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のむラボ日記

自転車工房「のむラボ」のブログです

SESの42ACリムの後輪を組み直しました  

今日もホイー(以下略)。
DSC02928amx14.jpg
お客さんから スマートエンヴィシステムの
42ACリムで組まれた後輪をお預かりしました。
少し前のSES3.4に採用されていたリムで、これはクリンチャー仕様です。
記事にはしていませんが このホイールを
以前に 相方の前輪ともども点検しました。
スポークテンションが異常にゆるく、
ホイールとして成立する下限すら割ってるんじゃないかというくらいで、
縦振れもひどく センターもずれていました。
組みかけのホイールじゃないかと疑ったほどです。
お客さんからの情報で、これは自分がセカンドオーナーで
組んだショップも一応 判明しているとのことでした。
つまり、ショップで組まれていて
対価としてお金をもらったという意味では
プロの仕事というわけです。
私の印象では 初めてホイールを組んだかと思ったくらいなのですが。

このホイール、リムとハブが高価なので
ちゃんと組めているとか 走る走らないとは関係なく
30万円以上するはずですが、高価なことと性能には
(とくに手組みホイールでは)因果関係が無く、
もしかしたらファーストオーナーとしては
「ENVEのリムのホイール、全然 走らんやんけ!」
という早合点をされたかもしれません。
おかしいのは リムとかハブじゃなく組み手やぞ。

DSC02930amx14.jpg
クリスキング R45ハブ 24H
全黒CX-RAY逆イタリアンヨンヨン組みです。
スポークと組み方を見れば メーカー内製のようにも思われそうですが、
仮に あるショップで組まれたという 確たるソースが無くとも
メーカー内製で無いのは明らかです。
ENVEの吊るしのホイールは センターずれが散見されるのは確かですが、
これの縦振れとセンターずれと低テンションの初期状態は
そんなレベルではありませんでした。

どうせ戻ってくるだろうという確信はあったものの、
一応 この条件下で張って メーカーの吊るし程度のテンションと
追い込める限りの精度で調整しました。
それで しばらく使ってみてほしいと お客さんには言いましたが、
このホイール以前に使っていた
フルクラムのレーシングライトXLRより横剛性が低いことと、
また シュータッチする場合 ブレーキゾーンがヤスリ仕上げなので
キュッキュッと鳴るのが 気になるはずだと言ったところ
どちらも当たっていました。

メーカー内製ホイールであれば、リムの外周部に 消せない形で
組み手の名前のラベルが埋め込まれていることもありますが
この年代のリムでは やっていなかったはずです。
それとは別に、メーカー内製では ありえない根拠が

DSC02931amx14.jpg
↑これです。
当初は リムの穴振りを逆リム扱いで組んでいるものだと思っていました。
事実 ここだけ見れば そうなっています。
このリムは 内周側の穴も外周側の穴も穴振りがないので
逆リム扱いで組んでも かまいませんが、
とくに そうする理由もありません。

DSC02934amx14.jpg
このホイールは、逆リム扱いではなく
左右の最終交差の計4本の束の中に
バルブ穴があるという不細工な組み方をしています。
最初にスポークを通すときに ひとつずれているわけです。
お客さんが結局 増し締め(実質的にはホイール組み)で
満足せずに 組み直しを希望されたのは、
この見た目の不細工さが大きいと思われます。

DSC02935amx14.jpg
一切 ニップルをゆるめていない
左右の最終交差の4本を残しました。
いつもであれば「バルブ穴から時計周りに(または反時計回りに)
ゆるめていって 最後に残した4本です」と書いて
間違いは無いですが、

DSC02936amx14.jpg
DSC02937amx14.jpg
↑今回は こうなります。

DSC02938amx14.jpg
一切 ゆるめていない内蔵ニップルを
リムの外に出しました。

DSC02942amx14.jpg
↑反フリー側
DSC02943amx14.jpg
↑フリー側
DSC02944amx14.jpg
↑反フリー側(スポークの端面が斜めになっています)
DSC02945amx14.jpg
↑フリー側
私が増し締めしたのも あるのですが
(最大で2周ほど。一応 組み上がったとされるホイールのニップルが
そこから2周も増し締めできるわけねーだろと思われるでしょうが
初期状態は組みかけのホイールと言ってもいいくらいの
低テンションでした)、
スポークは左右とも長めで とくにフリー側が長すぎです。

前輪は、スポークがやや長めでしたが
黒CX-RAYラジアル組みの正リム扱いで組まれていたので
点検だけにしました。

DSC02946amx14.jpg
↑先ほどの3番目の画像、スポークの端面が斜めだった
黒CX-RAYです。
黒スポークで ねじ山部分も黒、
スポークの端の面も黒になっています。

DSC02948amx14.jpg
これは ある同じ長さの黒CX-RAYですが、
製造時期が違うので スポークのねじ山に
黒が乗っているものと そうでないものがあります。
CX-RAYのメーカーでの販売単位は1袋20本入りですが、
同じ袋で この仕様が混同することはありません。
しかし、それによる年代の特定は できません。
ねじ山が 銀から黒に切り替わったと思ったら
また銀色になったりを繰り返しているからです。

DSC02949amx14.jpg
同じ長さであれば、年代が違っていても
バテッド始まりまでの長さは同じです。
このあたり、星スポークはテキトーなのですが。

DSC02950amx14.jpg
全ての部分が黒いスポークは、端の丸い面も黒です。
このことによって、ねじ山の最後まで黒いのに
端の丸い面が銀色であるスポークは
長さをカットしたと断定できます。
なので 先ほどの斜めカットのスポークは、
メーカーの出荷状態そのままということになります。
一応 反例を挙げておきますが、
切ったスポークの端を わざわざ黒く塗るという奴はいないでしょう。

ギリシア神話のアキレウスは、赤ん坊のころに
母 テティスに 冥府の川「ステュクス」に浸されたので
ほぼ全身が不死となったものの、
その際に つかんだ かかとだけは 不死となりませんでした。
これがアキレス腱の名前の由来でもあります。
なので 仮にCX-RAYの黒い部分が
ステュクスに漬け込んだ結果であったなら、
端の部分が銀色のCX-RAYは
その部分が不死ではないということになります。

DSC02951amx14.jpg
組めました。

DSC02952amx14.jpg
24H 黒半コンペヨンロクイタリアン組みです。
結線は あとでやります。

DSC02954amx14.jpg
クリスキングのリヤハブ胴の表記ですが、
先日も書いたように一見 同じに見えて
片側がアメリカでの特許の番号、
もう片側が(おそらく)シリアルナンバーになっています。
今までだと 1/2の確率で そうでない組み方をしているはずですが、
今後は この特許番号の側を
バルブ穴から覗いたときに見える位相とすることにします。

DSC02956amx14.jpg
↑これは別のR45ハブ、
DSC02955amx14.jpg
↑これは私物のISOハブですが
特許は フリーボディの構造に関することなので
どちらも同じ番号となっています。
いずれのハブも ハブ胴 反対側の数字は違っていたので、
そちらはシリアルナンバーのようです。

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