスポーク比重を大きめに取ったほうがいい」
という結論に達しました。それでも採用はしませんが。

CX-RAYのスポーク比重は約65%ですが、
これだと断面積が小さすぎて片側8本にするのはヤバいというわけです。
スポーク比重が同じく約65%の丸バテッドスポークの
レボリューションやレーザーで2:1組みを試みた場合、
反フリー側は完全に うにょーん発生域に突っ込んでしまいます。
反フリー側が うにょーんしないテンションだと
フリー側も相当にヌルく組まなければならなくなるので、
まともな後輪として成立しません。
スポーク比重85%くらいだと
なんとか反フリー側8本に耐えられるのではないか、
いや むしろ100%(チャンピオンやCXなど)でもいいくらいだというのが
私の経験からの結論ですが、左右逆異径組みをするわけにはいかないので
2:1組みはフリー側/反フリー側で
スポーク比重85%/85%や 100%/100%になる構成にする必要があります。
スポーク比重85%の首折れエアロスポークが安定供給されないというのも
手組みの2:1組みをしない理由のひとつです。
簡潔に書きますと、全CX-RAYや全エアロライトの
2:1組みはダメということです。

過去に私は、同じスポーク量であれば本数が多いほうがいい、
空力の不利より そっちのほうが大事、ただし うにょーんが起きない範囲で、
ということを書きました。
ラジアル組みの前輪で考えるとして、
スポーク比重×本数がだいたい同じになるのは
チャンピオンの20H≒コンペティションの24H≒CX-RAYの31H
ですが、この中で選ぶならCX-RAYの31Hが良いということです。
12:12Hの半コンペのフリー側を、
スポーク本数が変わってスポーク長さも変わることを無視した
簡易的なスポーク比重×本数だけのスポーク量で比較するとすると、
コンペ12本はCX-RAY16本に相当します。
スポーク量の差を保ったまま、左右同数半コンペを
左右異数全CX-RAYに変換したと言ってもいいです。
なので、半コンペ12:12Hと 全CX-RAY16:12Hは
ホイールの重量は ほぼ同じになります。
16:8Hの反フリー側8本が 16Hの普通の後輪並みにヤバいとしても、
16:12Hの反フリー側12本は 24Hの反フリー側並みの性質なので
スポーク折れを気にする必要はありません。
スポーク数の比でいうと4:3なので
2:1よりはスポークテンションの左右差は縮みませんが、
スポークとびのリスクは かなり軽減されます。
という後輪を組もうと思うと、28Hの穴振り無しリムがあったところで
組むことはできません。
24Hの2:1組みの場合は32Hのハブを穴とばしで組めますが、
4:3組みに流用できる左右同数/均等間隔穴のハブというのはありません。
ハブ側の左右の穴それぞれを12Hと16Hで設け、
リム側の穴のほうをニップルが重ならないように位相をずらして
均等間隔でないように設ければ そういうホイールは組めますが
(32Hのフリー側と 24Hの反フリー側をくっつけた状態)、
そうなるとリムもハブも専用設計のものが必要になるので
汎用の材料では組めません。
コリマには12:8H(比は3:2)で そういうホイールがありますが。

しかもコリマの場合、反フリー側の張力を断面積で和らげることを意識しているのか、
反フリー側のほうがスポーク比重が大きい逆異径組みを採用しています。

2:1組みの反フリー側の駆動時のたわみやスポークとびを
ほぼ解決する方法があります。アルミスポークにすることです。
レーシングゼロやシャマルウルトラのスポークで、
ハブ側直下でスポーク折れが起きたという例は
疲労でポッキリも 外的なショックでも 未だに見かけたことがありません。

じゃあスチールスポークの2:1組み、
ボーラやゾンダは走らないのかというと、そんなことはありません。
カンパニョーロとフルクラムの2:1組みのホイールでは、
安易に細いスポークを採用していないからです。
ゾンダは C17以前は左右異径組みですが、それの反フリー側でも
スポーク比重65%より大きいスクエアエアロのスポークになっています。
CX-RAY相当のスポークを採用しているのは
ハイペロンやニュートロンなど左右同数スポークのモデルに限られます。
あと、G3の場合はフリー側のスポークを
ハブフランジのほぼ接線方向に引いているというのが特徴で、
フルクラムのお休み位相のリム穴のモデルも
それに近い性質になっているので
これらを 普通の2:1組みと比べてはいけません。

ここまでをまとめると、左右異数組みは
ハブやリムを専用に設計するくらいで臨まないと
なかなか まともなホイールにはならない、
スポーク比重が小さいスポークを使わないほうがいい、
ということになります。

なので シマノのオプトバルや ローヴァルの後輪は
私の見立てでは 完組みホイールながら走らないほうに属します。
乗り心地が良いというのは否定しません。
ローヴァルのリム高が高いモデルについては、
リムの硬さで かなりいい方向にごまかされているとは思います。

なので先日、WH-9000のC24のチューブラーホイール(→こちら)が
左右異径組みなのには 本当に驚いたのです。
触って分かるだけの違いがありました。

今回の組み換え前のホイールですが、
2:1組み専用ハブをそのまま使い回すとして、
全CX-RAY以外で左右同径組みするとなると
全チャンピや全コンペしかないわけですが、
おそらくどちらで組んでも かかりに関しては良くなると思います。
重量は重たくなってしまいますが。

スポーク長さを無視したスポーク量では
先ほど書いたようにCX-RAY16本と コンペ12本はほぼ同じになります。
これは今回の 組み換え前と組み換え後のフリー側のスポークと
番手と本数が合致しています。

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DSC06644amx6.jpg
となると あとは反フリー側の勝負ですね。
CX-RAY8本ラジアル組みと 12本タンジェント組み、
どちらのほうが構造体としてフリーボディの回転方向のねじれに強く
スポークとびのリスクが低いのか、という話です(上の画像)。
しかも後者は 結線もします。フヒヒ。
CX-RAY4本分だけ、組み換え後のほうが重たいことは
事実なので否定はしません。
ただ、それによって得られるものと失うものを 要素の大小で考えると
組み換え後のほうが性能的に劣っているとは考えにくいのです。

2:1組みはじめ左右異数組みはダメだ、と言っているわけではありません。
もしやるなら かなり練った構造にしない限り
左右同数組みには勝てないということです。
24Hの穴振り無しまたは右左右振りの
均等間隔穴のリムで組むくらいなら、
左右同数組みで組み方を突き詰めるほうが良いです。

ストレートスポークのハブを採用する、というのは
首とびに対してのリスクはかなり軽減されますが
ホイールの性質(駆動ねじれ剛性など)が
劇的に改善するわけではありませんので
「練った構造」には該当しません。

というわけで、のむラボホイールには
2:1組みを採用しないのでありました。

category: ホイールの話

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2017/07/12 10:53 | edit

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