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のむラボ日記

自転車工房「のむラボ」のブログです

前輪のスポーク量について  

スポーク量というのは私の定義で、
スポーク比重の%の数値×スポーク本数で表されます。
書こうと思ってたことは 過去の記事(→こちら)で だいたいすでに書いてましたが
今回は とくに前輪のスポーク量について。
DSC06938amx9.jpg
ひとつ前の記事で CXで前輪を組んでいますが、
CXのスポーク比重は100.3%、CX-RAYだと64.5%です。
計算しやすいように 普段は100%と65%とすることが多いですが、
今回も それでいきます。

DSC06942amx9.jpg
リムブレーキ用(非オフセットリム)のラジアル組みの前輪が
最も単純なので それで考えますが、
CXで20Hの前輪のスポーク量は 100×20で2000となります。
これと同じスポーク量は、CX-RAYだと30.7になるので
CXの20Hと CX-RAYの30.7Hは
重量がまったく同じ前輪ということになりますが、
現実的に近いところで概算するということで
CXの20HとCX-RAYの32Hが同じ(くらいの)重量だとしておきます。

これらの前輪、どっちが優れているのかというと
20Hのメリットは空気抵抗が少ないということになります。
デメリットは同じ首下2.0mmに対してスポーク1本当たりの負担は
20Hのほうが大きいので スポークとびのリスクが高いということが考えられます。
経験的には 20H程度では頻繁にスポークとびは起きませんし、
完組みホイールメーカーであれば ストレートスポークを採用すれば
ほとんど気にしなくてもいいくらいの要素になりますが。

私は、同じスポーク量であればスポーク本数が多いほうが有利だと考えています。
じゃあ極論して スポーク量2000なら スポーク比重10%×200本がいいのか、
そこまでいかなくとも スポーク比重50%×40本ではどうだ、と言われそうですが
現実に そんなスポーク比重のスポークがあったとしても
ホイールを組み切るまでにプツンと切れるか うにょーんを起こします。
なので「スポークが うにょーんを起こさない範囲のスポーク比重で
本数をなるべく多く」というのが結論になります。

現実的な範囲で なるべくカッチリとホイールを組む場合、
現状の材質と製法では スポーク比重65%の丸バテッドではダメ、
同じ65%の扁平バテッドならOK、ということが経験的に分かっています。
過去に何度も書いていますが 私がCX-RAYに期待しているのは
扁平形状からくる空力特性が第一義ではなく、
加工硬化からくる うにょーんの起こりにくさです。
CX-RAYのようなスポークは降伏点が高い反面 そこから破断点が近い
(うにょーんを起こしたすぐ先でバツーンと切れる)と思われるのですが、
そこに至るまでに リムやニップルのほうが先に耐えられなくなるので
実質 青天井ということになります。

で、例えば前輪を組むにあたり CX-RAYのラジアル組み一択であるとして
スポーク本数がどれくらいなら ほとんどの人に
「ヌルい」と言われずに済むかといえば、これも経験上 分かっていて20Hになります。
18Hや16Hで ヌルいと言われずに済むには
それなりのスポークの短さ(リムの高さ)が必要になります。
スポークの短さ=リムの高さとは限りません。
700Cリムだけで考えればそうですが、
700Cの80mm高リムと 24インチのローハイトリムは
スポーク長さが同じくらいになります。

コリマやロルフプリマは スポーク数を少なくしたホイールに
こだわる傾向がありますが、
これらのメーカーの650Cホイールは
700Cより少ないスポーク本数にする傾向があります。
また、スポーツ小径車のホイールでは
極端にスポーク数が少ない例も見られます。

ですが 700Cリムに限ってスポークの短さ=リムの高さ、で いいとしましょう。
CX-RAYの20Hでスポーク量1300の前輪は
リム高にかかわらず(ローハイトリムでも)
ほとんどの人にヌルいと言われないことが 経験的に分かっています。
シマノの前輪で、悪い意味で ぶっ飛んでいる要素が
ローハイトリム(C24)でも16Hにしていて
スポーク比重65%×16Hでスポーク量1040になっているという点です。
リム高が60mmくらいであれば とくに問題は無いと思いますが・・・。
スポーク量1040は CXの10Hに相当します。
UCI規定で ホイールは16H以上でなければならないというのと、
風洞実験での結果を重視し過ぎた結果です。たぶん。

シマノホイールばっかり叩くんじゃねえよ レーシング3(16H)や
キシリウムエリート(18H)も同じような本数だろうが、と言われそうですが
これらのホイールは リムが400g未満の軽量リムでは無いので
スポークテンションで横振れが蛇行する現象が観測されませんし、
今回の論旨のスポーク量に関しても
むやみに細いスポークを使ってはいません。
スポーク比重やスポーク量という のむラボ用語では把握していないでしょうが、
私と同じ概念を より高次で把握しているものと思われます。
コリマ、カンパニョーロ/フルクラム、マヴィックなどは
明らかに「猫も杓子もCX-RAY」という考えから脱したホイール作りをしており、
後輪の話になりますが レイノルズやZIPPの後輪がヌルいのも
左右CX-RAYという仕様にあるのではと思います。
私が組み直して「前より悪くなった」と言われたことが無いからな!

で、ここ2~3年 前輪に関して
考えを改めるというほどではありませんが 思い直したこととして、
スポーク量1300の前輪がヌルいと言われないからといって
それ以上のスポーク量の前輪が悪いというわけではないのでは?
ということがあります。

なので私物の前輪として CXで20Hの のむラボホイール1号や
CX-RAYで24H(スポーク量1560)の のむラボホイール4号などを
組んで使ってみましたが、乗り手の条件次第では
重量と空力のデメリットを超えたメリットを見い出せるのではと
考えるようになりました。
いや、今までの のむラボホイールのスポーク量1300の
ラジアル組みの前輪がダメってわけではないですよ念のため。
前輪をタンジェント組みにする、というのも
ラジアル組みに対してスポーク量が微増
(穴数や組み方により変動するものの
スポークの重量=長さの総延長が 約4%増)になりますが
あるいは場合によっては ラジアル組みよりこっちのほうが好き、
という人もいるかもしれません。

DSC06943amx9.jpg
↑これは試作品の のむラボホイール5号ですが、
普通の のむラボホイール5号も持っている ある選手に2ヵ月ほど貸したところ
こっちのほうが はるかに硬くて走る、と言われました。
ちなみに乗鞍で1時間切るくらいの脚はある選手です。
乗鞍で1時間切るくらいなので
体重が重いのでホイールの硬さが合った、というわけではありません。

前輪はHB-9000 24H CX-RAYヨンヨン組み、
後輪はレコードハブ 32H 半コンペヨンロク組み結線ありですが
リヤハブはCULT化、フロントハブも少しいじってます
(こちらはセラミックベアリング化ではない)。
ハブの単純な重量もエボライトハブのほうがずっと軽いですし、
スポーク本数も普段組んでいる のむラボホイールの本数より
(とくに後輪が)多くなっていますが、
重量増になる要素を なるべく高剛性化に反映されるよう振ったつもりです。
じゃあこれを量産すればいいじゃんと言われそうですが
これ、書けない部分も含めて異常にコストがかかっているので安く売れません。
前後輪で24/32Hでエボライトハブで組めば 近いものは組めると思いますが・・・。

ひとつ前の記事のCXで組んだ のむラボホイール2号のお客さんですが、
私が組んだホイールを何ペアか持っておられますが
いつも「ひたすら硬く組んでくれ」と仰るので CXで組んだ次第です。

ちょっと前に のむラボホイール1号の前輪を
タンジェント組みで組んだ お客さんからも(それだけが原因かどうかは分かりませんが)
つい先日 硬さの感触がいいと言われましたが、
タンジェント組みは クラシカルな見た目が
最近のロードバイクに合わないと思われているようで
選択肢として提示するのが やや憚られます。
それに先ほど書きましたが、そもそもスポーク量1300のラジアル組みで
とくに不満が無いという人が大半です。
ディスクブレーキの普及で タンジェント組みの前輪を
ロードバイクに取り付けるということに対する抵抗感は減ってくるかもしれません。

DSC06945amx9.jpg
↑これも私が使わない私物で、
のむラボホイール5号のエボライトハブ24H CX-RAYヨンヨン組みの前輪です。

以上、スポーク量が どうこう言ってますが
スポーク比重をあえて増やすか タンジェント組みにするか
スポーク本数を増やした前輪もいいですよ、という話でした。

サピムのCXですが、スポーク比重100%の扁平スポークで
唯一 安定供給がされているスポーク(少なくとも当店の範囲では)なのですが、
日本の問屋さんの在庫が銀のみで最長長さが278mm、
これは のむラボホイールでいうと1号が組めて5号が組めない長さになります。
黒は在庫限りということで ごくわずか在庫はありますが、
有用な長さが全滅しています。
なので のむラボホイール5号の前輪でスポーク量を増やす場合
本数と組み方のほうで やるしかありません。

CXに関しては 近い将来、16Hの前輪を組むのに助けてもらうことになる予定です。

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2018/09/28 10:50 | edit

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