ENVEのリム幅とタイヤ幅との関係について 
2021/05/14 Fri. 02:31 [edit]
いま、ENVEの一世代前のMTB用リムの
M50で前後輪を組んでいる最中ですが、
これに関して調べたことについて。

まず、ENVEには フックドリムとフックレスリムがあります。
このうちフックドリムの内幅について、
ENVEは(というか一般的にも そうですが)
ビードフックが内側に曲がった先端間の幅になります。
リムテープを張る(貼る)部分の幅ではありません。
なので、極端な例外を除けば 外幅が同じリムであった場合、
フックドリムのほうが 数値的には小さい内幅になります。
M50リム(内部的な品番は29A)は、
リム高/内幅/外幅の実測値が
28.7/20.9/27.3(mm)であるところ 公称値は
28/21/27(mm)となっていますが、
全てのリムの実測データがあるわけではないので
以下 ENVEのリムの寸法については
全て公称値のほうで書き出します。
また、白板ではフックドリムの内幅は青字、
フックレスリムの内幅は赤字で書きます。

現行のロード用のSESシリーズの非チューブラーリムのうち、
2.2と3.4と7.8の内幅を書き出しました。
フックドリムなので青字です。
先に これらを抜き出したのは
これらは設計上 新しいモデルで、
少し前のSESは同じセットの前後リムで
リム幅を変えるという凝った仕様になっていました。
ストレッチバンドタイプのリムテープが付属している場合、
その幅も1mmだけ変えるという こだわりようでした。

で、現状 前後でリム幅を変えている
4.5と5.6の内幅も書き出しました。
これらのリム、内幅が最大で4mmも違うわけですが
ENVEの提唱するところの
「空力的に最も最適なタイヤ幅」というのが

なんと 全て25Cとなっています。
リムの内幅に合わせて 細かく変えてはいません。

2.2を3.4を比較すると、内幅は 2.5mmも違いますが
外幅は わずか0.5mm違いです。
2.2はビードフックの部分が分厚いということです。
なので タイヤを装着したときの外形は
内幅の違いほどには現れない、という可能性はありますが。

ディスクロード用のフックレスリム仕様の
SES ARシリーズの内幅です。
フックレスリムなので数値的に大きくなるというのもありますが
内幅は どちらも25mmです。
この内幅に対するタイヤ幅についての記述ですが、
メーカーの本国サイトでは取り付け可能タイヤサイズが27~31C、
日本の問屋さんのサイトでは
空力的に最適な幅は28Cとあります。

つづいて、現行のMTB用リムについて。
私の勝手な分類ですが この記事中では第3世代としておきます。
Mのあとの数字が1桁ですが、
モデルによっては同じ数字に対して複数のリム幅があるので
M+モデル数字のあとに リム幅(mm)の2桁の数字を 足した
3桁で表記する場合もあるので
それに倣って 全て書き出すと

こうなります。
ひとつ前の画像にあった ファットリムのM6FATは
この画像ではM685となります。
M6リムの内幅85mmモデルという意味です。

それぞれのリムの推奨タイヤサイズを書き出しました。
上の表、M635の2.8~2.8とあるのは誤りです。
正しくは2.5~2.8です。
SES(スマートエンヴィシステム)では
スマート氏による タイヤ装着時の空力特性を基にした
設計がなされていますが、MTBのリムは そういうのはありません。
ここで注目したいのは、リムの内幅が同じであれば
推奨タイヤサイズも同じだということです。
また、M525リムについては 2.1~2.4インチというのを
ミリ換算すると53~61mmくらいになりますが、
内幅25mmのフックレスリムといえば
先ほどのSES3.4ARやSES4.5ARと同じなわけで、
これらでは取り付け可能タイヤサイズが27~31Cとなっていました。
あれ?今さっき書いた「リム幅が同じなら推奨タイヤサイズが同じ」
というのと矛盾してねえか?
もしかしたら、フックレスフランクの高さなどの設計が違っていて
ロードとMTBでは同じリム内幅に対応する
タイヤサイズが違うということがあるのかもしれません。
また、ロード用のリムは 限界空気圧がMTB用リムより
高くなるように明確に強度を変えている可能性はあります
(リム高の違いを勘案しても ロード用のリムのほうが重い傾向がある)。

つづいてMTBリムの第2世代です。
これらはMのあとに2桁の数字が付き、
数字が大きくなるほど 想定しているカテゴリーが
XC寄りからDH寄りになるのは第3世代も同じですが
末尾にHV(ヘビー)が付くと強度重視の仕様ということで
リム幅が広くなり 重量も重たくなっています。

リムの内幅を書き出しました。
推奨タイヤサイズについては
本国サイトのアーカイブには記載が無かったのですが、
最も細いM50でも 2インチ前後のタイヤの取り付けは可能なはずです。
MTB用のリムなので。
第3世代のリムと比べると、M90とM525の内幅が同じという
とんでもないことになっています。

↑これはSES4.5ARですが、平面的なハンプを設けてあります。
これについては第3世代のMTBリムも同様です。


これが第2世代のM50リムでは、
タイヤのビード逃がしの凹みはあるものの
ハンプは ありません。
また、フランク(flank/側面)の高さは かなり高めです。
フランクが低いリムについては(→こちら)

最後に、ENVEの第1世代のMTBリムについて。
クロスカントリー用のXC、オールマウンテン用のAM、
ダウンヒル用のDHという シンプルなモデル名での
3モデル展開で

リム内幅は こうなっています。
ちなみに いずれもフックドリムです。
これらのリムが出ていた期間は
XCが2008~2014年、AMとDHが2008年~2013年で、
XCとAMのみ2012年モデル以降は
チューブレス対応リムになりました。
さらに、XCには なんとチューブラーリム仕様もあり
タイヤはTUFOやチャレンジから出ていました。
ここまでで何が言いたいのかというと、
ENVEが あるリムに対して適応タイヤ幅を決める根拠は
リム内幅というよりは むしろリムに想定させている
役割によってではないのか、ということです。
これを見る限り 10年ちょっと前のDHリムの幅が
現行モデルのXCリムやディスクロードリムの幅になってますので
(XCとディスクロードが同じ幅というのも おかしいのですが)。

これがDTの(少なくともアルミの)リムでは、
内幅によってのみ 適応タイヤサイズと限界空気圧が定まっています。
上の画像はXR331リムですが、
名目上 MTBのリムだから 細いタイヤが付かないとか
高圧に耐えられないとかいうことはありません。
このリムはロード用のRR411シリーズより
リム幅が内外とも ほんのわずかに広いくらいで、
最近の28Cタイヤの取り付けを想定しているような
ロードのリムより むしろ幅が狭いくらいです。
適応サイズの下限の25Cタイヤを取り付けるとして
チューブドであれば 上の表にもあるように8.5気圧まで、

こちらはチューブレスのときの表ですが
7気圧までOKとなっています。
これらの指示については
もちろん メーカーの言う通りにはするのですが、
同じメーカーかつ同世代の
平面ハンプありのフックレス内幅25mmリムで
SES ARシリーズだと27~31C、
第3世代のMTBリムだと53~61Cに適応、
というのは ちょっとおかしい気はします。
あと最近のロードバイクのクリンチャータイヤ、
適切なタイヤサイズとやらで ちょっと引っ張りタイヤ気味の
外形であることが多いですが(とくに28C)、
新ETRTOだと そういう傾向になるというのも知ったうえで
なお 直感に反する感じ
(本当にナローリム+23Cタイヤより走るんかい的な)
があります。
太いタイヤが(リムとのトータル設計を含めて)
空力的に優利だというなら、ロードバイクよりも
競技中の速度域が高く 空力の要素がはるかに大きく
ホイールの外周部がある程度重たいほうが むしろありがたいはずの
1000mTT(ゼロ発進で1分間の平均速度が60km強)や
アワーレコード(1時間の平均速度が50km強)での世界記録が
28C幅くらいのタイヤ(転がり抵抗も、軽いんやろ?)で
そろそろ達成されてもいい気がするのですが。
M50で前後輪を組んでいる最中ですが、
これに関して調べたことについて。

まず、ENVEには フックドリムとフックレスリムがあります。
このうちフックドリムの内幅について、
ENVEは(というか一般的にも そうですが)
ビードフックが内側に曲がった先端間の幅になります。
リムテープを張る(貼る)部分の幅ではありません。
なので、極端な例外を除けば 外幅が同じリムであった場合、
フックドリムのほうが 数値的には小さい内幅になります。
M50リム(内部的な品番は29A)は、
リム高/内幅/外幅の実測値が
28.7/20.9/27.3(mm)であるところ 公称値は
28/21/27(mm)となっていますが、
全てのリムの実測データがあるわけではないので
以下 ENVEのリムの寸法については
全て公称値のほうで書き出します。
また、白板ではフックドリムの内幅は青字、
フックレスリムの内幅は赤字で書きます。

現行のロード用のSESシリーズの非チューブラーリムのうち、
2.2と3.4と7.8の内幅を書き出しました。
フックドリムなので青字です。
先に これらを抜き出したのは
これらは設計上 新しいモデルで、
少し前のSESは同じセットの前後リムで
リム幅を変えるという凝った仕様になっていました。
ストレッチバンドタイプのリムテープが付属している場合、
その幅も1mmだけ変えるという こだわりようでした。

で、現状 前後でリム幅を変えている
4.5と5.6の内幅も書き出しました。
これらのリム、内幅が最大で4mmも違うわけですが
ENVEの提唱するところの
「空力的に最も最適なタイヤ幅」というのが

なんと 全て25Cとなっています。
リムの内幅に合わせて 細かく変えてはいません。

2.2を3.4を比較すると、内幅は 2.5mmも違いますが
外幅は わずか0.5mm違いです。
2.2はビードフックの部分が分厚いということです。
なので タイヤを装着したときの外形は
内幅の違いほどには現れない、という可能性はありますが。

ディスクロード用のフックレスリム仕様の
SES ARシリーズの内幅です。
フックレスリムなので数値的に大きくなるというのもありますが
内幅は どちらも25mmです。
この内幅に対するタイヤ幅についての記述ですが、
メーカーの本国サイトでは取り付け可能タイヤサイズが27~31C、
日本の問屋さんのサイトでは
空力的に最適な幅は28Cとあります。

つづいて、現行のMTB用リムについて。
私の勝手な分類ですが この記事中では第3世代としておきます。
Mのあとの数字が1桁ですが、
モデルによっては同じ数字に対して複数のリム幅があるので
M+モデル数字のあとに リム幅(mm)の2桁の数字を 足した
3桁で表記する場合もあるので
それに倣って 全て書き出すと

こうなります。
ひとつ前の画像にあった ファットリムのM6FATは
この画像ではM685となります。
M6リムの内幅85mmモデルという意味です。

それぞれのリムの推奨タイヤサイズを書き出しました。
上の表、M635の2.8~2.8とあるのは誤りです。
正しくは2.5~2.8です。
SES(スマートエンヴィシステム)では
スマート氏による タイヤ装着時の空力特性を基にした
設計がなされていますが、MTBのリムは そういうのはありません。
ここで注目したいのは、リムの内幅が同じであれば
推奨タイヤサイズも同じだということです。
また、M525リムについては 2.1~2.4インチというのを
ミリ換算すると53~61mmくらいになりますが、
内幅25mmのフックレスリムといえば
先ほどのSES3.4ARやSES4.5ARと同じなわけで、
これらでは取り付け可能タイヤサイズが27~31Cとなっていました。
あれ?今さっき書いた「リム幅が同じなら推奨タイヤサイズが同じ」
というのと矛盾してねえか?
もしかしたら、フックレスフランクの高さなどの設計が違っていて
ロードとMTBでは同じリム内幅に対応する
タイヤサイズが違うということがあるのかもしれません。
また、ロード用のリムは 限界空気圧がMTB用リムより
高くなるように明確に強度を変えている可能性はあります
(リム高の違いを勘案しても ロード用のリムのほうが重い傾向がある)。

つづいてMTBリムの第2世代です。
これらはMのあとに2桁の数字が付き、
数字が大きくなるほど 想定しているカテゴリーが
XC寄りからDH寄りになるのは第3世代も同じですが
末尾にHV(ヘビー)が付くと強度重視の仕様ということで
リム幅が広くなり 重量も重たくなっています。

リムの内幅を書き出しました。
推奨タイヤサイズについては
本国サイトのアーカイブには記載が無かったのですが、
最も細いM50でも 2インチ前後のタイヤの取り付けは可能なはずです。
MTB用のリムなので。
第3世代のリムと比べると、M90とM525の内幅が同じという
とんでもないことになっています。

↑これはSES4.5ARですが、平面的なハンプを設けてあります。
これについては第3世代のMTBリムも同様です。


これが第2世代のM50リムでは、
タイヤのビード逃がしの凹みはあるものの
ハンプは ありません。
また、フランク(flank/側面)の高さは かなり高めです。
フランクが低いリムについては(→こちら)

最後に、ENVEの第1世代のMTBリムについて。
クロスカントリー用のXC、オールマウンテン用のAM、
ダウンヒル用のDHという シンプルなモデル名での
3モデル展開で

リム内幅は こうなっています。
ちなみに いずれもフックドリムです。
これらのリムが出ていた期間は
XCが2008~2014年、AMとDHが2008年~2013年で、
XCとAMのみ2012年モデル以降は
チューブレス対応リムになりました。
さらに、XCには なんとチューブラーリム仕様もあり
タイヤはTUFOやチャレンジから出ていました。
ここまでで何が言いたいのかというと、
ENVEが あるリムに対して適応タイヤ幅を決める根拠は
リム内幅というよりは むしろリムに想定させている
役割によってではないのか、ということです。
これを見る限り 10年ちょっと前のDHリムの幅が
現行モデルのXCリムやディスクロードリムの幅になってますので
(XCとディスクロードが同じ幅というのも おかしいのですが)。

これがDTの(少なくともアルミの)リムでは、
内幅によってのみ 適応タイヤサイズと限界空気圧が定まっています。
上の画像はXR331リムですが、
名目上 MTBのリムだから 細いタイヤが付かないとか
高圧に耐えられないとかいうことはありません。
このリムはロード用のRR411シリーズより
リム幅が内外とも ほんのわずかに広いくらいで、
最近の28Cタイヤの取り付けを想定しているような
ロードのリムより むしろ幅が狭いくらいです。
適応サイズの下限の25Cタイヤを取り付けるとして
チューブドであれば 上の表にもあるように8.5気圧まで、

こちらはチューブレスのときの表ですが
7気圧までOKとなっています。
これらの指示については
もちろん メーカーの言う通りにはするのですが、
同じメーカーかつ同世代の
平面ハンプありのフックレス内幅25mmリムで
SES ARシリーズだと27~31C、
第3世代のMTBリムだと53~61Cに適応、
というのは ちょっとおかしい気はします。
あと最近のロードバイクのクリンチャータイヤ、
適切なタイヤサイズとやらで ちょっと引っ張りタイヤ気味の
外形であることが多いですが(とくに28C)、
新ETRTOだと そういう傾向になるというのも知ったうえで
なお 直感に反する感じ
(本当にナローリム+23Cタイヤより走るんかい的な)
があります。
太いタイヤが(リムとのトータル設計を含めて)
空力的に優利だというなら、ロードバイクよりも
競技中の速度域が高く 空力の要素がはるかに大きく
ホイールの外周部がある程度重たいほうが むしろありがたいはずの
1000mTT(ゼロ発進で1分間の平均速度が60km強)や
アワーレコード(1時間の平均速度が50km強)での世界記録が
28C幅くらいのタイヤ(転がり抵抗も、軽いんやろ?)で
そろそろ達成されてもいい気がするのですが。
category: ホイールの話
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