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のむラボ日記

自転車工房「のむラボ」のブログです

チドリの話  

今日はカンチブレーキのチドリについて書かなければならない
気がしたので、その話を。
DSC09703amx.jpg
今日の主役は・・・
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↑こいつだ!

DSC09706amx.jpg
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ブレーキワイヤーを引いたとき(上の図のA)、
ブレーキシューがリムをはさむ(上の図のB)わけですが、
チドリの位置によってAの仕事の Bへの伝わり具合が変わります。

DSC09707amx.jpg
こう書くとイメージしやすいでしょうか。
チドリワイヤーの角度が水平に近づくほど、
ブレーキワイヤーを引いた仕事量の損失が大きくなるということです。

DSC09716amx.jpg
じゃあチドリの位置が高いほどいいのかというと
そういうわけではなくて、ブレーキアーチがシューをリムに当てる
ストロークの際に、チドリワイヤーのタイコから伸びる
仕事の伝達効率が最も良い方向(上の図の赤い矢印)に
沿うようにチドリワイヤーを配するのが正解になります。

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↑これは低すぎです。

DSC09699amx.jpg
↑これくらいが適切でしょうか。
チドリから出るチドリワイヤーの角度が
おおむね90°に近いくらいがいいです。

直角よりも多少狭角な分には特に違和感はないですが、
直角よりも少しでも鈍角になると、ブレーキレバーを引いた感触が
著しく悪くなります。
フレームの都合などによって この直角が出しにくい(出せない)
ことも多いです。後述します。

DSC09717amx.jpg
私はヨシガイの「1242」というチドリをよく使います。
チドリワイヤーにライナーを被覆して、1242との摩擦を減らします。
こうすると、ブレーキのばねの強さが左右均等でさえあれば
チドリワイヤーがセンターに自動的に補正されるような感じになります。

DSC09718amx.jpg
1242は ある意味チドリの結論の一つでは?と思うのですが・・・

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ちょっと違う種類のチドリで、チドリワイヤーをいもねじで
固定するタイプのものがあります。このタイプは
DSC09721amx.jpg
↑ワイヤーにこういう癖がつくので、私はあまり好きではありません。

DSC09723amx.jpg
ブレーキシューが減ってきて、チドリワイヤーを少し引いて
固定しなおす場合のことを考えてみます。
1242タイプのチドリなら、チドリとチドリワイヤーが滑ることで
チドリワイヤー全体のセンターが出し直されます。

DSC09724amx.jpg
いもねじタイプのチドリでは、
チドリ部分でチドリワイヤーを固定しているので
ブレーキ側でチドリワイヤーを引いて調整すると、
左右で長さが変わります。
その差を調整しようと いもねじを緩めても、
チドリワイヤーに癖がついていたり
撚りが いもねじでグズグズにつぶれてしまっていることも多く、
チドリワイヤーの寿命自体も長くありません。

しかし いもねじタイプにも良い点があります。
チドリ上でのチドリワイヤーの横滑りがないので、
ブレーキを握った感じがソリッドになるという人もいます。

ここは好みの問題ですが、いずれのタイプにしても
チドリの高さ決めに関して自由度が高いのは一緒です。

DSC09725amx.jpg
ここまでカンチブレーキの図をこのように書いていましたが、
これはいわゆるマファックタイプのブレーキになります。
半世紀以上 基本設計が変わっていない非常に完成されたデザインなのですが、
上の図で 幅が広いとあるようにブレーキアーチの横への張り出しが大きく、
スローピングフレームや小さいサイズのフレームだと
ペダリングと干渉することもあるということで、
現在ではもう一つのタイプのカンチブレーキがあります。




寄り道
DSC09728amx.jpg
MAFACというのはフランスのブレーキのメーカーです。
(上のイラストはセンタープルブレーキ)
MAFACは人名などの固有名詞ではなく、アクロニムです。

Manufacture
Arvernoise de
Freins et
Accessoires pour
Cycles
で、「工業生産による自転車のブレーキおよびアクセサリー」という意味です。

DSC09731amx.jpg
で、これがカンチブレーキです。
私のTRPのカンチブレーキとほとんど同じデザインです。

自転車の世界には生まれついた時から
ほぼ完成されているものがいくつかあります。
例えばカンパニョーロのクイックリリースレバーがそうです。
このカンチブレーキもそうですね。
ブレーキレバーやクランクセットなどは改良、改悪などを経て
未だに結論と呼べる形状や構造がないですが、
一方で半世紀以上ほとんど同じ形で通用しているということは
本当にすごいことです。

前述の1242のチドリも、要は「現在でも安定供給されている
マファック型のチドリ」ということです。



DSC09726amx.jpg
寄り道から帰ってきました。
もう一つが、ロープロファイルなデザインのカンチブレーキです。
ブレーキアーチの横への張り出しが少ないのが特徴です。
このタイプで私の中での最高傑作はダイアコンペのDC986と
サンツアー・XCプロの2つです。
(DC987はアーチが立ちすぎててミニVブレーキみたいなので×)

DSC09727amx.jpg
↑並べるとこんな感じ。
以下、上のタイプをマファックタイプ、下のタイプをロープロタイプと
呼ぶことにします。

ロープロタイプはチドリワイヤーのタイコとワイヤー固定位置が
マファックタイプよりも狭く高い位置にあるので
チドリワイヤーが短くなります。

DSC09733amx.jpg
シマノに、ユニットリンクという偉大な発明があります。
チドリにタイコ側チドリワイヤーと、
それに対になる長さのアウターが付いた物です。

DSC09734amx.jpg
ブレーキワイヤーをこう通して・・・
DSC09735amx.jpg
こうすると、
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誰がセッティングしてもチドリワイヤーの織り成す角度が
おおむね直角近くになるというスグレモノです。
チドリ高さの設定ができない反面 おかしなセッティングになることもなく、
チドリ部分でブレーキワイヤーやチドリワイヤーをつぶすこともないのが特徴です。

DSC09738amx.jpg
また、ダイヤコンペに「1281-F」というフォークの穴に付ける
アウター受けがありますが、
DSC09740amx.jpg
ロープロタイプのブレーキのチドリの高さと非常に相性が良いです。

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マファックタイプのブレーキだと、1281-Fの上部分と
チドリの最適高さが かぶるので、この組み合わせはあまり向いていません。

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後ろブレーキ特有の事情について。
スローピングフレームで かつスモールサイズになると、
アウター受けとチドリの間隔が 非常に狭くなる場合が多々あります。
具体的にいうと、ジェイミスのシクロクロス・クロスバイクの
スモールサイズはだいたいそうです。
上の図ではシートクランプにアウター受けが付いている物を描いていますが、
そうでなくても苦しい場合が多いです。

DSC09745amx.jpg
ユニットリンクには数種類の長さがあります。
マファックタイプに使えるような長いものはありませんが、
ロープロタイプのカンチブレーキを買ったとき
ユニットリンク(ユニットリンクもどきを含む)が2つ同梱されている場合
1つは もう1つに対してタイコワイヤーとアウターの長さが
違っているはずです。
長い方がフロント用です。

アウター受けとブレーキ台座が近いフレームに
リヤブレーキを取り付けると、ユニットリンクが
弓なりにみょーんと広がり、ブレーキワイヤーを引いた仕事が
チドリワイヤーをまっすぐにするために まず使われるため、
ブレーキを引いた感触と 実際の効きが非常に悪くなってしまいます。
これを「みょーん状態」と呼ぶことにします。
上の図がそうです。
みょーん状態を解消するためにブレーキワイヤーを引いて調整すると、
ブレーキレバーを握ったときに ユニットリンクのチドリ部分が
アウター受けに当たるという問題が起こりえます(後述します)。

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こういう時は 普通のチドリを使った方が良い場合が多いです。
ユニットリンクでもチドリでも チドリワイヤーの角度が直角よりも
鈍角になってしまうことは避けられませんが、
DSC09747amx.jpg
チドリの場合はみょーん状態になってしまうことは避けられます。

DSC09749amx.jpg
先ほど書きかけた、アウター受けにチドリが当たる問題について。
チドリをなるべく上にセッティングしたいのは やまやまですが、
あまり高い位置に付けると ブレーキレバーを握って
チドリが引き上げられた時、チドリがアウター受けにごっつんこしてしまいます。
こうなると ブレーキシューはそれ以上リムに近づきませんから、
ブレーキがかからず大変危険です。

DSC09754amx.jpg
そこで、ブレーキワイヤーをレバーに通して
レバーをハンドルいっぱいまで引いた位置で
DSC09755amx.jpg
ぎりぎり ごっつんこしない高さにチドリを固定します。

DSC09756amx.jpg
それからレバーを放すと
DSC09757amx.jpg
チドリの位置が レバーの最大ワイヤー引き長さの分だけ下がります。
ここがチドリの 設定してよい最大の高さになります。
ごっつんこを避けつつ チドリをなるべく上に付けるには、
出来るだけ上下に薄いチドリにすると さらに有効です。

DSC09758amx.jpg
つづいて前ブレーキ特有の事情について。
インテグラルヘッドのフレームでは
トールキャップにアウター受けを付けたものが多いです。
一体型のものだけではなく別体型の場合もあります。

DSC09760amx.jpg
どちらにしてもステムの下に いくらかの高さのものを
挟まなければならないのですが、これのせいでハンドルの高さを
下げることができなくなっています。

DSC09762amx.jpg
1281-Fを使えば ヘッドスペーサー型アウター受けを外す
ことも可能ですが、これはマファックタイプのブレーキと
相性が悪いのは前述したとおりです。
(チドリの位置を下げるとチドリワイヤーの角度がより鈍角になる)

ロードバイクのレバー比にあわせたVブレーキを使うというのも手ですが、
泥はけ性能や見た目を考えた上で「シクロはやっぱカンチやろ」という声も
あるので、ここは悩みどころです。


悪い例(私の場合)
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ステムに穴をあけてアウター受けを設けるという工作です。
もちろん自己責任です。詳しくは書きませんが
穴をあける前より もしろ強度が強くなる加工をしていますので、
壊れないであろうということに自信はありますが、
それでも自分のバイク以外には出来ません。



おまけ
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シマノに昔「500」というコンポがありました。
(その上の600は 600→600アルテグラ→アルテグラと
変わっていったので、アルテグラの源流です)

その500のブレーキがセンタープルブレーキなのですが、
センタープルブレーキも 普通はチドリを必要とするブレーキです。
詳しくはさっきのマファックのイラストをどうぞ。

DSC09766amx.jpg
ところがこのブレーキは、ユニットリンクの原型ともいえる
ロッドのような部分に ブレーキワイヤーを引っ掛けて通す構造になっています。

DSC09767amx.jpg
裏から見るとこんな感じ。
ロッドの根元にあるのは、ブレーキ幅解放用のクイックレバーです。
賢い!良くできてます。

category: その他 機材の話

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2014/03/13 23:34 | edit

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