のむラボ日記

自転車工房「のむラボ」のブログです

ニップルの長さの話  

追記:この記事の内容に関して訂正がありますので、
いただいたコメントを元に検証した(→こちら)の記事も ご覧ください。


ひとつ前の記事中に書こうとも思ったのですが、
分けたほうがよさそうなので 個別記事にします。

先ほど組み換えたホイール、おそらくはサピムの赤ニップルです。
なぜかというと長さが14mmだったからで、
DTにも14mmアルミニップルは存在しますが
安定供給はされていません。
あと、アルマイトの赤が濃かったのも理由です。
最近のDTの赤ニップルの赤は やや薄めです。

汎用ニップルの長さは通常12mm、
ロングニップルと呼ばれるものが16mmですが
サピムのCX-RAYに付属している銀アルミニップルは14mmです。
(サピムのアルミニップルは、別売りであれば12mmのものも入手可能です)

「ロングニップルを使えばスポークの長さが短くなる」
と誤解している人もいますが、そんなことはありません。同じです。
というのが 今回の話です。
DSC05206amx5.jpg
12mmニップルを大雑把に描くと こんな感じです。
ホイールに仕立てたときの内周側からスポークを突っ込むと、
ねじ山に突き当たるまでに ねじ山が無い部分があります。
これは だいたい4mmほどで、私は歯周ポケットと呼んでいます。
外周側に マイナスドライバーが入るようなすり割りがありますが、
これの深さはだいたい1mmほどです。
なので差し引き7mmが ねじ山部分となります。

DSC05208amx5.jpg
私のスポーク長さ計算式では、
スポークの端が ニップルの外周側の端とツライチになる長さを
算出するようにしています。

DSC05210amx5.jpg
このとき、スポークのねじ山終わりは
ニップルのねじ山始まりに達していません。
もしスポークの長さを間違えて長いものを使ってしまった場合
スポークの端がニップルから飛び出して
ねじ山を使い切ってしまいます。
ツライチから増し締めしていって
ねじ山が突き当たるまでの長さは2mm弱といったところです。
突き当たった状態でホイールを使うと
スポークのねじ山終わりの境目で折れるリスクが非常に高くなります。
増し締めでの振れ取り調整も出来ません。

スポークの長さは ハブとリムの寸法、あとは組み方で決まるわけですが
その長さはニップルの外周側の端までを算出しているので
もしニップルの長さによって ニップルのねじ始まりの位置が
変動するとなると、かえって不便です。

DSC05211amx5.jpg
なので、12mmより長いニップルは歯周ポケットが深いだけであって
ニップルのねじ山始まりは 本体の全長に関係なく
外周側の端から約8mmとなっています。
では なぜロングニップルが存在するのかというと、
そうでないと都合の悪いリムが存在するからです。
マヴィックのCXP30リムや 初代コスミックエリートのリム(←実は穴数以外同じもの)
ではニップルの首下が収まる箇所が やや内周部寄りになっており、
ロングニップルにしないと工具がかかりません。
また、ホンフゥのカーボンリムなどでは 強度確保のためか
内周側の厚みを大きく取ってあり、
12mmニップルだと 工具でつかむ四面の部分が
かすかに出るだけになるので 14mmニップルにしたほうがいい場合もあります。
が、歯周ポケットが長いニップルは 調整時のひねり切れ耐性が低いので
特別な理由が無い限り 私は現在12mmのニップルしか使いません。
サピムのCX-RAYに付属している14mmアルミニップルも
使わないので、かなり貯まってきました。

DSC05143amx5.jpg
↑で、これはひとつ前の記事のホイールの組み換え前の画像ですが
初動ゆるみを防ぐだけで ニップルを再度回せば ほぼ効果が無い
パリッと割れるタイプの ねじ止め剤が 歯垢状に固まっていたので、
歯周ポケットが目視できるなーと思ったことが この記事を書く動機になりました。
私は この手のねじ止め剤を使わないので 普段これを見ることが無いのです。

category: スポークの話

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CXというスポーク  

先日組んだのむラボホイール2.5号の前輪について、

>CXという前後方向に変形しにくいスポーク
ここ、ダウトです。
そりゃ、テンションがかかった状態のスポークの真ん中に、前後方向の
力(にぎにぎですね)をかけたらエアロスポークの方が変形しない
でしょうけど、走行中にそんな力がかかることはありませんよね。
スポークはその両端(ハブ側、リム側)でその伸長方向の力を受け、
その伸長方向の力を伝えます。
その分力は縦、横、捩れ、の方向に分解はできますが。
その点において、丸断面のスポークとエアロ形状のスポークの差は
なく、断面積や素材の硬さ(圧延による変性等も含みます)の違いが
ホイールの剛性として現れるだけです。
と、考えますがいかがでしょうか。

というコメントをいただきました。
全面的にその通りです。
「スポークの前後方向の変形しにくさ」について、
走行中にそういう力が実際かかるわけでないことは承知しております。

ここで書きたかったことについて。
まず スポークテンションメーターでテンションを測る方法ですが、
スポークの前後または左右方向から
くの字に曲げるように測定子で押さえて測ります。
CXはスポーク比重が実測で100.3%なので
14番プレーン(スポーク比重100%)をつぶしたものだと考えられます。
CXは、扁平なスポークの形状により
同比重の丸断面スポークより前後方向での
テンションメーターの測定では 変形しにくさが 上と出ます(当たり前ですが)。

そのときのメーター読みの数字が
たまたまレーシングゼロのヌルめの個体をうっすら上回っていました、
というだけの話です。
これについて、もし
スポーク本数が18Hより多かったり
スポークがCX-RAYであったり
リム高が50mmより低かったりしたら
この数字は出なかったろうなぁ、というだけの話です。

元の記事中にもありますが、
スポークに対して 前後方向からスポークテンションを当てたときの数値、
つまり ある種の方法で検知される
数値上でのスポークの変形しにくさ「だけ」が
上回ったからといって、
すなわちレーシングゼロと同じ硬さのホイールを
組んだということにはなりません。
アルミスポークは断面積と材質(←コメントの言葉をお借りすれば
「素材の硬さ」)がスチールスポークと 別物だからです。

「CXという前後方向に変形しにくいスポーク」というのは
確かに不正確な表現でした。
同じ比重100%の14番プレーンより
実走時においても前後方向に変形しにくい、というような
ニュアンスで書いたのではありません。
なので「CXという前後方向でメーターを当てたときに
高い数値が出るスポーク」と書いたほうが正確でした。

その「高い数値」がレーシングゼロの下限を超えたので
「おー すごい」と思ったという話です。
スチールスポークの手組みホイールで
それを超えることは めったに無いので。

ホイール走行中のスポークの振る舞いについては
コメントにあるとおりです。

コメントありがとうございました。



追記:
いい機会なので ついでに前から書こうと思っていたことを。
現実的な範囲では、スポーク比重100%のスポークというのは
「形状にかかわらず」ホイールを組むときに
テンションを際限なく上げていったとして
真っ先に壊れるパーツではありません。
リム穴が抜けるか ニップルが破断するかが先でしょう。

ところが、スポーク比重65%のスポークになると 事情が変わってきます。
1200N以上に十分耐えられるリムであったならば、
丸断面スポークの場合
うにょーん(伸張方向の塑性変形)が 起きるのです。
これが扁平加工されたスポークであれば
現実的な ほとんどの範囲において うにょーんは起きません。
よって私がCX-RAYに期待していること評価していることというのは
レボリューションと同じ軽さなのに降伏がはるかに起きにくいという点です。
さらに、その対処法が扁平加工なので
ホイール組みの際にスポークを工具でつかんで
供回りを押さえることができるため 作業性に優れているという点もです。
実は この2つの条件を満たすだけなら、
スポークの扁平方向が 前後方向ではなく左右方向でもかまいません。
ただ、空力的なことを考えると どうせなら
前後方向に扁平であったほうがいいですね。
私がスポークに求めている空力特性というのは、
この「どうせなら」という程度のことです。
ホイールの組み手としては、スポークのエアロ効果というものを
過小評価している・・・とは思いませんが 崇拝まではしていないのは確かです。

スポーク比重が同じ100%同士の チャンピオンとCXで
各々スポークテンションをなるべく張った場合
同じ剛性のホイールを得ることは出来ますが、
スポーク比重が同じ65%同士の レボリューションとCX-RAYでは
各々スポークテンションをなるべく張った場合
同じ剛性のホイールにはなりません。
これはコメントにもある「圧延による変性等も含みます」というのが
スポーク比重によって 現実的なホイール組みの範囲で
無視できる場合と そうでない場合があるということです。

DSC04841e.jpg
ところで話は変わりますが、
これは旧ITMのクロノビップ3という製品の箱です。
なぜエアロバーと書かず DHバーと書かず エクステンションバーと書かず
製品と書いたのかについては 後ほど。

DSC04842e.jpg
DSC04843e.jpg
DSC04844e.jpg
↑それぞれ こんな形です。
それはどうでもいいのですが、
これが「何なのか」についての説明が
DSC04845e.jpg
箱の側面にあります。
上からイタリア語・英語・フランス語・ドイツ語と
ロゼッタストーンみたいになっていますが
イタリア語以外の言語は イタリア語の直訳・・・ではありません。

上から直訳すると
イタリア語  延長されたハンドルと 肘掛け
英語     調整可能なバーエンドと 腕休め
フランス語  空力ハンドルバーと 肘サポート
ドイツ語   空力ハンドルバーと 肘パッド
となります。
ここで言いたいのは、まったく同じものに対して
長さが調整できることについて言及している説明もあれば
使ったときの空力特性に着目している説明もあるということです。

複数のホイールの組み手に CX-RAYの特徴を尋ねれば
「扁平なので空力に優れたスポークだ」とか
「とにかく軽いスポークだ」とか
いろんな見解が返ってくると思うのですが、
私は「スポーク比重の割りに 異常に降伏が起きにくいスポークだ」
というのが第一の感想です。
私の場合は エアロがどうこうとかを強く意識して
CX-RAYを使っているわけではありません。
なので私にすれば CX-RAYのようなスポークを
エアロスポークと呼ぶのは、最も注目したい要素が
名前のなかで表現されていないという点が 少し気になります。

もしかしたら扁平スポークを最初に考えた人が
フラットスポークという呼び名を広めていたら
それが一般化したかも知れませんし、
圧延によってこの形にした!というのを強調したいなら
ロールドスポークとかプレスドスポークという
名前になっていたかもしれませんし、
きしめんに着想を得て作られたのなら
ナゴヤスタイルヌードルスポークという名称になっていたかもしれません。

そこで、多くの人に「これは加工硬化のために こうしたんだ」という
観念をまず得てもらうために、空力特性や形状に一切言及せず
ストレインハードニングスポークという呼び名を考えたのですが、
どう考えても普及しそうにはありません。
また この場合、ストレインハードニング(加工硬化)されている
スポークであれば 空力的に有利な形状かどうかは問われないのですが
現状存在しているものでは 空力的に有利な形状をしちゃってるので
形状を端的に表現してエアロスポークと呼ぶのはどうでしょうか。

レイノルズやローヴァルのホイールには、
40mm高以上のリムなのに
丸断面バテッドスポークを使っているものがありますが、
うにょーんさえ起きていなければ
「空力的に不利だからダメだ」などと思ったりはしません。

category: スポークの話

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CX-RAYのストレートスポークについて  

ひとつ前の記事で、レイノルズの組み換えに
サピムのCX-RAYのストレートスポーク仕様を使っていますが、
これは最近 トライスポーツさんが取り扱いを始めてくれたものです。
たいへん助かります。

ただ、通常のスポークと違う点があるので それについて。
DSC03037amx4.jpg
↑これが その現物なのですが、

DSC03039amx4.jpg
ハブ側はストレートプル仕様の頭になっています。

DSC03040amx4.jpg
が、リム側は ねじを切っていないので
任意の長さにカットして ねじ山を転造しないといけません。
スポークカッターを所有していることが前提の仕様です。

通常のCX-RAYは、最大で8mm程度カットできますが
(私の内規では 6mmカットを限度としています)、
このスポークは補修用として使われることを想定した仕様なので
それ以上にカットできるようになっています。
取り扱いのある長さは310・270・240・210mmの4種類で
210mmは20mmカット可能、
270mmと240mmは30mmカット可能、
310mmは40mmカット可能ということになっているので
4種類のスポークで
190~210mm、210~240mm、240~270mm、270~310mmと
長さが取れるようになっています。

この特殊CX-RAYは シルバーとブラックの展開がありますが、
トライスポーツさんは レース(コンペティション相当)のストレート仕様のシルバーと
リーダー(チャンピオン相当)のストレート仕様のシルバーも取り扱っているので
銀スポークであれば ストレートスポーク用のハブでの
ホイール組みの自由度は かなり高くなりました。
実際、CX-RAYのストレートスポークが入手できないために
組み待ちになっていた ホイールの注文が当店に数件あります。
そのうち組むので許してください。

これがあればDTやパワータップのストレートスポーク用のハブで
ホイールが組めるのでは?と言われそうなので 先に書いておきます。
フロントハブは ラジアル組み一択でテンションを張ればいいだけなのですが、
リヤハブは多くの場合 ヨンヨン組みかヨンゼロ組みにしか
スポークを引けなくなっています。
この自由度の低さは致命的な問題で、それなら首折れスポークでいいので
左右異本組みをさせてくれるハブのほうが
ほとんどの場合 良いものが出来上がると思いますので
ホイールの性質を追求するのであれば
ストレート仕様のハブにメリットは無いと 私は考えています。
キシリウムエリートやゾンダくらい特殊な設計なら また話は別ですが。
(ストレートプルだと スポークの首折れのリスクが低いという点は確かです)

例えば 24Hヨンヨン組みの後輪のフリー側が
首折れスポークで120kgf止まりのところ
ストレートプルなら140kgfまで張れた!としても
反フリー側の是正度が低いのであれば あまり意味はないということです。
このことは シマノ10Sフリー仕様の完組みホイールの後輪を
11Sハブにする目的で 私が手組みハブのヨンロク組みで組み換えたところ
(実は半コンペのほうが重要なのですが・・・)組み換え前より
カッチリしたと ほとんどの場合言われることが 証明しています。
スポークの変形量(たわみ)が、フリー側で微増になっても
反フリー側で激減すれば 総合的には硬くなるということですね。

DSC03081amx4.jpg
あと、補修スポークの1本だけ
リム側のプレーン部分が長いスポークが混じると
見た目にかっこ悪いと言われるかもしれません。
スポーク比重が違うスポークが混じると
そこで縦振れが出たり ゆるみが出やすくなったりします。
もっとも 後者のほうは 周りより比重の小さい(細い)スポークの場合に起こることで
周りがCX-RAYなら それより比重の小さいスポークというのは
まず ありませんが。

補修用のスポークなので、カットする長さが短かった場合
どうしても こうなることはあります。
気になるなら 純正のスポークを取り寄せるか
片側すべて張りかえてください。

片側すべて張りかえても「プレーンのところが長いのが何となく嫌だ」
という問題は解決しませんが。

このスポークがあることで、ZI〇Pや イ〇ストンの補修が
かなり やりやすくなりました。
今まではどうしていたのかというと
CX-RAY相当の比重のスポークで長さの合うものを
完組みホイールのスペアスポークから切り出して
流用することもあったのです。

これに関して メーカーや代理店(全てではなく一部です)から
私が文句を言われる筋合いは無いはずです。
ホイールの完成品は売っておいてスポークの供給が悪い、
または一切無いという奴らが 何をえらそうに。

DSC03080amx4.jpg
とは言え スポーク比重が通常のCX-RAYと異なることは否定できません。
実測して確かめてみることにします。
上の画像は310mm×50本ですが、270.1gとなっています。
50本と半端な本数なのは 秤の ひょう量が300gまでだからです。
0.1gまで出る秤だと より少ない本数で信頼に足るデータが出ます。
スポーク比重の計算では、スポークヘッドの重量や
スポークの長さによって バテッド部分が全体に占める長さの割合などは
無視することにしています。
過去何度も書いていますが、700Cリムの場合で
80mm高リムに使うような240mm前後と
ローハイトリムでの300mm前後のスポークの長さの違いで、
バテッド部分の差によるスポーク比重の差というのは
顕著なものでは ありません。
水の蒸発や 滑車の摩擦を無視しても
実用上問題ない数値が求められるようなものだと思ってください。

私の計算ではCX-RAYは64.5%ですが、
これは様々な長さの 膨大な数のCX-RAYから算出されています。
サピムのメーカーサイトでは
260mm×64本で272gとありますが、
これで計算すると63.6%になります。
実際は(260mm×64本でも)63%台になることは まずありません。

で、上の画像からの概算ですが、スポークヘッドは無視するので
310mm×50本のスポークは
15500mmのスポーク1本と同じ重量ということになります。
これの1mmあたりの重量は0.0174258・・・gとなり
スポーク比重は2.0mmプレーンスポーク1mmを0.0257gとしているので、
ストレートプル補修仕様の310mmのCX-RAYの
未カット品のスポーク比重は約67.8%ということになります。
ストレートスポークを使うようなホイールの 実際の事情から考えると
310mmどころか300mmですら なかなか無いので
元が67.8%で 切れば切るほど64.5%に近づく
補修用CX-RAYが 1本混じる程度なら
ホイールのテンションバランスに問題はありません。

長さを指定して 通常のバテッド始まりの
ストレートプル仕様のCX-RAYを取り寄せることも可能ですが、
納期が数ヵ月なので 強いこだわりが無ければ
補修用のCX-RAYで十分だと思います。

category: スポークの話

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黒スポークの結線はんだ付けについて  

黒スチールスポークの「黒」は、
(スチールなので)アルマイト加工ではなく塗装です。
「塗膜」です。
なので はんだが きれいにのりません。

しかし性能の良いフラックスを使えば
ステンレスの鋼線に 十分に はんだがのるということで、
現在では黒スポークの結線はんだ付けもやっています。
DSC06749amx3.jpg
ところが丸断面スポークの場合、
鋼線とスポークの間のすき間が大きく
スポーク同士の接触面積も小さいので
スポーク自体にも それなりに はんだ付けを効かせないといけません。

なので 不可能というわけでは無いのですが
できれば丸断面の黒スポークの結線はやりたくないなあ、
と 先ほどの銀コンペの結線ハンダ付けで思った次第であります。

丸断面の黒スポークで結線する場合は、
私のホイール組みの傾向からすると
全コンペか チャンピ/コンペの反フリー側ということになります。
過去にそれなりの数をやっていますが、
スポークと鋼線の間の はんだ付けの力を全く期待できないので
「巻きの結線」では結線が効きません。
「結びの結線」でないと おそらく長期間にわたって意味のある
鋼線の結束にならず、ほどけてくる可能性もあります。

逆にいうと 銀スポークであれば 巻きの結線+はんだ付けでも
一応は最終交差を縛れます。
ただその場合 主にダンゴ状のはんだ玉で留めているだけであって、
鋼線で留まっているわけではありません。

私にとってのはんだ付けは鋼線の結束(結線)のほどけ留めだけであって、
最終交差を縛る力を ほぼ結束だけで得られないなら
黒スポークの結線はんだ付けはできません。

さっき「丸断面の黒スポークの結線はんだ付けを できればやりたくない」と
書いたのは 作業の難度がちょっと高いから面倒だというだけのことです。
結びの結線なら 結束の性能が得られないわけではないので、
こんなことを書いたところで 結局 今後も承るという点では同じです。

category: スポークの話

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CXナントカについて  

先ほどのホイールの「サピム CXナントカ」について書きます。

このブログは 私の備忘録でもありますが、
「スポークの話」というカテゴリに分けたかったので別記事にしました。

実はサピムのエアロスポークは CXとCX-RAYだけではありません。
過去にいろいろな種類が出ていました。
現状、一般向けのカタログには載っていませんが
ホイールメーカーには供給されています。

シマノの完組みホイールで、後輪をエアロスポークで
左右異径組みにしているものがありますが、
そのスペックを見ると
フリー側  エアロ2.0-1.8-2.0mm
反フリー側 エアロ2.0-1.5-2.0mm
というような よく分からない表記があります。
エアロバテッド部分は1.8mmや1.5mmの丸断面ではないからです。
以前に「エアロスポークは 丸バテッドスポーク状の半製品から
圧延によって作られている説」というのを書きましたが(→こちら)、
この1.8mmや1.5mmという表記は
それの加工前の径を指しているものだと思われます。

ここで、2.0-1.5-2.0mmのスポークというのは
サピムならレーザー、DTならレボリューションに相当し
このブログでいうところのスポーク比重に当てはめると
65%弱といったところです。
同様に2.0-1.8-2.0mmスポークは
サピムならレース、DTならコンペティションで
スポーク比重は85%くらいですが
サピムにもDTにもスポーク比重85%相当の
エアロスポークはラインナップにありません。

これが存在するなら いま私がやっている半コンペのフリー側の
コンペティションが 85%エアロに置き換わる可能性があります。
シマノの2.0-1.8-2.0mmエアロスポーク(推定スポーク比重85%前後)は
サピム製の特注品なのでしょうか?

サピムのエアロスポークの断面形状は 実は二種類あります。
楕円断面の「エリプティック エアロ」と 四角断面の「スクエア エアロ」です。
CXもCX-RAYもエリプティックのほうなので このことはあまり知られていません。
で、CXデルタというスポークがあるのです。
CXデルタは CX-RAYと同比重(カタログ重量からの算出で
ともに63.5%)の スクエアエアロスポークです。

DSC05461amx3.jpg
CXデルタはエアロバテッド部分の寸法が
幅2.2mm・厚み0.9mmということになっています。
CX-RAYも同様なのですが、
単純に考えれば上の図のように おかしな話です。
ただ、CX-RAYの幅は実測2.3mmくらいであることが多いことと
CX-RAYの束から1本1本エアロバテッド部分を触診すると
厚みの個体差があるのが 手で分かるくらいなので
幅や厚みに関して公称値どおりに作れていないというのは確かです。
ここを厳密にコントロールできていないという事実も
エアロスポーク圧延加工説を におわせます。
(CX-RAYですが、資料によっては2.3/0.9mmです)

おそらくは、CX-RAYとCXデルタの違いは
2.0-1.5-2.0mmスポークを圧延加工する ローラーの形状であり
加工前は同じものなのではないでしょうか。
これならスポーク比重がカタログスペック上 全く同じなのも納得できます。

次はCXウイングについて。
これはCXとほぼ同比重です。
CXウイングのほうが0.5%ほど軽いです。
(カタログ重量からでは CXは98.91%、CXウイングは98.44%、
私の実測値ではCXは100.3%)
といっても260mm/64本のときの重量が
CXで423g、CXウイングで421gというだけのことです。
CXがエリプティックなので CXウイングは
「CXのスクエア版」という位置付けだと思われます。

CXスプリントというモデルもあります。
これはエリプティック エアロでスポーク比重77.0%、
幅2.25mm 厚み1.2mmのモデルです。
スポーク比重77%前後の丸バテッドスポークというのが
サピムに存在しないので、
(圧延加工説が正しいとして)加工前の丸バテッドスポークに相当する
市販品は無いということになります(おそらく 2.0-1.6-2.0mm)。

CXスピードというモデルもあります。
これはスポーク比重83.6%なので
CXスプリントのスクエア版、ではありません。
加工前のスポークが同じものだとすると
加工後のスポーク比重差が かけ離れすぎているからです。

で、先ほどの記事のRC50の組み換えで使い回さなかった
反フリー側12本のスポーク比重を調べてみました。
過去に書きましたが、スポーク比重はサンプル数が この程度でも
0.1g刻みで測れる秤があれば かなり正確に出ます。
調べてみたところ84.4%でした。
RC80のスポークはCXナントカ、ではなくCXスピードと見て
まず間違いないようです。
実測で幅2.6mm、厚み1.2mmですが
これはフランジの丸穴にギリギリ通るサイズです。

ちなみにサピムのレースのスポーク比重は
カタログ重量からの算出で84.863・・・%です。
なので CXスピードは「エアロ加工したレース」になります。


サピムのスポークは 特別仕様をいろいろ注文できます。
オプションの項目にあるものをいくつか抜粋すると
・ストレートスポークにする
・両側ねじ切りにする
・丸スポークであっても ニップルの少し内側の部分に平たい加工をする
(ここを工具でつかむと供回り止めになる)
などがあります。

シマノの完組みホイールに使われている
2.0-1.8-2.0mmのエアロスポークですが、
「CXスピードをストレートスポークで黒にする(一部 銀もあります)」で
ほぼ要件を満たすので 完全特注品ではないのかもしれません。

CXスピードが安定供給されれば
半コンペのフリー側が置き換わるかも、と書きましたが
スポーク比重85%近辺の首折れスポークというのが
なぜか サピムにもDTにもないのです。
星のエアロスターブライトIII型は
サピムで言うところのスクエアエアロ形状で、比重も絶妙なのですが
私が秘蔵している年代のもの以降は
磁性などの違いから間違いなく
同名の別スポークになってしまっているので
残念ながら使い物になりません。

スポークカッター(カットと ねじ山の転造)のように
スポークの圧延加工機があれば「元コンペのエアロスポーク」を
必要に応じて適宜入手できそうですが
店内に置けるサイズではなさそうなのと
買える値段ではなさそうなのは確かです。

category: スポークの話

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