真の最接線組み 
2013/09/01 Sun. 20:58 [edit]
ハブ~リム間のスポークの角度で、理論上 駆動効率が最も高いのは
スポークの角度が接線になっているときです。
ということで、ハブから接線方向にスポークを伸ばした先の位置に
リム側の穴を設定できればいいのですが、通常のリムでは無理です。
(例外はあります)
例外について。
たとえばこのリムでは
↑リム内側の穴2H間の直線距離が148mmです。
ちゃんと測ってませんが148mmだとしましょう。
なのでフランジ穴中心間の長さが148mmのハブがあれば 接線で組めます。
話を戻します。
先ほどのスポークに、対になるスポークを書き加えました。
これが駆動効率最強のスポーク配列ですが、
カンパニョーロのG3のフリー側がこれに相当します。
普通のホイールではそれが無理なので、
なるべくハブの二分線に近い穴同士から出た
スポークを交差させるのが、普通のホイールで最も接線に近く組む方法です。
なので当ブログでは、このような組み方を「最接線組み」と呼んでいます。
「駆動効率最強がこれなら フリー側をこう組めばいいじゃないか」と思ってしまいますが、
それをするとホイールの左右バランスが崩れてしまいます。
先日の記事の「幻視されるバランス線」的に言うと右寄りのホイールになります。
最接線組みはスポークテンションが上がりますから、反フリー側をこう組んで
フリー側を最接線組みよりも小さな交差で組むことで
スポークテンションの左右差の是正に使おうというのが当店の基本方針です。
フリー側についてはラジアル組みでもしない限り 駆動効率の悪さを感じないと思いますが、
左右バランスの悪いホイールの横たわみ量の左右差というのは
割りと簡単に体感できるからです。
私は 普通思いつく限りの範囲の手組みホイールは ほぼ全て実際に組んでいます。
前輪をヨンロク組みして左右にホイールを振ったときのたわみの体感差を調べたり、
後輪を左右ともラジアル組みにして駆動効率の悪さが体感できるのか調べたりなども
過去に試みています。
「フリー側4本組み」でスポークの角度が最もラジアル組み寄りになるのは
現実的な範囲では36Hですが、
36Hの4本組みでも「ヤマアラシさん方向に絞られる損失」は
特に体感できなかったので「フリー側は4本組み、反フリー側は最接線組み」が
手組みホイールの左右バランスにおいては最適解なのではないかと思います。
左右同数スポークの普通のホイールで、という前提での話ですが
ハブの二分線を越えずに
x本スポークのホイールでy本組みできる範囲は「y≦x/4」が成立するときです。
その中でさらに「y=x/4」のときに最接線組みとなります。
タンジェント組みはヌポークと反ヌポークを交差させないと組めないので
ハブの二分線に最も近い穴から出るスポークは
「ヌポークと反ヌポーク」でないといけません。
これは言い換えると「二分線の片側の穴数は偶数でなければならない」ということです。
例えば20Hの場合。
ハブフランジの片側、それのさらに180°位相分の穴数は5Hです。
奇数となるので最接線組みは出来ません。
最もハブの二分線寄りの穴同士から出たスポークを交差させると
ヌポーク同士、または反ヌポーク同士となるためです。
これまでも「20Hはヨンロク組みできないのでヨンヨン組みにしました」
というようなホイールをたくさん組んできました。
32Hの最接線組みは8本組みですが、
ハブの二分線を越えて10本組みにすることはできます。
この場合、接線により近いかどうかに関しては最接線組みよりも
理論上悪いと私は考えています。
過去にヨンジュウ組みしたDTリムのホイールもありますが(→こちら)、
そのときは これに関してはすっとぼけました。
準メシノタネコードだったからです。
Wフリーハブも左右10本組みのジュウジュウ組みにしていますが、
これは10本組みだと交差が5回の 5クロスとなり
スポークを編むことができる外周部から3つ目までの交差を全て編んだ
トリプルクロスにすることでナローフランジの横剛性の低さを
カバーできないかと企んだためです。←無理でした。
ここで大事なことは、接線に近しく組むならハブの二分線を越えてはいけないということです。
ここで少し話を戻します。
上の図は20Hのハブですが、ハブの二分線の片側は5Hで奇数なので
ハブの二分線を越えないなら4本組みが限界です。
では こう組んでみてはどうでしょう。
20Hの6本組みですが、ハブの二分線を越えているように見えます。
32Hの8本組み→10本組みの場合 8本組みの「8」が偶数なので
10本組みにするには 2H分ハブの二分線を越える必要がありますが、
この場合は元が5Hで奇数なのでハブの二分線を越えて
偶数にするには(=ヌポークと反ヌポークを交差させるには)1H分越えればOKです。
この記事でここまで赤字にした部分ですが、
「ハブの二分線に近い」
「ハブの二分線を越えずに」
「ハブの二分線を越えて」
「ハブの二分線を越えてはいけない」
「ハブの二分線を越えないなら」
とハブの二分線について何度も書いています。
この組み方ですが、実はハブの二分線を越えてはいません。
「ハブの二分線」をこれまでフランジ穴同士の中間に引いていたから
そう見えるのであって、
↑ハブの二分線をこう引けばいいのです。
フランジ穴の中心同士を結ぶ線ですね。
180°位相の穴からヌポークと反ヌポークが出ています。
線を越えてはいません。踏んでいるだけです。
理想的に接線方向に張ったスポークの出る位置も180°位相となります。
つまり、この組み方はこれまで最接線組みと呼んでいた組み方よりも
さらに接線に近い組み方となるわけです。
これを今後「真の最接線組み」と呼ぶことにします。
(フランジ穴を通らない)ハブの二分線の片側の穴数が
偶数のハブと奇数のハブについて考えます。
↑y=x/4が成立するこれらの組み方が従来の最接線組みです。
(フランジ穴を通らない)ハブの二分線の片側が奇数になるハブに
y=x/4を当てはめると こうなります。
y本組みの「y」は偶数でないと組めないので
偶数になるように1H分 隣の穴(交差が大きくなる側)でスポークを通すようにします。
これが従来の最接線組みを超えた「真の最接線組み」です。
といっても24Hの6本組みや32Hの8本組みなどが
「最接線組み」の名前を返上するというわけではありません。
24Hや32Hなりに「最も」「接線に近い」組み方であることに変わりは無いからです。
要約すると20Hで6本組み、28Hで8本組み、
36Hで10本組みが出来るということなので
20Hのヨンロク組み、28Hのヨンパチ組み、36Hのヨンジュウ組みが
ホイールの左右バランスにとって最適解になるということです。
では今までなぜこの組み方を避けてきたのかというと、次の記事で書きますが
懸念される問題がひとつあるためです。
さらに言えば20Hの後輪は、
のむラボホイール1号4号5号なら
体重が軽い人向けに組むことが多いので スポークの総重量を気にして
ヨンロク組みよりヨンヨン組みのほうがベターなのではないかと考えられ、
のむラボホイール2号2.5号3号の場合は
エアロホイールで反フリー側3クロスは見た目にうるさいのではないかと考えられます。
36Hの後輪は組むこと自体が まれなことと、組むとしてもローハイトリムが多いので
真の最接線組みに必要な長さのスポークが存在しない場合があります。
なので「真の最接線組み」は、実用上の範囲では
28Hの後輪反フリー側8本組みが最も現実的な使い方なのではないかと思います。
スポークの角度が接線になっているときです。
ということで、ハブから接線方向にスポークを伸ばした先の位置に
リム側の穴を設定できればいいのですが、通常のリムでは無理です。
(例外はあります)
例外について。
たとえばこのリムでは
↑リム内側の穴2H間の直線距離が148mmです。
ちゃんと測ってませんが148mmだとしましょう。
なのでフランジ穴中心間の長さが148mmのハブがあれば 接線で組めます。
話を戻します。
先ほどのスポークに、対になるスポークを書き加えました。
これが駆動効率最強のスポーク配列ですが、
カンパニョーロのG3のフリー側がこれに相当します。
普通のホイールではそれが無理なので、
なるべくハブの二分線に近い穴同士から出た
スポークを交差させるのが、普通のホイールで最も接線に近く組む方法です。
なので当ブログでは、このような組み方を「最接線組み」と呼んでいます。
「駆動効率最強がこれなら フリー側をこう組めばいいじゃないか」と思ってしまいますが、
それをするとホイールの左右バランスが崩れてしまいます。
先日の記事の「幻視されるバランス線」的に言うと右寄りのホイールになります。
最接線組みはスポークテンションが上がりますから、反フリー側をこう組んで
フリー側を最接線組みよりも小さな交差で組むことで
スポークテンションの左右差の是正に使おうというのが当店の基本方針です。
フリー側についてはラジアル組みでもしない限り 駆動効率の悪さを感じないと思いますが、
左右バランスの悪いホイールの横たわみ量の左右差というのは
割りと簡単に体感できるからです。
私は 普通思いつく限りの範囲の手組みホイールは ほぼ全て実際に組んでいます。
前輪をヨンロク組みして左右にホイールを振ったときのたわみの体感差を調べたり、
後輪を左右ともラジアル組みにして駆動効率の悪さが体感できるのか調べたりなども
過去に試みています。
「フリー側4本組み」でスポークの角度が最もラジアル組み寄りになるのは
現実的な範囲では36Hですが、
36Hの4本組みでも「ヤマアラシさん方向に絞られる損失」は
特に体感できなかったので「フリー側は4本組み、反フリー側は最接線組み」が
手組みホイールの左右バランスにおいては最適解なのではないかと思います。
左右同数スポークの普通のホイールで、という前提での話ですが
ハブの二分線を越えずに
x本スポークのホイールでy本組みできる範囲は「y≦x/4」が成立するときです。
その中でさらに「y=x/4」のときに最接線組みとなります。
タンジェント組みはヌポークと反ヌポークを交差させないと組めないので
ハブの二分線に最も近い穴から出るスポークは
「ヌポークと反ヌポーク」でないといけません。
これは言い換えると「二分線の片側の穴数は偶数でなければならない」ということです。
例えば20Hの場合。
ハブフランジの片側、それのさらに180°位相分の穴数は5Hです。
奇数となるので最接線組みは出来ません。
最もハブの二分線寄りの穴同士から出たスポークを交差させると
ヌポーク同士、または反ヌポーク同士となるためです。
これまでも「20Hはヨンロク組みできないのでヨンヨン組みにしました」
というようなホイールをたくさん組んできました。
32Hの最接線組みは8本組みですが、
ハブの二分線を越えて10本組みにすることはできます。
この場合、接線により近いかどうかに関しては最接線組みよりも
理論上悪いと私は考えています。
過去にヨンジュウ組みしたDTリムのホイールもありますが(→こちら)、
そのときは これに関してはすっとぼけました。
準メシノタネコードだったからです。
Wフリーハブも左右10本組みのジュウジュウ組みにしていますが、
これは10本組みだと交差が5回の 5クロスとなり
スポークを編むことができる外周部から3つ目までの交差を全て編んだ
トリプルクロスにすることでナローフランジの横剛性の低さを
カバーできないかと企んだためです。←無理でした。
ここで大事なことは、接線に近しく組むならハブの二分線を越えてはいけないということです。
ここで少し話を戻します。
上の図は20Hのハブですが、ハブの二分線の片側は5Hで奇数なので
ハブの二分線を越えないなら4本組みが限界です。
では こう組んでみてはどうでしょう。
20Hの6本組みですが、ハブの二分線を越えているように見えます。
32Hの8本組み→10本組みの場合 8本組みの「8」が偶数なので
10本組みにするには 2H分ハブの二分線を越える必要がありますが、
この場合は元が5Hで奇数なのでハブの二分線を越えて
偶数にするには(=ヌポークと反ヌポークを交差させるには)1H分越えればOKです。
この記事でここまで赤字にした部分ですが、
「ハブの二分線に近い」
「ハブの二分線を越えずに」
「ハブの二分線を越えて」
「ハブの二分線を越えてはいけない」
「ハブの二分線を越えないなら」
とハブの二分線について何度も書いています。
この組み方ですが、実はハブの二分線を越えてはいません。
「ハブの二分線」をこれまでフランジ穴同士の中間に引いていたから
そう見えるのであって、
↑ハブの二分線をこう引けばいいのです。
フランジ穴の中心同士を結ぶ線ですね。
180°位相の穴からヌポークと反ヌポークが出ています。
線を越えてはいません。踏んでいるだけです。
理想的に接線方向に張ったスポークの出る位置も180°位相となります。
つまり、この組み方はこれまで最接線組みと呼んでいた組み方よりも
さらに接線に近い組み方となるわけです。
これを今後「真の最接線組み」と呼ぶことにします。
(フランジ穴を通らない)ハブの二分線の片側の穴数が
偶数のハブと奇数のハブについて考えます。
↑y=x/4が成立するこれらの組み方が従来の最接線組みです。
(フランジ穴を通らない)ハブの二分線の片側が奇数になるハブに
y=x/4を当てはめると こうなります。
y本組みの「y」は偶数でないと組めないので
偶数になるように1H分 隣の穴(交差が大きくなる側)でスポークを通すようにします。
これが従来の最接線組みを超えた「真の最接線組み」です。
といっても24Hの6本組みや32Hの8本組みなどが
「最接線組み」の名前を返上するというわけではありません。
24Hや32Hなりに「最も」「接線に近い」組み方であることに変わりは無いからです。
要約すると20Hで6本組み、28Hで8本組み、
36Hで10本組みが出来るということなので
20Hのヨンロク組み、28Hのヨンパチ組み、36Hのヨンジュウ組みが
ホイールの左右バランスにとって最適解になるということです。
では今までなぜこの組み方を避けてきたのかというと、次の記事で書きますが
懸念される問題がひとつあるためです。
さらに言えば20Hの後輪は、
のむラボホイール1号4号5号なら
体重が軽い人向けに組むことが多いので スポークの総重量を気にして
ヨンロク組みよりヨンヨン組みのほうがベターなのではないかと考えられ、
のむラボホイール2号2.5号3号の場合は
エアロホイールで反フリー側3クロスは見た目にうるさいのではないかと考えられます。
36Hの後輪は組むこと自体が まれなことと、組むとしてもローハイトリムが多いので
真の最接線組みに必要な長さのスポークが存在しない場合があります。
なので「真の最接線組み」は、実用上の範囲では
28Hの後輪反フリー側8本組みが最も現実的な使い方なのではないかと思います。
category: ホイールの話
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2013/09/02 14:08 | edit
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2013/09/03 11:13 | edit
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