のむラボ日記

自転車工房「のむラボ」のブログです

ゾンダG4先生  

先日、私がここで書いているようなホイールの理屈は
理が先にあって結果が付いてきたわけではなく
度重なる試行の果てに得られた どうも確からしいと思われる結果に対して
理の方を後付けで考えていると書きました。

ホイールやその他パーツに関しては、もうひとつ別の観点から
より良いものを作るためのヒントが得られることがあります。
「他人の作ったものを見て、なぜそうしたのか考える」というのがそれです。

例えば1999年の初代キシリウムです。
フリー側をラジアル組みするという発想は
それまでの自転車100年の歴史の中に無かったものです。
(少なくともキシリウム以前に 定着してよく知られたものはありません)
で、一見そういう掟破りで不可思議なことをしているのを見て
「何でこれ、こんなことしているんだろう」という理由を
考えることがヒントになります。

DSC07589amx.jpg
マヴィックではフリー側ラジアル組み
(厳密には疑似ラジアルの場合もあるので0本組み)のことを
ISOPULSEと呼んでいますが、
イソパルスのメリットを書いているものの
なぜそうなるのかについては触れていません。

DSC07587amx.jpg
↑タンジェント組みの場合、最終交差する2本のスポークの
引っ張り方向の合力は上の図のようになりますが、
これはラジアル線上にあるので ラジアル組みなら斜め方向の損失無しに
この合力方向の引っ張りが得られます。
ということはタンジェント組みは 合力(上の図のF3)を得るのに
ラジアル組みよりも 大きな力で引っ張る必要があり、
大きな力でということはスポークテンションが上がるということです。
ということはラジアル組みのほうがスポークテンションが低くなるということであり、
フリー側をラジアル組みにすると 反フリー側のスポークテンションとの差が
相対的に縮まるということです。
というのが私なりの解釈ですが、マヴィックのカタログにはここまで書いていません。

で、これは大きな刺激になりました。
私の言う左右異本組みというのは ある意味「手組みにおける疑似イソパルス」です。
これが無ければ 例えば32Hの後輪なら 左右6本組みで組むことに何の疑問も感じず
一生6本組みでホイールを組み続けていたかもしれません。

イソパルスの意味するところはフリー側ラジアル組みだけでなく もう一つ、
反フリー側をほぼ接線方向で引くというのも含まれます。
ここでいう接線とはハブフランジに対しての接線で、
私が言うところのまぎらわしい最接線組みや真の最接線組みとは異なります。
なぜ私が反フリー側のスポークの伸長方向を、
「あるハブとリムとスポーク本数のときに
スポークがハブフランジの接線に最も近しくなるn本組み」にせず
「とにかく可能な限りnが大きくなるn本組み」にするのかは
ここには書けません。
仮にキシリウムの後輪が24Hであったなら
イソパルス的解釈ではゼロヨン組みになります。
が、私の左右異本組みではゼロロク組みになります。
マヴィックが間違っているというのではありません。
メリットデメリットを取捨選択すると私なりの解はそうなるということです。
マヴィックがイソパルスを詳述しないように
私も左右異本組みを詳述しません(笑)。

コールの後輪のときに書きましたが、完組みといえど ほとんどの後輪は
「20Hか24Hのハブでヨンヨン組みかヨンゼロ組みしてるだけ」です。
それにメーカーのロゴ入りステッカーが張ってあるというだけです。
こういうホイールは面白くないですね。
WH-7700系やR-SYSのように、デメリットが明らかに見えているような
ホイールでも「普通じゃないこと」をしているホイールのほうが
見ていて面白いです。

で、そろそろ表題の回収に入ります。
DSC07591amx.jpg

DSC07592amx.jpg
↑ここにカンパニョーロの1998年から2007年までのカタログがあります。

ある時期から1997年まで カンパニョーロのカタログには
Tecnologia ed emozioneというキャッチコピーが
表紙に書いてあったのですが
1998年からはTechnology and emotionと英語に変わり
2002年からは なくなりました。

それはいいとして ゾンダの変遷だけを見ていくことにします。

DSC07593amx.jpg
まずは1998年。
シャマルが前後12Hというエアロホイールだったときに
それより下位グレードで前後16Hのエアロホイールとして出ていました。

DSC07594amx.jpg
次に1999年。
ブラックリムになりハブの仕様が変わりました。
CULTが出たのはずっと後ですが、
この年以降のホイールからCULT化が可能です。
DSC07595amx.jpg
仕様というか重量的にはゾンダのほうが軽いのですが、
カタログ順ではヴェントのほうが先になっています。

DSC07596amx.jpg
2000年は カタログ落ちしました。

DSC07598amx.jpg
2001年は ハイプロファイルのホイールはボーラとシャマルのみ、
ミディアムプロファイルのホイールはまだありません。
この頃までは完組みがスペシャルなものという位置付けだったので
練習用は手組み、スポーク数が少なかったり市販のリムではありえないリム高
(といっても40mmとか50mmとか)は完組み、という棲み分けがあったのです。

DSC07599amx.jpg
2002年からミディアムプロファイルのホイールが出てきました。
ゾンダはG3ホイールとして復活です。
この年くらいから完成車に組み込まれるような価格帯の
カンパニョーロホイールというのがそろってきています。

DSC07600amx.jpg
で、前輪もG3なんですね。
このときのミディアムのフラッグシップはエウラスですが、
エウラスはラジアル組みです。
前輪のG3組みは、はっきり言って単なるファッションです。
理屈を伴っていません。ペアスポークが目新しいから、ただそれだけのことです。
後輪と違いスポーク数が右2:左1とはいきませんから、
左右同数になるよう右2:左1の隣は 右1:左2の逆G3にしないといけません。
で、G3の束の総数が偶数でないと左右同じ本数にならないので
G3×7の21Hや G3×9の27Hにはできません。
この年のゾンダの前輪はG3×6の18H、シロッコがG3×8の24Hです。


~2003年はこの記事の主題なので後回し~


DSC07605amx.jpg
2004年は前輪のG3をやめてラジアル組みに変更になりました。
シロッコはあいかわらずG3の前輪です。
エウラス寄りのスペックになったということですね。

DSC07608amx.jpg
2005年は変更無しです。

DSC07610amx.jpg
2006年はフルクラムが本格デビューした年でもあるのですが、
ニップルを磁石で呼ぶ仕様に変更になり リムテープが要らなくなりました。
2:1のレーシング3か G3のゾンダか、という選択肢になっています。
この年からシマノフリーも選択可能になりました。
画像はシルバーバージョンですがブラックもあります。

2007年はゾンダに関しては同スペックなので割愛します。
シャマルウルトラゴールドが出た年です。

DSC07611amx.jpg
で、問題の2003年です。
この年だけゾンダG4という前輪があるんです。

DSC07612amx.jpg
DSC07613amx.jpg
G4組みは2003年のゾンダの前輪だけです。

DSC07614amx.jpg
どうなっているか分かりにくいので 同年のスペアパーツカタログより
組み方の図解を。
AスポークとBスポークがありますが Aが反ヌポークラジアル、
Bが自分から見てヌポークヤマアラシさん方向になっています。
図ではハブの左から見た図になっていますが(玉当たり調整ナットがあるので)、
自分から見て近い側が常にヤマアラシさん方向というのは
要はJIS組みになっているということです。
前輪をランダムにはめても性質の違いが出ないように表裏をなくす、
という配慮なのでしょうが 何となく気持ちが悪いです。

067.jpg
私は基本的に資料は自分で用意することにしているのですが
(メーカー・ショップ・個人など 他人様の画像を使わない)、
こればっかりは現物の画像がないので
ネットで見つけてきました。

064.jpg
ハブの穴は均等間隔ですが 反ヌポークラジアルと
ヌポークJISタンジェント側のみが混在しているのが分かるでしょうか。

063.jpg
↑バルブ穴は束の真ん中にあいています。

DSC07616amx.jpg
ゾンダG4の作り方
まず、ヌポークラジアルの前輪と JIS組みの前輪を用意します。
ともに20Hなので 足すと40Hの前輪ができあがります。
右辺のごちゃごちゃした物体がそれです。

DSC07618amx.jpg
両辺とも2で割ります。
これの右辺がゾンダG4です。
ちょっと戻って画像を見てもらうと
「40Hからスポークを間引いた20Hの前輪」なのが分かると思います。

DSC07620amx.jpg
ハブ穴の位相がずれているのが気持ち悪いので
間引いたスポークの穴を消した上で均等間隔にします。

というのがゾンダG4の構造なのですが、
ここから後付けでメリットを見出しましょうというのが お題です。
難しいですね。私もこれのメリットを説明できません。

DSC07621amx.jpg
G4の一束だけを描いてみました。
Aスポークだけのホイールであったなら
ロルフ的ペアスポークのホイールのようにも見えますが、
BスポークとしてJIS組みのヌポークが間に割って入っています。
AスポークとBスポークですが、スポークテンションは同じにはなりません。
同じにならないからイソパルスや左右異本組みが成立します。
片側のフランジで違う組み方を混ぜると スポークテンションの違いや
乗車時にかかるストレスの違いで、顕著にゆるむスポークが出てくることになるはずです。


このBスポークがせめてイタリアン組みのヌポークであったなら
回転方向に対して左右のABスポークの挙動は同じになると思うのですが、
ホイールに疎い人が前輪を適当にはめてもいいように表裏のない
BスポークJIS組み相当にしている事情も理解はできます。

ダウンロード
コリマでヤマアラシさん方向のスポークだけのホイールがありますが、
スチールスポークで剛性担保は無理なのでカーボンスポークになっています。
これは見方によっては「イタリアン組みから 反ヤマアラシさん方向の
スポークを間引いた」形になっています。
理に走りすぎな感はありますが、面白いですね。

DSC07622amx.jpg
↑話をG4に戻します。
こちら側から見てハブの回転方向が時計回りになると
進行方向は右向きになりますが、
そこからハードブレーキングしたとすると
進行方向右側のフランジのBスポークはテンションが張る側になりますが
反対側はテンションが抜ける側になります。
これを前輪のローテーション無しで(いや、普通そんなことはしませんが)
継続使用すると左右のBスポークで首折れを起こす確率などが
変わってくると思います。
駆動輪ではないとはいえなんとなく嫌ですね。
この状態からリム穴も均等間隔にしてAスポークをラジアルではなく
Bスポークと拮抗するようにタンジェント組みすると
「普通のJIS組みの前輪」になりますが
JIS組みはヌポークの左右の挙動が違うのが嫌だ、
それなら逆イタリアン組みの方がまだましだ、
というのが私の個人的見解なのでこのゾンダG4は受け入れがたいものがあります。
でも欲しい。

何が言いたいかというと片側のフランジで違う組み方を混ぜるのはNGということです。
この記事のカテゴリの「ハブの片側で異本・異径組みをする話」のうち、
異本組みの実例の話でした。

つづく

category: ハブ片側で異本異径組みする話

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