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のむラボ日記

自転車工房「のむラボ」のブログです

ラピーデCLXさん  

お客さんから ラピーデCLXの前後輪をお預かりしました。
DSC07637amx14.jpg
アルピニストCLXのラベルが貼ってある箱に入っていましたが
この画像の時点で アルピニストではないことが断言できます。

DSC07638amx14.jpg
アルピニストCLXの前後リムと ラピーデCLXのリヤリムは
ビードフックの厚みが普通(に薄い)ですが、

DSC07639amx14.jpg
ラピーデCLXのフロントリムは(ロヴァ―ルいわく
タイヤサイドから続くリム形状が空力的に有利になるのが
リム重量そのものより大要素だと思っているので)
ビードフックの横幅が非常に厚くなっています。

DSC07641amx14.jpg
DSC07642amx14.jpg
前輪は51mm高リム、後輪は60mm高リムとなっています。

DSC07640amx14.jpg
ぱっと見 新品に見えるほどきれいですが、
スプロケットを取り付けて使った跡があります。

このホイール、前後輪とも5mmほどの横振れがあるので
直してほしいとのことですが、
5mmというのは ホイールの精度としては ものすごく大きな数値です。
実際のところは そんなに振れていないのに5mmと言ってるだけでは、
と思ったら本当に 前後輪とも5mmくらい振れていました。

DSC07686amx14.jpg
あと、ロヴァ―ルは ホイール組みのインスペクションシートを
付属させていますが、それによれば
今回の前輪のセンターずれは0.30mm、
後輪のセンターずれは0.08mmとなっています。
上の画像は後輪のものです。
100分の1mm単位まで検知する方法があるなら
もっと追い込めばいいのにと思うのですが。
0.30mm(0.3mmという表記ではない)ずれてるけど
まあいいか!となる理由が分かりません。

あと、表にある0.4~0.45くらいの数値は
DTのテンションメーターでの第1スポークテンションこと D1ST、
その下にある1100前後の数値は一般的な意味でのスポークテンションで
このブログでいうところの第2スポークテンションのことです。
ロヴァ―ルのホイールをお持ちの方なら 一瞬で分かることですが、
2:1組みで左右のスポークテンションがほぼ同じというわりには
スポークをにぎにぎすると 前後輪とも
多スポーク側のタンジェント組みのほうが 明確にヌルく変形するはずです。
これは、たとえば同じく2:1組みで スポーク本数も似通っている
ボーラやボーラWTOのディスクブレーキ用のホイールでは
変形量の左右差(スポークテンションの左右差ではない)は
もっと少ないです。これはスポークの番手と形状、
ハイローフランジの実効径の左右差、
スポークの軌道(タンジェント組みの交差の角度)などから発生しているもので、
ロヴァ―ルは このあたりの理屈が 非常によろしくありません。
はっきり言うなら、ターマックのフレームを作っている人たちと
同程度の知的水準から湧いてきたものだとは
到底 信じられないほどのクソホイールです。
私は なにも別に好悪の感情から
ロヴァ―ルのホイールを腐しているわけではありません。
完成車に抱き合わせで付いてくるのはエグいなとは思っていますが。
私が これは理屈上 クソだと言ったところで
実際に使っている人からの概ねの評価が本当に良いなら
当店に こんなにお持ち込みされるはずがありません。

で、今回のホイールですが
インスペクションシート通りの出荷状態であれば
そこからの流通の過程によるダメージや
見たところわずかな経年使用では 絶対に起きない量の
縦横振れとセンターずれがありました。
ホイールのオーナーか ショップかは知りませんが
間違いなく 誰かが いぢくっています。
追記:お客さんは このホイールを いぢくっておらず
最初のオーナーでもあることも確認しました。


DSC07645amx14.jpg
まずは前輪から。
最も横に振れている位相を探して
振れ取り台のゲージがギリギリ触れるようにしました。
DSC07644amx14.jpg
それ以外の位相だと だいたいこれくらい空きます。
この量の振れがある場合、
振れている位相付近のスポークに変形があるはずですが
スポークに異常は ありませんでした。

最も横振れが大きい位相から90°直交した、
横振れの影響が無さそうな位相でセンターゲージを当てた
暫定センターが
DSC07646amx14.jpg
DSC07647amx14.jpg
↑これです。
0.30mmどころではありません。

DSC07650amx14.jpg
DSC07651amx14.jpg
うまく撮れていませんが、縦振れもあります。
縦振れは複数の箇所であります。
台にかけずとも、宙で回っているリムを見ても
びくついて偏芯しているのが分かるくらいには振れています。
左右異数組みのホイールは 縦振れを追い込むのが やや難しいです。

DSC07652amx14.jpg
縦横振れを追い込みました。
上の画像のホイールは回転しています。

DSC07655amx14.jpg
DSC07656amx14.jpg
理屈上 ついでにセンターずれが減る方向に
縦横振れ取りをしたつもりですが、ほぼ変わっていません。
ただ、むしろ ずれが増大するというのは回避しました。

DSC07657amx14.jpg
DSC07658amx14.jpg
センター出しの増し締め2回目です。
1回目は画像を撮っていません。

DSC07659amx14.jpg
拡大するとこんな感じです。

DSC07660amx14.jpg
DSC07661amx14.jpg
センターが出ました。

DSC07662amx14.jpg
つづいて後輪。
ホイールを振ると、リムの中で
硬質な小石が跳ねているかのような音がします。
これは実際には小石ではなく
リムテープのバルブ穴部分を切り取ったカスが
中に落ちたものです。
で、上の画像では 缶切りのフタの最後の状態のように
穴のフチで ちぎれずに残っているのが見えますが
バルブ穴周りのテープは2重になっているので
これとは別に もうひとつ リムの中に落ちています。

DSC07663amx14.jpg
見えているほうを ちぎって回収しました。

DSC07664amx14.jpg
リムの中に落ちているほうも回収しました。
私は経験上 知っていることですが、
もし知らなければ 音の原因がテープの切れ端だとは
信じられないくらい硬質な音で カラカラと鳴ります。

DSC07668amx14.jpg
↑最も振れている位相
DSC07667amx14.jpg
↑それ以外の だいたいの位相
前輪よりはマシでしたが、ゴクッと振れている位相がありました。
スポークの変形はありません。
ちょっと乗っただけで振れる量でもありません。
ニップルが局所的にゆるめば ありえる話ですが、
最も振れている位相は むしろニップルを局所的に締めています。

DSC07665amx14.jpg
DSC07666amx14.jpg
前輪と同じく 局所的な振れの位相を避けた暫定センターです。
前後輪とも 多スポーク側に リムが寄っていますが、
多スポーク側のほうがニップルが回しやすいので
このヌルいホイールを何とかしようとして
多スポーク側の増し締めで ずれたのではないでしょうか。
インスペクションシートによれば センターずれは0.08mmのはずです。
へえ、80ミクロンって こんなに はっきり目視できるんだ。

DSC07677amx14.jpg
このホイールのニップルは外周側からも回せますが、
そういうニップルにありがちな 内周側のつかみしろの角が
妙に丸くて 内周側を触ると一発でナメそうなニップルではないので、
テープを剥がしたくないという理由で 内周側をつかんで調整しています。

DSC07679amx14.jpg
↑これはホイールを回転させた状態ですが このリムテープ、

DSC07681amx14.jpg
もっとゆっくりな ある回転数で かつ蛍光灯の下であれば、
画像には撮れませんが オレンジ色の帯が見えて
それがホイールの方向と逆向きに移動しているように
見える速度域があります。
これは いわゆる「ベンハムの駒」です。
再現性が高い現象なので、見れる機会がある人は
タイヤを交換する折にでも やってみてください。

DSC07672amx14.jpg
フリーボディの唯一細いスプラインの山の
反時計回りに隣の山に、トップギヤの位相付け間違いで
締めたためにできたカエリがあります。

DSC07673amx14.jpg
スプロケットのトップギヤのみ、
正しい位相で取り付けました。

DSC07674amx14.jpg
今度は、スプロケットの位相のみ
反時計回りに 1つずらしました。
先ほどと違いトップギヤは 奥まで はまりませんが、
最近のねじ山部分が長いロックリングだと
手で回しても 1山弱は 軽く ねじ込めるので、
そこから 工具でグッ!と締め込むと
スプラインに独特なカエリが出ます。

DSC07676amx14.jpg
↑カエリが出ている箇所と
スプロケットの溝が合っていない箇所が 完全に一致しています。

DSC07670amx14.jpg
DSC07671amx14.jpg
縦横振れを追い込んだ時点での センターずれです。
最初の暫定センターより ほんのちょっとだけ減っている気がします。

DSC07683amx14.jpg
DSC07682amx14.jpg
センターを出しました。
前後輪とも なるべく増し締め方向で出しているので
お預かり時と比べても テンションは張っていますが、
それでもヌルいのを 改善するのであれば
逆異径組みと結線が必要です。
今回は振れ取りだけを お願いされているので
振れ取り作業で出来る範囲では 何とかしたつもりです。

ラピーデCLXの前輪は2:1組みのペアが 7ペア21Hではなく
6ペア18Hという 非常にイカれた本数で、
リム穴の間隔が広がって 多スポーク側が12Hになった関係で
CLX50などと比べて 最終交差の挟角が鈍ったのはいいものの
最終交差の位置が ハブフランジに ほど近くなったので
結線の効果が ほぼ見込めなくなっています。
実は 別件で、ラピーデCLXの前輪を
組み直してもいいから何とかしてほしいというので
お預かりしているのですが、わりとどうしようもありません。
出来るだけのことは やりますが。
それはまた後日、近日中の予定です。

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