のむラボホイール1号の後輪の反フリー側のスポークを交換しました 
2022/12/13 Tue. 23:48 [edit]
お客さんから のむラボホイール1号の後輪をお預かりしました。

モランボン組みの後輪です。
元は普通に組んでいたものですが、
お客さんの希望で組み直しました。
いまの組み方になったのは2017年の8月(→こちら)なので
5年以上前のことです。
これが お客さんが練習などで最も常用しているホイールとのことです。

リーフハブ 24H チャンピ/コンペヨンロクモランボン組みです。
左右異本異径組みをしています。
お預かりした理由はフリーボディのベアリング交換ですが、

それとは別に
スポークのねじり終わりの箇所が だんだんずれてきて
振れを取っても すぐ振れるということです。

↑この箇所
これですが、バテッドしている細い径の部分で
うにょーんが起きています。
通常、1.8mm径(15番)では ほぼ うにょーんは起きませんが
モランボン組みは リム側のねじり終わりの箇所より外周に
降伏に関する力が集中してかかるようで、
コンペでも うにょーんが起きることがあります。
バテッド部分が1.5mm径(17番)の レボリューションだと
普通のホイールでも 100kgfあたりから
確率的に うにょーんが起きますが
モランボン組みをすると ホイールを組み終えるまでに
ほぼ全数が ねじり終わり以降で うにょーんを起こすので
ホイールを組むこと自体が困難、というか無理です
(これは実際に試したことがあります)。
コンペの場合、ホイール組みの時点では
うにょーんを ほぼ起こさないものの
経年使用すると ここまで顕著に起こるというのは初めて知りました。
お客さんがテープを貼って指摘しているのは1ヵ所ですが、
程度の差はあれ 反フリー側のねじり終わり全てで
同じような痕跡がありました。

これは別件ですが、モランボン組みでスポークが折れた例です。
組んだのは2018年11月10日で(→こちら)、
直した日は今年の11月18日なので ちょうど4年です。


ねじり終わりの箇所で破断しています。
このホイールはフリー側がストロング、反フリー側がチャンピオンで
フリー側のストロングは 首元13番(2.3mm径)で
それ以降は14番(2.0mm径)というシングルバテッドなので
ねじり終わり以降で 径は変化していません。
また、左右とも うにょーんが出ているスポークは ありませんでした。
このホイールで分かるのは、やはり ねじり終わりの箇所の
負担が大きいということです。


↑これは反フリー側のスポークをバラす際に
切断して ニップルを一切ゆるめずに抜き出した
スポークのリム側の部分です。
うにょーんを起こしたスポークは、それ以降 増し締めをしても
スポークテンションに変換されず スポークの伸びに変換されます。
なので、ニップルの端面とツライチくらいになるスポーク長さであったのに
そこから何山も ねじが進んでいるスポークがあります。

↑これは ニップルをゆるめ切って抜き出した
最終交差のペアのスポーク2本です。

うち1本を ひっくり返すと こんな感じ

スポークヘッド側で 端を揃えました。
画像右のスポークのヘッドが浮いているように見えるのは

ヌポークと反ヌポークの差です。
ハブフランジから ねじり始めまでの角度の差が
普通のホイールより大きいので
首元の変形の差も より顕著になります。

向きを揃えると だいたいきれいに添います。

で、長さが これくらい違いました。

↑バテッドスポークで、ねじり終わりから
ニップルの径に太くなるまでの間を 赤で描いた図です。
その右に描いてあるのは 均等間隔に横線を引いたスポークで、
左の図の赤に相当する箇所を 右でも赤く描いています。

↑バテッドスポークの うにょーんは
こんな感じで起きているということです。
これが「1.8mm径の部分の長さが短いことで 応力が集中した結果
実際のスポークテンションの範疇で うにょーんを起こす」のか
「単に1.8mm径だと耐えられないだけ」なのかが不明です。
もし前者であれば、2.0-1.8-2.0mmバテッドだと
うにょーんが起こるのに 1.8mmプレーンだと起こらないという
領域が存在するはずです。、
後者だと そもそも1.8mm径でモランボン組みすると
通常のホイール組みの範疇では
必ず うにょーんを起こすということになります。
あと「スポークの本数」は うにょーんの発生に関して
そこそこ大きな要素な気もしますが。
24Hだと起こるのに 32Hだと起こらない、
というのは ありえる気がします。

これは極端な図ですが、
バテッドスポークを 曲げ方向に塑性変形しない程度に力を加えると
弓なりに変形する曲率が 太い径と細い径で違います。

で、もしバテッド部分の長さが極端に短い、
アンプルか つまようじの溝のような長さであった場合
変形の形が弓なりではなく 直線を折ったように角ばった形になるはずです。
どちらのスポークも 太い径と細い径の寸法が同じであったとして
曲げ方向ではなく 伸長方向に引っ張った場合
上のスポークが せいぜい うにょーんを起こす程度であるところ
下のスポークは ブチンとちぎれる(破断する)という結果に
分かれるというのであれば
これもまた極端な話ですが モランボン組みの ねじれ終わりから先の状態は
上の図の 下のスポークの状態に片足を突っ込んでいるということになります。

15番プレーンなら 曲げ方向の変形の弓なり曲率が一定になるので
もしかしたらモランボン組み時の うにょーんの起きにくさに関してだけは
バテッド部分が15番のバテッドスポークより強い可能性があります。
それを試すのはバクチなので、反フリー側のスポークを
少なくとも通常のホイール組みの範疇で
経年使用まで含めても うにょーんが起きない(ほぼ起きない)ことが
確からしい14番プレーンで組み直すことにしました。

スポークを補填して ざっと縦横振れを取りました。
上の画像のホイールは回転しています。


その時点でのホイールセンターです。
リムが思いっきり フリー側にずれていますが、
ここから反フリー側を増し締めして
センターを出すだけでホイールが組めます。
というほど単純でも無く 最後のほうで縦振れ取りを
もう一度追い込む必要があったりしますが。


まだまだ。


センターを出しました。
バラす前のホイールも 少し振れ取りを試みましたが、
ゴクッと大きな縦振れがあり その位相のスポークで
うにょーんが起きているので 締めても締めてもスポークが伸びるだけで
縦振れが無くならなかったのに スポークを交換すると
きれいに ビシッと決まりました。
引き続き使い回したフリー側のチャンピオンは
全数とも スポークの長さがニップルの端面で揃っていて
うにょーんを起こしていないのを確認済みです。


あ、本題の フリーボディのベアリング交換もしています。
これはホイール組みのあとにしたので
念のため センターゲージを最後に当てていますが
このベアリング交換で センターは ずれませんでした。


組めました。チャンピ/コンペから全チャンピになりましたが
ヨンロクイタリアン組みなのは同じです。

モランボン組みの後輪です。
元は普通に組んでいたものですが、
お客さんの希望で組み直しました。
いまの組み方になったのは2017年の8月(→こちら)なので
5年以上前のことです。
これが お客さんが練習などで最も常用しているホイールとのことです。

リーフハブ 24H チャンピ/コンペヨンロクモランボン組みです。
左右異本異径組みをしています。
お預かりした理由はフリーボディのベアリング交換ですが、

それとは別に
スポークのねじり終わりの箇所が だんだんずれてきて
振れを取っても すぐ振れるということです。

↑この箇所
これですが、バテッドしている細い径の部分で
うにょーんが起きています。
通常、1.8mm径(15番)では ほぼ うにょーんは起きませんが
モランボン組みは リム側のねじり終わりの箇所より外周に
降伏に関する力が集中してかかるようで、
コンペでも うにょーんが起きることがあります。
バテッド部分が1.5mm径(17番)の レボリューションだと
普通のホイールでも 100kgfあたりから
確率的に うにょーんが起きますが
モランボン組みをすると ホイールを組み終えるまでに
ほぼ全数が ねじり終わり以降で うにょーんを起こすので
ホイールを組むこと自体が困難、というか無理です
(これは実際に試したことがあります)。
コンペの場合、ホイール組みの時点では
うにょーんを ほぼ起こさないものの
経年使用すると ここまで顕著に起こるというのは初めて知りました。
お客さんがテープを貼って指摘しているのは1ヵ所ですが、
程度の差はあれ 反フリー側のねじり終わり全てで
同じような痕跡がありました。

これは別件ですが、モランボン組みでスポークが折れた例です。
組んだのは2018年11月10日で(→こちら)、
直した日は今年の11月18日なので ちょうど4年です。


ねじり終わりの箇所で破断しています。
このホイールはフリー側がストロング、反フリー側がチャンピオンで
フリー側のストロングは 首元13番(2.3mm径)で
それ以降は14番(2.0mm径)というシングルバテッドなので
ねじり終わり以降で 径は変化していません。
また、左右とも うにょーんが出ているスポークは ありませんでした。
このホイールで分かるのは、やはり ねじり終わりの箇所の
負担が大きいということです。


↑これは反フリー側のスポークをバラす際に
切断して ニップルを一切ゆるめずに抜き出した
スポークのリム側の部分です。
うにょーんを起こしたスポークは、それ以降 増し締めをしても
スポークテンションに変換されず スポークの伸びに変換されます。
なので、ニップルの端面とツライチくらいになるスポーク長さであったのに
そこから何山も ねじが進んでいるスポークがあります。

↑これは ニップルをゆるめ切って抜き出した
最終交差のペアのスポーク2本です。

うち1本を ひっくり返すと こんな感じ

スポークヘッド側で 端を揃えました。
画像右のスポークのヘッドが浮いているように見えるのは

ヌポークと反ヌポークの差です。
ハブフランジから ねじり始めまでの角度の差が
普通のホイールより大きいので
首元の変形の差も より顕著になります。

向きを揃えると だいたいきれいに添います。

で、長さが これくらい違いました。

↑バテッドスポークで、ねじり終わりから
ニップルの径に太くなるまでの間を 赤で描いた図です。
その右に描いてあるのは 均等間隔に横線を引いたスポークで、
左の図の赤に相当する箇所を 右でも赤く描いています。

↑バテッドスポークの うにょーんは
こんな感じで起きているということです。
これが「1.8mm径の部分の長さが短いことで 応力が集中した結果
実際のスポークテンションの範疇で うにょーんを起こす」のか
「単に1.8mm径だと耐えられないだけ」なのかが不明です。
もし前者であれば、2.0-1.8-2.0mmバテッドだと
うにょーんが起こるのに 1.8mmプレーンだと起こらないという
領域が存在するはずです。、
後者だと そもそも1.8mm径でモランボン組みすると
通常のホイール組みの範疇では
必ず うにょーんを起こすということになります。
あと「スポークの本数」は うにょーんの発生に関して
そこそこ大きな要素な気もしますが。
24Hだと起こるのに 32Hだと起こらない、
というのは ありえる気がします。

これは極端な図ですが、
バテッドスポークを 曲げ方向に塑性変形しない程度に力を加えると
弓なりに変形する曲率が 太い径と細い径で違います。

で、もしバテッド部分の長さが極端に短い、
アンプルか つまようじの溝のような長さであった場合
変形の形が弓なりではなく 直線を折ったように角ばった形になるはずです。
どちらのスポークも 太い径と細い径の寸法が同じであったとして
曲げ方向ではなく 伸長方向に引っ張った場合
上のスポークが せいぜい うにょーんを起こす程度であるところ
下のスポークは ブチンとちぎれる(破断する)という結果に
分かれるというのであれば
これもまた極端な話ですが モランボン組みの ねじれ終わりから先の状態は
上の図の 下のスポークの状態に片足を突っ込んでいるということになります。

15番プレーンなら 曲げ方向の変形の弓なり曲率が一定になるので
もしかしたらモランボン組み時の うにょーんの起きにくさに関してだけは
バテッド部分が15番のバテッドスポークより強い可能性があります。
それを試すのはバクチなので、反フリー側のスポークを
少なくとも通常のホイール組みの範疇で
経年使用まで含めても うにょーんが起きない(ほぼ起きない)ことが
確からしい14番プレーンで組み直すことにしました。

スポークを補填して ざっと縦横振れを取りました。
上の画像のホイールは回転しています。


その時点でのホイールセンターです。
リムが思いっきり フリー側にずれていますが、
ここから反フリー側を増し締めして
センターを出すだけでホイールが組めます。
というほど単純でも無く 最後のほうで縦振れ取りを
もう一度追い込む必要があったりしますが。


まだまだ。


センターを出しました。
バラす前のホイールも 少し振れ取りを試みましたが、
ゴクッと大きな縦振れがあり その位相のスポークで
うにょーんが起きているので 締めても締めてもスポークが伸びるだけで
縦振れが無くならなかったのに スポークを交換すると
きれいに ビシッと決まりました。
引き続き使い回したフリー側のチャンピオンは
全数とも スポークの長さがニップルの端面で揃っていて
うにょーんを起こしていないのを確認済みです。


あ、本題の フリーボディのベアリング交換もしています。
これはホイール組みのあとにしたので
念のため センターゲージを最後に当てていますが
このベアリング交換で センターは ずれませんでした。


組めました。チャンピ/コンペから全チャンピになりましたが
ヨンロクイタリアン組みなのは同じです。
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