のむラボ日記

自転車工房「のむラボ」のブログです

右フランジ幅VS左右異本組み  

今日もホイー(以下略)。
DT585のリムで後輪を2つ組みました。
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その前に。リムはDT585、スポークはDTコンペ、ニップルはしんちゅうで
ハブ以外の材料は全く同じです。
ハブはひとつがFH-7402デュラエース、
もうひとつがFH-T660 LXのハブをOLD130mmに加工したものです。

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右のフランジを揃えると
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LXのほうが かすかにフランジ幅が広いのが分かります。
この程度ではホイールの横剛性には大差ありませんが。

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今度は右エンドで合わせます。

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改造LXハブのほうが右フランジ幅が非常に狭いです。
OLD135mmのハブを130mmに加工すると
純正ロード用ハブ比でこのような状態になります。
右フランジ幅の実際の差は2.2mmです。
昨日書いたことと関連しますが、シマノ11S用ハブの多くは
フリーボディを長くした結果 この改造LXと同じくらいの
右フランジ幅になっています。

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組みました。
これは同じお客さんのホイールで、一応お客さんではありますが(←一応言うな)
古くからのレース仲間ということもあり
多少は実験的な試みも了承していただいています。
デュラエースハブのほうはロクロク組み、
改造LXハブのほうはヨンパチ組みで組みました。

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↑改造LXはヨンパチ組み

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↑デュラエースはロクロク組み

デュラエースのロクロク組みですが、要は普通の6本組みです。
左右同じスポークなので見かけ上のスポークテンションを比較することが
できますが、フリー側121:反フリー側95となりました。
これを基準とします。
(反フリー側がフリー側の約78%ですが、
換算後の真のスポークテンションが100:78になるわけではありません)

次に改造LXのヨンパチ組みですが、デュラエースのロクロク組みと
フリー側のスポークテンションを合わせるように組みました。
こちらはヨンパチ組みなので反フリー側のスポークテンションが
より高く組めることが期待されます。
結果はフリー側125:反フリー側98でした。
あれ?ほぼ同じですね。

右フランジが約2mm内寄りになって オチョコの条件が悪くなったのを、
ヨンパチ組みでほぼ相殺しただけの結果になりました。


最近のシマノ11Sハブの右フランジ幅は
この改造LXと同じ程度であることが多いですから、
最近のハブで左右同本組みはちょっと厳しいのでは、というのが私の結論です。

category: スポークテンションの話

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ホイールのスポークテンションの左右差の話 その4  

リヤホイールの剛性バランスの左右均一化の話の続きです。
横剛性確保のためにオチョコ量は 思いっきりひどくする、
それによって生じるスポークテンションの左右差は
何とか考えるとして、その「何とか」の具体策をこれまで出してきました。
オフセットリム、ハイローフランジハブ、スポーク本数を左右で変える(2:1)、
組み方を左右で変える(完組みではフリー側ラジアル組み、
手組みではヨンロク・ヨンパチ組み)などありましたが、
どうしたところで剛性が左右均一になったり 反フリー側が強くなったりはしません。

しかし こうした策をやるとやらないでは出来あがるものが全然違ってきます。
今日は最後の悪あがき、スポークの太さについて。
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反ヌポークラジアル組みの前輪を考えてみます。
スポークの通し方は別にヌポークでも構いません。
深い意味はありません。

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スポークの先に、省略していたニップルを書き足して、
左右別々に考えることにします。

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以前書いたことと同じですが念のため。

スポークがどれだけ張っているのか調べたいとき、
スポークの張り具合はスポークの変形量に比例するので、
スポークの変形量からスポーク張力を調べることができます。
これは専用の計器を使えばすぐにわかります。
これによって得られる数値、スポークテンションを
以後「ST(スポークテンション)」と呼ぶことにします。

スポークテンションが増せばニップルの首元がリムを食いやぶろうとする力も
増します。これを以後「RK(RimをKuiやぶる力)」と呼ぶことにします。

リムのメーカーは 自社のリムそれぞれに対してSTの上限を定めていますが、
これはリムのスポーク穴に力がかかりすぎてリムが破損するのを
防止するために定めています。本当はRKを計測できればいいのですが、
実質 不可能なので RKに比例すると考えられるSTのほうで
上限値を定めています。

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向かって右側のスポークで考えます。
ある太さのスポークで100STに張ったとき、
リムに100RKのストレスがかかるとします。

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スポークの太さが同じであれば左側も同じになります。

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↑話は変わりますが、上の図のような状態を考えてみます。
天井(リム)から吊るした2.0mmのスポークと1.8mmのスポークに、
同じ重さのおもりを付けたとします。
スポークの長さは同じです。
1.8mmのスポークのほうが細い(断面積が小さい)のですが、
同じ重さをより少ない面積で受けるので、スポークにかかるSTは
1.8mmのスポークの方が大きくなります。

ニップルの首元にかかるRKは、おもりの重さが同じなので 同じです。
(厳密にはスポークの自重が違うので、完全に同じではないですが)

ここで重要なのは、細いスポークほど1RKあたりにつき
必要とするSTが大きくなるということです。

DSC90572amx.jpg
話をもどします。
先ほどの図で、向かって右側のスポークを2.0mmのプレーンだとします。
それを100STで張ったとき、リムに100RKのストレスがかかるとします。

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向かって左側のスポークを全て1.8mmのプレーンにしました。
それを100STで張っても、リムがセンターに来ません。
リムがセンターに来るのは左右のRKが釣り合ったときです。
上の図で左側のRKが約90としているのは概算で、
100以下であるということは間違いないです。

DSC00576amx.jpg
リムがセンターに来ているのかどうかは、
RKを測らなくてもリムセンターゲージで確認できます。
リムを実際にセンターに持ってきました。
このとき、左右のRKは釣り合いますが STは釣り合いません。
上の図で左側のSTが約110としているのは概算で、
100以上であるということは間違いないです。

左右でスポークの太さを変えた場合、
細いスポークの側のSTが高くなります。


これをリヤホイールのスポークテンションの左右差を是正する為に
使えないかというのが今回 私の言いたいことです。

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↑これは私のエッジ1-68リムで組んだホイールです。

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反フリー側反ヌポークラジアル組みです。
自分で組んでおいて こう言うのもなんですが、
全然気に入っていません(組み方の話です。リムは気に入っています)。
そのうち組み直すかもしれません。

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フリー側を2.0mmプレーンスポーク、
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反フリー側を星のエアロスターブライトIII型で組んでいます。
これぐらいのリム高であっても私はフリー側を2.0mmプレーンで
組むのが好きなんです。
このホイールの場合は反フリー側ラジアル組みなので
フリー側に太いスポークを使ったくらいでは
左右のテンション差を是正とはいきませんが、
フリー側に発生するペダリングによる フリーボディのねじれに
少しでも耐えてほしいという思いからこうしました。

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ものすごく乱暴な話なので私は支持しませんが、
「リヤリムやリヤタイヤの前面投影面積に隠れるスポークは
整流効果にあんまり関係ないよ説」というのがありまして、
この理屈が本当ならアルミスポークの完組みホイールの角ばった大きなニップルも
(ホイールの外周部でありながら)空気をかき乱さないということです。
エヘン虫もびっくりです。
ここまでは主張しませんが、フリー側はスポークがほぼ直立しているので
反フリー側よりは 丸スポークを使うことの空力的なデメリットは少ないかも、
と思っています。

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↑私が一番 気に入っている手組みの後輪はこれですが、
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フリー側を2.0mmプレーンの4本組み、
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反フリー側をサピムのCX-RAYの8本組みでヨンパチ組みにしています。
この場合は左右のスポークの太さを変えることで
左右の剛性バランスを近づけることを意識しています。
8本組みも普通の8本組みではなく Wクロスで結線ハンダ付けしていますが、
Wクロスで結線すると、スポークが1本飛んだ時、片側すべてを換える羽目になるので
オススメしません。自分のだから しているだけです。

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スポークの太さを左右で変えるという仕様は、のむラボホイールに反映していません。
ちょっとしたデメリットがあるからです。
スポークの重さを2.0mmプレーンスポークを基準にして 概算する話(→こちら)を
書いたことがありますが、これを使います。

2.0mmプレーンスポークの断面積は、半径×半径×円周率になりますから、
1.0×1.0×π(パイ)で 1π平方ミリメートルになります。

1.8mmプレーンスポークの断面積は、同様に
0.9×0.9×πで 0.81π平方ミリメートルになります。

スポークはまっすぐな部分以外に 首元とねじの部分があります。
スポークの同じ長さ当たりの重さ(ここでは比重と呼ぶことにします)を
2.0mmプレーンスポークで100とした場合、
1.8mmプレーンスポークの比重は(私調べでは)82.6になりました。
各メーカーごとの 自称ステンレススポークのスチールとクロムとその他微量元素の
配合比は同じではないでしょうが、概算する分には ほぼ同じと言っていいと思います。
2.0mmからみた1.8mmスポークは断面積比で81%、
比重で82.6%ですから、比重≒断面積と見なせそうです。
サピムCX-RAYは薄い側が0.9mm、扁平な側が2.3mmなのですが、
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0.9×2.3mmに収まるスポークの形状と言っても様々です。
0.9×2.3mmと聞いても断面積を求めることは出来ません。
上の図では2種類の0.9×2.3mmを描いていますが、
実際の形状に近いのは上側ですね。
サピムCX-RAYの比重はDTチャンピオン2.0の65%なので、
断面積もおおよそ65%前後と言えそうです。

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すでにばらして 後輪に組み換えていますが、
私のインプレ用のむラボホイール1号の前輪に使っていた20本のCX-RAY、
DSC00578amx.jpg
量ってみると全部で89gあります。
10本で44.5gですが、片側をDTチャンピオンにしたとすると
10本で68.4gになる計算です。
これは前輪での概算ですが、スポーク1本に付き2.4gほど
ホイールの全体重量が重たくなってしまうんですね。
24Hなら片側の12Hで30g弱 重たくなります。
これは外周部重量ではないので私は気にしませんが、
「ホイールの前後セットで1500g」みたいな大雑把な品評にさらされたときに
「うーん微妙に軽くないな」と思われちゃうんです。
実はより走るための(と私が思っている)工夫の結果の重量増なのに、
単純にカタログ重量だけで判断された場合の見栄えが不利になるので
のむラボホイールでは左右異径スポークを採用しませんでした。

シマノのWH-7950-C24-CLのリヤホイールのスポークは、
左右同じ長さ(302mm)ですが 左と右で品番が違います。
右が2.0-1.8-2.0のエアロスポーク、
左が2.0-1.5-2.0のエアロスポークです。
これはWH-6700およびWH-RS80-A-C24でも同様です。
右だけ太いスポークなのはテンション差の是正が目的ではなく、
フリーのねじれに耐えるためだと思われます。
しかし、左右同じ長さなら右スポークを左と同じものに組み換えたら
もっと軽くなるのでは・・・などと考えてしまいますね。
なんとWH-9000-C24-CLでは
左右とも2.0-1.5-2.0になってました。くそー私が先に考えたのにー(多分)

カンパニョーロのハイペロンやニュートロンも左右異径スポークです。
当然フリー側が太いスポークになっています。
「俺は単純な重量に騙されないぞ、左右異径がいいんだ!」という方は
そういう風にホイールを組むこともできます。ぜひご相談ください。


パークツールのスポークテンションゲージは、
スポークの変形量をみて、スポークの太さごとの換算表と照らし合わせて
スポークテンションをkgfで求めるように出来ています。
そこからちょっと数字を抜粋。
2.0mmプレーンの 76kgf≒1.8mmプレーンの 99kgf
2.0mmプレーンの 85kgf≒1.8mmプレーンの111kgf
2.0mmプレーンの 95kgf≒1.8mmプレーンの124kgf
2.0mmプレーンの107kgf≒1.8mmプレーンの138kgf
2.0mmプレーンの121kgf≒1.8mmプレーンの155kgf
となっています。
これは同RKのときのSTと見なしていいでしょう。
冒頭の図では私の感覚で2.0mmプレーンと1.8mmプレーンの
テンション差は1割くらいに描いていましたが、この表では約3割の違いがあります。
左右異径スポークはスポークテンションの左右差の是正に
それほど大きな働きをしていないと思っていたのですが、
実はそうでもないのかも知れませんね。


のむラボホイールではDTコンペティションの2.0-1.8-2.0を使っています。
2.0mmプレーンの90.3%の重さのスポークです。
ここで、右を2.0mmプレーンにするのではなく、
左をCX-RAYにすることで「軽くしつつ左右是正」を狙えますが、
丸スポークの方がきれいに結線できるという問題もあり、
「あちらを立てればこちらが立たず」の葛藤があります。
いや、本当に難しいですね。あと、値ごろ感のあるものにしたいという考えもありますし、
同価格帯で最軽量のものにしたいという思いもあります。
いろいろ考えた結果が現行の のむラボホイールです。うーん悩む。

category: スポークテンションの話

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ホイールのスポークテンションの左右差の話 その3  

スポークテンションの左右差を是正する話の続きです。
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↑毎度おなじみ、
「ホイールのリムをスポークの穴振りを縫うように交互に避けて切開し、
二枚貝のように開いた状態をリムのブレーキゾーン側から見た図」です。
ついでに言うとイタリアン組みです。

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ありとあらゆる手を尽くしたところで、スポークの角度がオチョコになっている以上
ホイールの剛性バランスの左右差(スポークテンションの左右差ではない)が
均一になることはありません。
極端な話、フリー側のハブフランジをリムにごく近いくらいの
超ラージフランジにすれば、左右のスポークのテンションがそろうことは
あると思いますが、スポークのテンションを均一にする=左右のホイールバランスが
均一になるわけではありません(差は縮まりますが)。
現実的な構造では完全な剛性バランスの均一化は無理ですね。

私のWフリーリヤホイールは完全な均一化(オチョコなし)を果たしていますが、
それは弱い方に合わせているだけであって 剛性がホイールの性能の第一義で
ある以上「意味のないバランス均一化」です。

オチョコはひどく、でもスポークテンションの差は小さく、が理想のホイールです。

DSC00385amx.jpg
左右のスポークテンションを同じにすれば 左右の剛性バランスが是正されるとして、
今まではハブやリムなどの構造に手を出していましたが、
ここでは「スポークのテンション」という点だけに注目して
均一化する方法を考えてみます。

フリー側のスポークテンションの総和より、
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反フリー側のスポークテンションの総和の方が低いわけですから、
DSC00387amx.jpg
反フリー側のスポーク本数そのものを間引いてやれば
スポーク1本当たりの分担テンションが上がります。

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これによってスポークテンションが左右同じくらいになるとすれば、
ホイールの剛性バランスも均一に近づくはずです。

DSC00391amx.jpg
ただ間引いただけではスポークの穴位置の位相が狂いますから、
専用のハブフランジ穴を持つハブと 新しい穴数のリムが必要です。

そのあたりも再調整してスポーク本数の割合も
フリー側:反フリー側で2:1にした最初のホイールは・・・
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フランスのローヴァル(ROVAL)です。
フルクラムではありません。
現在のローヴァルブランドはスペシャライズド傘下でホイールを作っているようですが、
そのホイールも2:1スポークになっています。
上の画像のホイールは1990年代初め頃のモデルで、
オーバーロックナット寸法126mmのボスフリー仕様です。
この時代にこんなことを考え付くメーカーがあったんですね。
しかもこれ、専用形状のストレートスポークにリム内蔵ニップルで
ハイローフランジ、穴数は18Hという なかなか ぶっ飛んだスペックです。
これも手組みではないという意味では完組みホイールの一種ですが、
ヘリウムほど売れなかったので「最初のマスドロードレース用完組みホイール」
として認知されるには至りませんでした。
これ以降2006年のフルクラムまで このスポークアレンジメントを押し出した
ホイールが出なかったことを考えると、早すぎた名作です。
(フルクラムの出た年までローヴァルのパテントが効いていたという可能性もありますが)

DSC00394amx.jpg
2:1スポークアレンジメントで手組みホイールを組んでみたいとは思うのですが、
ハブを専用設計にする必要があるので、なかなかできません。
仮に32Hのハブでフリー側16H、反フリー側8Hで24Hのリムを組もうとしても、
ハブとリムの位相が合わないのできれいには組めません。

私の知っている唯一の例外がこのヴァーチカルデサントです。
ハイロー気味のフランジに両側で36Hのスポーク穴がありますが、
DSC00396amx.jpg
フリー側24H、
DSC00397amx.jpg
反フリー側12Hとなっています。
現状、36Hのリムの多くはセミエアロ形状ですらないローハイトリムでしょうから
普通はリムのスポーク穴に穴振りがあります。それを無視して組む形になるのが
ちょっと気持ち悪いですが、アイデアは面白いです。

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私のWフリーリヤハブは同じハブを2つ買って、
ちょうど真ん中で切ったものを
DSC00399amx.jpg
くっつけてます。

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これを32Hと16Hの同じモデルのハブでやるとします。
フリー側に32H(片側16H)、反フリー側に16H(片側8H)の
ハブフランジを持つボディ同士をくっつけます。
これで24Hのリムを2:1で組めないでしょうか。

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元32Hのハブボディの16個のスポーク穴は、当然均等な間隔であいています。

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ホイールの位相の4分の1の図を書くと、
片側16Hなので90°分では4Hになります。
リムは24Hなので90°分では6Hになります。

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フリー側からリム穴まで最短距離でスポークを張りました(上の図の青い線)。
ラジアル組みで、と書かないのは、これはラジアル組みではないからです。

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私のWフリーハブの場合、左右のハブボディを接着していないので
片側がもう片側に対して回転し、位相を調整することができます。
そうして反フリー側の8Hをラジアル組みで張りました(上の図の赤い線)。
フランジ穴は左右重ね合わせで描いています。

DSC00410amx.jpg
反フリー側はリム1周8Hに対してハブフランジ1周8Hが
均等な間隔でお互い対応しているので、ラジアル組みになります。
赤い線で描いたスポークを内周部に延長すると、ハブ中心を通ります(ラジアル線)。

DSC00414amx.jpg
フリー側ではそうはなりません。ハブフランジから出たスポークに対応する
リム側のスポーク穴の間隔が、1:2:1:2・・・と規則的に不均等になっているためです。
この疑似ラジアルは初代キシリウムのフリー側の疑似ラジアル組みに似ています。
首折れスポークで組む以上は、フリーボディのねじれに耐えるよう
ラジアル組みや疑似ラジアル組みはまずいですから、タンジェント組みに
しなければなりません(上の図の青の破線)。
これだけのことをする手間は、得られるメリットから考えれば
単なる徒労といってもいいですね。
手組みホイールに限っては、無理して2:1組みを考えるよりは、
ヨンロク組みやヨンパチ組みのほうが手軽に
ホイールの左右のバランスを是正させる方法として妥当です。

2:1スポークアレンジメントは実質 完組みホイールの特権ということです。
フルクラムの場合はそれに加えて異常なハイローフランジ(ほめ言葉)と、
モデルによってはオフセットリムを採用しています。
うーむ やりおる・・・。

category: スポークテンションの話

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ホイールのスポークテンションの左右差の話 その2の補足  

先日の話にちょっと補足です。

補足そのいちーっ!(←夜のテンション)
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キシリウムはフリー側がラジアル組みだと書きましたが、
上の画像を見れば分かる通り、厳密には違います。

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ハブ側のスポーク穴の位相を少し絞った形状になっているんですね。

DSC00265amx.jpg
ハブの中心と リムのスポーク穴をまっすぐ結んだ線(ラジアル線)から
このように逸れています。
しかし、おおむねラジアル組みと言っても差し支えないので
フリー側ラジアル組み、と表現しました。
これは初代キシリウムですが、現行のキシリウムエリートも
こういう疑似ラジアル組みになっています。

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キシリウムES以降のキシリウムは完全なラジアル組みです。


補足そのにーっ!きぇえぇぇー!!(←疲れています)
DSC00270amx.jpg
タンジェント組みするに当たって、片側のハブフランジを二分した線
(上の図の赤い線)に最も近い穴から通したスポーク同士で交差させる
場合を考えてみます。

DSC00271amx.jpg
↑こうですね。向かって右の穴から出ているのがヌポーク、
左の穴から出ているのが反ヌポークです。

DSC00273amx.jpg
ヌポークの穴から、もしラジアル組みしたらこの軌跡になるよという線、
ラジアル線を書き足します。

DSC00275amx.jpg
そのラジアル線とハブフランジの外周部が接したところから
直交する線、円の接線を書き足します。

DSC00276amx.jpg
ヌポークと円の接線の角度が平行に最も近くなるのは、この組み方です。
ラジアル線から逸れれば逸れるほど(=接線に近づけば近づくほど)
スポークのテンションが上げられるので、スポークテンションの左右差を
是正するには反フリー側を出来るだけ接線に近くなるよう組めばいい、
という話を先日しました。

DSC00277amx.jpg
もしこれが24Hのハブであれば、6本組みになります。
6本組みでスポークが接線にどれだけ近づくかというのは、
スポークの穴数によって変わってきます。

DSC00278amx.jpg
↑32Hの6本組み

DSC00279amx.jpg
↑100Hの6本組み
これは極論ですが、スポークを通している穴がハブの二分線から
かなり離れてしまっています(=接線から遠い)。

DSC00280amx.jpg
ハブの二分線に最も近くなる組み方は、実質 上の3種類だけです。

DSC00282amx.jpg
この3つの組み方は、接線との関係がほぼ同じです。

DSC00284amx.jpg
ほぼ同じ、と書いたのは、ハブの穴数が増えれば増えるほど
穴の間隔が狭くなるので、最も二分線に近い穴が
より二分線に近くなるからです。

DSC00286amx.jpg
32Hと36Hで8本組みした場合、32Hは二分線に近い2つの穴から
スポークを通す形になりますが、36Hではそうなりません。
「じゃあ36Hは9本組みしたらいいじゃん」と思うところですが、
タンジェント組みは ヌポークと反ヌポークを交互にハブフランジに
通している形になっています。9本組みではヌポーク同士、
または反ヌポーク同士を交差させることになり、組むことができません。
3本組みや5本組みや7本組みが出来ない理由も同様です。

ある特殊な形状のハブフランジの場合は
5本組みや7本組みがありえます。
また、18Hのリヤハブで18Hのリヤホイールを組む場合は3本組みが必要です。
18Hのリヤハブというのは極めて珍品ですが存在します。

DSC00311amx.jpg
毎度おなじみ「x本のスポークでy本組みができる範囲はy≦x/4」を使って、
x(スポーク本数)が8本から40本までの範囲で、何本組みできるか
書き出していきます。

DSC00312amx.jpg
その前に。表からは除外しませんが、8Hのホイールというのを
見たことがないので ×を入れておきます。
650Cでなら見たことがあるのですが、700Cでは知らないので。
同様に、30Hと34Hと38Hも×です。
他は存在する穴数です。珍しい穴数の例を挙げると
10H ロルフプリマTT8の前輪
14H 初代ボーラの前輪
22H ハイペロンとニュークリオンとニュートロンとプロトンの前輪
26H ヘリウムの前輪
などです。

DSC00313amx.jpg
まずは0本組み(ラジアル組み)から。
穴数に関係なく組めます。

DSC00314amx.jpg
続いて2本組み。8Hから組めます。

DSC00315amx.jpg
4本組みは16Hから組めます。

DSC00316amx.jpg
6本組みは24Hから組めます。

DSC00317amx.jpg
8本組みは32Hから組めます。

DSC00318amx.jpg
10本組みは40Hから組めます。
なんとなく形が見えてきました。

DSC00319amx.jpg
これらのうち、「初めてy本組みできるようになった」という
穴数を青い○で囲ってみます。

DSC00321amx.jpg
それ以外を消します。
この5つは、x/4ではなく yx/4になります。

DSC00322amx.jpg
8Hの手組みホイールを組むことはまずないでしょう。
40Hのハブやリムはオールドパーツに存在しますが、
これも まず組むことがないので除外します。
y=x/4が成立する この3つが、ハブフランジの二分線に最も近い
2つの穴から通したスポーク同士で組める組み方のうち、
現実的に組むことのできる穴数です。

DSC00282amx.jpg
実はこの画像、2度目です。
この3つの組み方を「最接線組み」と勝手に名付けます。

~32Hのヨンパチ組みが 手組みホイールでスポークテンションの左右差を
軽減する最高の組み方だと思います。36Hでもヨンパチ組みは可能ですが、
なぜ32Hの方がいいのかは後日書きます~

という先日の文章ですが、36Hでは最接線組みが出来ないので
反フリー側を32Hで8本組みするのが最高の組み方だと書いたのでした。

category: スポークテンションの話

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ホイールのスポークテンションの左右差の話 その2  

やっとここまで来た!
これから書くことは私の総論に近いです。
まだまだネタはありますが、これを書くためにヌポークだのなんだのと
これまで書いてきました。例によって めっちゃ長いです。
DSC00177amx.jpg
リヤホイールのスポークテンションの左右差について、
前回はホイールを前後方向から見た場合の 是正方法について書きました。
答えはオフセットリム、ハイローフランジということでしたが、
今日はホイールを左右方向から見た場合についてです。

DSC00178amx.jpg
この図ではヌポークラジアルのスポークを描いていますが、
DSC00179amx.jpg
ラジアル組みのスポークは横方向から見た場合のスポークの延長線
(上の図の赤の破線)がハブの中心を通ります。
これを今後「ラジアル線」と呼びます。
円の半径から取り出した線分という見方も出来ます。
アマチュア無線の世界でもラジアル線という単語が存在しますが、
全く関係ありません。私の造語です。

DSC00181amx.jpg
次にヌポークと反ヌポークで4本組みした場合を考えます。

DSC00182amx.jpg
ヌポークのハブ穴から見たラジアル線はこのようになります。

DSC00183amx.jpg
見づらいので反ヌポークを消してヌポークだけにしました。
ハブから出たスポークが最も直接的にリムを引っ張るのは
スポークがラジアル線の上に重なったとき(ラジアル組み)になります。
そこからタンジェント組みの 組み数が大きくなってスポークが
ラジアル線から逸れれば逸れるほど、スポークテンションの損失が発生します。

DSC00187amx.jpg
スポークテンション(スポークのピーンとした張り具合)は
上の図のような方法でたわみ量を見ることで計測できます。
太いスポークほど変形しにくい(たわみにくい)ので
実は 一意的な測定方法ではないのですが、
他に方法もないのでこのように計測します。

DSC00188amx.jpg
↑この図はリムとハブが90°直交していることになるので
おかしな図ですが、そこはノー ツッコミでお願いします。

DSC00189amx.jpg
ニップルを締めるとスポークテンションが増大します。
(上の図の赤い矢印)
それと同時にニップルの首元がリムに対して食いつきます。
(上の図の青い矢印)

DSC00190amx.jpg
ここから際限なくスポークテンションを上げていったとすると、
リム・ニップル・スポーク・ハブの4つのうち
どれかが破損してホイールとして使えなくなります。

ハブが弱いと、ハブフランジがちぎれます。
組んでいる最中でなったことはないですが、
ラジアル組みで組んだ後に時間が経ってちぎれた例は本当にあります。
4つのうち一番起こりえない現象です。

スポークが弱いと、首折れ部分でちぎれます。
これも組んでいる最中にはまずならないですが、ホイールを使っていて
スポーク折れが起きることはありますね(金属疲労)。
使い込んだホイールを振れ取りするとき、ニップルを締めた瞬間に
スポークが弾けるように首元が折れてしまうこともあります。
4つのうち1番起こりやすい現象です。

ニップルが弱いと、ニップルのリムへの首かかりの部分で
亀裂が一周にわたって入り、スポークがリムから抜ける格好になります。
これはスポーク折れの次に多いです。
一般の方はこれも「スポーク折れ」ということが多いですね。
スポーク関係で破損している部分があって 要修理なのですから
間違いではないですが。
ニップルの材質には しんちゅうとアルミがありますが、軽いアルミの方が
これになりやすいと思われているようです。
アルミニップルはホイールを組んでいるときに 四角をナメやすいのは確かですが、
引張強度はしんちゅうより弱いかというと、そうでもないと思うのです。
個人的な経験ではアルミの方が 組んでしまえば強いのではないかと
思うのですが、私の中での理論的根拠が薄いので 断言はしません。
もしアルミの方が強いのなら、(ホイールを組む側の人にとってではなく
ただ使う側の人にとって)ノーリスクで軽量化できるということになります。

リムが弱いと、上の図のようにリムが破損してしまいます。
(文章が長すぎて上の図が見えないですが)
使用による経年変化でなる場合もありますが、スポーク穴の耐引張強度が
低いリムだと、組んでいる最中に起こることもあります。
カーボンリムはアルミリムよりもこれに対して弱い、と言いたいところですが
最近はむしろアルミリム以上にスポークテンションが上げられる
リムも出てきているので一概には言えません。
リムメーカーがスポークテンションの上限値を定めているのは、
これを起こりにくくするためです。

DSC00191amx.jpg
ここでスポークテンションをST
ニップルがリムを食い破ろうとする力をRKと以下表現します。
pokeensionのSTと
imをui破るのRKです。

DSC00192amx.jpg
冒頭と同じような図に戻りますが、ラジアル組みで100STの力で
スポークを張ったとき、リムに100RKの引っ張りが発生しているとします。
メーカーがリムの破損について問題にしているのはRKのほうですが、
RKは計測のしようがないので(専門的な検査機関なら可能かも)、
普通は前述の方法でSTの方を計測します。

DSC00194amx.jpg
次に、4本組みで100RKの引っ張りを出すことを考えてみます。
4本組みのスポークは引っ張り方向がラジアル線から逸れているので、
引っ張りの力の損失があります。その上で100RKに持っていくわけですから
DSC00195amx.jpg
100RKにするには100ST以上の力で引っ張らないといけなくなります。
上の図では120STと書いてますが、実際の正確な値ではありません。
100ST以上なのは確実ですが、まあ これくらいかなという数字です。
もしメーカーが「100ST以上で組むな」というのであれば
4本組みでも100STを上限として組みますが、
その時のRKは たぶん80RKくらいになるでしょう。


DSC00196amx.jpg
ここで重要なのは、同じRKならラジアル組みの方がタンジェント組みよりも
スポークテンションが低くなる
、ということです。
ここまでの文章、これが言いたいだけなんですよ。

DSC00197amx.jpg
RKはホイールの縦硬さに直結しますが、リムメーカーが指定している限界値は
STのほうなので、STを指定上限いっぱいまで張ったとき
もっともRKが高くなるのは 0本組み(ラジアル組み)です。
「ラジアル組みが縦に硬いホイールになる」というのは迷信でも何でもありません。
そこから2→4→6→8本組みとタンジェント組みになるにしたがって、
1STあたりに上昇するRKが ラジアル線から外れる損失により減少していきます。

DSC00198amx.jpg
↑この画像の青く塗ったスポークは8本組のヌポークですが、
ラジアル線とほぼ垂直に近いですね。
円(ハブフランジ)の接線に近いです。タンジェント組みのタンジェントとは
接線という意味ですから、まさに接線組みです。

DSC00200amx.jpg
0~8本組みをするとき、ハブ穴が何Hから可能かを書いておきます。
ここでy≦4/xを使います。いやー便利だ。

DSC00202amx.jpg
ホイールを前後方向から見るとき、いつもは真後ろから見た図を描いているつもりですが
今回は真上から見たとします。
目の付けどころが、シャープでしょ。に見える目ですが、
シャープとは関係ありません。
シャープが自転車のホイールを考えたとしたら、きっと
プラズマクラスターを付けるでしょう。

DSC00240amx.jpg
プラズマクラスター発生装置付きのハブで組んだホイールが
走行しているとして、前からエヘン虫を流してみます。
マイナスイオンの効果により、
きれいなエヘン虫になりました。

DSC00203amx.jpg
エヘン虫はどうでもいいのですが(じゃあ書くな)、
タイヤを履いていないホイールを上から見てみます。
バルブ穴は真上にあるとします。

DSC00206amx.jpg
このホイールをヌポーク その1(→こちら)のときに出てきた魔法のナイフで
サクサク切開していきます。リムの穴振りを縫うように避けて、
ハブは真ん中で 真っ二つにします。
スプロケットのついている側からも明らかですが、
画面上が進行方向になります。
両側ともラジアル組みなのは、
見やすさ重視ということでスルーしてください(笑)。

DSC00207amx.jpg
今回は平たくのさずに 開くだけです。
二枚貝を最大限開いた状態のようなものです。

DSC00208amx.jpg
それをリムの切開面ではなく、ブレーキゾーンの側から見た図が
上の図です。

DSC00209amx.jpg
前回の話のときに、リヤホイールはオチョコがあるので
フリー側の方がスポークテンションが高くなると書きました。
上の図では左右ともタンジェント組みになっています。

DSC00210amx.jpg
↑反フリー側をラジアル組みにしたホイールの場合、こうなります。
「前後ホイールとも全部ラジアル組みにしたら空力と軽さの面で
最高に有利だけど、フリー側は強烈なねじれがかかるので
ねじれに強い タンジェント組みで残しておこう」という
発想です。これをやっているホイールメーカーは実に多いのですが、
代表的なのはイーストンでしょうか。それ以外にもたくさんあります。

DSC00211amx.jpg
前述したように、ラジアル組みにするとスポークテンションが下がります。
もともとスポークテンションの低い反フリー側のテンションを
さらに下げるわけですから、スポークテンションの左右差は
余計にひどくなります。ホイールの左右バランス的には最悪の組み方です。

DSC00238amx.jpg
私の謎コスミックカーボンは反フリー側がラジアル組みですが、
これはリムにあいているスポーク穴の都合で
こう組まざるを得ませんでした。
実際に反フリー側のスポークをにぎると、かなりぬるいです。
ただ、ラジアル組みの場合 スポーク同士の接触がないので
接触によるカキカキという異音が発生せず、
左が弱いというのは ばれにくいです。
ラジアル組みをヌポークでしているのは かすかな反抗です。

DSC00213amx.jpg
↑ではフリー側をラジアル組み、反フリー側をタンジェント組みしてみては
どうでしょうか。こうすればフリー側のスポークテンションが下がるので、
相対的に左右のスポークバランスが近づきます。
ホイールのバランス的にはこれが最高の組み方です。が、
DSC09123amx.jpg
ラジアル組みは
DSC09124amx.jpg
↑こういうねじれに弱いんですね。
前輪で発生する このねじれはリム側ブレーキによるもののみなので
大した問題ではないですが、後輪のフリー側ではペダリングから伝わる
フリーボディのねじれパワーが半端ではないので、問題が出てきます。

DSC00218amx.jpg
実際に手組みホイールでフリー側ラジアル組みをしてみました。
これはヌポークラジアルですが、これには理由があります。

DSC00220amx.jpg
反ヌポークラジアルでは横剛性が確保しづらいのです。
横剛性の計算根拠はハブフランジからスポークが出た位置に
なりますが、反ヌポークはそれが非常に狭いです。
さらに、ラジアル組みでスポークテンションが下がるということは、
フリーの強烈なねじれにも耐えにくくなるということでもあります。
手組みホイールの組み方において この反ヌポークラジアルというのは
スポークの首折れリスク的にも最悪の組み方です。

DSC00221amx.jpg
といってヌポークでラジアル組みをすると、
スポーク同士を編んでいないので スポークの横の張り出しが大きくなり、
リヤメカをローギヤに入れると プーリーケージとスポークが接触するという
不具合が発生しやすくなります。
対処法はありますが、それをしても登りの立ちこぎや 平地のもがきで
接触することがありますので、この組み方はやめた方がいいでしょう。
2本組みもスポークを編むのであれば、
2本ともヌポーク→リヤメカと接触する可能性あり
2本とも反ヌポーク→横剛性低い
となるので、オススメしません。
しかし、フリー側ラジアル組みは スポークテンションの左右差の是正にとって
大きなメリットがあるのも事実。何とかならないものか・・・

DSC00108amx.jpg
DSC00109amx.jpg
↑「ハブとスポークを専用設計にして、スポークを大径アルミにしたらいいんじゃね?」
という めっちゃ賢いホイールが、「キシリウム」です。キシリウムキター
ハブフランジ部分の構造を見るに、フリーボディのねじれでスポークが
ひずんだりしなさそうですし、アルミスポークも堅牢そのものです。
これを1999年の時点で考えたというのがマヴィックのすごいところです。
これは私の想像ですが、キシリウムの出発点は
「アルミスポークのホイールを作ろう」ではなく、
「フリー側ラジアル組みのホイールを作ろう」だったと思うんです。
その過程で、フリーボディねじれにびくともしない構造を求めた結果
アルミスポークの採用に至ったということだと思います。



~脱線~
DSC00122amx.jpg
↑これは7800系のデュラエースの完組みホイールです。
フリー側ラジアル組みです。現行モデルではジップのホイールと
マヴィックのキシリウムエリートがスチールスポークでラジアル組みですが、
ストレートスポークのみで可能な高テンションと 賢いハブの設計で、
スチールスポークながらフリー側ラジアル組みで問題ないように出来ています。
このホイールも同様に、スチールスポークでフリーラジアルです。

DSC00125amx.jpg
よくこの時代のデュラエースのホイールが「調整しにくい」などと文句を言われますが、
そんなことはホイールの走る走らないに関係ないので どうでもいいです。
直すのは私の仕事ですし。
このホイール、ハブの内部構造はカンパニョーロの丸パクリで
組み方はキシリウムの丸パクリですが、ホイールの理屈の突き詰め具合で言うと
これがシマノ史上最高傑作のリヤホイールだと私は思います。
これ以降、無理して自分の頭で考えるからしょうもないホイールが出来ちゃうんですね。

DSC00126amx.jpg
左フランジの位置も目いっぱい外に持っていってます。賢い!
WH-9000がワイドフランジとか言ってますが、
幅は これと同じくらいですよ。

DSC09788amx.jpg
エクストラワイドフランジとか言ってますが、
元々WH-7800の時代は ほぼエクストラワイドフランジでした。
で、昨日まで出してた自社製品(WH-7900)をこき下ろすとかすごいなー。

~脱線終わり~

ホイールの撮影にご協力いただいたT村さんへ。
そのホイール、傑作なんで手放したらダメですよ。

DSC00216amx.jpg
フリー側をラジアル組みにできるのは完組みホイールだけ!
(○○先生の漫画が読めるのはジャンプだけ!)
なので、手組みホイールでなんとかスポークテンションの左右差を是正する
組み方を考えてみたいと思います。
上の図では左右ともに0~8本組みと書いていますが、
DSC00223amx.jpg
ラジアル組みと2本組みはデメリットが大きすぎるので除外します。

DSC00224amx.jpg
残った組み方の中で フリー側がクロスになっていて
かつ最もラジアル組みに近くなるのは4本組みです。
4本組みは16Hから可能ですが、16H以下の手組みホイールを組むことは
あまりないでしょう。フリー側は4本組みにします。

DSC00225amx.jpg
反フリー側は、スポーク数の許す限り よりタンジェントに組みたいです。
24Hからは6本組が、32Hからは8本組みが可能になるので、
24H以上の場合は反フリー側を6本組みや8本組みにすると、
フリー側のスポークテンションに対して 反フリー側のスポークテンションが
高くなります。左右差が少なくなったということです。


DSC00063amx.jpg
先日、このリヤホイールで左右差是正の工夫をしてますと書いたのはそのことです。
これは28Hですが、フリー側を4本組み、反フリー側を6本組みにしています。
反フリー側を4本組みにした場合と比べて、左がかなりカッチリと組めます。
本当に全然違います。といっても実はそれよりは結線ハンダ付けの方が
スポークの見かけ上の変形量の軽減に寄与していますので、
結線ハンダ付けをするなら反フリー側は4本組みでもそんなに変わらないのですが。
私はこれを右→左の組み方順に「ヨンロク組み」と勝手に命名してますが、
結線ハンダ付け無しならヨンヨン組みとヨンロク組みは全然違います。

DSC00226amx.jpg
私が20Hと24Hのリヤホイールは違うというのは そこです。
20Hではヨンロク組みができません。
スポークが4本減るという剛性上のリスクと使用者の体重から考えて
20Hの手組みリヤホイールをオススメしないという一般論も
もちろんありますが。
といっても、20Hでも のむラボホイール1号は
70kg以下の人なら全然いけそうです。

DSC00242amx.jpg
↑これは私のホイールですが、マヴィック・リフレックスWOの
CDセラミックモデルです。

DSC00244amx.jpg
レーザー刻印とは手が込んでますね。
同じ処理のオープンプロも存在していましたが、
そちらは酸化被膜の化学式が書いてあって もっとかっこいいです。

DSC00228amx.jpg
フリー側を4本組み、
DSC00229amx.jpg
反フリー側を8本組みしています。
ヨンパチ組みと勝手に命名しています。
32Hのヨンパチ組みが 手組みホイールでスポークテンションの左右差を
軽減する最高の組み方だと思います。36Hでもヨンパチ組みは可能ですが、
なぜ32Hの方がいいのかは後日書きます。

DSC00230amx.jpg
6本組みと8本組みは最終交差の一つ手前の交差も編むことができます。
Wクロス組みです。それに加えて このホイールでは結線ハンダ付けをしていますが、
Wクロスと結線ハンダ付けを同時にすると、スポークが1本とんだときに
とんだスポークの結線をほどきつつ、新しいスポークを通すために
その隣の結線をほどかねばなりません。
それが順繰りに一周します。
つまり、これをやってしまうとスポークが1本飛んだら片側全てを替える羽目になります。
よって お客さんのホイールでは希望のない限りしません。
Wクロスでなければ最悪でも結線された2本の交換で済みます。

DSC00234amx.jpg
↑これはWクロスではありません。
DSC00233amx.jpg
↑紙をはさんだ部分を編むのがWクロスです。
Wクロスはスポークの見かけ上の変形量を減らすことができますが、
効果としてはヨンロク組みの方が大きいと思います。

先ほどの私のリフレックスは「ヨンパチ組みWクロス結線ハンダ付け」という
ラーメンのトッピングを全部盛ったような仕様です。
さすがにこれだけすれば 普通に組んだ場合と比べて全然別物です。
のむラボホイール2号ではこのあたりの理屈も盛り込みます。
↑この1文を書くために長々といろいろ書きました。
読んでくださった方、お疲れ様でした(笑)。ありがとうございます。

ホイールのスポークテンションの左右差の話 その2は
キシリウムえらい!という話でもありましたが、
その3は フルクラムえらい!という話を書きます。また後日。

category: スポークテンションの話

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