のむラボ日記

自転車工房「のむラボ」のブログです

コメントのお返事(逆イタリアン組みに見えるホイールの話)  

先日、「フリー側を逆イタリアン組みするのも一理ある」というようなことを
ちらっと書きましたが、それについて「なぜ?」とコメントをいただいたので
今日はそれについて書きます。
DSC03255amx.jpg
↑画像左がちょっと前のZIPP、右がFSAのハブです。
FSAのハブは普通のフランジのハブですね。
タンジェント組みの場合、同じ1枚のフランジから
ヤマアラシさん方向のスポークと反ヤマアラシさん方向のスポークが
出ることになります。
こういう普通のハブフランジを、「同軸フランジ」と今後呼ぶことにします。

対してZIPPのハブですが、
ヤマアラシさん方向と反ヤマアラシさん方向のスポークで、
出る位置がはっきりと異なります。位置の左右差があるということです。
こういうハブを「別軸フランジ」と今後呼ぶことにします。

DSC03258amx.jpg
ちょっと脱線します。
今回の話と直接関係はないですが、ついでに。
私が横剛性を計算する根拠としているフランジ幅ですが、
厳密には「スポークの出はじめの位置」同士の幅がそれに当たります。
上の図でいうところのXmm(赤い線同士の幅)がそうですね。
普通のハブフランジはだいたい3.5mm弱くらいの厚みなのですが、
DSC03261amx.jpg
仮に反ヌポーク通しのラジアル組みの前輪があったとして、
それよりも7mmもフランジ幅が狭いフロントハブでヌポーク通ししたとすると
フランジ幅が違うのに横剛性は一緒という論法が成り立ちます。
これが私個人のホイールを ほとんどの場合ヌポーク通しで組む根拠でもありますが、
世の多くのラジアル組みが反ヌポーク通しであることから
私自身は このことを強くは主張しません。
のむラボホイールで基本的に採用していないのもそれが理由です。
しかし、「ヌポークラジアルで組んで下さい」と言われれば まず断らない内容です。

DSC03262amx.jpg
タンジェント組みの場合、ヌポークと反ヌポークを交互に繰り返している
わけですが、この場合の横剛性の計算根拠はフランジの中央ということにしています。

余談ですが、スポーク長さはフランジの外~外幅から算出しているので
計算上のスポーク長さは ヌポークの長さです。
大差はないので反ヌポークもその長さで組んでしまいますが。

脱線終わり

DSC03264amx.jpg
ペダルを踏み込んだ結果 後輪のタイヤが地面を蹴る過程で、
スポークの仕事はというとハブの前方向ねじれパワーを
リムに伝達するということです。
そのときに主に働いているのはヤマアラシさん方向のスポークです。

G3 09amx
これはカンパニョーロの動画からの抜粋ですが、
力の伝達に関してヤマアラシさん方向のスポークしか
評価していません。

DSC03265amx.jpg
で、そのヤマアラシさん方向のスポークが駆動効率の鍵を握っているのですが、
駆動効率だけに注視すれば、ヤマアラシさん方向のスポークは
ハブ中央(リムの真下)に より近い方がいいと考えられます。

DSC03266amx.jpg
それを別軸フランジのハブに適用したとすると、
上の図の赤い穴からヤマアラシさん方向のスポークを出すことになります。

20120317112922fee.jpg
↑それがこの形です。
別軸フランジで リムの真下に近いほうに
ヤマアラシさん方向のスポークを配しています。
しかしこれ、最も右側のスポークが反ヤマアラシさん方向に
なっていますね。見かたによっては逆イタリアン組みです。

DSC03272amx.jpg
実は旧ZIPPもそうなっています。
穴の加工形状がスポークの通す方向を指定しています。

rear sx 2.0 shima
これはエクストラライトのハブですが、別軸フランジながら
スポークをどちらに通してもいいようにしてあります。賢い。

DSC03273amx.jpg
旧ZIPPの場合はスポークをこう通さざるを得ません。
同軸フランジ的な見かたをすれば やはり逆イタリアン組みです。

DSC03274amx.jpg
しかし、こう見るとリムの真下に近いほうにヤマアラシさん方向のスポークを
持ってきたかったのだな、という意図を感じます。

DSC03267amx.jpg
コリマの場合はかすかに別軸フランジと言える程度の穴位置になっていますが、
DSC03268amx.jpg
ホイールはイタリアン組みと解釈できる方向(上の画像の向き)で
組んでいます。

DSC03269amx.jpg
DSC03271amx.jpg
↑普通のハブ(同軸フランジ)のイタリアン組みは こうですね。

reynolds_rzr_46t_rh_600.jpg
昔のFSA、あるいはレイノルズのRZRで3枚フランジのハブがあります。
上の画像はRZRですが、後輪で左右ラジアル組みになっています。
スポークとハブフランジがカーボンでガチガチに固めてあるので
これでもいけるのでしょう。
真ん中のフランジですが、位置をよく見るとハブ中央ですね。
リムの真下ということです。
駆動伝達担当のスポークなので、
ヤマアラシさん方向のスポークしかありません

先ほどのカンパニョーロの動画の画像と同じく、
反ヤマアラシさん方向のスポークは駆動伝達の効率において
無視されています。


以下は私の私見ですが、
ハブ中央に第三のフランジを設けるくらいまでやれば
リムの真下にヤマアラシさん方向のスポークを
持ってくるというのは納得できます。
DSC03276amx.jpg
しかし、シマノやZIPP程度の別軸フランジでは
フリー側の中央寄りの穴が劇的に中央寄りというわけではありません。
しかも 最も右のスポークが反ヤマアラシさん方向で
且つ接線に近いラインなので、
ペダリング時の前ねじれパワーで
DSC03277amx.jpg
こういう風にスポークがすっぽ抜ける応力がかかりそうという
イメージを拭いきれません。
実際にはスポークテンションがかかっているのでこういうことには
なりませんが、「なりそう」というのが嫌なのです。

RZRは反ヤマアラシさん方向のスポークが無いという
なかなか考えた設計です。

DSC03278amx.jpg
シマノでは別軸フランジのハブは逆イタリアン相当組みになっています。
これは現行のオプトバル(RIGINAL ATEN Y ROVALの略?)の
ホイールのフリー側についても同様です。

昔、7850の時代にシマノのセミナーでこの逆イタリアン組み相当について
理由を聞いたことがあるのですが、「当社ではそれがいいと思ってます」という
趣旨の答えでした。じゃあ そう思っていてください。
オプトバルにしたって どうせ2:1組みをパクるなら
ハイローフランジにすれば良かったのに。
そうすると「フルクラムのレーシングスピードを
色んなリム高で展開しているだけ」みたいになってしまいますが。

上の画像はWH-R500(同軸フランジのハブ)ですが、
これはイタリアン組みになっています。

DSC02424amx.jpg
イーストンでは、同軸フランジと同程度の別軸具合なのですが、
逆イタリアン組みと解釈できる組み方になっています。
スポークが接線方向よりもずっと立っているので、
「スポークの根元すっぽ抜け応力」に対しては ましに見えます。

イーストンでは、首折れスポークのモデル(同軸フランジハブ)も
逆イタリアン組みです。
先日のパワータップ内製ホイールといい、手組みでも逆イタリアン組みを
良しとする考え方があるようです。
これが冒頭でも触れた「逆イタリアン組みにも一理ある」ということなのですが、
私は正しいと思っていませんので後輪は(リム側ブレーキなら)
イタリアン組み一択です。
実は過去にコメントで「逆イタリアン組みのほうが駆動効率がいいのでは?」と
訊かれたこともあります。
この記事で 普通のハブを「同軸フランジ」と呼んでいますが、
それでもフランジの厚み約3.5mm分だけは別軸フランジなんですね。
逆イタリアン組みするとヤマアラシさん方向のスポークが約3.5mm
リムの真下に近づく格好になります。
そこだけに注視すれば逆イタリアン組みがいいような気もしますが、
ハードブレーキング時に起こる挙動や
ペダリング時に引っ張られるスポークがスプロケットに最も近い位置に
あってほしいなどの条件を勘案するとイタリアン組みのほうがいいと思うのです。
ストレートスポークで逆イタリアン相当で組んでいるメーカーは
実は多いのですが、小さなところを除くとシマノとイーストンだけです。
マヴィックやカンパニョーロ・フルクラムはイタリアン組み相当になっています。
(その代わり?別軸フランジというほどの設計ではないですが)

私の考えでは、たとえ一理あることを差し引いても
逆イタリアン組みは良くないというのが結論です。

DSC03255amx.jpg
↑冒頭の画像をもう一度。
別軸フランジといっても、実は同軸フランジと変わらないくらいの寸法です。

category: ホイールの話

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