のむラボ日記

自転車工房「のむラボ」のブログです

うにょーんを出さない技術  

このブログではスポークの塑性変形を「うにょーん」と呼んでいますが、
ホイール組みの過程で 技術如何によってこれを出さなくすることは可能なのでしょうか?
というような質問をされました。
DSC07498amx.jpg
ニップルを増し締めすると、あるスポークテンションまでは
スポークの長さに変化は(ほぼ)ありませんが、
DSC07499amx.jpg
ある点を超えてスポークが「もうあかん」と 音を上げると
うにょーんが出て スポーク自体の長さが伸びます。
特に丸バテッドスポークのバテッド部分でこれが起きます。
こうなると これ以降の増し締めはスポークテンションに反映されず、
おもにスポークが伸びていくだけとなります。
当然ですが、ニップルをゆるめたところでスポークの長さが縮むわけではありません。

サピムのレーザーとCX-RAY、またはDTのレボリューションとエアロライト、
この2つは同メーカーで ほぼ同比重の丸バテッドとエアロバテッドのスポークですが、
エアロバテッドのほうが極端に うにょーんが出ません。
これは材質的な違いではなく エアロの方は扁平にしたことによる加工硬化が
起きているためだと思われます。

私個人としては扁平スポークの空力的な効果というものを
軽視しているわけでもないのですが、
CX-RAYの何がありがたいかというと
「軽い割りに うにょーんがほぼ出ない」点を最も重視しています。

レボリューションとCX-RAYでは ホイールの重量はほぼ同じになりますが
うにょーんを出さずに張れる限界は雲泥の差です。
もしレボリューションでうにょーんが出ないというのであれば
必ずしもCX-RAYにこだわることはないのですが・・・。

当店でDTのエアロライトを常用しないのは、
DTの問屋さんの通常取り扱い長さが10mm刻みで
サピムの問屋さんの通常取り扱い長さが2mm刻みであり、
安定供給度もCX-RAYのほうがいいからです。
もしこの事情が逆ならエアロライトを常用します。それだけのことです。
この2つは、物としてはほぼ同じだと見ています。

レボリューションですが、110kgfくらいまでスポークテンションを上げれば
かなりの高確率でうにょーんが出ます。
これには多少のばらつきがあって、100kgf以下でも出るときは出ます。
スポークテンションメーターが無いと分からないことですが。

ホイール組みの過程で、うにょーんは散発的に出るものではありません。
例えば32Hの前輪で ニップル32ヵ所を同時に増し締めすれば話は別ですが、
1ヵ所ずつ増し締めしていくと 最もこらえ性の無いスポークが「もう あかん」と
音を上げて うにょーんモードに移行する感じです。

この「もう あかん」ポイントを超えれば 誰がニップルを締めても
うにょーんは発生する、というのが私の考えです。
(私の考えというより 当たり前の話ですが)

DSC07500amx.jpg
↑天井からワイヤーを吊るして ワイヤーの先にバケツをくくりつけたとします。
天井はリム、ワイヤーはスポーク、バケツの重さはスポークテンションです。
このバケツに水を注いでいくのですが、バケツの容量いっぱいになるまでに
先にワイヤーがプッツリ切れるものとします。
バケツとワイヤーを結ぶ針金はどんだけ頑丈やねん、というツッコミは無しでお願いします。

DSC07503amx.jpg
仮に水1リットルがちょうど1kgで
バケツ部分の自重が20kg、ワイヤーの自重は考えないものとします。
このワイヤー、吊るしたものの重さが100kgを超えると うにょーんを生じ始めて
200kgを超えるとプッツリ切れる(破断する)ものだとします。
水満杯のバケツの重量は ワイヤーが破断する限界よりずっと上だとしておきます。

仮に「俺がホイールを組んだら うにょーんは出ない」と言っている人がいるとしましょう。
バケツに注ぐ水が80リットル未満であれば 誰が水を注ごうが
ワイヤーは伸びません。
なので「うにょーんは出ない」というのが
「うにょーんの出ない範囲でホイールを組む」というのであれば
それは当たり前のことです。

これがもし「80リットル以上180リットル未満の範囲でも うにょーんは出ない」
「俺以外の人間の場合は うにょーんが出るのに、俺は出ないようにできる」と
いう意味であれば それはオカルトです。
水の注ぎ方(ニップルの締め方)を どばっと注いでも ちょろちょろ注いでも
水入りバケツの重さが100kg以上になると うにょーんを生じるからです。

バケツに人が飛び乗ったような、衝撃加重的な水の入れ方は考えません。
ここで言うところの 数十kgの水を一気に入れるような
ニップルの締め方というのはできないからです。

私が過去ここで「レボリューションで組みました」と書いたホイールは
リムがマヴィックのGEL280だったと思いますが、
ああいう軽いパイプ系リムはスポークテンションが そもそもあまり上げられず、
スポークテンションによるリム穴の変形も大きいので
レボリューションでも うにょーん発生前にホイールが組み上がります。

リムの変形というのは上の図で言うと天井が重みでひずんでくるような状態を指します。
このリムの変形はスポークテンションをスポークと分かち合うので
スポーク側にかかる負担が軽減され、降伏点も破断点も(ほんの少しだけ)
先送りになるのではないか、という考えが私の中にあります。
経験的にはどうも肉厚の薄いリムほど うにょーんが起きにくい気がするからです。

うにょーんを出さない技術というのは
「うにょーん以前でホイールを組み終える」か
「そもそも うにょーんが出にくいスポークを選ぶ」ことを
技術と呼ぶならありえますが、
「あるスポークテンションで必然的に出るうにょーんを
組み方(技術)で回避する」ことはありえないと思います。

同じRK(ニップルがリムを食い破ろうとする力)のとき、
タンジェント組みよりもラジアル組みのほうが低スポークテンションになるので
例えば前輪をタンジェント組みしないことで うにょーんを出にくくする、
というのは一見「技術」に見えますが
スポークそのものの降伏点が変わったわけではありません。
そのままさらにスポークテンションを上げていけば
いずれ うにょーんが出ますが、その閾値が組む人によって
変わるというようなことはありません。

category: スポークテンションの話

tb: 0   cm: 1

コメント

承認待ちコメント

このコメントは管理者の承認待ちです

# | 
2013/12/25 12:44 | edit

コメントの投稿

Secret

トラックバック

トラックバックURL
→http://pass13.blog.fc2.com/tb.php/801-28141054
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

検索フォーム

最新記事

最新コメント

カテゴリ

月別アーカイブ

リンク

カウンター